肝硬変と診断されてから「急に血糖値が下がって冷や汗が出た」「夜中にふるえて目が覚めた」という経験はありませんか。肝臓は血糖値を安定させる臓器であり、機能が落ちると低血糖を起こしやすくなります。
とくに夜間は食事の間隔が長くなるため、肝硬変の患者さんは危険な低血糖に陥るリスクが高まります。この記事では、低血糖がなぜ起こるのか、どう防げばよいのかを丁寧に解説し、就寝前の補食(LES)という具体的な対策をお伝えします。
正しい知識を身につけることで、毎日の不安を少しでも軽くしていきましょう。
肝硬変で低血糖が起こりやすくなるのは肝臓の「糖を蓄える力」が弱るから
肝硬変によって肝臓が線維化すると、ブドウ糖をグリコーゲンとして蓄え、必要なときに血液中へ放出する能力が大幅に低下します。その結果、空腹時や夜間に血糖値が急激に下がりやすくなるのです。
健康な肝臓が血糖値を安定させている仕組み
わたしたちの体は、食事をとると腸から吸収されたブドウ糖を肝臓に取り込み、グリコーゲンという形で貯蔵します。食後2〜6時間ほど経つと、肝臓がグリコーゲンを分解してブドウ糖に戻し、血液中に送り出すことで血糖値を保っています。
さらに長時間食べないときは、肝臓がアミノ酸や乳酸などを材料にブドウ糖を新しく作り出す「糖新生」も行います。つまり肝臓は「血糖の貯金箱」であると同時に「ブドウ糖の工場」でもあるのです。
肝硬変になると貯蔵も糖新生もうまくいかなくなる
肝硬変では正常な肝細胞が線維組織に置き換わるため、グリコーゲンを十分に蓄えられなくなります。グリコーゲンの貯蔵量が減れば、空腹時に放出できるブドウ糖も少なくなるでしょう。
糖新生に必要な酵素の働きも落ちるため、長時間の絶食に耐える力が弱まります。加えて、肝硬変に伴う栄養不良で糖新生の材料となるアミノ酸自体が不足しがちになり、血糖値の維持がいっそう困難になります。
肝硬変で血糖値が下がりやすくなる主な要因
| 要因 | 影響 | 結果 |
|---|---|---|
| グリコーゲン貯蔵の減少 | 空腹時にブドウ糖を放出できない | 低血糖を招く |
| 糖新生能力の低下 | 長時間の絶食に対応できない | 夜間や早朝に危険 |
| 栄養不良 | アミノ酸などの原料が不足 | 糖新生がさらに低下 |
| インスリン代謝の変化 | 肝臓のインスリン分解力が落ちる | 血中インスリン過多 |
アルコール性肝硬変ではさらにリスクが高まる
アルコールは糖新生に関わる酵素を直接阻害するため、飲酒習慣のある肝硬変患者さんは低血糖のリスクがとりわけ高くなります。飲酒後に肝臓のブドウ糖産生量が減少し、空腹と重なると急激な血糖低下につながることもあります。
非アルコール性脂肪肝由来の肝硬変やウイルス性肝炎由来の肝硬変でも同様のリスクは存在しますが、アルコール性の場合はとくに注意が必要です。
肝硬変患者の低血糖はどれくらい多い? 研究データが示す驚きの頻度
肝硬変患者における低血糖の頻度は一般に考えられている以上に高く、入院中の患者では約半数に低血糖が認められたという報告もあります。糖尿病の有無を問わず血糖管理への注意が求められるといえるでしょう。
肝硬変患者の約半数に低血糖が見られるという報告
パキスタンの病院で実施された研究では、Child-Pugh分類Cの肝硬変患者196名を対象に、内視鏡検査前の6時間絶食後の血糖値を測定しました。その結果、48%の患者に低血糖が確認されています。
低血糖の発生は罹病期間が長い患者ほど多く、肝機能の程度と関連していたと報告されています。この数字は、肝硬変患者にとって低血糖がまれな合併症ではなく、ありふれた問題であることを示しています。
糖尿病を合併した肝硬変患者はさらに危険
台湾の大規模コホート研究では、2型糖尿病を持つ肝硬変患者は、肝硬変のない糖尿病患者と比べて重症低血糖のリスクが約2.7倍高いことが明らかになりました。糖尿病の治療薬、とくにインスリンやSU薬を服用している場合、肝臓の薬物代謝能が落ちているために薬の効果が強く出すぎてしまう恐れがあります。
門脈圧亢進によるシャント血流の増加も薬物の血中濃度を高める原因のひとつで、肝臓と糖尿病の双方を考慮した投薬管理が大切です。
低血糖は入院中の死亡率とも関連する
肝硬変で入院中に低血糖を起こした患者は、血糖値が正常だった患者よりも死亡率が高いという研究もあります。低血糖は単なる一時的な症状で終わらず、循環不全や意識障害を引き起こし、全身状態を急速に悪化させるリスクをはらんでいます。
だからこそ、日頃から低血糖を「予防する」という意識を持つことが大切なのです。
| 対象 | 低血糖の頻度・リスク | 出典の特徴 |
|---|---|---|
| Child-Pugh C 肝硬変患者(196名) | 48%に低血糖あり | 横断研究(パキスタン) |
| 2型糖尿病+肝硬変(約1.8万名) | 重症低血糖リスク約2.7倍 | コホート研究(台湾) |
| 急性非代償性肝硬変(312名) | 低血糖群で死亡率上昇 | 後ろ向き研究(スイス) |
なぜ夜間に低血糖が起きやすいのか? 「飢餓に近い状態」を生む長い絶食時間
夕食から翌朝の朝食までは1日のなかでもっとも絶食時間が長く、健康な人でも軽い飢餓に近い代謝状態になります。肝硬変の患者さんではこの影響が大幅に増強されるため、夜間の低血糖が深刻な問題になります。
健康な人の12時間絶食と肝硬変患者の12時間絶食は別物
健康な肝臓は十分なグリコーゲンを蓄えているため、一晩の絶食程度で血糖値が危険水準まで下がることは通常ありません。ところが肝硬変患者の肝臓はグリコーゲンの蓄えが少なく、夕食後わずか数時間で蓄えを使い果たすケースもあります。
研究では、肝硬変患者が一晩絶食すると、健康な人が2〜3日間食事を絶った場合と同じような代謝変化を示すと報告されています。つまり、わずか一晩でも体にとっては「本格的な飢餓」に等しいのです。
夜間は脂肪の分解が進み、筋肉のたんぱく質も消耗する
グリコーゲンが枯渇すると、体はエネルギー源を脂肪とたんぱく質に切り替えます。呼吸商(RQ)と呼ばれる指標が低下し、炭水化物ではなく脂肪が主なエネルギー源になっている状態が確認されます。
夜間絶食中に体内で起きている変化
| 変化 | 健康な人 | 肝硬変患者 |
|---|---|---|
| グリコーゲン消費 | 翌朝まで持続 | 数時間で枯渇 |
| 脂肪分解の亢進 | 穏やか | 著明に増加 |
| 筋肉たんぱく質の分解 | わずか | 加速(サルコペニアの原因) |
| 呼吸商(RQ) | 0.85前後 | 0.80以下に低下 |
夜間低血糖の症状を自覚できないケースも多い
夜間の低血糖は、冷や汗・動悸・ふるえといった典型的な症状で目が覚める場合もあれば、熟睡中にまったく気づかないまま朝を迎えることもあります。後者を「無自覚性低血糖」と呼び、低血糖を繰り返すうちに体の警告システムが鈍くなることで起こるとされています。
朝起きたときにひどいだるさや頭痛を感じる、寝汗がひどいといった場合には、夜間低血糖を起こしている可能性を疑ってみてください。
就寝前の補食(LES)は夜間の飢餓状態を防ぐ有効な手段
就寝前に少量の補食をとるLES(Late Evening Snack)は、夜間の長い絶食時間を短縮して血糖値の急降下を防ぐ方法として、国内外のガイドラインでも推奨されています。200kcal前後の軽い食事を就寝1時間ほど前にとるだけで、体のエネルギー代謝が改善することが研究で確認されています。
LESとは何か? 就寝前に200kcal程度の補食をとること
LESは「Late Evening Snack」の略で、日本語では「就寝前補食」「夜食療法」などと呼ばれます。夕食から翌朝の朝食までの絶食時間を短くすることが目的で、就寝の約1時間前に200〜210kcal程度の軽い食事をとります。
入院患者だけでなく外来患者でも取り入れやすい方法であり、特別な器具や薬を必要としない点が大きな利点です。
複数のメタ分析がLESの血糖安定効果を裏付けている
2023年に発表されたメタ分析では、LESを導入した肝硬変患者は空腹時血糖、空腹時インスリン、HbA1cのいずれも改善したと報告されています。とくに2か月以上の継続で効果が大きくなる傾向があり、短期間で終わらせず習慣として続けることが望ましいでしょう。
別のメタ分析でも、LESによって呼吸商が上昇し、脂肪の分解が抑えられて炭水化物の利用率が増えるというデータが示されています。体が「飢餓モード」に入るのを防いでくれるわけです。
LESは栄養状態とQOL(生活の質)の改善にもつながる
LESの効果は血糖コントロールだけにとどまりません。血清アルブミン値やプレアルブミン値の上昇、つまり肝臓のたんぱく質合成力の回復も報告されています。
さらに、12か月間LESを続けた患者群では、LESを行わなかった群と比較して精神面のQOLスコアが良好に維持されたという研究もあります。食事を一つ加えるというシンプルな対策が、体と心の両方を支える力を持っているのです。
| LESの効果 | 具体的な改善点 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 血糖コントロール | 空腹時血糖・HbA1cの低下 | 2か月以上で効果増大 |
| エネルギー代謝 | 呼吸商の上昇、脂肪分解の抑制 | 1週間で変化あり |
| 栄養状態 | アルブミン・プレアルブミンの上昇 | 数週間〜数か月 |
| QOL | 精神面スコアの維持 | 6〜12か月の継続 |
LESには何を食べればいい? 分岐鎖アミノ酸と炭水化物を上手に組み合わせる
LESの内容は「何でも200kcal食べればよい」というわけではなく、炭水化物と分岐鎖アミノ酸(BCAA)をバランスよく含む食品が効果的です。具体的な食品の選び方を知っておくと、毎日の実践がぐっと楽になります。
炭水化物50g程度を目安にすることが勧められている
欧州臨床栄養代謝学会(ESPEN)のガイドラインでは、肝硬変患者のLESとして約50gの炭水化物を含む補食が推奨されています。おにぎり1個(約180g)でおよそ40〜50gの炭水化物を摂取できるため、手軽な目安になるでしょう。
炭水化物はグリコーゲンの原料になるため、夜間の糖新生への負担を軽減し、筋肉のたんぱく質分解を抑えてくれます。
BCAA入り栄養剤を活用する方法もある
- BCAA顆粒やBCAA配合の栄養補助食品を就寝前に摂取する
- おにぎりやクラッカーにBCAAを組み合わせて栄養バランスを調整する
- 糖質量が気になる場合は低GI食品を選ぶことで血糖の急上昇を防ぐ
BCAAはロイシン・イソロイシン・バリンの3種類のアミノ酸の総称で、肝硬変患者で不足しがちな栄養素です。BCAAを夜間に補うことでフィッシャー比(BCAA/チロシン比)が改善し、肝性脳症のリスク軽減にもつながるとされています。
市販のBCAA含有ゼリーや、医師から処方される肝不全用経腸栄養剤などが選択肢になりますので、主治医や管理栄養士に相談してみてください。
耐糖能障害がある場合はLESの内容に配慮が必要
肝硬変患者の約70%には耐糖能障害(血糖値が上がりやすい体質)があるといわれています。LESとして糖質の多い食品を一度にとると、就寝前に血糖が急上昇してしまう懸念があります。
ある研究では、α-グルコシダーゼ阻害薬(食後の血糖上昇を緩やかにする薬)をLESと併用することで、血糖の乱高下を防ぎながらエネルギー代謝を改善できたと報告されています。耐糖能障害が強い場合には、LESの導入前に75gブドウ糖負荷試験(OGTT)を行い、医師の指導のもとで内容を調整することが望ましいでしょう。
低血糖の症状を見逃さない! 早朝の体調不良は夜間低血糖のサインかもしれない
低血糖は症状の出方に個人差が大きく、とくに夜間は自覚しにくいのが問題です。「なんとなく朝がつらい」「寝起きに頭がぼんやりする」という訴えの裏に低血糖が隠れている場合があるため、典型的なサインを知っておきましょう。
冷や汗・ふるえ・動悸が代表的な自律神経症状
血糖値が70mg/dL前後まで下がると、体が「危険だ」と判断してアドレナリンなどのホルモンを放出します。その結果、冷や汗、手のふるえ、動悸、空腹感、不安感といった症状が出現します。
ただし肝硬変患者ではこうした自律神経症状が出にくいことがあり、いきなり意識がもうろうとする「中枢神経症状」から始まる場合もあるため、周囲の方も注意が必要です。
朝の強い倦怠感・頭痛・寝汗は夜間低血糖を疑うきっかけ
夜中にはっきり目が覚めなくても、朝起きたときの異様なだるさ、頭痛、パジャマがびっしょり濡れるほどの寝汗は、夜間低血糖を示唆するサインです。こうした症状が続く場合は、血糖自己測定器を使って就寝前と起床時の血糖値を記録し、主治医に相談してみてください。
持続血糖モニタリング(CGM)と呼ばれる機器を一時的に装着して夜間の血糖パターンを確認する方法もあり、より正確な判断材料になります。
「低血糖かな?」と思ったらすぐにブドウ糖を摂取する
低血糖症状を感じたら、まずブドウ糖10〜15gまたは砂糖を含む飲料(ジュースなど)を速やかに口にしてください。15分後に症状が改善しなければ、もう一度同量を摂取し、それでも改善しなければ医療機関を受診しましょう。
日頃からブドウ糖のタブレットやジュースを枕元に常備しておくと安心です。低血糖への備えは「準備しておくこと」がいちばんの対策になります。
| 症状の種類 | 具体的な症状 | 対処 |
|---|---|---|
| 自律神経症状 | 冷や汗、ふるえ、動悸、空腹感 | ブドウ糖10〜15gを摂取 |
| 中枢神経症状 | 頭痛、集中力低下、意識障害 | ブドウ糖摂取+改善なければ受診 |
| 夜間低血糖の兆候 | 寝汗、朝の倦怠感、悪夢 | 血糖測定+主治医に相談 |
主治医・管理栄養士との連携で低血糖を防ぐ生活習慣を身につけよう
低血糖の予防は一人で抱え込むものではありません。主治医や管理栄養士と連携し、自分の肝機能や栄養状態に合わせた食事計画・薬の調整を行うことで、安全に血糖値をコントロールできます。
食事を1日4〜6回に分けて「絶食時間」を短くする
| 食事パターン | 食事の例 | 絶食の長さ |
|---|---|---|
| 従来型(1日3食) | 朝食・昼食・夕食 | 夕食〜朝食で12時間以上 |
| 分割食+LES(1日4〜6食) | 朝食・間食・昼食・間食・夕食・就寝前補食 | 夜間の絶食が6〜8時間に短縮 |
肝硬変患者にとって、1日3食だけでは食事と食事の間隔が長くなりすぎます。欧州肝臓学会(EASL)や欧州臨床栄養代謝学会(ESPEN)のガイドラインでは、1日4〜6回の食事に分け、就寝前にLESを取り入れることで夜間の絶食を短縮するよう勧めています。
1回あたりの量を減らして回数を増やすイメージで、合計のカロリー摂取量は変えずに配分だけを調整するのがポイントです。
糖尿病治療薬の種類と量は肝機能に応じて見直す
肝硬変があると薬の代謝スピードが遅くなるため、通常量の糖尿病薬でも低血糖リスクが高まります。とくにSU薬(スルホニルウレア薬)やインスリンは、肝臓での分解が遅れることで効果が長引き、夜間低血糖の原因となるケースがあります。
メトホルミンやDPP-4阻害薬のように比較的低血糖を起こしにくい薬への切り替え、あるいは投与量の減量が検討される場合もあるため、自己判断で薬を調整せず、必ず主治医に相談してください。
定期的な血糖モニタリングを生活に取り入れる
低血糖を防ぐためには、血糖値の変動パターンを把握することが大切です。就寝前と起床時の2回測定を習慣にするだけでも、夜間低血糖の傾向がつかめるようになります。
ご自身で血糖を測る習慣がない方は、主治医に「夜間の低血糖が心配です」と伝えてみてください。血糖自己測定器の使い方を教えてもらえたり、CGMによる夜間モニタリングを提案してもらえたりすることがあります。日々の記録は医師にとっても治療方針を立てる大切な判断材料です。
よくある質問
- Q肝硬変の低血糖は糖尿病がなくても起こりますか?
- A
はい、糖尿病がなくても肝硬変による低血糖は起こり得ます。肝臓はブドウ糖を蓄えたり新たに作り出したりする臓器であり、肝硬変でその機能が低下すると空腹時に血糖値が維持できなくなるためです。
実際に、糖尿病のない肝硬変患者を対象にした研究でも、低血糖の発生が繰り返し報告されています。とくに肝機能が大きく低下しているChild-Pugh分類Cの患者さんではリスクが高くなります。
低血糖は糖尿病の薬を飲んでいる方だけの問題ではないため、肝硬変と診断されたら血糖値にも注意を向けてください。
- Q肝硬変患者の就寝前補食(LES)はどのタイミングで食べるのが効果的ですか?
- A
就寝のおよそ1時間前、夜の22時ごろが目安とされています。多くの研究では22時前後にLESを摂取しており、翌朝までの絶食時間を短縮する効果が確認されています。
ただし生活リズムは人によって異なりますので、ご自身の就寝時刻から逆算して約1時間前を目安にしてください。大切なのは「夕食と朝食の間の空白を短くする」ことです。タイミングに迷う場合は管理栄養士にご相談いただくと、個別の生活パターンに合わせた提案が受けられます。
- Q肝硬変で低血糖を繰り返すと体にどのような悪影響がありますか?
- A
低血糖を繰り返すと、まず脳へのダメージが懸念されます。脳はブドウ糖を主なエネルギー源としているため、低血糖が続くと集中力の低下や判断力の鈍化、重症の場合は意識消失やけいれんを引き起こすことがあります。
加えて、低血糖を何度も経験すると自律神経の警告反応(冷や汗・動悸など)が弱まる「無自覚性低血糖」に陥りやすくなります。そうなると危険な低血糖に気づくタイミングが遅れ、さらに重症化するリスクが高まるという悪循環が生まれてしまいます。
また、低血糖のたびに分泌されるストレスホルモンは心臓や血管にも負担をかけるため、心血管疾患のリスクも無視できません。
- Q肝硬変患者がLESとして避けたほうがよい食品はありますか?
- A
LESの目的は夜間の血糖低下を防ぐことですが、砂糖やブドウ糖が大量に含まれるお菓子やジュースは避けたほうがよいでしょう。急激な血糖上昇の後に反動で血糖が下がる「反応性低血糖」を引き起こしかねないためです。
肝性脳症のリスクが高い患者さんでは、動物性たんぱく質の過剰摂取もアンモニアの発生を増やす可能性があります。おにぎりやクラッカーなど消化のよい炭水化物を中心に、必要に応じてBCAA製剤を組み合わせるのが基本的な考え方です。
腹水がある方は塩分を控える必要があるなど、個々の病状によって注意点は異なります。食品の選び方は必ず担当の医師や管理栄養士の助言を受けて決めてください。
- Q肝硬変の低血糖予防のためにLESを始めるには医師の指示が必要ですか?
- A
LESは食事療法の一環ですので、基本的には医師や管理栄養士に相談のうえで始めることをおすすめします。肝硬変の重症度や耐糖能障害の有無によって、LESの適切なカロリー量や栄養組成が変わってくるためです。
とくに糖尿病の治療中でインスリンやSU薬を使用している方は、LESを追加することで薬との相互作用が変わる場合があります。薬の量やタイミングを調整する必要が出てくることもあるため、自己判断だけで始めるのは避けてください。
まずは次回の受診時に「夜間の低血糖が不安なので就寝前補食を取り入れたい」と主治医に伝えるところから始めてみましょう。
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