食べ物や飲み物を飲み込むときに喉に強い痛みを感じると、食事もままならず、日常生活に大きな支障をきたします。

この不快な症状は、風邪などの一時的なものから、注意が必要な病気のサインである可能性もあります。

この記事では、飲み込むときの喉の痛みの原因として何が考えられるのか、ご自身でできる対処法、そしてどのような場合に医療機関を受診すべきかについて、詳しく解説します。

飲み込むときの喉の痛みとは?こんな症状ありませんか

飲み込むときの喉の痛み、専門的には嚥下痛(えんげつう)と呼びます。この痛みは、喉の特定の部分に限定されることもあれば、喉全体に広がることもあります。

痛みの感じ方も、チクチクするような軽い痛みから、焼けるような激しい痛みまで様々です。まずは、ご自身の症状を詳しく観察することが大切です。

喉のどのあたりが痛むか

痛む場所を特定することは、原因を探る上で手がかりになります。喉仏のあたり、喉の奥、あるいは片側だけが痛むなど、具体的な場所を確認しましょう。

例えば、喉の入り口付近の痛みが強い場合は扁桃炎、喉の奥の方が痛む場合は咽頭炎などが考えられます。また、首のリンパ節が腫れて痛むこともあります。

痛み以外の症状(発熱、咳、鼻水など)

喉の痛み以外にも症状がある場合は、それらも重要な情報です。発熱、咳、鼻水、痰、声のかすれ、倦怠感、頭痛、関節痛など、他にどのような症状が出ているかを確認しましょう。

これらの随伴症状は、原因となる病気を特定するのに役立ちます。

主な随伴症状と関連する可能性

随伴症状考えられる状態・疾患の例補足
発熱、倦怠感ウイルス・細菌感染症(風邪、インフルエンザ、扁桃炎など)感染症の一般的な兆候です。
咳、痰気管支炎、咽頭炎、後鼻漏喉の炎症や鼻水が喉に流れることで生じます。
鼻水、鼻づまり風邪、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎鼻の症状が喉に影響することがあります。

食事や水分摂取時の具体的な困難さ

飲み込むときの痛みがどの程度、食事や水分摂取に影響しているかも重要です。

固形物は痛くて食べられないが、水分なら何とか摂れる、あるいは水分すら飲み込むのがつらい、といった具体的な状況を把握しましょう。

食事が十分に摂れない状態が続くと、脱水や栄養不足に陥る可能性もあるため注意が必要です。

症状はいつから続いているか

症状が出始めた時期や、どのくらいの期間続いているのかも大切なポイントです。数日で改善する軽微な痛みであれば、一般的な風邪などによる一過性のものの可能性が高いです。

しかし、痛みが1週間以上続く場合や、徐々に悪化している場合は、他の原因も考える必要があります。

飲み込むと喉が痛いときに考えられる主な原因

飲み込むときの喉の痛みを引き起こす原因は多岐にわたります。ここでは、代表的な原因をいくつか紹介します。

ウイルスや細菌による感染症

最も一般的な原因は、ウイルスや細菌による喉の感染症です。これらの微生物が喉の粘膜に感染し、炎症を引き起こすことで痛みが生じます。

風邪症候群

いわゆる風邪は、ライノウイルスやコロナウイルス(新型コロナウイルス感染症とは異なる従来型)など、様々なウイルスが原因で起こります。

喉の痛みのほか、鼻水、咳、くしゃみ、微熱などの症状を伴うことが一般的です。通常は数日から1週間程度で自然に軽快します。

扁桃炎・咽頭炎

扁桃や咽頭といった喉の特定の部分に炎症が起こる病気です。ウイルス性も細菌性(主に溶連菌)もあります。細菌性の場合は、高熱が出たり、喉の痛みが非常に強くなったりすることがあります。

適切な治療を行わないと、まれに重篤な合併症を引き起こすこともあります。

インフルエンザ

インフルエンザウイルスに感染することで発症します。急な高熱、強い倦怠感、筋肉痛、関節痛とともに、喉の痛みも現れることがあります。特に冬季に流行し、感染力が強いのが特徴です。

感染症による喉の痛みの特徴

感染症の種類主な原因特徴的な症状
風邪症候群各種ウイルス喉の痛み、鼻水、咳、微熱
急性扁桃炎ウイルス、細菌(溶連菌など)強い喉の痛み、高熱、扁桃の腫れ・膿
急性咽頭炎ウイルス、細菌喉の痛み、発赤、咳、声のかすれ

喉の乾燥や刺激物

感染症以外にも、喉の環境が悪化することで痛みが生じることがあります。

空気の乾燥

特に冬場やエアコンの効いた室内など、空気が乾燥していると喉の粘膜も乾燥しやすくなります。

粘膜のバリア機能が低下し、刺激に対して敏感になったり、炎症を起こしやすくなったりして痛みを感じることがあります。

声の出しすぎ

カラオケやスポーツ観戦などで大声を出しすぎたり、長時間話し続けたりすると、喉の粘膜や声帯に負担がかかり、炎症や痛みを引き起こすことがあります。職業柄、声をよく使う方も注意が必要です。

喫煙や飲酒

タバコの煙に含まれる有害物質や、アルコールは喉の粘膜を直接刺激し、炎症を引き起こす原因となります。日常的な喫煙や過度な飲酒は、慢性的な喉の痛みの原因にもなり得ます。

喉の刺激となり得るもの

  • 乾燥した空気
  • タバコの煙(受動喫煙含む)
  • アルコール
  • 香辛料などの刺激の強い食べ物
  • ホコリや化学物質

アレルギー反応

特定のアレルゲン(花粉、ハウスダスト、食物など)に対するアレルギー反応として、喉の粘膜に炎症やかゆみ、痛みが生じることがあります。

鼻炎症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)を伴うことも多く、季節性がある場合は花粉症などが疑われます。

逆流性食道炎

胃酸や胃の内容物が食道に逆流することで、食道だけでなく喉にも炎症を引き起こす病気です。

胸やけや呑酸(酸っぱいものが上がってくる感じ)といった典型的な症状のほかに、喉の痛みや違和感、咳、声のかすれなどが現れることがあります。特に食後や就寝中に症状が出やすいのが特徴です。

飲み込むときの喉の痛みを引き起こす可能性のある病気

飲み込むときの喉の痛みは、時に注意が必要な病気のサインであることもあります。以下に代表的な病気をいくつか挙げます。

急性咽頭炎

咽頭(鼻の奥から食道の入り口までの部分)の粘膜に急性の炎症が起こる病気です。多くはウイルス感染が原因ですが、細菌感染によるものもあります。

主な症状

喉の痛み(特に飲み込むとき)、喉の乾燥感、異物感、咳、痰、声のかすれなどが見られます。発熱や倦怠感を伴うこともあります。

原因となりやすいもの

風邪ウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルスなどが代表的です。細菌ではA群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)が知られています。

注意すべき点

症状が強い場合や長引く場合は、医療機関を受診することを推奨します。特に細菌感染が疑われる場合は、抗生物質による治療が必要です。

急性扁桃炎

口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺)に急性の炎症が起こる病気です。ウイルス性、細菌性の両方があります。

主な症状

強い喉の痛み(特に飲み込むとき)、38℃以上の高熱、悪寒、倦怠感、頭痛、関節痛などが現れます。扁桃が赤く腫れ上がり、白い膿が付着することもあります。

原因となりやすいもの

ウイルスではアデノウイルスやEBウイルス、細菌では溶連菌や肺炎球菌、インフルエンザ菌などが原因となります。

合併症のリスク

適切な治療を行わないと、扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍、さらにはリウマチ熱や急性糸球体腎炎といった全身性の合併症を引き起こすことがあるため、注意が必要です。

急性咽頭炎と急性扁桃炎の症状比較

症状急性咽頭炎急性扁桃炎
喉の痛み比較的広範囲、ヒリヒリ感強い痛み、嚥下困難、耳への放散痛
発熱軽度~中等度が多い高熱(38℃以上)が出やすい
扁桃の状態軽度の発赤強い発赤、腫脹、白い膿苔

扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)

急性扁桃炎が悪化し、扁桃の周囲に膿がたまってしまう状態です。片側の扁桃に起こることが多いです。

進行するとどうなるか

膿がたまることで、扁桃が片側に大きく腫れ上がり、口が開きにくくなったり、声がこもったりします。炎症が周囲に広がると、頸部(首)の腫れや痛みを伴うこともあります。

特徴的な症状

  • 非常に強い片側の喉の痛み
  • 開口障害(口が開きにくい)
  • 含み声(声がこもる)
  • よだれが増える、飲み込めない
  • 高熱

緊急性の高い状態

進行すると気道を圧迫して呼吸困難を引き起こす可能性もあるため、緊急の処置(膿を出す穿刺や切開)が必要になることがあります。疑わしい場合は、速やかに耳鼻咽喉科を受診してください。

喉頭蓋炎(こうとうがいえん)

喉頭蓋という、気管の入り口にあるフタのような部分に急性の炎症が起こる病気です。細菌感染(主にインフルエンザ菌b型)が原因となることが多いです。

窒息のリスク

喉頭蓋が腫れ上がると、空気の通り道である気道を塞いでしまい、窒息に至る危険性がある非常に重篤な病気です。

急速に進行する症状

症状は急速に進行することが特徴で、強い喉の痛み、嚥下困難、発熱に加え、呼吸困難(ゼーゼーする、息苦しい)、含み声、よだれが増えるといった症状が現れます。

すぐに医療機関へ

喉頭蓋炎が疑われる場合は、命に関わる可能性があるため、夜間や休日であっても直ちに救急外来を受診する必要があります。

喉頭蓋炎の危険なサイン

  • 急激に悪化する喉の痛み
  • 呼吸困難、喘鳴(ゼーゼー音)
  • よだれが飲み込めない
  • 前かがみで口を開けて呼吸する(トリアージポジション)

自分でできる喉の痛みの対処法と注意点

飲み込むときの喉の痛みが比較的軽い場合や、感染症の初期段階では、ご自身でできる対処法で症状の緩和が期待できます。

ただし、症状が悪化する場合や長引く場合は、医療機関の受診を検討してください。

安静と保温

体力を消耗すると免疫力が低下し、症状が悪化しやすくなります。無理をせず、ゆっくりと休養を取ることが大切です。

十分な睡眠

睡眠不足は免疫機能の低下に直結します。質の良い睡眠を十分にとり、体の回復を促しましょう。寝室の環境を整え、リラックスして眠れるように工夫することも有効です。

体を冷やさない工夫

体が冷えると血行が悪くなり、免疫細胞の働きも鈍くなります。特に首周りを温めると、喉の不快感が和らぐことがあります。衣服の調整や、温かい飲み物などで体を内側からも温めましょう。

水分補給の重要性

喉の粘膜を潤し、乾燥を防ぐために、こまめな水分補給は非常に重要です。また、発熱している場合は脱水を防ぐためにも水分摂取を心がけましょう。

喉を潤す飲み物

常温の水や白湯、麦茶、経口補水液などが適しています。喉ごしがよく、刺激の少ないものを選びましょう。

ハーブティー(カモミール、ペパーミントなど)も、リラックス効果や抗炎症作用が期待できる場合があります。

避けるべき飲み物

アルコール飲料、コーヒーや紅茶などのカフェインを多く含む飲み物、炭酸飲料、非常に熱い飲み物や冷たすぎる飲み物は、喉を刺激したり、脱水を助長したりする可能性があるため、控えるのが賢明です。

食事の工夫

飲み込むときの痛みが強い場合は、食事内容にも配慮が必要です。喉への刺激が少なく、栄養価の高いものを選びましょう。

喉に優しい食べ物

おかゆ、うどん、スープ、ゼリー、プリン、ヨーグルト、豆腐など、柔らかく喉ごしの良いものが適しています。栄養バランスを考え、ビタミンCやタンパク質を意識して摂取すると、体の回復を助けます。

刺激物を避ける

香辛料を多く使った辛いもの、酸味の強いもの、硬いもの、熱すぎるものや冷たすぎるものは、喉の粘膜を刺激し、痛みを悪化させる可能性があります。症状が改善するまでは避けましょう。

喉に優しい食べ物・飲み物の例

種類具体例ポイント
主食おかゆ、雑炊、柔らかく煮たうどん消化が良く、喉を通りやすい
飲み物常温の水、白湯、麦茶、経口補水液、薄めたスポーツドリンク喉を潤し、刺激が少ない
その他ゼリー、プリン、ヨーグルト、豆腐、すりおろしリンゴ喉ごしが良く、栄養も摂れる

市販薬の利用と限界

喉の痛みを和らげる目的で、市販の医薬品を利用することも一つの方法です。ただし、市販薬はあくまで症状を緩和するためのものであり、原因となっている病気を根本的に治療するものではありません。

痛みを和らげる成分

消炎鎮痛成分(イブプロフェン、ロキソプロフェン、アセトアミノフェンなど)や、喉の炎症を抑える成分(トラネキサム酸など)を含む内服薬、トローチ、うがい薬などがあります。

市販薬の成分例

  • イブプロフェン(解熱鎮痛)
  • トラネキサム酸(抗炎症)
  • アズレンスルホン酸ナトリウム(抗炎症・粘膜修復)
  • セチルピリジニウム塩化物水和物(殺菌消毒)

使用上の注意点

薬剤師や登録販売者に相談し、用法・用量を守って正しく使用することが大切です。アレルギー歴や持病がある方、妊娠中・授乳中の方、他の薬を服用中の方は特に注意が必要です。

頼りすぎないこと

市販薬を使用しても症状が改善しない場合や、悪化する場合は、自己判断を続けずに医療機関を受診しましょう。特に細菌感染が原因の場合、抗生物質による治療が必要となることがあります。

こんな場合は医療機関へ 飲み込むときの喉の痛み受診の目安

飲み込むときの喉の痛みは、多くの場合、数日で自然に軽快しますが、中には医療機関での診察や治療が必要なケースもあります。

以下のような症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診することを検討してください。

痛みが強い、または悪化している場合

我慢できないほどの強い痛みがある場合や、時間の経過とともに痛みがどんどん増していく場合は、単なる風邪ではない可能性があります。特に、唾液を飲み込むのもつらいほどの痛みは、注意が必要です。

呼吸が苦しい、息がしにくい場合

喉の腫れがひどくなると、気道を圧迫して呼吸がしにくくなることがあります。息苦しさ、ゼーゼーという呼吸音(喘鳴)、声が出しにくいといった症状は危険なサインです。

このような場合は、喉頭蓋炎など緊急性の高い病気の可能性もあるため、直ちに医療機関を受診してください。

高熱が続く、水分が摂れない場合

38℃以上の高熱が2~3日以上続く場合や、喉の痛みで水分や食事がほとんど摂れない状態が続く場合は、脱水や栄養状態の悪化、あるいは重症の感染症が疑われます。

点滴などの処置が必要になることもあります。

症状が長引く場合(目安の日数)

通常、風邪などによる喉の痛みは1週間程度で改善傾向が見られます。

しかし、1週間以上経っても症状が改善しない、あるいは悪化する一方の場合は、他の原因(細菌感染、アレルギー、逆流性食道炎など)が考えられます。自己判断せずに、医師の診察を受けましょう。

受診の目安となる症状

症状受診を検討する目安考えられること
強い痛み、悪化する痛み我慢できない、日常生活に支障重度の炎症、扁桃周囲膿瘍など
呼吸困難、息苦しさ少しでも感じたら喉頭蓋炎、気道閉塞のリスク
高熱が続く(38℃以上)2~3日以上細菌感染、インフルエンザなど
水分・食事が摂れない半日~1日以上脱水、栄養不良のリスク
症状が長引く1週間以上改善しない風邪以外の原因、合併症

上記の目安は一般的なものであり、症状の程度や進行具合には個人差があります。不安な点があれば、早めに医師に相談することが大切です。

医療機関で行われる検査と治療

医療機関を受診すると、まず症状や経過について詳しい問診が行われ、その後、喉の状態を直接観察する視診が行われます。必要に応じて、さらに詳しい検査に進みます。

問診と視診

症状の詳しい聞き取り

いつから、どのような痛みがあるか、他にどのような症状があるか、食事は摂れているか、アレルギー歴や持病、喫煙歴、普段飲んでいる薬などについて詳しく聞かれます。

正確な情報を伝えることが、的確な診断につながります。

喉の状態の確認

医師がペンライトや舌圧子(舌を押さえる器具)を使って、喉の奥の粘膜の発赤や腫れ、扁桃の大きさや膿の付着などを直接観察します。首のリンパ節の腫れなども触診で確認します。

迅速検査

特定の感染症が疑われる場合、その場で結果が分かる迅速検査を行うことがあります。

インフルエンザ検査

鼻の奥や喉の粘液を綿棒で採取し、インフルエンザウイルスに感染しているかどうかを調べます。発症後、ある程度時間が経過しないと正確な結果が出ないことがあります。

溶連菌検査

喉の粘液を綿棒で採取し、A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)に感染しているかどうかを調べます。数分から十数分で結果が判明します。

溶連菌感染症は、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症を防ぐために、抗生物質による確実な治療が必要です。

血液検査や画像検査

炎症の程度を調べる

血液検査では、白血球数やCRP(C反応性タンパク)の値などを調べることで、体内の炎症の程度や細菌感染の可能性などを評価します。これにより、治療方針の決定や重症度の判断に役立てます。

必要に応じて行う検査

扁桃周囲膿瘍や喉頭蓋炎など、より重篤な状態が疑われる場合には、頸部CT検査や喉頭ファイバースコープ検査(細いカメラで喉の奥を直接観察する検査)などが行われることもあります。

これらの検査は、主に耳鼻咽喉科などの専門的な医療機関で実施されます。

医療機関で行われる主な検査

検査の種類目的方法
視診・触診喉の状態、リンパ節の腫れなどを確認医師による直接観察、触診
迅速検査(インフルエンザ、溶連菌など)特定のウイルス・細菌感染の有無を確認鼻腔・咽頭ぬぐい液を使用
血液検査炎症の程度、細菌感染の可能性などを評価採血

主な治療法

治療法は、原因や症状の程度によって異なります。ウイルス性の場合は対症療法が中心となり、細菌性の場合は抗生物質の使用が検討されます。

薬物療法(抗生物質、消炎鎮痛剤など)

細菌感染が原因であると診断された場合(例:溶連菌による扁桃炎)や、その可能性が高い場合には、抗生物質が処方されます。医師の指示通り、処方された期間、確実に服用することが重要です。

途中で服用をやめてしまうと、細菌が完全に死滅せずに再発したり、耐性菌を生み出したりする原因になります。喉の痛みや発熱に対しては、消炎鎮痛剤(アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなど)が処方されます。

また、痰を出しやすくする去痰薬や、咳を鎮める鎮咳薬、喉の炎症を抑えるうがい薬などが症状に応じて処方されることもあります。

対症療法

ウイルス感染が主な原因である風邪などの場合は、特効薬がないため、症状を和らげる対症療法が中心となります。十分な休養と水分補給、栄養摂取を心がけ、体の免疫力でウイルスを排除するのを助けます。

解熱鎮痛薬や咳止め、うがい薬などが処方されることもあります。

生活指導

安静、保温、適切な水分・栄養補給、禁煙、節酒など、日常生活での注意点について指導があります。喉の乾燥を防ぐための加湿の重要性なども伝えられます。

飲み込むときの喉の痛みを予防するために

喉の痛みを経験すると、そのつらさから二度と繰り返したくないと思うものです。日頃からいくつかの点に気をつけることで、喉のトラブルを予防する助けになります。

うがい・手洗いの習慣化

感染症の多くは、手についたウイルスや細菌が口や鼻から侵入することで起こります。外出後や食事前には、石鹸と流水で丁寧に手洗いをする習慣をつけましょう。

また、うがいは喉についたウイルスや細菌、ホコリなどを洗い流し、粘膜を潤す効果が期待できます。特に空気が乾燥する季節や、人混みに出かけた後などは積極的に行いましょう。

十分な休息と栄養バランスの取れた食事

免疫力を高く保つためには、十分な睡眠と休息が不可欠です。疲れを溜めないように、規則正しい生活を心がけましょう。また、バランスの取れた食事は、体の抵抗力を高める上で重要です。

特にビタミンA(粘膜の健康維持)、ビタミンC(免疫力向上)、ビタミンE(血行促進)などを意識して摂取すると良いでしょう。緑黄色野菜や果物、肉類、魚介類などを偏りなく食べることが大切です。

室内の加湿と換気

空気が乾燥すると、喉の粘膜も乾燥し、バリア機能が低下してしまいます。

特に冬場やエアコンを使用する際は、加湿器を利用したり、濡れタオルを干したりするなどして、室内の湿度を適切(50~60%程度)に保つようにしましょう。

また、定期的に窓を開けて換気を行い、室内の空気をきれいに保つことも、ウイルスや細菌の増殖を抑えるのに役立ちます。

禁煙と節度ある飲酒

喫煙は喉の粘膜に慢性的な刺激と炎症を引き起こし、免疫力を低下させます。禁煙は、喉の健康だけでなく、全身の健康にとっても非常に重要です。

また、過度な飲酒も喉の粘膜を荒らし、炎症の原因となることがあります。飲酒は適量を守り、休肝日を設けるなど、喉に負担をかけないように心がけましょう。

喉の痛みの予防法まとめ

予防策具体的な行動期待される効果
感染対策手洗い、うがい、マスク着用ウイルス・細菌の侵入防止
生活習慣十分な睡眠、バランスの取れた食事、禁煙、節酒免疫力の維持・向上、粘膜保護
環境整備適切な湿度管理(加湿)、定期的な換気喉の乾燥防止、空気清浄

飲み込むときの喉の痛みに関するよくある質問

Q
喉の痛みに効く食べ物や飲み物はありますか?
A

特定の食品が特効薬になるわけではありませんが、喉の粘膜を潤し、刺激が少なく、栄養価の高いものが推奨されます。

例えば、はちみつ(1歳未満の乳児には与えないでください)には抗菌作用や保湿効果が期待され、お湯に溶かして飲むと喉の痛みを和らげるのに役立つことがあります。大根や生姜も、伝統的に喉の炎症を抑える効果があると言われています。

飲み物では、常温の水や白湯、ハーブティー(カモミールティーなど)が良いでしょう。刺激の強い香辛料や酸味の強いもの、熱すぎるものや冷たすぎるものは避けてください。

Q
喉の痛みがなかなか治りません。何日くらいで治りますか?
A

原因によって異なります。一般的な風邪による喉の痛みであれば、通常3日~1週間程度で軽快することが多いです。

しかし、細菌感染(溶連菌感染症など)の場合は、適切な抗生物質治療を行わないと長引いたり、悪化したりすることがあります。

1週間以上症状が改善しない、または悪化する傾向がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。

Q
喉の痛みがあるとき、お風呂に入っても大丈夫ですか?
A

高熱がなく、体力が著しく低下していなければ、入浴しても問題ありません。むしろ、お風呂の蒸気で喉が加湿され、症状が和らぐこともあります。

ただし、長湯や熱すぎるお湯は体力を消耗させる可能性があるので避け、入浴後は湯冷めしないように注意しましょう。

高熱がある場合や、だるさが強い場合は、無理せずシャワー程度にするか、体を拭くだけに留めておきましょう。

Q
喉スプレーは効果がありますか?使い方の注意点は?
A

喉スプレーには、抗炎症成分や殺菌成分が含まれており、喉の痛みや不快感を一時的に和らげる効果が期待できます。

使用する際は、製品の説明書をよく読み、用法・用量を守ってください。ノズルを喉の患部に正確に向けて噴射することがポイントです。

ただし、喉スプレーは対症療法の一つであり、根本的な原因を治療するものではありません。

長期間使用しても改善しない場合や、アレルギー症状(発疹、かゆみなど)が出た場合は、使用を中止し医師や薬剤師に相談してください。

以上

参考にした論文