糖尿病の治療を続けている方がEDに気づいたとき、泌尿器科と糖尿病の主治医のどちらか一方を選ぶ必要はなく、両方へ伝えておくと話が前へ進みます。

EDは性の悩みという側面だけでなく、血糖や血圧、血管と神経の状態を映す体からの知らせでもあり、糖尿病の治療内容そのものを見直す手がかりになります。

泌尿器科では問診票や質問票で今の状態を言葉にしたうえで、血液検査や体の診察を組み合わせ、必要に応じて内科と連絡を取りながら方針を組み立てていきます。

相談の目安、専門外来で行われる診察の流れ、費用の確かめ方を順に並べました。

目次

糖尿病のEDは泌尿器科と内科のどちらへ相談するとよいか

どちらか一方に絞る必要はありません。通院している糖尿病の主治医にまず伝え、そのうえで泌尿器科の相談へ進むと、検査や薬の重複を避けながら原因の切り分けが進みます。

相談先主に確かめるもの相談の入り口になる場面
糖尿病の主治医(内科)血糖の推移、飲んでいる薬、神経障害や血圧の状態定期の診察や検査結果の説明を受けるとき
泌尿器科勃起の状態、排尿の様子、男性ホルモン、前立腺の状態排尿の悩みが重なったとき、性機能の相談をしたいとき
両方心臓や血管への負担、治療全体の組み合わせ胸の症状や足のしびれが同じ時期に出てきたとき

糖尿病の主治医に伝えると変わるもの

EDの背景には血糖の管理状況や糖尿病の期間が関わるため、主治医へ伝えると、そこを起点に治療全体を組み直す流れが生まれます。薬の内容や神経障害の進み具合を把握しているのは、ふだん診ている側だからです。

南イランの糖尿病外来に通う2型糖尿病の男性390人を調べた研究では、性機能の低下がHbA1c(オッズ比1.45、95%信頼区間1.07〜1.95)や糖尿病の期間(同1.04、1.01〜1.07)と関連していました。

この研究は心疾患や腎不全の既往がある方を除いた集団を対象にしており、そのまま誰にでも当てはまるわけではありません。それでも血糖の管理が相談の土台になるという点は、多くの場面で共通しています。

泌尿器科が引き受ける範囲

泌尿器科は勃起の状態だけを診る科ではなく、排尿の悩みや男性ホルモン、前立腺の状態まで含めて下半身の不調を扱います。EDだけを切り離して相談する必要はありません。

糖尿病のある男性では、勃起の問題と排尿の問題が同じ時期に現れるのが珍しくなく、片方だけを伝えるともう片方が置き去りになりがちです。1型糖尿病の長期経過を追ったDCCT/EDIC研究では、EDと下部尿路症状の両方を訴えた男性が15%にのぼりました。

どこまでを泌尿器科で診てもらえるのかが分からないまま迷っているうちに時間が過ぎるより、気になる不調をひととおり並べて相談するほうが近道になるでしょう。

二つの科がつながると何が変わる?

内科と泌尿器科がそれぞれの情報を持ち寄ると、薬の重なりを避けながら、血管・神経・ホルモンのどこに重心があるのかを絞り込みやすくなります。同じ検査を二度受ける手間も減ります。

血圧の薬や気分の落ち込みに使う薬が影響している場合もありますが、自分の判断でやめると別の危険が生じるため、処方している医師と相談しながら調整していく必要があります。

糖尿病の薬とEDの関わりを調べた研究もあり、米国の診療記録の解析では、DPP-4阻害薬と比べGLP-1受容体作動薬を始めた男性でEDの発生率がやや高いという結果が出ました。ただし補正を加えると差ははっきりせず、著者らは因果関係を示すものではないと述べています。

どちらの科にかかるときも、お薬手帳と直近の検査結果を持っていくと、同じ説明を繰り返さずに済みます。限られた診察時間を、症状そのものの話に使えます。

糖尿病でEDが起こる背景と泌尿器科が確かめる手がかり

血管、神経、ホルモン、気持ちという4つの要素が重なって起こります。泌尿器科では、この重なり方を問診と検査で少しずつほどいていきます。

血管の内側が傷むと血液が届きにくい

高い血糖が続くと血管の内側を覆う膜が傷み、血液の通り道が広がりにくくなるため、勃起に必要な血流を確保しづらくなります。血糖の問題が、そのまま血流の問題として表に出てくる形です。

糖尿病を発症して1年以内の男性を対象にしたドイツの調査では、糖尿病のある男性のED有病割合が23%で、糖尿病のない男性の11%を上回っていました(p=0.004)。発症から間もない時期でも、すでに差が生じていたわけです。

血流の低下は足の冷えやしびれとして現れることもあり、泌尿器科の問診で足の症状を尋ねられるのは、同じ血管の話につながっているからです。

神経の傷みは排尿の悩みと一緒に出やすい

自律神経や末梢神経が傷むと、勃起の指令だけでなく、膀胱に尿をためて出すはたらきにもずれが生じます。糖尿病の自律神経障害は心臓や消化管、泌尿生殖器、発汗など複数の場所に現れると整理されています。

DCCT/EDIC研究では、末梢神経障害が確認された男性は、確認されなかった男性に比べ、EDと下部尿路症状の両方を訴えるオッズが3.52倍(95%信頼区間1.69〜7.31)と報告されました。年齢や飲酒、BMI、平均HbA1cなどで調整した後の値です。

  • 夜中に起きる回数が増えた
  • 尿の勢いが以前より弱い
  • 出はじめるまでに間がある
  • 出し切れていない感じが残る
  • 急に強い尿意がやってくる

こうした変化は年齢のせいと片づけられがちですが、EDと同じ根を持つ場合があり、まとめて相談すると背景の見通しが立ちやすくなります。どちらが主の悩みかを自分で決めておく必要もありません。

血糖の状態や糖尿病のタイプによる差

同じ糖尿病でも、インスリンの効きにくさが強いタイプでEDの割合が高い傾向が示されています。背景が一様でないため、相談の入り口も人によって変わります。

発症まもない糖尿病を5つの型に分けたドイツの研究では、インスリン抵抗性の強い型でED有病割合が52%、自己免疫性の型で7%と、型によって大きく開きました。インスリン分泌の少ない型では31%という数字も示されています。

数字をそのまま自分に当てはめる必要はありませんが、糖尿病のタイプや体格、血糖の推移によって背景が違うという点は、相談の入り口として知っておくと役立ちます。

気持ちの負担も重なってくる

一度うまくいかなかった経験が不安につながり、その不安がさらに影響するという重なりも、EDではよくみられます。体の要因と気持ちの要因は、はっきり切り分けられるものではありません。

ポーランドで1型糖尿病の若い世代を調べた研究では、男性の34.4%、女性の28.4%が性機能の問題を報告しており、年齢が若いから無関係とはいえない実情がうかがえます。

泌尿器科の問診では、いつから、どんな場面で、どの程度かを尋ねることで、体と気持ちの重なり方を見立てていきます。うまく言葉にならない部分があっても構いません。

EDを泌尿器科へ相談するタイミングの目安と急いだほうがよい合図

おおむね3か月ほど続いたら相談の目安です。ただし胸の痛みや息切れ、尿がまったく出ないといった症状が重なるときは、その時点で医療機関へ連絡する場面にあたります。

どれくらい続いたら相談してよい?

疲れや飲酒、睡眠不足で一時的に変わるのは誰にでもあり、数日から数週間で戻るなら体の不調とは限りません。まず経過をみるという判断も成り立ちます。

一方で3か月ほど続く、あるいは頻度が明らかに減っていく場合は、血管や神経、ホルモンの変化が背景にあると考えて相談する時期にあたります。糖尿病の期間が長いほど、その見方は現実味を帯びます。

待つ理由が「恥ずかしいから」だけであれば、待つ意味はほとんどありません。早い時点で相談したほうが、選べる手立ても多く残ります。

排尿の変化が重なってきたとき

尿の勢いや回数の変化がEDと同じ時期に出てきたときは、神経や前立腺の状態も含めて確かめる場面です。泌尿器科であれば、どちらも一度の受診で相談できます。

インド南部で50歳以上の男性560人を調べた地域調査では、前立腺肥大を思わせる下部尿路症状が10.32%(95%信頼区間5.7〜18.0)にみられ、糖尿病のある方では調整後の有病比が2.58倍(同1.26〜5.30)と報告されました。

この数字は日本の集団のものではありませんが、糖尿病と排尿の悩みが結びつきやすいという傾向は、相談先を選ぶうえでの手がかりになるでしょう。

その日のうちに連絡したい合図

胸の圧迫感や締めつけ、少し動いただけの息切れが重なるときは、EDよりも先に心臓の評価が要ります。順番を入れ替えないほうが安全です。

尿がまったく出ない、下腹部が張って苦しい、発熱を伴う排尿の痛みがあるといった状態も、様子をみる場面ではなく、その日のうちに医療機関へ連絡する状況にあたります。

足のしびれや傷の治りにくさが同時にあるときは、神経障害や血流の低下が進んでいる場合があるため、糖尿病の主治医にも早めに伝えておきます。足の傷を自分で処置して様子をみる形は避けます。

健診で血糖を指摘されたばかりのときも

糖尿病と診断されて間もない時期でも、EDが先に現れている場合があります。発症1年以内の集団を調べた研究でも一定の割合でEDが見つかっており、日が浅いから無関係とは言い切れません。

診断されたばかりの時期は治療方針を組み立てる段階でもあるため、この時点で伝えておくと、その後の見直しがしやすくなります。あとから切り出すより負担も小さいでしょう。

気づいた変化相談の目安伝えておきたい情報
数日で戻る一時的な変化経過をみながら次の定期受診で睡眠、飲酒、疲れの状況
3か月ほど続く、頻度が減った早めに泌尿器科と主治医の両方へ始まった時期、飲んでいる薬
排尿の変化が重なる泌尿器科へ夜間の回数、尿の勢い
胸の症状、息切れ、尿が出ないその日のうちに医療機関へ連絡症状が始まった時刻、持病

EDは血管の状態を映す 糖尿病のある方が泌尿器科を早めに訪ねる理由

EDは、心臓や脳の血管に症状が出る前に現れる場合があります。だからこそ泌尿器科の受診は、性機能の相談にとどまらず、全身の血管を見直す入り口にもなります。

なぜEDのほうが先に現れやすい?

陰茎へ向かう動脈は心臓の冠動脈より細いため、動脈硬化が全身で同じように進んでも、細い側の変化が先に自覚されやすいと説明されています。同じ現象が、別の場所で別の顔をして出てくるわけです。

そのためEDを自覚した時点は、まだ心臓の症状が出ていない段階にあたる場合があり、血圧や脂質、血糖を見直す機会になります。何も起きていないうちに手を打てる期間ともいえます。

泌尿器科で相談したことがきっかけとなり、内科での検査へつながっていく流れは珍しくありません。入り口がどこであっても、たどり着く先は同じ血管の話です。

数字が示すEDと心血管のつながり

系統的レビューとメタ解析をまとめたアンブレラレビューでは、EDのある方はそうでない方に比べ、心血管疾患の相対リスクが1.45倍(95%信頼区間1.36〜1.54)と報告されています。冠動脈疾患や心筋梗塞、脳卒中でも上昇が示されました。

調べられた出来事相対リスク95%信頼区間
心血管疾患1.451.36〜1.54
冠動脈疾患1.501.37〜1.64
心筋梗塞1.551.33〜1.80
脳卒中1.361.26〜1.46
全死亡1.251.18〜1.32

この解析の著者らは、EDが心血管疾患を独立して予測する所見であり、症状のある心血管疾患に先行するのが通常だと述べています。集団全体でみた平均の傾向であって、一人ひとりの経過を言い当てるものではありません。

それでも、EDを年齢のせいで終わらせずに相談する根拠としては十分でしょう。

泌尿器科から内科へ戻っていく流れ

泌尿器科でEDを相談したあと、血圧や脂質、血糖の管理を内科で詰め直すという往復が生まれると、両方の科に情報がそろいます。片方だけで完結させないほうが、抜けが少なくなります。

糖尿病の自律神経障害は心臓にも及び、その評価は網膜症や腎症の経過にも関わるため、性機能の相談が全身の点検へつながる場面があります。ひとつの症状が、思わぬ広がりを持つ入り口になります。

複数の科で分担しながら確かめていく組み立ては、糖尿病の治療では自然な形です。どちらの医師にも同じ話を伝えておくと、判断のずれが起きにくくなります。

泌尿器科の専門外来で行われるEDの診察内容

多くの場合、問診と質問票、血液検査、体の診察という順で進みます。特別な検査から始まるわけではなく、まず話すところから始まる外来です。

段階行われること確かめたいこと
問診経過や生活、飲んでいる薬の聞き取りいつから、どんな場面で、どの程度か
質問票国際勃起機能スコア(IIEF)などの記入状態を数値にして経過を追えるようにする
血液検査血糖や脂質、ホルモンなどの測定全身の状態と背景にある要因
診察外性器の確認、年齢に応じた前立腺の触診局所の所見と、ほかの病気が隠れていないか

問診票と質問票で今の状態を言葉にする

最初に行われるのは、いつから、どのくらいの頻度で、どんな場面で起きるのかという聞き取りで、この内容が方針の土台になります。うまく順序立てて話せなくても差し支えありません。

研究の場面では国際勃起機能スコア(IIEF)という質問票が広く使われており、糖尿病のある男性を調べた研究でも重症度の分類に用いられてきました。短縮版を使う医療機関もあります。

数値にしておくと、治療を始めたあとの変化を同じ物差しで比べられるため、外来で記入を求められる場合があります。点数そのものより、前回との差のほうが手がかりになります。

血液検査で調べられるもの

血液検査では、血糖やHbA1cといった糖尿病の指標に加え、脂質や腎機能、男性ホルモンなどを組み合わせて確かめていきます。EDだけを見るのではなく、全身の状態を並べて眺める作業です。

  • 血糖、HbA1c
  • 脂質(LDLコレステロール、中性脂肪など)
  • 腎機能、肝機能
  • テストステロン
  • 甲状腺の機能

どの項目を測るかは症状や年齢、これまでの経過によって変わり、全員に同じ検査が行われるわけではありません。ここに挙げたものが必ず必要になるという意味でもありません。

検査の内容や必要性は診察のなかで説明されるので、疑問があればその場で尋ねておくと、結果の受け止め方が変わってきます。

体の診察と、必要に応じて足される検査

外性器の確認や、年齢に応じた前立腺の触診が行われる場合があり、そこで得られた所見をもとに追加の検査を組むかどうかが決まります。診察の範囲は、症状の内容によって変わります。

血流を調べる検査や、夜間の勃起を記録する検査もありますが、いずれも全員に行うものではありません。経過や所見に応じて選ばれる検査だと考えておくとよいでしょう。

受ける検査を自分で決めておく必要はなく、何のために行うのかを説明してもらったうえで相談すれば十分です。納得できないまま進める必要もありません。

話し合いのうえで決まっていく方針

方針は、血糖や血圧の管理、生活の見直し、内服薬の検討といった選択肢を、本人の希望と体の状態に合わせて組み合わせる形で決まります。どれか一つだけで答えが出る話ではありません。

男性ホルモンの補充については、性腺機能低下症のある方を除いた43件の試験をまとめたコクランのレビューがあります。テストステロンとプラセボを比べた6件(2,016人)の解析では、12か月までの勃起機能の差が臨床的に意味のある大きさに届きませんでした。

ホルモンの補充が誰にでも当てはまる答えではないという点も含めて、検査の結果をもとに一つずつ確かめていく流れになります。個人輸入などで自分で入手して使う形は、思わぬ不利益につながります。

糖尿病とEDの相談をためらう気持ちと泌尿器科を訪ねる前の準備

話しにくさを抱えている方は多く、外来でも珍しい相談ではありません。伝えたい情報を少し整理しておくと、短い診察時間でも話が進みます。

泌尿器科で何を話せばよいか分からないときは?

順序立てて説明できなくても構わず、「いつごろから」「どんなときに困るか」の二つが伝われば、そこから医師が尋ねていきます。言いにくい部分は、質問票に書き込む形でも伝わります。

糖尿病が長い方では性機能の悩みは例外的な話ではなく、1型糖尿病の長期経過を追ったDCCT/EDIC研究では、男性の45%が性機能の問題を報告していました。同じ研究では、性欲の低下を挙げた男性も40%にのぼります。

数の多さがそのまま慰めになるわけではないものの、外来で扱い慣れた相談だという点は、受診の心理的な負担を少し軽くしてくれるかもしれません。

診察前にそろえておくと話が早いもの

お薬手帳と直近の血液検査の結果、これまでの糖尿病の経過が分かるものが手元にあると、同じ説明を繰り返さずに済みます。紙で残っていなければ、通院先の名前だけでも役に立ちます。

血圧の薬や気分に関わる薬、前立腺の薬などはEDと関わる場合があるため、市販薬やサプリメントも含めて把握しておくと話が早く進みます。

服用中の薬を自分の判断で中断すると別の危険が生じるので、変更は必ず処方している医師と相談しながら進めます。やめてよい薬かどうかは、症状だけでは決められません。

費用や保険の扱いは事前に確かめる

EDの診療は、検査や治療の内容によって保険で扱われる範囲と自費になる範囲が分かれるため、金額を一律に示すのは難しいところです。医療機関によっても組み立てが違います。

費用の目安を知りたい場合は、受診を考えている医療機関の窓口へ直接尋ねるのが確実で、加入している健康保険の扱いは保険者にも問い合わせられます。

何にいくらかかるのかを確かめてから決めたいという相談も、診察の場では通る話です。費用の心配を口に出せないまま受診を先延ばしにするほうが、失うものは大きくなります。

パートナーや家族との話し方

一人で抱えると不安が積み重なりやすく、パートナーに事情を伝えられないまま関係がぎくしゃくしてしまう場合もあります。黙っているほうが、かえって誤解を生みかねません。

血糖や血管の状態が背景にあると分かれば、気持ちの問題として片づけられていた誤解がほどけ、話しやすくなる場合があります。医学的な言葉があるだけで、切り出す糸口ができます。

説明が難しいときは、受診へ同行してもらい、医師の話を一緒に聞くという方法もあります。第三者の言葉のほうが、すんなり届く場面もあるでしょう。

よくある質問

Q
糖尿病のEDは泌尿器科と内科のどちらを先に受診すればよいですか?
A

通院中の糖尿病の主治医がいるなら、次の診察のときに伝えるところから始めると流れがつくりやすくなります。血糖の状況や飲んでいる薬を把握している医師が、最初の相談先として動きやすいためです。

そのうえで泌尿器科での評価が必要と判断されれば、紹介という形で話が進みます。かかりつけがない場合に泌尿器科から入っても差し支えありません。

Q
糖尿病のEDは血糖の管理がよくなれば戻りますか?
A

個人差が大きく、一律に戻るとも戻らないとも言えません。2型糖尿病の男性390人を調べた研究では、HbA1cや糖尿病の期間が性機能の低下と関連していたと報告されており、血糖の管理が土台になる点は確かです。

ただし血管や神経の変化がどこまで進んでいるかで経過は変わってきます。血糖の改善だけに期待を集めず、泌尿器科での評価と並行して進める組み立てが役立ちます。

Q
EDがあると心臓の病気も心配したほうがよいですか?
A

EDと心血管疾患の関連をまとめたアンブレラレビューでは、EDのある方の心血管疾患の相対リスクが1.45倍(95%信頼区間1.36〜1.54)と報告されています。心筋梗塞や脳卒中でも上昇が示されました。

集団全体の傾向であって個人の経過を言い当てるものではありませんが、胸の症状や息切れがあるときは、性機能の相談より先に心臓の評価が要ります。血圧や脂質、血糖の見直しも同時に進める場面です。

Q
泌尿器科のED診療では初回からくわしい検査を受けますか?
A

多くは問診と質問票、血液検査から始まり、初回に特別な検査を行うとは限りません。血流を調べる検査などは、経過や所見に応じて必要と判断されたときに組まれます。

目的が分からないまま進むと不安が残るため、何のために行う検査なのかをその場で尋ねておくと、結果の受け止め方が変わってきます。

Q
糖尿病のEDにテストステロンの補充は役立ちますか?
A

性腺機能低下症のある方を除いた試験をまとめたコクランのレビューでは、テストステロン補充とプラセボを比べた解析で、12か月までの勃起機能の差が臨床的に意味のある大きさに届きませんでした。

一方で、ホルモンの値が低い方をどう考えるかは別の問題で、血液検査の結果と症状を照らし合わせて判断する領域です。自分で入手して使う形は、思わぬ不利益につながります。

参考にした文献