細胞診検査は、細胞そのものを取り扱うことで病変の有無や性質を評価する医療手法です。微量の細胞サンプルから多角的な情報を導き出すため、疑わしい変化の早期把握に役立ちます。

必要に応じて染色や特殊な技術を用いる場合もあり、採取方法も多岐にわたります。

大規模な手術に伴う負担を回避しやすい点が特徴で、初期段階から症状と向き合いたいと考える方にとって、判断材料のひとつになります。

ここからは、細胞診検査を深く理解したい方に向けて、概要や具体的な染色法、検査手順などを段階的に紹介します。お近くの医療機関を受診するかどうか迷う際の基礎知識としてお役立てください。

細胞診検査の概要

細胞診検査とは、微量の細胞を採取して顕微鏡などで調べる診断手法のことです。早期段階の病変を捉えたり、採取の負担を軽減できたりする利点があります。

どの臓器や組織の細胞を対象とするか、どのように調べるかによって検査の進め方が変わります。以下では、細胞診検査が持つ基本的な考え方や、どのような疾病に対して活用されるのかを掘り下げます。

細胞診検査の基本的な考え方

細胞を直接観察することで、病変の有無や特徴を把握する方針をとります。顕微鏡観察下で正常な細胞と比べると、大きさや形状、核の濃度などに違いが生じることが多く、早期に病変の兆候を捉えられる可能性があります。

病変が小さい段階でも細胞レベルで異常が表面化することがあるため、早期発見や早期治療への一歩を踏み出しやすくなります。

臨床でどのように活用されるか

  • 病変の有無を精査するために活用
  • 腫瘍なのか炎症なのかの大まかな判別
  • 手術の適応を検討するときの補助
  • 治療方針を選択する材料の一部

細胞診検査は、がん細胞の早期発見だけでなく炎症性疾患の確認にも使われることがあります。血液の異常をチェックする方法のひとつとして利用される場合もあり、問題の所在を明確にする役割を担います。

対象となる疾患

さまざまな臓器に対して応用することができます。代表例としては、子宮頸部や肺、乳腺、甲状腺などがあります。呼吸器系に限らず、消化器系や泌尿器系、婦人科系など幅広い領域で細胞診検査を行う場合があります。

原因不明の腫瘤やしこりがあるとき、あるいは慢性炎症を疑う場面などで、スクリーニング的に行うこともあります。

メリットと注意点

細胞診検査のメリットは、組織を大きく切り取ることなく疑わしい細胞を観察できる点です。通常の採血よりも少し複雑なケースもありますが、比較的短時間で実施できることが多く、身体的負担が軽減されることがあります。

一方で、採取した細胞だけでは病変の存在部位や大きさをすべて反映できない場合があります。確定診断には追加で組織診断や画像検査などを組み合わせることも重要です。

診断の流れ

採取対象の決定から始まり、実際のサンプル採取、染色、顕微鏡観察、そしてレポート作成までが一般的な流れです。検査結果が出るまでの時間は、検査機関や手法によって異なります。

大まかに数日から1週間程度が目安になることが多いですが、特殊染色を行う場合はもう少し時間がかかる可能性があります。

次の内容に、細胞診検査と組織診断を比較した点をまとめます。いずれも必要に応じて活用することが大切です。

目的の違い採取の手軽さ分析対象
細胞診検査:細胞そのものの形態を評価サンプル採取が簡便な場合が多い細胞個々の特徴を重視
組織診断:組織構造を評価やや侵襲的手法の場合がある組織の構造全体を把握

主な染色法とその特徴

染色法は細胞診検査を支える重要な手段のひとつで、目的や状況に応じて使い分ける必要があります。染色は細胞の形状だけでなく、核や細胞質の特徴を明確にするうえで有用です。

ここではパパニコロウ染色やギムザ染色、免疫細胞化学染色、さらにフローサイトメトリーや細胞ブロック法に触れながら、それぞれの特性を見比べます。

パパニコロウ染色の特徴

パパニコロウ染色は、子宮頸部がん検診で広く用いられる方法として知られています。核と細胞質の染まり方にメリハリが出やすく、細胞の状態をより明確に見ることが可能です。

湿度や温度、染色時間の管理が大切で、標準化された手順を踏むことが再現性の高い結果につながります。特に子宮頸がんスクリーニングの領域で多くの知見が蓄積されてきました。

ギムザ染色の応用

ギムザ染色は、血液細胞の形態観察によく使われる方法ですが、その他の体液や細胞検査に応用する場合もあります。核や細胞質が多彩な色調で染まり、顆粒球やリンパ球、好酸球などの判別がしやすい利点があります。

血球系の細胞に限らず、炎症細胞なども判定が容易になるため、炎症の程度を把握したいときに採用されるケースがあります。

次のように染色法によって得られる情報は異なります。

染色法主な特徴主な用途
パパニコロウ染色染色性が安定しやすい子宮頸部細胞診、汚れの少ないサンプルでの観察
ギムザ染色好中球やリンパ球などの区別が明確になりやすい血液細胞の形態分析、炎症反応の評価

免疫細胞化学染色の意義

免疫細胞化学染色は特定の抗原・抗体反応を利用して、細胞表面や細胞質内に存在する分子を可視化する方法です。がんの種類や性質をより具体的に判断するために行うことが多いです。

例えば、ホルモン受容体の有無を調べるときや、細胞が特定のマーカーを持っているかどうかを確認したい場面で役立ちます。

標準的なヘマトキシリン・エオジン染色(H&E染色)だけでは見落としやすい分子情報を把握できるので、細胞診検査においても重要なポイントになります。

フローサイトメトリーと細胞ブロック法との比較

フローサイトメトリーは、細胞を流体中で1個ずつ通過させながら、光学的な特性や標識した抗体の蛍光強度などを測定する方法です。

数多くの細胞を短時間で解析でき、白血病やリンパ腫などでの細胞集団の性質を把握する場面で利用されます。

一方の細胞ブロック法は液状検体中の細胞を固めてブロック化し、組織片のように扱う方法です。追加染色などの多角的な観察を後から行いやすいという利点があります。

以下にフローサイトメトリーと細胞ブロック法の比較をまとめます。

手法処理の特徴得意な分野後からの追加検査
フローサイトメトリー流体中で細胞を1つずつ解析し、量的データを得る血液疾患、リンパ系の異常データ再解析は可能だが、固定された標本は残りにくい
細胞ブロック法液状検体を凝固させてブロック化し、組織に準じた切片を作成腫瘍の追加検討など複数の染色方法で再度観察可能

染色法の選択時のポイント

染色法の選択は、サンプルの種類や目的、疑われる疾患の性質によって変わります。可能な限り必要な染色を網羅することで、見落としを減らすことが望ましいです。

ただし、複数の染色法を同時に行う場合は検査費用や時間的コストも考える必要があります。担当医や病理専門医と相談しながら、状況に合った検査方法を選ぶことが大切です。

次の箇条をもとに染色法の選択に影響を与える要素を列挙します。

  • 疑われる疾患の種類(がん、炎症など)
  • サンプルの性質(血液、尿、体腔液など)
  • 検査に要する費用と時間
  • 後から追加で必要になる検査の見通し
  • 検査実施施設の設備や技術

染色法は一度に複数用いることもあります。効率だけでなく正確性や再検のしやすさも見極め、納得のいく選択をすることが望ましいです。

具体的な検査手順と流れ

細胞診検査を実施する場面では、実際のサンプル採取から染色、観察、報告にいたるまで段階がいくつかあります。短時間で終わるケースもあれば、サンプル採取がやや複雑になる場合もあります。

以下では主な流れを段階的に説明し、フローサイトメトリーのワークフローにも触れます。

サンプル採取時の一般的な流れ

身体のどこから細胞を採るかは疾患が疑われる部位によって異なります。呼吸器系の場合は痰を提出したり、内視鏡で採取したりすることが多いです。婦人科系では、子宮頸部から擦過して得た細胞を使います。

針を使った穿刺吸引で得る方法もあり、甲状腺や乳腺などにできた結節に対し、細い針を刺して細胞を吸い出します。痛みが気になる場合もあるため、事前にどのような手順で行うか医師と相談すると安心です。

下の項目はサンプル採取に対する主な方法です。

採取部位主な採取方法具体例
呼吸器系痰、気管支鏡下採取肺がんの疑い、慢性炎症の評価
婦人科系子宮頸部擦過、膣分泌物子宮頸がん検診
甲状腺など穿刺吸引甲状腺結節、乳腺のしこりなど
消化器系内視鏡下ブラッシング食道・胃・大腸などの粘膜病変
腹水・胸水体腔液の採取肝硬変や悪性腫瘍による腹水・胸水など

標本作製のプロセス

採取した細胞をそのまま検鏡するのではなく、まずはガラススライドなどに塗布して固定液で固定します。固定後、染色工程に移行し、パパニコロウ染色やギムザ染色など適切な方法を用いて細胞の特徴を鮮明にします。

免疫細胞化学染色が必要な場合は、二次抗体や発色基質を加えて特定の抗原反応を可視化します。標本作製の工程が不十分だと染色不良やアーチファクト(見かけ上の偽像)が生じやすくなるため、慎重な取り扱いが大切です。

検査機器の活用

顕微鏡を用いて細胞の形態を直接観察するだけでなく、デジタル画像解析システムを併用することがあります。

医療機関によっては、自動スクリーニング装置が採用される場合もあり、数多くのスライド標本を短時間で走査して疑わしい領域をマーキングする仕組みが導入されることもあります。

ただし、最終的な診断には専門家による目視確認が重要です。

次の一覧に、主な検査機器や補助ツールを挙げます。

  • 光学顕微鏡(明視野、位相差など)
  • デジタル顕微鏡システム
  • 自動スクリーニング装置
  • 蛍光顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡
  • 画像解析ソフトウェア

機器が進歩しても、最終判断においては熟練の専門家の評価が欠かせないという点が重要です。

診断レポートの読み方

細胞診検査の診断レポートには、検査方法や検出された細胞の特徴、疑われる病変の可能性などが記載されます。

具体的には「陰性」「疑陽性」「陽性」などのカテゴリーに加え、異型度や所見の詳細が示される場合もあります。疑いが強いとされるときには、追加検査として組織生検や画像検査がすすめられることがあります。

結果を正しく理解するためには、主治医に不明点を質問することが大切です。

下に診断レポートに含まれる主な項目例をまとめました。

項目内容
サンプル採取方法痰、穿刺吸引など
染色法パパニコロウ染色、ギムザ染色など
細胞の異型度正常〜高度異型を含む評価
追加コメント再検査の要否、組織生検の推奨など
総合判断陰性、疑陽性、陽性などで表示する

フローサイトメトリーのワークフロー

フローサイトメトリーは、主に血液系やリンパ系の異常を解析するのに適しています。抗体で標識した細胞をレーザー光で励起し、発せられる蛍光信号を検出して解析します。

白血病やリンパ腫などでは細胞表面マーカーの有無が診断に役立ちます。

ワークフローは、大まかに次の通りです。

  1. 抗体で標識した細胞を専用の装置に通す
  2. 細胞1個ずつにレーザー光を照射
  3. 散乱光と蛍光を検出し、解析ソフトでグラフ化
  4. 異常な細胞集団があるかどうかを評価

フローサイトメトリーは短時間で多数の細胞を評価できる点が利点ですが、ブロック化された標本を後から染色するといった用途には向いていません。

細胞ブロック法との違いを踏まえ、必要に応じて組み合わせることも選択肢に含まれます。

細胞診検査と他の検査手法との違い

細胞診検査は、組織診断や画像検査と比較して採取が容易なケースが多い一方、構造情報が少ないといった特有の特徴があります。

ここでは、細胞診検査が持つ強みや限界を再確認し、組織診断や画像検査とどう補完し合うのかを掘り下げます。

細胞診検査の強み

細胞診検査の強みは、身体への侵襲が比較的小さい点と、早期病変の兆候を拾いやすい点です。微量の細胞からでも異型を捉えることができ、短期間で結果が判明する場合もあります。

また、血液や体腔液といった液状のサンプルだけでなく、擦過や穿刺吸引などの方法で広範囲の臓器を対象にできる柔軟性があります。

次の項目は細胞診検査の利点に関するまとめです。

利点内容
採取時の身体的負担が少ない穿刺針が細い、または痰や尿など自然排出物を利用する場合が多い
早期段階の異常を捉えやすい細胞レベルのわずかな変化も評価が可能
短時間で実施可能染色や検鏡の手順が比較的シンプルで、同日中に確認できる施設もある場合がある

組織診断との比較

組織診断は、病変部の組織を切り取って、その構造全体を観察する方法です。細胞診検査と比較して得られる情報量が多く、がんの種類や浸潤度など詳しく評価できます。

その一方で、大きな組織片を採取するため、侵襲が大きくなることがあります。細胞診検査で疑陽性や陽性が出た場合に、最終確定のために組織診断が行われるケースも多いです。

画像検査との併用

CTやMRI、超音波などの画像検査は、身体の内部構造を断面的に把握できます。病変の大きさや場所を把握したり、他の部位への転移を調べたりするうえで重要です。

ただし、画像検査だけでは細胞の性質を直接確認できないため、細胞診検査と併用することが多いです。画像下ガイド生検や超音波ガイド穿刺吸引など、画像検査のサポートを利用して採取精度を高める手法もあります。

短いまとめとして、画像検査と細胞診検査の相互補完関係を示します。

検査種別得意とする情報不得意とする情報
画像検査病変の位置・大きさ・形状細胞レベルの性質
細胞診検査細胞の形態・構造的特徴病変の正確な広がりや組織構造

検査の限界

細胞診検査が示す結果が「陰性」でも、病変が存在しないとは言い切れない場合があります。採取した細胞が病変部をうまく含んでいないと見落とすリスクがあるからです。

また、疑陽性や擬陽性と判断された場合もあり、追加の組織診や画像検査が必要になることがあります。1つの検査だけで確定診断に至らず、複数の方法を組み合わせる必要がある点を理解しておくことが大切です。

検査結果の活用方法

細胞診検査の結果は、主治医の所見や既存の画像検査結果と照合され、総合的に判断します。陰性だから何も問題ないと思い込まず、疑いが拭えない場合は再検査や別の検査を検討することが望ましいです。

特に、経過観察が必要とされる病変では定期的に細胞診検査を繰り返すことが有効なケースもあります。

以下の項目に、検査結果を踏まえた行動の一例を示します。

  • 陰性と判断されたが症状が続く場合は、医師に経過観察の必要性を相談する
  • 疑陽性や陽性と報告されたら、組織生検など追加検査の相談をする
  • 検査結果を別の専門医の意見と突き合わせたい場合は、紹介状を用いてセカンドオピニオンを検討する

具体例に基づく理解

これまでに紹介した染色法や検査手法を、実際にどのような場面で使うのかを想像できると理解が深まります。

子宮頸部や血液系の例、免疫細胞化学染色を用いる場面などを挙げることで、それぞれの検査の目的や得られる情報を整理します。

パパニコロウ染色を用いる子宮頸部の例

子宮頸部擦過による標本は、パパニコロウ染色を行う代表的な場面です。子宮頸部がん検診では、多くの自治体が導入している方式で、核の大きさや形状、細胞質との比率を評価します。

早期の段階でも細胞異型が認められやすいため、がんや前がん病変の発見に貢献する方法です。検診を定期的に受けると、リスクの高い病変が比較的早期に見つかる可能性があります。

以下に、子宮頸部の細胞診で見られる主な所見の目安を並べます。

所見レベル傾向主な対処
NILM(正常範囲内)明らかな異型なし定期的な検診
ASC-US軽度の異型疑いHPV検査の追加や経過観察を検討
LSIL軽度扁平上皮内病変追加検査やHPV検査によるリスク評価
HSIL高度扁平上皮内病変組織診断などさらに詳しい検査
癌を疑う明らかな異型が顕著即時的な精密検査、治療方針の協議

ギムザ染色が有用な血液細胞の例

ギムザ染色は、血液標本の染色で頻繁に使われます。白血球の種類(好中球、リンパ球、好酸球、好塩基球、単球)を判別しやすく、白血病やリンパ腫などの血液疾患のスクリーニングにも役立ちます。

赤血球の形態や凝集の有無を確認する場合にも用いることがあります。炎症性疾患や寄生虫感染症の疑いがあるときにも重宝します。

ギムザ染色で見られる血液細胞の区別をまとめます。

細胞種別見え方の特徴主な意義
好中球細胞質がピンク〜薄紫色、核が分葉している細菌感染などで増加する
リンパ球小型で核が丸く濃い紫色ウイルス感染や免疫反応で重要
単球核が腎臓型、細胞質が灰色がかった青色マクロファージに分化する前の段階
好酸球顆粒が赤〜橙色に染まる寄生虫感染やアレルギー反応で増加
好塩基球顆粒が濃い青紫色アレルギーや炎症反応

免疫細胞化学染色を取り入れる病変特定

免疫細胞化学染色は、細胞表面マーカーやホルモン受容体の発現状況などを可視化するため、がんの種類を詳細に分類する際に有用です。

例えば、乳がんの場合はホルモン受容体(ERやPR)やHER2タンパクの発現状態を確認することで、治療の方向性を議論しやすくなります。

細胞診標本でも細胞ブロック法などを組み合わせると、必要に応じて免疫染色を追加で行う道が開けます。

次の点に着目すると、免疫細胞化学染色の使いどころが明確になります。

  • 疑わしい病変が、どの細胞系列に属するか知りたい場合
  • 特定のマーカー発現をもとに治療薬を選択する可能性がある場合
  • 良性・悪性の境界がはっきりしないときに追加情報が必要な場合

フローサイトメトリーによる細胞表面マーカー解析

フローサイトメトリーでは、白血病やリンパ腫が疑われる際に複数のマーカーを同時に測定します。CD3やCD19などのマーカーがどの程度発現しているかをグラフ上にプロットし、異常な細胞集団を特定します。

この方法は少量のサンプルで多角的な解析が可能というメリットがあります。ただし、細胞を生きた状態で評価する必要があるため、適切な輸送と迅速な検査実施が欠かせません。

細胞ブロック法を使った追加検証

体腔液や穿刺液を固形化して標本を作る細胞ブロック法は、形態観察だけでなく免疫染色や特殊染色を後から追加できる点が魅力です。

疑わしい細胞の存在を確認したうえで、確度を高めるために利用するケースが増えています。限られたサンプル量の中で情報を最大限に引き出すために、細胞ブロック法を活用するアプローチは重要とされます。

次に、細胞ブロック法が求められることが多い理由の一部を並べます。

  • がんの種類を特定するために免疫染色を行う必要がある
  • 通常の塗抹標本では染色後にサンプルが失われやすい
  • 体液由来の細胞を複数回にわたって再検したい

よくある質問

細胞診検査を検討する方は、費用や痛み、結果の正確性など、さまざまな不安を抱えることがあります。以下では、よく寄せられる問いを取り上げ、できるだけ分かりやすく解説します。

不明点や心配が残る場合は、医師や専門スタッフに直接相談すると安心です。

Q
検査時に痛みはあるのか
A

採血程度の軽い痛みで済む場合が多いですが、穿刺吸引などではチクッとした感覚を覚えることがあります。針を使わない場合は痛みが少ないです。

子宮頸部の擦過は、生理痛のような軽い違和感を覚える人もいます。強い痛みが続くようであれば、必ず医療スタッフに伝えてください。

Q
検査結果が出るまでの期間
A

検査方法や医療機関によって変わります。早ければ数日、染色法や追加検査が必要なら1週間以上かかることもあります。フローサイトメトリーなどで緊急性の高い場合は、比較的早く結果がまとまることがありますが、状況に応じて異なるので担当者に確認が必要です。

次の一覧に、主な検査方法と結果報告までのおおよその日数の例を示します。

  • パパニコロウ染色:2〜5日
  • ギムザ染色:2〜3日
  • 免疫細胞化学染色:5〜7日
  • フローサイトメトリー:数日〜1週間
  • 細胞ブロック法:1〜2週間

結果が出るタイミングを事前に把握すると、診察予約などの段取りをつけやすいです。

Q
検査結果の信頼性
A

細胞診検査の信頼性は、採取手技の正確さや標本作製のクオリティ、染色技術、そして専門家の読影力に左右されます。複数の検査を組み合わせれば、全体の診断精度が高まる傾向にあります。

ただし、疑陽性や陰性の取りこぼしが生じる可能性はゼロではありません。症状が持続していたり、経過があまり良くなかったりする場合は、医師と相談して追加検査を検討するとよいでしょう。

Q
再検査の必要性
A

細胞診検査で「疑陽性」または「判定困難」となったときや、症状と検査結果が合わないときには再検査が提案されることがあります。

検体量が少ない、採取時期が合わなかったなどの理由も考えられます。再検査を拒否した場合、病変を見逃すリスクが高まる可能性があるため、自身の状況に応じて医師とよく話し合うことが大切です。

次に、再検査となる代表的なケースをまとめます。

ケース理由対応策
採取量が不足して十分な観察ができない標本に細胞がほとんど含まれていない追加採取で再度検査を行う
染色結果が不良で評価が困難固定不十分や染色ムラなど改めて標本を作り直す
疑陽性または判定困難はっきり悪性と断定できない場合組織生検や追加の画像検査を検討
症状が悪化または継続している検査結果と臨床症状が食い違う再検査か、他の検査を併用して評価する
Q
疑問を感じたときの相談先
A

疑問や不安を感じたときは、主治医や看護師、病理専門医などに質問するのが安心です。検査の受託先や、地域の医療相談窓口を利用できる場合もあります。

説明を聞いても分からない点がある場合は、メモをとるなどして改めて確認すると情報を整理しやすくなります。納得のいくまで説明を受けることは、患者として当然の権利です。

以上

参考にした論文