のどに軽いかすれを感じたり、何か引っかかるような「いがいが」とした異物感や刺激が続いて気になることはありませんか。

多くの場合、これらの症状は一時的なものですが、中には注意が必要なケースも潜んでいます。

この記事では、のどのかすれやいがいが感といった不快な症状がなぜ起こるのか、その主な原因やご自身でできる対処法、そして医療機関を受診する目安について、分かりやすく解説します。

のどの不調に関する正しい知識を得て、適切な対応をとるための一助としてお役立てください。

のどのかすれ・いがいが感とは?その正体と主な症状

のどのかすれやいがいが感は、多くの人が一度は経験するありふれた症状です。しかし、その感じ方や持続期間は人によって様々です。

まずは、これらの症状が具体的にどのようなものなのか、そして他にどのような症状を伴うことがあるのかを理解しましょう。

のどの構造と機能の基本

私たちののど(咽頭・喉頭)は、呼吸、食事、発声といった生命維持に重要な役割を担っています。咽頭は鼻の奥から食道につながる部分で、空気と食物の通り道です。

喉頭は咽頭の下にあり、気管の入り口にあたります。喉頭には声帯があり、声を出すために重要な器官です。これらの部分に炎症や刺激が加わると、かすれやいがいが感といった症状が現れます。

のどの粘膜は非常にデリケートで、外部からの刺激に敏感です。乾燥した空気、ウイルスや細菌の感染、アレルギー物質、喫煙などが原因で粘膜がダメージを受けると、炎症反応が起こり、不快な症状を引き起こします。

「かすれ」とはどのような状態か

声のかすれは、医学的には嗄声(させい)と呼ばれます。普段とは違う、ガラガラした声、しわがれた声、弱々しい声、息が漏れるような声などが特徴です。

これは主に、声帯の振動がうまくいかないことによって起こります。声帯に炎症やポリープ、結節などができると、正常な振動が妨げられ、声質が変化します。

一時的な声の使いすぎや風邪などでも声はかすれますが、長期間続く場合や、徐々に悪化する場合は注意が必要です。

特に、他に症状がないのに声のかすれだけが続く場合は、専門医の診察を受けることを検討しましょう。

「いがいが感」とはどのような状態か

のどのいがいが感は、チクチク、ザラザラ、ヒリヒリといった表現で形容されることが多い不快な感覚です。のどに何かが引っかかっているような異物感や、乾燥感を伴うこともあります。

この症状は、のどの粘膜が炎症を起こしたり、刺激を受けたりすることで生じます。

風邪のひき始めや、空気が乾燥している環境、ホコリや煙を吸い込んだときなどによく見られます。多くは一時的なものですが、長引く場合はアレルギーや逆流性食道炎など、他の原因も考える必要があります。

のどの不快感の種類と表現

不快感の種類主な表現考えられる状態
いがいが・チクチクのどが刺激される感じ、細かいトゲが刺さるような感じ粘膜の軽い炎症、乾燥
ヒリヒリのどが焼けるような感じ、熱感粘膜の炎症、刺激物の摂取
異物感何かが詰まっている感じ、飲み込みにくい感じ粘膜の腫れ、精神的な要因

他に現れる可能性のある随伴症状

のどのかすれやいがいが感に加えて、以下のような症状が現れることがあります。これらの随伴症状は、原因を特定する上で重要な手がかりとなります。

  • 咳や痰
  • のどの痛み、嚥下痛(飲み込むときの痛み)
  • 発熱
  • 鼻水、鼻づまり
  • 倦怠感

例えば、発熱や鼻水、咳を伴う場合は、風邪やインフルエンザなどの感染症が疑われます。一方、胸やけや酸っぱいものが上がってくる感じがあれば、逆流性食道炎の可能性が考えられます。

症状の組み合わせや経過を注意深く観察することが大切です。

のどのかすれ・いがいが感を引き起こす主な原因

のどのかすれやいがいが感は、様々な原因によって引き起こされます。日常生活に潜む原因から、特定の病気が関連するものまで多岐にわたります。ここでは、代表的な原因をいくつか紹介します。

空気の乾燥や汚染

空気が乾燥していると、のどの粘膜も乾燥しやすくなります。特に冬場やエアコンの効いた室内では湿度が低下しがちです。

粘膜が乾燥すると、バリア機能が低下し、ウイルスや細菌に感染しやすくなったり、わずかな刺激にも敏感に反応していまい、いがいが感や咳が出やすくなります。

また、ホコリ、花粉、黄砂、PM2.5などの大気汚染物質、タバコの煙、化学物質なども、のどの粘膜を刺激し、炎症を引き起こす原因となります。

これらの物質を吸い込むことで、いがいが感や咳、声のかすれといった症状が現れることがあります。

空気環境と喉のトラブル

環境要因喉への影響具体的な症状例
乾燥した空気粘膜の乾燥、バリア機能低下いがいが感、乾いた咳、声のかすれ
汚れた空気(ホコリ、花粉など)粘膜への刺激、アレルギー反応いがいが感、くしゃみ、鼻水、咳
タバコの煙粘膜への慢性的な刺激、炎症慢性的な咳、痰、声のかすれ

声の使いすぎや間違った発声

教師、歌手、保育士など、日常的に大きな声を出したり、長時間話し続けたりする職業の人は、声帯に負担がかかりやすいです。

声帯を酷使すると、声帯粘膜が炎症を起こしたり、硬くなったりして(声帯結節)、声がかすれることがあります。また、無理な発声方法を続けていると、声帯ポリープができることもあります。

カラオケで長時間歌ったり、スポーツ観戦で大声援を送ったりした後にも、一時的に声がかすれることがあります。これは声帯が急激な負担に対応しきれずに起こる現象です。

通常は安静にすることで回復しますが、頻繁に繰り返すと慢性的な声のトラブルにつながる可能性もあります。

喫煙や飲酒の習慣

喫煙は、のどにとって百害あって一利なしと言えます。タバコの煙に含まれる多くの有害物質は、のどの粘膜を直接刺激し、慢性的な炎症を引き起こします。

これにより、咳や痰が増え、声がかすれやすくなります。長期間の喫煙は、喉頭がんなどの重大な病気のリスクも高めます。

アルコールの摂取も、のどの粘膜を刺激し、脱水を引き起こす可能性があります。特に度数の高いお酒を飲むと、粘膜が荒れて炎症を起こしやすくなります。

飲酒時の大声での会話も、声帯への負担を増大させます。

アレルギー反応

花粉、ハウスダスト、ダニ、ペットの毛などがアレルゲンとなり、のどにアレルギー反応を引き起こすことがあります。

アレルギー性鼻炎や気管支喘息のある人は、のどにも症状が出やすく、いがいが感、咳、声のかすれなどが見られることがあります。これをアレルギー性咽喉頭炎と呼ぶこともあります。

特定のアレルゲンに反応して症状が現れるため、原因物質を特定し、避けることが重要です。症状が強い場合は、抗ヒスタミン薬や吸入ステロイド薬などによる治療を行います。

のどのかすれ・いがいが感から考えられる病気

のどのかすれやいがいが感が長引く場合や、他の症状を伴う場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。ここでは、これらの症状を引き起こす代表的な病気について解説します。

風邪症候群やインフルエンザ

最も一般的な原因の一つが、風邪症候群やインフルエンザといったウイルス感染症です。これらの感染症では、ウイルスがのどの粘膜に感染し、炎症(咽頭炎、喉頭炎)を引き起こします。

その結果、のどの痛み、いがいが感、咳、痰、声のかすれといった症状が現れます。発熱や鼻水、倦怠感などを伴うことも多いです。

通常は数日から1週間程度で自然に回復しますが、症状が強い場合や長引く場合は、細菌による二次感染や他の合併症も考えられるため、医療機関の受診を検討しましょう。

風邪とインフルエンザの主な症状比較

症状風邪症候群インフルエンザ
発熱軽度~なし、あっても38℃程度まで38℃以上の高熱が急に出る
のどの症状痛み、いがいが感、咳強いのどの痛み、咳
全身症状比較的軽微強い倦怠感、関節痛、筋肉痛

急性喉頭炎・急性咽頭炎

急性喉頭炎は、主にウイルス感染や声の使いすぎによって喉頭(声帯を含む部分)に急性の炎症が起こる病気です。主な症状は声のかすれで、ひどい場合は声が出なくなることもあります。

のどの痛みや咳、発熱を伴うこともあります。

急性咽頭炎は、のどの奥(咽頭)に炎症が起こる病気で、こちらもウイルスや細菌の感染が主な原因です。のどの痛み、いがいが感、飲み込むときの痛み、発熱などが主な症状です。

細菌感染の場合は、扁桃腺が赤く腫れたり、白い膿が付着したりすることもあります(急性扁桃炎)。

逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸や胃の内容物が食道に逆流することで、食道の粘膜に炎症が起こる病気です。

胸やけや呑酸(酸っぱいものが上がってくる感じ)が代表的な症状ですが、胃酸がのどまで逆流すると、のどのいがいが感、声のかすれ、咳、飲み込みにくさといった症状を引き起こすことがあります。

これを咽喉頭酸逆流症(LPRD)と呼びます。

特に、食後や就寝中に症状が悪化しやすい傾向があります。生活習慣の改善や胃酸の分泌を抑える薬で治療します。

逆流性食道炎でのどの症状が出るケース

症状特徴
のどのいがいが感・違和感慢性的に続く、特に朝方に強い
声のかすれ朝起きたときに声が出にくい
原因不明の慢性的な咳、特に横になると悪化

声帯ポリープ・声帯結節

声帯ポリープは、声帯の片側にできる柔らかい腫瘤で、主に声の使いすぎや炎症が原因で発生します。声がかすれたり、二重になったり、出しにくくなったりします。

一度できると自然には治りにくく、手術が必要になることもあります。

声帯結節は、声帯の両側にできる硬いタコのようなもので、慢性的な声の使いすぎが原因です。教師や歌手など声を酷使する職業の人に多く見られます。

症状は声のかすれが主で、声が出しにくい、高い声が出ないなどがあります。音声治療や、場合によっては手術を行います。

これらの病気は、耳鼻咽喉科での専門的な診察が必要です。ファイバースコープでのどの奥を直接観察することで診断します。

稀だが注意したい病気(喉頭がんなど)

頻度は低いものの、のどのかすれが長期間続く場合には、喉頭がんなどの悪性腫瘍の可能性も考慮に入れる必要があります。

特に50歳以上の喫煙者で、原因不明の声のかすれが2週間以上続く場合は、専門医の診察を受けることが強く推奨されます。

喉頭がんの初期症状は声のかすれが最も多く、進行すると血痰、のどの痛み、呼吸困難などが現れることがあります。早期発見・早期治療が非常に重要です。

その他、甲状腺の病気や神経系の病気が声のかすれの原因となることもあります。気になる症状が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。

のどのかすれ・いがいが感が続く場合に考えられること

一時的なのどの不調は誰にでも起こり得ますが、症状が長引く場合はその背景に何らかの原因が潜んでいる可能性があります。慢性化する要因や、生活習慣との関連について見ていきましょう。

症状が慢性化する要因

のどのかすれやいがいが感が2週間以上続く場合、慢性化していると考えられます。慢性化の要因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 持続的な声の酷使や不適切な発声
  • 長期間の喫煙
  • アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)による後鼻漏(鼻水がのどに流れること)
  • 逆流性食道炎の未治療またはコントロール不良
  • 慢性的な空気の乾燥や汚染への曝露

これらの要因が単独または複合的に作用し、のどの粘膜に持続的な刺激や炎症をもたらすことで、症状が改善しにくくなります。

生活習慣との関連性

日々の生活習慣も、のどの状態に大きく影響します。例えば、睡眠不足やストレスは免疫力を低下させ、感染症にかかりやすくなったり、炎症が治りにくくなったりする原因となります。

また、食生活の乱れ、特に刺激物の多い食事や不規則な食事時間は、逆流性食道炎を悪化させる可能性があります。

十分な水分摂取を怠ると、のどの粘膜が乾燥しやすくなり、いがいが感や咳が出やすくなります。

適度な運動は全身の血行を促進し、免疫機能を高める効果が期待できますが、激しい運動中の口呼吸はのどを乾燥させることもあります。

生活習慣と喉の健康

生活習慣の要素喉への影響改善のポイント
睡眠不足すると免疫力低下、炎症が治りにくい質の良い睡眠を十分にとる
食事刺激物、不規則な食事は逆流性食道炎を悪化させる可能性バランスの取れた食事、刺激物を避ける
水分摂取不足すると粘膜乾燥こまめに水分を補給する

ストレスや心因性の要因

意外に思われるかもしれませんが、ストレスや精神的な緊張も、のどの不快感と関連することがあります。

強いストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れ、のどの筋肉が過度に緊張したり、粘膜が過敏になったりすることがあります。

その結果、のどに何かが詰まったような感じ(咽喉頭異常感症、ヒステリー球とも呼ばれます)や、いがいが感、咳払いが増えるなどの症状が現れることがあります。

このような場合、のど自体には明らかな異常が見つからないことも少なくありません。ストレスの原因を特定し、適切に解消することが症状改善につながります。

リラックスできる時間を持つ、趣味を楽しむ、十分な休息をとるなどが大切です。

加齢による変化

年齢を重ねるとともに、のどの機能にも変化が現れることがあります。

声帯の筋肉が痩せてきたり、粘膜の潤いが減少したりすることで、声がかすれやすくなったり、弱々しくなったりすることがあります(加齢による音声障害、声の老化)。

また、飲み込む力が弱くなり、むせやすくなることもあります。

これらの変化は自然なものですが、適切なケアやトレーニングによって、ある程度進行を遅らせたり、症状を軽減したりすることが可能です。気になる場合は、専門医に相談してみましょう。

自分でできるのどのかすれ・いがいが感のセルフケアと予防法

のどのかすれやいがいが感は、日常生活でのちょっとした工夫で予防したり、症状を和らげたりすることができます。ここでは、自分でできるセルフケアや予防法について具体的に紹介します。

のどの保湿と加湿

のどの粘膜を乾燥から守ることは、最も基本的なケアです。こまめに水分を摂取し、のどを潤しましょう。

特に、白湯や常温の水、ノンカフェインのハーブティーなどがおすすめです。冷たすぎる飲み物や刺激の強い飲み物は避けましょう。

室内の湿度を適切に保つことも重要です。加湿器を使用したり、濡れタオルを干したりして、湿度が40~60%程度になるように調整しましょう。

特に空気が乾燥しやすい冬場や、エアコンを使用する季節は注意が必要です。

のどの保湿に役立つ飲み物

種類特徴注意点
白湯・常温の水刺激が少なく、水分補給に適している特になし
ハーブティー(カモミール、ペパーミントなど)リラックス効果や抗炎症作用が期待できるものもカフェインレスを選ぶ
はちみつ入りのお湯保湿効果や殺菌効果が期待できる1歳未満の乳児には与えない

声の衛生管理(ヴォイスハイジーン)

声を大切に使うことも、のどの不調を防ぐためには重要です。これを声の衛生管理(ヴォイスハイジーン)と呼びます。具体的には、以下のような点に注意しましょう。

  • 大声や長時間の会話を避ける。
  • 無理な高さや低さの声を出さない。
  • 咳払いを頻繁にしない(咳払いは声帯に負担をかけます)。
  • 話すときは、腹式呼吸を意識し、リラックスして発声する。

仕事で声をよく使う人は、意識的に声の休息時間を設けることも大切です。のど飴をなめたり、うがいをしたりするのも良いでしょう。

ただし、メントール系の刺激が強いものは、かえってのどを乾燥させることもあるので注意が必要です。

食生活の見直しと刺激物の回避

食生活も、のどの健康に影響を与えます。香辛料の多い食事、熱すぎるものや冷たすぎるもの、アルコール、炭酸飲料などは、のどの粘膜を刺激し、炎症を引き起こす可能性があります。

これらの摂取は控えめにしましょう。

逆流性食道炎の疑いがある場合は、脂肪の多い食事、チョコレート、柑橘類、コーヒーなども症状を悪化させることがあるため注意が必要です。

また、食後すぐに横になると胃酸が逆流しやすくなるため、就寝前の2~3時間は食事を控えるようにしましょう。

禁煙と節度ある飲酒

喫煙は、のどにとって最大の敵の一つです。禁煙することで、のどの炎症が改善し、咳や痰、声のかすれといった症状が軽減されることが期待できます。

禁煙は難しい場合もありますが、専門医のサポートを受けながら取り組むことも可能です。

飲酒も適量を心がけましょう。アルコールはのどの粘膜を乾燥させ、刺激を与える可能性があります。特に、飲酒しながら大声で話すことは、声帯に大きな負担をかけます。

飲酒の際は、こまめに水を飲むなどして、のどの乾燥を防ぐ工夫も大切です。

医療機関を受診する目安と検査・治療の流れ

のどのかすれやいがいが感が気になるものの、いつ医療機関を受診すべきか迷うこともあるでしょう。ここでは、受診を検討する目安や、医療機関で行われる一般的な検査・治療について解説します。

受診を検討すべき症状のサイン

以下のような症状が見られる場合は、自己判断せずに医療機関(主に耳鼻咽喉科)を受診することをおすすめします。

  • 声のかすれが2週間以上続く場合
  • のどの痛みやいがいが感が悪化する場合、または高熱を伴う場合
  • 呼吸が苦しい、息切れがする場合
  • 飲み込みにくい、むせる、血痰が出る場合
  • 首にしこりがある場合

特に、喫煙歴のある中高年の方で、原因不明の声のかすれが続く場合は、喉頭がんなどの可能性も否定できないため、早めの受診が重要です。

注意:上記はあくまで一般的な目安です。症状の感じ方には個人差がありますので、ご自身で「おかしいな」と感じたら、遠慮なく医療機関に相談しましょう。

何科を受診すればよいか

のどのかすれやいがいが感といった症状の場合、基本的には耳鼻咽喉科が専門となります。耳鼻咽喉科では、のどや声帯の状態を詳しく診察するための専門的な機器がそろっています。

ただし、症状の原因によっては他の診療科との連携が必要になることもあります。

例えば、逆流性食道炎が疑われる場合は消化器内科、アレルギーが主な原因と考えられる場合はアレルギー科や呼吸器内科、ストレスが関与している場合は心療内科や精神科の受診を勧められることもあります。

まずはかかりつけ医に相談し、適切な診療科を紹介してもらうのも良いでしょう。

一般的な検査の流れ

医療機関では、まず問診で症状の詳しい内容や経過、既往歴、生活習慣などを確認します。その後、視診でのどの状態を観察します。必要に応じて、以下のような検査が行われます。

主な検査方法とその目的

検査方法目的内容
喉頭ファイバースコープ検査声帯や喉頭の状態を直接観察する細いカメラを鼻から挿入し、のどの奥をモニターで確認する
頸部超音波(エコー)検査甲状腺や頸部のリンパ節などの状態を確認する首の表面にゼリーを塗り、超音波を当てて内部を画像化する
血液検査炎症の程度やアレルギーの有無などを調べる採血を行い、白血球数、CRP、アレルゲン特異的IgE抗体などを測定する

その他、症状や疑われる病気に応じて、細菌培養検査、画像検査(CT、MRI)、音声機能検査などが行われることもあります。

主な治療法について

治療法は、原因となる病気や症状の程度によって異なります。一般的な治療法としては、以下のようなものがあります。

薬物療法:

  • 消炎鎮痛薬:のどの炎症や痛みを和らげます。
  • 抗生物質:細菌感染が原因の場合に使用します。
  • 抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬:アレルギー反応を抑えます。
  • 胃酸分泌抑制薬:逆流性食道炎の治療に使用します。
  • 去痰薬・鎮咳薬:痰や咳の症状を和らげます。

吸入療法(ネブライザー療法):

薬剤を霧状にして直接のどや気管に吸入することで、炎症を抑えたり、痰を出しやすくしたりします。のどの保湿効果も期待できます。

生活指導・音声治療:

声の安静や正しい発声方法の指導、禁煙指導、食事指導などが行われます。声帯結節などでは、専門の言語聴覚士による音声治療が効果的な場合があります。

手術療法:

声帯ポリープや喉頭がんなど、薬物療法や保存的治療で改善が見られない場合や、悪性腫瘍が疑われる場合には手術が検討されます。

治療法は医師とよく相談し、納得のいく形で進めることが大切です。

のどのかすれ・いがいが感に関するよくある質問

ここでは、のどのかすれやいがいが感に関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q
のど飴は効果がありますか
A

のど飴には、唾液の分泌を促してのどを潤す効果や、製品によっては炎症を抑える成分や殺菌成分が含まれているものもあります。一時的なのどの乾燥や軽い不快感の緩和には役立つ場合があります。ただし、のど飴だけで病気が治るわけではありません。

症状が続く場合は、根本的な原因を特定するために医療機関を受診することが重要です。また、糖分の多いのど飴の摂りすぎには注意しましょう。

Q
うがいはどのくらいの頻度ですればよいですか
A

うがいは、のどの粘膜についたホコリや細菌、ウイルスなどを洗い流し、保湿する効果が期待できます。特に、外から帰宅したとき、空気が乾燥しているとき、のどの調子が悪いと感じるときなどに行うと良いでしょう。

うがい薬を使用する場合は、製品の指示に従ってください。ただし、過度なうがいは、かえってのどの粘膜を傷める可能性もあるため、1日数回程度を目安にしましょう。

通常の水やお茶でのうがいでも一定の効果はあります。

うがいの種類と期待される効果

うがいの種類期待される主な効果ポイント
水・ぬるま湯粘膜の保湿、異物の除去手軽に行える、刺激が少ない
塩水粘膜の引き締め、軽い殺菌効果濃度が高すぎると刺激になることも
うがい薬(医薬品・指定医薬部外品)殺菌・消毒、抗炎症効果(成分による)用法・用量を守る
Q
マスクの着用はのどの症状に有効ですか
A

マスクの着用は、いくつかの点で有効です。まず、自分の呼気に含まれる水分でのどが保湿され、乾燥を防ぐ効果があります。また、外部からのホコリや花粉、ウイルスなどの侵入をある程度防ぐことができます。

さらに、冷たい空気を直接吸い込むのを和らげる効果もあります。特に空気が乾燥している場所や、人混みに出かける際には、マスクの着用がのどの保護に役立ちます。

Q
長引くのどの不快感は放置しても大丈夫ですか
A

一時的なのどの不快感であれば、セルフケアで改善することも多いですが、症状が2週間以上続く場合や、悪化する傾向がある場合は、放置せずに医療機関を受診することをお勧めします。

前述したように、長引く症状の背後には、逆流性食道炎やアレルギー、声帯の異常、稀には悪性腫瘍などが隠れている可能性もあります。

早期に原因を特定し、適切な対応をとることが、症状の改善と健康維持のためには重要です。

以上

参考にした論文