甲状腺の病気と糖尿病は、一見すると別々の疾患に思えるかもしれません。しかし実際には、甲状腺ホルモンのバランスが崩れると血糖値のコントロールが大きく乱れることがわかっています。

バセドウ病では血糖値が急上昇しやすくなり、橋本病ではインスリンの効きが悪くなって糖尿病の悪化につながるケースも少なくありません。

この記事では、甲状腺疾患と糖尿病の深い関係を解説しながら、両方を抱える方が日常生活で気をつけるべき血糖管理のポイントをお伝えします。

目次

甲状腺と糖尿病が同時に起こりやすいのには内分泌系の共通した背景がある

甲状腺疾患と糖尿病は、どちらも内分泌(ホルモン)の異常が原因で発症します。そのため、片方を発症している方はもう片方のリスクも高まりやすいのです。

甲状腺ホルモンは血糖値を左右する強力な調節因子である

甲状腺から分泌されるホルモン(T3・T4)は、全身のエネルギー代謝を調節しています。肝臓でのブドウ糖の産生、筋肉でのブドウ糖の取り込み、膵臓からのインスリン分泌にまで影響を及ぼすため、甲状腺ホルモンの量が変動すると血糖値も連動して変わりやすくなるのです。

自己免疫が1型糖尿病と甲状腺疾患をつなぐ共通の引き金になっている

バセドウ病や橋本病は、どちらも免疫の異常(自己免疫)によって起こる病気です。1型糖尿病も膵臓のβ細胞(インスリンを出す細胞)が自己免疫で壊されることで発症します。遺伝的に自己免疫疾患を起こしやすい体質の方は、甲状腺の病気と1型糖尿病の両方を発症するリスクが高まります。

実際に、1型糖尿病の方のうち17〜30%が自己免疫性の甲状腺疾患を合併しているとの報告があります。これは「自己免疫性多内分泌腺症候群3型」と呼ばれ、内分泌の専門医の間ではよく知られた組み合わせです。

甲状腺疾患と糖尿病の関連

項目バセドウ病橋本病
原因自己免疫による甲状腺機能亢進自己免疫による甲状腺機能低下
血糖への影響血糖値が上昇しやすいインスリン抵抗性が悪化しやすい
糖尿病との併発率一般の約1.2倍一般の約2〜3倍
注意すべき病型1型・2型ともに2型糖尿病に多い

糖尿病の方が甲状腺機能異常を併発する確率は一般の2〜3倍にのぼる

2型糖尿病の方を対象とした調査では、甲状腺機能異常の有病率が9.9〜48%と報告されており、これは糖尿病のない方と比べて明らかに高い数字です。女性の2型糖尿病患者さんでは、男性と比べて甲状腺異常の割合がさらに高く、31.4%に達するとのデータもあります。

糖尿病が甲状腺に影響を及ぼすルートとしては、高血糖による視床下部(脳の一部)でのTSH分泌の抑制や、末梢組織でのT4からT3への変換効率の低下などが指摘されています。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)で血糖値が急上昇するのはなぜか

バセドウ病では甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるため、糖代謝が大きく乱れます。糖尿病をすでにお持ちの方はもちろん、これまで血糖値に問題がなかった方でも、バセドウ病の発症をきっかけに耐糖能異常(血糖値が下がりにくい状態)を起こすことがあります。

甲状腺ホルモンの過剰が肝臓からの糖放出を加速させる

甲状腺ホルモンが多すぎると、肝臓でのブドウ糖の新規合成(糖新生)が活発になります。加えて、肝臓に蓄えられたグリコーゲン(糖の貯蔵物質)の分解も進むため、血液中のブドウ糖の量が増えてしまいます。

この状態では、食事をしていないときでも空腹時血糖が高くなりやすく、糖尿病の方であればインスリンの必要量が増加することも珍しくありません。

食後の血糖スパイクが起こりやすくなる

バセドウ病になると消化管の動きが亢進するため、食べ物の吸収スピードが速くなります。その結果、食後に血糖値が急激に跳ね上がる「血糖スパイク」が出やすくなるのです。

持続血糖モニター(CGM)を使った研究でも、バセドウ病の患者さんは健常者と比べて食後の血糖変動幅が大きいことが確認されています。甲状腺の治療により甲状腺ホルモン値が正常に戻ると、この血糖変動も改善に向かうと報告されています。

バセドウ病の治療が進めば血糖コントロールは改善に向かう

バセドウ病の方で血糖値が高い場合、甲状腺の治療を優先的に行うことが大切です。抗甲状腺薬(メチマゾールやプロピルチオウラシルなど)で甲状腺ホルモン値を正常範囲に戻すと、インスリン抵抗性が改善し、高血糖が落ち着くケースが多くみられます。

ただし、治療の過程で甲状腺ホルモンが急激に下がると、今度は低血糖のリスクが出てきます。糖尿病の薬やインスリンの量を、甲状腺の治療状況に合わせてこまめに調整する必要があるでしょう。

バセドウ病が血糖に与える影響の整理

影響を受ける場所起こる変化血糖への結果
肝臓糖新生・グリコーゲン分解が亢進空腹時血糖の上昇
消化管糖の吸収速度が上昇食後血糖スパイクの発生
筋肉・脂肪組織インスリン抵抗性の悪化全体的な血糖上昇

橋本病による甲状腺機能低下が2型糖尿病のリスクを押し上げる

橋本病は甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気で、代謝全体がゆっくりになります。この代謝の鈍化が、インスリン抵抗性の悪化や体重増加を通じて糖尿病のリスクを高めることがわかっています。

代謝が低下するとインスリンが効きにくくなる

甲状腺ホルモンが不足すると、筋肉でのブドウ糖の取り込み効率が下がります。筋肉は体内でブドウ糖を消費する大きな受け皿ですから、そこでの利用が鈍ると血中にブドウ糖がだぶつきやすくなるのです。

研究では、甲状腺ホルモンが正常な範囲であっても、橋本病の自己抗体(抗TPO抗体)が高い方はインスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRが有意に高いとの結果が出ています。抗体の値が上がるほどインスリン抵抗性が強まる傾向も報告されており、自己免疫そのものがインスリンの効きに悪影響を与えている可能性があります。

体重増加と脂質異常が血糖管理をさらに難しくする

甲状腺機能が低下すると基礎代謝量が落ち、体重が増えやすくなります。同時にコレステロールや中性脂肪も上がりやすくなるため、肥満と脂質異常症が重なって糖尿病のコントロールが一段と難しくなるのです。

2型糖尿病と甲状腺機能低下症を併発している方は、糖尿病だけの方と比べてBMI(体格指数)が高く、HbA1cも上がりやすい傾向が報告されています。甲状腺の治療を適切に行い、代謝を正常な状態に近づけることが、体重管理と血糖コントロールの両方に大切です。

橋本病が糖代謝に及ぼす影響

変化糖尿病への影響対策の方向性
基礎代謝の低下体重増加・肥満のリスク上昇甲状腺ホルモン補充
筋肉での糖利用低下インスリン抵抗性の悪化運動療法の併用
脂質代謝の異常動脈硬化・合併症リスクの上昇脂質管理の強化

潜在性(サブクリニカル)甲状腺機能低下症でも油断できない

甲状腺ホルモン値は正常範囲だけれどTSH(甲状腺刺激ホルモン)だけが高い状態を「潜在性甲状腺機能低下症」といいます。自覚症状がほとんどないため見過ごされがちですが、この段階でもインスリン抵抗性や脂質異常が進行するリスクがあるのです。

特に高齢の女性では、血糖コントロールが悪い(HbA1c 9%以上)2型糖尿病患者さんで潜在性甲状腺機能低下症の頻度が有意に高いとの研究があります。症状がなくても甲状腺の検査を定期的に受けることで、早い段階から対処できるようになります。

甲状腺疾患がHbA1cの値を狂わせることがある

HbA1c(ヘモグロビンA1c)は過去1〜2か月の平均血糖値を反映する指標ですが、甲状腺の状態によっては実際の血糖値を正しく反映しないことがあります。血糖管理の判断を誤らないためにも、この「落とし穴」を知っておくことが大切です。

バセドウ病ではHbA1cが実際より低く出やすい

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)では、赤血球の寿命が短くなります。HbA1cは赤血球中のヘモグロビンにブドウ糖がどれだけ結合しているかを測る検査ですから、赤血球の入れ替わりが早まると、糖と結合する時間が短くなり、HbA1cが本来よりも低めに出てしまうのです。

バセドウ病の患者さんを対象にした研究では、HbA1cによる糖尿病の診断感度は34.9%にとどまり、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)に比べて大幅に低かったと報告されています。つまり、バセドウ病がある方はHbA1cだけで血糖値を判断すると、糖尿病を見逃してしまうおそれがあります。

橋本病ではHbA1cが高めに偏る傾向がある

橋本病による甲状腺機能低下症では、逆に赤血球の産生がゆっくりになります。赤血球が長く体内にとどまるぶん、ブドウ糖と結合するヘモグロビンの割合が増え、実際の平均血糖値よりもHbA1cが高く出てしまうことがあるのです。

糖尿病がないにもかかわらず甲状腺機能低下症の方でHbA1cが高値を示したという報告もあり、甲状腺ホルモンの補充療法を行うとHbA1cが正常化したとの結果が得られています。

血糖を正確に把握するには甲状腺の状態も一緒に確認する

甲状腺の異常がある方の場合、HbA1cだけでなく、食前・食後の血糖測定やグリコアルブミン(GA)などの指標も組み合わせて総合的に判断することが望ましいといえます。主治医に甲状腺疾患を伝えたうえで、適切な血糖評価の方法を相談してみてください。

HbA1cのずれが起こる条件

甲状腺の状態HbA1cへの影響推奨される追加指標
バセドウ病(機能亢進)実際より低く出やすいOGTT・GA
橋本病(機能低下)実際より高く出やすいGA・1,5-AG
甲状腺機能正常通常どおりHbA1cで評価可能

甲状腺と糖尿病を併発したときの血糖コントロールで押さえたいポイント

甲状腺疾患と糖尿病を同時に抱えている方は、どちらか一方だけを治療しても血糖値が安定しないことがあります。両方の病気を一体として管理する視点が、安定した血糖コントロールへの近道です。

インスリン量の調整は甲状腺の治療経過に合わせて行う

バセドウ病で甲状腺ホルモンが高い時期はインスリンの必要量が増え、治療により甲状腺ホルモンが下がると今度はインスリンが効きすぎて低血糖を起こすリスクがあります。反対に、橋本病の治療で甲状腺ホルモンの補充を始めると代謝が活発になり、一時的にインスリンの必要量が変動することもあるのです。

甲状腺の治療状況が変わるたびに血糖値の動きも変わりますから、自己判断で薬の量を増減するのではなく、必ず主治医と相談しながら調整を進めてください。

低血糖にも高血糖にも両方のリスクがあることを忘れない

甲状腺機能低下症では、消化管からの糖の吸収が遅くなったり、インスリンの分解が遅延したりすることで、思いがけない低血糖が起こることがあります。食事を抜いた後や運動後はとくに注意が必要です。

一方、甲状腺機能亢進症では高血糖が突然悪化して糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)を引き起こすケースも報告されています。体調の変化を感じたらすみやかに血糖を測定し、異常があれば医療機関に連絡する習慣を身につけておくと安心でしょう。

甲状腺の状態別に注意すべき血糖変動

甲状腺の状態高血糖リスク低血糖リスク
機能亢進(バセドウ病)高い治療開始後に注意
機能低下(橋本病)中程度比較的高い
治療中(移行期)変動しやすい変動しやすい

内分泌内科のかかりつけ医と二人三脚で薬をこまめに見直す

甲状腺と糖尿病の治療は、それぞれ別の科で受けている方もいるかもしれません。しかし、両方の病気はお互いに影響し合うため、できれば内分泌の専門医に一括して診てもらうか、情報を共有してもらう体制を整えることが大切です。

甲状腺の検査結果をお薬手帳に記録しておくと、糖尿病の主治医にも状況が伝わりやすくなります。些細な体調の変化でも遠慮せずに相談することが、安定した血糖管理につながるでしょう。

糖尿病の治療薬が甲状腺に影響を与えるケースも見逃せない

糖尿病の治療で使われる薬のなかには、甲状腺ホルモンやTSHの値に変化を起こすものがあります。甲状腺疾患を合併している方は、糖尿病の薬を選ぶ際にもこの点を考慮する必要があるでしょう。

メトホルミンがTSH値を下げるとの報告がある

2型糖尿病の第一選択薬であるメトホルミンは、甲状腺機能低下症の方でTSH値を低下させることが複数のメタ解析で示されています。これはメトホルミン自体が甲状腺ホルモンの産生を変えるのではなく、視床下部-下垂体-甲状腺軸への間接的な作用によるものと考えられています。

メトホルミンを服用中の方が甲状腺の検査を受ける場合、TSH値が見かけ上低くなっている可能性があることを主治医に伝えておくとよいかもしれません。

GLP-1受容体作動薬を使うときは甲状腺への安全性に配慮する

セマグルチドやリラグルチドなどのGLP-1受容体作動薬は、体重減少効果もあるため肥満を伴う2型糖尿病で広く使われています。しかし、動物実験の段階で甲状腺のC細胞腫瘍のリスクが指摘されたことから、甲状腺髄様がんの既往やその家族歴のある方には使用が推奨されていません。

現時点ではヒトにおけるリスクは確認されていないものの、甲状腺疾患をお持ちの方がこれらの薬を使用する場合は、主治医と十分に相談したうえで判断してください。

甲状腺の治療薬との飲み合わせに配慮が要る

橋本病の方がレボチロキシン(甲状腺ホルモン製剤)を内服している場合、一部の糖尿病治療薬や食品との間で吸収に影響が出ることがあります。レボチロキシンは空腹時に服用し、他の薬やサプリメントとの間隔を30分〜1時間あけるのが基本です。

甲状腺疾患がある方が気をつけたい糖尿病治療薬

  • メトホルミン……TSH値を低下させる可能性がある
  • GLP-1受容体作動薬……甲状腺髄様がんの家族歴がある方は使用を避ける
  • チアゾリジン系(ピオグリタゾンなど)……バセドウ病に伴う眼症がある方は慎重に検討する

甲状腺の異常を早期に発見するための定期検査はどのくらい受けるべきか

甲状腺疾患は自覚症状が乏しいことも多く、糖尿病の症状と区別しにくい場合があります。早期発見のためには定期的な甲状腺の検査が大切であり、とくに糖尿病を抱えている方は積極的に検査を受けることが推奨されています。

糖尿病の方は年に1回の甲状腺検査を受けてほしい

国際的な内分泌学のガイドラインでは、1型糖尿病の患者さんは診断時および定期的に甲状腺機能のスクリーニングを受けることが勧められています。2型糖尿病の方にも、血糖コントロールが安定しない場合や疲れやすさ・体重変動といった症状がある場合には、甲状腺の検査を年に1回程度受けることが推奨されます。

検査を受けるタイミングの目安

  • 1型糖尿病と診断されたとき
  • 血糖コントロールが原因不明で悪化したとき
  • 原因のわからない体重変動や倦怠感があるとき
  • 甲状腺疾患の家族歴がある方の年1回のスクリーニング

検査で確認する主な項目はTSH・FT3・FT4・抗体値

甲状腺の状態を調べる基本的な血液検査は、TSH(甲状腺刺激ホルモン)、FT3(遊離トリヨードサイロニン)、FT4(遊離サイロキシン)の3つです。TSHだけでも甲状腺機能のスクリーニングは可能ですが、異常が見つかった場合はFT3・FT4も併せて調べます。

自己免疫性甲状腺疾患の有無を確認するためには、抗TPO抗体や抗サイログロブリン抗体といった自己抗体の検査も行われます。1型糖尿病の方では、初回のスクリーニング時に抗体検査もセットで実施されることが多いです。

体の変化を感じたら早めに医療機関を受診する

「最近なんとなく疲れやすい」「急に体重が増えた(または減った)」「動悸がするようになった」「手の震えが気になる」——こうした変化は、甲状腺の異常を示すサインかもしれません。糖尿病の症状と重なる部分もあるため、自分では判断しにくいことがあるでしょう。

気になる症状があれば、次の定期受診を待たずに早めに医療機関で相談することをお勧めします。甲状腺の異常は血液検査で比較的簡単に見つけることができますので、過度に心配する必要はありません。むしろ「見つけて早く対処する」ことが、糖尿病のコントロールを守る一番の近道です。

よくある質問

Q
甲状腺疾患と糖尿病は同時に発症しやすいのですか?
A

甲状腺疾患と糖尿病は、どちらも内分泌系の異常から生じる病気であるため、同時に発症するリスクが高いことが多くの研究で報告されています。糖尿病の方は一般の方と比べて甲状腺機能異常の有病率が2〜3倍ほど高く、とくに女性や1型糖尿病の方で顕著です。

1型糖尿病の場合は自己免疫が共通の背景にあり、2型糖尿病の場合はインスリン抵抗性や高血糖が甲状腺ホルモンの代謝に影響を及ぼすことが関連しています。

Q
バセドウ病を治療すると糖尿病の血糖値は改善しますか?
A

バセドウ病の治療によって甲状腺ホルモンの値が正常範囲に戻ると、インスリン抵抗性が軽減し、高血糖が改善に向かうケースが報告されています。甲状腺機能が安定すれば、肝臓からの過剰な糖放出や食後血糖の急上昇も抑えられるようになります。

ただし、治療の途中で甲状腺ホルモンが急激に下がると低血糖のリスクが生じるため、糖尿病の薬やインスリンの量は甲状腺の治療経過に合わせて主治医と調整していくことが大切です。

Q
橋本病の甲状腺機能低下症はインスリン抵抗性を悪化させますか?
A

橋本病による甲状腺機能低下症は、筋肉でのブドウ糖の取り込み効率を低下させるため、インスリン抵抗性を悪化させる可能性があります。研究では、甲状腺ホルモンが正常でも抗TPO抗体の値が高い橋本病の方は、抗体がない方と比較してHOMA-IR(インスリン抵抗性の指標)が有意に高いとの報告があります。

甲状腺ホルモンの補充療法を行うことで代謝が改善し、インスリン抵抗性も緩和される傾向がみられます。

Q
甲状腺疾患があるとHbA1cの値が正しく反映されないのですか?
A

甲状腺疾患の種類によっては、HbA1cが実際の血糖値を正確に反映しないことがあります。バセドウ病(甲状腺機能亢進症)では赤血球の寿命が短くなるためHbA1cが低めに出やすく、橋本病(甲状腺機能低下症)では赤血球の寿命が延びるためHbA1cが高めに出やすくなります。

甲状腺疾患を併発している方は、HbA1cだけでなく食前・食後の血糖値やグリコアルブミンなど、複数の指標を組み合わせて血糖管理を評価してもらうことをお勧めします。

Q
糖尿病の方はどのくらいの頻度で甲状腺の検査を受けるべきですか?
A

1型糖尿病の方は診断時および年に1回程度、甲状腺機能(TSHなど)の検査を受けることが国際的なガイドラインで推奨されています。2型糖尿病の方についても、血糖コントロールが安定しない場合や、疲労感・体重変動・動悸といった原因不明の症状がある場合には、甲状腺の検査を積極的に受けてください。

甲状腺疾患の家族歴がある方や、甲状腺の自己抗体が陽性の方は、症状がなくても定期的なスクリーニングを続けることが望ましいです。

参考にした文献