フルコナゾール(ジフルカン)とは真菌による感染症の治療に用いられる抗真菌薬です。
この薬剤はカンジダ属やクリプトコッカス属などの病原性真菌に対して強力な効果を発揮します。
呼吸器系の真菌感染症、特に肺や気管支に発生するカビの増殖を抑制して症状の改善を促進します。
フルコナゾール(FLCZ)は経口投与や静脈内投与が可能で体内での吸収性が高く、各組織へ広く分布するのが特徴です。
医療現場ではその有効性と安全性から呼吸器真菌症の第一選択薬として広く使用されています。
有効成分と作用機序、効果
フルコナゾールの化学構造と特性
フルコナゾール(FLCZ)はトリアゾール系の抗真菌薬であり、その化学構造が有効性の鍵です。
この薬剤は水溶性が高く体内での吸収率が優れているため効果的に真菌感染症と戦うことができます。
分子量は約300で生体膜を通過しやすい特徴を持っています。
特性 | 詳細 |
化学系統 | トリアゾール系 |
水溶性 | 高い |
分子量 | 約300 |
作用機序エルゴステロール合成阻害
フルコナゾールの主な作用機序は真菌細胞膜の主要成分であるエルゴステロールの合成を阻害することです。
具体的にはラノステロールの14α-脱メチル化を阻害しエルゴステロールの生合成を妨げます。
これにより真菌細胞膜の構造と機能が損なわれ最終的に真菌の増殖が抑制されます。
- エルゴステロール合成の阻害
- ラノステロールの14α-脱メチル化の阻害
- 真菌細胞膜の構造と機能の破壊
広範囲な抗真菌スペクトル
フルコナゾールは多くの病原性真菌に対して効果を発揮します。
カンジダ属やクリプトコッカス属などの酵母様真菌に特に強い活性を示すほかアスペルギルス属などの糸状菌にも作用します。
この広範囲な抗真菌スペクトルにより様々な真菌感染症の治療に応用できます。
効果的な真菌 | 感染部位 |
カンジダ属 | 口腔・食道・膣 |
クリプトコッカス属 | 肺・髄膜 |
アスペルギルス属 | 肺・副鼻腔 |
組織移行性と持続性
フルコナゾールは優れた組織移行性を持ち体内の様々な部位に到達します。
脳脊髄液や尿中にも高濃度で移行するため髄膜炎や尿路感染症にも効果を発揮します。
また半減期が長いという特徴があり、1日1回の投与で十分な血中濃度を維持できるのが利点です。
臨床効果と適応症
フルコナゾールは 様々な真菌感染症に対して高い臨床効果を示します。
カンジダ症では口腔カンジダ症・食道カンジダ症・膣カンジダ症などの治療に用いられます。
クリプトコックス症に対しても効果的で特に髄膜炎の治療や予防に重要な役割を果たします。
- 全身性真菌感染症の治療
- 深在性真菌症の予防
- 免疫不全患者における真菌感染症の管理
適応症 | 投与経路 |
口腔カンジダ症 | 経口 |
食道カンジダ症 | 経口・静注 |
クリプトコックス髄膜炎 | 静注 |
使用方法と注意点
投与経路と用法
フルコナゾール(FLCZ)は経口剤と注射剤の両方で使用できます。
経口剤は錠剤・カプセル剤・懸濁液として提供され通常1日1回の服用で効果を発揮します。
注射剤は静脈内投与で行い重症患者さんや経口摂取が困難な患者さんに用います。
投与経路 | 剤形 | 投与頻度 |
経口 | 錠剤・カプセル | 1日1回 |
経口 | 懸濁液 | 1日1回 |
静脈内 | 注射剤 | 1日1回 |
用量設定と調整
フルコナゾールの用量は感染の種類や重症度、患者さんの状態によって異なります。
通常成人では50〜400mgの範囲で設定しますが重症例では800mgまで増量することがあります。
腎機能障害がある患者さんでは薬物の排泄が遅延する可能性があるため用量調整が必要になります。
- 感染の種類と重症度に応じた用量設定
- 腎機能に基づく用量調整
- 体重に応じた小児用量の計算
特殊な患者群での使用
妊婦や授乳婦・小児・高齢者におけるフルコナゾールの使用には特別な配慮が必要です。
妊婦への投与は原則として避けますが利益が危険性を上回ると判断される場合に限り使用を考慮します。
小児では体重に応じた用量調整を行い、高齢者では腎機能や肝機能に応じて慎重に投与します。
患者群 | 注意点 |
妊婦 | 原則禁忌 |
授乳婦 | 授乳中止を考慮 |
小児 | 体重に応じた用量調整 |
高齢者 | 腎機能に応じた用量調整 |
2019年に発表されたメタ分析研究ではフルコナゾールの予防投与が侵襲性カンジダ症のリスクを有意に低下させることが示されました。
この結果は特に免疫不全患者さんや重症患者さんにおける予防的使用の有効性を裏付けるものです。
適応対象となる患者
カンジダ症患者
フルコナゾールは様々な部位におけるカンジダ症の患者さんに対して効果的な治療選択肢です。
口腔カンジダ症に苦しむ患者さんや 食道カンジダ症を発症した方々にとってこの薬剤は症状改善に寄与します。
膣カンジダ症の再発を繰り返す女性患者さんにもフルコナゾールは有効な治療手段となり得ます。
カンジダ症の種類 | 主な症状 |
口腔カンジダ症 | 白苔・口内痛 |
食道カンジダ症 | 嚥下困難・胸やけ |
膣カンジダ症 | かゆみ・帯下増加 |
深在性真菌症患者
フルコナゾールは深在性真菌症、特にクリプトコックス症に罹患した患者さんにとって重要な治療薬です。
クリプトコックス髄膜炎の患者さんには長期的な治療が必要となるためフルコナゾールの使用が検討されます。
全身性カンジダ症や播種性カンジダ症などの重症真菌感染症患者さんにもFLCZは有効性を発揮します。
- クリプトコックス髄膜炎
- 全身性カンジダ症
- 播種性カンジダ症
免疫不全患者
HIV感染症やAIDS患者さんなど免疫機能が低下している方々は真菌感染症のリスクが高くフルコナゾールの投与対象となることが多いです。
化学療法を受けているがん患者さんや臓器移植後の免疫抑制療法を受けている患者さんもフルコナゾールによる真菌感染症の予防や治療が考慮されます。
これらの患者さんには長期的な予防投与が必要となる場合があります。
免疫不全の原因 | フルコナゾールの役割 |
HIV/AIDS | 日和見感染予防・治療 |
化学療法 | 真菌感染予防 |
臓器移植後 | 免疫抑制下での予防 |
重症患者・集中治療室患者
集中治療室(ICU)に入室している重症患者さんは侵襲性真菌感染症のリスクが高くなるためフルコナゾールの予防投与や治療が検討されます。
長期の人工呼吸器管理を受けている患者さんや広域抗菌薬を使用している方々も真菌感染症のリスクが高まるためフルコナゾールの使用が考慮されます。
中心静脈カテーテル関連血流感染のリスクがある患者さんにもFLCZは有効です。
皮膚真菌症患者
フルコナゾールは一部の難治性の皮膚真菌症患者さんにも使用されます。
足白癬(水虫)や体部白癬などの表在性真菌症が通常の外用薬で改善しない場合には経口フルコナゾールの使用が検討されます。
爪真菌症(爪白癬)の患者さんにも長期的な内服療法としてフルコナゾールが選択されることがあります。
皮膚真菌症 | 一般的な症状 |
足白癬 | 足の皮膚の痒み・亀裂 |
体部白癬 | 環状の発疹・痒み |
爪真菌症 | 爪の肥厚・変色 |
特殊な患者群
新生児や小児の真菌感染症患者さんにもフルコナゾール(ジフルカン)は使用されます。
妊婦さんへの投与は原則として避けますが母体の利益が危険性を上回ると判断された際には慎重に使用を検討します。
高齢の患者さんでは腎機能や肝機能に応じて用量調整が必要となるため個別の評価が大切です。
- 新生児カンジダ症
- 小児の真菌感染症
- 高齢者の真菌感染症
治療期間
カンジダ症の治療期間
フルコナゾールによるカンジダ症の治療期間は感染部位や重症度によって大きく異なります。
口腔カンジダ症では通常7〜14日間の投与で十分な効果が得られますが、免疫不全患者さんでは長期化することがあります。
食道カンジダ症の場合は14〜21日間の投与が一般的ですが症状の改善に応じて延長することもあります。
感染部位 | 標準的な治療期間 |
口腔 | 7〜14日 |
食道 | 14〜21日 |
膣 | 1〜3日 |
深在性真菌症の長期治療
クリプトコックス髄膜炎などの深在性真菌症ではフルコナゾールの長期投与が必要になります。
初期治療後最低8週間の維持療法を行い、その後も再発予防のため数ヶ月から1年以上の継続投与を要することがあります。
HIV患者さんのクリプトコックス髄膜炎では免疫機能が回復するまで継続投与を行うのが一般的です。
- 初期治療 2週間
- 維持療法 8週間以上
- 再発予防 数ヶ月〜1年以上
予防投与の期間設定
免疫不全患者さんに対する真菌感染症予防目的でのフルコナゾール投与は患者さんの状態に応じて長期間に及ぶことがあります。
造血幹細胞移植患者さんでは移植後100日間程度の予防投与が推奨されますが慢性GVHD(移植片対宿主病)を発症した患者さんではさらに長期の投与が必要になることがあります。
HIV患者さんにおける予防投与はCD4陽性T細胞数が一定レベルまで回復するまで継続します。
患者群 | 予防投与期間 |
造血幹細胞移植後 | 約100日間 |
慢性GVHD合併 | 個別に判断 |
HIV患者 | CD4値に応じて |
皮膚真菌症の治療期間
爪真菌症(爪白癬)に対するフルコナゾールの治療期間は他の真菌感染症と比較して長期になります。
手指の爪真菌症では3〜6ヶ月、足趾の爪真菌症では6〜12ヶ月の投与が必要になることがあります。
皮膚カンジダ症や足白癬(水虫)では2〜4週間の投与で効果が得られますが症状に応じて延長を検討します。
小児患者の治療期間
新生児カンジダ症ではフルコナゾールの投与期間を慎重に設定する必要があります。
全身性カンジダ症の場合では最低2週間の投与を行い血液培養陰性確認後さらに1週間の投与を継続するのが一般的です。
小児の侵襲性真菌感染症では成人と同様に長期投与が必要になることがあり個々の症例に応じて判断します。
小児の感染症 | 推奨投与期間 |
新生児カンジダ血症 | 2週間+α |
小児侵襲性真菌症 | 個別に判断 |
治療期間の調整要因
フルコナゾールの治療期間は患者さんの臨床症状や検査結果に基づいて適宜調整します。
血液検査での炎症マーカーの推移や画像検査での病変の変化を参考に投与期間の延長や短縮を検討します。
免疫機能の回復状況や基礎疾患の管理状態も治療期間決定の重要な因子となります。
- 臨床症状の改善度
- 炎症マーカーの推移
- 画像所見の変化
- 免疫機能の回復状況
2019年に発表された大規模な多施設共同研究ではクリプトコックス髄膜炎患者さんに対するフルコナゾールの長期維持療法が再発リスクを低下させることが示されました。
この研究結果は特に免疫不全患者さんにおける長期投与の重要性を裏付けるものです。
フルコナゾールの治療期間設定は感染症の種類や患者さんの状態によって大きく異なり、個別化された対応が大切です。
医師は患者さんの全身状態や感染の程度を総合的に評価して最適な投与期間を決定する必要があります。
フルコナゾール(FLCZ)の副作用とデメリット
消化器系副作用
フルコナゾールの服用により消化器系の不快な症状が出現することがあります。
患者さんの中には吐き気・嘔吐・腹痛・下痢などを経験する方がいます。
これらの症状は一般的に軽度であり薬の継続使用とともに改善することが多いですが、重度の場合は医師の判断で投与中止や用量調整を検討します。
症状 | 頻度 |
吐き気 | 比較的多い |
嘔吐 | やや少ない |
腹痛 | 中程度 |
下痢 | 比較的多い |
肝機能への影響
フルコナゾールは肝臓で代謝される薬剤であるため肝機能に影響を与える可能性があります。
治療中は定期的な肝機能検査を実施してAST(GOT)やALT(GPT)などの肝酵素の上昇に注意を払う必要があります。
重度の肝機能障害が見られた場合は投与中止や代替薬への変更を検討します。
- 肝酵素上昇(AST ALT)
- 黄疸
- 劇症肝炎(極めてまれ)
皮膚反応と過敏症
一部の患者さんではフルコナゾール投与後に皮膚反応が現れることがあります。
軽度の発疹から重度の薬疹まで様々な皮膚症状が報告されています。
特にスティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死融解症などの重篤な皮膚反応には迅速な対応が求められます。
皮膚反応 | 重症度 |
軽度発疹 | 軽症 |
蕁麻疹 | 中等症 |
SJS/TEN | 重症 |
心臓への影響とQT延長
フルコナゾールは特に高用量投与時にQT間隔の延長を引き起こす可能性があります。
QT延長は重篤な不整脈のリスクを高めるため心電図モニタリングが重要です。
特に心疾患の既往がある患者さんや他のQT延長を引き起こす薬剤を併用している場合は注意が必要です。
耐性菌出現のリスク
長期間のフルコナゾール使用は耐性真菌の出現リスクを高める可能性があります。
特に予防投与や繰り返し使用する患者さんではこの点に注意が必要です。
耐性菌の出現は将来的な治療オプションを制限する可能性があるため慎重な使用が求められます。
- フルコナゾール耐性カンジダ属
- 交差耐性を示す他のアゾール系抗真菌薬
- 二次的な難治性真菌感染症
2020年に発表された大規模コホート研究ではフルコナゾールの長期予防投与を受けた造血幹細胞移植患者さんに耐性カンジダ属の出現率が高かったことが報告されました。
この結果は予防投与の利益とリスクのバランスを慎重に評価する必要性を示唆しています。
代替治療薬
他のアゾール系抗真菌薬
フルコナゾールが効果を示さない症例では同じアゾール系に属する他の抗真菌薬が選択肢となります。
例えばイトラコナゾールやボリコナゾールはフルコナゾール耐性菌に対しても効果を発揮することがあるため代替薬として考慮されます。
特にボリコナゾールは侵襲性アスペルギルス症などの重症真菌感染症に対して高い有効性を示します。
薬剤名 | 特徴 |
イトラコナゾール | 経口・注射剤あり |
ボリコナゾール | 広域スペクトル |
ポサコナゾール | 予防投与にも使用 |
キャンディン系抗真菌薬
フルコナゾール耐性カンジダ症に対してはキャンディン系抗真菌薬が有効な代替治療となります。
ミカファンギンやカスポファンギンは 真菌細胞壁の合成を阻害する作用機序を持ちアゾール系とは異なるアプローチで真菌を攻撃します。
これらの薬剤は重症のカンジダ血症や侵襲性カンジダ症の初期治療薬としても推奨されています。
- ミカファンギン
- カスポファンギン
- アニデュラファンギン
ポリエン系抗真菌薬
アムホテリシンBは古典的な抗真菌薬ですが現在でも難治性真菌感染症の治療に重要な役割を果たしています。
フルコナゾール耐性菌や希少真菌による感染症にも効果を示すため最終的な選択肢として考慮されます。
リポソーム化アムホテリシンBは従来の製剤と比較して副作用が軽減されており長期投与が必要な症例でも使用しやすくなっています。
製剤 | 主な適応 |
従来型アムホテリシンB | 重症真菌感染症 |
リポソーム化アムホテリシンB | 難治性真菌感染症 |
エキノカンジン系抗真菌薬
エキノカンジン系薬剤はカンジダ属やアスペルギルス属に対して強力な抗真菌作用を示します。
フルコナゾール耐性カンジダ症や侵襲性カンジダ症の初期治療において第一選択薬として位置づけられることが多くなっています。
これらの薬剤は真菌細胞壁の1,3-β-D-グルカン合成を阻害することで殺菌的に作用します。
フルシトシンとの併用療法
フルコナゾール単剤で効果が不十分な場合はフルシトシンとの併用療法が検討されることがあります。
特にクリプトコックス髄膜炎の治療においてこの併用療法は有効性が高いことが知られています。
フルシトシンは真菌のDNA合成を阻害する作用を持ち他の抗真菌薬との相乗効果が期待できます。
併用薬 | 主な対象疾患 |
フルシトシン | クリプトコックス髄膜炎 |
アムホテリシンB | 難治性真菌感染症 |
トリアゾール系新規抗真菌薬
イサブコナゾールは新しいトリアゾール系抗真菌薬でフルコナゾール耐性菌にも効果を示す可能性があります。
侵襲性アスペルギルス症やムーコル症など従来の薬剤で治療困難な真菌感染症にも使用されます。
経口剤と注射剤の両方が利用可能であり長期治療にも適しています。
- 広域スペクトル
- 経口・静注両剤形あり
- 薬物相互作用が比較的少ない
2021年に発表された多施設共同研究ではフルコナゾール耐性カンジダ血症患者さんに対するエキノカンジン系薬剤の使用が治療成功率を向上させたことが報告されました。
この結果はフルコナゾール無効例に対する代替治療戦略の重要性を裏付けるものです。
フルコナゾールが効果を示さない場合の代替治療薬選択は感染症の種類や重症度 患者さんの全身状態を総合的に評価して決定する必要があります。
FLCZの併用禁忌
QT延長リスクのある薬剤との併用
フルコナゾールは単独でQT間隔延長を引き起こす可能性があるため他のQT延長リスクのある薬剤との併用は避けるべきです。
特にピモジドやキニジンなどの抗不整脈薬との併用は重篤な不整脈を誘発する危険性が高く厳重に禁忌とされています。
これらの薬剤とフルコナゾールを同時に服用すると致命的な心室性不整脈(トルサード・ド・ポアント)が発生するリスクが著しく上昇します。
併用禁忌薬 | 薬効分類 |
ピモジド | 抗精神病薬 |
キニジン | 抗不整脈薬 |
エルゴタミン | 片頭痛治療薬 |
CYP3A4で代謝される薬剤との相互作用
フルコナゾールは強力なCYP3A4阻害作用を持つためこの酵素で代謝される多くの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があります。
トリアゾラムやミダゾラムなどのベンゾジアゼピン系薬剤との併用は過度の鎮静作用や呼吸抑制のリスクを高めるため避けるべきです。
またHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)との併用も横紋筋融解症のリスクを増大させるため注意が必要です。
- トリアゾラム ミダゾラムなどの短時間作用型ベンゾジアゼピン系薬剤
- シンバスタチン アトルバスタチンなどのスタチン系薬剤
- エルゴタミン誘導体(エルゴタミン ジヒドロエルゴタミン)
ワルファリンとの相互作用
フルコナゾールはワルファリンの代謝を阻害し、その抗凝固作用を増強します。
両薬剤の併用時には重篤な出血合併症のリスクが大幅に上昇するため原則として避けるべきです。
やむを得ず併用する状況ではPT-INRの厳重なモニタリングと頻回の用量調整が不可欠となります。
相互作用 | リスク |
抗凝固作用増強 | 出血傾向 |
PT-INR上昇 | 脳出血・消化管出血 |
免疫抑制剤との併用リスク
フルコナゾールはシクロスポリンやタクロリムスなどのカルシニューリン阻害薬の血中濃度を上昇させます。
これらの免疫抑制剤との併用は腎毒性や肝毒性のリスクを著しく高めるため慎重な判断が求められます。
併用が避けられない状況では免疫抑制剤の血中濃度モニタリングと用量調整を頻繁に行う必要があります。
免疫抑制剤 | 主な副作用リスク |
シクロスポリン | 腎機能障害 |
タクロリムス | 高カリウム血症 |
抗HIV薬との相互作用
フルコナゾールと一部の抗HIV薬(プロテアーゼ阻害薬 非核酸系逆転写酵素阻害薬)との併用は複雑な相互作用を引き起こします。
特にリトナビルやエファビレンツとの併用では双方の薬物動態が大きく変化し予期せぬ副作用や治療効果の減弱が生じる可能性があります。
HIV感染症患者さんの真菌感染症治療では抗真菌薬と抗HIV薬の相互作用に十分注意を払い適切な薬剤選択と用量調整を行うことが重要です。
- リトナビル ロピナビルなどのプロテアーゼ阻害薬
- エファビレンツ ネビラピンなどの非核酸系逆転写酵素阻害薬
ジフルカンの薬価
薬価
ジフルカンの薬価は剤形や含量によって異なります。
50mg錠は1錠あたり103.3円、100mg錠は158.3円です。
注射剤の場合は100mgバイアルで1,520円、200mgバイアルで2,598円となっています。
剤形 | 含量 | 薬価 |
錠剤 | 50mg | 103.3円 |
錠剤 | 100mg | 158.3円 |
注射剤 | 100mg | 1,520円 |
注射剤 | 200mg | 2,598円 |
処方期間による総額
1週間処方の場合で100mg錠を1日1回服用すると総額は1,108.1円になります。
1ヶ月処方では同じ用法で4,749.0円となります。
注射剤を使用する入院患者さんでは1週間の治療で10,640円、1ヶ月では45,600円程度になることがあります。
ジェネリック医薬品との比較
通常ジェネリック医薬品は先発品と比べて20〜30%程度安価ですが、ジフルカンの場合は先発品と後発品の価格差はありません。
そのため、ジェネリック品の選択は医療費の削減につながる事はありませんが、安定して手に入るという利点があります。
なお、上記の価格は2024年9月時点のものであり、最新の価格については随時ご確認ください。
以上
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