1型糖尿病は、膵臓の中でインスリンを作る細胞が壊れ、自分の力ではインスリンをほとんど出せなくなる病気です。食べすぎや運動不足が原因だと考える方もいますが、その成り立ちは2型糖尿病とまったく異なります。生きていくために、毎日のインスリン補充が必要になります。
それでも、正しい知識と血糖管理の工夫があれば、仕事も運動も学校生活も、これまで通り楽しめます。1型と付き合いながら、自分らしい毎日を送っている人は大勢います。
このページでは、原因や治療の基本から、ポンプやCGMといった機器の使い方、医療費の助成、日常で気をつけたいことまでをまとめました。気になるテーマから、それぞれの記事へ進んでみてください。
1型糖尿病の原因は自己免疫の暴走|遺伝やウイルス感染との関わり

1型糖尿病の多くは、本来は体を守るはずの免疫が、自分の膵臓を誤って攻撃してしまうことで始まります。
生活習慣のせいだと思い込んでいる方も多いのですが、2型糖尿病とは根本から異なる病気です。
- 大半は自己免疫の異常で、インスリンを作る細胞が壊れていく
- 遺伝そのものより、なりやすい体質を受け継ぐ
- 風邪などのウイルス感染が引き金になることもある
親や兄弟に糖尿病の人がいると不安になるかもしれませんが、1型がそのまま遺伝することはまれです。受け継ぐのは発症のしやすさであって、必ず発症するわけではありません。
ウイルス感染をきっかけに免疫のバランスが崩れ、発症へ向かうケースもあります。原因をひとつに決めつけられないところが、この病気のむずかしさといえるでしょう。
インスリンポンプ療法(CSII)の仕組みと費用、向いている人

インスリンポンプ療法(CSII)は、小型の機器を体に付けて、インスリンを少しずつ自動で送り込む治療法です。
1日に何度も注射する方法と比べ、血糖の波をなだらかに保ちやすいのが魅力といえます。
- 注射の回数を減らしながら、細やかに血糖を調整できる
- 機器代や消耗品で費用はかかるが、健康保険が使える
- 血糖が乱れやすい人や、注射の負担が大きい人に向く
ポンプには、食事に合わせてインスリンを追加する機能や、夜間の量を細かく決める仕組みがあります。生活のリズムに合わせて動かせるため、勤務時間が不規則な方にも向いています。
導入には費用の心配がつきものでしょう。ただ、健康保険の対象になっており、医療費助成と組み合わせれば負担を抑えられます。主治医と話しながら、自分の暮らしに合うか見極めていきましょう。
CGM(持続血糖測定)の選び方|リブレとデクスコムの違い

CGM(持続血糖測定)は、腕やお腹に付けたセンサーで、血糖の動きを24時間追いかけられる機器です。
指先に針を刺す回数が減り、血糖が今どちらへ向かっているのかも目で確かめられます。
- センサーで血糖の変化を連続してつかめる
- フリースタイルリブレは手頃で扱いやすい
- デクスコムは警告機能が充実し、低血糖に気づきやすい
代表的な機器に、フリースタイルリブレとデクスコムがあります。リブレは価格を抑えやすく、初めて使う方にも親しまれてきました。デクスコムは、血糖が下がりすぎたときに音で知らせてくれる点が心強いところです。
どちらが合うかは、暮らし方や低血糖の起こりやすさで変わってきます。両者の違いをつかんだうえで、主治医と一緒に選んでいくと迷いが少なくなるでしょう。
子供の1型糖尿病|発症から治療、学校生活で気をつけたいこと

子供の1型糖尿病は、幼児から思春期まで幅広い年代で見つかります。
突然の発症に親御さんが戸惑うことも多いのですが、治療を続けながらすくすく育っているお子さんはたくさんいます。
- 成長に合わせて、インスリンの量をこまめに見直す
- 学校では、先生や養護教諭との情報共有が支えになる
- 低血糖への備えを、家庭と学校の両方で整えておく
学校生活では、給食や体育、宿泊行事のたびに血糖が動きます。担任や養護の先生に病気のことを伝え、低血糖になったときの対応を決めておくと、本人も周りも落ち着いて過ごせます。
成長期は体の変化が大きく、必要なインスリンの量も移り変わります。お子さん自身が少しずつ自分の体と付き合えるよう、家族がそばで見守る姿勢を大切にしたいですね。
1型糖尿病でも運動は楽しめる|スポーツ時の血糖管理のコツ

1型糖尿病だからといって、運動をあきらめる必要はありません。世界で活躍するアスリートのなかにも、1型と付き合いながら競技を続けている人がいます。
大切なのは、運動の前後で血糖をうまく整える工夫です。
- 運動中は血糖が下がりやすく、低血糖に注意する
- 運動前の補食やインスリン量の調整で予防できる
- 激しい運動の後、時間をおいてから下がることもある
体を動かすとブドウ糖をエネルギーとして消費するので、血糖は下がっていきます。長めの運動では、途中で軽く糖分を補うと安心でしょう。
種目や強さによって血糖の動き方は変わります。自分なりのパターンをつかんでおくと、調整がぐっと楽になります。
運動を終えて数時間後、夜になってから血糖が下がることもあります。CGMで動きを見ながら補食やインスリン量を整えれば、安心して体を動かす習慣が続けられるはずです。
ある日突然発症する劇症1型糖尿病|症状と緊急時の対応

劇症1型糖尿病は、その名の通り、ごく短い期間で急激に進む特殊なタイプです。
数日のうちに血糖が一気に上がり、命に関わる状態へ至ることもあります。風邪のような症状から始まり、見逃されやすいのが怖いところです。
- 発症からわずか数日で重症化する、急性のタイプ
- のどの渇きや吐き気、強いだるさが一気に押し寄せる
- 疑わしいときは、ためらわず医療機関を受診する
はじめは「ただの風邪かな」と思っているうちに、激しい口の渇きや吐き気、ぐったりとした倦怠感が押し寄せてきます。通常の1型糖尿病よりも進み方が速く、ためらっている時間はありません。
短い間に急に体調が崩れ、水分をいくら摂っても渇きがおさまらないようなときは、すぐに病院へ向かってください。早い受診が、その後の経過を大きく左右します。
1型糖尿病で使える医療費助成制度|自立支援や障害年金の申請

1型糖尿病の治療は一生続くため、医療費の負担を気にかける方は少なくありません。日本にはいくつかの公的な助成制度があり、条件を満たせば自己負担をぐっと軽くできます。
- 自立支援医療で、外来の窓口負担を抑えられる
- 子供は、小児慢性特定疾病の助成を受けられる
- 状態によっては、障害年金の対象になる場合がある
20歳未満のお子さんなら、小児慢性特定疾病(小慢)の制度が心強い支えになります。大人の場合は、自立支援医療を使うと、決められた医療機関での負担割合を下げられます。
血糖管理がむずかしく、日常生活や仕事に支障が出ているときは、障害年金を受け取れることもあります。どの制度も申請しないと使えないので、お住まいの自治体や主治医へ早めに尋ねてみてください。
1型糖尿病治療の副作用とリスク|低血糖と合併症への備え

インスリン療法は1型糖尿病に必要な治療ですが、付き合っていくうえで気をつけたい点もあります。
身近なのが低血糖で、長い目で見れば起こりうる合併症への備えも大切になってきます。
- インスリンが効きすぎると、低血糖が起こりやすい
- 冷や汗や手の震えは、低血糖のサイン
- 血糖を整え続けることが、将来の合併症予防につながる
低血糖は、インスリンが効きすぎたり食事が遅れたりしたときに起こります。冷や汗や動悸、手の震えといったサインを覚えておき、あめやジュースですぐ対処できるよう準備しておくと安心です。
血糖の高い状態が長く続くと、目や腎臓、神経に負担がかかります。毎日の管理は地道なものですが、こうした積み重ねが何年も先の体を守ってくれます。
気負いすぎず、自分に合った続けられる方法を見つけていきましょう。
2型と間違えやすいLADA(緩徐進行1型糖尿病)の特徴と診断

LADA(緩徐進行1型糖尿病)は、大人になってからゆっくり進む1型糖尿病です。
初めは2型として治療を始めることが多く、飲み薬で様子を見ているうちに、だんだんインスリンが足りなくなっていきます。
- ゆるやかに進むため、2型と見分けにくい
- 大人の発症が多く、太っていない人にも見られる
- 血液検査の自己抗体で、1型かどうか見分ける
「やせているのに2型と言われた」「飲み薬が効きにくい」といったときは、LADAが隠れていることがあります。進み方がゆっくりなぶん、見過ごされたまま時間が過ぎてしまうケースも珍しくありません。
見分ける手がかりになるのが、血液中の自己抗体を調べる検査です。早めに正しく診断できれば、インスリン治療への切り替えもなめらかに進みます。気になる方は主治医に相談してみてください。