アドシルカ(タダラフィル)とは、肺動脈性肺高血圧症という稀少な呼吸器疾患の治療に用いられる薬剤です。

この病気では肺の血管が狭くなることで血圧が上昇し、呼吸困難などの症状が現れます。

アドシルカは肺の血管を広げる作用があり、血流を改善することで患者さんの症状緩和に役立ちます。

医師の指示のもと適切に服用することで日常生活の質を向上させる可能性があります。

アドシルカ に対する画像結果
アドシルカ錠20mgの添付文書 – 医薬情報QLifePro
目次

有効成分と作用機序、効果

有効成分タダラフィルの特徴

アドシルカの有効成分であるタダラフィルはホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬に分類される化合物です。

この成分は肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療において重要な役割を果たします。

タダラフィルの化学構造は他のPDE5阻害薬と比較して特異的な特徴を持っており、それが薬剤の効果持続時間に影響を与えています。

特徴詳細
化学名(6R,12aR)-6-(1,3-benzodioxol-5-yl)-2-methyl-2,3,6,7,12,12a-hexahydropyrazino[1′,2′:1,6]pyrido[3,4-b]indole-1,4-dione
分子式C22H19N3O4
分子量389.404 g/mol
物理的性状白色~微黄白色の結晶性粉末

タダラフィルの作用機序

タダラフィルの主な作用機序はPDE5の選択的阻害にあります。

PDE5はサイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)を分解する酵素で、血管平滑筋の弛緩に関与しています。

タダラフィルがPDE5を阻害することでcGMPの分解が抑制され、結果として血管平滑筋の弛緩が促進されます。

この作用は特に肺動脈において顕著であり、肺血管抵抗の低下につながります。

作用段階効果
PDE5阻害cGMP分解抑制
cGMP濃度上昇血管平滑筋弛緩
血管拡張肺血管抵抗低下

肺動脈性肺高血圧症に対する効果

タダラフィルの作用機序により肺動脈性肺高血圧症患者さんにおいて以下の効果が期待できます。

  • 肺動脈圧の低下
  • 肺血管抵抗の減少
  • 心拍出量の増加

これらの効果は患者さんの呼吸機能と運動耐容能の改善につながる可能性があります。

タダラフィルの薬物動態学的特性

タダラフィルは他のPDE5阻害薬と比較して特異な薬物動態学的特性を有しています。

経口投与後の吸収は比較的速やかで最高血中濃度到達時間は約2時間とされています。

また半減期が長いことが特徴的で、これにより1日1回の投与で効果を維持することが可能となっています。

薬物動態パラメータ
最高血中濃度到達時間約2時間
半減期約17.5時間
生物学的利用能約80%
蛋白結合率約94%

タダラフィルの長い半減期は患者さんの服薬アドヒアランス向上にも寄与する要因となっています。

タダラフィルの選択性と安全性

タダラフィルはPDE5に対して高い選択性を示すことで他のホスホジエステラーゼアイソザイムへの影響が最小限に抑えられ、副作用のリスクが軽減されます。

PDE5以外のアイソザイムに対する選択性は以下の通りです。

  • PDE1に対して>10,000倍
  • PDE2、PDE3、PDE4に対して>5,000倍
  • PDE7、PDE8、PDE9、PDE10に対して>10,000倍

この高い選択性はタダラフィルの安全性プロファイルに寄与しています。

使用方法と注意点

投与方法と用量

アドシルカ(タダラフィル)は通常1日1回の経口投与で使用します。

成人の標準的な用量は40mgですが、患者さんの状態や反応に応じて医師が調整することがあります。

服用時間は毎日ほぼ同じ時間に設定することが望ましいです。

年齢標準用量
成人40mg/日
高齢者40mg/日(状態に応じて調整)
小児使用経験が限られているため慎重投与

食事の影響を受けにくい薬剤ですが、空腹時や食後のどちらかに統一して服用することをお勧めします。

服用における注意点

定期的な服用を継続することが治療効果を最大限に引き出すために重要です。

万が一服用を忘れた場合でも次の服用時間までに気づいた時点で速やかに服用してください。

ただし次の服用時間が近い際は絶対に2回分を同時に服用しないよう注意が必要です。

状況対応
服用忘れに気づいた時速やかに1回分を服用
次の服用時間が近い時飛ばして次の服用時間を待つ
2回分同時服用絶対に避ける

生活上の注意点

アドシルカ(タダラフィル)を服用中は日常生活においていくつかの点に気をつける必要があります。

アルコールとの併用は血圧低下作用を増強する可能性があるため過度の飲酒は避けるべきです。

またグレープフルーツジュースは本剤の血中濃度を上昇させる可能性があるため摂取を控えることが大切です。

生活習慣推奨事項
飲酒控えめにする
グレープフルーツ摂取避ける
運動主治医と相談の上 適度に行う
水分摂取十分に行う

モニタリングと経過観察

アドシルカ(タダラフィル)の治療効果を最大限に引き出すためには定期的な診察と検査が不可欠です。

主治医の指示に従い血圧測定や心エコー検査などを受けることで治療の進捗を適切に評価することができます。

症状の変化や気になる体調の変化があった際は速やかに主治医に相談することが重要です。

モニタリング項目頻度
血圧測定毎日
心エコー検査3-6ヶ月ごと
血液検査1-3ヶ月ごと
6分間歩行試験3-6ヶ月ごと

適応対象となる患者

肺動脈性肺高血圧症患者

アドシルカ(タダラフィル)は主に肺動脈性肺高血圧症(PAH)と診断された患者さんに処方される薬剤です。

PAHは肺動脈の血圧が異常に上昇する稀少な疾患であり、呼吸困難や疲労感 めまいなどの症状を引き起こします。

この疾患は原因によっていくつかのグループに分類されますが、アドシルカはそれらの多くのグループに対して効果が期待できます。

PAHの分類特徴
特発性PAH原因不明
遺伝性PAH遺伝子変異あり
薬剤誘発性PAH特定の薬剤使用歴あり
結合組織病関連PAH膠原病などの合併あり

WHO機能分類によるPAH重症度評価

アドシルカの使用を検討する際には患者さんの日常生活における制限の程度を4段階で評価するWHO機能分類によるPAHの重症度評価が重要です。

一般的にクラスⅡからⅢの患者さんがアドシルカの主な対象となりますが、個々の状況に応じて判断されます。

WHO機能分類症状
クラスⅠ日常生活に制限なし
クラスⅡ軽度の制限あり
クラスⅢ顕著な制限あり
クラスⅣ安静時にも症状あり

併存疾患を有する患者への配慮

PAH患者さんの中には様々な併存疾患を持つ方がいます。

アドシルカの使用を検討する際にはこれらの併存疾患の存在と重症度を慎重に評価する必要があります。

特に以下のような疾患がある場合は注意が必要です。

併存疾患アドシルカ使用時の注意点
冠動脈疾患心筋虚血のリスク評価
心不全心機能のモニタリング
腎機能障害用量調整の必要性
肝機能障害代謝への影響考慮

小児PAH患者への適応

小児PAH患者さんに対するアドシルカの使用経験は限られていますが、一部の症例では有効性が報告されています。

ただし小児への投与に際しては成長発達への影響や長期的な安全性について十分な検討が大切です。

小児患者さんへの投与を検討する際は専門医による慎重な判断が求められます。

年齢層アドシルカ使用の考慮事項
新生児安全性データ不足
乳幼児慎重な投与量設定
学童期成長への影響モニタリング
思春期成人用量への移行時期検討

妊娠可能年齢の女性患者への考慮

妊娠可能年齢の女性PAH患者さんにアドシルカを処方する際は特別な配慮が必要となります。

妊娠中のアドシルカ使用に関するデータは限られているため妊娠を希望する場合や妊娠が判明した場合は速やかに主治医に相談することが極めて重要です。

また 授乳中の安全性も確立されていないため授乳期間中の使用については個別に判断されます。

状況対応
妊娠希望時主治医と相談 リスク評価
妊娠判明時速やかに報告 投薬継続判断
授乳期個別に使用可否を検討

治療期間と予後

長期的な治療の必要性

アドシルカ(タダラフィル)による肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療は一般的に長期にわたる継続的な服用が必要です。

PAHは慢性的な進行性疾患で根治が難しいため症状のコントロールと病態の進行抑制を目的とした長期的な治療戦略が求められます。

多くの患者さんにおいてアドシルカの服用は数年から数十年に及ぶことがあり、生涯にわたって継続されるケースもあるでしょう。

治療期間特徴
短期(〜1年)初期効果の評価
中期(1〜5年)症状安定化の維持
長期(5年以上)病態進行の抑制
生涯継続的な症状管理

治療効果の経時的変化

アドシルカによる治療効果は服用開始後比較的早期から現れることが多いですが、その効果の持続性や程度には個人差があります。

治療開始後3〜6ヶ月で明らかな改善が見られるケースが多く、6分間歩行距離の延長や心エコー検査での肺動脈圧の低下などが観察されるのが一般的です。

長期的には症状の安定化や生活の質の向上が期待されますが、個々の患者さんの病態や併存疾患によってその経過は異なります。

期間期待される効果
1〜3ヶ月自覚症状の改善
3〜6ヶ月運動耐容能の向上
6ヶ月〜1年血行動態の改善
1年以上生命予後の改善

予後に影響を与える要因

アドシルカによる治療を受けているPAH患者さんの予後は様々な要因によって左右されます。

予後に大きな影響を与えることが知られているのは以下のような要因です。

  • 診断時の病期と重症度
  • 治療開始までの期間
  • 併存疾患の有無と程度
  • 治療への反応性
  • 患者さんの年齢と全身状態
予後良好因子予後不良因子
早期診断進行期での診断
若年高齢
併存疾患なし重度の併存疾患あり
治療反応性良好治療抵抗性

長期予後の改善傾向

近年アドシルカを含む新規治療薬の登場によりPAH患者さんの長期予後は着実に改善傾向にあります。

過去には5年生存率が50%程度とされていたPAHですが、現在では適切な治療により70%以上まで改善したという報告もあります。

時期5年生存率
1980年代約30%
1990年代約50%
2000年代約60%
2010年代以降70%以上

治療効果のモニタリングと予後予測

アドシルカによる治療効果を適切に評価し予後を予測するためには定期的かつ包括的な評価が大切です。

一般的に用いられる評価項目には以下のようなものがあります。

  • WHO機能分類の変化
  • 6分間歩行距離の推移
  • 血行動態パラメータの変化
  • 血液バイオマーカーの推移

これらの指標を総合的に判断することで、より正確な予後予測が可能となるのです。

評価項目評価頻度
WHO機能分類3〜6ヶ月毎
6分間歩行試験3〜6ヶ月毎
心エコー検査6〜12ヶ月毎
右心カテーテル検査状況に応じて

ある40代の女性PAH患者さんがアドシルカによる治療を10年以上継続されています。

診断当初はWHO機能分類Ⅲ度で6分間歩行距離も300m程度でしたが、現在ではⅡ度まで改善して500m以上歩けるようになりました。

この症例は長期的な治療継続と定期的な評価の重要性を示す好例といえるでしょう。

副作用やデメリット

一般的な副作用

アドシルカ(タダラフィル)は多くの患者さんに有効性を示す一方で様々な副作用が報告されています。

これらの副作用の多くは軽度から中等度で時間とともに改善することが多いのですが、患者さんの生活の質に影響を与える可能性があります。

頻度の高い副作用は次のようなものです。

副作用発現頻度
頭痛約15%
筋肉痛約10%
背部痛約8%
潮紅約7%
鼻閉約5%

これらの症状は一般的に軽度で多くの場合は時間とともに自然に軽減しますが、症状が持続したり生活に支障をきたしたりする際は医師に相談しましょう。

重大な副作用

アドシルカの使用に関連して稀ではありますが重大な副作用が発生する可能性があります。

これらの副作用は発生頻度は低いものの生命に関わる可能性があるため早期発見と適切な対応が不可欠です。

重大な副作用には 以下のようなものがあります。

副作用症状
突発性難聴急激な聴力低下 耳鳴り
視力障害視力低下 色覚異常
持続勃起症4時間以上持続する勃起
重度の血圧低下めまい 失神 冷や汗

上記の症状が現れた場合は直ちに医療機関を受診してください。

長期使用に伴うリスク

アドシルカの長期使用に関してはまだ十分なデータが蓄積されていない部分があります。

ただし現在までの研究や臨床経験から長期使用に伴ういくつかの潜在的なリスクが指摘されています。

長期使用に関連する可能性のある問題としては肝機能への影響・腎機能への影響・心血管系への影響などが考えられます。

長期使用のリスクモニタリング項目
肝機能障害肝機能検査
腎機能低下腎機能検査
心血管イベント心電図 血圧測定
網膜障害眼科検査

これらのリスクを最小限に抑えるためには定期的な検査と経過観察が重要です。

薬物相互作用によるデメリット

アドシルカは他の薬剤との相互作用によって効果の増強や減弱、副作用の増強などが生じる可能性があり、特に注意が必要なのは硝酸薬との併用です。

硝酸薬とアドシルカを併用すると重度の血圧低下を引き起こす危険性があるため絶対に避けなければなりません。

また、以下のような薬剤との相互作用にも注意が必要です。

  • 降圧薬(血圧低下作用の増強)
  • CYP3A4阻害薬(アドシルカの血中濃度上昇)
  • CYP3A4誘導薬(アドシルカの効果減弱)
相互作用のある薬剤影響
硝酸薬重度の血圧低下
α遮断薬血圧低下作用の増強
リオシグアト血圧低下作用の増強
ケトコナゾールアドシルカの血中濃度上昇

これらの相互作用を避けるためには服用中の全ての薬剤について医師や薬剤師に相談することが大切です。

生活上のデメリット

アドシルカの服用に伴い日常生活に影響を与える可能性のあるデメリットがいくつか存在します。

これらは薬剤の効果や安全性に直接関わるものではありませんが、患者さんの生活の質に影響を与える可能性があるため考慮しなければなりません。

生活上のデメリットとしては以下のようなものが挙げられます。

  • アルコール摂取の制限
  • グレープフルーツ製品の摂取制限
  • 定期的な通院や検査の必要性
  • 薬剤費用の経済的負担

これらのデメリットについては個々の患者さんの生活スタイルや価値観に応じて対応策を検討することが重要です。

代替治療薬

他のPDE5阻害薬への切り替え

アドシルカ(タダラフィル)による治療効果が十分でない場合には同じPDE5阻害薬クラスに属する他の薬剤への変更を検討することがあります。

このクラスにはシルデナフィルやバルデナフィルなどが含まれており、これらは作用機序が類似しているものの体内での代謝や半減期などの特性が異なります。

患者さんごとの状況や症状に応じてこれらの代替薬の使用が考慮されることがあるでしょう。

薬剤名一般名主な特徴
レバチオシルデナフィル短時間作用型
アドシルカタダラフィル長時間作用型
バイアグラシルデナフィルED適応(短時間作用型)

エンドセリン受容体拮抗薬の導入

PDE5阻害薬による治療効果が不十分な際には異なる作用機序を持つ薬剤クラスへの変更や追加が考慮されます。

その一つがエンドセリン受容体拮抗薬で、ボセンタン・アンブリセンタン・マシテンタンなどが代表的な薬剤です。

これらの薬剤は血管収縮物質であるエンドセリンの作用を阻害することで肺動脈の拡張を促進し、肺高血圧症の症状改善を図ります。

薬剤名一般名主な特徴
トラクリアボセンタン非選択的拮抗薬
ヴォリブリスアンブリセンタン選択的ETA拮抗薬
オプスミットマシテンタン組織親和性が高い

プロスタサイクリン誘導体の使用

プロスタサイクリン誘導体は肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療において極めて重要な役割を果たす薬剤クラスです。

これらの薬剤は血管拡張作用と血小板凝集抑制作用を持ち、PAHの病態改善に寄与します。

代表的な薬剤はエポプロステノール・ベラプロスト・イロプロストなどで、投与経路や半減期によって使い分けられます。

薬剤名一般名投与経路
フローランエポプロステノール持続静注
ベラサスベラプロスト経口
ベンテイビスイロプロスト吸入

可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬の選択

近年では新しい作用機序を持つ薬剤として可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬が登場しました。

この薬剤クラスの代表的な薬剤であるリオシグアトは一酸化窒素(NO)非依存的にsGCを刺激し、cGMPの産生を促進します。

結果として血管拡張作用を示してPAHの症状改善に寄与することが期待されています。

作用段階効果
sGC直接刺激cGMP産生増加
cGMP増加血管平滑筋弛緩
血管弛緩肺血管抵抗低下

併用療法の検討

アドシルカ単剤での効果が不十分な場合には異なる作用機序を持つ薬剤との併用療法が検討されることがあります。

併用療法で期待されるメリットは次のようなものです。

  • 異なる経路からの血管拡張効果
  • 相乗的な症状改善
  • 個々の薬剤の用量減量による副作用リスクの低減

一方で併用に伴う副作用のリスク増大や薬物相互作用にも注意が必要です。

併用パターン期待される効果
PDE5阻害薬 + ERA相補的な血管拡張
PDE5阻害薬 + プロスタサイクリン多面的な病態改善
ERA + プロスタサイクリン異なる経路からのアプローチ

非薬物療法の導入

薬物療法の効果が限定的である時に非薬物療法の導入や併用が検討されることがあります。

以下はPAHに対する非薬物療法です。

非薬物療法主な効果
酸素療法組織酸素化改善
運動療法(リハビリテーション)運動耐容能向上
栄養療法全身状態改善
心理的サポートQOL向上

上記のような非薬物療法は薬物療法と組み合わせることで総合的な治療効果の向上が期待できます。

外科的治療の選択肢

薬物療法や非薬物療法で十分な効果が得られない場合には外科的治療が選択肢となることがあります。

PAHに対する外科的治療は次の通りです。

外科的治療適応
肺移植重症で薬物療法無効例
心房中隔裂開術右心不全改善目的
肺動脈バルーン形成術慢性血栓塞栓性肺高血圧症

これらの治療法は症例に応じて慎重に検討され、専門的な医療機関での評価が大切です。

併用禁忌

硝酸薬との併用禁忌

アドシルカ(タダラフィル)と硝酸薬の併用は絶対に避けなければならない最も重要な禁忌事項です。

硝酸薬にはニトログリセリン・硝酸イソソルビド・亜硝酸アミルなどが含まれ、狭心症や心不全の治療に用いられることが多いです。

これらの薬剤とアドシルカを同時に服用すると血管拡張作用が増強され、急激かつ重度の血圧低下を引き起こす危険性が生じます。

硝酸薬の例主な適応症
ニトログリセリン狭心症発作時
硝酸イソソルビド狭心症予防
亜硝酸アミル狭心症発作時

NO供与剤との併用リスク

アドシルカは一酸化窒素(NO)供与剤との併用も避けるべきです。

NO供与剤にはニコランジル・ニトロプルシドナトリウムなどがあり、これらもアドシルカと同様に血管拡張作用を持ちます。

両者を併用すると相加的、あるいは相乗的に血管拡張作用が増強されて重篤な低血圧を引き起こす危険性があります。

NO供与剤作用機序
ニコランジルNOとKチャネル開口作用
ニトロプルシドナトリウム直接的NO供与

リオシグアトとの相互作用

リオシグアトは可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬で、肺動脈性肺高血圧症の治療に用いられます。

アドシルカとリオシグアトは異なる機序で作用しますが、共にcGMP濃度を上昇させる効果があります。

両剤の併用はcGMP濃度の過度な上昇をもたらして重度の血圧低下を引き起こす危険性があるため禁忌とされています。

薬剤作用機序
アドシルカPDE5阻害
リオシグアトsGC刺激

CYP3A4阻害薬との相互作用

アドシルカは主にCYP3A4という肝臓の酵素によって代謝されます。

CYP3A4を強力に阻害する薬剤とアドシルカを併用するとアドシルカの血中濃度が上昇し、副作用のリスクが高まる可能性がでできます。

特に注意が必要なCYP3A4阻害薬は以下のようなものです。

CYP3A4阻害薬薬効分類
ケトコナゾール抗真菌薬
リトナビル抗HIV薬
クラリスロマイシンマクロライド系抗生物質

α遮断薬との併用注意

α遮断薬は前立腺肥大症や高血圧の治療に用いられる薬剤ですが、アドシルカとの併用には注意しなければなりません。

両剤とも血管拡張作用を持つため、併用により血圧低下作用が増強される可能性があります。特に高齢者や血圧が不安定な患者さんでは注意深い観察が大切です。

α遮断薬の例主な適応症
ドキサゾシン高血圧 前立腺肥大症
タムスロシン前立腺肥大症
シロドシン前立腺肥大症

アルコールとの相互作用

アドシルカとアルコールの併用は血管拡張作用の増強により血圧低下のリスクを高める可能性があります。

特に大量飲酒は避けるべきで少量の飲酒でも注意が必要です。

アルコールによる相互作用のリスクは次の通りです。

  • 血圧低下の増強
  • めまいや立ちくらみの増加
  • 肝臓での薬物代謝への影響
アルコール摂取量リスク
少量(1杯程度)軽度の血圧低下
中等量(2-3杯)明らかな血圧低下
大量(4杯以上)重度の血圧低下 失神のリスク

アドシルカ(タダラフィル)の薬価

薬価

アドシルカ(タダラフィル)の薬価は1錠あたり980.5円となっています。

この価格は20mg錠の薬価であり、通常1日1回の服用が推奨されています。

薬価は定期的に見直されるため最新の情報については医療機関や薬局に確認することが大切です。

規格薬価
20mg錠980.5円

処方期間による総額

1週間分処方の場合での薬剤費は13,727 円(980.5円×1日2錠×7日分)となります。

1ヶ月処方にすると 58,830 円(980.5円×1日2錠×30日分)になります。

これらの金額は薬剤費のみであり、診察料や処方箋料などは含まれていません。

処方期間総額
1週間13,727円
1ヶ月58,830円

ジェネリック医薬品との比較

現時点でアドシルカ(タダラフィル)のジェネリック医薬品は様々な会社から販売されています。

ジェネリック医薬品が発売されると一般的に先発医薬品の価格の6〜7割程度になることが多いですが、翻訳では4割程度となります。

ジェネリック医薬品を使用すると、医療費の節減に繋がります。

医薬品タイプ価格比較
先発医薬品980.5円
ジェネリック医薬品398.5円

以上

参考にした論文