気管支喘息の治療を続けているのに、夜間の咳や息苦しさが一向に改善しない。そんな悩みを抱えている方は、もしかすると睡眠時無呼吸症候群が隠れているかもしれません。

近年の研究で、いびきや無呼吸による間欠的な低酸素状態が気道の炎症パターンを変化させ、吸入ステロイド薬が効きにくい体質へと導くことがわかってきました。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群と気管支喘息が互いに悪化し合う仕組みを、患者さんの目線からわかりやすく解説します。思い当たる症状がある方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

いびきや無呼吸が気管支喘息を悪化させる仕組みとは

睡眠時無呼吸症候群といびきは、気管支喘息の炎症を直接的にも間接的にも悪化させます。気道に加わる物理的ストレスと、繰り返す低酸素が二重に作用すると、喘息のコントロールが難しくなっていきます。

睡眠時無呼吸症候群と気管支喘息は互いに影響し合う

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と気管支喘息は、どちらか一方があるともう一方も発症しやすくなることがわかっています。

喘息患者さんの約半数に睡眠時無呼吸症候群が合併しているという研究報告もあり、この2つの病気は単なる偶然の重なりではありません。

喘息による気道の炎症は、上気道の筋肉の働きや呼吸調節に影響を与えて、いびきや無呼吸を起こしやすくします。逆に、睡眠時無呼吸症候群の低酸素状態は、気管支の炎症を強めて喘息を悪くするという悪循環が生まれるのです。

いびきの振動が気道粘膜に炎症を引き起こす

いびきは単なる音の問題ではありません。睡眠中に空気の通り道が狭くなった状態で無理に呼吸をすると、咽頭や気管支の粘膜に強い振動と陰圧がかかります。この物理的なストレスが繰り返されると、粘膜に慢性的な炎症が起こります。

実際に、いびきのある患者さんの上気道粘膜では、白血球の一種である好中球が増加し、炎症を促す物質(IL-8やブラジキニンなど)の濃度が上がっていることが確認されています。

こうした局所の炎症は、下気道にまで波及して喘息の症状を増幅させるのです。

いびきと気道への物理的影響の比較

影響の種類発生する部位喘息への作用
振動による粘膜損傷咽頭・軟口蓋局所炎症が下気道へ波及
強い陰圧上気道全体気道壁の浮腫や肥厚を促進
閉塞による無呼吸咽頭低酸素と再酸素化で全身炎症を惹起

間欠的な低酸素状態が喘息の炎症パターンを変える

睡眠時無呼吸症候群では、気道が繰り返し閉塞するたびに血液中の酸素濃度が急激に下がり、呼吸が再開すると一気に回復します。この「低酸素と再酸素化」の繰り返しを間欠的低酸素と呼びます。

動物実験では、間欠的低酸素にさらされた喘息モデルのラットにおいて、気道の炎症パターンがTh2型(好酸球優位)からTh1型(好中球優位)へと変化することが確認されました。

好中球優位の炎症は、一般的な吸入ステロイド薬では抑えにくいタイプであり、治療に難渋する原因になります。

気道リモデリングが吸入薬の効きにくさにつながる

炎症が長期間続くと、気管支壁の構造そのものが変化する「リモデリング」が進みます。

重症喘息に睡眠時無呼吸症候群を合併した患者さんの気管支生検では、基底膜の厚みが変化し、好中球浸潤が顕著で、MMP-9(組織を分解する酵素)の濃度が高いことが報告されています。

こうした構造変化が進むと、気管支が元の状態に戻りにくくなり、吸入薬の効果が頭打ちになってしまいます。無呼吸を治療しないまま吸入ステロイドだけを増量しても改善しないのは、こうした気道リモデリングが一因と考えられています。

夜間の咳やぜんそく発作が止まらないときに疑うべき睡眠障害

夜中に何度も咳き込んだり、朝方に息苦しさで目が覚めたりする症状は、喘息だけでなく睡眠時無呼吸症候群が重なっている可能性があります。

夜間の症状が治療に反応しにくい場合は、睡眠の問題を疑うことが改善への近道です。

夜間咳嗽と睡眠時無呼吸症候群には深い関係がある

夜間に繰り返す咳(夜間咳嗽)は、喘息の代表的な症状ですが、睡眠時無呼吸症候群でも生じるばあいがあります。無呼吸による気道閉塞が解除される瞬間に、気道に急激な気流が発生し、それが咳反射を誘発するためです。

加えて、無呼吸中に胃酸が食道から逆流する「胃食道逆流症(GERD)」が起こりやすくなることも、夜間の咳を悪化させる要因の1つです。

喘息とGERDと無呼吸が三つ巴で咳を長引かせている患者さんは、少なくありません。

いびきをかく喘息患者は発作リスクが高まる

習慣的ないびきがある喘息患者さんは、いびきのない喘息患者さんに比べて、喘息発作の頻度や救急受診の回数が多いことが複数の研究で示されています。いびきは上気道の狭窄を反映しており、睡眠時無呼吸症候群の存在を示唆する重要なサインです。

ウィスコンシン睡眠コホート研究では、喘息のある成人は4年間で約27%が新たに睡眠時無呼吸症候群を発症したのに対し、喘息のない人では約16%にとどまりました。

喘息があるだけで、無呼吸の発症リスクが約1.4倍に高まるという結果は、両疾患のつながりの強さを物語っています。

日中の眠気や疲労感も見逃せないサイン

夜間に無呼吸が何度も起こると、睡眠の質が著しく低下します。朝起きても疲れが取れない、日中にどうしても眠くなる、集中力が続かないといった症状は、睡眠時無呼吸症候群を疑うきっかけになります。

喘息の患者さんのなかには、こうした日中の眠気を「喘息で夜に咳き込んだから眠れなかった」と自己判断しているケースがあります。実際には無呼吸による睡眠分断が原因である場合も多く、見過ごされやすい症状です。

  • 朝の起床時に頭痛がある
  • 家族やパートナーからいびきや呼吸の停止を指摘される
  • 夜中に何度もトイレに起きる
  • 口やのどが乾燥して目覚めることが多い

睡眠時無呼吸症候群の患者に気管支喘息が多い理由

睡眠時無呼吸症候群と気管支喘息は、肥満・鼻炎・胃食道逆流症という共通のリスク因子を持つだけでなく、喘息治療に使う薬自体が無呼吸を助長する場合もあります。両疾患が重なりやすい背景には、複数の経路が関与しています。

肥満・逆流性食道炎・鼻炎という3つの共通リスク因子

肥満は、喘息と睡眠時無呼吸症候群の両方にとって大きなリスク因子です。体重が増えると首周りや腹部に脂肪が蓄積し、上気道が狭くなって無呼吸を起こしやすくなります。

同時に、脂肪組織から放出される炎症性サイトカインが気道の過敏性を高め、喘息を悪化させます。

胃食道逆流症も両疾患に深く関わっています。逆流した胃酸は気管支を刺激して咳や気道収縮を引き起こし、夜間の喘息症状を増悪させます。

鼻炎についても同様で、鼻腔の炎症は上気道抵抗を増して無呼吸リスクを高めると同時に、下気道にも炎症を広げて喘息を不安定にします。

吸入ステロイドが上気道を狭くする可能性

喘息治療の柱である吸入ステロイド薬は、気管支の炎症を抑える効果がある一方で、上気道への影響が指摘されています。

吸入ステロイドの粒子が咽頭に沈着することで、局所的な筋力低下や脂肪沈着を招き、上気道がさらに狭くなる可能性があるのです。

また、喘息の急性増悪時に使用する経口ステロイド薬は、全身的な体重増加を引き起こしやすく、肥満を介して睡眠時無呼吸症候群を悪化させるおそれがあります。

吸入ステロイドの用量が多い患者さんほど無呼吸のリスクが高まるという報告もあり、薬の選択や使い方にも注意が求められます。

喘息と睡眠時無呼吸症候群の共通リスク因子

リスク因子喘息への影響無呼吸への影響
肥満気道過敏性の亢進、炎症増強上気道の狭窄・閉塞
胃食道逆流症気管支刺激による夜間症状悪化喉頭浮腫・上気道炎症
アレルギー性鼻炎下気道炎症の増幅鼻閉による口呼吸促進
吸入ステロイド気管支炎症の抑制(治療効果)咽頭の筋力低下・脂肪沈着

喘息が長引くほど無呼吸の発症リスクは上がる

ウィスコンシン睡眠コホート研究のデータでは、喘息の罹患期間が長いほど、新たに睡眠時無呼吸症候群を発症するリスクが段階的に高まることが明らかになりました。

喘息による慢性的な気道炎症が、長い年月をかけて上気道の構造や呼吸中枢のコントロールを徐々に変化させていると考えられています。

この結果は、喘息の管理において早い段階から睡眠の状態にも目を配ることが大切であることを示唆しています。特に、喘息と診断されてから10年以上経過している方は、たとえ自覚症状がなくても一度は睡眠の検査を受けておくと安心でしょう。

間欠的低酸素と全身性炎症が喘息コントロールを乱す流れ

睡眠時無呼吸症候群で繰り返される低酸素状態は、活性酸素の産生を増やし、全身に炎症性物質を放出させます。

この全身性炎症が気管支にまで及ぶことで、喘息のコントロールが悪化するというのが、近年明らかになってきた病態の中核です。

無呼吸による酸素の急激な変動が活性酸素を生む

無呼吸の発作が起こるたびに血中酸素は急降下し、呼吸が再開すると急回復します。この「虚血と再灌流」に似た現象が一晩に数十回から数百回繰り返されると、体内で大量の活性酸素種が産生されます。

活性酸素は血管内皮を傷つけるだけでなく、NF-κBという転写因子を活性化させて炎症性遺伝子の発現を促進します。その結果、TNF-α、IL-6、CRPといった炎症マーカーが血中に増加し、全身が慢性的な炎症状態に陥ります。

TNF-αやIL-6など炎症性サイトカインが気管支に及ぶ

全身の血流を介して運ばれた炎症性サイトカインは、気管支の粘膜にも到達します。TNF-αは気管支平滑筋の収縮を促し、IL-6は粘液分泌を亢進させるため、喘息の典型的な症状である気道狭窄と痰の増加が引き起こされます。

さらに、睡眠時無呼吸症候群ではVEGF(血管内皮増殖因子)の血中濃度も上昇します。VEGFは気管支の血管新生を促進し、粘膜の浮腫や過敏性の亢進に関与するため、喘息の病態をより複雑にしていきます。

好中球優位の炎症に変わると吸入ステロイドが効きにくい

通常の気管支喘息では、好酸球が中心となったTh2型の炎症が主体であり、吸入ステロイド薬がよく効きます。ところが、睡眠時無呼吸症候群を合併すると、気道の炎症が好中球優位のパターンに変化するケースが報告されています。

重症喘息の研究プログラム(SARP)の解析では、無呼吸リスクの高い喘息患者さんの喀痰で好中球の割合が有意に増加していました。

好中球性の気道炎症はステロイドへの反応が乏しく、既存の治療だけでは喘息を十分に抑えられない原因になり得ます。

無呼吸が喘息に及ぼす炎症経路の比較

経路主な炎症細胞ステロイド反応性
Th2型(通常の喘息)好酸球良好
Th1型(無呼吸合併時)好中球乏しい
混合型好酸球+好中球部分的

いびきを放置した喘息患者に起こりやすい症状と合併症

いびきや睡眠時無呼吸症候群を放置したまま喘息治療だけを続けていると、薬を増やしてもコントロールが改善しない悪循環に陥りかねません。心血管系への負担増加や生活の質の低下など、喘息以外の領域にも影響が広がります。

吸入薬を増やしても喘息が安定しない悪循環に陥る

睡眠時無呼吸症候群があると、夜間の間欠的低酸素により気道の炎症パターンが好中球優位に変わることを先にお伝えしました。

この状態で吸入ステロイドの量を増やしても、好中球性の炎症には十分な効果が期待できず、治療が行き詰まります。

さらに、ステロイドの増量は体重増加を招きやすく、肥満が進むと無呼吸もいっそう悪化するという負の連鎖が始まります。無呼吸が悪化すればさらに気道炎症が強まるため、喘息はますますコントロール困難になっていくのです。

夜間の酸素低下が心血管系への負担を増やす

睡眠時無呼吸症候群による間欠的低酸素は、交感神経の過活動を引き起こし、血圧を上昇させます。

無呼吸のたびに胸腔内圧が大きく変動するため、心臓への前負荷と後負荷が繰り返し増減し、長期的には心肥大や不整脈のリスクが高まります。

喘息と睡眠時無呼吸症候群の両方を抱えている患者さんは、気道の問題だけでなく循環器系の合併症にも注意を払う必要があります。高血圧や動脈硬化の管理も並行して行うことが、全身的な健康を守るうえで重要です。

いびき放置で悪化しやすい症状と関連する身体への影響

症状・合併症背景にある原因喘息との関連
高血圧交感神経の過活動気道過敏性の亢進に関与
胃食道逆流症の悪化胸腔内圧の変動夜間の咳や気管支刺激を増幅
肥満の進行ステロイド増量・睡眠不足気道炎症と無呼吸の双方を悪化
うつ・不安症状睡眠分断・低酸素服薬アドヒアランスの低下

生活の質が大きく損なわれる

喘息だけでも夜間症状による睡眠障害で日中のパフォーマンスが落ちやすいですが、睡眠時無呼吸症候群が加わると、生活の質の低下は顕著になります。

日中の強い眠気は仕事や学業に支障をきたし、集中力の低下は交通事故のリスクも高めます。こうした生活面での困難が続くと、精神的にも追い詰められやすくなるでしょう。

喘息の治療が思うように進まないストレスに加え、慢性的な疲労感が重なって、治療へのモチベーション維持が難しくなるケースも珍しくありません。

睡眠時無呼吸症候群の検査と治療が喘息改善につながる理由

睡眠時無呼吸症候群を適切に診断・治療すると、喘息のコントロールも同時に改善することが複数の研究で確かめられています。気道への二重の負荷を解消することが、治療効果を引き出す鍵です。

終夜睡眠ポリグラフ検査で無呼吸の有無を調べる

睡眠時無呼吸症候群の確定診断には、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)が基本となります。

この検査では、脳波・眼球運動・筋電図・心電図・呼吸気流・胸腹部の動き・血中酸素飽和度を一晩かけて測定し、無呼吸や低呼吸の回数(AHI=無呼吸低呼吸指数)を算出します。

自宅で簡易的に行えるポリグラフ検査もあり、まずはこちらでスクリーニングを行うことも多いです。喘息の治療を続けても夜間症状が改善しない場合は、主治医に睡眠検査の相談をしてみてください。

CPAP療法で気道の炎症と喘息症状が軽くなる報告がある

CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法は、睡眠中にマスクから一定の圧力をかけた空気を送り続けて、上気道の閉塞を防ぐ治療法です。無呼吸の標準的な治療であると同時に、喘息症状の改善にも寄与することが報告されています。

99名の喘息合併睡眠時無呼吸症候群の患者さんを対象にした研究では、6か月のCPAP使用後に喘息コントロールが有意に改善し、コントロール不良の患者さんの割合が41.4%から17.2%へと減少しました。

呼気一酸化窒素濃度や気管支拡張薬への反応性にも改善が見られ、CPAP療法が気道炎症を和らげている可能性が示唆されています。

体重管理と鼻炎治療も同時に取り組むことが大切

CPAPだけに頼るのではなく、肥満の解消と鼻炎の治療を並行して進めることが喘息と睡眠時無呼吸症候群の両方にとって有益です。体重が5〜10%減少するだけでも、AHIの改善と喘息症状の軽減が期待できます。

アレルギー性鼻炎の管理も欠かせません。鼻の通りが改善すると上気道抵抗が下がり、無呼吸の重症度が軽くなります。

鼻炎を放置していると鼻呼吸から口呼吸に変わりやすくなり、気道の乾燥と炎症を招くため、喘息にも悪影響を及ぼします。

  • 適度な有酸素運動を週3〜4回取り入れる
  • 鼻噴霧ステロイド薬で鼻炎を継続的にコントロールする
  • 就寝前の食事を控え、胃食道逆流症のリスクを減らす
  • 横向き寝を意識して、仰向け寝による気道閉塞を避ける

いびきが気になる喘息患者が受診前にできるセルフチェック

睡眠時無呼吸症候群は自分では気づきにくい病気ですが、いくつかのポイントを確認するだけで受診の目安をつけられます。喘息の治療効果に満足できていない方は、以下のチェックを試してみてください。

同居家族に聞きたい「いびきと呼吸の途切れ」の確認ポイント

睡眠時無呼吸症候群のもっとも信頼できる手がかりは、一緒に寝ている家族やパートナーからの情報です。

大きないびきの途中で呼吸が数秒間止まり、その後「ガッ」と大きく息を吸い込む様子が見られるなら、無呼吸の可能性が高いといえます。

家族や同居者に確認してもらいたい睡眠時の様子

確認項目注意が必要な状態考えられること
いびきの大きさ隣の部屋にも聞こえる上気道の狭窄が強い
呼吸の途切れ10秒以上の無呼吸が複数回閉塞性無呼吸の疑い
睡眠中の体動頻繁な寝返り・手足のぴくつき睡眠の分断・覚醒反応
寝汗首や胸が汗で濡れている無呼吸に伴う交感神経亢進

日中の眠気スケール(ESS)を使った簡単な自己評価法

エプワース眠気尺度(ESS)は、日常生活の8つの場面でどのくらい眠気を感じるかを0〜3点で採点する質問紙です。合計点が11点以上であれば過度の眠気が疑われ、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるとされています。

この質問紙は医療機関でもスクリーニングに広く使われており、インターネット上でも無料で利用できるものがあります。喘息の定期受診の際にESSの結果を持参すると、主治医との相談がスムーズに進むでしょう。

喘息の治療効果が頭打ちになったら睡眠外来を検討しよう

吸入薬をきちんと使っているのに夜間の咳が改善しない、発作の回数が減らない、日中の倦怠感がとれない。

こうした状態が続いている場合、喘息の背景に睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性を考えて、睡眠外来や呼吸器内科への受診を検討してみてください。

喘息と睡眠時無呼吸症候群を同時に管理できる専門医にかかることで、CPAP療法の導入や生活指導を含めた包括的な治療を受けられます。

どちらか一方だけを治療していた時期よりも、両方に目を向けて症状が大きく改善するケースは決して珍しくありません。

よくある質問

Q
睡眠時無呼吸症候群を治療すると気管支喘息の症状は改善しますか?
A

CPAP療法によって睡眠時無呼吸症候群を治療した喘息患者さんを対象にした複数の研究では、喘息コントロールテストのスコアが有意に改善し、発作の回数や救急受診の頻度が減少したと報告されています。

睡眠中の低酸素状態が改善されると、全身の炎症レベルが下がり、気道の過敏性も和らぐためと考えられています。ただし、効果の感じ方には個人差がありますので、主治医と相談しながら治療を進めることが大切です。

Q
いびきをかくだけでも気管支喘息に悪影響がありますか?
A

はい、習慣的ないびきは睡眠時無呼吸症候群に至っていなくても、気道に物理的なストレスを与えます。

いびきによる振動は咽頭粘膜に慢性炎症を引き起こし、この炎症が下気道にまで波及して喘息の症状を悪化させる可能性が指摘されています。

また、習慣的ないびきは将来的に睡眠時無呼吸症候群へと進行するリスク因子でもあります。喘息をお持ちの方でいびきを指摘されている場合は、早めに睡眠の検査を受けておくことをおすすめします。

Q
睡眠時無呼吸症候群と気管支喘息が合併すると吸入ステロイドは効かなくなりますか?
A

完全に効かなくなるわけではありませんが、効果が弱まる可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群による間欠的低酸素は、気道の炎症パターンを好酸球優位から好中球優位へと変化させることがあり、好中球性の炎症は吸入ステロイドに対する反応が鈍いことが知られています。

そのため、吸入ステロイドの量を増やしても十分な改善が得られないケースが生じます。このような場合は、無呼吸の治療を並行して行うと、吸入薬の効果が回復する可能性があります。

Q
気管支喘息がある人が睡眠時無呼吸症候群を発症しやすいのはなぜですか?
A

喘息による慢性的な気道炎症が、呼吸中枢や上気道の筋肉の制御に影響を及ぼすためと考えられています。喘息患者さんは鼻炎の合併率も高く、鼻閉による口呼吸が上気道の閉塞を助長するという経路も関与しています。

大規模な疫学研究では、喘息患者さんは非喘息者と比べて約1.4倍、睡眠時無呼吸症候群を新たに発症しやすいことが報告されています。喘息の罹患期間が長いほどリスクは上昇するため、早い段階から睡眠の状態に気を配るのが望ましいでしょう。

Q
睡眠時無呼吸症候群の検査は喘息の主治医に相談すれば受けられますか?
A

多くの場合、喘息を診ている呼吸器内科の主治医に相談すれば、睡眠検査の手配や睡眠外来への紹介を受けられます。まずは日中の眠気や夜間のいびき、呼吸停止のエピソードなどを伝えてみてください。

簡易型の睡眠検査であれば自宅で実施できるものもあり、入院の必要がない場合もあります。検査結果に基づいて治療方針が決まりますので、思い当たる症状がある方は遠慮なく主治医に申し出ることをおすすめします。

参考にした文献