呼吸器疾患の一種である放射線肺炎とは、がんの放射線治療に伴う副作用として生じる肺の炎症です。

この病気は放射線治療を受けられた患者さんの約5〜15%に発症すると言われており、比較的一般的なものと言えます。

放射線肺炎(ほうしゃせんはいえん)は、治療後数週間から数ヶ月経過してから症状が現れることが多く、咳や息苦しさ、熱などの症状が見られるでしょう。

症状の強さは軽いものから重いものまで人によって様々で、患者さんの日常生活に大きく影響するケースもあるのです。

放射線肺炎
目次

放射線肺炎の病型:急性と慢性

放射線肺炎は急性と慢性の二つの病型に分けられます。これらの病型は症状が現れる時期や経過、影響を受ける肺の範囲が異なるのです。

急性放射線肺炎の特徴

急性放射線肺炎は放射線治療後から比較的早い時期に起こる病型です。

一般的に放射線治療が終わってから4〜12週間以内に症状が現れるものを指します。

急性放射線肺炎の主な特徴:

  • 突然の発症
  • 放射線を当てた部分に一致した肺の炎症
  • 元に戻りやすい変化が多い
特徴詳細
発症時期治療後4〜12週
影響範囲照射野に限局
可逆性高い

慢性放射線肺炎の特徴

慢性放射線肺炎は急性期を経てから、または直接的に起こる長期的な肺の障害です。

慢性放射線肺炎の主な特徴:

  • ゆっくりとした進行
  • 肺の線維化
  • 元に戻りにくい変化が多い
特徴詳細
発症時期治療後数ヶ月〜数年
影響範囲照射野外にも及ぶことがある
可逆性低い

慢性放射線肺炎は肺の働きを低下させ、長期的な呼吸の問題につながる可能性があります。

急性から慢性への移行

急性放射線肺炎から慢性放射線肺炎への移行は連続的な過程であり、はっきりとした境界線を引くのは難しいです。

移行の過程における主な変化は次のように考えられます。

  • 炎症反応の持続
  • 肺組織の線維化の進行
  • 肺機能の段階的な低下
段階主な変化
急性期炎症反応が主体
移行期炎症と線維化が混在
慢性期線維化が主体

放射線肺炎:忍び寄る呼吸器の脅威とその症状

放射線肺炎の主な症状はいくつか挙げられますが、これらは急性期と慢性期で異なる特徴を示します。また、症状の程度はも放射線治療の範囲や量、個人の体質によって異なります。

呼吸困難:放射線肺炎の代表的症状

呼吸困難は放射線肺炎の患者さんが最もよく経験する症状の一つです。

この症状は急性期では突然現れることが多く、慢性期では徐々に悪化していく傾向があります。

呼吸困難の特徴:

  • 息切れ感
  • 胸部の圧迫感
  • 運動時の息苦しさ
病期呼吸困難の特徴
急性期突然の発症、強い息切れ
慢性期緩やかな進行、持続的な息苦しさ

咳:持続的な不快症状

咳は放射線肺炎の患者さんの多くが経験する症状です。

急性期では乾性咳嗽(痰を伴わない咳)が主で、慢性期では湿性咳嗽(痰を伴う咳)に変化することがあります。

咳の特徴:

  • 持続的な刺激感
  • 夜間の悪化
  • 運動や深呼吸で悪化
咳の種類特徴
乾性咳嗽痰を伴わない、刺激的
湿性咳嗽痰を伴う、粘り気のある

発熱:体内の炎症反応

発熱は特に急性放射線肺炎で見られる重要な症状です。

以下のような特徴のある発熱は肺組織の炎症反応を反映しており、放射線肺炎の活動性を示す重要なサインとなります。

  • 37.5℃以上の体温上昇
  • だるさを伴うことが多い
  • 夕方から夜にかけて上昇しやすい
発熱の程度臨床的意義
軽度(37.5-38℃)軽度の炎症反応
中等度(38-39℃)中等度の炎症反応
高度(39℃以上)重度の炎症反応、合併症の可能性

全身症状:放射線肺炎の影響

放射線肺炎は局所的な肺の炎症だけでなく、以下のような全身に全身症状を伴うことも少なくありません。

  • だるさ
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 筋力低下

これらの症状は特に慢性放射線肺炎で目立つことがあります。

放射線肺炎の原因

放射線肺炎は、がん治療で行われる放射線療法の副作用として起こる肺の炎症反応です。その主な原因は高エネルギー放射線による肺組織へのダメージと、それに続く複雑な生物学的反応にあります。

放射線の種類、照射量、照射範囲、個人の体質など、様々な要因が放射線肺炎の発症に関わっているのです。

放射線による直接的な組織障害

放射線治療中に高エネルギーの放射線が肺組織を通過する際、細胞や DNA に直接的な損傷を与えます。

このダメージは以下のような影響を及ぼします。

損傷の種類影響
細胞膜破壊細胞死、炎症反応の誘発
DNA 損傷細胞分裂異常、アポトーシス
ミトコンドリア障害エネルギー産生低下、酸化ストレス増加

これらの直接的な障害が急性放射線肺炎の発症に大きく関与してくるのです。

炎症カスケードの活性化

放射線による組織障害は複雑な炎症の連鎖反応を引き起こします。この過程で次のような因子が重要な役割を果たすのです。

因子 役割
サイトカインTNF-α、IL-1、IL-6など炎症反応の誘導、細胞動員
ケモカイン 炎症細胞の遊走
成長因子TGF-β、PDGFなど組織修復、線維化促進

これらの因子の相互作用により、急性期から慢性期にかけての病態が形成されていきます。

酸化ストレスと自由基の影響

放射線照射は体内で活性酸素種(ROS)や自由基の産生を増加させるのですが、これらの物質は以下のような影響を及ぼします。

  • 細胞膜の脂質過酸化
  • タンパク質の変性
  • DNA の酸化的損傷

過剰な酸化ストレスは細胞死を促進し、組織の炎症と線維化を加速させる可能性がでてくるのです。

免疫系の異常反応

放射線照射は肺組織内の免疫環境にも大きな影響を与えます。

免疫細胞放射線肺炎での役割
マクロファージ炎症性物質の産生、組織の再構築
T細胞炎症の増幅、自己免疫反応の誘導
B細胞自己抗体の産生

上記のような免疫学的変化は特に慢性放射線肺炎の病態形成に重要です。

個人差と感受性因子

放射線肺炎の発症リスクは個人によっても大きく異なります。感受性に影響を与える主な要因は以下の通りです。

  • 遺伝的背景
  • 年齢
  • 既存の肺疾患
  • 喫煙歴

診察と診断のプロセス

放射線肺炎の診察と診断は様々な角度からのアプローチを組み合わせて正確な診断を下します。

病歴聴取:診断の第一歩

放射線肺炎の診断において詳しい病歴聴取は欠かせません。以下の点に注目して問診が行われます。

  • 放射線治療の詳細(部位、線量、期間)
  • 症状の現れた時期と進行
  • 既往歴(特に肺疾患)
  • 喫煙歴
聴取項目診断的意義
放射線治療歴発症リスクの評価
症状の経過急性型か慢性型かの判別
既往歴他の肺疾患との見分け

身体診察:重要な手がかりを探る

放射線肺炎の診断において次の身体所見に注意しながら診察を行います。

身体所見意味
呼吸音(捻髪音)肺の炎症や線維化
呼吸が速い呼吸機能の低下
チアノーゼ重度の酸素化障害
炎症の程度

画像診断:放射線肺炎の特徴的所見

画像診断は放射線肺炎の診断において中心的な役割を果たします。

胸部X線検査、高分解能CT(HRCT)、PET-CT(必要に応じて)が一般的で、特にHRCTで観察される所見は放射線肺炎の典型的ものであることが多いです。

肺機能検査:機能的影響の評価

肺機能検査は放射線肺炎が肺機能に与える影響を数値で評価するために行われます。

主な検査項目:

  • スパイロメトリー
  • 拡散能力検査
  • 動脈血ガス分析

肺機能検査で観察される典型的な異常:

  • 拘束性換気障害
  • 拡散能力の低下
  • 低酸素血症

生検:確定診断のための最終手段

診断が不確実な場合や他の疾患との見分けが難しい際に次のような生検が考慮されるでしょう。

  • 経気管支肺生検(TBLB)
  • CT ガイド下生検
  • 外科的肺生検(稀)

生検によって肺胞壁の肥厚、炎症細胞浸潤、線維化(慢性期)といった組織の病理学的特徴が得られることがあります。

画像所見:目に見えない影響を追跡する

放射線肺炎の画像所見は診断と経過観察において非常に重要な役割を果たします。

胸部X線写真や高分解能CT(HRCT)などの画像検査により放射線肺炎の特徴的な所見を捉えることが可能です。

これらの所見は病気の段階や重症度によって変化し、適切な診断と治療方針の決定に欠かせない情報となります。

胸部X線写真:初期スクリーニングの要

胸部X線写真は放射線肺炎の初期評価や経過観察に広く用いられる基本的な画像検査で、主な所見は次の通りです。

所見特徴
びまん性浸潤影照射野に一致した均一な陰影
斑状陰影不均一な濃度の陰影
線状陰影肺の線維化を示唆

これらの所見は放射線照射野と一致して現れることが特徴的です。

Rahi, Mandeep Singh et al. “Radiation-Induced Lung Injury-Current Perspectives and Management.” Clinics and practice vol. 11,3 410-429. 1 Jul. 2021,

所見:(1)左上肺野に腫瘤(矢印)が見られ、右内頸静脈にポートが設置されている。(2)放射線治療後。、左上肺野および左下肺野に浸潤影が広がっており、放射線肺臓炎が疑われる。

高分解能CT(HRCT):詳細な肺野の評価

HRCTは放射線肺炎の診断において最も有用な画像検査の一つで、以下のような典型的な所見が観察できます。

病期主な HRCT 所見
急性期すりガラス陰影、浸潤影
慢性期線維化像、蜂巣肺

このようにHRCTは病変の分布や進行度を詳しく評価することができるのです。

Case courtesy of Dr Ruslan Asadov, Radiopaedia.org. From the case rID: 7745

所見:放射線治療時の照射野と一致したすりガラス影の広がりを認め、放射線肺臓炎として合致する所見である。

急性放射線肺炎の画像所見

急性期の主な画像所見は放射線照射野に一致してすりガラス陰影、浸潤影、小葉間隔壁の肥厚が現れて時間とともに変化します。

時期画像所見の特徴
発症初期淡いすりガラス陰影
進行期浸潤影の拡大、濃度上昇
改善期陰影の縮小、消退

慢性放射線肺炎の画像所見

慢性放射線肺炎は急性期からの移行、またはゆっくり進行する形で発症し、画像所見は次のような元に戻らない肺の構造変化、長期的な肺機能障害を反映しています。

所見臨床的意義
線維化像肺の弾性低下
容積減少肺機能低下
蜂巣肺重度の線維化

画像所見の経時的変化

放射線肺炎の画像所見は一般的には次のようなパターンで時間とともに変化していきます。

  1. すりガラス陰影の出現
  2. 浸潤影への進展
  3. 線維化像の形成
  4. 最終的な瘢痕化

このような変化が起こるので画像検査による定期的な経過観察が病態の進行や治療効果の評価に重要です。

Arroyo-Hernández, Marisol et al. “Radiation-induced lung injury: current evidence.” BMC pulmonary medicine vol. 21,1 9. 6 Jan. 2021,

所見:放射線障害後の画像所見の経時的変化である。(a) RTの1週間前に撮影されたCT画像。(b) 初期像として、無気肺を伴うすりガラス影が広がっている。(c) RT前の下葉の腫瘍を含むCT画像。(d)RT6ヶ月後の 区域性浸潤影、気管支拡張、および瘢痕様パターンの所見。

治療の過程と回復への光

放射線肺炎の治療は症状の程度や病気の段階によって個別に計画されますが主に薬が中心となり、急性期と慢性期で方法は異なります。

治るまでの期間は人によって大きく異なりますが、適切な治療により多くの患者さんで症状の改善が見られます。

急性放射線肺炎の治療

急性放射線肺炎の治療は炎症を抑え、症状を和らげることが主な目的です。

治療法目的
ステロイド炎症抑制
対症療法症状緩和
酸素療法(必要な場合)低酸素血症の改善

ステロイド療法は通常プレドニゾロンを用いて行われ、症状や画像検査の結果に応じて量が調整されます。

慢性放射線肺炎の治療

慢性放射線肺炎の治療は肺の線維化を抑えて呼吸機能を維持することを目指し、以下のような治療法を行うのが一般的です。

  • 長期的なステロイド療法
  • 免疫抑制剤の使用
  • 抗線維化薬の投与

慢性期の治療においては副作用のリスクと治療効果のバランスを慎重に考えることが大切です。

使用される主な薬剤

放射線肺炎の治療に使用される主な薬剤は以下の通りです。

薬剤 主な効果
ステロイドプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンなど強力な抗炎症作用
免疫抑制剤シクロホスファミド、アザチオプリンなど過剰な免疫反応の抑制
抗線維化薬ピルフェニドン、ニンテダニブなど肺の線維化進行の抑制

これらの薬剤は個々の患者さんの状態に応じて処方され、組み合わせて使用されることもあります。

治るまでの期間

放射線肺炎が治るまでの期間は患者さんによって大きく異なります。

一般的な経過:

  • 急性放射線肺炎:2週間〜3ヶ月
  • 慢性放射線肺炎:6ヶ月〜2年以上

治ったかどうかの判断は難しいですが、症状がなくなったり画像検査の結果が良くなったりすることで判断されることが多いです。

長期的な経過観察の重要性

放射線肺炎の治療後も以下のポイントに留意して長期的に経過を見ていくことが重要です。

  • 定期的な肺機能検査
  • 画像検査による評価
  • 症状の再発や悪化の監視

長期的な経過観察により、再発や合併症を早く見つけることができます。

放射線肺炎の治療:知っておくべき副作用とリスク

放射線肺炎の治療には様々な副作用やリスクが伴いますが、これらを理解し適切に対処することで多くの場合は効果的な治療が可能です。

個々の患者さんの状況に応じたバランスの取れた治療方法を選ぶことが最良の治療成果につながるでしょう。

ステロイド療法の副作用

ステロイド療法は放射線肺炎の主要な治療法ですが、次のような副作用のリスクがあります。

副作用発生頻度
骨粗鬆症30-50%
糖尿病10-20%
感染リスクの上昇20-30%
消化性潰瘍 
皮膚の菲薄化 

これらの副作用はステロイドの量や使用期間に関連して発生するため、慎重な管理が必要です。

免疫抑制剤のリスク

重症の放射線肺炎や慢性期の治療では免疫抑制剤が使用されることがありますが、こちらも以下のようなリスクを考慮しなければなりません。

  1. 感染症のリスク上昇
  2. 悪性腫瘍の発生率増加
  3. 骨髄抑制
  4. 肝機能障害
薬剤主なリスク
シクロホスファミド出血性膀胱炎、不妊
アザチオプリン骨髄抑制、肝障害

長期治療に伴うリスク

放射線肺炎の治療は長期に及ぶことが多く、それに伴う様々なリスクがあります。これらを最小限に抑えるためには総合的なケアが必要です。

リスク対策
薬が効きにくくなること定期的な薬の効果の評価
二次感染予防的抗生物質の使用
心理的ストレス心理サポートの提供

治療による肺機能への影響

放射線肺炎の治療自体がさらなる肺機能の低下を引き起こす可能性があります。特に次のような影響を受けやすいので治療の必要性と肺機能を守ることのバランスを慎重に考えることが不可欠です。

  • ステロイドによる肺の線維化促進
  • 免疫抑制による日和見感染のリスク
  • 薬による肺への悪影響

生活の質への影響

放射線肺炎の治療は、患者さんの生活の質に大きな影響を与えることがあります。

生活の質への影響:

  • 長期的な薬物治療による体への負担
  • 治療に伴う通院や入院による社会生活の制限
  • 副作用による外見の変化(ステロイド使用による顔のむくみなど)

これらの影響を最小限に抑えるためには、患者さん中心のケアが重要です。

再発のリスクと予防への取り組み

放射線肺炎は一度発症すると再び発症する危険性がある病気です。再発の確率は患者さんによって異なりますが、適切な予防策を取ることでそのリスクを減らすことができます。

長期的な経過観察と生活習慣の改善が再発を防ぐ鍵となります。

再発のリスク:数字で見る現実

放射線肺炎の再発率に影響するのは主に次のような要因です。

要因再発リスク
高線量照射高い
広範囲照射高い
高齢中程度
他の病気あり中程度〜高い

一般的に放射線肺炎の再発率は5年以内で約20〜30%とされています。

再発のサイン:早期発見の重要性

再発を示す主なサインを見逃さないことは、その後の経過を良くする上で極めて重要です。

再発のサイン対応
息苦しさの悪化すぐに医療機関を受診
続く咳の増加胸部X線検査を受ける
原因不明の熱血液検査と画像検査を受ける
胸の不快感画像検査を受ける

これらのサインに気づいたらすぐに医療機関を受診することが大切です。

日常生活での取り組み

以下のような生活習慣改善策を守ることも放射線肺炎の再発予防につながります。

  • 禁煙
  • 適度な運動
  • バランスの取れた食事
  • 十分な睡眠
  • ストレス管理

これらの生活習慣の改善は肺の炎症リスク低下、免疫機能の向上、抗酸化作用の強化といった効果があるだけでなく、全身の健康維持にも役立つでしょう。

定期的な経過観察:再発の早期発見

再発を早く見つけ、迅速に対応するためには定期的な経過観察で血液検査・画像検査を行い最新の全身状態を把握しておくことが大切です。

環境因子への注意:再発のきっかけを避ける

環境因子も放射線肺炎の再発リスクに影響を与える可能性があります。特に以下の環境因子に注意しましょう。

  • 大気汚染
  • 職場での粉じん吸入
  • 極端な温度変化
  • 高地での生活

放射線肺炎の治療費

放射線肺炎の治療費は診断から長期的な管理まで様々な要素が含まれ、患者さんによって大きく異なります。初診料から入院費用まで治療にかかる費用の内訳を知ることが重要です。

初診・再診料

初診料は2,910円程度、再診料は750円程度です。その他各種加算などが算定されることがあります。

検査費用

検査項目概算費用
胸部CT14,700円~20,700円
肺機能検査2,300円~5,700円

薬剤費

ステロイド薬や免疫抑制剤の費用は月額約2,000〜10,000円程度です。

入院費用

詳しく述べると、日本の入院費計算方法は、DPC(診断群分類包括評価)システムを使用しています。
DPCシステムは、病名や治療内容に基づいて入院費を計算する方法です。以前の「出来高」方式と異なり、多くの診療行為が1日あたりの定額に含まれます。

主な特徴:

  1. 約1,400の診断群に分類
  2. 1日あたりの定額制
  3. 一部の治療は従来通りの出来高計算

表:DPC計算に含まれる項目と出来高計算項目


DPC(1日あたりの定額に含まれる項目)出来高計算項目
投薬手術
注射リハビリ
検査特定の処置
画像診断(投薬、検査、画像診断、処置等でも、一部出来高計算されるものがあります。)
入院基本料

計算式は下記の通りです。
「1日あたりの金額」×「入院日数」×「医療機関別係数※」+「出来高計算分」

例えば、14日間入院とした場合は下記の通りとなります。

DPC名: 間質性肺炎 手術処置等1なし 手術処置等2なし
日数: 14
医療機関別係数: 0.0948 (例:神戸大学医学部附属病院)
入院費: ¥375,790 +出来高計算分

保険適用となると1割~3割の自己負担であり、更に高額医療制度の対象となるため、実際の自己負担はもっと安くなります。
なお、上記値段は2024年6月時点のものであり、最新の値段を適宜ご確認ください。

以上

参考にした論文