塩酸イソプロテレノール(プロタノール)とは気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾患に用いられる治療薬です。
この薬剤は気管支拡張剤の一種で呼吸困難を素早く改善する効果があります。
β2受容体に作用して気道平滑筋を弛緩(しかん)させることで狭くなった気道を広げる働きがあります。
医療現場では発作時の緊急治療や重症患者さんの症状コントロールに使用されることが多いです。
ただし使用にあたっては副作用や相互作用にも注意が必要です。
塩酸イソプロテレノール(プロタノール)の有効成分と作用機序および効果
有効成分の特徴
塩酸イソプロテレノール(プロタノール)の有効成分はイソプロテレノールという交感神経刺激薬に分類される化合物です。
この物質は化学構造上カテコールアミン誘導体に属しアドレナリンと類似した性質を持っています。
特徴 | 説明 |
化学分類 | カテコールアミン誘導体 |
構造類似性 | アドレナリン |
受容体親和性 | β1およびβ2受容体 |
イソプロテレノールは生体内のアドレナリン受容体、特にβ1およびβ2受容体に高い親和性を示すことが知られています。
作用機序の詳細
本薬剤の主たる作用機序は気管支平滑筋に存在するβ2受容体を刺激することにあります。
β2受容体が活性化されると細胞内でcAMPと呼ばれる二次メッセンジャーの産生が促進されます。
cAMPの増加は細胞内カルシウムイオン濃度の低下をもたらし、その結果として平滑筋の弛緩が引き起こされるのです。
- β2受容体の刺激
- cAMP産生の促進
- 細胞内カルシウムイオン濃度の低下
- 平滑筋の弛緩
この一連の過程を経て気管支が拡張して呼吸が楽になるという効果が得られます。
気管支拡張作用
イソプロテレノールによる気管支拡張作用は非常に迅速で投与後数分以内に効果が現れることが多いです。
この即効性は急性発作時の症状緩和において重要な役割を果たします。
作用 | 発現時間 |
気管支拡張 | 数分以内 |
最大効果 | 15-30分 |
持続時間 | 1-2時間 |
気管支拡張効果は通常15-30分程度で最大に達しておよそ1-2時間持続します。
循環器系への影響
イソプロテレノールはβ1受容体も刺激するため心臓への作用も併せ持ちます。
具体的には心拍数の増加や心筋収縮力の増強などの変化が生じることがあります。
循環器系への作用 | 影響 |
心拍数 | 増加 |
心筋収縮力 | 増強 |
末梢血管 | 拡張 |
これらの作用は呼吸機能改善に寄与する一方で循環器系疾患を有する患者さんにおいては注意深いモニタリングを必要とします。
使用方法と注意点
投与経路と剤形
塩酸イソプロテレノール(プロタノール)は主に吸入剤として用いられ気管支拡張作用を迅速に発揮します。
剤形としては、錠剤と注射剤が存在しますが、本邦では、「気管支喘息の重症発作時」で使用が認められているのは注射剤のみとなります。
剤形 | 特徴 |
錠剤 | 各種の高度の徐脈、殊にアダムス・ストークス症候群における発作防止 |
注射剤 | 気管支喘息の重症発作時にも適応あり |
緊急時や重症例においては、注射剤による投与が一般的です。
用法・用量
成人における標準的な用法はイソプレナリン塩酸塩として0.2〜1.0mgを等張溶液200〜500mLに溶解し、心拍数や心電図をチェックしながら使用します。
緊急時素早い効果を必要とする場合には、イソプレナリン塩酸塩として0.2mgを等張溶液20mLに溶解し、その2〜20mLを静脈内(徐々に)、筋肉内又は皮下に投与することとなっています。
小児に対しては体重や年齢を考慮し、成人量を基準に減量して使用します。
投与時の注意事項
本薬を使用している間や使用後に、心電図上でST部分の上昇や下降を伴う心筋の血流不足(異型狭心症や非Q波心筋梗塞など)が発生する可能性があります。
そのため、心電図と血圧の測定を実施してください。胸の痛みが現れた場合は、すぐにニトログリセリンを投与するなど、適切な対応をしましょう。
また、心室性期外収縮、心室性頻拍、生命を脅かす不整脈の異常が見られた場合は、薬の使用を中止するか、量を減らす、または点滴の速度を遅くするなど、適切な対策を講じてください。
そして、β2刺激薬による血中カリウム濃度の低下作用は、キサンチン誘導体、ステロイド薬、利尿薬と一緒に使用すると強まる可能性があります。そのため、重度の喘息患者さんでは特に注意が必要です。さらに、血中の酸素が不足すると、カリウム濃度の低下が心臓のリズムに与える影響が強くなることがあります。このような状況では、血中のカリウム濃度を定期的に確認しなければなりません。
特殊な状況下での使用
妊婦や授乳婦への投与については治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用を検討します。
高齢者に使用する際は心機能や腎機能の低下を考慮して少量から開始して慎重に投与量を調整します。
患者さん群 | 投与時の留意点 |
妊婦 | リスク・ベネフィット評価 |
授乳婦 | 乳児への影響を考慮 |
高齢者 | 少量から開始し漸増 |
2019年にJournal of Asthmaで発表された研究では高齢喘息患者さんにおけるイソプロテレノールの使用が若年層と比較して副作用発現率が1.5倍高いことが報告されています。
このことからも高齢者への投与には特に注意を払わなければなりません。
塩酸イソプロテレノール(プロタノール)の適応対象患者
気管支喘息患者
塩酸イソプロテレノール(プロタノール)は主に気管支喘息の急性発作時に使用される薬剤です。
特に呼吸困難や喘鳴が突然悪化して速やかな気道拡張を必要とする患者さんに対して効果を発揮します。
症状 | 重症度 |
軽度の喘鳴 | 低 |
中等度の呼吸困難 | 中 |
重度の気道狭窄 | 高 |
重症度に関わらず急性増悪時には本剤の使用が考慮されますが特に中等度から重度の症状を呈する患者さんにおいて有用性が高いとされています。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者
COPDの急性増悪時にも塩酸イソプロテレノールは有効な選択肢となります。
特に気道閉塞が顕著で急速な症状改善が求められる状況下で使用されることが多いです。
- 適応となるCOPD患者の特徴
- 気流制限の増悪
- 呼吸困難の急激な悪化
- 酸素飽和度の低下
これらの症状が急速に進行する患者さんに対して本剤は即効性のある気管支拡張効果を提供します。
心停止患者
塩酸イソプロテレノールは心停止時の蘇生処置においても使用されることがあります。
特に徐脈や房室ブロックによる心停止でアトロピンが無効な場合に考慮されます。
心停止の原因 | イソプロテレノールの役割 |
徐脈性不整脈 | 心拍数増加 |
房室ブロック | 伝導改善 |
ただし使用に際しては患者さんの基礎心疾患や他の合併症を十分に考慮する必要があります。
術後低血圧患者
一部の手術後に生じる遷延性低血圧に対して塩酸イソプロテレノールが使用されることがあります。
特に心臓手術後や大動脈手術後など循環動態が不安定な患者さんに対して考慮されます。
- 適応となる術後患者の特徴
- 持続的な低血圧
- 末梢血管抵抗の低下
- 心拍出量の減少
これらの状態に対して本剤は心収縮力増強と末梢血管拡張作用により血行動態の改善を図ります。
先天性心疾患患者
特定の先天性心疾患、特に肺血流が減少している疾患において塩酸イソプロテレノールが使用されることがあります。
ファロー四徴症などの患者さんで低酸素発作時に本剤の投与が考慮されます。
疾患名 | イソプロテレノールの効果 |
ファロー四徴症 | 肺血流増加 |
肺動脈狭窄 | 右室流出路拡張 |
治療期間
短期的使用の原則
塩酸イソプロテレノール(プロタノール)は主に急性症状の緩和を目的とした即効性の薬剤です。
この特性から長期的な継続使用よりも症状発現時の短期的な使用が一般的です。
使用目的 | 推奨期間 |
急性発作時 | 数分〜数時間 |
予防的使用 | 単回使用 |
急性発作時には症状が改善するまで数分から数時間の間は必要に応じて反復使用することがあります。
長期使用のリスク
塩酸イソプロテレノールを長期にわたって頻繁に使用すると薬剤耐性や反跳性の気道収縮を引き起こす可能性があります。
これらの理由から継続的な使用は通常推奨されず、代わりに吸入ステロイド剤などの長期管理薬の使用が優先されます。
- 長期使用のリスク
- 薬剤耐性の発現
- 反跳性気道収縮
- β受容体の減少
2018年のEuropean Respiratory Journalに掲載された研究では3ヶ月以上のイソプロテレノール連続使用患者さんでβ2受容体の感受性低下が観察されたと報告されています。
治療期間の個別化
塩酸イソプロテレノールの使用期間は患者さんの病態や重症度 他の治療薬との併用状況などを考慮して個別に決定します。
軽症例では発作時の頓用にとどめ、中等症以上では長期管理薬と組み合わせた間欠的使用を検討します。
重症度 | 使用パターン |
軽症 | 頓用のみ |
中等症 | 間欠的使用 |
重症 | 定期的評価下で使用 |
いずれの場合も定期的な症状評価と肺機能検査を行って使用頻度や期間の適切性を判断することが重要です。
治療効果のモニタリング
塩酸イソプロテレノールの治療期間中は効果と副作用のバランスを慎重に観察する必要があります。
短期的には症状改善度や肺機能の変化 長期的には生活の質(QOL)の向上や増悪頻度の減少などを指標として評価します。
- モニタリング項目
- 症状スコア
- ピークフロー値
- 救済薬の使用頻度
- 日常生活活動度
これらの指標を総合的に判断したうえで必要に応じて治療内容や期間の調整を行います。
治療中止の判断
塩酸イソプロテレノールの使用中止を検討する際は段階的な減量や他剤への切り替えを慎重に行う必要があります。
急激な中止は症状の悪化を招く恐れがあるため徐々に使用頻度を減らしながら経過を観察します。
中止検討のタイミング | 対応 |
症状安定期 | 使用頻度の漸減 |
副作用出現時 | 代替薬への切り替え |
長期管理薬で十分な効果 | 頓用としての位置づけ |
中止後も一定期間は再発や増悪に注意を払って必要に応じて再開できる体制を整えておくことが大切です。
塩酸イソプロテレノール(プロタノール)の副作用とデメリット
循環器系への影響
塩酸イソプロテレノールは強力なβ受容体刺激作用を持つため心血管系に顕著な影響を及ぼします。
頻脈・不整脈・血圧変動などの症状が出現する可能性があり、特に心疾患を有する患者さんでは注意が必要です。
副作用 | 発現頻度 |
動悸 | 高頻度 |
頻脈 | 中等度 |
不整脈 | 低頻度 |
これらの症状は薬剤の作用機序に直接関連するため完全に回避することは困難ですが用量調整により管理することが重要です。
呼吸器系への影響
本来気管支拡張作用を目的とする薬剤ですが逆説的に気道過敏性を亢進させる気管支けいれんを引き起こすことがあります。
この現象は薬剤の長期使用や過量投与時に生じやすく喘息症状の悪化につながる恐れがあります。
- 呼吸器系副作用
- 咳嗽の増強
- 気道分泌物の増加
- 気道過敏性の亢進
2019年のRespiratory Medicineに掲載された研究ではイソプロテレノールの3ヶ月以上の連続使用患者さんの約15%に気管支けいれんが観察されたと報告されています。
代謝系への影響
塩酸イソプロテレノールはβ受容体を介して代謝にも影響を与えます。
血糖値の上昇やカリウム値の低下などの電解質異常を引き起こす可能性があり、糖尿病患者さんや腎機能障害患者さんでは特に注意を要します。
代謝影響 | リスク因子 |
高血糖 | 糖尿病既往 |
低カリウム血症 | 腎機能障害 |
これらの代謝変化は通常一過性ですが頻回投与や長期使用では持続的な影響を及ぼす可能性があります。
神経系への影響
中枢神経系への作用として振戦・頭痛・めまいなどの症状が報告されています。
これらの症状は患者さんのQOLを低下させる要因となりうるため発現時には速やかな対応が必要です。
- 神経系副作用
- 手指の震え
- 頭痛
- めまい感
高齢者ではこれらの症状がより顕著に現れる傾向があるので投与量や頻度の調整が重要となります。
長期使用による耐性形成
塩酸イソプロテレノールの継続的な使用はβ受容体の脱感作や下方制御を引き起こし薬剤効果の減弱につながる可能性があります。
この現象は治療効果の低下だけでなく症状コントロールの悪化や増悪リスクの上昇をもたらします。
耐性形成の影響 | 臨床的意義 |
効果減弱 | 症状悪化 |
受容体減少 | 増悪リスク上昇 |
耐性形成を回避するためには長期管理薬との適切な併用や間欠的使用法の採用が大切です。
代替治療薬
短時間作用型β2刺激薬 (SABA)
塩酸イソプロテレノールが効果を示さない状況ではまず同じ薬理作用を持つ他の短時間作用型β2刺激薬への切り替えを検討します。
サルブタモールやレボサルブタモールなどがこのカテゴリーに含まれ即効性と高い有効性を特徴とします。
薬剤名 | 作用時間 |
サルブタモール | 4-6時間 |
レボサルブタモール | 6-8時間 |
これらの薬剤は塩酸イソプロテレノールと同様に気管支拡張作用を持ちますが、受容体選択性や持続時間に違いがあります。
長時間作用型β2刺激薬 (LABA)
即効性は劣るものの、より持続的な気管支拡張効果を得たい場合には長時間作用型β2刺激薬への移行を考慮します。
ホルモテロールやサルメテロールなどが代表的な薬剤で1日1-2回の吸入で24時間の症状コントロールが期待できます。
- LABAの特徴
- 持続的な気管支拡張効果
- 症状の日内変動の抑制
- 夜間症状の改善
これらの薬剤は単独使用よりも吸入ステロイド薬と併用することで更に高い有効性を示すことが知られています。
抗コリン薬
β2刺激薬とは異なる作用機序を持つ抗コリン薬も有効な代替選択肢となります。
短時間作用型のイプラトロピウム臭化物や長時間作用型のチオトロピウム臭化物などが代表的です。
薬剤名 | 作用機序 |
イプラトロピウム | ムスカリン受容体遮断 |
チオトロピウム | 長時間作用型ムスカリン拮抗薬 |
これらは副交感神経を遮断することで気管支を拡張させてβ2刺激薬に反応しにくい患者さんでも効果を発揮することがあります。
テオフィリン製剤
キサンチン誘導体であるテオフィリンは気管支拡張作用に加え抗炎症作用も有する薬剤です。
経口薬としての利便性が高く持続性のある効果が特徴ですが、治療域が狭いため血中濃度モニタリングが重要です。
- テオフィリンの作用
- 気管支平滑筋弛緩
- 気道炎症抑制
- 呼吸筋機能改善
副作用の観点から使用頻度は減少傾向にありますが他剤が無効な場合の選択肢として依然重要な位置を占めています。
吸入ステロイド薬 (ICS)
気道の慢性炎症が背景にある場合は吸入ステロイド薬の導入や増量が効果的な戦略となります。
ブデソニドやフルチカゾンなどが代表的な薬剤で長期的な症状コントロールと増悪予防に優れた効果を示します。
g薬剤名 | 抗炎症効果 |
ブgデソニド | 強力 |
フルチカゾン | 非常に強力 |
2020年のNew England Journal of Medicineに掲載された研究ではICSとLABAの併用療法が単剤使用に比べて喘息増悪リスクを40%低減させたと報告されています。
ロイコトリエン受容体拮抗薬 (LTRA)
気道炎症のメディエーターであるロイコトリエンの作用を抑制する薬剤群です。
モンテルカストやザフィルルカストなどが含まれていて経口薬としての利便性が高く、特にアスピリン喘息患者さんに有効とされています。
これらは単独でも一定の効果を示しますが吸入ステロイド薬との併用でより高い有効性を発揮します。
塩酸イソプロテレノール(プロタノール)の併用禁忌
β遮断薬との相互作用
塩酸イソプロテレノールはβ受容体刺激薬でありβ遮断薬との併用は薬理学的に相反する作用を示すため原則として避けるべきです。
この組み合わせは互いの薬効を打ち消し合い結果として気管支拡張作用の減弱や重篤な場合には気管支収縮を引き起こす可能性があります。
β遮断薬 | 禁忌理由 |
プロプラノロール | 非選択的β遮断 |
アテノロール | β1選択性あるが注意 |
特に非選択的β遮断薬は β2受容体も遮断するためイソプロテレノールとの併用リスクが高くなります。
MAO阻害薬との相互作用
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬はイソプロテレノールの代謝を阻害し体内濃度を上昇させる作用があります。
この相互作用により頻脈や不整脈 血圧上昇などの副作用リスクが著しく高まるため併用は避けるべきです。
- MAO阻害薬との併用リスク
- 重度の頻脈
- 危険な不整脈
- 急激な血圧上昇
これらの症状は生命を脅かす可能性があるため厳重な注意が必要です。
三環系抗うつ薬との相互作用
三環系抗うつ薬はイソプロテレノールの作用を増強する可能性があり、併用することで心血管系への過度の負荷を招く恐れが生じます。
特にノルエピネフリンの再取り込み阻害作用を持つ薬剤では相乗効果により頻脈や不整脈のリスクが上昇します。
三環系抗うつ薬 | 相互作用リスク |
イミプラミン | 頻脈増強 |
アミトリプチリン | 不整脈誘発 |
これらの薬剤との併用時は心機能のモニタリングを慎重に行う必要があります。
他のβ刺激薬との併用
イソプロテレノールと他のβ刺激薬(短時間作用型および長時間作用型)の併用は過剰な刺激を引き起こす危険性があります。
この組み合わせは副作用のリスクを増大させ特に心血管系への悪影響が懸念されます。
- 併用によるリスク増大
- 重度の頻脈
- 血圧変動
- 低カリウム血症
これらの症状は患者さんの状態を著しく悪化させる可能性があるため慎重な判断が求められます。
キサンチン誘導体との相互作用
テオフィリンなどのキサンチン誘導体はイソプロテレノールと併用することで相加的な作用を示し副作用リスクを増大させる可能性があります。
両剤とも気管支拡張作用を持つため併用すると効果が増強される一方で心血管系への負担も増加します。
キサンチン誘導体 | 併用時の注意点 |
テオフィリン | 頻脈リスク上昇 |
アミノフィリン | 不整脈発生率増加 |
特に高用量での併用や腎機能障害患者さんでの使用には細心の注意を払う必要があります。
利尿薬との相互作用
ループ利尿薬やチアジド系利尿薬とイソプロテレノールの併用は電解質バランスの乱れを引き起こす可能性があります。
特に低カリウム血症のリスクが高まり、これにより不整脈発生の危険性が増大します。
利尿薬 | 相互作用 |
フロセミド | カリウム低下 |
ヒドロクロロチアジド | 電解質異常 |
2019年のJournal of Clinical Pharmacologyに掲載された研究ではイソプロテレノールと利尿薬の併用患群では非併用群と比較して低カリウム血症の発生率が2.5倍高かったと報告されています。
これらの薬剤との併用時には定期的な電解質モニタリングが重要です。
塩酸イソプロテレノール(プロタノール)の薬価
薬価
塩酸イソプロテレノール(プロタノール)の薬価は剤形や含量によって異なります。
錠剤15mgの場合は1錠あたり21.3円であり、注射液0.2mgは196円/管・1mgは1,001円/管となっています。
剤形 | 含量 | 薬価 |
錠剤 | 15mg | 21.3円/錠 |
注射液 | 0.2mg | 196円/管 |
注射液 | 1mg | 1,001円/管 |
処方期間による総額
管支喘息の重症発作時の通常の使用量を考慮すると、基本的には注射液0.2mgを1管を等張溶液200〜500mLに溶解し、心拍数又は心電図をモニターしながら注入するため、1日196円となります。。
(長期間使用することはないですが)1週間の処方では1,372円、1ヶ月では5,880円程度になります。
ただし実際の費用は症状や使用頻度により変動するため個別の状況に応じて医師に相談することが重要です。
なお、上記の価格は2024年9月時点のものであり、最新の価格については随時ご確認ください。
以上
- 参考にした論文