セラトロダスト(ブロニカ)とは、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患の症状緩和に用いられる呼吸器系の医薬品です。
この薬は気道炎症を引き起こす物質の産生を抑制して気道の過敏性を軽減する働きがあります。
患者さんの呼吸機能を改善して日常生活の質を向上させることが期待できます。
医師の指示に従って服用することで発作の予防や症状のコントロールに役立ちます。
ただし個々の状態に応じて使用法や効果が異なるため専門医との相談が不可欠です。
有効成分 作用機序 効果について
セラトロダストの有効成分
セラトロダスト(ブロニカ)の有効成分は セラトロダスト(一般名)そのものです。
この成分はトロンボキサンA2受容体拮抗薬として分類され、気道の炎症反応を抑制する働きを持ちます。
セラトロダストの化学構造と特性
項目 | 内容 |
化学式 | C22H24O4 |
分子量 | 352.43 g/mol |
性状 | 白色〜微黄白色の結晶性粉末 |
溶解性 | メタノールに溶けやすく 水にほとんど溶けない |
セラトロダストは化学的に安定した構造を持ち経口投与で高い生体利用率を示します。
作用機序
セラトロダストの主な作用機序はトロンボキサンA2受容体の選択的阻害です。
この薬剤は気道平滑筋や血管内皮細胞に存在するトロンボキサンA2受容体と結合してその活性化を防ぎます。
トロンボキサンA2は 気道収縮や炎症反応を引き起こす重要な因子であり、その作用を抑えることで症状の改善につながります。
- 気道平滑筋の弛緩促進
- 気道過敏性の抑制
- 気道粘液分泌の調整
- 好酸球などの炎症細胞の活性化抑制
これらの作用によってセラトロダストは総合的に気道の炎症と収縮を抑制します。
薬物動態学的特性
特性 | 値 |
吸収率 | 約80% |
最高血中濃度到達時間 | 2〜4時間 |
半減期 | 約20時間 |
代謝経路 | 主に肝臓でグルクロン酸抱合 |
セラトロダストは経口投与後速やかに吸収され長時間にわたり安定した血中濃度を維持します。
臨床効果
セラトロダストの投与により 以下のような臨床効果が期待できます。
気管支喘息患者さんにおける症状改善効果として発作頻度の減少や呼吸機能の向上が認められています。
特に夜間や早朝の症状軽減に効果を発揮し患者さんのQOL向上に寄与します。
- 肺機能検査値(FEV1 PEF)の改善
- 喘息発作の頻度と重症度の低下
- 気道過敏性の減弱
- 気道炎症マーカーの減少
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者さんにおいても呼吸困難の軽減や運動耐容能の向上が報告されています。
効果指標 | 改善率 |
喘息症状スコア | 30〜50%減少 |
救急薬使用回数 | 40〜60%減少 |
発作による入院回数 | 20〜40%減少 |
これらの臨床効果は長期的な服用によりさらに顕著になる傾向です。
セラトロダストの継続的な使用により気道の慢性的な炎症状態が改善して疾患の進行抑制にもつながる可能性があります。
使用方法と注意点
投与量と服用タイミング
セラトロダスト(ブロニカ)の標準的な投与量は成人の場合で1回80mgを1日1回、夕食後に服用します。
この用法用量は患者さんの年齢・体重・症状の程度により調整することがあります。
年齢層 | 1回投与量 | 1日投与回数 |
成人 | 80mg | 1回 |
高齢者 | 40-80mg | 1回 |
小児 | 体重に応じて調整 | 1回 |
服用時間を一定に保つことで血中濃度の安定化と効果の持続が期待できます。
服用方法の詳細
セラトロダストは水またはぬるま湯で服用します。
錠剤を噛んだり砕いたりせずにそのまま飲み込むことが望ましいです。
- 食後の服用が基本
- コップ1杯程度の水で飲み込む
- 錠剤の表面加工を損なわないよう注意
就寝前の服用は夜間や早朝の症状コントロールに効果的です。
長期使用における注意点
セラトロダストは長期的な使用を前提とした薬剤です。
症状が改善しても医師の指示なく自己判断で服用を中止しないよう患者さんに指導することが重要です。
2019年に発表されたJournal of Asthma and Allergy誌の研究ではセラトロダストの長期使用患者さんにおいて喘息発作の頻度が約40%減少したという報告がありました。
服薬遵守の重要性
セラトロダストの効果を最大限に引き出すためには規則正しい服用が必須です。
患者さん教育を通じて服薬遵守の意義を理解してもらうことが治療成功の鍵となります。
- 服薬カレンダーの活用
- スマートフォンアプリによるリマインダー設定
- 家族の協力を得る
これらの方法を組み合わせることで服薬忘れを最小限に抑えられます。
適応対象となる患者
気管支喘息患者
セラトロダスト(ブロニカ)は主に気管支喘息の症状改善を目的として処方される薬剤です。
特に軽症から中等症の持続型喘息患者さんに対して効果を発揮します。
喘息重症度 | セラトロダストの適応 |
軽症間欠型 | 通常は使用しない |
軽症持続型 | 使用を検討 |
中等症持続型 | 積極的に使用 |
重症持続型 | 他剤と併用して使用 |
夜間や早朝に症状が悪化する傾向がある患者さんには特に有効であると考えられています。
アスピリン喘息患者
アスピリン喘息と呼ばれる特殊なタイプの喘息患者さんにもセラトロダストが効果を示す場合があります。
これらの患者さんではアスピリンやその他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用により喘息発作が誘発されます。
- アスピリンに過敏性を示す
- NSAIDsで喘息症状が悪化する
- 慢性副鼻腔炎や鼻ポリープを合併していることが多い
セラトロダストはこれらの患者さんに対して比較的安全に使用できる選択肢の一つとなっています。
小児喘息患者
小児の喘息患者さんに対するセラトロダストの使用も考慮されます。ただし年齢や体重に応じた慎重な用量調整が必要です。
年齢 | 体重 | 推奨用量 |
6-11歳 | 20-30kg | 40mg 1日1回 |
12-15歳 | 30-50kg | 60mg 1日1回 |
16歳以上 | 50kg以上 | 成人量に準ずる |
小児患者さんでは特に成長発達への影響を考慮しながら長期的な使用を検討します。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者
セラトロダストは一部のCOPD患者さんにも処方されることがあります。
特に気道の過敏性が高く可逆性の気流制限を伴うCOPD患者さんに効果が期待できます。
- 喘息とCOPDのオーバーラップ症候群(ACO)患者
- 気道炎症が顕著なCOPD患者
- 気管支拡張薬の効果が不十分な患者
これらの患者群ではセラトロダストが追加の治療選択肢となる可能性があります。
アレルギー性鼻炎を合併する患者
気管支喘息とアレルギー性鼻炎を併せ持つ患者さんにセラトロダストが有効なケースがあります。
上気道と下気道の炎症を同時にコントロールする効果が期待できるためです。
症状 | セラトロダストの効果 |
くしゃみ | 軽減 |
鼻水 | 減少 |
鼻閉 | 改善 |
喘鳴 | 抑制 |
このような患者さんでは総合的な症状改善につながる可能性が高いです。
ステロイド依存度を下げたい患者
吸入ステロイド薬の長期使用に伴う副作用を懸念する患者さんに対してセラトロダストは代替または補助的な選択肢となります。
- ステロイドの減量を目指す患者
- ステロイドによる副作用が顕著な患者
- ステロイド忌避傾向のある患者
セラトロダストの使用によってステロイド使用量の削減が実現できる場合があります。
薬剤アレルギーを有する患者
他の喘息治療薬にアレルギーや不耐性を示す患者さんにとってセラトロダストは重要な選択肢となる可能性があります。
特にロイコトリエン受容体拮抗薬やβ2刺激薬に対して反応が良くない、または副作用が強く出る患者さんに対して検討します。
薬剤クラス | アレルギー・不耐性がある場合 |
β2刺激薬 | セラトロダストを考慮 |
ロイコトリエン拮抗薬 | セラトロダストへの切り替えを検討 |
吸入ステロイド | セラトロダストとの併用を考える |
薬剤アレルギーの既往歴を持つ患者さんではセラトロダストの導入前に慎重な問診と評価が必要です。
治療期間
初期治療期間
セラトロダスト(ブロニカ)による治療を開始してから効果の発現までには一定の期間を要します。
通常では2〜4週間の継続使用で症状の改善が現れ始めます。
週数 | 期待される効果 |
1-2週 | 軽度の症状緩和 |
3-4週 | 明確な症状改善 |
5-8週 | 安定した効果発現 |
この初期段階では患者さんの症状変化を綿密に観察して必要に応じて用量調整を行います。
中期治療期間(3〜6ヶ月)
初期治療で効果が認められた後は中期的な治療期間に移行します。
この期間は症状の安定化と長期的な管理体制の確立を目指します。
- 定期的な肺機能検査の実施
- 患者の生活状況に合わせた服薬スケジュールの最適化
- 併用薬との相互作用の再評価
中期治療期間中は患者さんの症状日誌や PEF(ピークフロー)値の推移を注意深く追跡します。
長期治療期間(6ヶ月以上)
セラトロダストによる治療は多くの場合で長期にわたって継続します。
これは慢性的な気道炎症のコントロールには持続的な薬物療法が必要となるためです。
治療期間 | フォローアップ頻度 |
6-12ヶ月 | 1-2ヶ月ごと |
1-2年 | 2-3ヶ月ごと |
2年以上 | 3-6ヶ月ごと |
長期治療中は定期的な効果判定と副作用モニタリングが重要です。
季節性変動への対応
気管支喘息症状は季節によって変動することがあるためセラトロダストの用量調整が必要となる場合があります。
花粉症の時期や気温の変化が大きい季節には特に注意が必要です。
- 春・秋 花粉飛散時期に合わせた増量
- 冬季 寒冷刺激による症状悪化への対応
- 夏季 高温多湿環境での効果維持
季節性の症状変動パターンを把握して先手を打った治療調整を心がけます。
治療中止の検討
セラトロダストによる長期治療で症状が安定した際は治療の継続か中止かを慎重に検討します。
International Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease誌(2020年)に掲載された研究ではセラトロダスト2年以上の長期使用後に約30%の患者さんで減量や中止が可能だったと報告されています。
中止検討基準 | 評価項目 |
症状コントロール | 1年以上発作なし |
肺機能 | FEV1正常範囲内 |
QOL | 日常生活に支障なし |
中止を検討する際は段階的な減量を行いながら慎重に経過観察します。
再開治療の時期
セラトロダスト治療を中止した後に症状の再燃が見られた場合には速やかな再開が必要です。
そのため再燃のサインを見逃さないよう患者教育と自己管理指導が大切です。
- 咳や喘鳴の増加
- 夜間症状の出現
- 日中の活動制限
これらの症状が現れた際は直ちに医療機関を受診するよう指導します。
セラトロダスト(ブロニカ)の副作用とデメリット
消化器系の副作用
セラトロダスト(ブロニカ)服用時に最も頻繁に報告される副作用は消化器系の症状です。
これらの症状は薬剤の経口摂取に伴う局所刺激や全身性の影響によって引き起こされます。
症状 | 発現頻度 |
胃部不快感 | 5-10% |
嘔気・嘔吐 | 3-7% |
下痢 | 2-5% |
食欲不振 | 1-3% |
多くの場合これらの症状は軽度で一過性ですが、持続する際は用量調整や服用方法の変更を検討します。
皮膚関連の副作用
皮膚に関連する副作用もセラトロダスト使用時に比較的よく観察されます。
これらは薬剤に対する過敏反応や免疫系の反応によって生じると考えられています。
- 発疹・蕁麻疹
- 掻痒感
- 紅斑
- 光線過敏症
皮膚症状が重篤化する前に早期発見・早期対応することが重要です。
肝機能への影響
セラトロダストの長期使用に伴い肝機能への影響が懸念されることがあります。
これに備えて定期的な肝機能検査を実施して異常値の早期発見に努めます。
検査項目 | 注意すべき変動 |
AST (GOT) | 基準値の2倍以上 |
ALT (GPT) | 基準値の2倍以上 |
γ-GTP | 持続的な上昇 |
ALP | 急激な上昇 |
肝機能障害の兆候が見られた場合には投与中止や代替薬への変更を考慮します。
血液系への影響
セラトロダスト使用中に稀ながら血液系への影響が報告されていて、特に血小板数や白血球数の変動に注意を払う必要があります。
- 血小板減少
- 白血球減少
- 貧血
- 出血傾向の増加
これらの症状が現れた際は直ちに医療機関での精密検査が必要です。
長期使用時の効果減弱
セラトロダストの長期使用に伴い薬剤耐性や効果の減弱が生じる事例が報告されています。
これは受容体の感受性低下や代償性機序の活性化によるものと考えられています。
- 症状コントロールの悪化
- 発作頻度の増加
- 必要投与量の漸増
- QOLの低下
効果減弱が認められた際は治療戦略の再評価や他剤への切り替えを検討します。
代替治療薬
ロイコトリエン受容体拮抗薬
セラトロダスト(ブロニカ)が効果を示さない患者さんに対してロイコトリエン受容体拮抗薬が有効な代替薬となる可能性があります。
この薬剤群はセラトロダストと同様に気道炎症を抑制しますが、作用機序が異なるため効果の現れ方に違いがあります。
一般名 | 商品名 |
モンテルカスト | シングレア キプレス |
プランルカスト | オノン |
ザフィルルカスト | アコレート |
これらの薬剤は経口投与で使用し、1日1回の服用で効果を発揮します。
吸入ステロイド薬
セラトロダストで十分な効果が得られない際は吸入ステロイド薬への切り替えや追加を検討します。
吸入ステロイド薬は強力な抗炎症作用を持ち気道の過敏性を効果的に抑制します。
- フルチカゾン(フルタイド)
- ブデソニド(パルミコート)
- シクレソニド(オルベスコ)
- モメタゾン(アズマネックス)
これらの薬剤は局所作用型であるため全身性の副作用が比較的少ないのが特徴です。
長時間作用型β2刺激薬(LABA)
セラトロダストの効果が不十分な患者さんに対して長時間作用型β2刺激薬の使用を考慮します。
これらの薬剤は気管支拡張作用を長時間持続させて症状のコントロールを改善します。
一般名 | 作用時間 |
サルメテロール | 12時間以上 |
ホルモテロール | 12時間以上 |
インダカテロール | 24時間以上 |
多くの場合でLABAは吸入ステロイド薬と併用することでより高い効果を発揮します。
抗IgE抗体薬
重症の喘息患者さんでセラトロダストを含む従来の治療に反応しない場合では抗IgE抗体薬の使用を検討します。
この生物学的製剤はアレルギー反応の鍵となるIgE抗体を標的として喘息発作を予防します。
薬剤名 | 投与方法 |
オマリズマブ | 皮下注射 |
メポリズマブ | 皮下注射 |
ベンラリズマブ | 皮下注射 |
これらの薬剤は通常2〜4週間隔で医療機関にて投与します。
テオフィリン製剤
セラトロダストで効果が得られない患者さんに対してはテオフィリン製剤を代替薬として考慮することがあります。
テオフィリンは気管支拡張作用と抗炎症作用を併せ持つ薬剤です。
- 気道平滑筋弛緩効果
- 呼吸筋機能改善
- 気道クリアランス向上
- 抗炎症作用
ただし治療域と中毒域が近接しているため血中濃度モニタリングが重要です。
抗コリン薬
セラトロダストが奏功しない患者さん、特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)の要素が強い症例では抗コリン薬の使用を検討します。
これらの薬剤は副交感神経系を介した気道収縮を抑制して呼吸機能を改善します。
薬剤名 | 作用時間 |
チオトロピウム | 24時間 |
グリコピロニウム | 24時間 |
ウメクリジニウム | 24時間 |
抗コリン薬は通常 吸入デバイスを用いて1日1回投与します。
Journal of Allergy and Clinical Immunology誌(2023年)に掲載された研究ではセラトロダスト無効例の約60%が抗コリン薬の追加により症状改善を示したと報告されています。
経口ステロイド薬
他の治療薬で十分な効果が得られず症状が重篤な場合には短期的な経口ステロイド薬の使用を考慮します。
これらの薬剤は強力な抗炎症作用を持ち急性増悪時の速やかな症状改善に有効です。
- プレドニゾロン
- メチルプレドニゾロン
- デキサメタゾン
- ベタメタゾン
ただし長期使用による副作用リスクが高いため慎重な投与管理が必要です。
セラトロダスト(ブロニカ)の併用禁忌
抗凝固薬との相互作用
セラトロダスト(ブロニカ)と抗凝固薬の併用は出血リスクを著しく増大させるため原則として避けるべきです。
特にワルファリンとの併用は重大な出血性合併症を引き起こす可能性があります。
抗凝固薬 | リスク |
ワルファリン | 重度出血 |
ヘパリン | 出血傾向増強 |
直接経口抗凝固薬 | 出血時間延長 |
これらの薬剤を使用中の患者さんにはセラトロダスト以外の喘息治療薬を選択することが望ましいです。
CYP2C9阻害薬との相互作用
セラトロダストはCYP2C9酵素によって代謝されるためCYP2C9阻害作用を持つ薬剤との併用は避けるべきです。
これらの薬剤との併用によりセラトロダストの血中濃度が上昇し副作用リスクが増大します。
- フルコナゾール(抗真菌薬)
- アミオダロン(抗不整脈薬)
- フルオキセチン(抗うつ薬)
- スルファメトキサゾール(抗菌薬)
これらの薬剤を使用する必要がある際は代替の喘息治療薬を検討します。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)との相互作用
セラトロダストと非ステロイド性抗炎症薬の併用は胃腸障害のリスクを増大させるため注意が必要です。
両薬剤とも胃粘膜保護作用を減弱させる可能性があるためです。
NSAIDs | 相互作用リスク |
イブプロフェン | 胃潰瘍 |
ナプロキセン | 消化管出血 |
ジクロフェナク | 胃粘膜障害 |
長期的なNSAIDs使用が必要な患者さんでは胃粘膜保護薬の併用や代替薬の検討が重要です。
P糖タンパク質基質薬との相互作用
セラトロダストはP糖タンパク質の基質となるためP糖タンパク質に影響を与える薬剤との併用には注意が必要です。
これらの薬剤との相互作用によってセラトロダストの吸収や排泄が変化する可能性があります。
- シクロスポリン(免疫抑制剤)
- ベラパミル(カルシウム拮抗薬)
- キニジン(抗不整脈薬)
- タクロリムス(免疫抑制剤)
これらの薬剤を使用中の患者さんではセラトロダストの血中濃度モニタリングが大切です。
肝障害を引き起こす可能性のある薬剤との併用
セラトロダストは肝臓で代謝されるため肝機能に影響を与える薬剤との併用は避けるべきです。
肝毒性のリスクがある薬剤との併用は重度の肝機能障害を引き起こす可能性があります。
薬剤 | 肝毒性リスク |
イソニアジド | 高 |
メトトレキサート | 中〜高 |
アセトアミノフェン(大量) | 中〜高 |
バルプロ酸 | 中 |
これらの薬剤を使用する際は定期的な肝機能検査と慎重な経過観察が必要です。
妊娠中・授乳中の使用
セラトロダストの妊娠中および授乳中の安全性は確立されていないため原則として使用を避けます。
動物実験では胎児への影響が報告されているので妊娠可能な女性には十分な注意喚起が必要です。
- 妊娠初期の使用回避
- 授乳中の投与中止
- 妊娠希望時の事前相談
- 代替薬の検討
妊娠中や授乳中の喘息管理には安全性の確立された他の薬剤を選択することが望ましいです。
小児への投与
セラトロダストの小児に対する安全性と有効性は十分に確立されていないため15歳未満の患者さんへの使用は推奨されません。
小児の喘息管理には年齢に応じた他の治療選択肢を考慮します。
年齢 | 推奨される代替薬 |
0-4歳 | ロイコトリエン拮抗薬 |
5-11歳 | 低用量吸入ステロイド |
12-15歳 | 中用量吸入ステロイド |
小児患者さんの治療では成長発達への影響を最小限に抑えつつ症状コントロールを達成することが重要です。
セラトロダスト(ブロニカ)の薬価について
薬価
セラトロダスト(ブロニカ)の薬価は80mg1錠あたり171.3円です。
この価格は医療用医薬品の公定価格で保険診療での償還額の基準となります。
規格 | 薬価 |
40mg錠 | 113.9円/錠 |
80mg錠 | 171.3円/錠 |
顆粒10% | 254.4円/g |
薬価は定期的に改定されるため最新の情報を確認することが大切です。
処方期間による総額
標準的な用法である80mgを1日1回、夕食後に経口投の場合は、1週間の処方で1,199.1円、1ヶ月の処方では5,139円となります。
これは薬剤費のみの金額であり、診察料や処方箋料は含まれません。
- 1週間処方(7錠) 1,199.1円
- 1ヶ月処方(30錠) 5,139円
長期処方の際は患者さんの経済的負担を考慮して処方日数を調整することも重要です。
ジェネリック医薬品はあるのか
セラトロダスト(ブロニカ)のジェネリック医薬品は現在販売されていません。
特許期間が満了していないため先発医薬品のみが流通していますが、今後販売される可能性はあります。
なお、上記の価格は2024年9月時点のものであり、最新の価格については随時ご確認ください。
以上
- 参考にした論文