メトホルミンは処方箋が必要な薬で、内科や糖尿病内科で診察と採血を受け、血糖や腎臓の働きを確かめてから処方が決まります。保険が使えるのは糖尿病の治療など承認された使い道に合う場合で、糖尿病のない方が減量を目的に使うと自費診療になります。

健診で血糖が高いと言われた方も、すでに飲んでいて通院の負担を減らしたい方も、結果票やお薬手帳を持って受診すると処方の話が具体的に進みます。オンライン診療は再診で使いやすく、採血や体の診察を受ける日は対面の受診を組み合わせます。

この記事では、メトホルミンの処方を受ける流れ、保険の対象となる条件、必要な検査と用量、オンライン診療と対面受診の組み合わせ方を解説します。

目次

メトホルミンの処方は内科・糖尿病内科の受診から

受診先は、糖尿病の診療を行う内科や糖尿病内科です。メトホルミンは処方箋が必要な薬で、薬局の店頭で自由に買って飲み始める薬ではありません。

初めて受診するときに持参する情報

健診で血糖の異常を指摘されているなら、結果票を持参すると、どの検査でどの程度高かったのかを診察で共有できます。すでに治療中なら、直近の採血結果に加えて、お薬手帳や現在の処方内容も役立ちます。

診察では、薬を希望する理由に加えて、これまでの治療と現在の体調を伝えましょう。食事や運動の取り組み、過去に薬で困った症状、ほかの病気で通院しているかも、処方を受ける前の判断に関わります。

診察から処方までの流れ

処方までには、糖尿病の状態を調べる診察と、薬を使えるかを確かめる検査が必要です。最近の検査結果を利用できるか、追加の採血が必要かによって、初回の受診で進められる範囲は変わります。

  • 受診 … 血糖の指摘、治療歴、現在の症状を共有
  • 検査 … 血糖、腎機能、肝機能などの確認
  • 説明 … 薬を使う目的、服用量、再診や検査の予定
  • 処方 … 診察と検査に基づく処方箋の発行、薬局での受け取り

強い体調不良があるときは、希望する薬の処方より、いま必要な診察や治療が優先されます。

希望した薬がそのまま処方されるとは限らない

メトホルミンは2型糖尿病で最初に検討される薬の1つですが、処方を受けるかどうかは診察で決まります。日本では、糖尿病の薬は年齢や腎臓の働き、体格などを踏まえて選び分けられています。

同じ血糖値でも、腎機能が保たれている方と低下している方では、薬の種類や使える量が違います。処方の希望とともに、飲み続けるうえで気になる点を受診時に整理しておきましょう。

個人輸入や診察を伴わないインターネット購入では、副作用が出たときの診察や必要な検査まで受けられる仕組みが保証されません。

メトホルミンに保険が使える治療の条件

2型糖尿病でメトホルミンを保険診療として使うには、承認された使い道に合うことが前提です。保険での処方は、診断と治療の必要性に基づいて決まります。

2型糖尿病では食事・運動による効果も踏まえる

薬の承認された使い方と注意点を記したメトグルコ錠の電子添文(添付文書)では、2型糖尿病の場合、食事療法・運動療法のみで十分な効果が得られない方などが対象とされています。食事療法・運動療法に、スルホニルウレア剤というインスリンの分泌を促す薬を加えても効果が不十分な場合も含まれます。

治療前の血糖だけでなく、すでに続けている食事や運動、薬の効果を踏まえて処方が判断されます。糖尿病と診断された方でも、希望だけで薬や量が決まるわけではありません。

処方の目的によって保険の扱いが変わる

保険の対象かどうかは、薬の名前だけでなく、何の治療として使うかで分かれます。糖尿病の治療と、糖尿病のない方が体重を減らす目的で使う場合とでは、保険の条件が異なります。

使う目的承認された使い道との関係受診時の確認点
2型糖尿病の治療承認条件を満たす治療は保険診療の対象診断とこれまでの治療効果
糖尿病のない方の減量減量目的は承認外で、自費診療処方の妥当性と診療全体の費用
糖尿病予備群での発症予防予防目的は日本の承認範囲外現在の診断と今後の検査計画

別の承認用途として、排卵が起こりにくくなる多嚢胞性卵巣症候群の一定条件下の治療もあります。こちらも病気の治療としての承認で、肥満だけを理由にした減量薬としての承認とは別のものです。

自費診療は薬代以外の負担も含めて捉える

糖尿病のない方が減量を目的に処方を受ける場合は、承認外の使用となり、自費診療の扱いです。糖尿病のない過体重・肥満の成人でも、メトホルミンによる体重の減り方は控えめです。

費用には、薬代のほか、診察や採血などの検査、薬の配送を利用するなら送料などが関わります。初回に表示されている費用だけでなく、継続時に必要な診察と検査まで含めて見積もると、続けたときの負担が見えてきます。

保険診療の自己負担割合は加入している保険で、自費診療で別途かかる費用は受診先で確かめましょう。

糖尿病予備群の研究と日本の処方条件を分ける

糖尿病予備群とは、血糖が正常より高いものの、糖尿病の診断に至っていない状態を指します。発症予防を目的とするメトホルミンの使用は、日本の電子添文に記載された承認用途に含まれていません。

米国で糖尿病ではないものの血糖が高めの3,234人を平均2.8年追った試験では、糖尿病の発症は偽薬に比べてメトホルミンで31%、食事と運動を中心とした生活習慣の改善で58%減ったと報告されています1)。ただ、この結果は、日本で保険を使って処方を受けるための条件とは別の話です。

健診結果に「境界型」などと書かれていたら、結果票をもとに現在の診断と次の検査時期を受診先で判断してもらいます。海外の予防研究を理由に薬を先に確保するより、血糖の状態に合わせて食事や運動を見直すところから始めましょう。

処方前後の採血で血糖・腎機能・肝機能を確認

採血は、薬が必要かと、飲み続けられるかを判断するために行います。最初の検査が良好でも、その後の体調や年齢による変化に合わせて検査を繰り返します。

血糖の状態と薬を使える体の状態を調べる

血糖値は血液中のブドウ糖の濃度で、HbA1cは過去の血糖の状態を反映する指標です。腎機能や肝機能も合わせて調べ、血糖を下げる必要性と、薬の使用に注意が必要な状態がないかを確認します。

検査・確認項目調べる理由処方後の見方
血糖値・HbA1c糖尿病の状態と治療の必要性を把握前回の結果と比べて効果を評価
腎機能・eGFR腎臓の働きから使用の適否や量を判断低下があれば処方を再評価
肝機能肝臓の状態を確かめて使用の適否を判断変化があれば体調と合わせて評価

eGFRは、血液検査などから推定した、腎臓が血液をろ過する力の指標です。検査結果票の数値だけで使用量を決めず、年齢や体調も含めて処方を受けます。

腎機能は飲み始めた後も変化する

腎臓の働きは、メトホルミンを始めた後も変わるため、継続中の採血が必要です。以前から同じ量で飲めていても、年齢とともに腎機能が低下した方では、処方を見直します。

軽度から中等度の腎機能低下では、状態を追いながら量を調整して使える場合があります。使用の可否と量は低下の程度で変わり、腎機能が下がった方には程度に合わせた量が選ばれます。

体調に変化がないと、採血を省きたくなる気持ちもあるでしょう。自覚症状だけでは腎臓の働きの変化を捉えにくいため、薬が足りている時期にも検査の予定を守ることが、処方を続ける前提になります。

検査の間隔は年齢と直近の結果で決まる

電子添文では、開始前と投与中に腎機能・肝機能を定期的に確認し、高齢の方など慎重な経過観察が必要な場合は、より頻回に確認するとされています。採血間隔は一律ではなく、診察で個別に決めます。

腎機能が安定している方と、最近低下した方では、次の検査までの間隔が違います。処方を受ける日に、次の採血をいつ、どの医療機関で受けるかを主治医と確かめましょう。

メトホルミンは少量で開始し、効果を見て調整

成人の2型糖尿病では、メトグルコ錠の電子添文上、通常1日500mgから始めます。量は血糖への効果や体調、腎機能などに応じて、一人ひとりに合う量へ調整されます。

飲み始め・維持量・上限の違い

飲み始めの量と、継続して使う維持量は区別されます。下の数値は成人の2型糖尿病に対する電子添文の記載であり、個々の処方量は診察で決まります。

区分電子添文の目安処方で判断する点
開始量通常1日500mg体調や検査結果を踏まえた開始
増やし方効果を観察して適宜増減血糖への効果と服用中の状態
維持量通常1日750〜1,500mg継続して必要となる量
最高投与量1日2,250mgまで上限まで使う必要があるか

1日量は、その日に飲む薬の合計です。錠剤1個の量や1回量と取り違えやすいため、薬の袋に書かれた規格と処方された錠数を対応させて把握します。

少ない量のまま続ける処方にも理由がある

日本の大企業の健康保険に加入する働く世代で、2014〜2017年に糖尿病の薬を開始した20,401人を調べた研究では、メトホルミンを始めた方の72.9%が1日500mg以下から開始していました2)。少量で始める処方は国内でも行われています。

同じ量を続けるか、増量するかは、血糖の改善と検査結果に照らして決まります。判断の中心になるのは、自分の血糖の推移と体の状態です。血糖が目標に近づいている方と、十分に下がっていない方では必要な対応が違うため、ほかの方の処方量ではなく自分の検査結果を目安にしましょう。

効果が不十分なときは治療そのものを再評価

電子添文では、3〜4か月投与しても効果が不十分な場合には、速やかにほかの治療法へ切り替えるとされています。薬の量だけを増やし続けるのではなく、血糖の推移と服用の状況を合わせて、治療を再評価する時期です。

効果を確かめる際には、処方どおりに飲めたか、飲み忘れや体調の変化があったかも判断に関わります。次の診察に向けて、実際に飲めていた量と困った点を記録しておきましょう。

オンライン診療で処方を受けるための条件

オンライン診療でも、診療に必要な情報がそろい、適切と判断されればメトホルミンの処方を受けられます。ただ、画面越しに相談はできても、採血や体の診察は来院して受けます。

初診の対応は予約前の案内で確認

初めて受診する医療機関での扱いや処方できる期間は、国の指針と受診先の診療体制に沿って判断されます。初診から利用できるか、紹介状や検査結果が必要かは、受診する医療機関の案内で確かめましょう。

以前に糖尿病と診断された方でも、現在の血糖や腎機能が分からなければ、追加の検査や対面受診を求められます。予約後の診察や検査によっては、希望した薬と異なる治療が提案されます。

再診ではこれまでの経過を共有しやすい

継続して通っている医療機関で、検査結果と処方内容が共有されている場合は、再診をオンラインで行えるか検討しやすくなります。体調が安定し、薬の服用状況を伝えられることも、診療方法を判断する材料です。

遠方への移動や仕事の調整が負担になっている方にとって、来院せずに診察を受けられる日は治療を続ける助けになります。利用の可否は、通院の大変さだけでなく、その日に対面の診察や検査が必要かどうかも含めて判断されます。

診察後の薬の受け取りまで予定に含める

オンラインで診察を受けた後も、処方箋の取り扱い、薬局での説明、薬の受け取りが必要です。対応する薬局や配送の有無によって受け取り方が変わるため、診察を終えた当日に薬が手元に届くとは限りません。

残りの薬が少なくなってから予約すると、診察や受け取りまでの間に不足するおそれがあります。手元の残数と次の予約日を結びつけて予定を立て、検査が必要と判断された場合に来院できる日も見込んでおくと安心です。

通信を使った診療で血糖の管理を続ける

オンライン診療では、処方を続けるだけでなく、検査結果と日々の服用状況を診察で伝えて治療に生かします。画面越しの診察でも、共有する情報が具体的なら、治療の見直しに必要な話を進められます。

遠隔での支援には血糖改善の報告がある

糖尿病の成人23,648人を含む111件の試験をまとめた解析では、通信を使う診療や支援を受けた群は通常診療の群に比べ、4〜12か月時点のHbA1cが平均0.28ポイント低かったと報告されています3)。遠隔でのやり取りは、血糖の管理を支える手段になり得ます。

こうした遠隔医療には、測定した値の送信や継続的な支援など、複数の方法が含まれます。利用するときは、診察の予約だけでなく、検査結果をどう届けて説明を受けるかまで決めておきましょう。

画面越しに共有したい服用と体調の記録

診察では、薬の服用状況、食事や活動の変化、前回からの症状を具体的に伝えます。「飲めています」という返答だけでは、飲み忘れた日や薬が足りなかった期間が伝わりにくくなります。記録は細かく整えることより、診療の判断に関わる出来事が分かることを優先しましょう。

血糖を自宅で測るよう指示されている方は、測定した日時と値も合わせて伝えます。

数値の変化を次の治療判断につなげる

検査結果は受け取るだけで終わらせず、前回との差と、その後の方針まで診察で共有します。血糖が十分に改善していないときには、服用状況や生活の変化を踏まえて、処方や受診方法を再評価します。

たとえば、自宅で次回のオンライン診療を準備しているときに、前回よりHbA1cが上がった結果票に気づいたら、検査日が分かる形で受診先に共有しましょう。その結果をもとに診察を受け、必要と判断された採血や対面受診の日程を決めます。

対面受診を組み合わせて通院の負担を減らす

採血や直接の診察を受ける日と、経過をオンラインで相談する日を組み合わせると、検査を保ちながら通院の負担を調整できます。どちらを選ぶかは、薬の残数だけでなく、その日の体調と必要な検査で決まります。

オンラインで扱いやすい内容と来院が要る場面

服用状況の聞き取りや結果の説明はオンラインでも行えます。採血を受けるときや、画面だけでは症状の評価が難しいときには、来院して対面で診察を受けます。

診療の内容オンラインで扱いやすい範囲対面での対応が必要な場面
薬の継続服用状況や残数の共有継続の判断に検査や診察が必要
検査結果結果の説明と治療方針の共有採血などの検査を実施
体調の変化症状の聞き取りと受診方法の相談直接の診察が必要、症状が強い

オンラインの予約日であっても、体調が変われば診療方法を見直します。強い体調不良があるときは予約日まで待たず、処方元へ連絡してください。

検査結果と連絡先を診療前に準備

オンライン診療では、検査結果や薬の情報を手元にそろえておくと、画面上のやり取りが進みやすくなります。検査を別の医療機関で受けた場合には、その結果も処方元へ届けます。

  • 検査結果 … 採血日と数値が分かる結果票
  • 薬の情報 … お薬手帳、現在の量、手元の残数
  • 体調の記録 … 前回の診察後に変わった症状や服用状況
  • 受診の連絡先 … 通信が途切れた場合や対面受診が必要な場合の窓口

共有する方法は受診先によって違うため、指定された送付先や診療用の仕組みを使います。

次の診察日と採血日を分けて予定する

次の診察がオンラインでも、その間に採血が必要なら、検査を受ける予定は別に確保します。薬が届く予定、診察日、採血日を1つの予定として捉えると、処方だけが続いて検査が抜ける事態を避けやすくなります。

診察の終わりに、次回の受診方法と採血の場所・時期を確かめましょう。予定どおりに検査へ行けなくなったときは、受診先に連絡し、採血結果がそろわない状態でどう診療を受けるかを決めます。

よくある質問

Q
メトホルミンは健診の結果票があれば処方してもらえますか?
A

結果票は役立ちますが、それだけで処方が決まるわけではありません。診察で現在の状態を確認し、結果票に腎機能や肝機能の値がない場合や、追加評価が必要な場合は検査を受けます。

予約時に結果票の検査日を伝え、持参する資料や当日の採血の有無を確かめましょう。すでに薬を飲んでいる方は、処方内容が分かるものも一緒に準備します。

Q
メトホルミンの薬が切れそうなとき、オンラインで相談できますか?
A

オンラインで相談できるかは、受診先の対応と、現在の状態を判断できる情報があるかで決まります。継続して受診している医療機関へ、残りの錠数と次の予約日を伝えて連絡してください。

追加の採血や対面受診が必要になると、診察から受け取りまでの予定も変わります。薬が届く見込みまで受診先と共有し、手元の薬は減らさずに処方どおり飲み続けます。

Q
メトホルミンを以前と同じ量で飲んでいても採血は必要ですか?
A

同じ量を続けている場合も、血糖や腎機能・肝機能は定期的に調べます。腎臓の働きは服用中にも変わり、以前の検査結果だけでは現在の処方の適否を判断できないためです。

検査の間隔は年齢や直近の結果で決まります。前回の診察で採血日が決まっていなければ、次の処方を受ける前に主治医へ確認しましょう。

Q
メトホルミンの1日量は、自分で増やしてもよいですか?
A

処方された量は、自己判断で増やさないでください。通常の維持量や最高投与量は全員に必要な量を示す数字ではなく、血糖への効果と腎機能などを踏まえて処方が決まります。

血糖の結果が気になる場合は、検査日と数値、実際に飲めていた量を処方元へ伝えます。次の診察を予定どおりに受けるか、早める必要があるかも、その情報をもとに判断されます。

参考にした文献