「昨晩もいびきがものすごかったよ」と家族に指摘され、朝から肩身の狭い思いをしていませんか?あるいは、目覚めた瞬間に喉がカラカラに乾いて張り付いており、まったく疲れが取れていない絶望感に襲われることはないでしょうか。
もしあなたが花粉症や慢性的な鼻炎をお持ちなら、そのいびきは単なる「寝癖」や「疲れ」によるものではありません。鼻の奥で起きている深刻な炎症が、睡眠中の呼吸を物理的に妨げている危険なサインなのです。
鼻づまりを放置することは、日中のパフォーマンスを下げるだけでなく、高血圧や睡眠時無呼吸症候群といった将来的な健康リスクにも直結します。
しかし、ここで諦める必要はありません。鼻呼吸を取り戻し、家族に迷惑をかけない静かで深い眠りを手に入れるための具体的な道筋は、確実に存在します。
この記事では、なぜ鼻炎がいびきを引き起こすのかという根本的な理由から、今夜からすぐに実践できる寝室環境の整備、そして医療機関での根本治療までを網羅して解説します。
なぜアレルギー性鼻炎だと激しいいびきをかいてしまうのか?
アレルギー性鼻炎といびきの関係は、切っても切れない密接なものです。鼻の通りが悪くなることが、なぜあれほど大きな騒音の原因になるのでしょうか。
結論から言えば、それは「空気の通り道が物理的に狭くなる」と「強制的な口呼吸への移行」という2つの現象が同時に起こるからです。
鼻粘膜の腫れが空気抵抗を一気に高める
アレルギー性鼻炎の最大の特徴は、鼻の粘膜が炎症を起こしてブヨブヨに腫れ上がる「肥厚性鼻炎」のような状態になることです。
正常な状態であれば、鼻腔は空気がスムーズに通るための十分なトンネルの広さを持っています。しかし、アレルギー反応によって粘膜が腫れると、そのトンネルは極端に狭くなります。
細いストローで一生懸命息を吸おうとすると「シューッ」と音がするように、狭くなった鼻腔を無理やり空気が通ろうとするときに強い抵抗が生まれます。
このとき、粘膜自体が激しく振動していびきとなります。特に横になると、重力の影響で血液や水分が頭部に移動するため、鼻の粘膜はさらに充血して膨張しやすくなります。
これが、昼間はなんとか鼻で息ができていても、夜になると鼻が詰まってしまう大きな理由です。
無意識の口呼吸が舌の根元を沈下させる
鼻が詰まると、人間は酸素を取り込むために無意識のうちに口を開けて呼吸をせざるを得ません。この「口呼吸」こそが、いびきを悪化させ、無呼吸状態を招く最大の要因です。
口を開けて寝ると、下顎が重力で下がり、それに連動して舌の根元(舌根)が喉の奥へと落ち込みます。仰向けの姿勢ではこの傾向がさらに強まります。
落ち込んだ舌は気道を物理的に塞いでしまい、ただでさえ狭くなっている空気の通り道をさらに圧迫します。この狭い隙間を空気が通るたびに、喉の柔らかい組織が激しく震え、爆音のような大いびきが発生するのです。
口呼吸は、いびきだけでなく、喉の乾燥によるウイルス感染リスクや、口臭の悪化、歯列への悪影響など、まさに百害あって一利なしの状態と言えます。
鼻づまりによる睡眠の質の低下という悪循環
鼻づまりによる呼吸の苦しさは、睡眠の分断を招きます。完全に目が覚めないまでも、脳は呼吸を確保するために「微少覚醒」と呼ばれる覚醒に近い状態を繰り返します。
深く眠れないため、体の疲れやアレルギーによる炎症の修復が追いつかず、自律神経が乱れて翌日の鼻炎症状がさらに悪化するという「負のループ」に陥ります。
つまり、鼻炎がいびきを作り、いびきが睡眠を浅くし、浅い睡眠がさらに鼻炎を悪化させるのです。この悪循環を断ち切るためには、まず「鼻を通す」が全ての出発点になります。
鼻呼吸と口呼吸の睡眠への影響比較
| 項目 | 鼻呼吸での睡眠 | 口呼吸での睡眠 |
|---|---|---|
| 気道の確保 | 舌が持ち上がり気道が広がる | 舌根が落ち込み気道が狭まる |
| 空気の質 | 加湿・加温され清浄な空気が入る | 冷たく乾燥した空気が直撃する |
| いびきリスク | 発生しにくい | 極めて発生しやすい |
| 起床時の状態 | 喉の潤いが保たれスッキリする | 喉が痛み、倦怠感が残る |
あなたのいびきはアレルギー性鼻炎が原因?症状から見分けるチェックポイント
「いびきをかいている」という事実は分かっていても、それが肥満によるものなのか、加齢によるものなのか、それともアレルギー性鼻炎によるものなのかを判断するのは難しいものです。
しかし、原因を特定しなければ正しい対策は打てません。アレルギー性鼻炎が引き金となっているいびきに特有のサインや、日中の行動に現れる兆候について確認していきましょう。
季節による変動があるかを確認する
もしあなたのいびきが、一年中同じようにうるさいわけではなく、特定の時期にひどくなるのであれば、それは花粉症など季節性のアレルギー性鼻炎が強く影響しています。
春先のスギやヒノキ、秋のブタクサなどの飛散時期と、家族にいびきを指摘される時期が重なっていませんか?
一方で、一年中いびきをかいている場合は、ダニやハウスダストによる通年性アレルギー性鼻炎の可能性があります。
この場合、季節の変わり目や、大掃除などで埃が舞った日に症状が悪化するかどうかが判断の目安になります。自分のいびきの「波」を観察すると、アレルギーとの関連性が見えてきます。
起床時の喉の痛みと口の乾燥具合
朝起きた瞬間、口の中が砂漠のようにカラカラに乾いていたり、喉にへばりつくような不快な痛みを感じたりすることはありませんか?これは、睡眠中に鼻が詰まり、長時間にわたって口呼吸をしていた決定的な証拠です。
アレルギー性鼻炎の人は、寝ている間だけ鼻が詰まる「隠れ鼻閉」の状態にあるケースも少なくありません。
日中は意識して鼻で呼吸していても、リラックスして副交感神経が優位になる睡眠中は、鼻の血管が拡張して粘膜が腫れやすくなるからです。
「朝の喉の渇き」はいびきの相棒であり、鼻炎コントロールがうまくいっていないことを体が訴えているサインだと捉えてください。
日中の集中力低下と眠気の種類
単なる寝不足とは違う、独特の「頭の重さ」や「ぼーっとする感覚」もアレルギー性鼻炎といびきのセット商品のひとつです。
鼻づまりによる低酸素状態と、いびきによる睡眠分断が重なると、脳は慢性的な酸素不足と休息不足に陥ります。
会議中や運転中に突然襲ってくる抗えない眠気や、日中に鼻をすする回数が多い、気づくと口を半開きにしているときが多いなどもチェックポイントです。
特に、鼻炎薬を飲んでいないのに強い眠気がある場合は、薬の副作用ではなく、夜間のいびきによる睡眠の質の低下を疑う必要があります。
鼻炎といびきの関連性が疑われるサイン
- 特定の季節や場所でいびきが大きくなると指摘される
- 朝起きると枕元にティッシュの山ができている
- 睡眠中に自分のいびきや息苦しさで目が覚めるときがある
- 日中も片方の鼻が常に詰まっている感覚がある
- 入浴中など湯気がある場所では鼻の通りが良くなる
今夜からできる!寝室環境を整えて鼻づまりを和らげる具体策
医療機関に行く時間がなくても、寝室の環境を少し変えるだけで、その日の夜の鼻の通りが劇的に変わる場合があります。
アレルギー性鼻炎の天敵は「乾燥」と「アレルゲン」です。これらをコントロールし、鼻粘膜への刺激を最小限に抑えることが、静かな眠りへの第一歩です。
加湿器の正しい配置と湿度管理の徹底
乾燥した空気は鼻の粘膜を傷つけ、防御反応としての炎症を悪化させます。寝室の湿度は常に50%から60%をキープするのが理想です。
加湿器を使用する際は、枕元に直接蒸気が当たるような置き方は避けてください。過剰な水分はカビやダニの繁殖原因になり、逆にアレルギーを悪化させるからです。
部屋全体に空気が循環するよう、エアコンの風の通り道を意識して設置しましょう。もし加湿器がない場合は、濡れたバスタオルを部屋に干しておくだけでも効果があります。
また、湿度計を必ず設置し、数値を目で見て管理することが大切です。人間の感覚だけに頼ると、意外と乾燥していることに気づかないケースが多いのです。
アレルゲンを舞い上がらせない掃除テクニック
ハウスダストやダニの死骸は、床だけでなく布団やカーテンにも大量に付着しています。就寝中にこれらを吸い込むと、モーニングアタック(朝の発作的なくしゃみや鼻水)や夜間の鼻づまりが引き起こされます。
ポイントは「寝る直前に掃除をしない」です。掃除機をかけると、排気で一時的に埃が空中に舞い上がります。これが落ち着くまでに数時間かかるため、掃除は朝か昼間に済ませておくのが鉄則です。
また、布団乾燥機を使ってダニを退治し、その後に掃除機で吸い取る習慣をつけると、アレルゲンの量は大幅に減少します。枕カバーは毎日交換するか、タオルを敷いて毎日取り替えるだけでも、鼻への刺激は減らせます。
寝る姿勢を工夫して気道を確保する
仰向けで寝ることは、重力の影響で舌根が落ち込みやすくなるため、いびき対策としては不利です。鼻炎がある場合は特に、「横向き寝」を推奨します。
横向きになると気道が確保されやすくなり、鼻が詰まり気味でも呼吸が楽になる場合が多いのです。抱き枕を活用すると、自然な横向き姿勢を維持しやすくなります。
また、上半身を少し高くして寝るのも有効です。枕の下にバスタオルなどを挟み、頭だけでなく背中からなだらかに角度をつけると、鼻の粘膜への血液の鬱滞(うったい)を防ぎ、鼻通りを良くする効果が期待できます。
鼻洗浄(鼻うがい)で物理的にアレルゲンを洗い流す習慣
飲み薬や点鼻薬に頼る前に、ぜひ試してほしいのが「鼻洗浄(鼻うがい)」です。これは鼻の中に入り込んだ花粉やハウスダスト、そして炎症物質を含んだ粘り気の強い鼻水を、物理的に洗い流してしまう方法です。
最初は恐怖感があるかもしれませんが、正しいやり方を覚えれば痛みはなく、これほど爽快で効果的な対策はありません。
生理食塩水を使うことが痛くない秘訣
プールで鼻に水が入るとツーンと痛くなるのは、真水と体液の浸透圧が違うからです。鼻うがいには、体液と同じ浸透圧(約0.9%の塩分濃度)の生理食塩水を必ず使用してください。
作り方は簡単で、一度沸騰させて人肌程度(36度〜38度)に冷ましたお湯1リットルに対して、食塩9グラムを溶かすだけです。市販の専用洗浄液や、溶かすだけの粉末タイプを利用すればさらに手軽です。
温度も重要で、冷たすぎると鼻の粘膜を刺激して逆に鼻づまりが悪化する場合があります。必ず「ぬるま湯」で行うのが、快適に続けるための絶対条件です。
お風呂場での実施が最も継続しやすい
鼻うがいに慣れていないうちは、洗面所で行うと服や床を濡らしてしまう場合があります。おすすめは、入浴時に一緒に行うことです。
お風呂場なら濡れても気になりませんし、湯気で鼻の粘膜が湿って汚れが浮きやすくなっているため、洗浄効果も高まります。
専用のボトルを使い、「エー」と声を出しながら洗浄液を片方の鼻から流し込み、もう片方の鼻や口から出します。声を出すと喉の奥(上咽頭)が閉まり、洗浄液が耳に入ったり誤って飲み込んだりするのを防げます。
終わった後は、強く鼻をかまないように注意し、優しく水分を拭き取ってください。
帰宅後と就寝前のタイミングが鍵
鼻うがいを行うベストなタイミングは、帰宅直後と就寝前の2回です。帰宅後は外から持ち込んだ花粉や埃を洗い流すために行います。
そして就寝前の鼻うがいは、寝ている間の鼻づまり予防に絶大な効果を発揮します。寝る前に鼻腔内をクリアにし、粘膜の腫れを鎮めておくと、入眠時の鼻呼吸がスムーズになります。
ただし、やりすぎは禁物です。鼻の粘膜には保護機能もあるため、1日2回程度に留めておくのが賢明です。習慣化すると、薬の量を減らせる可能性もあるほど鼻うがいは強力な味方になります。
鼻洗浄を成功させるポイント
- 用意するもの:鼻洗浄ボトル、ぬるま湯(300ml程度)、食塩(約3g)
- 前傾姿勢になり、顔を横に傾けずに正面またはやや下を向く
- 「アー」や「エー」と声を出しながら洗浄液を流し込む
- 洗浄後は、残った液を出すために優しく鼻をかむ(強くかむと中耳炎のリスク)
- 鼻づまりが完全にひどい時は無理に行わず、少し通ってから行う
市販薬と処方薬の正しい使い分けと注意点
生活習慣や環境を整えても鼻づまりが解消しない場合、薬の力を借りるのは決して悪いことではありません。むしろ、我慢して炎症を長引かせる方がリスクです。
しかし、薬の選び方を間違えると、かえっていびきが悪化したり、眠気が強くなったりするケースもあります。自分の症状に合った薬を選び、適切に使用するための知識を身につけましょう。
点鼻薬の使いすぎに潜む「薬剤性鼻炎」の罠
鼻づまりで苦しいとき、市販の血管収縮剤入りの点鼻薬は即効性があり、劇的に鼻が通るようになります。しかし、これを毎日のように使い続けるのは非常に危険です。
使い続けると血管が薬に慣れてしまい、薬が切れたときに以前よりも強くリバウンドして腫れ上がるようになります。これを「薬剤性鼻炎」と呼びます。
血管収縮剤入りの点鼻薬は、あくまで「今夜どうしても眠れない」という緊急避難的な使用に留めるべきです。日常的なケアには、耳鼻科で処方されるステロイド点鼻薬を使用してください。
ステロイド点鼻薬は即効性は低いですが、炎症そのものを鎮める効果があり、長期間使用しても副作用のリスクが低いのが特徴です。
抗ヒスタミン薬は「眠くならない」タイプを選ぶ
アレルギー症状を抑える抗ヒスタミン薬には、第一世代と第二世代があります。古いタイプの第一世代は効き目が鋭い反面、脳に作用して強い眠気や口の渇きを引き起こす副作用があります。
口が渇くと唾液が減り、口呼吸を助長していびきが悪化する原因にもなりかねません。いびき対策として服用するなら、脳への影響が少なく、口の渇きなどの副作用も軽減された第二世代の抗ヒスタミン薬を選ぶことが重要です。
フェキソフェナジンやロラタジンなどがこれに該当します。パッケージに「眠くなりにくい」と記載されているものを目安にするか、医師や薬剤師に相談して適切なものを選択してください。
主なアレルギー性鼻炎治療薬の特徴一覧
| 種類 | 主な効果とメリット | 注意点・デメリット |
|---|---|---|
| 血管収縮点鼻薬(市販) | 即効性が非常に高く、すぐに鼻が通る。 | 長期連用で鼻づまりが悪化する(薬剤性鼻炎)。一時利用に留める。 |
| ステロイド点鼻薬(処方) | 炎症を根本から抑える。副作用が少ない。 | 即効性はなく、効果が出るまで数日かかる場合がある。 |
| 第1世代抗ヒスタミン薬 | 鼻水への効果が強い。 | 強い眠気、口の渇きが出やすい。口呼吸を助長する恐れがある。 |
| 第2世代抗ヒスタミン薬 | 眠気や口の渇きが少ない。持続性がある。 | 効果の実感に個人差がある。空腹時の服用が必要なものもある。 |
漢方薬という選択肢も視野に入れる
西洋薬の副作用が気になる場合や、体質的に合わない場合は、漢方薬も有効な選択肢です。「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」などは鼻水や鼻づまりによく用いられます。
漢方は体全体のバランスを整えながら症状を緩和していくため、即効性は西洋薬に劣る場合もありますが、眠気などの副作用が少ないのが利点です。
ただし、漢方薬にも「麻黄」などの興奮作用がある成分が含まれている場合があり、夜に飲むと目が冴えてしまうときもあります。
服用のタイミングや種類については、自己判断せずに専門家に相談しましょう。
根本治療を目指すなら検討したい医療アプローチ
薬やセルフケアでは追いつかないほど重症の場合、あるいは薬を飲み続ける生活から脱却したい場合は、医療機関での専門的な治療を検討する時期かもしれません。
医学の進歩により、体質そのものを変える治療や、物理的に鼻の通りを良くする手術など、選択肢は広がっています。
レーザー治療で粘膜を焼いて固める
レーザー治療は、アレルギー反応を起こして腫れ上がった鼻の粘膜(下鼻甲介)をレーザーで焼き、かさぶたにして固める手術です。これにより、粘膜がアレルゲンに反応しにくくなると同時に、物理的な体積が減るため鼻の通り道が広がります。
日帰り手術が可能で、痛みや出血も比較的少ないのが特徴です。手術時間も15分程度で終わる場合が多く、忙しい現代人に適しています。
効果は永続的ではありませんが、数ヶ月から数年は鼻づまりが劇的に改善されることが多く、その間はいびきも大幅に軽減されます。
特に鼻づまりが主症状のタイプには非常に良い効果が期待でき、薬の量を減らせるメリットも大きいです。
舌下免疫療法で体質そのものを変える
アレルゲン(スギ花粉やダニ)のエキスを含んだ薬を舌の下に含み、少しずつ体に慣れさせていく治療法です。これは対症療法ではなく、アレルギーそのものを治そうとする唯一の治療法です。
最低でも3年から5年ほど毎日薬を服用し続ける根気が必要ですが、治療が成功すれば、薬なしでも鼻炎症状が出なくなり、当然それに伴う鼻づまりやいびきも解消されます。
ダニが原因の通年性アレルギー性鼻炎の場合、季節を問わずいつでも治療を開始できます。長い目で見れば、最もコストパフォーマンスと生活の質を高める治療法と言えるでしょう。
CPAP(シーパップ)治療が必要なケース
もし、アレルギー性鼻炎による鼻づまりだけでなく、睡眠中に呼吸が止まっている(睡眠時無呼吸症候群)の疑いがある場合は、CPAP治療の対象となります。
これは鼻にマスクを装着し、機械から空気を送り込んで気道を押し広げる治療法です。
しかし、鼻炎で鼻が詰まっていると、CPAPの空気が入っていかず、治療がうまくいかないときがあります。
そのため、CPAPを使用する前提として、鼻炎の治療を並行して行い、鼻の通りを確保することが非常に大切になります。鼻炎の治療が、無呼吸の治療成功の鍵を握っているのです。
根本治療と対症療法の比較まとめ
| 治療法 | 対象・特徴 | 期待できる効果と期間 |
|---|---|---|
| レーザー手術 | 鼻づまりがひどく薬が効かない人向け。 | 鼻腔が広がり即効性がある。効果持続は平均1〜2年程度。 |
| 舌下免疫療法 | 根本的に治したい人向け(スギ・ダニ)。 | 体質改善により症状が出なくなる。3〜5年の継続が必要。 |
| 鼻中隔湾曲症手術 | 鼻の骨が曲がっている構造的な問題がある人。 | 骨を矯正するため効果は永続的。入院が必要な場合が多い。 |
アルコールと食事がいびきと鼻炎に与える意外な影響
「お酒を飲んだ日はいびきがひどい」というのは、多くの人が経験する事実です。これにアレルギー性鼻炎が加わると、事態はさらに深刻になります。
また、日頃口にしている食事が、知らず知らずのうちに鼻の炎症を助長している可能性もあります。
アルコールは「むくみ」と「弛緩」のダブルパンチ
アルコールには血管を拡張させる作用があります。お酒を飲むと顔が赤くなるように、鼻の粘膜の血管も拡張し、充血して腫れ上がります。つまり、飲酒は鼻づまりを強制的に引き起こすスイッチなのです。
さらに悪いことに、アルコールは筋肉を緩める作用も持っています。これにより、喉周りの筋肉や舌の筋肉が通常以上に脱力し、重力に負けて気道を塞ぎやすくなります。
「鼻が詰まる」うえに「気道が潰れやすくなる」というダブルパンチ状態になるため、普段はいびきをかかない人でも大合唱になり、鼻炎持ちの人は無呼吸に近い状態まで悪化する危険性があります。鼻炎症状が強い時期は、寝酒は厳禁です。
ヒスタミンを多く含む食材に注意する
アレルギー反応を引き起こす物質「ヒスタミン」は、実は食品そのものにも含まれています。これを食事から摂取しすぎると、体内のヒスタミン総量が増え、アレルギー症状が悪化しやすくなる場合あります。
例えば、発酵食品(チーズ、ワイン)、加工肉(ソーセージ、ハム)、一部の魚(サバ、マグロ)などはヒスタミンを多く含んだり、体内でヒスタミンを増やしたりする作用があります。
また、チョコレートやナッツ類も症状を誘発するときがあります。
もちろんこれらを完全に絶つ必要はありませんが、鼻炎がひどい時期や、大切な睡眠を確保したい夜の夕食では、これらの食材を控える意識を持つだけでも、鼻のコンディションは変わってきます。
肥満解消が鼻炎といびきの両方に効く理由
食事と関連して見逃せないのが体重管理です。肥満になると、首の周りにも脂肪がつき、外側から気道を圧迫します。さらに、内臓脂肪が増えると横隔膜が押し上げられ、肺活量が低下して呼吸が浅くなります。
アレルギー性鼻炎の人は、鼻粘膜の腫れという「内側の狭窄」を持っていますが、肥満はそこに「外側の圧迫」を加えることになります。
体重を数キロ落とすだけで、首周りの脂肪が減り、気道が広がって鼻呼吸が楽になるケースは多々あります。健康的な食事で適正体重を維持する取り組みは、遠回りのようでいて、実は最も確実ないびき対策の一つなのです。
食事習慣の改善チェック
- 就寝4時間前までには飲酒を終える(アルコールの筋弛緩作用が抜けるのを待つ)
- 夕食では辛い食べ物(カプサイシン)を避ける(鼻粘膜への刺激を防ぐ)
- トマト、ほうれん草、ナスなどのヒスタミンを含む野菜の過剰摂取に気をつける
- 添加物の多い食品やファストフードを減らし、自然な食材を選ぶ
- 寝る直前の食事は胃酸逆流を招き、喉を刺激していびきを悪化させるため避ける
よくある質問
- Qアレルギー性鼻炎のいびきに市販の鼻腔拡張テープは効果がありますか?
- A
鼻腔拡張テープは、プラスチックバーの反発力で鼻を外側から広げ、空気の通り道を確保する補助器具です。鼻の入り口付近が狭くなっているタイプの方には一定の効果が期待できます。
しかし、アレルギー性鼻炎によるいびきは、鼻の奥の粘膜が腫れているのが主な原因であるため、テープだけでは十分な効果が得られない場合も少なくありません。
テープはあくまで補助的なものと考え、根本的な鼻づまり対策(加湿、洗浄、薬物療法など)と併用すると、より効果を発揮します。
- Q子供のアレルギー性鼻炎のいびきを放置すると成長にどのような影響がありますか?
- A
子供のいびきは決して「よく寝ている証拠」ではありません。成長期に鼻づまりによるいびきや口呼吸が続くと睡眠の質が低下し、成長ホルモンの分泌が阻害されて身長の伸びや身体発達に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、深い睡眠が取れないことで、日中の集中力の低下、多動、学習意欲の減退、イライラしやすくなるといった行動面の問題につながるケースもあります。
さらに、長期的な口呼吸は顎の発達を妨げ、歯並びや顔の骨格形成(アデノイド顔貌)にも影響するため、早期の治療が必要です。
- Qアレルギー性鼻炎のいびき対策として、枕の高さを変えることは有効ですか?
- A
非常に有効です。
枕が低すぎると、頭に血流が溜まりやすくなり、鼻の粘膜が充血して腫れやすくなります。逆に高すぎると、首が曲がって気道を圧迫し、いびきを悪化させます。
アレルギー性鼻炎の方におすすめなのは、頭だけでなく肩口から少し角度をつけるように上半身全体をなだらかに高くすることです。これにより、鼻への血液の滞留を防ぎつつ、気道を真っ直ぐに保ちやすくなります。
ご自身に合った適切な高さを見つけるか、横向き寝をサポートする形状の枕を選ぶと、呼吸が楽になることが多いです。
- Qアレルギー性鼻炎の治療をすれば、いびきは完全に治りますか?
- A
いびきの主原因が「鼻づまり」にある場合は、アレルギー性鼻炎の治療によって鼻通りが良くなれば、いびきは劇的に改善、あるいは消失します。
しかし、いびきの原因は複合的であるケースが多く、鼻炎以外にも「肥満」「扁桃腺の肥大」「顎が小さい」「加齢による筋力低下」などが組み合わさっている場合があります。
その場合、鼻炎治療だけでいびきを完全にゼロにするのは難しいかもしれません。とはいえ、鼻呼吸を確保する取り組みは全てのいびき治療の基礎であり、鼻炎を治すといびきの音が小さくなったり、無呼吸のリスクが減ったりすることは間違いありません。
