睡眠時無呼吸症候群(SAS)の効果的な治療法であるCPAP(シーパップ)療法。
しかし使用中に「鼻が詰まって苦しい」「いつの間にか口で呼吸していて喉がカラカラになる」といったお悩みを抱える方も少なくありません。
これらの症状は治療の継続を妨げるだけでなく、CPAP療法の効果を低下させる可能性もあります。
この記事ではCPAP使用中の鼻づまりや口呼吸がなぜ起こるのか、その原因を明らかにし、具体的な対策や快適に治療を続けるための工夫について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
CPAP治療中の鼻づまり なぜ起こるのか?主な原因を探る
CPAP療法は鼻から空気を送り込むことで気道の閉塞を防ぎますが、その過程で鼻に負担がかかり、鼻づまりを引き起こすことがあります。
原因を特定し、適切に対処することが快適な治療への第一歩です。主な原因として以下の点が考えられます。
CPAPの空気による鼻粘膜の乾燥と刺激
CPAP装置から送られてくる空気は室内の空気を取り込んでいるため、特に乾燥した季節や環境では鼻の粘膜を乾燥させやすい傾向があります。
鼻の粘膜が乾燥すると防御機能が低下し、わずかな刺激にも敏感に反応して炎症や腫れを起こし、結果として鼻づまりを感じやすくなります。
また、連続的に空気が送り込まれること自体が、一部の方にとっては鼻粘膜への刺激となることもあります。
元々の鼻炎(アレルギー性鼻炎など)の存在と悪化
アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎、副鼻腔炎(蓄膿症)など元々鼻に何らかの炎症性の疾患を抱えている場合、CPAPの使用がこれらの症状を悪化させ、鼻づまりを強く感じさせることがあります。
CPAPの空気がアレルゲン(ハウスダストや花粉など)を鼻の奥に送り込んでしまったり、鼻粘膜の乾燥が既存の炎症を助長したりする可能性があります。
鼻炎の種類とCPAPへの影響例
鼻炎の種類 | CPAP使用時の主な影響 | 考えられる対策の方向性 |
---|---|---|
アレルギー性鼻炎 | 空気中のアレルゲン吸入による症状悪化、鼻粘膜の過敏性亢進 | アレルゲン対策、抗アレルギー薬の使用、加湿 |
慢性鼻炎・副鼻腔炎 | 鼻腔内の構造的問題や持続する炎症による鼻閉の増悪 | 耳鼻咽喉科での専門的治療、鼻洗浄 |
血管運動性鼻炎 | 温度変化や乾燥などの刺激による鼻粘膜の腫れ | 加温加湿、刺激の回避 |
CPAP装置の空気圧設定の問題
CPAP療法では個々の患者さんの無呼吸の状態に合わせて適切な空気圧を設定します。しかし、この設定圧が高すぎると、鼻粘膜への刺激が強くなりすぎて鼻づまりや不快感を引き起こすことがあります。
逆に圧が低すぎると気道の閉塞を十分に防げず、無意識に口呼吸を誘発し、結果として鼻の乾燥や鼻づまりに繋がることも考えられます。
適切な圧設定は、治療効果と快適性の両立のために非常に重要です。
マスクフィッティング不良と空気漏れ
CPAPマスクが顔に正しくフィットしていないと隙間から空気が漏れることがあります。この空気漏れが目や鼻の周囲に当たると乾燥や刺激を引き起こし、鼻づまりの原因となることがあります。
特にマスクのサイズが合っていない、ストラップの締め付けが緩すぎる、あるいはきつすぎるといった場合に空気漏れは起こりやすいです。
また、マスク自体が劣化している場合も同様の問題が生じます。
CPAP使用時の口呼吸 その原因と問題点
CPAP療法は基本的に鼻呼吸を前提としていますが、様々な理由で口呼吸になってしまうことがあります。
CPAP中の口呼吸は治療効果を損なうだけでなく、不快な症状を引き起こすため対策が必要です。
鼻づまりによる代償的な口呼吸
CPAP使用中に鼻づまりが生じると鼻からの空気の通りが悪くなるため、無意識のうちに口で呼吸しようとします。これは身体が酸素を取り込もうとする自然な反応ですが、CPAP療法においては望ましくありません。
鼻づまりが解消されない限り、口呼吸を改善することは難しいです。
睡眠中の無意識な口の開き
元々、睡眠中に口が開きやすい癖がある方や、加齢などにより口周りの筋力が低下している方は、CPAP使用中にも無意識に口が開いてしまうことがあります。
CPAPの圧によって鼻から空気が入ってきても口が開いているとそこから空気が逃げてしまい、必要な陽圧が気道にかからなくなります。
口呼吸が引き起こす不快症状
CPAP使用中に口呼吸を続けると、様々な症状が現れます。
CPAP中の口呼吸による主な不快症状
- 喉の乾燥、痛み、イガイガ感
- 朝起きた時の強い口渇(口の中のカラカラ感)
- 口臭の悪化
- 多量のよだれ
これらの症状は睡眠の質を低下させ、CPAP治療の継続を困難に感じさせる原因となります。
CPAP治療効果の低下リスク
CPAP療法は鼻から送り込んだ陽圧の空気で上気道を広げ、無呼吸を防ぐ治療法です。しかし、口が開いてしまうと鼻から入った空気が口から漏れ出てしまい、気道にかかるべき陽圧が維持できなくなります。
この状態ではCPAP装置が設定通りの効果を発揮できず、睡眠中の無呼吸や低呼吸が十分に改善されない可能性があります。
結果として日中の眠気や倦怠感が残るなど、治療効果を実感しにくくなります。
【原因別】CPAP中の鼻づまりへの具体的な対策
CPAP使用中の鼻づまりは、その原因に応じて適切な対策を講じることが重要です。
ここでは主な原因別に具体的な対策を紹介します。ご自身の状況に合わせて医師と相談しながら試してみてください。
加温加湿器の適切な使用と設定
CPAPの空気による鼻粘膜の乾燥が鼻づまりの主な原因である場合、加温加湿器の使用が非常に有効です。
多くのCPAP装置には専用の加温加湿器を取り付けることができます。加湿器はCPAPから送られる空気に適度な湿度と温度を与えることで、鼻粘膜の乾燥や刺激を和らげます。
加温加湿器使用のポイント
ポイント | 具体的な内容 | 期待できる効果 |
---|---|---|
適切な湿度設定 | 季節や室内の乾燥状態に合わせて湿度レベルを調整する。 | 鼻粘膜の乾燥を防ぎ、刺激を軽減する。 |
適切な温度設定 | 加温機能で空気を暖めることで、冷たい空気による刺激を避ける。 | 鼻粘膜の血管収縮を防ぎ、鼻腔の通りを良くする。 |
精製水の使用 | 加湿器のタンクには、水道水ではなく精製水(または蒸留水)を使用する。 | ミネラル成分による装置の劣化や雑菌繁殖を防ぐ。 |
加湿器の設定は低すぎると効果が薄く、高すぎるとチューブ内に結露が生じやすくなるため、医師や医療スタッフと相談しながら最適な設定を見つけることが大切です。
鼻炎治療(点鼻薬、内服薬、耳鼻咽喉科での治療)
アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎などが鼻づまりの原因である場合、これらの鼻疾患自体の治療を並行して行うことが重要です。耳鼻咽喉科医に相談し、適切な治療を受けましょう。
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服、ステロイド点鼻薬の使用などが一般的な治療法です。
特にステロイド点鼻薬は鼻粘膜の炎症を抑え、鼻腔を広げる効果があり、CPAP使用時の鼻づまり改善に有効な場合があります。
ただし、点鼻薬の種類によっては長期使用に適さないものもあるため、必ず医師の指示に従ってください。
CPAP圧の調整(医師との相談)
CPAPの空気圧が高すぎることが鼻づまりの原因となっている場合、医師に相談して圧設定を見直してもらう必要があります。自己判断で圧を変更することは絶対に避けてください。
医師は治療効果と患者さんの快適性のバランスを考慮して適切な圧を再評価します。
場合によっては呼吸状態に合わせて圧が自動的に変動するオートCPAP(APAP)装置への変更も選択肢の一つです。
マスクの見直しと正しい装着方法の習得
マスクのフィッティング不良や空気漏れが鼻づまりを引き起こしている場合、マスクの種類やサイズを見直すことが有効です。
顔の形や鼻の高さは人それぞれですので、ご自身に合ったマスクを選ぶことが重要です。医療機関で様々な種類のマスクを試着させてもらいましょう。
また、マスクの装着方法が正しくないと適切なフィット感が得られず空気漏れの原因となります。医療スタッフから正しい装着方法の指導を受け、毎晩確実に装着できるように練習しましょう。
ストラップの締め付け具合も重要で、きつすぎても緩すぎても問題が生じます。
CPAP中の口呼吸を防ぐための効果的なアプローチ
CPAP使用中の口呼吸は治療効果を低下させるだけでなく、喉の乾燥などの不快な症状を引き起こします。
口呼吸を防ぐためには、その原因に応じた対策が必要です。いくつかの効果的なアプローチを紹介します。
鼻づまり対策の徹底(最優先事項)
口呼吸の最大の原因の一つが鼻づまりです。鼻が詰まっていると、どうしても口で呼吸しようとしてしまいます。
したがって、前述したCPAP中の鼻づまり対策(加温加湿器の使用、鼻炎治療、適切なマスクフィッティングなど)を徹底的に行うことが、口呼吸を防ぐための最も基本的かつ重要な対策となります。
まずは鼻の通りを良くすることを最優先に考えましょう。
チンストラップ(顎固定バンド)の活用
チンストラップは下顎を軽く持ち上げて口が開くのを物理的に防ぐためのバンドです。
睡眠中に無意識に口が開いてしまう方や、鼻呼吸はできているものの口がわずかに開いて空気が漏れてしまう場合に有効なことがあります。
様々な素材や形状のチンストラップがありますので、試してみてご自身に合うものを見つけると良いでしょう。
ただし、締め付けすぎると不快感や顎関節への負担が生じるため、適切な強さで使用することが大切です。
フルフェイスマスクへの変更検討
どうしても鼻呼吸が難しく、口呼吸が主体となってしまう場合や、チンストラップを使用しても口からの空気漏れが改善しない場合には、鼻と口の両方を覆うフルフェイスマスクへの変更を検討することも一つの方法です。
フルフェイスマスクは口が開いていてもCPAPの陽圧を気道に送り込むことができます。
ただし、フルフェイスマスクは顔への接触面積が大きいため、圧迫感を感じやすい、空気漏れしやすいといったデメリットもあります。また、嘔吐反射が強い方には不向きな場合もあります。
医師とよく相談し、メリットとデメリットを理解した上で選択しましょう。
マスクタイプと口呼吸への対応
マスクタイプ | 口呼吸への対応 | 主な注意点 |
---|---|---|
ネーザルマスク/ピローマスク | 鼻呼吸が前提。口が開くと空気が漏れる。 | 鼻づまり対策、チンストラップ併用が有効。 |
フルフェイスマスク | 鼻と口を覆うため、口呼吸でも陽圧治療が可能。 | 接触面積が大きく圧迫感が出やすい、フィッティングが難しい場合がある。 |
口腔内保湿剤や口閉じテープの使用(医師相談の上)
口呼吸による喉の乾燥が強い場合、口腔内保湿スプレーやジェルを使用することで不快感を和らげることができる場合があります。
また、市販されている口閉じテープ(睡眠時に口が開くのを防ぐための医療用テープ)を使用する方法もありますが、これはCPAP使用の有無に関わらず、使用には注意が必要です。
特にCPAP使用中は鼻が確実に通っていることが前提となります。
口閉じテープの使用については自己判断せず、必ず事前に医師に相談して指示を仰いでください。誤った使用は危険を伴う可能性があります。
CPAPをより快適に使うための環境調整とセルフケア
CPAP療法を長期間継続するためには装置の適切な使用だけでなく、療養環境の整備や日々のセルフケアも重要です。
これらは鼻づまりや口呼吸の予防・軽減にも繋がります。
寝室の湿度管理の徹底
特に空気が乾燥する季節(秋から春先)は寝室の湿度管理が重要です。
加湿器(CPAP装置の加湿器とは別に部屋全体を加湿するもの)を使用して、寝室の湿度を適切(一般的に50~60%程度が目安)に保つようにしましょう。
このことによりCPAPの加温加湿器の効果を高め、鼻や喉の乾燥をより効果的に防ぐことができます。湿度計を置いて、実際の湿度を確認しながら調整すると良いでしょう。
定期的なCPAP装置・マスク・付属品の清掃
CPAP装置のマスク、チューブ、加湿器のチャンバー(水タンク)などは毎日または定期的に清掃することが推奨されています。
皮脂や汗、呼気に含まれる雑菌などが付着したまま使用すると、皮膚トラブルの原因になったり、不衛生な空気を吸い込むことになったりします。また、フィルターも定期的に清掃または交換が必要です。
清潔な状態を保つことが快適なCPAPライフの基本です。
CPAP関連用品の清掃頻度目安
- マスククッション部分:毎日
- マスクフレーム・ヘッドギア:週に1回程度
- チューブ:週に1回程度
- 加湿器チャンバー:毎日(水の交換と洗浄)
- 装置フィルター:月に1~2回清掃、または定期交換(機種による)
具体的な清掃方法はお使いのCPAP装置の取扱説明書を確認するか、医療スタッフに指導を受けてください。
鼻うがいなどの鼻ケア習慣の導入
鼻炎症状がある方や鼻が乾燥しやすい方は、日常的な鼻ケアとして鼻うがい(鼻洗浄)を取り入れるのも有効な場合があります。
鼻うがいは鼻腔内のアレルゲンやハウスダスト、余分な鼻汁などを洗い流し、鼻粘膜を清潔に保つ効果が期待できます。市販の鼻うがいキットや生理食塩水を使用して正しい方法で行いましょう。
ただし、中耳炎を繰り返している方などは注意が必要な場合もあるため、事前に医師に相談することをお勧めします。
体調管理とアレルゲン対策の重要性
風邪をひいたり、体調を崩したりすると鼻づまりや鼻水が悪化し、CPAPの使用が困難になることがあります。
日頃から十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、免疫力を高めておくことが大切です。
また、アレルギー性鼻炎の方は原因となるアレルゲン(花粉、ハウスダスト、ダニなど)をできるだけ避ける工夫も重要です。
こまめな掃除、空気清浄機の使用、花粉飛散時期の外出時のマスク着用などが有効です。
CPAPの鼻トラブル・口呼吸に関する医師への相談ポイント
CPAP使用中の鼻づまりや口呼吸といったトラブルは我慢せずに早めに主治医に相談することが解決への近道です。
医師に的確に状況を伝え、適切なアドバイスや対処をしてもらうために、相談時のポイントをまとめました。
伝えるべき症状の具体的な内容と発生状況
医師に相談する際はどのような症状で困っているのか、いつからその症状があるのか、どのような時に特に症状が強いのかなど、できるだけ具体的に伝えることが重要です。
例えば「CPAPを使い始めてから毎朝鼻が完全に詰まっている」「夜中に喉がカラカラになって目が覚めることが週に数回ある」「マスクのこの部分から空気が漏れて目に当たる」といった具体的な情報が、原因究明や対策検討の助けになります。
医師に伝えると良い情報の例
情報カテゴリ | 具体的な内容例 |
---|---|
症状の種類 | 鼻づまり、鼻水、くしゃみ、喉の乾燥、口の渇き、いびきの再発など |
症状の程度 | 我慢できる程度か、睡眠を妨げるほどか、CPAP使用をためらうほどか |
症状の発生頻度・時期 | 毎晩か、時々か、特定の季節か、CPAP装着直後か、朝方か |
現在試している対策 | 加湿器の使用状況、市販薬の使用、マスクの調整など |
CPAPの使用状況 | 毎晩の平均使用時間、AHI(無呼吸低呼吸指数)の変化など(データがあれば) |
定期的な受診とフォローアップの重要性
CPAP療法は開始後も定期的な受診とフォローアップが必要です。この定期受診は治療効果の確認だけでなく、CPAP使用に伴う問題点や副作用を早期に発見し、対処するためにも重要な機会です。
鼻づまりや口呼吸といったトラブルも、定期受診の際に相談することで設定の調整や機器の変更など、適切な対応を速やかに受けることができます。
自己判断せず専門医に相談するメリット
CPAPに関するトラブルに対して自己判断で対処しようとすると、かえって症状を悪化させたり、治療効果を損なったりする可能性があります。
例えば不適切な市販薬の使用や、CPAP装置の設定を勝手に変更することなどは避けるべきです。
睡眠医療の専門医は豊富な知識と経験に基づいて、個々の患者さんの状態に合わせた最適なアドバイスや治療法の調整を行います。専門医に相談することで、安全かつ効果的に問題を解決できる可能性が高まります。
治療設定の変更や機器の選択に関する相談
鼻づまりや口呼吸が改善しない場合、CPAPの圧設定、加温加湿器の設定、マスクの種類やサイズ、あるいはCPAP装置自体の種類(オートCPAPなど)の変更が必要になることがあります。
これらの変更は医師の判断に基づいて行われるため、まずは現状の困りごとを正確に伝え、どのような選択肢があるのかを相談しましょう。
患者さん自身が治療に積極的に関わり、医師と協力して最適な治療環境を整えていくことが大切です。
よくある質問
ここではCPAP使用中の鼻づまりや口呼吸に関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- QCPAPの加湿器を使っても鼻や喉が乾燥します。他にできることはありますか?
- A
まず、加湿器の湿度・温度設定が適切か再確認しましょう。
それでも乾燥が改善しない場合、寝室自体の湿度を上げる(部屋用の加湿器を併用する)、CPAPのチューブに保温カバーを装着して結露を防ぎつつ湿度を保つ、といった対策が考えられます。
また、マスクからの空気漏れが乾燥の原因になっている可能性もあるため、マスクのフィッティングを見直すことも重要です。
それでも改善が乏しい場合は医師に相談し、他の原因(鼻炎の悪化など)がないか確認してもらいましょう。
- Qアレルギー性鼻炎の薬はCPAP使用中も続けて大丈夫ですか?
- A
基本的にはアレルギー性鼻炎の治療薬(抗ヒスタミン薬の内服やステロイド点鼻薬など)は、CPAP使用中も継続して問題ない場合が多いです。
むしろ、鼻炎のコントロールを良好に保つことがCPAPを快適に使用するために重要です。
ただし眠気を引き起こす可能性のある抗ヒスタミン薬など、薬の種類によっては注意が必要な場合もあります。
必ずCPAP治療を受けている主治医と鼻炎治療を行っている耳鼻咽喉科医の両方に、使用している薬剤について情報共有し、指示を仰いでください。
- Qフルフェイスマスクを使用していますが、それでも口が乾きます。なぜでしょうか?
- A
フルフェイスマスクは鼻と口を覆うため口呼吸でも治療が可能ですが、マスクと顔の間に隙間があると、そこから空気が漏れて口や喉の乾燥を引き起こすことがあります。
マスクのサイズやフィッティングが適切か再確認しましょう。
また、CPAPの圧が高い場合や加湿が不十分な場合も乾燥の原因となります。
加温加湿器の湿度・温度設定を見直したり、それでも改善しない場合は医師に相談して圧設定の調整などを検討してもらいましょう。
- QCPAPを使い始めてから鼻血が出やすくなりました。どうすれば良いですか?
- A
CPAPの使用により鼻粘膜が乾燥したり刺激を受けたりすると鼻血が出やすくなることがあります。
まずは加温加湿器を適切に使用し、鼻の乾燥を防ぐことが重要です。寝室の湿度を上げるのも効果的です。
それでも鼻血が頻繁に出る場合や、量が多い場合はCPAPの圧が高すぎる可能性や、他の鼻の疾患が隠れている可能性も考えられるため、自己判断せずに速やかに主治医または耳鼻咽喉科医に相談してください。
CPAPの設定調整や鼻粘膜を保護する治療が必要になる場合があります。
以上
参考にした論文
MURASE, Kimihiko, et al. Multimodal telemonitoring for weight reduction in patients with sleep apnea: a randomized controlled trial. Chest, 2022, 162.6: 1373-1383.
ISHIYAMA, Hiroyuki, et al. The efficacy of device designs (mono-block or bi-block) in oral appliance therapy for obstructive sleep apnea patients: a systematic review and meta-analysis. International Journal of Environmental Research and Public Health, 2019, 16.17: 3182.
SUTHERLAND, Kate, et al. Oral appliance treatment for obstructive sleep apnea: an update. Journal of Clinical Sleep Medicine, 2014, 10.2: 215-227.
NAKAI, Takayuki, et al. Role of dental sleep medicine in management of patients with obstructive sleep apnea disorders using a team approach. Acta Odontologica Scandinavica, 2018, 76.8: 605-611.
RAVESLOOT, Madeline JL, et al. Efficacy of the new generation of devices for positional therapy for patients with positional obstructive sleep apnea: a systematic review of the literature and meta-analysis. Journal of clinical sleep medicine, 2017, 13.6: 813-824.
UEMATSU, Akihito, et al. Factors influencing adherence to nasal continuous positive airway pressure in obstructive sleep apnea patients in Japan. Sleep and Biological Rhythms, 2016, 14: 339-349.
INOUE, Akiko, et al. Nasal function and CPAP compliance. Auris Nasus Larynx, 2019, 46.4: 548-558.
FURUKAWA, Taiji, et al. Long-term adherence to nasal continuous positive airway pressure therapy by hypertensive patients with preexisting sleep apnea. Journal of Cardiology, 2014, 63.4: 281-285.
NAGATA, Kazuma, et al. Domiciliary high-flow nasal cannula oxygen therapy for patients with stable hypercapnic chronic obstructive pulmonary disease. A multicenter randomized crossover trial. Annals of the American Thoracic Society, 2018, 15.4: 432-439.
NISHIMURA, Masaji. High-flow nasal cannula oxygen therapy in adults: physiological benefits, indication, clinical benefits, and adverse effects. Respiratory care, 2016, 61.4: 529-541.