ウゴービの心血管への効果は、SELECTと名づけられた大規模な試験の結果として報告されました。組み入れられたのは、糖尿病がなく心血管疾患の既往を持つ、過体重または肥満の成人だけでした。
3年あまりの追跡で、心血管死と非致死性の心筋梗塞と脳卒中を合わせた発生は6.5%と8.0%でした。ハザード比は0.80で、この数字が示すのは、すでに病気を経験した人で次のイベントが抑えられた結果です。
まだ発症していない人での予防を裏づけた試験ではないため、この数字が届く範囲には注意が要ります。国内で承認された効能・効果に心血管疾患の抑制が入っていない点も含めて確かめていきます。
ウゴービの心血管イベントを調べたSELECT試験の設計
SELECT試験が集めたのは、糖尿病がなく心血管疾患の既往を持つ、過体重または肥満の成人だけでした。どんな数字が出たとしても、この入り口の狭さを外したまま読むと、意味がまるで変わってしまいます。
| 項目 | SELECT試験での設定 |
|---|---|
| 対象 | 45歳以上・心血管疾患の既往あり・BMI27以上・糖尿病の既往なし |
| 人数 | 17,604人(セマグルチド2.4mg群8,803人、プラセボ群8,801人) |
| 投与 | 週1回の皮下注射を1対1で割り付け |
| 主要評価項目 | 心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中の複合 |
| 追跡期間 | 平均39.8か月(標準偏差9.4か月) |
45歳以上で心血管疾患の既往がある人だけが入った
組み入れの条件は3点あり、年齢が45歳以上、心血管疾患の既往を持つ、BMIが27以上の体格でした。このうち一つでも欠けていた人は、そもそも試験に参加していません。
国内の電子添文でも、この試験の対象は心筋梗塞・脳卒中・末梢動脈疾患のいずれかの既往を持つ人と記されています。健診で体格や血圧を指摘されただけの段階にいる人は、この集団にはじめから含まれていませんでした。
年齢の下限が45歳に置かれた背景には、心血管イベントがある程度の頻度で起こる集団を集める狙いがあります。まれにしか起こらない出来事を数えるには、起こりやすい人をあらかじめ集めておくほかありません。
糖尿病のない過体重・肥満に絞られた対象
もう一つの大きな線引きは糖尿病で、既往のある人はこの試験の対象から最初から外されていました。血糖の高さで説明される心血管リスクを取り除いたうえで、体格そのものへの介入を見ようとした設計といえます。
参加者のベースラインのHbA1cを見ると、6.0%以上6.5%未満の層が31.9%を占めていました。糖尿病の一歩手前に位置する人が3割ほど含まれていた点も、数字を読むうえでの前提になってきます。
言い換えれば、血糖を下げる薬としての働きを確かめるために組まれた試験ではありませんでした。血糖が正常に近い人でも心血管イベントが減るのかどうかを、正面から問うた設計だといえるでしょう。
週1回2.4mgとプラセボを1対1で割り付けた
投与量は週1回2.4mgで、国内で肥満症に承認されている維持用量とちょうど同じ量にあたります。参加者17,604人を、セマグルチド群8,803人とプラセボ群8,801人にほぼ均等に振り分けています。
2型糖尿病に使うオゼンピックは上限が週1.0mgで、心血管の成績はSUSTAIN-6で報告されています。用量帯も対象も異なるため、SELECTの数字をそのまま重ねて読むわけにはいきません。
投与は0.25mgから始め、4週間の間隔をあけながら段階的に2.4mgまで上げていきます。試験でも実際の診療でも、はじめから維持用量を打つ使い方は選ばれていません。
平均39.8か月に及んだ追跡の長さ
薬またはプラセボに曝露された期間は平均34.2か月、追跡された期間は平均39.8か月に及びました。標準偏差はそれぞれ13.7か月と9.4か月で、途中で投与をやめた人も一定数いた計算になります。
短期間で体重が減ったかどうかを見た試験ではなく、3年以上かけて出来事の数を数えていった設計です。心血管イベントはそれほど頻繁には起こらないため、これだけの期間と人数がどうしても必要でした。
SELECT試験でウゴービが示した心血管イベントの減り方
主要評価項目の発生は、セマグルチド2.4mg群で6.5%、プラセボ群で8.0%でした。ハザード比は0.80、95%信頼区間は0.72から0.90で、プラセボに対する優越性が示されています。
6.5%と8.0%を分けたハザード比0.80
イベントが起きたのは、セマグルチド2.4mg群で8,803人中569人、プラセボ群で8,801人中701人でした。p値は0.001未満と報告されており、この差を偶然の揺らぎだけで説明するのは難しくなります。
| 項目 | セマグルチド2.4mg群 | プラセボ群 |
|---|---|---|
| 主要評価項目の発生 | 569人(6.5%) | 701人(8.0%) |
| ハザード比 | 0.80(95%信頼区間0.72〜0.90) | 比較の基準 |
| 有害事象による中止 | 1,461人(16.6%) | 718人(8.2%) |
ハザード比0.80は、追跡の期間を通してイベントの起こりやすさが2割低かったと読む数字です。信頼区間の上端が0.90にとどまる点からも、効果の向きは安定していると考えられます。
主要評価項目の中身は、心血管死と非致死性の心筋梗塞、そして非致死性の脳卒中の3つでした。どれか一つが最初に起きるまでの時間を見る設計で、同じ人のイベントを重ねて数えてはいません。
20%減が指しているのは相対的な差
20%の減少は相対的な減り方を表しており、絶対的な差は8.0%と6.5%を引いた1.5ポイントです。同じ一つの結果を語っていても、どちらの言い方を選ぶかで読み手が受ける印象は大きく変わります。
1.5ポイントは、3年あまりのあいだに100人あたりおよそ1.5人分の差に当たる計算です。小さく見えるかもしれませんが、心筋梗塞や脳卒中の重さを思えば軽い数字ではありません。
広告や記事の見出しでは、印象の強い相対的な数字のほうがどうしても取り出されやすくなります。自分の身に当てはめて考えるときには、絶対的な差のほうが実感に近い目安になってくれるでしょう。
副作用で薬をやめた人はプラセボの2倍
有害事象による恒久的な中止は、セマグルチド2.4mg群で1,461人(16.6%)、プラセボ群で718人(8.2%)でした。p値は0.001未満で、続けにくさの差は数字のうえでもはっきり出ています。
3年以上にわたって続けていく薬なので、この中止率は効果の数字と必ず並べて見ておきたいところです。コクランの系統的レビューでも、長期の追跡では中止に至る有害事象が増えると評価されています。
中止に至る理由の多くは胃腸の症状であり、量を増やしていく時期に集まりやすい傾向があります。効果を得るには年単位で続ける必要があるため、無理のない増量の進め方が大切になってきます。
ウゴービの心血管への効果は二次予防、SELECTに発症前の人は入っていない
SELECTが示したのは二次予防の効果です。心筋梗塞や脳卒中をすでに経験した人で次のイベントが抑えられた結果であり、発症前の人の一次予防を確かめた試験ではありません。
二次予防と一次予防はどこが違うのでしょうか?
二次予防とは、すでに心臓や血管の病気を起こした人が、二度目を防ぐために行う取り組みです。一次予防は、まだ起こしていない人が最初の発症を避けるための取り組みで、対象も期待できる効果の大きさも別物です。
再発しやすい集団ほどイベントの数そのものが多くなるため、同じ薬でも群の差は出やすくなります。逆にリスクの低い集団では、ハザード比が同じであっても実際に減る人数はずっと小さくなるでしょう。
同じ「予防」の一語が使われていても、指している中身はこのように違ってきます。SELECTの数字に触れるときは、どちらの予防を指す話なのかを最初に確かめておくと迷わずに済みます。
心筋梗塞・脳卒中・末梢動脈疾患の既往が入り口だった
電子添文の臨床成績の欄には、対象が心筋梗塞・脳卒中・末梢動脈疾患のいずれかの既往を持つ人だったと記されています。既往の中身まで含めて、参加できる人の枠はかなり具体的に決められていました。
41か国804施設で行われた試験で、参加者の平均年齢は61.6歳、男性が72.3%を占めていました。年齢の分布や性別の偏りを見ると、そのまま日本の外来で出会う人たちに重ねられるとは限りません。
既往の内訳としては、心筋梗塞と脳卒中だけでなく、末梢動脈疾患も入り口の一つに含まれていました。足の血管の病気を指摘されたことのある人も対象に入っていた点は、意外と見落とされやすい部分です。
健診でBMIだけ高い人にも当てはまるのでしょうか?
当てはめられません。SELECTは心血管疾患の既往を条件にしており、既往のない人でイベントが減るかどうかは、この試験からは分からないままです。
米国では、SELECTの組み入れ条件に当てはまる成人がどれくらいいるかを推計した研究も出ています。裏を返せば、条件に当てはまる人が成人全体のごく一部にとどまる点を示す試みでもありました。
体格の数字だけが気になっている段階なら、まず血圧や脂質、血糖の値と喫煙の有無を確かめるほうが先になります。心血管リスクの評価は、体重計の数字だけでは決まりません。
- 心筋梗塞や脳卒中の既往がない人
- 2型糖尿病と診断されている人
- 45歳に届かない年齢の人
- BMIが27に届かない人
上に並べたいずれかに当てはまる場合、SELECTの数字をそのまま自分の見通しとして読むのは難しくなります。自分に近い条件で行われた研究があるかどうかを、主治医と一緒に確かめていく形になります。
ウゴービの心血管への効果は、体重が減ったからでしょうか?
体重減少だけで説明はつきません。事前に決められた解析は、心血管イベントの抑制がもとの肥満度とも体重の減り方とも独立していたと述べています。
4年で体重は10.2%減り、プラセボは1.5%減だった
208週の時点で、セマグルチド群の体重は10.2%、腹囲は7.7cm減っていました。プラセボ群はそれぞれ1.5%と1.3cmにとどまり、いずれの比較でもp値は0.0001未満でした。
体重の減少は投与を始めてから65週あたりまで続き、その後も4年にわたって保たれていました。減量そのものは確かに大きく、心血管への効果とそのまま結びつけたくなる数字ではあるでしょう。
身長に対する腹囲の比も6.9%下がっており、体格に関する指標はそろって同じ向きに動いています。これだけそろって動けば、心血管の結果も体格の変化のせいだと考えたくなるところでしょう。
事前に決めた解析は体重減少と独立と述べた
2025年に報告された事前規定の解析では、20週時点の体重減少とその後のイベント発生に直線的な関連は見られませんでした。効果の大きさは、もとの体重や腹囲をどの区分で切っても一貫していました。
プラセボ群ではむしろ、体重が減った人でイベントが増える逆向きの関連が観察されています。体重の増減そのものが心血管の結果を決めているわけではない、と読める所見だといえます。
セマグルチド群では、もとの体重が5kg軽いごとにイベントのハザード比が0.96と報告されました。95%信頼区間は0.94から0.99で、もともと軽い人ほどイベントが少ない関係を示しています。
腹囲の縮みで説明できたのは3分の1ほど
同じ解析は、腹囲の減少が効果の約33%を媒介したと推定しています。時間とともに変わる腹囲で調整した後のハザード比は0.86、95%信頼区間は0.77から0.97でした。
残りの3分の2ほどは、体格の変化とは別の道筋で説明されなければならない計算になります。著者らも脂肪の減少を超えた作用があると解釈しており、この点はまだ議論の途中にあります。
この解析が報告された後も、専門誌の誌上では結果の読み方をめぐるやり取りが続いているところです。どこまでが減量による効果で、どこからが別の作用によるものなのかは、まだ決着していないままです。
炎症や血糖の指標はどう動いたのでしょうか?
血糖については、もとのHbA1cで分けても、20週までの変化量で分けても、心血管への効果は一貫していました。血糖が下がったからイベントが減った、とは言い切れない結果になっています。
炎症の指標では、STEP試験の解析で68週時点のCRPがプラセボ比で39%から48%低下したと報告されています。ただし体重減少と並行して起きた変化であり、どちらが先なのかまでは決まっていません。
血圧や脂質の値も同じ方向へ動くため、効果の道筋を一つに絞りきるのはとても難しくなります。いくつもの変化が重なった結果としてイベントが減った、と考えるのが今のところ自然でしょう。
| 着目された指標 | 報告されている内容 |
|---|---|
| 腹囲 | 減少が心血管イベント抑制の約33%を媒介したと推定 |
| 体重 | 20週時点の減少と、その後のイベント発生に直線的な関連なし |
| HbA1c | もとの値でも変化量でも、効果の大きさは一貫 |
| CRP | STEP試験の解析で68週時点にプラセボ比39〜48%低下 |
国内でウゴービの心血管への効果はどう扱われているのか
国内でのウゴービは、肥満症と、肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎に対する薬として承認されています。心血管疾患の抑制は、承認された効能・効果には入っていません。
承認された効能・効果は肥満症と脂肪肝炎の2つ
肥満症については、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを持ち、食事療法と運動療法で十分な効果が得られない場合に限られます。そのうえで、BMIの数値に関する基準がさらに重ねられています。
脂肪肝炎については、中等度または高度の線維化がある場合に限ると電子添文に定められています。どちらの効能にも細かい条件が付いており、体重を減らしたい人が一律に使える薬ではありません。
| 電子添文の欄 | 書かれている内容 |
|---|---|
| 効能・効果 | 肥満症(条件付き)と、肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(条件付き) |
| 用法・用量 | 0.25mgで開始し4週間隔で増量、維持は週1回2.4mg |
| 臨床成績 | SELECT試験の対象・例数と、ハザード比0.80 |
用量は0.25mgから始め、4週ごとに0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mgと上げていきます。維持用量の2.4mgは、SELECT試験で使われた量とちょうど同じです。
SELECTの成績は臨床成績の欄に載っている
電子添文の臨床成績には、SELECT試験の対象と例数、ハザード比0.80と95%信頼区間0.72から0.90が記載されています。効能・効果の欄ではなく、あくまで成績を紹介する欄に置かれている形です。
試験の結果が電子添文に載っている点と、その用途で承認されている点は、まったく別の話です。電子添文を読むときは、どちらの欄に書かれている情報なのかを確かめると混乱が減ります。
心血管の抑制を目的にした処方は想定されていない
効能・効果の外にある目的で薬を求めても、それだけでは処方する根拠にはなりません。心血管リスクが気になる場合は、血圧や脂質、喫煙といった別の管理のほうが先に検討されます。
ウゴービを使うかどうかの判断は、あくまで肥満症または脂肪肝炎の診断と条件に沿って行われます。心血管への効果は、その判断のあとに付随して語られる情報にとどまるでしょう。
- 効能・効果と、そこに付いた条件
- 用法・用量と増量の間隔
- 禁忌と、慎重な判断が要る状態
- 臨床成績に載る試験の対象
これらの欄は、医薬品医療機器総合機構のサイトで公開されている電子添文から誰でも確かめられます。気になる記載を見つけたら、その画面を持って診察で相談すると話が早く進みます。
ウゴービと心血管リスクの治療をどう並べていくか
ウゴービを使う場合でも、心血管リスクの治療はこれまでどおり続けていきます。食事療法と運動療法を土台に置いたうえで、血圧や脂質の薬と並べて組み立てる形が前提になります。
食事療法と運動療法が土台に置かれている
電子添文は、肥満症に使う場合には食事療法・運動療法と併用して投与するよう求めています。生活の見直しを外して薬だけで組み立てる使い方は、承認された条件からはみ出してしまいます。
生活習慣の改善とGLP-1受容体作動薬を組み合わせた33件の試験をまとめた解析では、対照群と比べて平均7.13kgの体重減少が報告されました。収縮期血圧の低下も3.99mmHgと報告されています。
薬を使い始めた後であっても、食事と運動の積み重ねが結果を左右する点は変わりません。土台が崩れてしまえば、同じ量を打ち続けていても得られるものは小さくなっていくでしょう。
血圧や脂質の薬を自分の判断で止めない
体重が減っていくと血圧や脂質の値も動くため、これまでの薬が効きすぎる場面も出てきます。ただし量の調整は処方元が判断するもので、自分で減らしたり止めたりする使い方は避けます。
血糖を下げる薬をあわせて使っている場合は、低血糖の出やすさそのものが変わってきます。冷汗や強い空腹感、手のふるえが出たときは、我慢せずに処方元へ連絡してください。
診察の間隔があくときほど、家庭で測った血圧の記録がその後の判断の助けになります。数字が続けて低いときも高いときも、次の受診を待たずに一報を入れておくと安心でしょう。
やめた後に体重と血圧が戻ると報告されている
GLP-1受容体作動薬の中止後を追った18件の試験の解析では、肥満のある人で平均5.63kgの体重増加が報告されています。HbA1cは0.25%上がり、腹囲や収縮期血圧も同じ向きに戻っていました。
セマグルチドでは、リラグルチドと比べて体重の戻り幅が大きくなる傾向も示されています。始める前から中止の計画まで含めて相談しておくと、やめた後の見通しが立てやすくなるでしょう。
体重や血圧が元に戻っていけば、心血管リスクを見積もる前提も一緒に動いていきます。中止した後にイベントがどう変わっていくかは、SELECT試験の枠の外に置かれた問いです。
次の診察を待たずに相談したい変化
心血管に関わる症状は、次の診察まで待てるものと待てないものがはっきり分かれます。下に並べたような症状が出たときは、次の予約を待たずに連絡や受診を選んでください。
- 締めつけられるような胸の痛み
- 片側の手足に力が入らない
- ろれつが回らない、言葉が出ない
- 急に息が切れる、横になると苦しい
- 嘔吐を伴う強い腹痛が続く
薬を続けている最中は、体重の変化だけでなく血圧と脈の記録も判断の役に立ちます。まとめた数字を診察に持参すると、量の調整をめぐる話し合いが早く進みます。
胃腸の症状が強くて水分もとれない日が続くときは、脱水から腎臓に負担がかかっていきます。我慢して続けるより、早めに連絡して指示を受けるほうが安全です。
よくある質問
- Qウゴービは心臓の病気を防ぐ目的で使えますか?
- A
国内で承認された効能・効果は、肥満症と、肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎の2つです。心血管疾患の抑制は効能・効果に入っていないため、その目的だけで処方される薬ではありません。
SELECT試験の成績は、電子添文の臨床成績の欄に載せられています。試験で示された結果と、承認された用途とは別のものとして扱われる点を押さえておくと混乱しません。
- QウゴービのSELECT試験の結果は、糖尿病のある人にも当てはまりますか?
- A
SELECT試験は、糖尿病の既往がない人だけを集めた試験です。2型糖尿病のある人での心血管の成績は別の試験で調べられており、そのまま重ねて読むのは適切ではありません。
参加者のHbA1cは6.5%未満の範囲に収まっていました。糖尿病の一歩手前に位置する人が多く含まれていた点も、数字を読むときの前提になってきます。
- Qウゴービとオゼンピックは同じ成分ですが、心血管の結果も同じですか?
- A
有効成分はどちらもセマグルチドですが、用量帯も承認された効能も違います。オゼンピックは2型糖尿病に使う薬で上限は週1.0mg、心血管の成績はSUSTAIN-6で報告されました。
SELECT試験で使われたのは週2.4mgで、対象は糖尿病のない人でした。試験が違えば対象も用量も違うため、両者の数字を入れ替えて語るわけにはいきません。
- Qウゴービの心血管への効果は、体重が減らなくても得られますか?
- A
事前に決められた解析では、20週時点の体重減少とその後のイベント発生に直線的な関連は見られませんでした。腹囲の減少で説明できたのは効果の約33%と推定されています。
残りをどう説明するかについては、まだ結論が出ていません。体重が変わらなくても同じ効果が得られる、と言い切れる段階ではないと考えられます。
- Qウゴービをやめると心血管への効果はどうなりますか?
- A
中止した後に心血管イベントがどう変わるかは、SELECT試験からは分かりません。ただしGLP-1受容体作動薬をやめた後には、体重やHbA1c、血圧が戻ると報告されています。
中止の時期と、その後の生活の組み立てについては処方元と相談しながら決めていく部分です。自己判断で中断してしまうと、戻り幅がかえって読みにくくなります。


