アミノフィリン(ネオフィリン)とは気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患に用いられる重要な薬剤です。

この薬は気道を拡げる効果があり呼吸困難を和らげる働きがあります。

私たち呼吸器専門医は患者さんの症状や病態に応じてアミノフィリンを処方することがあります。

薬理学的にこの薬はキサンチン誘導体に分類され気管支平滑筋の弛緩(しかん)作用を持ちます。

その結果息苦しさが軽減されて患者さんのQOL向上に寄与することが期待されます。

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目次

アミノフィリンの有効成分と作用機序 その効果を徹底解説

有効成分テオフィリンの特性

アミノフィリン(ネオフィリン)の主要な有効成分はテオフィリンです。

テオフィリンはキサンチン誘導体に分類される化合物でコーヒーやお茶に含まれるカフェインと類似した構造を持ちます。

この成分は水に溶けにくい性質がありますがアミノフィリンはテオフィリンにエチレンジアミンを結合させることで水溶性を高めた製剤となっています。

有効成分化学分類
テオフィリンキサンチン誘導体
エチレンジアミンアミン化合物

テオフィリンの体内動態と代謝

テオフィリンは経口投与後に消化管から速やかに吸収されます。

血中に入ったテオフィリンは主に肝臓で代謝され腎臓から尿中に排泄されます。

個人差はありますが一般的に半減期は約8時間程度とされており24時間後には体内からほぼ消失します。

  • 吸収部位 消化管
  • 代謝臓器 肝臓
  • 排泄経路 腎臓(尿中)
  • 半減期 約8時間

作用機序とその生理学的影響

テオフィリンの主な作用機序はホスホジエステラーゼ(PDE)の阻害です。

PDEはcAMPを分解する酵素であり、この阻害によって細胞内cAMP濃度が上昇します。

cAMPの増加は気管支平滑筋の弛緩をもたらして気道を拡張させる効果があります。

作用生理学的影響
PDE阻害cAMP濃度上昇
cAMP上昇気管支平滑筋弛緩

さらにテオフィリンはアデノシン受容体の拮抗作用も持ちます。

アデノシンは気管支収縮や炎症反応を引き起こす物質ですがテオフィリンがその作用を抑制することで抗炎症効果を発揮します。

臨床効果と治療における位置づけ

テオフィリンの気管支拡張作用により喘息やCOPDなどの閉塞性肺疾患患者さんの呼吸困難が改善されます。

特に夜間や早朝の症状コントロールに有用性が高いとされています。

加えて気道の炎症を抑える作用や呼吸中枢の刺激効果も認められており、総合的な呼吸機能の改善に寄与します。

臨床効果対象疾患
気管支拡張喘息 COPD
抗炎症作用気道炎症
呼吸中枢刺激呼吸抑制

これらの効果により患者さんのQOL向上や日常生活動作の改善が期待できます。

ただし近年では吸入ステロイドや長時間作用型β2刺激薬などの新しい薬剤の登場によりテオフィリンの使用頻度は減少傾向にあります。

それでも他の薬剤との併用療法や特定の患者群においては依然として重要な治療選択肢の一つとして位置づけられています。

使用法と注意点

投与経路と剤形の選択

アミノフィリン(ネオフィリン)は経口剤や注射剤など複数の剤形があり患者さんの状態や緊急性に応じて適切な投与経路を選択します。

経口剤は徐放性製剤が主流で1日2回の服用で安定した血中濃度を維持できます。

急性増悪時には注射剤を用いることで 迅速な症状改善を図ります。

剤形投与回数適応状況
経口徐放剤1日2回慢性期管理
注射剤必要時急性増悪時

用法用量の個別化

テオフィリン製剤の治療域は狭く個人差も大きいため患者さんごとに最適な用量を設定することが重要です。

初期投与量は体重あたりで計算して年齢や肝機能 喫煙状況などを考慮して調整します。

維持量は血中濃度モニタリングの結果に基づいて微調整を行い有効性と安全性のバランスを取ります。

  • 初期投与量の目安 5-10mg/kg/日
  • 目標血中濃度 10-20μg/mL
  • 調整因子 年齢 肝機能 喫煙状況

服薬指導のポイント

患者さんへの服薬指導では規則正しい服用の重要性を強調します。

食事の影響を受けにくいため食前食後を問わず服用可能ですが毎日同じタイミングで服用することで血中濃度を安定させます。

急な服用中止は症状悪化を招く恐れがあるため自己判断での中止を避けるよう指導します。

  • 服用時間の一定化
  • 自己判断での中止禁止
  • 症状変化の報告

モニタリングと長期管理

テオフィリン製剤の長期使用においては定期的な血中濃度測定と臨床症状の評価が必須です。

血中濃度は投与開始後3-5日目、その後は1-2週間ごとに測定して安定したら3-6ヶ月ごとのモニタリングを行います。

症状改善が乏しい場合や副作用が疑われる際には速やかに血中濃度を確認して用量調整を検討します。

モニタリング項目頻度目的
血中濃度3-6ヶ月ごと至適濃度維持
臨床症状毎回の診察時効果判定

2019年に発表されたメタアナリシスではテオフィリン製剤の長期使用患者さんにおいて定期的なモニタリングを実施した群がそうでない群と比較して有意に入院率が低下したことが報告されています。

このエビデンスは継続的なフォローアップの重要性を裏付けるものといえるでしょう。

アミノフィリン(ネオフィリン)の適応対象

気管支喘息患者における使用基準

アミノフィリン(ネオフィリン)は気管支喘息の管理において長年使用されてきた薬剤です。

特に中等症から重症の喘息患者さんで他の標準治療で十分な効果が得られない時に考慮します。

夜間や早朝の症状コントロールに難渋するケースでその効果を発揮することが多いです。

重症度症状アミノフィリンの位置づけ
軽症間欠的な喘鳴通常は使用しない
中等症持続的な症状追加オプションとして検討
重症頻回の発作積極的に使用を考慮

慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者への適応

COPDにおいてもアミノフィリンは気道拡張効果を通じて呼吸機能の改善に寄与します。

特に労作時の呼吸困難感が強い患者さんや頻回の増悪を繰り返す症例で有用性が高いとされています。

ただし高齢者や心疾患を合併する患者さんでは慎重な投与が求められます。

  • 労作時呼吸困難が顕著な患者
  • 増悪を繰り返す症例
  • 他の気管支拡張薬で効果不十分な場合

気管支拡張薬の併用療法における位置づけ

アミノフィリンは単剤での使用よりも他の気管支拡張薬との併用で相乗効果を発揮することがあります。

β2刺激薬や抗コリン薬との組み合わせにより気道閉塞の改善度が高まる傾向にあります。

このため複数の薬剤を使用しても十分な症状コントロールが得られない患者さんに対して追加薬として検討されることが多いです。

併用薬期待される効果
β2刺激薬気管支拡張作用の増強
抗コリン薬気道過敏性の抑制

小児患者における使用上の注意点

小児喘息においてもアミノフィリンは選択肢の一つとなりますが年齢や体重に応じた慎重な投与量調整が重要です。

特に5歳未満の幼児では代謝能力が未発達なため血中濃度が上昇しやすい点に留意が必要です。

また成長期にある患者さんでは定期的な身長体重測定を行い用量の見直しを行うことが大切です。

年齢投与量調整注意点
5歳未満慎重に低用量から代謝能力が低い
5-12歳体重に応じて調整成長に伴う見直し
12歳以上成人量に準じる個人差に注意

高齢者への投与における留意事項

高齢者では臓器機能の低下や併存疾患の存在によりアミノフィリンの代謝や排泄に影響を受けやすいです。

そのため 70歳以上の患者さんでは通常の成人量よりも低用量から開始して慎重に増量していくアプローチが望ましいです。

心疾患や腎機能障害を有する高齢者では特に注意深いモニタリングが求められます。

  • 低用量からの開始
  • 緩徐な増量
  • 頻回な血中濃度測定

治療期間

急性期における短期使用の基準

アミノフィリン(ネオフィリン)は喘息発作の急性期に即効性を期待して使用することがあります。

この状況下での治療期間は通常3〜5日程度と短く症状の改善に応じて漸減または中止を検討します。

急性期を脱した後の継続使用については患者さんの状態や他の治療薬の効果を総合的に判断して決定します。

使用状況一般的な治療期間中止・継続の判断基準
喘息発作急性期3〜5日症状改善度 肺機能検査結果
急性増悪後の移行期1〜2週間自覚症状 ピークフロー値

慢性管理における長期使用の考え方

慢性閉塞性肺疾患(COPD)や重症喘息患者さんにおける長期管理ではアミノフィリンを継続的に使用するケースが多々あります。

この場合の治療期間は月単位・年単位に及ぶことがあり、定期的な効果判定と副作用モニタリングが欠かせません。

長期使用時は3〜6ヶ月ごとに治療の必要性を再評価して可能であれば減量や中止を試みることも重要です。

  • 3ヶ月ごとの血中濃度測定
  • 6ヶ月ごとの肺機能検査
  • 年1回の総合的な治療評価

小児患者における使用期間の特徴

小児喘息患者さんでアミノフィリンを使用する際は成長発達への影響を考慮する必要があります。

一般的に急性発作時の短期使用は問題ありませんが長期使用については慎重な判断が求められます。

成長期にある小児では 3〜6ヶ月ごとに身長体重測定を行い用量調整とともに継続使用の是非を検討します。

年齢層推奨される再評価間隔考慮すべき要素
乳幼児(0〜5歳)1〜3ヶ月体重変化・発達状況
学童期(6〜12歳)3〜6ヶ月学校生活への影響・運動能力
思春期(13歳以上)6ヶ月〜1年自己管理能力・併用薬との相互作用

高齢者における長期使用時の注意点

高齢喘息患者さんや高齢COPD患者さんではアミノフィリンの長期使用が必要となるケースがあります。

ただし加齢に伴う臓器機能の低下や併存疾患の増加により副作用リスクが高まる点に留意が必要です。

そのため3ヶ月ごとの血中濃度測定と腎機能評価を行い6ヶ月ごとに総合的なベネフィットとリスクの評価を実施することが望ましいです。

評価項目頻度判断基準
血中濃度3ヶ月ごと5〜15μg/mL
腎機能3ヶ月ごとeGFR 60mL/min/1.73m2以上
QOL評価6ヶ月ごとCAT スコア改善

治療中止の判断基準と減量プロトコル

アミノフィリンの長期使用後に治療中止を検討する際は段階的な減量が重要です。

急激な中止は症状の悪化を招く恐れがあるため2〜4週間かけて25%ずつ減量していくのが一般的です。

中止の判断基準としては症状安定期間・肺機能検査結果・患者さんのQOL などを総合的に評価します。

  • 症状安定期間 3ヶ月以上
  • FEV1予測値の80%以上維持
  • 日常生活に支障がない状態

2019年に発表されたヨーロッパの多施設共同研究でアミノフィリンを含むキサンチン誘導体の長期使用患者さんに対して実験を行いました。

その結果慎重な減量プロトコルを実施した群は急激な中止群と比較して有意に増悪リスクが低かったそうです。

上記のような報告は治療中止を検討する際の段階的アプローチの重要性を裏付けるものといえます。

アミノフィリン(ネオフィリン)の副作用とデメリット

消化器系への影響と対策

アミノフィリン(ネオフィリン)使用時に最も頻繁に見られる副作用は消化器症状です。

悪心・嘔吐・腹痛・食欲不振などが代表的でこれらは薬剤の血中濃度上昇に伴って発現しやすくなります。

これらの症状は服用のタイミングを食後に変更したり徐放性製剤に切り替えることで軽減できる場合があります。

症状発現頻度対処法
悪心・嘔吐10-20%食後服用・制吐剤併用
腹痛5-10%胃粘膜保護剤併用
食欲不振5-15%少量分割投与

中枢神経系への作用と注意点

テオフィリンは中枢神経系を刺激する作用があり、頭痛・不眠・イライラ感などの症状を引き起こすことがあります。

特に高齢者や小児ではこれらの症状が顕著に現れやすい傾向です。

血中濃度が急激に上昇するとけいれんや意識障害といった重篤な副作用を引き起こすリスクが生じるため慎重な投与管理が重要です。

  • 頭痛・不眠・イライラ感
  • 振戦・めまい
  • 重度の場合 けいれんや意識障害

心血管系への影響とリスク因子

アミノフィリンは心拍数増加や不整脈を誘発する可能性があり特に心疾患の既往がある患者さんでは注意が必要です。

頻脈・動悸・血圧上昇などの症状が見られた時は直ちに担当医に相談するよう患者さん指導を行います。

高齢者や利尿剤使用中の患者さんでは電解質異常(特に低カリウム血症)を介して不整脈のリスクが高まるため定期的な電解質モニタリングが大切です。

リスク因子予防策モニタリング項目
心疾患既往低用量開始心電図検査
高齢者慎重投与電解質バランス
利尿剤併用カリウム補充血清K値

代謝への影響と血糖コントロール

テオフィリンは糖代謝に影響を与えて血糖値を上昇させることがあります。

糖尿病患者さんや耐糖能異常のある患者さんでは血糖コントロールが難しくなる可能性があるため注意深い観察が必要です。

また代謝亢進作用により体重減少や筋力低下を招く恐れもあるため栄養状態のモニタリングも重要となります。

影響対象患者注意点
血糖上昇糖尿病患者血糖値モニタリング強化
代謝亢進低体重患者栄養指導 体重管理

アミノフィリン無効時の代替療法

吸入ステロイド薬への切り替え

アミノフィリン(ネオフィリン)が効果を示さない喘息患者さんに対しては吸入ステロイド薬への切り替えを検討します。

吸入ステロイドは気道の炎症を直接抑制する作用があり喘息のコントロールに極めて有効です。

フルチカゾンやブデソニドなどの薬剤が代表的で症状の重症度に応じて適切な用量を選択します。

薬剤名1日投与量主な特徴
フルチカゾン100-800μg高い抗炎症作用
ブデソニド200-1600μg局所での代謝が速い
シクレソニド100-400μg口腔内副作用が少ない

長時間作用型β2刺激薬(LABA)の追加

吸入ステロイド単独で効果が不十分な場合は長時間作用型β2刺激薬(LABA)の併用を考慮します。

LABAは気管支を長時間にわたって拡張させる効果があり症状のコントロールに有用です。

サルメテロールやホルモテロールなどが代表的な薬剤で吸入ステロイドとの配合剤も多く使用されています。

  • サルメテロール 効果持続時間約12時間
  • ホルモテロール 効果発現が速く持続時間も長い
  • インダカテロール 1日1回投与で24時間持続

ロイコトリエン受容体拮抗薬の使用

アミノフィリンや吸入薬での改善が乏しい患者さんにはロイコトリエン受容体拮抗薬の追加を検討します。

この薬剤は気道の炎症や収縮に関与するロイコトリエンの作用を阻害して特にアスピリン喘息や運動誘発性喘息に効果を発揮します。

モンテルカストやプランルカストが代表的で経口薬のため服薬アドヒアランスが良好です。

薬剤名用法適応年齢
モンテルカスト1日1回就寝前1歳以上
プランルカスト1日2回朝夕6ヶ月以上

抗IgE抗体療法の導入

重症喘息で従来の治療に抵抗性を示す患者さんには生物学的製剤である抗IgE抗体療法を考慮します。

オマリズマブがその代表でIgEを介したアレルギー反応を抑制することで喘息症状を改善します。

2週間または4週間ごとの皮下注射で投与し特にアレルギー性喘息の患者さんに効果を発揮する傾向です。

  • 適応 中等症〜重症の持続型喘息
  • 投与間隔 2週間または4週間
  • 投与方法 皮下注射

新規の生物学的製剤の選択肢

近年ではIL-5やIL-4/IL-13を標的とした新たな生物学的製剤が登場しアミノフィリンを含む従来治療で効果不十分な患者さんの新たな選択肢となっています。

メポリズマブ(抗IL-5抗体)やデュピルマブ(抗IL-4/IL-13抗体)などが代表的で特に好酸球性炎症を伴う重症喘息に効果を示します。

これらの薬剤は喘息の表現型や炎症のタイプに応じて個別化された治療を可能にします。

薬剤名標的投与間隔
メポリズマブIL-54週間ごと
デュピルマブIL-4/IL-132週間ごと
ベンラリズマブIL-5受容体8週間ごと

2019年に発表された多施設共同研究ではアミノフィリンを含む従来治療で効果不十分だった重症喘息患者さんに対しこれらの生物学的製剤を追加しました。

すると年間喘息増悪回数が50%以上減少したことが報告されています。

この結果は新規治療薬の有効性を示すとともに個別化医療の重要性を裏付けるものといえます。

アミノフィリン(ネオフィリン)の併用禁忌

キサンチン系薬剤との併用リスク

アミノフィリン(ネオフィリン)は他のキサンチン系薬剤と併用すると血中濃度が急激に上昇し重篤な副作用を引き起こす危険性があります。

特にテオフィリン製剤やカフェインを含む薬剤との併用は絶対に避けるべきです。

これらの薬剤は同じ作用機序を持つため効果が増強されるだけでなく中毒症状のリスクも高まります。

併用禁忌薬剤主な商品名危険性
テオフィリンテオドール中毒症状
ジプロフィリンネオフィリン不整脈
カフェイン含有薬アンナカけいれん

マクロライド系抗生物質との相互作用

マクロライド系抗生物質はアミノフィリンの代謝を阻害して血中濃度を著しく上昇させる作用があります。

エリスロマイシンやクラリスロマイシンなどが代表的でこれらとの併用は重大な副作用のリスクを高めてしまうのです。

呼吸器感染症の治療時には特に注意深い薬剤選択が求められます。

  • エリスロマイシン
  • クラリスロマイシン
  • アジスロマイシン

フルボキサミンによる代謝阻害

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の一種であるフルボキサミンはアミノフィリンの代謝を強く阻害します。

この薬剤との併用によりテオフィリンの血中濃度が数倍に上昇したケースが報告されています。

うつ病や不安障害を合併する喘息患者さんの治療においては薬剤の選択に細心の注意を払う必要があります。

薬剤名薬効分類併用時の影響
フルボキサミンSSRI血中濃度上昇
パロキセチンSSRI軽度の影響
セルトラリンSSRI影響少ない

シメチジンとの併用による副作用増強

H2受容体拮抗薬であるシメチジンはアミノフィリンの代謝を阻害し血中濃度を上昇させる作用があります。

胃酸分泌抑制薬としてシメチジンを使用する際はアミノフィリンとの併用を避けて代替薬を選択することが望ましいです。

ファモチジンやラニチジンなどの他のH2受容体拮抗薬は比較的影響が少ないとされています。

H2受容体拮抗薬アミノフィリンへの影響代替薬の可能性
シメチジン強い代謝阻害不適
ファモチジン影響軽微検討可
ラニチジン影響少ない使用可

アロプリノールとの相互作用

痛風治療薬として広く使用されるアロプリノールはアミノフィリンの代謝を阻害して血中濃度を上昇させる作用があります。

この相互作用によりテオフィリン中毒のリスクが高まるため併用は避けるべきです。

痛風を合併する喘息患者さんの治療においては代替薬の選択や用量調整が必要となります。

  • アロプリノールの代替薬検討
  • ベンズブロマロンなどの尿酸排泄促進薬
  • コルヒチンなどの炎症抑制薬

アミノフィリンと様々な薬剤との相互作用に関する大規模な研究が2020年に発表されました。

この研究では併用禁忌薬との同時処方により重篤な副作用(不整脈・けいれんなど)の発生リスクが3.5倍に上昇したことが報告されています。

この結果は薬剤の併用に関する慎重な評価と管理の重要性を改めて示すものといえます。

アミノフィリン(ネオフィリン)の薬価と経済的負担

薬価

アミノフィリン(ネオフィリン)の薬価は剤形や含量によって異なります。

経口剤の場合は100mg錠で5.9円、200mg錠で11.2円となっています。

注射剤の場合だと250mg/10mL1管あたり94円です。

剤形含量薬価
錠剤100mg5.9円
原末1g日局アミノフィリン水和物1g9.6円/g
注射250mg/10mL94円

処方期間による総額

1週間処方の場合は通常用量(400mg/日)で165.2円となります。

1ヶ月処方になると708円の負担となるでしょう。

  • 1週間処方 165.2円
  • 1ヶ月処方 708円

ジェネリック医薬品との比較

ジェネリック医薬品のアミノフィリン水和物錠は先発品と同じ値段です。

そのため、長期使用の患者さんにとって医療費削減は望めませんが、必要時に薬剤が安定して手に入る利点があります。

製品250mg注射剤薬価1ヶ月処方時の差額
先発品94円
後発品94円0円

なお、上記の価格は2024年9月時点のものであり、最新の価格については随時ご確認ください。

以上

参考にした論文