「夜、なかなか寝付けない」「睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されたけれど、不眠もあって辛い」。そんな悩みを抱え、睡眠薬の使用を考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、SAS患者さんにとって睡眠薬の使用は慎重な判断が必要です。場合によっては症状を悪化させる可能性もあるため、正しい知識を持つことが大切です。
この記事ではSASと睡眠薬の関係、薬物療法の現状、そして安全な薬との付き合い方について専門家の視点から分かりやすく解説します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と不眠の悩み
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠の質を著しく低下させる病気であり、多くの患者さんが不眠の悩みを抱えています。
SASとはどんな病気か
SASは睡眠中に呼吸が一時的に止まったり(無呼吸)、浅くなったり(低呼吸)する状態を繰り返す病気です。
この呼吸異常により、体内の酸素濃度が低下して脳が覚醒しやすくなるため、深い睡眠が得られにくくなります。
代表的な症状には大きないびき、日中の強い眠気、起床時の頭痛などがあります。
SAS患者さんが抱える睡眠の困難
SAS患者さんは夜間に頻繁に目が覚める(中途覚醒)、寝つきが悪い(入眠困難)、朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)、熟睡感がないといった様々な睡眠の問題を抱えやすいです。
これらの症状はSASによる直接的な影響だけでなく、SASが引き起こす不安やストレスによっても増悪することがあります。
SAS患者さんに見られる主な睡眠トラブル
睡眠トラブルの種類 | 具体的な症状 |
---|---|
入眠困難 | 布団に入ってもなかなか寝付けない |
中途覚醒 | 夜中に何度も目が覚める(息苦しさ、尿意など) |
早朝覚醒 | 予定より早く目が覚めてしまい、その後眠れない |
熟睡感の欠如 | 長時間寝ても疲れが取れない、ぐっすり眠った感じがしない |
なぜSASで不眠が起こりやすいのか
SASによる無呼吸・低呼吸は、その度に脳を覚醒状態に近づけます。本人が意識していなくても、睡眠が断片的になり、深いノンレム睡眠やレム睡眠が妨げられます。
また、夜間の低酸素状態や頻繁な覚醒は自律神経のバランスを乱し、交感神経を過剰に興奮させることがあります。
これらの要因が複合的に作用し、不眠症状を引き起こすと考えられています。
睡眠薬に頼りたくなる心理
SASによる不眠や日中の辛い症状が続くと、「とにかく眠りたい」「少しでも楽になりたい」という思いから睡眠薬の使用を考えるのは自然なことです。
しかし、SASの根本的な治療を行わずに睡眠薬だけに頼ると、かえって状態を悪化させるリスクがあることを理解しておく必要があります。
睡眠薬の基本的な知識と種類
睡眠薬は不眠症の治療に用いられる医薬品ですが、その種類や作用は様々です。基本的な知識を身につけましょう。
睡眠薬とはどんな薬か
睡眠薬は中枢神経系に作用して催眠効果をもたらし、入眠を助けたり、睡眠を持続させたりする薬の総称です。
医師の診断と処方に基づいて使用される医療用医薬品であり、薬局で自由に購入できる睡眠改善薬とは区別されます。
主な睡眠薬の種類と作用の違い
睡眠薬には作用の仕方や持続時間によっていくつかの系統があります。
代表的なものにはベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬などがあります。
睡眠薬の主な種類と特徴
系統 | 主な作用 | 特徴 |
---|---|---|
ベンゾジアゼピン系 | GABA受容体に作用し、神経活動を抑制 | 催眠作用のほか、抗不安作用、筋弛緩作用も持つ。依存性やふらつきに注意。 |
非ベンゾジアゼピン系 | GABA受容体の一部に選択的に作用 | 催眠作用が主。ベンゾジアゼピン系に比べ筋弛緩作用や翌朝への持ち越しが少ないとされるが、注意は必要。 |
メラトニン受容体作動薬 | 体内時計に関わるメラトニン受容体に作用 | 自然な眠りを促す。依存性が少ないとされる。 |
オレキシン受容体拮抗薬 | 覚醒を維持するオレキシン神経伝達を抑制 | 覚醒状態から睡眠状態への移行を促す。依存性が少ないとされる。 |
どの種類の睡眠薬が適しているかは不眠のタイプや患者さんの状態によって異なります。
睡眠薬の一般的な副作用と注意点
睡眠薬には期待される効果だけでなく、副作用が現れる可能性もあります。
主な副作用としては翌朝への眠気の持ち越し、ふらつき、めまい、頭痛、倦怠感、記憶障害(特に服用後の出来事を覚えていない前向性健忘)などがあります。
また、長期間の使用による依存性や急な中断による離脱症状(不眠の悪化、不安、イライラなど)にも注意が必要です。
睡眠薬は医師の指示のもとで
睡眠薬は効果と副作用のバランスを考慮し、医師が患者さん一人ひとりの状態に合わせて種類や量を慎重に決定する薬です。
自己判断で他人の薬を使用したり、量を増やしたり、急にやめたりすることは非常に危険です。必ず医師の指示に従い、正しく使用することが大切です。
SAS患者さんにおける睡眠薬使用のリスク
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんが睡眠薬を使用する場合、特有のリスクが伴うことを理解しておく必要があります。
呼吸抑制作用によるSASの悪化
多くの睡眠薬(特にベンゾジアゼピン系や一部の非ベンゾジアゼピン系)には呼吸中枢を抑制する作用があります。
SAS患者さんがこれらの睡眠薬を使用すると、ただでさえ不安定な呼吸状態がさらに悪化し、無呼吸や低呼吸の回数が増えたり、時間が長くなったりする可能性があります。
このことは夜間の低酸素状態を深刻化させ、体に大きな負担をかけることになります。
睡眠薬の呼吸への影響
睡眠薬の作用 | SASへの影響 |
---|---|
呼吸中枢抑制 | 無呼吸・低呼吸の頻度・持続時間増加 |
筋弛緩作用 | 上気道の閉塞悪化(特にOSAS) |
筋弛緩作用と気道閉塞の助長
ベンゾジアゼピン系睡眠薬などに含まれる筋弛緩作用は全身の筋肉をリラックスさせますが、同時に喉の周りの筋肉(上気道開大筋)の緊張も低下させます。
このため閉塞性SAS(OSAS)の患者さんでは舌根の沈下や軟口蓋の落ち込みが助長され、気道がさらに狭窄・閉塞しやすくなり、SASの症状が悪化する危険性があります。
睡眠の質のさらなる低下の可能性
睡眠薬によって眠れたとしても、SASによる呼吸イベントが改善されなければ睡眠の断片化や低酸素状態は依然として続きます。
むしろ呼吸状態が悪化することで睡眠の質はさらに低下し、日中の眠気や倦怠感が改善しない、あるいは悪化する可能性も考えられます。
表面的な「眠り」が得られても、根本的な問題解決には繋がりません。
依存性や離脱症状のリスク
SAS患者さんに限らず、睡眠薬の長期連用は身体的・精神的な依存を形成するリスクがあります。薬がないと眠れないと感じるようになり、自己判断で量を増やしてしまうこともあります。
また、急に薬を中断すると不眠が悪化したり、不安感やイライラ、手の震えなどの離脱症状が現れたりすることがあり、薬をやめにくくなるという悪循環に陥る可能性があります。
SAS治療における薬物療法の現状
睡眠時無呼吸症候群(SAS)そのものを薬で直接治療することは現在のところ確立されていません。
しかし関連する症状の緩和や、特定のタイプのSASに対する研究は進められています。
SAS自体を直接治す薬はあるのか
残念ながら現時点ではSASの根本的な原因を取り除き、完治させるような経口薬や注射薬は存在しません。
SASの主な治療法はCPAP(シーパップ)療法、マウスピース治療、生活習慣の改善、場合によっては外科手術など物理的に気道を開存させたり、呼吸を補助したりする方法が中心です。
このため薬物療法は補助的な位置づけとなります。
OSAS(閉塞性SAS)に対する薬物療法の試み
OSASに対しては上気道の筋肉の活動を高める薬や呼吸中枢を刺激する薬、炎症を抑える薬など様々な角度からの薬物療法の研究が行われています。
しかしその効果や安全性はまだ十分に確立されておらず、日常診療で広く用いられている薬はありません。
OSASに対する研究中の薬剤例(一部)
- アトモキセチンとオキシブチニンの併用(上気道開大筋の活動性向上)
- 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の一部(呼吸中枢刺激)
これらの薬剤はまだ研究段階であり、副作用や長期的な効果についてはさらなる検証が必要です。
CSAS(中枢性SAS)に対する薬物療法
中枢性SAS(CSAS)の場合、原因となっている基礎疾患(心不全など)の治療が最優先されます。
その上で一部のCSASに対しては、呼吸中枢を刺激する目的でアセタゾラミドやテオフィリンといった薬剤が試みられることがありますが、その効果は限定的であり、副作用にも注意が必要です。
全てのCSASに有効なわけではありません。
CSAS治療に用いられる可能性のある薬剤
薬剤名(例) | 期待される作用 | 主な注意点 |
---|---|---|
アセタゾラミド | 呼吸中枢刺激、代謝性アシドーシスの補正 | 電解質異常、しびれなど |
テオフィリン | 気管支拡張、呼吸中枢刺激 | 中毒域が狭い(血中濃度管理が必要)、不整脈、痙攣など |
対症療法としての薬物使用の限界
SASに伴う日中の眠気に対してモダフィニルなどの覚醒維持薬が処方されることがありますが、これはあくまで対症療法であり、SASそのものを治療するものではありません。
SASの根本治療を行わずに覚醒維持薬だけを使用することはSASによる健康リスクを放置することになりかねません。
必ずSASの適切な治療と並行して医師の厳格な管理のもとで使用する必要があります。
SASと併存する不眠へのアプローチ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と不眠症が併存している場合、まずSASの治療を優先し、その上で不眠への対策を講じることが基本です。
まずはSASの適切な治療が最優先
SASが原因で不眠が生じている場合、SASの治療(CPAP療法やマウスピース治療など)を行うことで睡眠中の呼吸状態が改善し、睡眠の質が向上し、結果として不眠症状も軽減することが期待できます。
睡眠薬に頼る前にまずはSASの診断を受け、適切な治療を開始することが最も重要です。
この根本原因への対処により、不眠の問題が自然と解消されることも少なくありません。
SASの主な治療法
治療法 | 主な対象 | 概要 |
---|---|---|
CPAP療法 | 中等症~重症OSAS | 鼻マスクから陽圧空気を送り気道確保 |
マウスピース治療 | 軽症~中等症OSAS | 下顎を前方に移動させ気道確保 |
生活習慣の改善 | 全般 | 減量、禁煙、節酒、横向き寝など |
睡眠衛生指導の重要性
SASの治療と並行して質の高い睡眠を得るための生活習慣(睡眠衛生)を見直すことも大切です。
具体的には毎日同じ時間に寝起きする、寝る前にカフェインやアルコールを避ける、寝室の環境を快適に整える(静かで暗く、適切な温度・湿度)、日中に適度な運動をするなどが挙げられます。
これらの工夫はSASの有無に関わらず、不眠の改善に役立ちます。
質の高い睡眠のためのポイント
- 規則正しい睡眠時間
- 快適な寝室環境
- 就寝前のリラックス
- 適度な運動習慣
SAS治療と並行して行う不眠対策
SASの治療を開始しても、すぐに不眠が改善しない場合や、SASとは別の原因による不眠が併存している場合もあります。
そのような場合は医師と相談の上でSAS治療に影響の少ない睡眠薬の短期間の使用や、認知行動療法(CBT-I)などの心理療法的なアプローチを検討することがあります。
ただし、薬物療法を選択する場合は後述する注意点を守ることが重要です。このことにより、安全かつ効果的な不眠対策が期待できます。
睡眠薬以外の不眠改善法
薬物療法以外にも不眠の改善に役立つ方法はあります。
例えばリラクゼーション法(深呼吸、瞑想、ヨガなど)、アロマセラピー、音楽療法などです。また、日中の光を浴びることで体内時計を整えることも有効です。
自分に合った方法を見つけ、継続することが大切です。これらの方法はSAS患者さんでも安全に取り組むことができます。
睡眠薬を処方してもらう際の注意点
やむを得ず睡眠薬を使用する場合でも、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんは特に慎重な対応が必要です。
医師に処方してもらう際に確認すべき点をまとめました。
必ずSASであることを医師に伝える
最も重要なことは、睡眠薬を処方してもらう医師に自分がSASであること(診断されている場合)、またはSASの疑いがあること(いびきや無呼吸を指摘されているなど)を必ず伝えることです。
この情報がないと医師はSASを悪化させる可能性のある睡眠薬を処方してしまうかもしれません。お薬手帳なども活用し、正確な情報提供を心がけましょう。
薬の種類と量、服用期間の確認
医師から睡眠薬が処方される際には、薬の名前、種類(系統)、期待される効果、副作用、服用する量、服用するタイミング、服用期間の目安などをしっかりと確認しましょう。
特にSAS患者さんの場合は呼吸抑制作用や筋弛緩作用の少ない薬が選択されることが望ましいです。
疑問な点や不安な点は遠慮なく質問し、納得した上で服用を開始することが大切です。
医師に確認すべき睡眠薬に関する事項
確認項目 | 質問例 |
---|---|
薬の種類・作用 | 「この薬はSASに影響が少ないタイプですか?」 |
副作用 | 「どのような副作用に注意が必要ですか?」 |
服用期間 | 「いつまで服用する予定ですか?やめられますか?」 |
副作用が出た場合の対処法
睡眠薬を服用し始めてから眠気の持ち越し、ふらつき、呼吸が苦しい感じ、いびきの悪化など、何らかの異常を感じた場合は自己判断で服用を続けたり中止したりせず、速やかに処方医に連絡し指示を仰いでください。
副作用の状況によっては薬の種類の変更や減量、中止などの対応が必要になります。
自己判断での増量や中止は厳禁
「効果がないから」といって自己判断で睡眠薬の量を増やしたり、「調子が良くなったから」といって急に服用を中止したりすることは絶対に避けてください。
量を増やすと副作用のリスクが高まり、急な中止は離脱症状を引き起こす可能性があります。薬の量の調整や中止は必ず医師の指示に基づいて段階的に行う必要があります。
SAS治療と薬に関する専門家のアドバイス
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療と薬物療法について専門家からのアドバイスをまとめました。安全で効果的な治療のために参考にしてください。
睡眠薬使用のメリット・デメリットの再確認
SAS患者さんが睡眠薬を使用する場合、一時的に入眠を助けるというメリットがあるかもしれませんが、SASそのものを悪化させるリスクや依存性の問題といったデメリットも存在します。
これらのメリットとデメリットを十分に理解し、医師とよく相談した上で、本当に睡眠薬が必要かどうかを慎重に判断することが重要です。安易な使用は避けるべきです。
SAS患者の睡眠薬使用 メリットとデメリット
側面 | メリット(限定的) | デメリット(要注意) |
---|---|---|
睡眠導入 | 一時的な入眠困難の緩和 | SAS悪化(呼吸抑制、筋弛緩) |
精神的安心感 | 「眠れるかもしれない」という期待 | 依存性、離脱症状、副作用 |
SAS治療への影響 | 特になし | 根本治療の遅れ、症状のマスク |
SAS治療の進捗と薬の見直し
CPAP療法やマウスピース治療などSASの根本的な治療が進み、睡眠の質が改善してくれば不眠症状も軽減し、睡眠薬が不要になるケースも多くあります。
SASの治療効果を見ながら定期的に睡眠薬の必要性について医師と見直しを行い、可能であれば減量や中止を目指すことが望ましいです。
漫然と睡眠薬を使い続けることは避けるべきです。
薬だけに頼らない総合的な治療の重要性
SASも不眠症も薬物療法だけで解決するものではありません。
SASの適切な治療(CPAPなど)、睡眠衛生の改善、ストレスマネジメント、場合によっては認知行動療法など総合的なアプローチが重要です。
薬はあくまで補助的な手段と捉え、生活習慣全体を見直すことが根本的な解決に繋がります。
定期的な受診と相談
SASの治療中や睡眠薬を服用中は定期的に医師の診察を受け、治療効果や副作用の有無、体調の変化などを報告し、相談することが非常に大切です。
疑問や不安を抱えたままにせず、積極的にコミュニケーションを取り、医師との信頼関係のもとで治療を進めていきましょう。
この継続的な関与により、より良い治療結果が期待できます。
よくある質問(Q&A)
睡眠時無呼吸症候群と睡眠薬・薬物療法に関して、患者さんからよく寄せられるご質問とその回答をまとめました。
- QSASと診断される前に市販の睡眠改善薬を飲んでいました。続けても大丈夫ですか?
- A
市販の睡眠改善薬の多くは抗ヒスタミン薬の眠気を催す作用を利用したものです。
これらの薬にもSASの症状を悪化させる可能性のある成分が含まれていることがあります(例えば気道分泌物の粘稠度を高めるなど)。
SASと診断された場合は自己判断で市販薬を続けるのではなく、必ず医師に相談し、指示を仰いでください。SASの適切な治療が優先されます。
- QCPAP治療中でも眠れない場合、睡眠薬を使っても良いですか?
- A
CPAP療法はSASの呼吸状態を改善しますが、治療開始当初のマスクの違和感や圧の感覚などで一時的に寝つきが悪くなる方もいます。
このような場合、医師の判断でごく短期間、SASに影響の少ないタイプの睡眠薬が処方されることもあります。
しかし基本的にはCPAP療法に慣れることで睡眠の質は改善していきます。
自己判断で睡眠薬を使用せず、まずはCPAPの設定やマスクのフィッティングなどについて主治医とよく相談してください。
- QSASを改善する効果のある漢方薬はありますか?
- A
現時点ではSASそのものを直接的に治療する効果が科学的に証明されている漢方薬は残念ながらありません。
ただしSASに伴う一部の症状(例えば、倦怠感やストレス、鼻炎など)の緩和を目的として、体質改善のために漢方薬が補助的に用いられることはあります。
漢方薬を使用する場合も必ず医師や漢方の専門家に相談し、SASの標準的な治療と並行して行うようにしてください。
- Q睡眠薬をやめたいのですが、どうすれば良いですか?SASの治療で改善しますか?
- A
睡眠薬をやめたい場合は自己判断で急に中断せず、必ず処方医に相談してください。医師の指導のもとで徐々に減量していくのが安全な方法です。
SASが原因で不眠が生じ、睡眠薬を服用していた場合はCPAP療法などのSAS治療によって睡眠の質が改善すれば睡眠薬が不要になる可能性は十分にあります。
SASの治療をしっかりと行いながら医師と協力して睡眠薬からの離脱を目指しましょう。
以上
参考にした論文
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