メトグルコ錠500mgを1日3錠にリベルサス錠7mgを1日1錠加えた例では、30日分の薬剤費は3割負担で3,296円です。内服薬にGLP-1製剤を加えたときの薬剤費は、残る飲み薬の種類と新しい薬の量で変わり、診察や検査などの費用はこの金額に加わります。

飲み薬だけの治療から変更を勧められ、毎月払い続けられるか気になっているときは、薬を1つずつ見るより、変更後の処方全体で見積もると負担がつかめます。

この記事では、内服薬とGLP-1製剤を併用した薬剤費の計算例、自己負担割合による違い、負担を抑えるために相談できる内容を解説します。

内服薬とGLP-1製剤を併用した月額の目安

3割負担の試算では、下の組み合わせの薬剤費は3,296〜4,561円です。現在の薬が残るのか、別の薬へ変更されるのかを踏まえて、処方全体を比較します。

3割負担では組み合わせ全体の金額を見る

GLP-1受容体作動薬は、食事に応じて血糖を下げる体内の働きを助ける糖尿病治療薬で、飲み薬と注射薬があります。下の表は、一緒に使うメトグルコなどの内服薬を含めた計算例です。

計算の前提は、内服薬が30日分、週1回の注射が4週分の4本です。メトグルコ錠500mgは1日3錠で計1,500mg、ほかの内服薬は1日1錠とした例で、実際の量は処方ごとに決まります。

組み合わせ薬剤費の全額3割負担
メトグルコ500mg+リベルサス7mg10,986円3,296円
メトグルコ500mg+トルリシティ0.75mg11,768円3,530円
メトグルコ500mg+マンジャロ5mg12,516円3,755円
メトグルコ500mg+フォシーガ10mg+リベルサス7mg15,204円4,561円
メトグルコ500mg+ダパグリフロジン10mg(後発品)+リベルサス7mg13,146円3,944円

マンジャロは、GLP-1に加えて血糖調節に関わる別のホルモンにも働きかける薬で、併用時の費用の例として載せています。表は、主治医から提案された組み合わせの負担を把握するための目安として使います。

1割・2割負担なら自分の割合の欄を使う

自己負担割合とは、保険診療の費用のうち窓口で自分が負担する割合です。薬が同じでも割合が違えば支払う額は変わるため、自分に適用される割合の欄を見ます。

組み合わせ(量・期間は前の表と共通)1割負担2割負担
メトグルコ+リベルサス1,099円2,197円
メトグルコ+トルリシティ1,177円2,354円
メトグルコ+マンジャロ1,252円2,503円
メトグルコ+フォシーガ+リベルサス1,520円3,041円
メトグルコ+ダパグリフロジン(後発品)+リベルサス1,315円2,629円

各負担額は薬剤費に割合を掛け、1円未満を四捨五入した数値です。実際の請求ではほかの費用や端数処理が関わるため、この額と会計の金額には差が出ます。

30日分と4週分は期間が異なる

表は内服薬30日分と注射4週分を足した試算で、暦どおりの毎月の支払額とは期間が異なります。注射を受け取る本数や処方日数が変われば、1回の会計も変わります。

支払いが増えた月は、薬の値段だけを見る前に、何日分の飲み薬と何本の注射を受け取ったかを照らし合わせると違いが分かります。次の受診までの薬をまとめて受け取る場合も、会計の合計と使う期間を合わせて捉えると、継続時の負担を把握しやすくなります。

薬価は1錠・1本を単位に決まる

薬価は、国が定める薬の公定価格です。1錠や1本の価格に使う数量を掛けるため、錠剤の単価と注射1本の単価だけでは月の負担を比べられません。

薬の名前に加えて規格と単位が必要

同じ商品名でも、含まれる成分量を示す「規格」が変わると価格が違います。薬袋やお薬手帳にある薬名の後ろのmgまで見ると、どの製品の価格を使うかが決まります。

薬と規格薬価の単位公定の薬価
メトグルコ錠500mg1錠10.8円
フォシーガ錠10mg1錠140.6円
ダパグリフロジン錠10mg(後発品)1錠72円
リベルサス錠7mg1錠333.8円
トルリシティ皮下注0.75mg1キット2,699円

価格は厚生労働省の薬価基準に基づく金額で、自己負担割合を掛ける前の値です。注射の「キット」は薬液と注入器などが一体になった製品の単位で、この表のトルリシティでは1回に1キットを使います。

単価から月額へ進むときは使用回数をそろえる

メトグルコ錠500mgは1錠10.8円でも、1日3錠を30日間使う例では薬剤費が972円になります。リベルサス錠7mgを1日1錠で30日間使う薬剤費は10,014円で、併用時は両方の費用を足します。

一方、週1回のトルリシティ0.75mgは、4本で10,796円です。毎日飲む薬と週1回使う薬では必要な数量が違うので、1回分の値段の印象だけで負担の大小を決めず、処方期間全体で比べます。

薬価と自己負担額を分けて読む

「薬剤費の全額」は、自己負担割合を掛ける前の額です。

保険診療の薬剤費を見積もるときは、まず処方された薬の全額を合計し、その後に自分の割合を当てはめます。

薬価の欄、自己負担の欄、会計の合計欄は、それぞれ示す範囲が違います。価格を調べて予想より高く感じたときも、どの範囲の金額なのかを分けると、必要な予算を取り違えにくくなります。

内服薬の組み合わせと処方量で変わる負担

もともとの飲み薬を続けてGLP-1製剤を追加すれば、その分の薬剤費が加わります。費用の増え方は、残る薬の種類と新しい薬の量で決まります。

追加する薬だけでなく残る薬も数える

メトグルコとリベルサスを使う例では3割負担が3,296円ですが、フォシーガ10mgも含む例では4,561円です。同じリベルサス7mgを使っていても、処方全体に何が含まれるかで月の薬剤費は変わります。

追加と説明された場合は継続する薬が費用に残り、変更と説明された場合は中止する薬の費用がその後の処方から外れます。薬が余っている移行中の会計と、処方が落ち着いた後の会計を分けると、今後も続く負担が見えやすくなります。

注射の本数が同じでも規格で金額が変わる

週1回という回数が変わらなくても、注射する量が増えると薬剤費が変わります。トルリシティを4週分、計4本使う例では、次のように規格による差があります。

注射の規格使用数量注射のみの薬剤費
トルリシティ0.75mg4週分・4本10,796円
トルリシティ1.5mg4週分・4本21,740円

この表は注射だけの全額で、併用する内服薬や自己負担割合を反映する前の費用です。導入時と継続時で量が変わる予定がある方は、量が変わった後の金額も見積もっておきましょう。

費用のために量や間隔を自分で変えない

薬の種類と量は、血糖や体の状態を踏まえて主治医が決めます。

低い規格の値段を見て自分で量を減らしたり、注射を使う間隔を空けたりすると、予定した治療から外れてしまいます。

処方された量での支払いが難しそうなときは、次の処方を受ける前に、続けられる予算を主治医に伝えましょう。量の変更について説明を受けていない方は、現在の処方を基準に費用を見積もり、使う量は処方どおりに保ちます。

薬代に見合うかは治療目標と照らし合わせる

費用に見合うかを判断するには、払う額だけでなく、その治療で目指す血糖や生活への影響を合わせて見ます。薬価の高さは、個人にとっての効果の大きさをそのまま示すものではありません。

支払い額と検査結果を別々に記録する

HbA1cは、過去の一定期間の血糖の状態を反映する血液検査の値です。治療を変更する前後の値を比べるときは、薬の量や実際に使えた状況も一緒に見て、費用を増やした後の治療を評価します。

効果を評価する中心は、目標に対する検査結果です。血糖の下がり幅は費用の表からは読み取れず、目標に届いている方と、使い続けても届いていない方では、同じ支払額でも処方を見直す理由が違います。

費用対効果は長期の健康も含む評価

費用対効果とは、かかった費用に対して、健康面でどれほどの利益が得られるかを評価する見方です。

薬代だけでなく、将来の合併症に伴う医療費や、健康に過ごせる期間まで含めて評価する方法があります。

また、血糖の目標に到達するために必要な薬剤費という見方もあり、1本の価格だけを比べる場合とは評価の軸が違います。こうした経済評価は集団を対象にした計算であり、自分の毎月の予算には、実際に処方される薬の見積もりを用います。

検査値と日々の使いやすさを並べる

治療を続けた結果と日々の負担の両方を並べると、次の受診で話す内容が具体的になります。比較するのは次のような点です。

  • 血糖の状態 … HbA1cなどの検査結果と目標との差
  • 合併症やほかの病気 … 心臓や腎臓などの状態を含む治療上の優先事項
  • 使いやすさ … 飲む時間や注射の扱いが生活に合うか
  • 負担の受け止め方 … 吐き気などの体調の変化と、継続できる支払額

同じ薬代でも必要な治療上の配慮は異なるので、価格だけで薬の順位を決めるより、自分にとって困っている点を先に整理します。

次の診察では、何を目標に薬を加えるのか、どの検査をいつ受けて継続を判断するのかを主治医と確かめましょう。

窓口では診察・検査などの費用も加わる

薬剤費の見積もりが分かっても、受診と薬の受け取りに必要な予算はそれだけでは決まりません。家計への影響は、医療機関と薬局で払う合計額で見ます。

薬代以外に加わる費用の内訳

受診時に行う診療や薬の受け取り方によって、次のような費用が加わります。すべての項目が毎回発生するわけではなく、検査を受けた月と処方が中心の月でも内訳は変わります。

  • 診察にかかる費用
  • 血糖などの検査にかかる費用
  • 薬の調剤や服薬の説明にかかる費用
  • 自己注射の指導や管理にかかる費用

薬剤費の表と実際の支払いを比べるときは、これらを含んだ合計額と薬代だけの額を分けて見ます。

会計が増えた月は明細の内容をたどる

支払いが前回より高くても、薬価が上がったとは限りません。処方日数が長くなったのか、検査が加わったのか、薬の規格が変わったのかで、翌月以降の予算の立て方も変わります。

たとえば、GLP-1製剤を追加した後に薬局の会計で予想を超えたと感じたら、帰宅後に明細書をお薬手帳と並べ、薬名・量・処方日数を見ます。医療機関の領収書も合わせ、次の受診で増えた項目を質問すると、負担の理由を把握しやすくなります。

家計では受診全体の支払いを見積もる

日本糖尿病学会という糖尿病診療の専門学会は、薬を選ぶ道筋を示すアルゴリズムで医療費を考慮すべき背景を示し、薬代以外も含む総医療費を重視しています。同学会の記載では、日本の初回処方後1年間の総医療費を背景の違いを調整して比べた調査で、GLP-1受容体作動薬が最も高い結果でした。

自分の会計額は、受診先での検査や併用薬を含めて見積もります。

高額療養費などの制度を利用できるかは、加入している保険の窓口で確かめましょう。

内服治療を続けるために費用の困りごとを伝える

毎月の負担が重いと感じたら、その金額も治療を決める際の情報になります。治療を続けるための土台は、処方された薬を無理なく受け取り、予定どおり使える状態です。

負担が重いと感じる段階で話してよい

効果を期待して勧められた薬でも、毎月の支払いを心配するのは自然です。費用の話をしてよいのか迷っていても、支払いが難しいという事情は、治療を続けるために主治医へ伝えてよい内容です。

費用の負担は、薬の受け取りを遅らせたり使用を控えたりする行動につながりえます。支払いのために通院や薬を途切れさせる前に、難しいのが初回の出費なのか、毎月続く負担なのかを伝えましょう。

飲み続けやすさには薬の数も関わる

日本の診療報酬データを使った観察研究では、薬の数などが飲み続けやすさに関わり、飲み続けられている人ほど血糖の状態がよい傾向が示されています1)。薬が増えた後に飲み忘れが起きているなら、費用の見積もりと一緒に、実際の服薬状況も整理しておきましょう。

見直したいのは薬の数そのものより、必要な薬を予定どおり使える処方になっているかです。普段どの薬が余るかを記録すると、使いにくい場面を具体的に説明できます。

飲み薬と注射は生活に合う使い方が違う

日本の2型糖尿病の方500人が薬の特徴の組み合わせを選んだ調査では、使い方や回数、吐き気のリスクが重く見られていました2)。薬を加えるときも、月額に加えて、毎日の生活に合う使い方かどうかを判断に含めます。

同じ成分でも飲み薬と注射で続けやすさが異なることがあり、飲み薬だから自分にも続けやすいとは限りません。仕事や食事の時間が不規則な方と、注射を扱うことに負担を感じる方では、困る場面が違います。

負担を抑える相談は処方全体から

費用の相談では、必要な治療を保ちながら処方全体を見直せるかを検討します。選択肢は、後発医薬品への変更や薬の整理。自分の治療内容でどれを検討できるかは、主治医や薬剤師と相談して決めます。

後発医薬品に変更できる薬があるか

後発医薬品は、先に販売された薬と同じ有効成分を含み、品質や効き目などの同等性が確認された薬で、ジェネリックとも呼ばれます。内服薬に変更できる製品があれば、併用するGLP-1製剤をそのまま使う場合でも、処方全体の薬剤費が変わります。

計算例では、メトグルコとリベルサスにフォシーガ10mgを組み合わせる3割負担は4,561円、ダパグリフロジン10mgの後発品を組み合わせる例では3,944円です。実際に変更できるかは、使っている製品や治療内容を踏まえて判断されます。

配合剤への変更と不要な重複の整理

配合剤とは、複数の有効成分を1錠にまとめた薬です。複数の病気の薬を含む研究のまとめでは、同じ成分を別々に飲むより、配合剤にすると飲み続けやすくなる傾向が示されています3)。

ただし、錠数が減っても薬剤費が下がるとは限らないため、変更後の薬価と量で見積もります。複数の処方がある方は、お薬手帳の情報をそろえると、成分の重複や現在使っている薬を把握しやすくなります。

受診時に伝える内容をそろえる

次の処方を決める場面では、薬の名前だけでなく、実際の支払額と使えている状況が分かると相談が進みます。持参する情報は次のような内容です。

  • 処方内容 … お薬手帳と、薬の規格・1日の量が分かる情報
  • 支払いの記録 … 医療機関と薬局の領収書・明細書
  • 家計の事情 … 毎月続けられる予算と、支払いが難しくなる場面
  • 使用状況 … 余っている薬や、飲み忘れ・注射の使いにくさ

優先するのは、薬価の安さより、必要な治療を続けられる形にすることです。

費用が気になるときは、後発医薬品の選択、薬の重複、処方の組み直しを検討できるか、主治医や薬剤師に相談しましょう。

よくある質問

Q
メトグルコとリベルサスを併用すると3割負担はいくらですか?
A

メトグルコ錠500mgを1日3錠、リベルサス錠7mgを1日1錠で30日分使う例では、薬剤費の3割負担は3,296円です。診察・検査・調剤などの費用は含まず、処方量が違う場合はこの金額をそのまま当てはめられません。

Q
GLP-1製剤を追加すると、今の支払いに表の金額が上乗せされますか?
A

併用の表は内服薬も含めた合計なので、現在の支払いにそのまま足す金額ではありません。今の薬が継続されるのか中止されるのかによって、変更後の薬剤費が決まります。

追加を勧められた際は、お薬手帳を使って継続する薬をそろえ、変更後の処方全体でいくらになるかを処方元や薬局で確かめましょう。

Q
薬代が高ければ、飲む回数を減らしてもよいですか?
A

費用を理由に、自分で飲む回数を減らすのは避けてください。処方された量を使えなくなると、予定していた血糖管理から外れるおそれがあります。

支払いが難しい場合は、薬が切れる前に主治医へ連絡し、続けられる予算を伝えて処方を相談してください。飲み残しがあるときも、薬名と残量を伝えると、次の処方を調整する際に役立ちます。

Q
薬局での会計が試算より高いときは何を見ればよいですか?
A

まず、明細書で薬の規格・数量・処方日数と、薬剤費以外の項目を見ます。試算は内服薬30日分、週1回の注射4週分を前提としているので、受け取った量が多ければその分の差が生じます。

量が同じでも違いが分からない場合は、明細書を見ながら薬局に内訳を尋ねましょう。医療機関で払った費用も合わせて記録すると、次の受診に必要な予算を立てやすくなります。

参考にした文献