歯周病と全身疾患の関係は、これまでに数多くの研究で報告されてきました。ただし、その多くは「同じ人に一緒に起こりやすい」という関連であり、歯周病が全身の病気を引き起こすと確かめられたわけではありません。
糖尿病との関係は双方向の影響まで踏み込んで調べられている一方、認知症との関係は報告が増えはじめた段階にとどまります。病気ごとに証拠の厚みがまったく違うので、同じ強さで並べて読むと判断を誤りかねません。
歯ぐきの手当てで全身の病気まで防げるかどうかは介入試験の数が足りず結論が出ていませんが、歯を守るという理由だけでも、歯周病の治療には十分な価値があります。
歯周病と全身疾患のつながりは因果ではなく関連にとどまる
歯周病のある人に全身の病気が多い、という点では多くの研究の向きがそろっているといえるでしょう。ただし、それらは歯周病が原因だと突き止めた研究ではなく、両者が同じ人に重なりやすいと分かった段階にとどまります。
歯ぐきの炎症が血流にのって全身へ届く道すじ
歯周ポケットの底では、細菌の集まりと歯ぐきの組織が薄い膜一枚をはさんで接しており、体の内側に向いた傷口にきわめて近い状態です。噛んだり歯を磨いたりするたびに、細菌やその産物がわずかながら血液の中へ入り込みます。
体はこれに対して炎症を起こす物質を出し、その一部は肝臓や脂肪組織にも働きかけます。重い歯周病が広い範囲に及ぶと、こうした反応が慢性的に続き、全身の炎症の指標がわずかに高い状態のまま保たれます。
この道すじ自体は実験や小規模な研究である程度まで確かめられており、生物学的にはあり得る話でしょう。ただし、あり得ることと、実際に病気を増やしていることは、別に検証しなければなりません。
喫煙や加齢が歯周病と全身疾患を同時に押し上げる
歯周病と全身の病気の両方を増やす要因が別に存在すると、直接の関係がなくても両者は結びついて見えます。喫煙はその代表で、歯ぐきの血流と免疫を落としながら、心臓や肺の病気の危険も同時に高めます。
年齢も同じように働くもので、歯を支える組織は長年の負担を受け続け、慢性の病気も年齢とともに増えていくでしょう。所得や通院のしやすさといった生活の背景もまた、歯科の受診と内科の受診の両方を左右します。
| 共通の要因 | 歯周病への働き | 全身の病気への働き |
|---|---|---|
| 喫煙 | 歯ぐきの血流と免疫を落とす | 心臓・血管・肺の病気を増やす |
| 加齢 | 歯を支える組織が負担を蓄える | ほとんどの慢性疾患が増える |
| 生活の背景 | 歯科を受診する機会が減る | 健診や治療の機会も減る |
こうした要因を統計の上でどこまでそろえるかによって、見えてくる関連の強さは大きく違ってくるはずです。実際に結果がひっくり返った例が、慢性の呼吸器の病気と歯周病の関係を調べた集計に残っています。
観察研究ではどこまで分かり、どこから分からないのか?
慢性閉塞性肺疾患との関係を調べた22件の観察研究、のべ51,704人分をまとめた解析では、歯周病があるとオッズ比1.20(95%信頼区間1.09〜1.32)という弱い関連が出ました。喫煙で調整した研究だけを集めた集計です。
ところが喫煙の量まで細かくそろえて解析し直すと、オッズ比は1.14(0.86〜1.51)となり、統計的な差は残りませんでした。喫煙をしない人だけに絞った場合は0.93(0.72〜1.21)で、関連はむしろ見当たりません。
観察研究が示せるのは、どこまで丁寧に条件をそろえても「一緒に起こりやすい」ところまでです。原因と結果を分けるには、歯周病を治療する群としない群に割り付けて、その後の病気の起こり方を比べる試験が要ります。
英国64,379人の記録は歯周病と全身疾患の重なりを映し出した
歯周病の記録がある64,379人と、年齢や性別をそろえた251,161人を比べた英国の研究では、複数の慢性疾患で差が出ました。ただし差の大きさは病気によってかなり異なります。
心血管・代謝・自己免疫・こころの4分野で差が出た
この研究は英国の一次医療のデータベースを使い、1995年から2019年までに歯肉炎か歯周炎と記録された成人を追いかけました。参加時の平均年齢は45歳で、追跡期間の中央値は3.4年です。
調査に入った時点で、歯周病のある群は心血管の病気を持っている割合が高く、調整後のオッズ比は1.43(95%信頼区間1.38〜1.48)でした。こころの不調では1.79(1.75〜1.83)と、4つの分野の中でもっとも大きな差が付いています。
| 病気の分類 | 調査開始時のオッズ比 | 追跡中に発症するハザード比 |
|---|---|---|
| 心血管の病気 | 1.43(1.38〜1.48) | 1.18(1.13〜1.23) |
| 代謝にかかわる病気 | 1.16(1.13〜1.19) | 1.07(1.03〜1.10) |
| 自己免疫の病気 | 1.33(1.28〜1.37) | 1.33(1.26〜1.40) |
| こころの不調 | 1.79(1.75〜1.83) | 1.37(1.33〜1.42) |
追跡を始めた時点でその病気を持っていなかった人だけに限って見ると、差は全体にひとまわり小さくなります。心血管の病気の発症は歯周病のある群でハザード比1.18(1.13〜1.23)、代謝の病気では1.07(1.03〜1.10)でした。
ハザード比1.18は大きい数字なのか?
1.18という数字は、歯周病のある群で病気が起こるペースが、ない群のおよそ1.18倍だったと読みます。相対的な比であって、一人ひとりの危険がどれだけ上乗せされるかを直接示すものではありません。
もともとの発症率が低い病気では、1.18倍になっても実際に増える人数はごくわずかにとどまります。一方で歯周病を持つ人の数は非常に多いため、社会全体で見れば無視できない上乗せになるでしょう。
大きいか小さいかは、この2つの見方を分けないと決まりません。同じ数字から、個人としての受け止め方と、公衆衛生としての優先順位という別の結論が導かれます。
中央値3.4年の追跡では届かない範囲
動脈硬化や認知機能の低下は数十年かけて進む変化であり、中央値3.4年の追跡はその入り口を切り取ったにすぎません。差が出た分野も出なかった分野も、もっと長く追えば見え方が変わる余地を残しています。
診療記録をもとにした研究では医療機関で診断された歯周病だけが拾われるため、歯科にかかっていない人の歯周病は記録に残らず、比較の相手側に紛れ込んでしまいます。
この種の偏りは、関連を弱く見せることも強く見せることもあり、向きを前もって決められません。数字を読むときは、その幅がどちらの方向にも振れうる点を含んだうえで受け止める姿勢が要ります。
歯周病と全身疾患の中で糖尿病はもっとも証拠が積み上がっている
糖尿病だけは例外的に証拠が厚く積み上がっています。歯ぐきの炎症が血糖の管理に影響し、血糖の状態が歯ぐきの守りを弱めるという双方向の関係が、登録データと介入試験の両方から報告されてきました。
血糖の管理が悪いほど歯周炎が多かったスウェーデンの登録データ
スウェーデンの全国登録を2010年から2020年まで追った研究では、2型糖尿病のある251,645人と、年齢や性別をそろえた539,805人が比べられました。歯周炎があった割合は2型糖尿病で22%、糖尿病のない群で17%です。
差は若い年代ほど大きく、30〜39歳では調整後の相対危険が1.92(95%信頼区間1.81〜2.03)に達しました。血糖の管理が良くない人ほど、この差はさらに広がっています。
1型糖尿病では歯周炎が13%、糖尿病のない群で11%と差は小さく、血糖の管理が良くない一部の集団に限って危険が高まっていました。同じ糖尿病といっても、1型か2型か、そして血糖の管理がどの程度かによって見え方が変わります。
歯ぐきの治療のあとにHbA1cが動いた集計
無作為化した試験を集めた2022年の系統的な総説では、35件・3,249人が対象になりました。歯石を取る歯周基本治療を受けた群では、3〜4か月後のHbA1cが受けなかった群より0.43パーセントポイント(4.7mmol/mol)低いという結果です。
30件・2,443人分の解析にもとづく中等度の確実性の証拠で、95%信頼区間は0.28から0.59パーセントポイントの低下でした。効果の向きはどの解析でも一定しており、偶然のばらつきだけでは説明しにくい大きさといえます。
ただし追跡はどれも3か月から12か月にとどまり、合併症が実際に減ったかどうかまでは測られていません。血糖の指標が動いた事実と、糖尿病の合併症を防げた事実は、別々に確かめる必要があります。
網膜症や尿たんぱくとは関連し、脳卒中とは差がなかった
先ほどのスウェーデンの登録研究は、歯周炎がある人のその後の合併症も追いかけています。2型糖尿病では、網膜症の発症がハザード比1.08(95%信頼区間1.06〜1.10)、アルブミン尿が1.09(1.07〜1.11)と報告されました。
一方で、脳卒中と心血管の病気、そして死亡については、1型でも2型でも危険の上乗せが見られませんでした。歯周病さえあれば全身のどこもが等しく悪くなる、という単純な図式ではないところが読み取れます。
この食い違いは、細い血管に起きる合併症と太い血管に起きる合併症とで、炎症の関わり方が違うかもしれない点を示しています。どの臓器の話をしているかによって、結論はまるごと変わります。
心疾患と歯周病の関連は全身疾患の中でもっとも多く調べられてきた
歯周病を治せば心臓の病気を防げる、とはまだ言えません。関連を示す観察研究は数多いものの、治療によって発症が減るかどうかを調べた無作為化試験は、世界でも数えるほどしか存在しないためです。
動脈の壁で起きる炎症を介した仮説
動脈硬化は、血管の壁に脂質がたまって炎症がくすぶり続ける状態です。歯周病によって血液の中へ入った細菌や炎症の物質が、この壁の炎症を後押しするのではないかと考えられてきました。
実際、動脈硬化を起こした血管の壁から歯周病に関係する細菌の遺伝子が見つかったとする報告もあります。血液中の炎症の指標が、重い歯周病のある人で高めに出る傾向も繰り返し示されてきました。
ただし細菌の遺伝子がそこで見つかったからといって、その細菌が動脈硬化を進めた張本人だとまでは決まりません。筋の通った仮説として語れる段階と、証明された段階のあいだには、まだ距離が残っています。
高血圧との重なりは中国の全国調査でも見えた
中国の第4回全国口腔健康調査(2015〜2016年)では、35〜44歳4,409人、55〜64歳4,568人、65〜74歳4,218人が診査を受けました。重い歯周炎(ステージIII・IV)の割合は、高血圧のある人で41.4%、血圧が正常な人で28.0%です。
差は若い年代で目立ち、35〜44歳では18.0%対10.1%でした。ところが65〜74歳になると46.4%対45.1%となり、統計的な差は消えています。
歯周炎と高血圧を同じ時点で測った横断調査のため、どちらが先に起きていたのかまでは分かりません。年齢が上がるほど差が縮む形は、加齢という共通の要因が両方を押し上げている姿とも読めます。
心血管の発症を減らせるか調べた試験は2件しかない
歯周治療が心血管の病気を防ぐかどうかを検証した無作為化試験は、2022年の系統的な総説の時点で2件でした。1件が一次予防、もう1件が二次予防を扱い、どちらも偏りの危険が高いと評価されています。
- 一次予防を扱った試験の参加者は、歯周炎とメタボリックシンドロームを併せ持つ165人
- 比べたのは歯石除去に抗菌薬を加えた処置と、歯ぐきより上の歯石だけを取る処置
- 二次予防を扱った試験は303人を割り付けた予備的な内容
- 2019年の前回の集計以降、新しく完了した試験はなし
- 2件とも偏りの危険が高いという評価
一次予防の試験には165人が参加したものの、死亡が1件しか起きず、効果の有無を判断できませんでした。抗菌薬を足した群では心血管の出来事がむしろ増える推定値(オッズ比7.77、95%信頼区間1.07〜56.1)が出ており、その幅は極端に広いものです。
二次予防を扱った試験は303人を割り付けたものの、1年以上追えた人が37人にとどまり、集計に含められませんでした。二次予防については信頼できる証拠がない、というのが総説の結論です。
歯周治療で血圧まで下がるのか?
血圧に絞って歯周治療の効果を調べた総説では8件の無作為化試験が集められましたが、多くの比較で差は見つからず、証拠の確実性も低いか非常に低いと評価されています。
歯周炎と高血圧の両方がある101人を対象にした1件だけは、短期間で収縮期血圧が11.20mmHg(95%信頼区間 -15.40〜-7.00)、拡張期血圧が8.40mmHg(-12.19〜-4.61)下がったと報告しました。この1件に限れば確実性は中等度です。
とはいえ、たった1件の結果であり、同じ規模の検証が続いていません。総説の著者たちも、歯周治療が血圧に与える影響について結論は出せないと書いています。
認知症との関連は歯周病と全身疾患の研究の中でまだ固まっていない
認知症について言えるのは、歯周病との関連を示す報告が近年増えている、というところまでです。関連の向きも、あいだに何が挟まっているかも、まだ確かめられていません。
歯ぐきの溝の細菌と脳の状態を同時に測った1026人
ドイツの地域住民を対象にしたPAROMIND研究では、1026人の歯ぐきの溝からとった液体の細菌が調べられました。同時に、認知機能や脳の画像、血液の炎症の指標など40項目の脳の健康に関する情報が測られています。
歯周炎に関係する細菌が多い人ほど認知の成績が低く、白血球数が高い傾向が見られました。追加の解析では、大脳皮質の厚さや皮質下の体積といった脳の構造との結びつきも浮かんでいます。
参加者はいずれも認知症と診断されていない人たちです。症状が出ていない段階でも差が見えた点が、この研究の注目された理由の一つになりました。
認知機能との関連が見えた1157人の解析
中国の泰州イメージング研究では、1157人が歯周組織の診査、唾液の細菌の解析、認知機能の検査をまとめて受けました。歯周組織の5つの指標が、いずれも認知の成績の低さと結びついていました。
細菌の側では10の属と21の機能的な経路が認知機能と関係し、トレポネーマを含むまとまりも浮かび上がっています。統計の上では、11の特徴が歯周の状態と認知機能のあいだを部分的に取り持つと推定されました。
取り持つといっても、あくまで数式の上での話であり、体の中で本当にその順に起きているかは別の検証が要ります。研究者たち自身も、早期予防の候補として挙げるにとどめました。
同じ時点で測った研究では前後関係が決まらない
この2つの調査はどちらもある一時点で歯ぐきと脳を同時に測っており、歯周病が先か認知機能の低下が先かを分ける情報を、その設計はもともと持っていません。
認知機能が落ちると歯みがきの手順が乱れ、歯科の通院も途切れがちになります。つまり、順序を逆にした説明でも、同じデータをきれいに説明できてしまうわけです。
前後関係を決めるには認知機能が保たれている段階から長く追いかけるしかなく、そうした研究は各国で始まっているものの、結論が出るまでには相応の年月がかかります。
噛めなくなることが間に挟まっているかもしれない
歯周病が進むと歯を失い、噛める食品の幅が狭まっていきます。やわらかいものに偏った食事は栄養の質を下げ、それ自体が認知機能に影響しうる要因です。
PAROMIND研究でも、歯周炎に関係する細菌が多い人ほど、脳の健康によいとされる食事の型を守れていませんでした。細菌が脳へ直接働きかけたのか、食事を通じて間接的に影響したのかは、この結果だけでは分かれません。
噛む力そのものが脳への刺激になるという見方もありますが、人での証明はまだ進んでいません。複数の仮説が並んだままの状態が、いまの認知症と歯周病の関係だといえます。
| 研究 | 参加人数 | 報告された内容 |
|---|---|---|
| PAROMIND研究(ドイツ) | 1026人 | 歯周炎に関係する細菌が多いほど認知の成績が低く、白血球数が高かった |
| 泰州イメージング研究(中国) | 1157人 | 歯周組織の5つの指標が、認知の成績の低さと結びついていた |
歯周病と全身疾患が気になったら、まず歯ぐきの手当てから始める
歯ぐきの状態を指摘されて全身の病気が心配になったなら、歯周病そのものの治療を受けるのが答えになります。全身の病気を防ぐためではなく、歯を守るためという理由だけで、治療には十分な根拠があります。
| 全身の病気 | 関連を示す報告 | 治療で防げるかの検証 |
|---|---|---|
| 糖尿病 | 双方向の影響まで繰り返し報告 | 血糖の指標は動いたが、合併症の予防は未確認 |
| 心疾患・高血圧 | 大規模な観察研究で関連あり | 発症を減らせるかを調べた試験がごく少ない |
| 認知症・認知機能 | 報告が増えている段階 | 検証されていない |
歯を守る目的だけで治療の価値は十分にある
歯周病は成人が歯を失う主な原因であり、いちど進行して溶けてしまった骨は元の高さまで戻りません。全身の病気の話を抜きにしても、早く手当てをする理由はここに尽きます。
歯石を取る歯周基本治療が歯ぐきの出血や歯周ポケットの深さを減らす点は、繰り返し確かめられてきました。この部分については、全身への効果と違って議論の余地が小さいところです。
歯が残っていれば、食べられるものの幅も保たれます。糖尿病の食事療法を続けるうえでも、しっかり噛める状態を守れているかどうかは大きな差になるでしょう。
磨き方の指導だけで数字が動くとは限らない
2026年に公表された系統的な総説は、行動を変える働きかけが歯ぐきの状態を改善するかどうかを調べました。25件の無作為化試験、のべ1,422人が対象になっています。
出血や歯肉の炎症、歯垢の量といった指標では、差が付いた試験と付かなかった試験が入り混じっていました。証拠の確実性はすべての項目で非常に低いと評価されています。
著者たちの結論は、有効性を判断するには証拠が足りない、というものでした。声かけや指導に意味がないという話ではなく、どのやり方がどれだけ効くのかがまだ分かっていない状態です。
歯科と内科に同じ情報を渡しておく
糖尿病の治療を受けているなら、その内容を歯科でも伝えておくと処置の計画が立てやすくなります。血糖の状態や服用中の薬は、外科的な処置をどう組むかの判断に関わるためです。
反対に、歯科で歯周病と診断されたという事実は、内科の主治医にも早めに共有しておきたい情報になります。血糖の管理が思うように進まない背景に、口の中の炎症が隠れている場合があるからです。
どちらか一方だけが状況を知っている状態では、治療を組み立てるための材料が欠けたままになってしまいます。お薬手帳や検査結果の写しを持参するのが、いちばん手軽なやり方です。
歯科へ相談する目安になるサイン
歯周病は痛みが出にくく、自覚のないまま進むことが少なくありません。痛みが出てから受診するのでは遅く、次のような変化に気づいた時点で歯科に相談するほうが安全です。
- 歯をみがくたびに血がにじむ
- 歯ぐきが赤く腫れている、または下がってきた
- 起きたときの口のねばつきや強いにおい
- 硬いものを噛むと歯が浮く感じがする
- 糖尿病で通院中だが1年以上歯科にかかっていない
一つでも当てはまるなら、受診の理由としては十分です。自分で歯石を取ろうとしたり、市販の薬だけで炎症を抑えようとしたりすると、かえって組織を傷めてしまいます。
糖尿病で通院中の人は、症状がなくても定期的に歯科で診てもらう価値があります。歯ぐきの検査は短時間で終わり、進行の程度を数字で確かめられます。
よくある質問
- Q歯周病は本当に全身の病気を引き起こすのですか?
- A
引き起こすと確かめられた段階には届いていません。歯周病のある人に心血管の病気や糖尿病が多いという報告は数多くありますが、その大半は同じ時期に両方を持つ人を数えた研究です。
原因と結果を分けるには、歯周病を治療する群としない群に割り付けて追う試験が要りますが、心血管の病気についてはそれが2件しかなく、結論を出せる状態にありません。
- Q歯周病を治療すれば心疾患を防げますか?
- A
防げるかどうかは、まだ確かめられていません。2022年の系統的な総説は、一次予防を扱った試験1件と二次予防を扱った試験1件を集めましたが、どちらも偏りの危険が高いと評価されました。
二次予防については信頼できる証拠がない、というのがその総説の結論です。歯周治療は歯を守る処置として受ける値打ちがあり、心臓を守る処置として期待するのは行き過ぎになります。
- Q歯周病と認知症の関連はどこまで分かっていますか?
- A
関連を示す報告が増えている段階です。ドイツの1026人、中国の1157人を対象にした調査では、歯周炎に関係する細菌が多い人ほど認知の成績が低い傾向が示されました。
ただし、どちらも一時点での測定であり、前後関係までは分かりません。認知機能が落ちて歯みがきが行き届かなくなった結果だという説明も、同じデータで成り立ってしまいます。
- Q歯周病は糖尿病があるとなりやすいのですか?
- A
スウェーデンの登録データでは、2型糖尿病のある人の22%に歯周炎があり、糖尿病のない人では17%でした。差は若い年代ほど大きく、30〜39歳では相対危険が1.92(95%信頼区間1.81〜2.03)と報告されています。
血糖の管理が良くない人ほど、この差はさらに広がっていました。高い血糖が歯ぐきの防御を弱め、歯ぐきの炎症が血糖の管理を難しくする、双方向の関係が想定されています。
- Q歯周病と言われましたが自覚症状がありません。放っておいてよいですか?
- A
自覚症状のないうちに進むのが歯周病の特徴で、痛みが出たときには骨がかなり失われている場合があります。いったん溶けた骨は、治療しても元の高さまでは戻りません。
全身の病気との関係を抜きにしても、歯を残すという目的だけで早い段階から手当てをする意味があります。まずは歯科で歯周ポケットの深さと出血の有無を確かめてもらうところから始めましょう。
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