在宅酸素療法を受けながらでも体を清潔に保ち、心身をリフレッシュするために入浴は大切です。
ただし、酸素供給装置や鼻カニューレを使った酸素吸入を行いながら入浴する場合は安全に留意する必要があります。
入浴時の体力消耗や機器の取り扱いなど不安に思われる方も少なくありません。
この記事では在宅酸素療法における入浴をより安心して行うために、事前に行う準備や日常的な注意点を詳しく解説します。
適切な方法で入浴を続けることで、生活の質を維持しながら快適な毎日を送れるようにしましょう。
在宅酸素療法中に入浴する重要性とメリット
在宅酸素療法を行う方の中には入浴時に酸素チューブが邪魔になったり、浴槽内で息切れを感じたりするのではないかと不安を抱える人が多いです。
しかし、入浴によって心身のリラックスや血行促進が得られることは大きなメリットです。
ここでは在宅酸素療法中に入浴する意義と、得られるさまざまな良い効果についてご紹介します。
QOL向上
日々酸素吸入を行う方にとって普段の生活をいかに快適に送れるかは大きなテーマです。
入浴によって汗を流し、清潔な身体を保つことは気分を軽くするだけでなく、生活の質(QOL)を高めるきっかけにもなります。
また、身体を温めることで筋肉の緊張がほぐれ、呼吸の負担が和らぐ場合もあります。
リラックス効果
湯船に浸かると全身が温まり、血管が拡張するため血流が促進されやすくなります。その結果、全身の筋肉が緩み、ストレスや疲労を軽減する効果が期待できます。
在宅酸素療法下でも適度な湯温で短時間の入浴を行うだけでも十分なリラックス効果があります。
清潔保持
在宅酸素療法を行うとき、鼻カニューレなどを使って酸素吸入をする機会が多いです。
清潔な身体を維持することは感染症予防にも役立ちます。特に皮膚が弱い方や寝たきりに近い状態が続いている方にとっては皮膚トラブルを未然に防ぐためにもこまめな入浴や清拭が重要です。
循環促進
適度な入浴は血液循環を促進し、手足の冷えやむくみを軽減する働きがあります。身体が温まることで末梢血管が開き、全身に血液が行き渡りやすくなります。
呼吸器だけでなく、心臓や血圧の面でも負担が軽くなる場合がありますので、医師の指示に従いながら上手に入浴を取り入れましょう。
在宅酸素療法と入浴による身体の変化
身体の部位 | 入浴による効果 | 期待できるメリット |
---|---|---|
呼吸器 | 温熱効果で呼吸筋が緩みやすい | 息苦しさの軽減 |
循環器 | 血管拡張による血流促進 | むくみや冷えの軽減 |
筋肉・関節 | 温めることで緊張がゆるみやすい | 痛みやこわばりの緩和 |
皮膚 | 汗や汚れを洗い流せる | 感染予防や皮膚トラブルの防止 |
精神面 | リラックス効果 | ストレスや不安感の軽減 |
入浴時の酸素療法の基本
在宅酸素療法においては酸素の供給方法や流量など医療スタッフや医師から指示を受けることが多いです。入浴中でもそれらの指示を守ることで、より安全に酸素を取り込みながら体を洗えます。
ここでは入浴前に把握しておくべき酸素療法の基本的なポイントをご紹介します。
酸素供給装置の種類
在宅酸素療法で使用する機器には酸素濃縮器やボンベ型、液体酸素型などいくつかの種類があります。
各装置によって特性や取り扱いの注意点が異なるので自宅で利用している装置の特徴をよく理解しておきましょう。
入浴時は装置を湿気や水分から守り、故障や感電リスクを回避する必要があります。
酸素流量の管理
酸素流量(L/分)は医師の指示のもと設定しているはずです。
入浴時に流量を変更すると呼吸状態に影響が出る可能性があります。もし息苦しさを感じるようなら自己判断で流量を上げ下げせず、医師や医療スタッフに相談すると安心です。
また、浴室に入ることで温度変化が起こり、呼吸が乱れるケースも考えられるので、注意深く体調を観察しましょう。
医療スタッフとの連携
日ごろから担当医や看護師との連絡を密にしておくことが重要です。
入浴に関する具体的な不安や疑問点を相談することで個々の病状や家庭環境に合った指導を受けられる可能性があります。
特に心疾患や呼吸器疾患を併発している場合は入浴での血圧変動や息切れのリスクを防ぐために、事前に十分な説明を受けておきましょう。
鼻カニューレの正しい装着方法
鼻カニューレは酸素吸入を行ううえでよく使われる器具です。
入浴時にもカニューレをつけたまま入る場合が多いですが、長さがあるチューブが濡れたり引っかかったりすると転倒の危険が増します。
ゴムバンドなどでチューブを束ねて外れにくく工夫することで浴槽内での動きがしやすくなります。
入浴時に配慮すべき装置周辺のポイント
- 濡れやすい場所をさける
- 延長チューブの長さを過剰に長くしすぎない
- 機器のコンセント周辺は水がかからない位置に
- 入浴後は機器を拭き取り、湿気を減らす工夫を
入浴前に準備しておくこと
安全に入浴をするためには事前の準備が大きく影響します。酸素吸入しながら入浴する場合には特に入念な確認が必要です。
ここでは周囲の環境づくりから持ち物の用意、温度管理まで、押さえておきたいポイントを解説します。
周囲の安全対策
浴室は滑りやすく、転倒事故が起きやすい場所です。さらに、在宅酸素療法を行う方にとっては入浴中の動作が普段以上に負担になる可能性があります。
そのため、床に滑り止めマットを敷く、手すりを取り付けるなどの対策を検討すると安心です。
また、高齢者や体力に自信のない方は浴槽へ入るときに踏み台を使うなど、できるだけ身体への衝撃を少なくする工夫が大切です。
入浴前に確認したい安全チェックリスト
- 浴室や脱衣所の温度が低すぎないか
- バスマットやスリッパは滑りにくいものか
- 酸素チューブに足をひっかける危険がないか
- 入浴中に呼び出しができる手段(呼び鈴など)があるか
- 酸素供給装置は正しく作動しているか
準備する物品一覧
入浴前に必要な物品をまとめておくと、慌てることなくスムーズに入浴ができます。
特に酸素チューブを外さずに動き回るのは転倒の危険を伴うので、取りに行き忘れを減らすための準備が重要です。
タオルや着替え、シャンプーなどをあらかじめ使いやすい位置に用意しておきましょう。
入浴時にそろえておきたい物品と役割
物品 | 役割 | 設置場所 |
---|---|---|
タオル | 体を拭く、冷えを防ぐ | 脱衣所や浴室の手の届く範囲 |
替えの下着・衣類 | 入浴後の着替え | 脱衣所付近 |
洗浄剤(シャンプーなど) | 清潔保持、頭皮や皮膚の汚れを落とす | 浴室の整理された場所 |
浴槽のフタ | 入浴前に湯温を保つ、転倒を防ぐための補助 | 浴槽近く |
バスマット | 転倒防止 | 脱衣所や浴室の入口 |
手すり | 立ち座りを楽に、転倒防止 | 浴槽の縁や壁に設置 |
入浴前の健康チェック
入浴に際して体温や脈拍、血圧などの基本的なバイタルサインを確認することをおすすめします。
特に酸素飽和度(SpO2)は入浴によって変動しやすいです。脈拍計やパルスオキシメーターを用いて数値を把握しておくと安心です。
普段よりも値が低い、もしくは大きく変動する場合は、無理をせず医師へ相談しましょう。
温度と湿度のコントロール
冬場は浴室や脱衣所との温度差によるヒートショックのリスクが夏場は脱水や熱中症のリスクが生じやすいです。
入浴の快適性だけでなく、安全面からも温度と湿度の管理が重要といえます。
浴室が寒いと感じる場合は浴室暖房を活用するなどして、急激な温度差が生まれないように気をつけましょう。
入浴前に把握したい温度と湿度の目安
場所 | 温度目安 | 湿度目安 | 理由 |
---|---|---|---|
浴室 | 24~28℃ | 50~60%前後 | 暑すぎず寒すぎない環境を確保する |
脱衣所 | 22~26℃ | 50~60%前後 | 入浴前後の温度差を減らし、ヒートショック対策 |
居室(寝室など) | 20~25℃ | 40~60%前後 | 長時間滞在する場所なので適度な管理が必要 |
入浴時の手順と注意点
在宅酸素療法中の入浴は少しの手間と注意で安心度が大きく変わります。
ここでは具体的な流れと気をつけるべきポイントを挙げます。正しい方法を身につけることで必要以上の不安やリスクを軽減できます。
浴槽での姿勢
湯船に入るとき、思わず深く体を沈める方も多いですが、在宅酸素療法を行う方は浅めに浸かることが推奨されるケースがあります。
胸までしっかり湯につかると、胸部に水圧がかかって呼吸が苦しくなる場合があるためです。
椅子付きの浴槽や半身浴スタイルで無理なく呼吸を保てる姿勢を探りましょう。
入浴をラクにする姿勢のポイント
- 浴槽の縁に背中を預ける
- 浅めのお湯にして上半身をやや外に出す
- 入浴チェアを利用する
- 軽く膝を曲げてリラックスする
酸素チューブの位置
鼻カニューレで酸素吸入を続ける場合、チューブが浴槽内に浸らないように工夫が必要です。
ある程度の長さがあるチューブは後ろでまとめたり、クリップで浴衣やバスタオルに固定したりすると、足元に絡みにくくなります。
水が誤ってチューブに入り込むと呼吸が乱れる原因になるため注意してください。
体力の消耗を防ぐ方法
お湯に浸かると血行が良くなり体が温まる一方で、長湯をすると体力を消耗しやすくなります。
特に在宅酸素療法を要する方は心肺機能に負担がかかりやすいので、入浴時間や湯温に配慮してください。
シャワーや洗髪などで立ちっぱなしになる場合は途中で休憩するなどして息切れを起こさないよう工夫が必要です。
入浴時間の目安
医師の指示や個々の状態にもよりますが、一般的には10~15分程度の湯船での滞在が目安とされています。それ以上長引くと息苦しさや血圧の急上昇を招く可能性があります。
実際には体力や体調によっても変わるので、こまめに自分の状態を確認しながら入浴を続けましょう。
入浴時間の長さとリスクの関係
入浴時間 | 可能性がある状態 | 対処法 |
---|---|---|
5分以内 | 体が温まりきらない、洗髪や洗身が十分でない | 短時間で完結する方法を考える |
10~15分 | 適度に体が温まりリラックス状態 | こまめに休憩や深呼吸をはさむ |
20分以上 | 血圧上昇や息苦しさ、めまい、体力消耗などが出やすい | 入浴を一時的に中断し、脱衣所で休む |
介助が必要な場合のポイント
一人での入浴に不安がある場合や体力的に厳しい場合は家族や介助者によるサポートが求められます。
入浴はプライバシーの面でもデリケートなので、できるだけ本人の意思を尊重しつつ、安全を優先したサポートを行うことが大切です。
自宅でのサポート体制
在宅介護では家族や訪問介護員などが中心となり、日常生活のケアを行うことが多いです。
入浴介助に慣れていない人でも基本的な手順や安全策を把握していれば、大きな事故を未然に防げます。声掛けや温度調節など、細やかな配慮が重要です。
介助者が押さえておきたいポイント
- 本人の意志とペースを尊重する
- 入浴前に必要物品をまとめて用意する
- 温度や湯量の確認を適切に行う
- チューブの扱いに気を配る
スムーズな呼吸を確保する工夫
介助を行う際は本人がスムーズに呼吸できるかを常に気にかけてください。浴室は湿気がこもりやすく、温度変化も激しいため、こまめにドアを開けて空気の通りをよくする方法があります。
また、シャワーをかけるタイミングや顔を洗うときなどはできるだけ顔付近に水がかからないよう、本人が息苦しさを感じない姿勢を保つ工夫も大事です。
介助者が知っておくべきリスク
入浴介助には多くのリスクが潜んでいます。足元が濡れて滑りやすい状態で支えようとすると、介助する側も転倒する危険があります。
また、無理な姿勢で身体を支え続けると腰痛や筋肉痛の原因になることもあります。
安全を確保するためには必要に応じて手すりや椅子を活用して介助者自身の身体への負担を減らす工夫が求められます。
トラブルが起きたときの対応策
入浴中に体調が急変するケースが考えられます。強い息苦しさ、胸の痛み、めまいなどがあれば直ちに入浴を中止し、乾いた場所で休むようにしましょう。
必要に応じて救急要請や医師への連絡も視野に入れたほうが安心です。特に心疾患を持つ方や高齢の方の場合は入浴前に非常時の連絡手段をあらかじめ確認しておくことが大切です。
介助中に起こりうるトラブル例と対処
トラブル内容 | 対処・対応 | 連絡先や次の行動 |
---|---|---|
息苦しさ、SpO2低下 | 入浴を止めて休憩、装置の作動確認 | 状況により医師や看護師へ連絡 |
転倒・打撲 | まずは安静にし、ケガの状況を確認 | 痛みや腫れが強い場合は受診 |
シャワーや湯が顔面に | 呼吸しやすい姿勢に誘導 | 状況により酸素チューブの再装着を確認 |
浴室内の破損 | 落ち着いて安全な場所に誘導 | 破損した箇所の修理や業者への連絡 |
日常生活で気をつけること
在宅酸素療法を続けながら入浴を行う際、入浴以外の日常場面でも注意を払っておくと急な体調の悪化やトラブルを未然に防ぎやすくなります。
入浴だけではなく、生活全般で気をつけるべきポイントを押さえておきましょう。
食事や水分補給
入浴前後は食事や水分補給のタイミングを見直すことが大切です。
満腹状態で入浴すると胃に血液が集中し、呼吸に負担がかかる可能性があります。一方、脱水状態で入浴すると血液が濃縮されて血栓リスクが高まるケースもあります。
適度な水分補給を心がけ、なるべく空腹でも満腹でもない状態での入浴が望ましいです。
食事と入浴のタイミングで気をつけること
- 食後30分から1時間は休憩してから入浴する
- 脱水が気になる場合は少量ずつこまめに水分補給をする
- 冷たい飲み物ではなく、常温や温かいものを選ぶ
- 塩分濃度の高すぎる飲食物を避ける
安全な移動や歩行
浴室への移動や階段の昇降など在宅酸素療法中は移動だけでも息切れを感じやすくなる場合があります。
歩行器や杖が必要な人は無理をせず、転倒しないように気をつけましょう。
チューブを引きずらないように普段から整理整頓を心がけることも大切です。
感染症の予防と衛生管理
在宅酸素療法を行う方は呼吸器感染症にかかりやすい傾向があります。特に鼻カニューレを使う場合、鼻や口元から細菌やウイルスが入りやすい状況が考えられます。
手洗いやうがいの徹底、定期的な換気の実施など、基本的な感染予防策を忘れずに行いましょう。湿度管理も、カビや細菌の繁殖を防ぐ上で重要です。
緊急時の連絡先
万一の事態に備え、医療機関や介護サービスの連絡先をわかりやすい場所に掲示しておくと安心です。急な体調不良や機器トラブルに見舞われた際、スムーズにサポートを受けられます。
また、家族や近隣の知人にも連絡方法を伝えておくと、いざというときに迅速な協力が得られます。
把握しておきたい連絡先の例
連絡先 | 用途 |
---|---|
かかりつけ医 | 体調不良や治療方針の相談 |
訪問看護ステーション | 日常的な看護ケアやトラブル時のアドバイス |
救急(119) | 緊急時、救急搬送が必要な場合 |
酸素機器メーカー | 機器トラブル時の修理や交換の相談 |
親戚や知人 | 急なトラブル発生時のサポート要請 |
よくある疑問への回答
在宅酸素療法で入浴を続ける中で気になる疑問や不安は多くの方が抱くものです。
ここでは代表的な疑問点とその対処方法を解説します。適切な情報を得ることで、安心して日々のケアに取り組みやすくなります。
入浴中に息切れしたらどうする?
入浴中に息切れや胸の圧迫感を感じる場合はいったん浴槽から上がり、深呼吸や休息をとりましょう。
浴槽のお湯が胸まで来ていると圧力がかかりやすいので半身浴に切り替えるのも方法です。
苦しさが続くならシャワーのみにする選択肢もあります。息切れがひどいときは無理をせず、中断して医師に相談すると安心です。
鼻カニューレへの水の浸入
鼻カニューレに水が入ると呼吸が乱れたり不快感を覚えたりすることがあります。
基本的には鼻カニューレのチューブが浴槽に浸からないように気をつければ問題は少ないですが、洗髪時にシャワーが顔にかかり、鼻に水が入るときも油断は禁物です。
シャワーヘッドをなるべく下向きにして使用し、顔付近の水流が激しくならないようにしましょう。
チューブが長いと危険?
在宅酸素療法では生活しやすいように延長チューブを使って部屋の中を自由に動けるようにしている方もいます。
ただし、長すぎるチューブは足に絡まりやすく、転倒リスクを高めます。入浴時は必要最低限の長さに調整し、チューブが床にだらしなく垂れないように留め具などでまとめましょう。
延長チューブの長さに応じたリスクと対処
チューブの長さ | 使いやすさ | 転倒リスク | 対策 |
---|---|---|---|
2~5m程度 | 移動が限定される | リスクは比較的低い | ヘッドを室内でこまめに移動 |
5~10m程度 | 家の中をある程度自由に動ける | 転倒や絡みのリスクが増す | クリップで固定し、通り道を整理 |
10m以上 | 広い範囲をカバー | 大きく絡む危険が高い | 不必要に長くしない、マットを敷く |
入浴する頻度や時間帯
頻度や時間帯については各々の体調や生活リズムに合わせて調整しましょう。
体調が不安定な日はシャワーだけにする、もしくは洗体だけで済ませるなど柔軟に考えましょう。
朝に入浴すると活動がしやすくなるという人もいれば、夜に入浴して疲れを取り、睡眠を深めるほうが合う人もいます。重要なのは無理をしない範囲で継続できるタイミングを選ぶことです。
まとめと受診のすすめ
在宅酸素療法を続けながらの入浴は適切な注意点と準備を踏まえれば決して難しいことではありません。
ここでは受診のタイミングや症状の変化への気づき方など日々の入浴習慣をより安心して続けるための要点を整理します。
受診のタイミング
以下のような兆候が見られたときは早めに主治医の診察を受けるとよいでしょう。
無理をして入浴を続けると、思わぬ事故や健康悪化につながる可能性があります。
- 入浴中に息苦しさやめまいが頻発する
- 心拍数が異常に高くなったり、不整脈を感じる
- 入浴後に強い疲労感や脱力感が長引く
- 体重の急激な増加やむくみ、胸の圧迫感など
症状の変化に気づくには
在宅酸素療法では日常の小さな変化を見逃さないことが大切です。
パルスオキシメーターでSpO2(酸素飽和度)を定期的に測定し、普段よりも数値が著しく低い場合は医療スタッフに相談しましょう。
入浴時や入浴後の呼吸状態や疲労度もこまめにチェックしておくと体調管理がしやすくなります。
心強いサポート体制を築く
自宅での療養生活は本人だけでなく家族にも大きな負担がかかります。
訪問看護や訪問介護などの専門サービスを活用することで、入浴介助や日常的なケアを支えてもらえる可能性があります。
また、酸素供給装置のメーカー窓口や地域の相談窓口などを活用して、困ったときにすぐ連絡できる状態を整えておくと安心です。
在宅酸素療法との上手な付き合い方
在宅酸素療法と共に生活することは酸素吸入機器の取り扱いや体調管理など、さまざまな制限もあります。
しかし、自分に合った入浴スタイルを確立し、日常生活全般で無理なくケアを続けることで、QOLの維持に大きくつながります。
わからないことや不安なことがあれば遠慮せずに医療スタッフや専門家へ相談してください。
以上
参考にした論文
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