「最近、のどがかすれて声が出しにくい」「のどがヒリヒリして、何か飲み込むのもつらい」そんな経験はありませんか。
のどのかすれやヒリヒリ感は、日常生活で比較的よくみられる症状ですが、その背景には様々な原因が隠れていることがあります。
この記事では、のどのかすれやヒリヒリ感がなぜ起こるのか、考えられる主な原因と、ご自身でできる対処法、そして医療機関を受診する目安について詳しく解説します。
症状にお悩みの方が、少しでも安心して適切な対応をとれるよう、分かりやすく情報を提供します。
のどのかすれとヒリヒリ感 こんな症状ありませんか
のどのかすれやヒリヒリ感は、単独で現れることもあれば、他の症状を伴うこともあります。どのような症状に注意すべきか、具体的に見ていきましょう。
声が出しにくい 声が変わった
声のかすれは、声帯の振動がうまくいかないときに起こります。普段より声が出しにくかったり、声質が変わったり(がらがら声、しわがれ声など)することがあります。
無理に声を出そうとすると、さらにのどに負担をかける可能性があります。特に、電話の相手に声が聞き取りにくいと言われたり、歌を歌うのが困難になったりすることで自覚することが多いです。
声の変化が数日以上続く場合は、注意が必要です。
のどに異物感やイガイガ感がある
のどに何かが引っかかっているような感じ(異物感)や、イガイガ、チクチクとした不快感を覚えることがあります。これは、のどの粘膜が炎症を起こしたり、乾燥したりすることで生じやすい症状です。
唾を飲み込んでもすっきりせず、常にのどのことが気になってしまう方もいます。この不快感は、集中力の低下につながることもあります。
食べ物や飲み物を飲み込むときに痛む
嚥下時痛(えんげじつう)といって、食べ物や飲み物を飲み込む際に、のどに痛みを感じることがあります。痛みの程度は、軽い違和感から、食事をするのが困難になるほどの強い痛みまで様々です。
特に熱いものや刺激物がしみたり、固形物が通りにくく感じたりすることもあります。食事が十分に摂れないと、体力低下にもつながるため、注意が必要です。
発熱や倦怠感を伴う場合
のどの症状に加えて、発熱、頭痛、関節痛、体のだるさ(倦怠感)などの全身症状が現れることがあります。これらの症状は、ウイルスや細菌による感染症が原因である可能性を示唆します。
特に38度以上の高熱が出る場合や、全身の倦怠感が強い場合は、早めの対応が重要です。無理をせず、安静にすることが求められます。
のどの症状と全身症状の関連性
症状の組み合わせ | 考えられる状態 | 初期対応のポイント |
---|---|---|
のどのかすれ・ヒリヒリ感のみ | 声の使いすぎ、軽度の乾燥など | のどを休ませる、加湿 |
のどの症状 + 鼻水・くしゃみ | 風邪の初期、アレルギー | 保温、水分補給、アレルゲン回避 |
のどの症状 + 発熱・倦怠感 | ウイルス・細菌感染症 | 安静、水分・栄養補給、必要なら受診 |
なぜ?のどのかすれとヒリヒリ感の主な原因
のどのかすれやヒリヒリ感は、様々な原因によって引き起こされます。代表的な原因を理解することで、ご自身の状況を把握する手がかりになります。
風邪やインフルエンザなどの感染症
のどの不調の最も一般的な原因の一つが、ウイルスや細菌による感染症です。いわゆる「風邪症候群」やインフルエンザ、扁桃炎などがこれにあたります。
ウイルス感染
風邪の原因の多くはウイルス感染です。ライノウイルス、コロナウイルス(一般的な風邪の原因となるもの)、アデノウイルスなど、様々なウイルスがのどの粘膜に感染し、炎症を引き起こします。
これにより、のどの痛み、かすれ、発赤、腫れなどが生じます。ウイルスの種類によっては、発熱や鼻水、咳などの症状も伴います。
細菌感染
A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)などが代表的な原因菌です。細菌感染による扁桃炎では、のどに白い膿が付着したり、高熱が出たりすることがあります。
ウイルス感染に比べて症状が強く出やすく、適切な抗菌薬による治療が必要となる場合があります。
声の使いすぎや大きな声
教師、歌手、保育士など日常的に声をよく使う職業の方や、カラオケ、スポーツ観戦などで長時間大きな声を出した後などに、声がかすれたり、のどが痛くなったりすることがあります。
これは、声帯に過度な負担がかかり、炎症やポリープ(声帯ポリープ)、結節(声帯結節)などができるためです。一時的なものであれば安静にすることで改善しますが、慢性的に声を酷使すると、治りにくくなることもあります。
アレルギー反応(花粉症など)
スギやヒノキなどの花粉、ハウスダスト、ペットの毛などがアレルゲン(アレルギーの原因物質)となり、のどの粘膜でアレルギー反応を引き起こすことがあります。
これにより、のどのかゆみ、イガイガ感、咳、そして声のかすれなどが生じます。鼻炎症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)を伴うことが多く、目のかゆみなども現れることがあります。
特定の季節や環境で症状が悪化するのが特徴です。
逆流性食道炎
胃酸を含む胃の内容物が食道に逆流することで、食道の粘膜だけでなく、のど(咽頭・喉頭)まで炎症を起こすことがあります。これを咽喉頭酸逆流症(いんこうとうさんぎゃくりゅうしょう)と呼びます。
胸やけや呑酸(酸っぱいものが上がってくる感じ)といった典型的な逆流性食道炎の症状がなくても、のどの違和感、ヒリヒリ感、咳払い、声のかすれなどが主な症状として現れることがあります。
特に、食後や就寝中に症状が出やすい傾向があります。
逆流性食道炎とのどの症状
典型的な症状 | のどに出やすい症状 | 悪化しやすいタイミング |
---|---|---|
胸やけ、呑酸 | 声のかすれ、慢性の咳 | 食後、夜間・早朝 |
胃もたれ、げっぷ | のどの異物感、ヒリヒリ感 | 脂っこい食事の後 |
前かがみでの症状悪化 | 飲み込みにくさ | 就寝中(横になった時) |
喫煙や飲酒、刺激物の摂取
タバコの煙には多くの有害物質が含まれており、のどの粘膜を直接刺激し、慢性的な炎症を引き起こします。これにより、声がかすれたり、痰が絡みやすくなったりします。
長期間の喫煙は、喉頭がんなどのリスクも高めます。また、アルコール度数の高いお酒や、香辛料の効いた刺激の強い食べ物も、のどの粘膜を刺激し、炎症を悪化させる可能性があります。
乾燥した空気
空気が乾燥していると、のどの粘膜も乾燥しやすくなります。特に冬場や、エアコンの効いた室内では空気が乾燥しがちです。
のどの粘膜が乾燥すると、バリア機能が低下し、ウイルスや細菌に感染しやすくなったり、炎症が起きやすくなったりします。
朝起きた時にのどがイガイガしたり、声がかすれたりするのは、就寝中に口呼吸になり、のどが乾燥することが一因です。
その他(まれな原因)
上記以外にも、まれではありますが、以下のような原因でのどのかすれやヒリヒリ感が起こることがあります。
- 甲状腺の病気(甲状腺機能低下症など)
- 喉頭がんや咽頭がんなどの腫瘍
- 神経系の病気(反回神経麻痺など)
- 加齢による声帯の萎縮
- 特定の薬剤の副作用
これらの場合は、専門的な検査や治療が必要となるため、症状が長引いたり、進行したりする場合には注意が必要です。
自宅でできる のどのかすれとヒリヒリ感のセルフケア
のどの不快な症状は、日常生活での少しの工夫で和らげることができる場合があります。医療機関を受診するまでの間や、軽微な症状の場合に試せるセルフケアを紹介します。
のどを休ませる
声のかすれがある場合は、声帯に負担がかかっているサインです。できるだけ声を出さないように心がけましょう。筆談やジェスチャーを利用するのも一つの方法です。
また、ひそひそ話もかえって声帯に負担をかけることがあるため、避けた方が良いでしょう。どうしても話す必要がある場合は、小さな声で、ゆっくりと話すようにします。
声を休ませるための工夫
状況 | 具体的な工夫 | ポイント |
---|---|---|
会話が必要な時 | 筆談、メール、ジェスチャー | 無理に声を出さない |
電話 | できるだけ控える、短時間で済ませる | 相手に状況を伝える |
歌唱、長時間の会話 | 完全に避ける | 声帯の安静を最優先 |
十分な水分補給
のどの粘膜を潤すためには、こまめな水分補給が大切です。一度にたくさん飲むよりも、少量ずつ頻繁に飲むのが効果的です。水や白湯、カフェインの入っていない麦茶などがおすすめです。
冷たすぎる飲み物や熱すぎる飲み物は、のどを刺激することがあるため、常温に近いものを選ぶと良いでしょう。1日に1.5リットルから2リットルを目安に摂取しましょう。
室内の加湿
空気が乾燥していると、のどの粘膜も乾燥しやすくなります。加湿器を使用したり、濡れタオルを室内に干したりして、部屋の湿度を適切に保ちましょう。
特に就寝時は、口呼吸になりやすくのどが乾燥しやすいため、寝室の加湿は重要です。湿度の目安は50~60%程度です。加湿器がない場合は、お湯を張った洗面器を置くだけでも多少の効果があります。
うがいを習慣にする
うがいは、のどについたホコリや細菌、ウイルスなどを洗い流し、粘膜を潤す効果が期待できます。外出から帰宅した時や、のどの乾燥を感じた時に行うと良いでしょう。
うがい薬を使用するのも一つの方法ですが、刺激の少ないものを選び、使いすぎには注意が必要です。水やお茶(緑茶などカテキンを含むもの)でのうがいも効果的です。
刺激物を避ける食事
香辛料の多い食事、熱すぎるもの、冷たすぎるもの、アルコールなどは、のどの粘膜を刺激し、炎症を悪化させる可能性があります。症状がある間は、これらの摂取を控えるようにしましょう。
消化が良く、栄養バランスの取れた食事を心がけることが、体全体の抵抗力を高め、回復を助けます。
のどに優しい食事のポイント
- 柔らかく調理されたもの(おかゆ、うどん、スープなど)
- 薄味で、刺激の少ないもの
- 適度な温度のもの
こんな場合は医療機関へ のどのかすれ・ヒリヒリ感の受診目安
多くの場合、のどのかすれやヒリヒリ感は数日で改善しますが、中には医療機関での診察や治療が必要なケースもあります。以下のような場合は、自己判断せずに医療機関を受診することを検討しましょう。
症状が長引く場合(例 1週間以上)
セルフケアを行っても、のどのかすれやヒリヒリ感が1週間以上続く場合は、単なる風邪や一時的な声の使いすぎではない可能性があります。特に、症状が悪化していく傾向がある場合は注意が必要です。
慢性的な炎症や、他の疾患が隠れていることも考えられます。
呼吸が苦しい 息切れがある
のどの腫れがひどくなると、気道が狭くなり、呼吸がしにくくなることがあります。息苦しさ(呼吸困難)や、ゼーゼーという音(喘鳴)、息切れなどの症状が現れた場合は、緊急性が高い可能性があります。
特に、安静にしていても呼吸が苦しい場合は、速やかに医療機関を受診してください。
高熱が続く 全身状態が悪い
38度以上の高熱が数日続く場合や、強い倦怠感、食欲不振、脱水症状など、全身の状態が著しく悪い場合は、重症の感染症や他の疾患が考えられます。
特に高齢者や持病のある方は、症状が急速に悪化することがあるため、早めの対応が重要です。
受診を検討すべき症状のチェックリスト
症状 | チェック | 備考 |
---|---|---|
声のかすれが1週間以上続く | □ | 改善傾向がない場合 |
飲み込むのがつらい、食事がとれない | □ | 脱水や栄養不足の恐れ |
呼吸が苦しい、息切れがする | □ | 緊急性が高い可能性 |
38℃以上の高熱が3日以上続く | □ | 解熱剤を使用しても下がらない場合 |
首のリンパ節が明らかに腫れている | □ | 痛みを伴う場合など |
血痰が出る | □ | 少量でも注意 |
声が全く出ない 飲み込めない
声が全く出なくなってしまったり(失声)、唾液すら飲み込むのが困難なほどの強い痛みがある場合は、声帯やのどの炎症が非常に強い状態と考えられます。
無理に食事や水分を摂ろうとすると、誤嚥(食べ物や飲み物が気管に入ってしまうこと)のリスクもあります。専門的な評価と治療が必要です。
首のリンパ節の腫れが目立つ
のどの炎症に伴って、首のリンパ節が腫れることはよくありますが、その腫れが非常に大きかったり、硬かったり、痛みが強かったり、長期間続く場合は、詳細な検査が必要になることがあります。
まれに、リンパ腫などの他の病気のサインである可能性も否定できません。
医療機関で行われる検査と診断の流れ
医療機関では、症状の原因を特定し、適切な治療法を選択するために、いくつかの検査を行います。どのような検査が行われるのか、一般的な流れを知っておくと、安心して受診できるでしょう。
問診と視診
まず、医師が症状について詳しく尋ねます(問診)。いつから症状があるのか、どのような症状か、他に気になる症状はないか、持病やアレルギー、喫煙歴、飲酒歴、普段の生活習慣などについて確認します。
その後、口を開けてのどの状態を直接観察します(視診)。扁桃腺の腫れや発赤、膿の付着、咽頭粘膜の状態などをチェックします。
のどの内視鏡検査(ファイバースコープ)
のどの奥深くや声帯の状態を詳しく観察するために、細い管の先にカメラがついた内視鏡(ファイバースコープ)を用いることがあります。
鼻からのどに内視鏡を挿入し、モニターで粘膜の状態、声帯の動き、ポリープや腫瘍の有無などをリアルタイムで確認します。検査は数分程度で終わり、多くの場合、局所麻酔を使用するため、苦痛は比較的少ないです。
ファイバースコープ検査でわかること
観察部位 | 確認できる主な所見 | 関連する可能性のある疾患 |
---|---|---|
鼻咽腔 | アデノイドの腫れ、炎症 | 副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎 |
中咽頭・下咽頭 | 粘膜の発赤・腫脹、潰瘍、腫瘍 | 咽頭炎、扁桃炎、咽頭がん |
喉頭(声帯) | 声帯の発赤・腫脹、ポリープ、結節、麻痺、腫瘍 | 喉頭炎、声帯ポリープ、声帯結節、反回神経麻痺、喉頭がん |
細菌培養検査や迅速検査
細菌感染が疑われる場合、特に溶連菌感染症が考えられる場合には、のどの粘液を綿棒で採取し、迅速検査キットで原因菌を特定したり、培養検査で菌の種類や効果のある抗菌薬を調べたりします。
迅速検査は10~15分程度で結果が出ますが、培養検査は結果が出るまでに数日かかります。
血液検査や画像検査(必要に応じて)
炎症の程度を調べたり、全身状態を把握したりするために、血液検査を行うことがあります。白血球数やCRP(C反応性タンパク)の値などを確認します。
また、症状や所見によっては、頸部CT検査やMRI検査などの画像検査を行い、のどの深部や周囲の臓器の状態を詳しく調べることもあります。
のどのかすれとヒリヒリ感に対する治療法
治療法は、原因によって大きく異なります。正確な診断に基づいて、それぞれの状態に応じた治療が行われます。
原因に応じた薬物療法
薬物療法は、のどのかすれやヒリヒリ感の治療において中心的な役割を果たします。原因に応じて様々な種類の薬が用いられます。
感染症に対する薬
ウイルス感染が原因の風邪などの場合は、特効薬がないため、症状を和らげる対症療法が中心となります。解熱鎮痛薬、咳止め、痰を出しやすくする薬などが処方されます。
細菌感染(溶連菌感染症など)が原因の場合は、抗菌薬(抗生物質)による治療が必要です。医師の指示通りに、処方された期間、きちんと服用することが大切です。
アレルギーに対する薬
アレルギーが原因の場合は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬、ステロイド点鼻薬などが用いられます。アレルゲンの回避も重要です。
胃酸を抑える薬
逆流性食道炎や咽喉頭酸逆流症が原因の場合は、胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカーなど)が処方されます。食生活の改善と併せて治療を行います。
主な薬物療法の種類と対象
薬剤の種類 | 主な作用 | 対象となる主な原因 |
---|---|---|
解熱鎮痛薬 | 発熱、のどの痛みを和らげる | ウイルス感染、細菌感染など |
抗菌薬(抗生物質) | 細菌の増殖を抑える、殺菌する | 細菌感染症(溶連菌感染症など) |
抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬 | アレルギー反応を抑える | アレルギー性咽喉頭炎、花粉症 |
胃酸分泌抑制薬 | 胃酸の分泌を抑える | 逆流性食道炎、咽喉頭酸逆流症 |
去痰薬・鎮咳薬 | 痰を出しやすくする、咳を鎮める | 気道炎症に伴う咳・痰 |
生活習慣の改善指導
喫煙や過度の飲酒が原因の場合、禁煙や節酒が最も重要な治療となります。
逆流性食道炎の場合は、食事内容の見直し(脂っこいものや刺激物を避ける、食べ過ぎないなど)、食後すぐに横にならない、就寝時に頭部を高くするなどの生活習慣の改善が指導されます。
声の使いすぎが原因の場合は、声の衛生指導が行われます。
声の衛生指導や音声治療
声帯ポリープや声帯結節など、声の使いすぎが原因で生じた疾患に対しては、声の安静とともに、正しい発声方法を身につけるための音声治療(ボイスセラピー)が行われることがあります。
言語聴覚士などの専門家が、声帯に負担の少ない発声法や、のどのリラックス法などを指導します。
手術が必要な場合(まれなケース)
保存的な治療(薬物療法や生活習慣の改善など)で効果がない場合や、声帯ポリープが大きい場合、悪性腫瘍(がん)が疑われる場合などには、手術が検討されることがあります。
喉頭微細手術(ラリンゴマイクロサージェリー)や、がんに対する手術など、病状に応じた手術が行われます。
のどを健やかに保つために 日常生活での予防策
のどのかすれやヒリヒリ感を予防し、のどを健康に保つためには、日頃からの心がけが大切です。簡単に取り入れられる予防策を紹介します。
適切な声の使い方を意識する
長時間話し続けたり、大声を出したりすることを避け、のどに負担をかけないように意識しましょう。特に、騒がしい場所で無理に大きな声で話すのは禁物です。
話す際には、腹式呼吸を意識し、のどに力を入れすぎないようにすると良いでしょう。また、長時間話す必要がある場合は、途中で休憩を挟むようにしましょう。
こまめな水分補給と加湿
のどの粘膜は潤いを保つことで、バリア機能が正常に働きます。1日に1.5リットル程度の水分を目安に、こまめに摂取しましょう。
特に空気が乾燥しやすい季節や、エアコンの効いた室内では、加湿器を利用したり、マスクを着用したりして、のどの乾燥を防ぐことが重要です。
マスクは、自分の呼気に含まれる水分でのどを加湿する効果も期待できます。
加湿の工夫
- 加湿器の使用(湿度50-60%が目安)
- 濡れタオルや洗濯物を室内に干す
- 観葉植物を置く
- マスクの着用(特に就寝時)
禁煙と節度ある飲酒
喫煙は、のどの粘膜に慢性的な刺激を与え、様々な病気のリスクを高めます。禁煙することが、のどの健康を守る上で最も効果的な予防策の一つです。
また、アルコールの過度な摂取も、のどの粘膜を傷つける原因となるため、適量を心がけましょう。特に、アルコール度数の高いお酒を一気に飲むのは避けるべきです。
禁煙がのどにもたらす良い影響
禁煙後の期間 | 期待できるのどの変化 |
---|---|
数日~数週間 | 咳や痰の軽減、のどの刺激感の緩和 |
数ヶ月 | 気道の炎症改善、感染症リスクの低下 |
数年~ | 喉頭がんなどのリスク低下 |
バランスの取れた食事と十分な睡眠
体の免疫力を高め、粘膜を健康に保つためには、栄養バランスの取れた食事が不可欠です。ビタミンA(粘膜の保護)、ビタミンC(免疫力向上)、ビタミンE(血行促進)などを積極的に摂取しましょう。
また、十分な睡眠は、体の抵抗力を維持し、疲労回復を促します。規則正しい生活を送り、ストレスを溜めないことも、のどの健康につながります。
のどのかすれとヒリヒリ感に関するよくある質問
最後に、のどのかすれやヒリヒリ感に関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- Qのど飴は効果がありますか?
- A
のど飴には、のどの粘膜を潤したり、清涼感を与えたり、一部には炎症を抑える成分が含まれているものもあります。一時的な不快感を和らげる効果は期待できますが、根本的な原因を治療するものではありません。
糖分の多いものは虫歯の原因にもなるため、頼りすぎないようにしましょう。症状が続く場合は、医療機関を受診することをおすすめします。
- Qマスクの着用は有効ですか?
- A
はい、マスクの着用は有効な場合があります。マスクは、外部からのホコリや乾燥した空気、ウイルスなどの侵入をある程度防ぐ効果があります。
また、自分の呼気に含まれる水分でのどの粘膜が保湿され、乾燥を防ぐ助けになります。特に、空気が乾燥している場所や、人が多い場所では、予防として役立ちます。
- Q症状が改善しない場合、何科を受診すればよいですか?
- A
のどのかすれやヒリヒリ感が続く場合は、まず耳鼻咽喉科の受診を検討しましょう。耳鼻咽喉科は、鼻やのど、耳の専門家であり、ファイバースコープなどを用いた詳しい診察が可能です。
かかりつけの内科がある場合は、まずそちらで相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらうという方法もあります。
- Q子供でも同じような症状が出ますか?
- A
はい、子供でも大人と同様に、風邪や声の出しすぎ、アレルギーなどで、のどのかすれやヒリヒリ感といった症状が出ることがあります。
特に子供は、自分の症状をうまく伝えられない場合もあるため、保護者の方が声の変化や食事の様子、機嫌などを注意深く観察することが大切です。
症状が続く場合や、呼吸が苦しそうな場合は、早めに小児科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
受診時に医師に伝えると良いこと
項目 伝える内容の例 主な症状 いつから、どんな風に(かすれる、ヒリヒリするなど) 症状の経過 だんだん悪化している、良くなったり悪くなったりする、など 他の症状 発熱、鼻水、咳、痰、胸やけ、アレルギー症状など 持病・服用中の薬 高血圧、糖尿病、アレルギーなど。お薬手帳があれば持参 生活習慣 喫煙・飲酒の有無、職業(声をよく使うか)、最近の出来事(カラオケなど)
以上