DPP-4阻害薬には、腎機能が落ちたときに量を減らす薬と、減らさずに使える薬があります。トラゼンタとテネリアは減量が不要で、ジャヌビアなどは検査値に応じて量を調節します。
検査で腎臓の数値が悪くなったと言われると、今の薬を飲み続けてよいのか心配になります。量を調節しながら続けられる薬もあるため、腎不全や透析という言葉だけで中止を決めず、薬の名前と処方量を一緒に確かめていきましょう。
この記事では、DPP-4阻害薬の腎機能別の用量、透析中の飲み方、腎臓への影響と検査の受け方を解説します。
DPP-4阻害薬を減量する理由は体内に残る量にある
腎臓から出ていく薬は、腎機能が落ちると同じ量を飲んでも体内に残りやすくなります。減量は、血糖を下げる作用を保ちながら、体に入る量と出る量を合わせるための調節です。
尿へ出る薬は腎機能の低下でたまりやすくなる
腎臓には、血液をろ過して不要な物質を尿へ出す働きがあります。
シタグリプチンなど多くのDPP-4阻害薬も腎臓から排泄されるため、ろ過する力が弱くなると、血液中の薬の濃度が高くなります。
そのため、以前は適切だった処方量でも、腎機能が変化すれば見直しの対象です。薬を飲み始めたときの検査値だけでなく、服用を続けている間の値も用量の判断に使われます。
減らす量は薬の種類で異なる
腎機能が同じ程度まで低下しても、薬が体から出る経路や体内での残り方が違うため、減らす量は製品ごとに異なります。それぞれの電子添文、つまり承認された使い方と注意をまとめた文書に沿って量が決まります。
1回の量を減らす処方もあれば、1日2回を1日1回に変更する処方もあります。変更時に見るのは、錠剤の含有量、1回の錠数、服用回数。薬袋の「mg」だけを見ていると、1日全体の量が変わったことを見落としがちです。
減量は腎機能に合わせて治療を続けるための調節
腎機能に合った量に減らしても、血糖を下げる作用は期待できます。薬が出ていく速さに合わせて量を減らすため、錠剤の数字が小さくなっただけで効き目が足りなくなったとは判断できません。
量を変えるか別の薬に替えるかは、腎機能と血糖の両方を踏まえて主治医が判断します。検査結果を受け取った時点で自分で錠剤を割ったり飲む日を減らしたりせず、処方の変更が必要かを主治医に確認しましょう。
トラゼンタとテネリアは腎機能による減量が不要
量の調節を要しない代表は、リナグリプチンのトラゼンタと、テネリグリプチンのテネリアです。減量が不要という点は薬選びの判断材料になり、血糖の状態に合った処方を続ける際にも役立ちます。
胆汁から出るトラゼンタは通常5mgを使う
トラゼンタは主に胆汁を通じて体外へ出る薬です。
胆汁は肝臓で作られて腸へ流れる液で、尿へ出る割合が低いため、腎機能に応じた減量をせず、通常5mgを1日1回使います。
テネリアの通常量は20mgを1日1回で、腎機能による減量は不要です。効果が不十分な場合は、血糖への効き方を見ながら40mgを1日1回まで増量できます。
排泄経路と用量調節の対応
各薬の排泄に関する性質と用量調節は次のように対応します。トラゼンタ錠・テネリア錠の電子添文(添付文書)には腎機能別の減量表がなく、ほかの薬では排泄が遅れることなどを踏まえた調節が定められています。
| 販売名(成分名) | 体から出る経路など | 腎機能による調節 |
|---|---|---|
| トラゼンタ(リナグリプチン) | 主に胆汁から排泄 | 不要 |
| テネリア(テネリグリプチン) | 腎機能低下時の体内濃度を評価 | 不要 |
| ジャヌビア/グラクティブ(シタグリプチン) | 主に腎臓から排泄 | 必要 |
| エクア(ビルダグリプチン) | 腎臓からの排泄が関与 | 中等度以上で調節 |
| ネシーナ(アログリプチン) | 腎臓からの排泄が関与 | 中等度以上で減量 |
| スイニー(アナグリプチン) | 腎機能低下で排泄が遅延 | 重度以上で調節 |
| オングリザ(サキサグリプチン) | 腎臓からの排泄が関与 | 中等度以上で減量 |
テネリアは、減量が不要という点がトラゼンタと共通しています。ただ、両剤の排泄経路は同じではなく、それぞれの製品で決められた用量を使います。
減量が不要でも薬の選択は血糖と併用薬で変わる
腎機能が下がった人全員がトラゼンタやテネリアへ替える必要はありません。現在の薬を適切に減量して血糖が保たれていれば、その薬を続ける選択もあります。
切り替えを検討するときは、腎機能に加えて血糖の推移や一緒に飲んでいる薬を整理します。「減量が不要な薬に替える利点があるか」「今の薬の量を調節して続けられるか」を、現在の処方と結びつけて主治医に確認しましょう。
DPP-4阻害薬の用量表は検査指標をそろえて読む
用量の境目は製品ごとに異なり、クレアチニンクリアランスとeGFRを同じ数字として扱うと誤った量につながります。以下は各製品の電子添文(添付文書)に記載された目安で、主治医と処方を確かめるときに使います。
シタグリプチンとアログリプチンは段階ごとに減量
クレアチニンクリアランスは、血液中の老廃物であるクレアチニンを腎臓が1分間にどれだけ取り除けるかを表す指標です。eGFRは採血の値などから推定した血液をろ過する力で、クレアチニンクリアランスとは区別して用います。電子添文ではCrClやCcrと略され、次の表では単位をmL/minにそろえています。
| 販売名(成分名) | 腎機能の区分 | 1回量と回数 |
|---|---|---|
| ジャヌビア/グラクティブ(シタグリプチン) | 通常の用法・用量 | 通常50mg、1日1回。最大100mg、1日1回 |
| 同上 | 30≤CrCl<50 | 通常25mg、1日1回。最大50mg、1日1回 |
| 同上 | CrCl<30/末期腎不全 | 通常12.5mg、1日1回。最大25mg、1日1回 |
| ネシーナ(アログリプチン) | 通常の用法・用量 | 25mg、1日1回 |
| 同上 | 30≤Ccr<50 | 12.5mg、1日1回 |
| 同上 | Ccr<30/末期腎不全 | 6.25mg、1日1回 |
ジャヌビア錠・グラクティブ錠・ネシーナ錠の電子添文(添付文書)に基づく量です。シタグリプチンでは通常量と最大量が異なり、最大量は、効き目と経過を見ながら増量する場合の上限を指します。
血清クレアチニンという採血の値にも目安があり、シタグリプチンの中等度は男性で1.5<Cr≤2.5、女性で1.3<Cr≤2.0、重度以上は男性でCr>2.5、女性でCr>2.0です。アログリプチンの中等度は男性で1.4<Cr≤2.4、女性で1.2<Cr≤2.0、重度以上は男性でCr>2.4、女性でCr>2.0となり、単位はいずれもmg/dLです。
ただし、血清クレアチニンは体格や筋肉量にも左右されるため、個人の用量は添文の換算値だけでなく腎機能全体を見て決めます。アログリプチンの換算値は年齢60歳、体重65kgが前提で、自分の検査値に当てはめるときは、この条件も確かめましょう。
服用回数を変える薬と1回量を減らす薬
エクアとスイニーでは、1回の錠剤の量を保ったまま、1日の服用回数を減らす調節が示されています。オングリザは通常の5mgから2.5mgへ減量するため、同じ「減量」でも薬袋の変更箇所が異なります。
| 販売名(成分名) | 通常の用法・用量 | 腎機能低下時の目安 |
|---|---|---|
| エクア(ビルダグリプチン) | 50mg、1日2回朝夕。状態により50mg、1日1回朝 | 中等度以上/透析中は50mg、1日1回朝など慎重に使用 |
| スイニー(アナグリプチン) | 100mg、1日2回朝夕。効果不十分時は1回200mgまで | Ccr<30mL/min/末期腎不全は100mg、1日1回 |
| オングリザ(サキサグリプチン) | 通常5mg、1日1回。状態により2.5mg、1日1回 | Ccr<50mL/minは2.5mg、1日1回 |
エクア錠の電子添文(添付文書)の用量注意には「中等度以上」と記載されているため、この表に独自の数値の境目は設けていません。スイニー錠・オングリザ錠の電子添文(添付文書)にあるCcrの区分も、eGFRへ読み替えずに使います。
スイニーの血清クレアチニンの目安は男性でCr>2.4、女性でCr>2.0、オングリザは男性でCr>1.4、女性でCr>1.2です。単位はmg/dLで、いずれも年齢60歳、体重65kgでの換算値にあたります。
週1回の薬も腎機能に合わせた量で服用
週1回のDPP-4阻害薬も、腎機能が下がると減量の対象になります。トレラグリプチンはクレアチニンクリアランス、オマリグリプチンはeGFRという違いがあり、2剤の量は、それぞれの薬が定める検査の指標で決めます。
| 販売名(成分名) | 腎機能の区分 | 1回量と回数 |
|---|---|---|
| ザファテック(トレラグリプチン) | 通常の用法・用量 | 100mg、週1回 |
| 同上 | 30≤Ccr<50mL/min | 50mg、週1回 |
| 同上 | Ccr<30mL/min/末期腎不全 | 25mg、週1回 |
| マリゼブ(オマリグリプチン) | 通常の用法・用量 | 25mg、週1回 |
| 同上 | eGFR<30mL/min/1.73m²/末期腎不全 | 12.5mg、週1回 |
ザファテック錠・マリゼブ錠の電子添文(添付文書)に基づく量です。前者の血清クレアチニンの目安はネシーナと同じ換算条件と区分で、後者は年齢60歳で男性Cr>1.9、女性Cr>1.4mg/dLに相当します。
オマリグリプチンの重度腎機能障害時の用量は、体内での薬の動きを予測する計算に基づいて設定され、状態を慎重に観察しながら使われます。減量したトレラグリプチンには重い腎機能低下時の血糖改善の裏づけがあり、週1回の処方でも腎機能に合った量が治療の前提です。
処方薬がこの表にある場合は、薬袋の1回量と回数を、検査結果の指標名・数値と一緒に主治医へ示し、自分に適用される区分を確認しましょう。
透析中は薬の量と飲む時刻を分けて確認
透析中でも使えるDPP-4阻害薬があります。
必要な減量と、透析の前後どちらで飲むかは、分けて判断します。
末期腎不全でも使用できる量が定められている
透析は、働きが大きく低下した腎臓の代わりに、血液中の老廃物や余分な水分を取り除く治療です。末期腎不全では腎臓から出る薬が残りやすいため、透析を受けていても減量の決まりに従います。
| 販売名(成分名) | 透析中の用量の目安 | 血液透析との時間関係 |
|---|---|---|
| ジャヌビア/グラクティブ(シタグリプチン) | 通常12.5mg、1日1回。最大25mg、1日1回 | 時間関係は問わない |
| ネシーナ(アログリプチン) | 6.25mg、1日1回 | 時間関係は問わない |
| スイニー(アナグリプチン) | 100mg、1日1回 | 時間関係は問わない |
| エクア(ビルダグリプチン) | 50mg、1日1回朝など慎重に使用 | 朝の用法を踏まえ個別に確認 |
| オングリザ(サキサグリプチン) | 2.5mg、1日1回 | 透析で除去されるため個別に確認 |
| トラゼンタ(リナグリプチン) | 5mg、1日1回。腎機能による減量不要 | 処方時に時刻を確認 |
| テネリア(テネリグリプチン) | 通常20mg、1日1回。腎機能による減量不要 | 処方時に時刻を確認 |
量と時間の記載は各製品の電子添文(添付文書)に基づきます。週1回の2剤も前章の末期腎不全の量で用いられ、いずれも血液透析との時間関係は問わないとされています。
時間を問わない薬でも追加服用は不要
「血液透析との時間関係は問わない」とは、透析の前後で服用時刻を縛る必要がないという意味です。透析が終わったからといって薬を飲み足す指示ではなく、処方された1回量と回数に従います。
一方、オングリザは薬本体と、体内で変化した後も作用する成分が血液透析で取り除かれます。時間を問わないという飲み方は、そう明記された薬に限って当てはまります。
透析が始まるときに処方と予定をそろえる
透析を始める時期や透析日が変わる時期には、いつ飲むかまで含めた服用予定が必要です。透析の施設と糖尿病の処方元が異なる人は、双方へ同じ薬の情報を伝えておくと、処方の行き違いを減らせます。
お薬手帳と透析の予定を一緒に示し、透析日と透析のない日の服用量・時刻を確認しましょう。腹膜を利用して老廃物を取り除く腹膜透析を受けている人も、血液透析の時刻に関する説明を流用せず、自分の治療に沿った服用指示を受けます。
腎機能が落ちてもDPP-4阻害薬の血糖改善は期待できる
腎機能に合った量で使えば、DPP-4阻害薬は腎臓の病気がある人の血糖管理にも役立ちます。血糖が下がりすぎる低血糖を起こしにくい性質は、薬選びの利点になります。そのうえで、併用薬や食事の状態も含めて評価します。
減量後の効き目は血糖の経過で判断
中等度から重い腎機能低下がある2型糖尿病の人91人の試験では、腎機能に合わせて量を減らしたシタグリプチンで、12週後のHbA1cが0.6%低下したという報告があります1)。HbA1cは、採血で最近の平均的な血糖の状態を把握する指標です。
減量後は、薬の量が以前より小さいかどうかよりも、血糖がその人の目標に合っているかを見ます。十分な効果が得られないときは、腎機能別の上限や併用薬を踏まえて処方が見直されます。
SU薬との比較で示された低血糖の少なさ
中等度から重い腎機能低下がある2型糖尿病の人を対象とした比較では、シタグリプチンはグリピジドというSU薬と同程度の血糖改善を示し、低血糖は少ないという結果が得られています2)。SU薬は膵臓から血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌を促す薬です。DPP-4阻害薬は、腎臓の病気があって低血糖を避けたい人の選択肢になります。
ただし、SU薬やインスリンを一緒に使っている人は、その組み合わせ全体で低血糖に備えます。食事が取れない日の血糖も含めて評価するため、ほかの糖尿病薬も処方の見直しの対象になります。
透析中は検査値と実際の血糖を合わせて評価
透析中の効き目も、薬を飲めているかだけではなく、血糖がどのように推移しているかで評価します。検査ではHbA1cに加え、血液中のアルブミンというたんぱくに糖が結びついた割合を示すグリコアルブミンも使われます。
薬が変更された後の血糖記録や、食事が取れなかった日を残しておくと、量が合っているかを判断する材料になります。血糖が下がりすぎる場面や食事量の変化がある人は、記録を主治医に示して処方全体を相談しましょう。
腎臓への影響とDPP-4阻害薬を選ぶ目的
DPP-4阻害薬を使う主な目的は血糖の管理です。
腎機能が落ちた人でも使える性質と、腎不全への進行を抑える効果は、分けて考えます。
腎不全への進行を抑える効果は未確立
リナグリプチンの心臓・腎臓への影響を調べたCARMELINA試験では、これらの病気の危険が高い2型糖尿病の人6,979人で、腎臓の悪化はリナグリプチン群9.4%、偽薬群8.8%と差がなかったという報告があります3)。腎機能が低下した人を多く含む集団でも、腎臓の病気を増やさず使用できた結果と捉えられます。
DPP-4阻害薬全体として、腎臓の病気の進行を防ぐ効果は示されていません。血糖を管理する治療に加えて、腎臓の状態に応じた治療も主治医と相談しましょう。
尿たんぱくが減ることと腎機能を保つこと
尿たんぱくは、血液中に保たれるはずのたんぱくが尿へ漏れ出た状態を指します。その一種である尿アルブミンの変化は腎臓の状態を見る指標になりますが、血液をろ過する力そのものとは異なる情報です。
腎機能が低下し尿アルブミンが出ている人では、リナグリプチンで血糖が改善しても、尿アルブミンがはっきり減るとは確認されていません。尿の検査と血液の検査を組み合わせ、それぞれの変化を追っていきます。
- 血糖への作用 … 腎機能に応じた量でも改善を期待できる
- 腎機能への影響 … 腎臓の病気の進行を防ぐ効果は確立していない
- 尿アルブミンへの作用 … 血糖の改善と同じ程度の変化を期待する根拠は限られる
尿たんぱくが続く場合は、血糖が落ち着いていても、腎臓の評価を続けましょう。
薬選びでは血糖の管理と腎臓の治療を組み合わせる
腎臓を守る効果が確かめられている薬には、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬という別の種類があります。DPP-4阻害薬は、低血糖への配慮や腎機能に応じた用量を踏まえ、血糖管理を担う薬として選ばれます。
- 今の薬を続ける場合 … 検査値に合った用量と血糖への効き方
- 薬を替える場合 … 減量不要の薬にする利点と現在の併用薬
- 尿たんぱくがある場合 … 血糖管理に加えて必要な腎臓の治療
優先する項目は、量の調節が必要な人と、適量でも血糖が高い人で異なります。自分の処方が血糖と腎臓のどちらを目的としているか、検査結果と一緒に主治医と確認しましょう。
腎機能の定期検査を処方の見直しにつなげる
腎機能は、血液検査と尿検査を組み合わせて定期的に確かめます。検査を受ける間隔は、もともとの低下の程度や変化に合わせて一人ひとり決めます。
eGFRと血清クレアチニンと尿たんぱく
eGFRは、血清クレアチニンなどから推定した、腎臓が血液をろ過する力です。一般的な検査票では体の表面積1.73m²あたりの値が表示され、用量表にあるクレアチニンクリアランスとは指標が異なります。
| 検査 | 分かること | 処方との関係 |
|---|---|---|
| eGFR | 血液をろ過する力の推定値 | オマリグリプチンの減量基準などに使用 |
| 血清クレアチニン | 血液中に残る老廃物の量 | eGFRの計算や薬ごとの目安に使用 |
| 尿たんぱく・尿アルブミン | 尿へたんぱくが漏れている程度 | 腎臓の状態の評価に使用 |
薬の用量を決めるときは、検査の数字とあわせて、その数字が何を表しているかを見ます。
尿たんぱくが多いという結果だけで何mg減らすかは決まらず、各薬で指定された腎機能の指標を使います。
定期検査の間隔は腎機能の変化に合わせる
腎機能障害がある人では、定期検査で薬が出ていく力の変化を追います。ジャヌビア錠・グラクティブ錠の電子添文(添付文書)も定期的な腎機能検査を勧めており、毎月などと固定せず、値の推移を見ながら次の検査時期が決まります。
また、減量が不要なトラゼンタやテネリアを飲んでいても、腎臓の病気の経過を見る検査は続きます。薬の量が変わらない間も検査を続けておくと、腎臓の病気の変化に気づきやすくなります。
検査票とお薬手帳を同じ日に見返す
たとえば、ジャヌビアを飲んでいる人が診察で腎機能の低下を指摘されたら、帰宅後に錠剤を半分にするのではなく、診察の場で検査票とお薬手帳を開きます。eGFRしか載っていない場合も、その値をCrClの表に直接当てはめず、処方の判断に用いた指標を確かめます。
次回の受診には、日付の分かる検査結果と実際に飲んでいる薬の情報をそろえ、今の1回量・回数が腎機能に合っているかを主治医に確認しましょう。家族が薬を管理している場合は、変更前の薬と新しい薬が混ざらないよう変更日も共有すると、服用量の取り違えを防ぎやすくなります。
よくある質問
- Qジャヌビアを飲んでいてeGFRが30未満になったら、すぐ12.5mgに減らすのですか?
- A
eGFRの数字だけで、自分で12.5mgへ減らすことは避けてください。ジャヌビアの用量表はCrClを基準としており、CrClが30mL/min未満では通常12.5mgを1日1回、最大25mgを1日1回とされています。
検査結果を処方元に伝え、用量の判断に用いる腎機能の値と、変更が必要かを確認します。実際の変更量や開始日は、処方の指示に従います。
- Qトラゼンタやテネリアなら腎臓の検査は受けなくてもよいですか?
- A
腎機能による減量が不要でも、腎臓の状態を追う検査は必要です。薬の用量を決めるためだけでなく、腎機能や尿たんぱくの変化を把握するために、定期的な検査を続けます。
- Qエクアが朝夕から朝だけに変わったら、効き目は弱くなりますか?
- A
腎機能に合わせた変更であれば、回数が減っただけで効き目が弱くなるとは判断できません。エクアは中等度以上の腎機能障害や透析中では、50mgを1日1回朝にするなど慎重に使う薬です。
変更後は血糖の推移で効果を評価します。朝だけの処方に変わったら以前の夕の分は足さず、血糖記録があれば次の診察で見せましょう。
- Q透析が終わった後にDPP-4阻害薬を追加で飲む必要はありますか?
- A
透析後も、追加せずに処方どおりの量を飲みます。ジャヌビアなどの電子添文には、血液透析との時間関係を問わないと記載されています。
オングリザなど透析で取り除かれる薬もあるため、服用時刻の指示は薬ごとに異なります。指示が不明なときは透析の担当者や薬剤師へ薬の名前を伝え、次の服用時刻を確認してください。


