睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療でCPAP(持続陽圧呼吸療法)装置を使用している方にとって、旅行や出張は少し心配なことかもしれません。
しかし最近では持ち運びに便利な携帯用・小型CPAP装置も増え、適切な準備をすれば飛行機での移動もスムーズに行えます。
この記事では旅行用のCPAP装置の選び方から飛行機への持ち込み、機内での使用方法、海外での注意点まで、安心して旅行を楽しむための情報を詳しく解説します。
CPAP療法を中断することなく、旅先でも質の高い睡眠を確保しましょう。
睡眠時無呼吸症候群とCPAP療法の基本
旅行の準備を始める前に、まずは睡眠時無呼吸症候群(SAS)とCPAP療法について基本的な理解を深めておくことが大切です。
治療の重要性を再確認し、旅行中も継続する意義を理解しましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が一時的に止まったり、浅くなったりすることを繰り返す病気です。この無呼吸・低呼吸により、体に取り込まれる酸素の量が減少し、体に様々な影響を及ぼします。
主な症状としては大きないびき、日中の強い眠気、起床時の頭痛、集中力の低下などがあります。
放置すると、高血圧や心臓病、脳卒中などの生活習慣病のリスクを高めることが知られています。
CPAP療法とその効果
CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:経鼻的持続陽圧呼吸療法)は睡眠時無呼吸症候群の標準的な治療法の一つです。鼻に装着したマスクから空気を送り込み、睡眠中に気道が塞がるのを防ぎます。
この治療により睡眠中の無呼吸や低呼吸が減少し、いびきの改善、日中の眠気の軽減、睡眠の質の向上などが期待できます。
結果として生活習慣病のリスク低減にもつながります。
CPAP療法の主な効果
- 睡眠中の無呼吸・低呼吸の減少
- いびきの改善
- 日中の眠気や倦怠感の軽減
- 睡眠の質の向上
- 集中力や記憶力の改善
なぜCPAP療法継続が大切か
CPAP療法は症状を根本的に治すものではなく、使用している間だけ効果を発揮する対症療法です。そのため医師の指示に従い、毎晩継続して使用することが重要です。
治療を中断すると再び無呼吸や低呼吸が出現し、睡眠の質の低下や日中の眠気、さらには合併症のリスクも元に戻ってしまう可能性があります。
特に旅行中は生活リズムが不規則になりがちですが、だからこそ質の高い睡眠を確保するためにCPAP療法の継続が大切になります。
旅行中でも治療を続ける意義
旅行は心身のリフレッシュに繋がりますが、睡眠時無呼吸症候群の方がCPAP治療を中断してしまうと、せっかくの旅行が台無しになることもあります。
日中の眠気で観光を楽しめなかったり、疲労感が強く残ったりするかもしれません。
旅行先でもCPAP療法を継続することで活動的な一日を過ごし、旅行の思い出をより良いものにすることができます。携帯用CPAPの登場により、以前よりもずっと手軽に治療を継続できるようになりました。
旅行の準備 旅行用CPAPの必要性
楽しい旅行を実現するためには事前の準備が重要です。特にCPAP療法を行っている方は旅行用のCPAP装置について検討する必要があります。
普段使用している装置とは異なる点や、準備のタイミングなどを把握しておきましょう。
普段使っているCPAP装置と旅行
日常的に使用している据え置き型のCPAP装置は機能が充実している反面、サイズが大きく重量もあるため、旅行に持ち運ぶには不便な場合があります。
無理に持ち運ぼうとすると破損のリスクも考えられます。短期間の旅行であっても荷物が多くなることは避けたいものです。
そのため旅行の頻度や期間によっては携帯性に優れた旅行用CPAPの利用を検討することが賢明です。
旅行用CPAP装置の特徴
旅行用CPAP装置はその名の通り、持ち運びやすさを重視して設計されています。
一般的な特徴として小型・軽量であることが挙げられます。また、機種によってはバッテリー駆動が可能で、電源の確保が難しい場所でも使用できるものがあります。
機能面では据え置き型に比べて簡略化されている部分もありますが、治療に必要な基本的な機能は備わっています。
旅行用CPAPの主なメリット
特徴 | メリット | 旅行時の利便性 |
---|---|---|
小型・軽量 | 持ち運びが容易、荷物の負担軽減 | 非常に高い |
バッテリー対応(一部機種) | 電源がない場所でも使用可能 | 飛行機内やキャンプなどで便利 |
シンプルな操作性 | 設定や使用が比較的簡単 | 旅行先での取り扱いが楽 |
旅行計画とCPAP準備のタイミング
旅行の計画を立てる際にはCPAP装置の準備も同時に進めましょう。特に海外旅行の場合や旅行用CPAPをレンタルする場合は早めの手配が必要です。
航空会社への連絡や必要書類の準備にも時間がかかることがあるため、出発の1ヶ月前までには準備を始めることをおすすめします。
国内旅行であっても、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが安心につながります。
医師への事前相談の重要性
旅行前に必ず主治医に相談し、旅行先でのCPAP使用について指示を受けましょう。
旅行用のCPAP装置の選定や設定、飛行機内での使用に関するアドバイス、必要な書類(診断書など)の発行を依頼します。
自己判断で治療を中断したり、設定を変更したりすることは避けてください。医師との連携が安全で快適な旅行の第一歩です。
携帯用・小型CPAPの選び方 ポイントと注意点
携帯用・小型CPAPを選ぶ際にはいくつかのポイントと注意点があります。ご自身の旅行スタイルや必要な機能、予算などを考慮して最適な一台を見つけましょう。
携帯性重視のCPAP選び
旅行用CPAPの最大のメリットは携帯性です。サイズや重量、そしてバッテリーの有無は移動の多い旅行では特に重要な選択基準となります。
サイズと重量の比較
各メーカーから様々な携帯用CPAPが販売されています。装置本体の寸法(幅、奥行き、高さ)と重量を確認し、できるだけコンパクトで軽いものを選びましょう。
カバンに収納しやすい形状かどうかもポイントです。
バッテリー駆動の可否と持続時間
飛行機内やキャンプなど、コンセント電源の確保が難しい場所での使用を想定する場合は、バッテリー駆動が可能なモデルが便利です。
バッテリーの持続時間も確認し、一晩の使用に十分な容量があるかを確認しましょう。予備バッテリーの有無や価格も調べておくと良いでしょう。
静音性もチェック
CPAP装置の作動音は自分自身だけでなく、同室者や飛行機で隣り合わせた人の睡眠にも影響する可能性があります。静音性に優れたモデルを選ぶことで、より快適に使用できます。
製品の仕様書で作動音のレベル(dB:デシベル)を確認したり、実際に試用できる場合は音を確認したりすることをおすすめします。
機能面でのCPAP選び
携帯性だけでなく、治療効果や快適性に関わる機能も重要です。必要な機能を吟味しましょう。
加湿機能の有無と種類
CPAP療法では空気が乾燥していると鼻や喉の粘膜が乾燥し、不快感を感じることがあります。
携帯用CPAPの中には加湿機能が省略されているものや、簡易的な加湿システム(ウォーターレス加湿など)を備えたものがあります。
普段から加湿器を使用している方は旅行用CPAPの加湿機能についても確認が必要です。
主な加湿システムの比較
加湿システムの種類 | 特徴 | 携帯性 |
---|---|---|
一体型加温加湿器 | しっかり加湿できるが、装置が大きくなりがち | やや劣る |
ウォーターレス加湿(HME) | 水を使わず呼気の水分を再利用、小型 | 優れる |
加湿機能なし | 最も小型・軽量だが、乾燥しやすい | 最も優れる |
圧調整機能と快適性
多くのCPAP装置には呼吸に合わせて圧力を自動調整する機能(オートCPAP機能)や、息を吐きやすくする圧減衰機能が搭載されています。
これらの機能は治療効果を高め、使用時の快適性を向上させます。ご自身の治療に必要な圧設定や機能が備わっているかを確認しましょう。
データ記録機能の必要性
治療効果のモニタリングのために使用時間や無呼吸・低呼吸指数(AHI)などのデータを記録する機能がついているCPAP装置もあります。
主治医が治療経過を確認するためにデータ記録を重視している場合は、この機能の有無も選択のポイントになります。
マスクやチューブの互換性
普段使用しているマスクやチューブが検討している携帯用CPAPでも使用できるか確認しましょう。メーカーや機種によっては互換性がない場合もあります。
使い慣れたマスクが使用できると旅行先でも安心して治療を継続できます。互換性がない場合は専用のマスクやチューブも合わせて準備する必要があります。
購入・レンタルの選択肢
携帯用CPAPは購入する以外に、レンタルできる場合もあります。旅行の頻度が少ない方や、まずは試してみたいという方は、レンタルも検討してみると良いでしょう。
購入する場合は価格だけでなく、保証期間やアフターサービスの内容も確認することが大切です。かかりつけのクリニックやCPAP供給業者に相談してみましょう。
CPAP装置の飛行機への持ち込み 国内線と国際線のルール
CPAP装置を飛行機に持ち込む際にはいくつかのルールや手続きがあります。
国内線と国際線で若干異なる場合もあるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
航空会社への事前連絡
CPAP装置を機内に持ち込む場合、または機内で使用する場合は事前に利用する航空会社に連絡することが強く推奨されます。
航空会社によって規定が異なるため、早めに確認しましょう。
持ち込み手荷物としての確認
CPAP装置は医療機器として扱われるため、通常の手荷物の個数やサイズの制限外となることが多いですが、念のため確認が必要です。機内持ち込み手荷物として許可されるか、預け入れ荷物にする必要があるかを確認します。
医療機器であることの申告
予約時または出発前に、CPAP装置が医療機器であることを航空会社に申告します。
機種名や型番、メーカー名、寸法、重量などを伝えるとスムーズです。
診断書や証明書の準備
航空会社によってはCPAP装置が治療に必要であることを証明する医師の診断書(英文診断書が必要な場合も)や、装置の仕様書(バッテリー情報など)の提出を求められることがあります。
事前に必要書類を確認し、準備しておきましょう。
航空会社への確認事項リスト
- CPAP装置の機内持ち込みの可否
- 機内でのCPAP装置使用の可否と条件
- 座席電源の使用可否と種類
- 必要な書類(診断書、装置の仕様書など)
- バッテリー持ち込みに関する規定
保安検査(セキュリティチェック)での注意点
空港の保安検査ではCPAP装置をX線検査に通す必要があります。スムーズに検査を通過するためのポイントを押さえておきましょう。
CPAP装置の取り扱い
CPAP装置はノートパソコンなどと同様に、バッグから取り出してX線検査のトレイに乗せるよう指示されることが一般的です。
検査員に医療機器であることを伝え、指示に従いましょう。装置を保護するために、専用のキャリーバッグやクッション性のある袋に入れておくと安心です。
液体物(加湿用水など)のルール
CPAPの加湿器に使用する蒸留水や精製水は液体物の持ち込み制限の対象となる場合があります。
国際線では100ml以下の容器に入れ、透明なジッパー付き袋に入れる規定がありますが、医療目的の場合は例外的に認められることもあります。
事前に航空会社や国土交通省の情報を確認し、必要であれば診断書などで医療目的であることを示せるように準備しましょう。
国内線利用時のポイント
国内線の場合、国際線に比べて手続きが簡略化されていることが多いですが、それでも事前の確認は重要です。
特にLCC(格安航空会社)を利用する場合は手荷物の規定が厳しいことがあるため、注意深く確認しましょう。
多くの航空会社ではCPAP装置を医療機器として無料で機内持ち込みできるとしています。
国際線利用時のポイントと海外の航空会社
国際線を利用する場合や海外の航空会社を利用する場合は、より詳細な準備が必要です。
英文の診断書や装置の仕様書(特にバッテリーに関する情報)を準備しておくと安心です。渡航先の国の医療機器に関する規制も確認しておくと良いでしょう。
米国のFAA(連邦航空局)など、各国の航空当局がCPAP装置の機内持ち込みに関するガイドラインを設けている場合があります。
海外航空会社利用時の確認ポイント
確認項目 | 主な注意点 | 準備しておくと良いもの |
---|---|---|
持ち込み規定 | 航空会社ごとに異なる、特にバッテリーの種類(リチウムイオン電池など) | 英文の装置仕様書 |
必要書類 | 英文診断書の要否、形式の指定 | 英文診断書、医師の連絡先 |
機内使用の可否 | 電源供給の有無、使用許可の事前申請 | 航空会社の事前承認書 |
飛行機内でのCPAP使用 快適な空の旅のために
長時間のフライトでは機内でCPAP装置を使用する必要があるかもしれません。快適に使用するためには電源の確保や周囲への配慮が大切です。
機内での電源確保
機内でCPAP装置を使用するには電源が必要です。事前に航空会社に確認し、適切な準備をしましょう。
座席電源の有無と種類
多くの国際線や一部の国内線では、座席に電源コンセントが装備されています。
ただし、全ての座席にあるとは限らず、またコンセントの形状や電圧も航空機によって異なります。予約時や搭乗前に利用する座席の電源について確認しましょう。
アダプターや変換プラグの準備
航空機の電源コンセントは、EmPower(エンパワー)と呼ばれる特殊な形状の場合や、海外のプラグ形状(Aタイプ、Cタイプなど)の場合があります。
CPAP装置のACアダプターが対応していない場合は適切な変換アダプターや変換プラグを準備する必要があります。
バッテリー利用の検討
座席電源が利用できない場合や電源が不安定な場合に備えて、バッテリー駆動が可能な携帯用CPAPであれば、バッテリーを持参することを検討しましょう。
リチウムイオンバッテリーの持ち込みには制限があるため、必ず航空会社の規定を確認してください。
注意:機内の電源は不安定な場合があり、CPAP装置の動作に影響を与える可能性もゼロではありません。
可能であればバッテリーを持参し、主電源として使用するか、バックアップとして準備しておくことを推奨します。
周囲への配慮とマナー
機内でCPAPを使用する際は周囲の乗客への配慮も忘れないようにしましょう。装置の作動音ができるだけ静かなモデルを選んだり、マスクからの空気漏れがないように正しく装着したりすることが大切です。
事前に隣の席の方に一言断っておくと、お互いに気持ちよく過ごせるかもしれません。
乾燥対策と加湿の工夫
機内は非常に乾燥しています。CPAPを使用すると鼻や喉の乾燥が気になることがあります。
携帯用CPAPに加湿機能がない場合や簡易的な加湿システムの場合は、マスク内に湿らせたガーゼを挟む(医師に相談の上)、こまめに水分補給をするなどの工夫で乾燥を和らげることができます。
ただし、ガーゼの使用は安全性を確認の上、自己責任で行ってください。
離着陸時のCPAP使用について
安全上の理由から、航空機の離着陸時には電子機器の使用が制限されることがあります。CPAP装置もこの対象となる可能性があるため、客室乗務員の指示に従いましょう。
通常、水平飛行に移ってから使用を開始し、着陸態勢に入る前に使用を終了するよう案内されます。
旅行先でのCPAP利用 電源やメンテナンス
無事に旅行先に到着しても、CPAPを快適に使用するためには現地の電源環境の確認や装置のメンテナンスが重要です。
滞在先の電源環境の確認
海外旅行の場合、日本と電圧やコンセントのプラグ形状が異なる国がほとんどです。事前に滞在先の情報を調べておきましょう。
電圧とプラグ形状
日本の電圧は100Vですが、海外では110V~240Vと国によって異なります。
多くのCPAP装置のACアダプターは海外の電圧に対応していますが(入力100-240Vなどと記載)、必ず確認してください。対応していない場合は変圧器が必要です。
また、プラグ形状も国ごとに多様なため、滞在先に合わせた変換プラグを準備しましょう。
世界の主な電圧とプラグ形状
国・地域 | 電圧 (V) | プラグ形状 |
---|---|---|
アメリカ・カナダ | 110-120 | Aタイプ |
ヨーロッパ(多く) | 220-240 | Cタイプ、SEタイプなど |
オーストラリア・ニュージーランド | 230-240 | Oタイプ |
上記は一例です。渡航前には必ずご自身で最新情報をご確認ください。
変圧器や変換プラグの必要性
CPAP装置のACアダプターが渡航先の電圧に対応していない場合は適切な容量の変圧器が必要です。
変換プラグは様々な形状に対応できるマルチタイプのものがあると便利です。
CPAP装置の清掃と管理
旅行中もCPAP装置やマスク、チューブを清潔に保つことが大切です。衛生的な使用は感染症予防や治療効果の維持につながります。
旅行中の簡単なメンテナンス方法
毎日の簡単な清掃として、マスクのクッション部分を拭いたり、チューブ内の結露を取り除いたりしましょう。
専用のクリーナーや刺激の少ない石鹸とぬるま湯で洗浄できる場合もあります。装置メーカーの指示に従ってください。
フィルター交換の目安
CPAP装置にはホコリなどを取り除くためのフィルターが付いています。旅行期間や滞在先の空気環境によっては、フィルターの汚れが進むことがあります。
予備のフィルターを持参し、必要に応じて交換できるようにしておきましょう。
予備バッテリーや部品の準備
万が一の事態に備えて、予備のバッテリー(バッテリー駆動モデルの場合)や、破損しやすいマスクの部品(クッションなど)、予備のチューブなどを持参すると安心です。
特に長期間の旅行や部品の入手が困難な地域へ行く場合は、準備しておくと良いでしょう。
万が一の故障に備えて
旅行中にCPAP装置が故障する可能性もゼロではありません。装置のメーカーや販売店の連絡先、海外でのサポート体制について事前に調べておきましょう。
また、かかりつけの医師の連絡先も控えておき、緊急時に相談できるようにしておくと安心です。
携帯用CPAP利用時のトラブルと対処法
どんなに準備をしても、予期せぬトラブルが発生することがあります。携帯用CPAPの利用中によくあるトラブルと、その対処法を知っておくことで、落ち着いて対応できます。
CPAP装置の動作不良
装置の電源が入らない、エラーメッセージが表示されるなどの動作不良が起きた場合は、まず電源ケーブルやバッテリーの接続を確認しましょう。
取扱説明書に記載されているトラブルシューティングを試みてください。それでも改善しない場合はメーカーや販売店、またはかかりつけ医に連絡して指示を仰ぎます。
マスクのエア漏れや不快感
旅行中は普段と異なる寝具や寝姿勢になることがあり、マスクのフィット感が変わってエア漏れや不快感が生じることがあります。
マスクのストラップを調整したり、顔とマスクの間に挟むライナーを試したりしてみましょう。
どうしても改善しない場合は、予備のマスクがあれば交換することも検討します。
マスクのフィット感調整ポイント
- ストラップの締め付け具合(きつすぎず、緩すぎず)
- マスククッションの位置
- 寝るときの姿勢
旅行先での部品紛失・破損
マスクの一部やチューブなどを紛失したり、破損したりした場合は、まず予備の部品がないか確認します。
予備がない場合は現地の医療機器店や、場合によっては宿泊施設のフロントに相談してみるのも一つの方法です。
緊急の場合は、かかりつけ医に連絡し、対応を相談しましょう。このためにも予備部品の持参は重要です。
緊急連絡先とサポート体制
旅行前にCPAP装置のメーカーや販売業者の緊急連絡先、海外サポートの有無などを確認し、メモしておきましょう。また、かかりつけのクリニックの連絡先も必ず控えておきます。
海外旅行保険に加入している場合は、その保険会社のサポートデスクも利用できることがあります。
緊急時の備え
準備項目 | 内容 | 重要度 |
---|---|---|
緊急連絡先リスト | 医師、CPAPメーカー/販売店、保険会社など | 高 |
CPAP装置の情報控え | 機種名、シリアル番号、設定値など | 高 |
英文診断書・処方箋のコピー | 海外での医療機関受診や部品購入時に役立つ | 中~高(海外旅行時) |
よくある質問
携帯用CPAPや旅行に関する疑問について、よくある質問とその回答をまとめました。
- Q旅行用CPAPは保険適用されますか?
- A
通常CPAP療法は健康保険の適用となりますが、旅行目的のみで使用する携帯用CPAPの購入やレンタルが保険適用となるかは、条件や医療機関の方針によって異なります。
多くの場合、追加の装置としての携帯用CPAPは自費となることが一般的です。
詳しくは、かかりつけの医師や医療機関にご相談ください。
- Qレンタル期間はどのくらいですか?
- A
携帯用CPAPのレンタル期間は、提供する業者やプランによって異なります。
数日間から数週間、月単位でのレンタルが可能な場合があります。ご自身の旅行期間に合わせて適切なプランを選びましょう。
予約が必要な場合が多いため、早めに問い合わせることをおすすめします。
- Q海外旅行でCPAPを使用する場合、診断書は英文が良いですか?
- A
はい、海外の航空会社を利用する場合や渡航先で医療機関にかかる可能性を考慮すると、英文の診断書を準備しておくことを強くおすすめします。
診断書にはCPAP療法が必要であること、装置の概要(医療機器であること)、可能であればバッテリーに関する情報などを記載してもらうと良いでしょう。
- Q機内でCPAPを使用する際、隣の人に迷惑はかかりませんか?
- A
CPAP装置の作動音は機種によって異なりますが、最近の携帯用モデルは静音性に配慮されたものが多いです。
それでも音が気になる場合や、マスクからの空気漏れが心配な場合は、事前に隣席の方に「治療のために医療機器を使用します」と一言伝えておくと理解を得やすくなるでしょう。
また、アイマスクや耳栓など周囲の乗客が快適に過ごせるような配慮も大切です。
以上
参考にした論文
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