ウロキナーゼ(ウロナーゼ)とは血栓を溶かす効果を持つ呼吸器治療薬の一種です。

この薬剤は体内で自然に生成される酵素を応用して作られており主に肺塞栓症や深部静脈血栓症などの重篤な疾患の治療に用いられます。

ウロキナーゼの作用機序は血液中のプラスミノーゲンという物質を活性化することで生成されるプラスミンが血栓を分解するというものです。

この薬は迅速な血栓溶解が必要な緊急時に特に有効とされ、患者さんの症状改善に大きく貢献します。

ウロナーゼ静注用6万単位 | 持田製薬株式会社
ウロナーゼ静注用6万単位 | 持田製薬株式会社 (mochida.co.jp)

有効成分と作用機序 その効果を徹底解説

ウロキナーゼの有効成分

ウロキナーゼは人体の尿中に存在する酵素を精製して得られる線溶系酵素製剤です。

この薬剤の主成分であるウロキナーゼそのものが有効成分として機能し血栓を溶解する作用を持ちます。

医療現場では純度の高いウロキナーゼを使用することで確実な効果を得られるよう工夫しています。

成分由来
ウロキナーゼヒト尿
安定剤化学合成

ウロキナーゼの作用機序

ウロキナーゼは体内に投与されると血液中のプラスミノーゲンという不活性な前駆体タンパク質に作用します。

この作用によりプラスミノーゲンはプラスミンという活性型の酵素に変換されます。

プラスミンは強力な線溶作用を持ちフィブリンを主成分とする血栓を効率的に分解します。

  • プラスミノーゲンの活性化
  • プラスミンによる血栓溶解

この一連の反応によりウロキナーゼは間接的に血栓を溶解する効果を発揮します。

段階反応
1ウロキナーゼがプラスミノーゲンに作用
2プラスミノーゲンがプラスミンに変換
3プラスミンが血栓を溶解

ウロキナーゼの効果

ウロキナーゼの主な効果は血栓の溶解です。

この薬剤は特に肺塞栓症や深部静脈血栓症などの重篤な血栓性疾患の治療に使用されます。

血栓を速やかに溶解することで血流を改善し組織への酸素供給を回復させます。

効果対象疾患
血栓溶解肺塞栓症
血流改善深部静脈血栓症

また ウロキナーゼは中心静脈カテーテルの閉塞解除にも使用されることがあります。

カテーテル内に形成された血栓を溶解して薬剤投与や採血などの医療行為を円滑に行えるようにします。

ウロキナーゼの投与方法と注意点

ウロキナーゼは通常静脈内投与で使用します。

投与量や投与速度は患者さんの状態や疾患の重症度によって慎重に調整する必要があります。

医師は患者さんの凝固系パラメーターを定期的にモニタリングして適切な投与量を決定します。

投与方法特徴
静脈内投与即効性が高い
局所投与特定部位の血栓に有効

ウロキナーゼは出血のリスクを伴うため出血傾向のある患者さんや最近手術を受けた患者さんへの投与には細心の注意が求められます。

ウロキナーゼ(ウロナーゼ)の使用方法と注意点

投与方法と用量

ウロキナーゼは主に静脈内投与で使用します。

投与量は患者さんの体重や症状の重症度によって決定しますが、1回あたり6万〜24万単位を使用するのが一般的です。

急性肺塞栓症の場合は初回に24万単位を30分かけて点滴静注し、その後1時間あたり6万〜12万単位を持続点滴します。

症状初回投与量持続投与量
軽症6万単位6万単位/時
中等症12万単位9万単位/時
重症24万単位12万単位/時

投与時の注意事項

ウロキナーゼ投与中は患者さんの凝固系パラメーターを頻繁にモニタリングしなければなりません。

特にフィブリノゲン値とAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)の測定が重要です。

これらの値に基づいて投与量を調整することで過剰な出血リスクを回避します。

検査項目正常範囲要注意値
フィブリノゲン200-400 mg/dL100 mg/dL未満
APTT25-40秒80秒以上
  • 投与開始前に凝固系検査を実施
  • 投与中は1〜2時間ごとに検査値をチェック

併用薬と相互作用

ウロキナーゼは他の抗凝固薬や抗血小板薬と併用する際に注意が必要です。

これらの薬剤との併用で出血リスクが増加する可能性があるため慎重に投与量を調整しなければなりません。

特にヘパリンとの併用ではAPTTを通常の1.5〜2倍に延長させるように用量を調整します。

併用薬注意点
ヘパリンAPTTを1.5〜2倍に調整
ワルファリンPT-INRを頻回測定
抗血小板薬出血症状を厳重観察

投与中のモニタリング

ウロキナーゼ投与中は患者さんの全身状態を注意深く観察します。

特に出血症状の有無を頻繁にチェックして異常が見られた場合は直ちに投与を中止します。

また血圧低下や過敏症状にも注意を払って適切に対応することが大切です。

  • 皮下出血や粘膜出血の有無をチェック
  • 血圧測定を定期的に実施
  • アレルギー症状の早期発見に努める
モニタリング項目頻度
出血症状1時間ごと
血圧測定2時間ごと
体温4時間ごと

投与後の管理

ウロキナーゼ投与終了後も24時間程度は厳重な経過観察が必要です。

この期間中は安静を保ち不要な動きを控えるよう患者さんに指導してください。

また凝固系パラメーターが正常化するまで定期的な血液検査を継続します。

観察項目期間
安静度24時間
血液検査72時間

ある医師の臨床経験では80歳の女性患者さんに対しウロキナーゼを投与した際、投与開始6時間後に軽度の歯肉出血が発生しました。

そこで投与量を減量して厳重な観察を続けたところ症状が改善し無事に治療を完遂できました。

このエピソードから高齢者へのウロキナーゼ投与ではより慎重な用量調整と頻回のモニタリングが重要だと再認識しました。

ウロキナーゼ(ウロナーゼ)が適応となる患者

急性肺塞栓症の患者

ウロキナーゼは急性肺塞栓症の患者さんに対して非常に効果的な治療薬です。

肺動脈に形成された血栓を速やかに溶解し肺循環を改善する作用があり、特に発症から48時間以内の症例でその効果を最大限に発揮します。

症状重症度
呼吸困難中等度〜重度
胸痛軽度〜重度
頻脈100回/分以上
  • 血行動態が不安定な患者さん
  • 右心負荷所見がある患者さん

深部静脈血栓症の患者

深部静脈血栓症、特に下肢深部静脈に血栓が形成された患者さんにもウロキナーゼは有効です。

この薬剤により血栓を溶解して血流を改善することで肺塞栓症への進展を予防します。

症状発現から14日以内の急性期症例が理想的な投与対象となります。

部位症状
下肢腫脹・疼痛
足部チアノーゼ

急性心筋梗塞の患者

一部の急性心筋梗塞患者さんにおいてもウロキナーゼの使用が考慮されます。

冠動脈内の血栓を溶解して心筋への血流を回復させる効果が期待できます。特に発症から6時間以内の早期症例で有効性が高い傾向です。

心電図所見特徴
ST上昇2mm以上
Q波新規出現
  • 胸痛が持続する患者さん
  • 心原性ショックを伴う患者さん

中心静脈カテーテル閉塞の患者

長期留置型中心静脈カテーテルを使用している患者さんでカテーテル内に血栓が形成され閉塞した際にウロキナーゼを使用します。

カテーテル内腔に直接薬剤を注入することで効率的に血栓を溶解し、カテーテルの機能を回復させます。

この方法はカテーテル交換のリスクを回避できるという点がメリットです。

カテーテル種類適応
Hickmanカテーテル化学療法
ブロビアックカテーテル長期栄養管理

適応外使用の可能性がある患者

一部の稀少疾患や特殊な病態を有する患者さんにおいてウロキナーゼの適応外使用が検討される事例もあります。

例えば急性腎梗塞や急性腸間膜動脈閉塞症などの患者さんがこれに該当します。

これらのケースでは個々の患者さんの状態を慎重に評価して使用の是非を判断することが重要です。

疾患名考慮される理由
急性腎梗塞腎機能温存
急性腸間膜動脈閉塞症腸管壊死予防
  • 通常治療で改善が乏しい患者さん
  • 緊急性の高い病態の患者さん

治療期間

急性肺塞栓症における投与期間

ウロキナーゼの投与期間は患者さんの症状や重症度によって異なりますが、一般的に24時間から72時間程度です。

重症例では初回に24万単位を30分かけて投与し、その後12万単位/時間の持続投与を行います。

症状の改善が見られれば徐々に投与量を減量して48時間程度で終了することが多いです。

重症度初回投与量持続投与量標準的投与期間
軽症6万単位6万単位/時24-36時間
中等症12万単位9万単位/時36-48時間
重症24万単位12万単位/時48-72時間

深部静脈血栓症での治療期間

深部静脈血栓症に対するウロキナーゼの投与期間は通常3日から7日間です。

初日は24万単位/日を持続点滴し、2日目以降は症状の改善度合いに応じて12万〜18万単位/日に減量します。

血栓の溶解状況をエコー検査などで確認しながら投与期間を決定することが重要です。

  • 投与開始3日目に血栓溶解効果を評価
  • 効果不十分な場合は7日間まで延長を検討
病日投与量モニタリング項目
1日目24万単位/日出血症状 凝固能
2-3日目18万単位/日エコー所見 D-dimer
4-7日目12万単位/日症状改善度 副作用

急性心筋梗塞における短期投与

急性心筋梗塞に対するウロキナーゼの投与は比較的短期間で行われます。

冠動脈内投与の場合では60万単位を30〜60分かけて単回投与することが一般的です。

静脈内投与では初回に96万単位を10分間で投与し、その後144万単位を50分間かけて持続投与します。

投与経路投与量投与時間
冠動脈内60万単位30-60分
静脈内240万単位60分

カテーテル閉塞解除のための短時間使用

中心静脈カテーテルの閉塞解除にウロキナーゼを使用する際、その投与期間は非常に短いです。

通常6万単位を2mlの生理食塩水に溶解し、カテーテル内に注入して30分から60分程度留置します。

この手技で閉塞が解除されない場合には同様の処置を1〜2回追加することがあります。

手技投与量作用時間
初回6万単位30-60分
追加6万単位30-60分
  • カテーテル内に薬液を充填
  • 30分後に吸引を試みる

投与期間延長の判断基準

ウロキナーゼの標準的な投与期間を超えて治療を継続する際には慎重な判断が必要です。

血栓溶解効果が不十分な場合や症状の改善が乏しい際に投与期間の延長を検討します。

ただし出血リスクの増大を伴うため患者さんの全身状態や検査所見を総合的に評価することが大切です。

延長検討項目評価基準
症状改善度30%未満
D-dimer値前値の50%以上
画像所見血栓残存

ある医師の臨床経験では70代の男性患者さんで広範な深部静脈血栓症に対しウロキナーゼを使用した際に標準的な5日間の投与では十分な効果が得られませんでした。

慎重に検討した結果7日間まで投与期間を延長したところ顕著な血栓の縮小が確認でき、下肢の腫脹も著明に改善しました。

このケースから個々の患者さんの反応性に応じて柔軟に投与期間を調整することの重要性を再認識しました。

副作用とデメリット

出血性合併症

ウロキナーゼの最も重大な副作用は出血性合併症です。

この薬剤は血栓を溶解する作用を持つため全身の出血傾向を引き起こす危険性があります。

特に脳出血や消化管出血などの重篤な出血が懸念されるため投与中は厳重な観察が必要です。

出血部位頻度重症度
皮下出血高い軽度
消化管出血中等度中等度〜重度
脳出血低い重度
  • 穿刺部位からの持続的な出血
  • 尿や便への血液混入

アレルギー反応

ウロキナーゼはタンパク質製剤であるためアレルギー反応を引き起こすリスクがあります。

軽度の皮疹から重篤なアナフィラキシーショックまで 様々な過敏症状が報告されていて、特に初回投与時には注意深い観察が重要です。

症状発現時期対処法
蕁麻疹投与開始直後抗ヒスタミン薬
呼吸困難数分〜数時間後酸素投与
血圧低下数分〜数時間後輸液負荷

腎機能障害

ウロキナーゼの代謝は主に腎臓で行われるため腎機能障害のある患者さんさんでは薬剤の蓄積が起こる可能性があります。

これにより副作用のリスクが高まるため腎機能に応じた慎重な投与量調整が必要です。

また ウロキナーゼ自体が腎機能に影響を与える可能性も指摘されています。

腎機能障害度クレアチニンクリアランス投与量調整
軽度50-80 mL/min75%に減量
中等度30-50 mL/min50%に減量
重度30 mL/min未満原則使用禁忌

発熱

ウロキナーゼ投与に伴う発熱は比較的頻度の高い副作用の一つです。

通常は軽度から中等度の発熱で解熱剤の投与で対応可能ですが、稀に高熱を呈する事例も報告されています。

発熱が持続したり著しい高熱を認めた際には投与中止を検討する必要があります。

体温頻度対応
37.5-38.0℃高い経過観察
38.1-39.0℃中等度解熱剤投与
39.1℃以上低い投与中止検討
  • 悪寒を伴う発熱
  • 解熱剤不応性の発熱

コスト面のデメリット

ウロキナーゼは高価な薬剤であり医療経済的な観点からもデメリットがあります。

特に長期使用や高用量投与が必要な症例では患者さんさんの経済的負担が大きくなることも考えられます。

また医療機関にとっても在庫管理や使用期限管理などのコストがかかります。

投与期間概算薬剤費患者さん負担(3割)
1日10万円3万円
3日30万円9万円
7日70万円21万円

ある医師の臨床経験では80歳代の女性患者さんさんに対しウロキナーゼを使用した際、投与開始2時間後に全身の蕁麻疹と呼吸困難が出現しました。

直ちに投与を中止しステロイドと抗ヒスタミン薬を投与したところ症状は改善しました。

このケースからアレルギー反応の早期発見と迅速な対応の重要性を再認識しました。

また高齢者ではアレルギー反応のリスクが高まる可能性があるため、より慎重な観察が大切だと学びました。

ウロキナーゼ(ウロナーゼ)が効かない時の代替治療薬

組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)

ウロキナーゼの効果が不十分な際には組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)が有力な代替選択肢となります。

t-PAはウロキナーゼと同様に血栓溶解作用を持ちますが、より強力かつ迅速な効果が期待できます。

特に急性心筋梗塞や重症の肺塞栓症においてt-PAの使用は患者さんの予後改善に大きく寄与します。

薬剤名投与量投与時間
アルテプラーゼ0.6-0.75mg/kg1-2時間
モンテプラーゼ27500-40000IU/kg2-3分
  • 発症3時間以内の脳梗塞患者さんに使用
  • 血栓の局在部位に直接投与可能

ヘパリン

ウロキナーゼによる血栓溶解が不十分だった場合にはヘパリンへの切り替えや併用を検討します。

ヘパリンは抗凝固作用により新たな血栓形成を防ぎ既存の血栓の増大を抑制します。

深部静脈血栓症や肺塞栓症の長期管理においてヘパリンは重要な役割を果たします。

種類投与経路作用持続時間
未分画ヘパリン静脈内 皮下注4-6時間
低分子ヘパリン皮下注12-24時間

経口抗凝固薬(DOAC)

ウロキナーゼによる急性期治療後の維持療法として直接経口抗凝固薬(DOAC)の使用を考慮します。

DOACは従来のワルファリンと比較して効果発現が迅速で用量調整が容易というのが利点です。

深部静脈血栓症や心房細動に伴う血栓塞栓症の予防に広く用いられています。

薬剤名作用機序投与回数
リバーロキサバンXa因子阻害1日1回
アピキサバンXa因子阻害1日2回
ダビガトラントロンビン阻害1日2回
  • 腎機能に応じた用量調整が必要
  • 定期的な腎機能検査を実施

血栓吸引療法

薬物療法が奏功しない症例では血栓吸引療法という機械的な血栓除去法を選択することがあります。

カテーテルを用いて直接血栓を吸引除去するこの方法は特に大型の血栓に対して効果的です。

急性肺塞栓症や下肢深部静脈血栓症の一部症例で良好な成績を収めています。

適応利点欠点
大型血栓迅速な効果侵襲性
薬物療法抵抗例出血リスク低技術依存

外科的血栓摘除術

内科的治療や血管内治療で対応困難な重症例では外科的血栓摘除術を選択することがあります。

開胸や開腹を伴う侵襲的な手技ですが大量の血栓を一度に除去できるというのが利点です。

生命を脅かす重篤な血栓塞栓症において救命のための最終手段となり得ます。

手術部位適応疾患術後管理
肺動脈重症肺塞栓症ICU管理
下肢静脈広範囲DVT抗凝固療法
  • 全身状態の慎重な評価が必要
  • 術後の抗凝固療法を継続

ある医師の臨床経験では60歳代の男性患者さんで広範な下肢深部静脈血栓症に対しウロキナーゼを使用しましたが十分な効果が得られませんでした。

そこでt-PAに切り替えたところ著明な血栓溶解効果が確認され、下肢の腫脹も顕著に改善しました。

このケースから個々の患者さんの病態に応じて柔軟に治療薬を選択することの重要性を再認識しました。

また代替薬への迅速な切り替えが患者さんの予後改善に大きく寄与することを学びました。

併用禁忌

他の血栓溶解薬

ウロキナーゼと他の血栓溶解薬を同時に使用することは極めて危険です。

例えば組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)やストレプトキナーゼとの併用は出血リスクを著しく増大させます。

これらの薬剤は単独でも強力な血栓溶解作用を持つため、併用により全身の凝固能が過度に低下する恐れが生じます。

併用禁忌薬一般名商品名
t-PAアルテプラーゼアクチバシン
ストレプトキナーゼストレプトキナーゼストレプターゼ
  • 異なる作用機序の血栓溶解薬
  • 半減期の長い血栓溶解薬

抗凝固薬

ウロキナーゼと抗凝固薬の同時投与も原則として避けるべきです。

特にヘパリンやワルファリンなどの抗凝固薬との併用は出血性合併症のリスクを著しく高めます。

ただし臨床状況によっては慎重な判断のもと段階的な導入や厳密な凝固能モニタリングを行いながら併用することもあります。

抗凝固薬作用機序併用時のリスク
ヘパリンAT III活性化出血時間延長
ワルファリンビタミンK拮抗INR上昇

抗血小板薬

アスピリンやクロピドグレルなどの抗血小板薬とウロキナーゼの併用には細心の注意が必要です。

これらの薬剤は血小板凝集を抑制するためウロキナーゼの血栓溶解作用と相乗的に働いて出血リスクを増大させます。

急性冠症候群などで併用が必要な際は患者さんの出血リスクを慎重に評価して用量調整を検討します。

抗血小板薬作用機序併用時の注意点
アスピリンCOX阻害消化管出血リスク
クロピドグレルADP受容体阻害皮下出血増加
  • 抗血小板薬の減量を検討
  • 出血症状の頻回チェック

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)

NSAIDsとウロキナーゼの併用は消化管出血のリスクを高める可能性があります。

NSAIDsは胃粘膜保護作用を低下させるためウロキナーゼの全身的な抗凝固作用と相まって消化管粘膜の脆弱性を増します。

特に高齢者や消化性潰瘍の既往がある患者さんでは併用を避けるのが賢明です。

NSAID主な副作用ウロキナーゼとの相互作用
イブプロフェン胃粘膜障害消化管出血リスク増大
ジクロフェナク腎機能低下腎出血リスク上昇

ビタミンK含有食品

ウロキナーゼ投与中はビタミンKを多く含む食品の過剰摂取に注意が必要です。

ビタミンKは凝固促進作用を持つためウロキナーゼの効果を減弱させる危険性があるのです。

納豆や緑黄色野菜の摂取量に関しては医師の指導に従うことが大切です。

食品ビタミンK含有量摂取制限
納豆避ける
ほうれん草控えめに
  • 食事内容の記録を推奨
  • 急激な食生活の変更を避ける

ウロキナーゼ(ウロナーゼ)の薬価

薬価

ウロキナーゼの薬価は2024年4月現在1バイアル(6万単位)あたり4700円です。

この価格は医療機関での仕入れ値を示していて、患者さん負担額はこれより高くなります。

規格薬価
6万単位4700円
12万単位7810円

処方期間による総額

1週間の標準的な治療では1日24万単位を使用するため総額は109,340円となります。

1ヶ月継続すると468,600円に達し患者さんの経済的負担が大きくなります。

期間総額
1週間109,340円
1ヶ月468,600円
  • 投与期間は症状により変動
  • 併用薬により総額は増加

ある医師の臨床経験では重症肺塞栓症の患者さんに2週間のウロキナーゼ治療を行った際に薬剤費だけで約21万円かかりました。

以上

参考にした論文