SU薬は今も2型糖尿病の治療で処方されている薬です。日本では処方が減ってきましたが、血糖を下げる力や費用面の長所があり、体の状態に合わせて選ばれています。
アマリールなどを長く飲んでいて、新しい薬の話を聞くと、今の治療を続けてよいのか気になるかもしれません。処方の良し悪しは薬の新旧ではなく、血糖の経過や低血糖の起こりやすさ、心臓・腎臓の病気などを合わせて判断します。
この記事では、SU薬の使われ方の変化、ほかの薬との違い、日本と米国・欧州で薬を選ぶ際に重視する点、今も治療に役立つ場面を解説します。
日本ではSU薬の処方が減ってきている
日本の処方データでは、SU薬からほかの薬へ選択肢が広がってきました。減少は使用禁止を意味せず、低血糖などに配慮して薬を選ぶ流れの中で捉えると分かりやすくなります。
アマリールなどは現在も使われる飲み薬
SU薬は、膵臓から血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌を促す飲み薬です。成分名と代表的な販売名は、グリメピリドがアマリール、グリクラジドがグリミクロン、グリベンクラミドがオイグルコンで、お薬手帳には成分名で載っている製品もあります。
今の薬がSU薬かどうかは、錠剤の色や大きさより、お薬手帳や薬の説明書にある名前で照合できます。グリニド薬もインスリンの分泌を促しますが、主に食後の血糖上昇に対応する別のグループです。
増えた薬と減った薬を期間と合わせて読む
SU薬の処方は2012〜2020年に減り、メトホルミンやSGLT2阻害薬の処方は増えました1)。一方、DPP-4阻害薬はこの期間の途中の2015年まで増え、その後は少し減っています。これらは、会社員とその家族を中心とする日本の保険加入者でみられた変化です。
| 薬のグループ | 2012〜2020年の処方の動き |
|---|---|
| SU薬 | 減少 |
| メトホルミン | 増加 |
| SGLT2阻害薬 | 増加 |
| DPP-4阻害薬 | 2015年まで増加し、その後は少し減少 |
この推移は保険加入者の処方を追ったもので、日本で処方の選択肢がどう変わってきたかという流れを示しています。
高齢の人では使用量にも変化がある
高齢の人の処方の変化は、SU薬を使うかどうかだけでなく、使う量にも表れています。SU薬の量が少なくなる一方で、DPP-4阻害薬の使用は増えていました2)。この変化を確認した対象は、2005〜2013年に年齢別に調べられた国内の約7600人の2型糖尿病の患者さんです。
高齢の人の処方は、少量で使われているものも含め、薬の名前だけでなく量まで見ると、治療の変化をより正確に捉えられます。
日本の治療指針は血糖と安全性を合わせて判断する
SU薬が処方されているという理由だけで、治療が適切でないとはいえません。薬を選ぶ際は、血糖を下げる効果に加え、安全に続けられるかを合わせて判断します。
薬を一律の順番だけで決める仕組みではない
2型糖尿病の薬を選ぶ際は、治療の判断を整理する道筋として「アルゴリズム」を使います。これは薬を選ぶ流れをまとめたもので、日本糖尿病学会が公表しています。その第2版でも、安全性への配慮が重視されています。
最初の薬は体の状態や併存する病気などを踏まえて選ばれます。SU薬についても「何番目なら正しいか」だけを探すより、その処方で何を改善し、どの不利益に気をつけるかを把握するほうが、診察の説明を理解しやすくなります。
効果と一緒に見るのは低血糖や体の状態
血糖が下がったという結果と、安全に続けられるという評価は、両方とも必要です。SU薬を候補にするときは、低血糖の起こりやすさや体重への影響を、血糖を下げる利益と並べて見ます。
- 血糖の経過 … 現在の値と治療目標との隔たり
- 安全性 … 低血糖を起こした経験や薬の量
- 併存する病気 … 心臓や腎臓の病気の有無
- 続けやすさ … 日々の食事や服薬、費用の負担
心臓や腎臓の病気があるときは、血糖の数値が似ていても優先される薬が変わります。安全性を確かめる作業は、新しい薬を追加する場面だけでなく、同じ処方を続ける診察にも含まれます。
電子添文に書かれた使用対象と選択の違い
アマリール錠を使う対象は、食事療法・運動療法だけで十分な効果が得られない2型糖尿病です。この条件は、薬の使用対象や注意点を定めた電子添文(添付文書)に記載されていますが、条件に当てはまることと、どの薬から使うかは別の判断になります。
薬が必要になった後も、生活に合わせた食事や運動の調整は治療の一部です。処方理由の説明を受けるときは、血糖をどこまで下げる狙いがあるのか、低血糖への配慮がどう組み込まれているのかを主治医に確かめましょう。
米国・欧州では心臓や腎臓への利益を重視
心臓や腎臓の病気の危険が高い人では、それらの臓器を守る働きが示された薬が重視されます。血糖を下げる力に加えて、病気の進行や入院への影響も、薬を選ぶ際の判断材料です。
持病があると薬を選ぶ理由が変わる
米国糖尿病学会と欧州糖尿病学会は、2型糖尿病の血糖管理について合同の提言を出しています。2022年の提言では、心臓や腎臓の病気の危険が高い人に、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬を重視する方針が示されています。
SGLT2阻害薬は尿に糖を出して血糖を下げる薬で、GLP-1受容体作動薬は血糖に応じたインスリン分泌などを助ける薬です。SU薬で血糖が下がるかという問いに、心臓や腎臓の病気を踏まえてどの薬を選ぶかという問いが加わります。
国内外の指針は重視する点を比べる
SU薬の位置づけは、薬の順位だけでは捉えられません。日本でも米国・欧州でも、血糖以外の体の状態や治療の負担を含めて薬を選ぶため、何を重視するかに注目すると違いを整理できます。
| 指針 | 重視する点 | SU薬の処方を読む視点 |
|---|---|---|
| 日本糖尿病学会 | 日本の診療での薬の選択と安全性 | 血糖への効果と安全に続ける条件 |
| 米国・欧州の合同提言 | 心臓・腎臓への利益、体重や生活の事情 | 持病に応じてほかの薬を優先する理由 |
また、薬の体重への影響も治療全体の中で評価されます。血糖が同じ程度に改善する候補があっても、体重を減らす必要がある人では、別の特徴が選択を左右します。
費用や続けやすさも選択に含まれる
費用などの事情で薬の選択肢が限られる場面では、SU薬を2番目の薬として使う選択が残ります。心臓や血管の病気がある人では新しい薬が優先されますが、SU薬にも、継続できる治療を組み立てるうえでの利点があります。
自分に合う薬は、持病や続けられる治療の条件に照らして考えます。医療の仕組みや使える薬は国によって違うため、海外で挙げられた薬の順番は、日本の処方を考える際の参考として読みます。
SU薬の強みは血糖を下げる力と長い使用経験
SU薬には血糖を下げる力が強く、長く使われてきたという長所があります。低血糖や体重への影響も含めて評価するため、長所があることと、誰にでも勧められることは同じではありません。
血糖を下げる効果と費用面の長所
SU薬は、インスリンの分泌を促して高い血糖を下げる働きを持ちます。値段の安さや長い使用経験も長所として挙げられ、血糖の改善が必要な場面で候補になります。
続けられる治療かどうかは、通院中の患者さんにとって大切な問題です。毎日の服薬を続けるうえでは、費用の負担も気になります。費用は薬の効果や安全性と並べて判断する材料になり、処方を選ぶ理由の1つになります。
長所だけでなく不利益を並べて評価する
SU薬の処方では、血糖を下げる利益に見合うかを、低血糖や体重増加の面からも評価します。低血糖は血糖が下がりすぎた状態で、起こりやすさは同じSU薬でも種類や量によって違います。
| 評価する点 | 長所または注意点 |
|---|---|
| 血糖への作用 | 血糖を下げる力が強い |
| 費用と使用経験 | 値段の安さと長い使用経験が長所 |
| 低血糖 | 種類や量によって起こりやすさが異なる |
| 体重 | 増加が治療上の負担になることがある |
血糖の値が下がっていても、低血糖を繰り返すなら、その治療を同じように続けてよいかを見直します。副作用への心配があるときも、現在得られている血糖への効果と、実際に起きている不利益を分けて整理します。
長く使う間には効き目の再評価が要る
SU薬は長期にわたって同じ効果が続くとは限らず、治療中の血糖の経過に応じて評価し直す薬です。使い始めには効いていても後に十分な効果が得られなくなる状態は「二次無効」と呼ばれます。
血糖が高くなったときは、薬の効き目だけでなく、生活や体の状態の変化も確かめます。処方を続けるかどうかは、薬の量だけでなく、血糖の推移や生活の変化を合わせて判断します。
心臓や血管への影響は薬の種類まで分けて読む
SU薬を一括りにして、心臓に安全とも危険とも言い切るのは適切ではありません。古い薬の報告、複数の薬をまとめた結果、成分ごとの比較は、それぞれ分けて読みます。
電子添文の注意はトルブタミドの報告
アマリール錠の電子添文には、古いSU薬であるトルブタミドを長期間使った場合、食事療法だけの場合より心臓・血管系の障害による死亡率が高かったという報告が記載されています。
この記載は、トルブタミドについて得られた結果です。今飲んでいるグリメピリドなどでも同じ危険が同じ程度にあると読み替えず、報告の対象となった成分と自分の薬の成分を分けて捉えます。
血管の病気と死亡では評価する結果が違う
SU薬やグリニド薬をほかの治療と比べた52週以上の試験の統合解析では、心臓・血管の大きな病気の明確な増加はみられなかった一方、全体の死亡がわずかに多い結果も報告されています3)。統合解析とは、複数の研究の結果をまとめて評価する方法です。
心筋梗塞や脳卒中などが起きたかと、原因を問わず死亡したかは、異なる結果を見ています。片方の結果だけで安全性全体を決めず、低血糖など日々の治療に直接関わる不利益も含めて判断します。
成分ごとの比較も断定には使わない
グリクラジドやグリメピリドでは、グリベンクラミドより死亡や心臓・血管に関する結果が少ない傾向がみられました4)。これは約16万7000人を含む18研究をまとめた比較で、普段の診療を追跡した観察研究が多くを占めます。
普段の診療を比べた結果には、薬の違いに加えて、もともとの病気の重さなども表れます。そのため、同じSU薬でも成分を区別して評価するための手がかりとして読みます。
心臓や血管への不安があるときは、お薬手帳を用意し、成分名とこれまでの持病を主治医に確認しましょう。薬の開始・中止や変更は、効果と危険を合わせて判断します。
2番目の薬は追加する目的に合わせて比べる
1つの薬だけで血糖の目標に届かないとき、SU薬は追加する薬の候補になります。選択を左右するのは血糖を下げる力だけでなく、低血糖への配慮や心臓・腎臓の病気への利益です。
追加前に目標との隔たりを整理する
2番目の薬を選ぶときは、今の治療で何が足りないのかを整理します。HbA1cは過去1〜2か月ほどの血糖の状態を反映する検査値で、現在の値と自分の治療目標の違いが、薬を追加する理由に関わります。
血糖を下げることが主な課題の人と、心臓や腎臓の病気への対応も必要な人では、薬に期待する利益が違います。追加の理由が分かると、SU薬を勧められた理由も、別の薬が候補になった理由も捉えやすくなります。
血糖以外の違いも含めた候補の比較
代表的な候補にはSU薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬があります。DPP-4阻害薬は、血糖に応じたインスリン分泌を助ける体内の物質の働きを長く保つ薬です。
| 薬のグループ | 血糖と低血糖 | 体重・心臓・腎臓の観点 |
|---|---|---|
| SU薬 | 血糖を下げる力が強いが、低血糖に注意 | 体重増加に注意し、持病への対応も別途評価 |
| DPP-4阻害薬 | 血糖に応じて作用し、単独では低血糖が起きにくい | 体重への影響は比較的小さい |
| SGLT2阻害薬 | 尿への糖排泄を増やし、単独では低血糖が起きにくい | 体重を減らす方向に働き、心臓や腎臓への利益も評価 |
ただし、ほかの薬と組み合わせると、低血糖の起こりやすさも変わります。併用中の安全性は、単独での特徴ではなく、処方全体を見て評価します。
臓器を守る利益と血糖への効果を分ける
成人の2型糖尿病を対象とする52週以上・500人以上の試験をまとめた解析では、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬で心臓や腎臓への利益が示され、SU薬との比較では重い低血糖も少ないとされています5)。
こうした利益は、心臓や腎臓の病気がある人の薬を選ぶうえで大切です。血糖値が下がるという共通点があっても、病気の進行や入院を減らす効果は薬ごとに分けて考えます。
薬を追加する説明を受ける際は、血糖を下げるためか、持病への利益も期待しているのかを確かめましょう。目指す利益が分かれば、服用後に何を評価するかも共有しやすくなります。
今もSU薬が役立つ場面と継続時の確認
血糖を下げる効果が必要で、低血糖への配慮や費用などの条件が合えば、SU薬は今も選択肢になります。処方が減っているという社会全体の流れと、現在の自分に合う治療かどうかは分けて判断します。
処方の候補として残る具体的な場面
SU薬が候補になるのは、期待する利益と負担が釣り合う場面です。新しい薬を使えるかどうかだけでなく、血糖の状態や継続のしやすさも選択に関わります。
- 血糖への効果を重視する場面 … 現在の治療で目標まで下がっていない状態
- 費用面も重視する場面 … 薬を継続する負担が選択に関わる状況
- 継続を評価する場面 … 現在の処方で効果が得られ、低血糖などの問題を認めていない状態
心臓や腎臓の病気への利益を優先すべき状況では、これらの理由があっても別の薬が重視されます。薬の選択は、長所がいくつあるかを数える作業ではなく、本人にとって大きい利益と危険を比べる判断です。
血糖が安定していても処方は定期的に評価する
今の処方で血糖が安定しているなら、その効果も継続を判断する材料になります。薬が古いという理由だけで中止したり量を変えたりせず、今の効果も踏まえて判断します。
一方、同じ薬を続けている間にも、体の状態や生活は変わります。以前は無理なく続けられた処方でも、低血糖の経験や持病の変化があれば、効果と安全性の釣り合いを評価し直します。
診察前に薬の名前と説明を結びつける
たとえば、アマリールを飲んでいる本人が、自宅で次の診察に持っていくお薬手帳と検査結果をそろえた場面を想像してください。検査結果にあるHbA1cと薬の名前を見ながら、前の診察以降に薬の量や体調が変わったかを書き添えると、処方の説明を受ける準備ができます。
主治医に尋ねる内容は、「今の薬で目指す血糖の目標」と「この薬を続ける理由」です。新しい薬の名前を覚えるだけよりも、自分の検査結果と治療の狙いをつなげることで、継続や変更の説明を受け止めやすくなります。
よくある質問
- QSU薬は今も処方されていますか?
- A
SU薬は今も2型糖尿病の治療に使われています。日本では処方が減ってきたものの、血糖を下げる力や費用面の長所を踏まえ、体の状態に合わせて選ばれています。
- Qアマリールを飲んでいると、古い治療を受けているのでしょうか?
- A
アマリールを飲んでいるだけで、治療が時代に合わないとはいえません。処方の適切さは、血糖への効果に加え、低血糖の有無や持病などを合わせて判断します。
今の処方が気になるときは、お薬手帳と検査結果を用意し、続ける理由を主治医に確かめましょう。薬の変更や量の調整は、診察で効果と安全性を評価したうえで判断されます。
- QSU薬の処方が減ったのは、使ってはいけなくなったからですか?
- A
使用が禁止されたからではなく、ほかの薬が広がり、低血糖や持病への利益も重視して選ぶようになってきたためです。処方の増減は集団の動きを示しており、個々の処方の良し悪しは、本人の状態に即して判断します。
- Q心臓の病気がある場合、SU薬を中止したほうがよいですか?
- A
心臓の病気があるという理由だけで、SU薬を自己判断で中止するのは避けてください。心臓への利益が示された薬を重視する場面はありますが、現在の血糖や処方全体を含めて判断します。
心臓の病気で新たに治療を受けた場合は、次の糖尿病の診察で病名と処方内容を共有すると、持病への利益を含めて治療を検討できます。
- Q2番目の薬にSU薬を勧められたら、何を聞けばよいですか?
- A
追加する目的と、低血糖への配慮を聞くと、選ばれた理由が分かりやすくなります。目標まで血糖を下げる効果を重視しているのか、費用や続けやすさも理由なのかが判断材料です。
過去に低血糖を起こした経験や心臓・腎臓の病気がある場合は、その情報も主治医に伝えましょう。薬の名前だけを比べるより、本人に必要な利益と注意点に沿った説明を受けられます。


