2026年4月1日から、65歳の方などが受ける肺炎球菌ワクチンの定期接種は、これまでのニューモバックス®NP(PPSV23)から、プレベナー20(PCV20)に変わりました。対象となる方の範囲は変わっていません。
キャップバックス®(一般名:21価肺炎球菌結合型ワクチン、PCV21)は、この定期接種のワクチンとは別に、任意接種として受けられる新しいワクチンです。2025年8月に、高齢者とハイリスクの方を対象として国内で承認されました。
肺炎球菌は、肺炎だけでなく、髄膜炎や菌血症といった重い「侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)」を起こす主な原因菌のひとつです。高齢の方や基礎疾患をお持ちの方は、かかりやすく、重くなりやすいことが知られています。
この記事では、呼吸器内科の立場から、2026年4月時点の制度をふまえて、おとなの肺炎球菌ワクチンにどんな種類があるのか、キャップバックス®はどう位置づけられるのか、効果や副反応、接種の時期についてお伝えします。
制度や取り扱いは変更されることがあります。定期接種の対象や費用の扱いはお住まいの市町村に、ご自身にどのワクチンが適しているかは接種を受ける医療機関に、それぞれご確認ください。
神戸きしだクリニック公式Youtubeチャンネルでの音声解説はこちら。
キャップバックス®の効果について
キャップバックス®は、肺炎球菌によって引き起こされる様々な感染症、特に重篤化しやすい侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の予防を目的としています。
このワクチンは、肺炎球菌の中でも特に病原性が高いとされる21種類の「血清型」に対応する成分を含んでいます。
キャップバックス®とは(CAPVAXIVE®、PCV21)
キャップバックス®は、2025年8月に、高齢者と肺炎球菌感染症のリスクが高い方を対象として国内で承認された肺炎球菌ワクチンです。正式には「21価肺炎球菌結合型ワクチン」といい、PCV21と略されます。
「結合型(コンジュゲート)ワクチン」に分類されます。肺炎球菌の表面にある莢膜(きょうまく)ポリサッカライドという成分を、タンパク質に結合させたつくりです。この仕組みにより、成人でも持続的な免疫が誘導され、免疫記憶が確立されることが期待されています。2026年4月から定期接種で使われているプレベナー20(PCV20)も、同じ結合型のワクチンです。
キャップバックス®に固有の血清型は、15A、15C、16F、23A、23B、24F、31、35Bの8種類です。一方で、プレベナー7(PCV7)に含まれる血清型と、血清型1、5に対する免疫原性は持っていません。日本呼吸器学会などの合同委員会がまとめた「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第8版)」では、2019年から2022年の肺炎球菌性肺炎について、65歳以上での血清型カバー率をPCV15 28.2%、PCV20 42.8%、PPSV23 42.6%、PCV21 72.3%と報告しています。
侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)への予防効果
侵襲性肺炎球菌感染症(InvasivePneumococcalDisease、IPD)とは、本来は菌が存在しないはずの血液や髄液(脳や脊髄の周りにある液体)などから肺炎球菌が検出される、重篤な感染症の総称です。
具体的には、菌血症(血液中に菌が入る)、敗血症(菌血症が重症化した状態)、髄膜炎(脳や脊髄を包む膜の炎症)などが含まれます。
IPDは、特に高齢者や免疫機能が低下している方(例えば、糖尿病、慢性呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患をお持ちの方、あるいは免疫抑制剤を使用中の方など)にとって、命に関わる危険な状態を引き起こす可能性があります。
キャップバックス®のような肺炎球菌結合型ワクチンは、これらの重篤なIPDを予防する上で高い効果が示されています。
ワクチンに含まれる21種類の血清型が原因となるIPDに対して、強い予防効果を発揮します。体内に抗体を作ることで、菌が血液や髄液に侵入するのを防ぎます。
成人の肺炎球菌感染症予防において、IPDのリスクを減らすことは極めて重要です。
肺炎に対する予防効果
キャップバックス®は、IPDだけでなく、肺炎球菌による肺炎そのものを予防する効果も期待されます。ただし、一般的に「肺炎」といっても、その原因は肺炎球菌だけではありません。
他の細菌やウイルス(インフルエンザウイルス、RSウイルス、新型コロナウイルスなど)によっても引き起こされます。
したがって、キャップバックス®を接種しても、すべての肺炎を予防できるわけではない点には注意が必要です。
このワクチンは、あくまでワクチンに含まれる21種類の血清型の肺炎球菌が原因となる肺炎に対して、発症予防や重症化予防の効果を発揮します。
臨床試験データに基づくと、キャップバックス®は、ワクチンに含まれる血清型による肺炎球菌性肺炎に対して、有効な予防手段となります。
特に、成人用肺炎球菌ワクチンとしての役割は、重症化しやすい高齢者や基礎疾患を持つ方々を、肺炎球菌による肺炎のリスクから守ることにあります。
おとなに使える肺炎球菌ワクチンの種類(2026年4月時点)
2026年4月の時点で、おとなに使える肺炎球菌ワクチンは4種類あります。多糖体ワクチンのニューモバックス®NP(PPSV23)と、結合型ワクチンのバクニュバンス(PCV15)、プレベナー20(PCV20)、キャップバックス®(PCV21)です。
このうち、65歳の方などの定期接種で使われるのはプレベナー20(PCV20)です。ほかの3種類は、2026年4月時点では定期接種としては使えず、任意接種の扱いになります。
なお、プレベナー13(PCV13)は主に小児で使われてきたワクチンです。学会の考え方(第8版)でも、これから接種するワクチンとしてではなく、「すでに接種したことがある方」の接種歴として扱われています。
主な成人用肺炎球菌ワクチンの特徴
| 略称 | 商品名 | 種類 | 2026年4月時点の位置づけ |
|---|---|---|---|
| PPSV23 | ニューモバックス®NP | 23価・多糖体 | 定期接種のワクチンからは外れました。PCV15の後に続けて接種する使い方が示されています |
| PCV15 | バクニュバンス | 15価・結合型 | 任意接種。PPSV23と続けて接種する場合に、先に接種します |
| PCV20 | プレベナー20 | 20価・結合型 | 2026年4月からの定期接種で使うワクチンです(1回・筋肉内) |
| PCV21 | キャップバックス® | 21価・結合型 | 任意接種。2025年8月に高齢者とハイリスクの方を対象に承認されました |
| PCV13(参考) | プレベナー13® | 13価・結合型 | 主に小児で使われてきたワクチンです。学会の考え方では「すでに接種した方」の接種歴として扱われています |
血清型のカバー範囲や免疫のつき方はワクチンごとに異なります。どれを選ぶかは、年齢、基礎疾患の有無、これまでの接種歴によって変わりますので、接種を受ける医療機関にご相談ください。
PCV13(プレベナー13®)もキャップバックス®と同じ結合型ワクチンですが、カバーする血清型が13種類です。キャップバックス®は、21種類をカバーします。
一方、PPSV23(ニューモバックス®NP)は、23種類という非常に多くの血清型をカバーしますが、「ポリサッカライドワクチン」という種類であり、結合型ワクチンとは免疫の誘導の仕方が異なります。
一般的に、結合型ワクチン(PCV21やPCV13)の方が、より質の高い、持続的な免疫応答を引き起こし、免疫記憶を確立させると考えられています。
学会の考え方(第8版)では、肺炎球菌ワクチンを受けたことがない方について、PCV20またはPCV21を任意接種として受ける選択肢に加えて、バクニュバンス(PCV15)を接種してから、1年から4年の間隔をあけてニューモバックス®NP(PPSV23)を接種する「連続接種」も選択肢として挙げられています。連続接種を行う場合の順番は、PCV15が先です。
どの方法が適しているかは、年齢や基礎疾患、これまでの接種歴によって異なります。接種を受ける医療機関にご相談ください。
キャップバックス®の副反応(副作用)について
キャップバックス®を接種した後、体内で免疫が作られる過程で、一時的に様々な反応(副反応)が現れることがあります。
多くの場合は軽度であり、数日以内に自然に回復しますが、どのような反応が起こりうるかを知っておくことは大切です。
接種部位の反応(局所反応)
ワクチンを接種した場所(通常は上腕の筋肉)に、以下のような局所的な反応が最も多く見られます。
- 疼痛(痛み)
- 腫脹(はれ)
- 紅斑(赤み)
- 硬結(しこり)
これらは、接種を受けた方の多くが経験する可能性のある反応です。
国内臨床試験では、接種部位の痛みは約33%の接種者にみられましたが、そのほとんどは軽度〜中等度で数日以内に自然軽快しています。
腫れや赤みも同様に一時的なものです。まれに、接種部位が広範囲にわたって腫れたり、強い痛みが続いたりすることがありますが、頻度は高くありません。
これらの反応は、ワクチン成分に対する局所的な炎症反応であり、免疫が働いている証拠とも言えます。
全身性の反応
接種部位だけでなく、全身的な症状として以下のような反応が現れることもあります。
- 筋肉痛
- 疲労感(だるさ)
- 頭痛
- 関節痛
- 発熱(通常は38度未満の微熱)
これらの全身反応も、局所反応と同様に、多くは接種後1~3日以内に現れ、数日間で自然に回復します。臨床試験では、疲労感、筋肉痛、頭痛などが比較的多く報告されています。
発熱する頻度はそれほど高くありませんが、もし発熱した場合でも、高熱が続くことは稀です。これらの症状は、体がワクチンに反応して免疫システムを活性化させているために起こると考えられています。
無理をせず、水分を十分に摂取し、休養をとることが大切です。
重大な副反応(アナフィラキシーなど)
頻度は非常に稀ですが、注意すべき重大な副反応として「アナフィラキシー」があります。アナフィラキシーは、ワクチン接種後、通常は30分以内に起こる重いアレルギー反応です。
アナフィラキシーが疑われる症状
| 症状の系統 | 具体的な症状例 |
|---|---|
| 皮膚・粘膜 | 全身のじんましん、皮膚の赤み、口の中や唇の腫れ |
| 呼吸器 | 息苦しさ、ぜん鳴(ゼーゼー、ヒューヒューする)、声のかすれ |
| 循環器 | 血圧低下、めまい、意識が遠のく感じ、脈が速い |
これらの症状が複数、急激に現れた場合は、直ちに医療機関での対応が必要です。
このような重篤なアレルギー反応に備えるため、ワクチン接種後は通常、15分から30分程度、接種した医療機関内で待機し、体調の変化がないか様子を見ます。
もし帰宅後に上記のような症状や、普段と異なる強い体調の変化を感じた場合は、速やかに医療機関に連絡するか、受診してください。
キャップバックス®の臨床試験では、アナフィラキシーを含む重篤な副反応の報告は極めて低い頻度でした。
副反応が出た場合の対処法
接種後に痛みや発熱などの副反応が現れた場合、多くは特別な治療を必要とせず自然に回復しますが、症状がつらい場合には対症療法を行うことができます。
主な副反応と対処法の目安
| 症状 | 対処法の例 |
|---|---|
| 接種部位の痛み・腫れ・赤み | 冷やしたタオルや冷却シートなどで接種部位を冷やす。ただし、強く押したり揉んだりしない。 |
| 発熱・頭痛・筋肉痛・倦怠感 | 水分を十分に摂取し、安静にする。必要に応じて、市販の解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)を使用する。 |
| 強い症状や長引く場合 | 症状が強い場合、数日経っても改善しない場合、その他気になる症状がある場合は、接種した医療機関またはかかりつけ医に相談する。 |
解熱鎮痛剤の使用については、特に普段から服用している薬がある方や、アレルギー、肝臓・腎臓の疾患、胃腸の問題などがある方は、事前に医師や薬剤師に相談しておくと安心です。
副反応は個人差がありますが、過度に心配する必要はありません。多くは一時的なものであることを理解し、もし症状が出た場合は適切に対処しましょう。

接種時期について
キャップバックス®は、特定の季節に限定して接種するワクチンではありません。インフルエンザワクチンのように流行期に合わせて接種する必要はなく、一年中いつでも接種が可能です。
ご自身の体調やスケジュールに合わせて計画することができます。
接種のタイミング(通年接種)
肺炎球菌感染症は、インフルエンザのように特定の季節(例えば冬)だけに流行が限定されているわけではなく、年間を通じて発生する可能性があります。
そのため、キャップバックス®の接種も、特定の時期を待つ必要はありません。
むしろ、接種を希望する方、特に接種が推奨される65歳以上の方や基礎疾患をお持ちの方は、肺炎球菌感染症のリスクに備えるため、できるだけ早く接種を検討することが望まれます。
体調が良い時を選んで、かかりつけの医療機関と相談の上、接種日を決めるのがよいでしょう。例えば、健康診断や定期的な診察の際に、一緒に相談してみるのも一つの方法です。
通年接種が可能であるため、ご自身の都合の良いタイミングで、予防の一歩を踏み出すことができます。
他のワクチンとの接種間隔
高齢の方や基礎疾患をお持ちの方は、キャップバックス®以外にも、インフルエンザワクチンや新型コロナウイルスワクチンなど、複数のワクチン接種を検討する機会が多いかもしれません。
他のワクチンとの接種間隔については、注意が必要です。
他の主なワクチンとの接種間隔の目安(キャップバックス®接種時)
| ワクチン | 接種間隔の考え方 |
|---|---|
| インフルエンザワクチン | 同時接種が可能です(医師が認めた場合)。または、接種間隔に制限はありません |
| 新型コロナウイルスワクチン | 同時接種が可能です(医師が認めた場合)。または、接種間隔に制限はありません |
| すでに肺炎球菌ワクチンを接種したことがある場合(PPSV23、PCV13、PCV15、PCV20のいずれか) | 学会の考え方(第8版)では、前回の接種から1年以上の間隔をあけて、PCV20またはPCV21を接種することができるとされています |
| PCV15とPPSV23を続けて接種する場合 | PCV15を先に接種し、1年から4年の間隔をあけてPPSV23を接種するとされています |
インフルエンザワクチンとの同時接種は、多くの医療機関で実施されています。両腕に分けて接種するなどの方法がとられます。
同時接種を希望する場合は、事前に医療機関に可能かどうか確認しておくとスムーズです。
新型コロナウイルスワクチンとの接種間隔については、現時点(記事作成時点)での一般的な指針を記載していますが、今後変更される可能性もあります。
最新の情報をご確認のうえ、医師の指示に従ってください。最も注意が必要なのは、ニューモバックス®NP(PPSV23)など、他の肺炎球菌ワクチンとの接種間隔です。
すでにPPSV23を接種している方がキャップバックス®を接種する場合、またはその逆の場合、あるいは両方を計画的に接種する場合には、適切な間隔を空ける必要があります。
これは、ワクチンの効果を最大限に引き出し、安全性を確保するために重要です。
肺炎球菌ワクチンの再接種
過去に肺炎球菌ワクチンを接種したことがある方も、キャップバックス®の接種を検討できます。ただし、いつ、どのワクチンを接種したかによって、あけるべき間隔が変わります。
学会の考え方(第8版)では、ニューモバックス®NP(PPSV23)、プレベナー13(PCV13)、バクニュバンス(PCV15)、プレベナー20(PCV20)のいずれかを接種した方について、その接種から1年以上の間隔をあけて、PCV20またはPCV21を接種することができるとされています。
なお、すでに肺炎球菌ワクチンを接種したことがある方は、定期接種の対象にはなりません。
また第8版では、ニューモバックス®NPを接種した後に同じニューモバックス®NPをもう一度接種することは、原則として選択肢としない、とされています。
PCV20やPCV21を接種した後の効果の持続は5年程度と考えられており、免疫のつき方という観点からは5年以降の再接種が必要と考えられています。ただし、PCV20・PCV21を接種した後にもう一度接種した場合の免疫のつき方や安全性のデータは、現時点ではありません。
接種歴は、接種の計画を立てるうえでとても大切な情報です。過去に接種したワクチンの種類と時期を、できるだけ正確にお伝えください。お薬手帳や接種の記録が残っていれば、ご持参ください。
接種が推奨されるタイミング
一年中接種可能ですが、特に以下のようなタイミングは、接種を検討する良い機会と言えます。
- 65歳になる年(または65歳以上でまだ未接種の場合)
- 慢性呼吸器疾患(COPD、喘息など)、慢性心疾患、糖尿病などの基礎疾患と診断された時
- 免疫機能が低下する可能性のある治療(ステロイド、免疫抑制剤、化学療法など)を開始する前
- 脾臓を摘出した、または機能不全がある場合
これらの条件に当てはまる方は、肺炎球菌感染症のリスクが通常よりも高いと考えられます。主治医と相談し、ご自身の状態に合った最適な接種タイミングを決めることが大切です。
特に65歳は、肺炎球菌ワクチンの定期接種の対象となる年齢です。2026年4月からは、この定期接種でプレベナー20(PCV20)を1回、筋肉内に接種します。定期接種の実施主体は市町村ですので、対象かどうか、費用の扱い、受けられる場所については、お住まいの市町村にご確認ください。
キャップバックス®の料金(保険適用可否)について
キャップバックス®の接種は、2026年4月時点では定期接種の対象ワクチンではなく、任意接種の扱いです。そのため、費用は原則として全額自己負担となります。取り扱いは変更されることがありますので、最新の状況は接種を受ける医療機関にご確認ください。
任意接種としての費用
任意接種とは、「定期接種」とは異なり、個人の希望に基づいて受ける接種のことを指します。
任意接種のワクチン(キャップバックス®やインフルエンザワクチンの多くなど)の費用は、公的な医療保険(健康保険)の対象外です。
そのため、接種費用は医療機関が独自に設定しており、施設によって金額が異なります。
キャップバックス®は比較的新しいワクチンであり、また、従来のPPSV23(ニューモバックス®NP)やPCV13(プレベナー13®)とも価格が異なる可能性があります。
接種を希望する医療機関に、事前に費用を確認しておくことをお勧めします。費用には、ワクチン本体の料金のほか、診察料(問診料)などが含まれているのが一般的です。
公費助成の可能性
キャップバックス®自体は任意接種ですが、お住まいの市区町村によっては、独自の判断で肺炎球菌ワクチンの接種費用の一部または全額を助成する制度を設けている場合があります。
これは、高齢者や特定の健康状態にある住民の感染症予防を支援するための取り組みです。
ただし、助成の対象となるワクチンの種類、対象となる年齢や条件は、自治体によって異なります。2026年4月からの定期接種で使われるワクチンはプレベナー20(PCV20)であり、キャップバックス®が助成の対象に含まれるかどうかも自治体ごとに異なります。お住まいの市区町村のウェブサイトを確認するか、窓口にお問い合わせください。
定期接種との違い
おとなの肺炎球菌ワクチンには、予防接種法にもとづく「定期接種」として行われるものがあります。
対象は65歳の方、および60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能に障害があり日常生活が極度に制限される方、HIVによる免疫の機能に障害があり日常生活がほとんど不可能な方です。2026年4月1日から、この定期接種で使うワクチンはプレベナー20(PCV20)になりました。1回、筋肉内に接種します。対象となる方の範囲は、これまでと変わっていません。
定期接種と任意接種(キャップバックス®)の主な違い
| 項目 | 定期接種 | 任意接種(キャップバックス®など) |
|---|---|---|
| 対象 | 65歳の方、および60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能に障害があり日常生活が極度に制限される方、HIVによる免疫の機能に障害があり日常生活がほとんど不可能な方 | 希望される方(対象年齢の定めはありません) |
| 使用するワクチン | プレベナー20(PCV20)を1回、筋肉内に接種 | キャップバックス®(PCV21)、プレベナー20(PCV20)、バクニュバンス(PCV15)、ニューモバックス®NP(PPSV23)など |
| 費用の扱い | 一定額の自己負担があります。実施主体は市町村で、扱いは市町村により異なります | 原則、全額自己負担です。自治体の助成がある場合があります |
| 回数 | 生涯に1回 | ワクチンの種類と接種歴により異なります |
2026年4月からの定期接種で使うワクチンはプレベナー20(PCV20)です。取り扱いは変更されることがありますので、お住まいの市町村と、接種を受ける医療機関にご確認ください。
高齢者の肺炎球菌感染症は、予防接種法のB類疾病にあたります。B類疾病のワクチン接種には、接種の勧奨や努力義務はなく、受けるかどうかはご本人が決めます。また、一定額の自己負担が生じます。
定期接種の実施主体は市町村です。費用の扱いや受けられる医療機関は市町村ごとに異なりますので、お住まいの市町村にご確認ください。
2026年4月時点で、定期接種として使えるワクチンはプレベナー20(PCV20)のみです。ニューモバックス®NP(PPSV23)、バクニュバンス(PCV15)、キャップバックス®(PCV21)は、定期接種としては使えません。これらを希望される場合は、任意接種として受けることになります。
なお、すでに肺炎球菌ワクチンを接種したことがある方は、定期接種の対象にはなりません。ご自身がどちらに当てはまるかは、接種を受ける医療機関にご相談ください。
接種方法や注意点
キャップバックス®は、他の多くのワクチンと同様に、医療機関で医師による問診の後、筋肉内に注射します。接種前後の注意点を守り、安全に接種を受けることが大切です。
接種方法(筋肉内注射)
キャップバックス®の接種は、通常、上腕の三角筋(肩に近い腕の筋肉)に行います。1回の接種量は0.5mLです。
筋肉内注射は、ワクチン成分を筋肉組織内に投与する方法で、皮下注射(皮膚の下に投与)と比べて、より効果的に免疫を誘導し、局所的な副反応(腫れなど)が少ない場合があると考えられています。
接種は、医療機関の診察室などで、医師または看護師によって行われます。衣服を脱ぎやすい服装(腕を出しやすい服装)で来院するとスムーズです。
接種前の注意点
ワクチン接種は、体調が良い時に受けるのが原則です。接種当日、熱がある(通常37.5度以上)、あるいは明らかに体調が悪い場合は、接種を見合わせる必要があります。
また、安全に接種を行うため、問診票の記入や医師の診察の際には、ご自身の健康状態や病歴、アレルギー歴などを正確に伝えることが極めて重要です。
接種前に医師に伝えるべきこと
- 現在治療中の病気(特に免疫系に関わる病気)
- 過去にワクチン接種でアレルギー反応や重い副反応が出た経験
- 現在服用中の薬(特に免疫を抑える薬)
- キャップバックス®の成分(またはジフテリアトキソイド)に対するアレルギー歴
- 過去の肺炎球菌ワクチン(プレベナー、ニューモバックス等)の接種歴
これらの情報に基づき、医師が当日の接種が可能かどうかを最終的に判断します。
特に、キャップバックス®は「結合型ワクチン」であり、その製造過程でジフテリアトキソイド(ジフテリアの毒素を無毒化したもの)が使用されています。
過去にこれらに対してアレルギー反応を起こしたことがある方は、接種を受けられない場合があります。
接種後の注意点
接種を受けた後にも、いくつか注意点があります。まず、接種直後に重いアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こる可能性はゼロではありません。
そのため、接種後15分~30分程度は、接種した医療機関内で安静にし、体調に変化がないか様子を見ます。帰宅後も、接種当日は無理をせず、リラックスして過ごすよう心がけてください。
接種後の生活上の注意
| 項目 | 注意点・目安 |
|---|---|
| 接種部位 | 清潔に保つ。強くこすったり、揉んだりしない。 |
| 入浴 | 当日から可能。ただし、長湯や高温での入浴は避け、接種部位を強くこすらない。 |
| 飲酒 | 当日の過度な飲酒は避ける。副反応が強く出たり、体調の変化に気づきにくくなったりする可能性がある。 |
| 運動 | 当日の激しい運動(水泳、マラソン、激しい筋トレなど)は避ける。 |
| その他 | 十分な睡眠と水分補給を心がける。副反応(発熱、痛みなど)が出た場合は、前述の対処法を参考に。 |
これらの注意点は、あくまで一般的な目安です。接種後の体調には個人差がありますので、ご自身の状態に合わせて無理のないように過ごしてください。
もし、接種部位の腫れや痛みが数日経っても悪化する場合や、高熱が続く、あるいは普段と明らかに異なる症状が現れた場合は、速やかに接種した医療機関に相談してください。
接種が特に推奨される方
キャップバックス®を含む肺炎球菌ワクチンは、すべての人に接種の機会がありますが、特に肺炎球菌感染症にかかると重症化しやすい、以下のような方々に強く推奨されます。
キャップバックス®接種が特に推奨される方(成人)
| カテゴリー | 具体的な例 |
|---|---|
| 年齢 | 65歳以上の方 |
| 慢性疾患 | 慢性呼吸器疾患(COPD、気管支喘息など)、慢性心疾患、糖尿病、慢性腎臓病、慢性肝疾患 |
| 免疫機能低下 | がん(特に血液がん)、HIV感染症、臓器移植後、ステロイドや免疫抑制剤の治療中、化学療法中 |
| その他 | 脾臓摘出者、脾機能不全、人工内耳・髄液漏の既往がある方、喫煙者 |
これらの条件に当てはまる方は、健康な成人と比較して、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)や重症の肺炎球菌性肺炎にかかるリスクが高いことが知られています。
呼吸器内科クリニックとしても、特に慢性呼吸器疾患(COPDや喘息)をお持ちの方、長期間の喫煙歴がある方には、肺炎予防の一環として成人用肺炎球菌ワクチンの接種を積極的に検討するようお勧めしています。

キャップバックス®の重要性と感染症予防のためのポイント
キャップバックス®(21価肺炎球菌結合型ワクチン)の登場は、成人の肺炎球菌感染症予防における重要な進歩です。このワクチンがなぜ重要なのか、そしてワクチン接種と併せて行うべき感染症予防の基本について再確認します。
肺炎球菌感染症の脅威
肺炎球菌は、私たちの鼻や喉に常在していることのある細菌ですが、体調の悪化や免疫力の低下をきっかけに、体内の様々な場所で感染症を引き起こします。
中耳炎や副鼻腔炎といった比較的軽度なものから、肺炎、さらには菌血症や髄膜炎といった侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)まで、その病態は多岐にわたります。
特に高齢者や基礎疾患を持つ方にとって、肺炎球菌による肺炎は入院が必要となるケースが多く、時に命に関わる重篤な状態に陥ります。
また、IPD(特に髄膜炎)は、治療が成功したとしても、難聴や麻痺などの後遺症を残すことがあります。成人の肺炎球菌感染症、特にIPDのリスクを軽視してはなりません。
この脅威から身を守るための最も有効な手段の一つがワクチン接種です。
成人におけるワクチン接種の意義
これまでワクチン接種は「子どもが受けるもの」というイメージが強かったかもしれません。
しかし、近年の感染症対策においては、成人、特に高齢者やリスクを抱える方々のワクチン接種(AdultVaccination)の重要性が世界的に認識されています。
キャップバックス®のような成人用肺炎球菌ワクチンを接種する意義は、まず第一に「自分自身の健康を守る」ことです。
重篤な感染症であるIPDや肺炎による入院、後遺症、死亡のリスクを減らすことができます。
さらに、ご自身が感染しにくくなることで、結果として家族や周囲の人々(特に乳幼児や同じく免疫力の低い人)へ菌をうつしてしまうリスクを減らすことにも繋がる可能性があります。
健康な生活を長く続けるため、また社会全体の感染症の負担を減らすためにも、成人におけるワクチン接種は非常に大きな意義を持っています。
ワクチン以外の予防策
キャップバックス®は肺炎球菌感染症の予防に有効ですが、万能ではありません。ワクチンでカバーできない血清型の肺炎球菌や、他の細菌・ウイルスによる感染症も存在します。
したがって、ワクチン接種と併せて、日頃から基本的な感染予防策を実践することが、呼吸器感染症全体を防ぐ上で重要です。
基本的な感染予防策
- 外出後の手洗い、うがい
- 人混みでのマスク着用(咳エチケット)
- バランスの取れた食事と十分な睡眠
- 適度な運動と体力維持
- 禁煙(喫煙は呼吸器の防御機能を低下させます)
これらの基本的な生活習慣は、肺炎球菌だけでなく、インフルエンザや新型コロナウイルスなど、様々な病原体から身を守るための土台となります。
呼吸器内科の観点からも、特に禁煙と、COPDや喘息などの持病の良好なコントロールは、肺炎予防において極めて大切です。
肺炎球菌ワクチンの種類と選択
成人用の肺炎球菌ワクチンには、PCV21(キャップバックス®)のほかに、23価のニューモバックス®NP、15価のバクニュバンス®、20価のプレベナー20®があります(13価のプレベナー13®は主に小児で使われます)。
それぞれカバーする血清型の種類や数、免疫の誘導の仕方に特徴があります。
主な成人用肺炎球菌ワクチンの再確認
| 略称 | 商品名 | 種類 | 2026年4月時点の位置づけ |
|---|---|---|---|
| PPSV23 | ニューモバックス®NP | 23価・多糖体 | 定期接種のワクチンからは外れました。PCV15の後に続けて接種する使い方が示されています |
| PCV15 | バクニュバンス | 15価・結合型 | 任意接種。PPSV23と続けて接種する場合に、先に接種します |
| PCV20 | プレベナー20 | 20価・結合型 | 2026年4月からの定期接種で使うワクチンです(1回・筋肉内) |
| PCV21 | キャップバックス® | 21価・結合型 | 任意接種。2025年8月に高齢者とハイリスクの方を対象に承認されました |
| PCV13(参考) | プレベナー13® | 13価・結合型 | 主に小児で使われてきたワクチンです。学会の考え方では「すでに接種した方」の接種歴として扱われています |
血清型のカバー範囲や免疫のつき方はワクチンごとに異なります。どれを選ぶかは、年齢、基礎疾患の有無、これまでの接種歴によって変わりますので、接種を受ける医療機関にご相談ください。
どのワクチンを接種するか、複数のワクチンを続けて接種するか、その順序と間隔をどうするかは、年齢、基礎疾患の有無、これまでの接種歴によって変わります。
学会の考え方(第8版)では、肺炎球菌ワクチンを受けたことがない方の選択肢として、定期接種のプレベナー20(PCV20)に加えて、任意接種としてのPCV20またはキャップバックス®(PCV21)、そしてバクニュバンス(PCV15)を接種してから1年から4年あけてニューモバックス®NP(PPSV23)を接種する連続接種が挙げられています。すでに接種したことがある方については、前回の接種から1年以上あけてPCV20またはPCV21を接種することができるとされています。
また、糖尿病、慢性の肺の病気、心臓や肝臓の病気などをお持ちの方については、重症度に応じてPCV20またはPCV21、あるいはPCV15とPPSV23の連続接種を検討することが望ましいとされています。免疫の働きが低下している方については、PCV20またはPCV21、あるいはPCV15とPPSV23の連続接種が推奨されています。
ご自身にとってどの選び方が適しているかは、呼吸器内科医やかかりつけ医にご相談ください。
神戸きしだクリニックでのキャップバックス®接種の予約受付方法
神戸きしだクリニックでは、成人の肺炎球菌感染症、特に侵襲性肺炎球菌感染症の予防を重視し、新しい21価肺炎球菌結合型ワクチン「キャップバックス®」の接種を実施しています。
当クリニックでの接種について
当クリニックは呼吸器内科を専門としており、日々、肺炎やCOPD、気管支喘息などの患者さまの診療にあたっています。
その中で、予防できる病気、特にワクチンで重症化を防げる肺炎球菌感染症の予防は、非常に重要であると認識しています。
キャップバックス®は、従来のワクチンよりもカバー範囲が広がり、成人用肺炎球菌ワクチンとしての新たな選択肢となります。
65歳以上の方、慢性呼吸器疾患や糖尿病などの基礎疾患をお持ちの方に、肺炎予防の一環として接種をご検討いただくことをお勧めしています。
接種にあたっては、医師が丁寧に問診を行い、ご本人の健康状態や接種歴を確認した上で、安全に実施します。
予約方法(電話・ウェブ)
キャップバックス®の接種は、ワクチンの在庫管理の都合上、完全予約制としております。接種をご希望の方は、あらかじめご予約をお願いいたします。
お電話でのご予約:
クリニックの診療時間内に、お電話にて「キャップバックス®の接種希望」とお伝えください。スタッフがご希望の日時を伺い、予約を調整いたします。
ウェブサイトからのご予約:
当クリニックの公式ウェブサイトに設置されている「ウェブ予約システム」からもご予約が可能です。必要事項を入力してください。
ご予約の際に、過去に肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス®NP、プレベナー13®、プレベナー20、バクニュバンスなど)を接種したことがあるかをお伺いすることがあります。接種歴がお分かりでしたら、お伝えいただくとスムーズです。
接種当日の流れ
ご予約いただいた日時に、以下のものをお持ちになってご来院ください。
- 健康保険証(本人確認および、万が一副反応で保険診療が必要になった場合のため)
- 診察券(お持ちの方)
- お薬手帳(普段服用している薬を確認するため)
- 過去の肺炎球菌ワクチン接種記録(お持ちの方)
来院後は、受付で手続きを済ませた後、医師による問診を行います。体調やアレルギー歴などを確認し、接種に問題がないと判断されたら、ワクチンを接種します。
接種後は、アナフィラキシーなどの重い副反応が起こらないかを確認するため、院内で15分~30分程度、安静にしてお待ちいただきます。体調に変化がなければ、ご帰宅いただけます。

よくある質問
- Q2026年4月から、65歳の定期接種のワクチンが変わったと聞きました。何が変わったのですか?
- A
2026年4月1日から、定期接種で使うワクチンがニューモバックス®NP(PPSV23)からプレベナー20(PCV20)に変わりました。1回、筋肉内に接種します。対象となる方の範囲は変わっていません。65歳の方、および60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能に障害があり日常生活が極度に制限される方などが対象です。なお、キャップバックス®(PCV21)は2026年4月時点では定期接種としては使えず、任意接種となります。定期接種の実施主体は市町村ですので、費用や受けられる場所はお住まいの市町村にご確認ください。
- Q接種後、お風呂に入っても大丈夫ですか?
- A
接種当日の入浴は可能です。ただし、接種した場所(腕)を強くこすったり、揉んだりしないでください。
また、長時間の入浴や高温での入浴は避け、体調に変化がないか注意しながら入浴してください。
- Qキャップバックス®の接種回数は何回ですか?
- A
成人の場合、キャップバックス®の基本的な接種回数は1回です。
ただし、免疫状態など特定の条件によっては追加の接種が検討される場合もありますが、通常は1回の接種で完了します。詳しくは医師にご相談ください。
- Q接種すれば絶対に肺炎にかからないのですか?
- A
残念ながら、すべての肺炎を予防できるわけではありません。キャップバックス®は、ワクチンに含まれる21種類の血清型の肺炎球菌による感染症(肺炎や侵襲性肺炎球菌感染症)を予防するものです。
他の種類の肺炎球菌や、ウイルス、他の細菌による肺炎には予防効果がありません。しかし、重症化しやすい肺炎球菌感染症を予防できる意義は非常に大きいです。
- Q以前にニューモバックス®を接種しましたが、キャップバックス®も接種できますか?
- A
接種を検討できます。学会の考え方(第8版)では、ニューモバックス®NP(PPSV23)の接種から1年以上の間隔をあけて、プレベナー20(PCV20)またはキャップバックス®(PCV21)を接種することができるとされています。ただし、すでに肺炎球菌ワクチンを接種したことがある方は、定期接種の対象にはなりません。過去の接種歴を正確にお伝えいただいたうえで、接種の時期をご相談ください。
- Q接種後に腕が痛くなったらどうすればよいですか?
- A
接種部位の痛みは、よく見られる副反応の一つです。多くは数日で自然に軽快します。痛みがつらい場合は、冷やしたタオルなどで接種部位を冷やすと和らぐことがあります。
また、我慢できないほどの痛みがある場合や、痛みが長引く場合は、接種した医療機関にご相談ください。



