夜中に咳が止まらない状況は睡眠不足や疲労感を引き起こすだけでなく、呼吸器のトラブルが潜んでいる場合もあるため注意が必要です。
単なる風邪や花粉症の延長と考えがちですが、場合によっては長く続く慢性的な症状へつながる可能性もあります。
自宅で取り入れられる対処法を知り、どのような症状なら医療機関を受診すべきかを理解すると安心して夜を過ごしやすくなります。
本記事では夜中の咳の原因や対処法、受診タイミングについて解説し、呼吸器内科の検査や治療の流れ、さらには予防方法まで幅広く紹介します。
夜中の咳で困っている方が多い理由
夜中の咳が長く続くときには単純な風邪とは異なる原因が隠れていることがあります。眠れないほどの咳が続くと心身の疲労が増し、日中の活動に支障をきたすことも少なくありません。
ここでは多くの方が夜中の咳で悩む理由や、その背景にある代表的なポイントを紹介します。
夜になると咳が強まるしくみ
体は横になると気道に分泌物がたまりやすくなり、気管支を刺激しやすくなることがあります。
また、夜間は副交感神経が優位になり、気道が過敏になると言われています。その結果、夜中の咳がひどくなる方も多いです。
花粉症やアレルギー性鼻炎がある場合、鼻水が喉へまわる後鼻漏(こうびろう)が強まり、寝る姿勢によって咳を誘発することも考えられます。
慢性的な咳のサインとは
慢性的な咳が続くときには喘息や気管支炎などの疾患が隠れているケースもあります。
長期的な咳は明らかな発熱や倦怠感がなくても進行している場合があるため、たかが咳と軽視しないことが大切です。
咳が2週間以上続く場合は医療機関を検討したほうがよいかもしれません。
夜中に咳が止まらない場合の心理的影響
夜中の咳が収まらないと眠れないストレスが溜まり、日中にだるさや集中力の低下を招きやすくなります。眠気が抜けない状態が続くと、仕事や学業だけでなく家事にも支障をきたす恐れがあります。
焦りと不安が増すとさらなる咳を誘発し、悪循環に陥ることもあるので注意してください。
家族や周囲への影響
夜中の咳が続くと同居の家族やパートナーの睡眠も妨げてしまいます。
小さなお子さんがいる家庭などではお互いが睡眠不足に悩まされ、心身の不調を訴えるケースもみられます。そのため、早めの原因究明や対処が重要です。
夜中の咳が増える背景
背景 | 内容 |
---|---|
横になる姿勢 | 気道に分泌物がたまりやすくなるため、気管や喉を刺激しやすい |
副交感神経の影響 | 夜間は副交感神経が優位になり、気道が過敏になりやすい |
後鼻漏 | アレルギー性鼻炎や花粉症で鼻水が喉へ流れやすく、咳を引き起こすことがある |
慢性的な要因 | 喘息や気管支炎など長引く疾患が関係していることもある |
ストレス要因 | 眠れないことからくる焦りが咳を増幅させ、悪循環につながる |
咳の原因を一つに絞ることは難しいですが、上記のような背景が組み合わさる場合は夜中の咳が止まらない状態が続きやすくなります。
夜中の咳を軽減するために気をつけたい点
- 就寝前に部屋の温度や湿度を調整する
- 花粉症やアレルギーがある場合は寝具のホコリ対策をする
- 鼻づまりがあるときは一時的に上体を少し起こして寝る
- 適切に水分を摂り、喉を潤しておく
上記のような対策を心がけると夜中の咳が軽減するケースもあります。
夜中に咳が止まらない場合に考えられる原因
夜中の咳が続く原因は1つではなく、いくつかの疾患や状態が複合的に関わっていることがあります。
ここでは代表的な原因として挙げられる3つの例を紹介します。自分の咳の特徴や生活習慣を照らし合わせながら読むと、受診のきっかけをつかみやすくなります。
気管支喘息の可能性
気管支喘息は気道が過敏になりやすく、炎症が起こって気道が狭くなる疾患です。夜間や早朝に咳や息苦しさが悪化する特徴があります。
喘息の方はアレルギー体質を持つことも多く、花粉症やアトピー性皮膚炎などがある場合、症状が強まりやすい傾向にあります。
気管支が過敏になっている状態で、ホコリや冷たい空気などに触れると咳が誘発されやすくなるため注意が必要です。
後鼻漏による咳
鼻水が喉の奥へ流れる後鼻漏はアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などが関係することがあります。
後鼻漏によって喉が常に刺激されると、夜中に咳が止まらない状態になることもあります。特に横になると、鼻水が喉にダイレクトに流れ込みやすくなるため、寝入りばなに咳込む方が少なくありません。
マスクの着用や鼻うがいなどで鼻腔内を清潔に保つと、症状が和らぎやすくなるケースがあります。
逆流性食道炎(GERD)
胃酸が食道に逆流すると胸やけだけでなく咳の原因にもなる場合があります。横になる姿勢が続くことで胃酸が上に上がりやすくなり、気管や喉を刺激してしまうことがあります。
食事直後の就寝や、脂っこいものを食べた後にすぐ横になる習慣があると、夜中の咳を引き起こしやすくなるため注意が必要です。
枕を高くして寝たり、夕食の時間を少し早めにしたりするだけで、症状の緩和が期待できるケースがあります。
夜中の咳を引き起こしやすい主な原因
原因 | 主な特徴 |
---|---|
気管支喘息 | 夜間・早朝に咳と息苦しさが増す |
後鼻漏 | 鼻水が喉に流れ込み、咳を誘発する |
逆流性食道炎(GERD) | 胃酸の逆流が喉を刺激し、咳や胸やけの症状を起こす |
原因が特定できると対策も取りやすくなります。
ただし、自己判断だけでは適切な治療につながりにくい場合もあるので、長引くようなら受診を検討しましょう。
夜中の咳と関連する生活習慣の注意点
- 就寝前の飲食量が多い場合は少し控える
- 部屋の掃除や換気をこまめに行い、ホコリの蓄積を防ぐ
- 喫煙習慣がある場合は早期の禁煙を検討する
- 早朝や夜間に運動をするときは外気温と花粉量に注意する
生活習慣を見直すだけで症状が改善することがあります。特に喫煙は気管支の炎症を起こしやすく、咳を長引かせる大きな要因の1つです。
眠りを妨げる咳の特徴
同じ咳でも時間帯によって感じ方や原因が変わることがあります。夜中の咳が長引くときは咳の種類や特徴を見極めることが重要です。
ここでは眠りを妨げる咳の代表的なパターンと、その背後にある可能性について触れていきます。
ドライな咳と湿った咳
咳には痰を伴わないドライな咳と、痰を伴う湿った咳があります。
夜中に繰り返し出るドライな咳は気管支喘息やアレルギーが原因の可能性が高いです。一方、湿った咳は気管支炎や肺炎などで痰が増えている場合に多くみられます。
どちらのタイプかを把握すると原因を絞りやすくなります。
急性の咳と慢性の咳
咳が出始めてからの期間によって、「急性の咳」と「慢性の咳」に分けられることがあります。
急性の咳は風邪や一時的な刺激が原因となることが多いですが、2週間以上続く場合は慢性化の兆候が考えられます。
夜中の咳が2週間以上長引く場合は炎症やアレルギー、気管支の慢性疾患など幅広い原因を疑う必要があります。
他の症状がある場合に注意する点
咳に加えて胸痛や血痰、呼吸困難を伴う場合は肺炎や結核など重い病気が隠れている可能性がゼロではありません。
また、発熱が続き体力が著しく低下しているときも注意が必要です。早い段階で医療機関を受診することで大きな病気を見逃さずに済むことがあります。
咳のタイプ別で考える目安
咳のタイプ | 特徴 | 考えられる主な原因 |
---|---|---|
ドライな咳 | 痰が少なく、空咳が続きやすい | 気管支喘息、アレルギー性咳嗽など |
湿った咳 | 痰が多く、ゴロゴロ音がある | 気管支炎、肺炎、喫煙による慢性咳など |
急性の咳 | およそ2週間以内で治まる | 風邪、ウイルス感染など |
慢性の咳 | 2週間以上続き、改善が遅い | 気管支喘息、後鼻漏、慢性気管支炎など |
表を参考にして自分がどのタイプの咳に該当するか意識してみると、原因を整理しやすくなります。
夜中の咳が眠りに与える影響を抑える工夫
- 部屋を加湿し、喉を乾燥させない
- 睡眠前のアルコールやカフェインを控える
- 枕の高さを調整して上体を少し高く保つ
- 寝具や枕カバーを定期的に洗濯してダニやホコリを減らす
寝具や生活習慣を見直すことで咳による睡眠妨害を和らげる場合があります。
夜中の咳を放置するとどうなるか
夜中の咳を甘く見ると知らないうちに体への負担が蓄積し、日常生活に支障をきたす場合があります。さらに、場合によっては深刻な呼吸器系の病気へ発展する可能性も否定できません。
ここでは夜中の咳を長期間放置した場合に生じる問題点について見ていきましょう。
睡眠の質の低下
夜中の咳が続くと何度も目が覚めて熟睡できなくなることがあります。不十分な睡眠は翌朝の体調不良や意欲低下につながり、精神的にも疲労感を増幅させます。
さらに、眠りが浅い状態が長く続くと自律神経のバランスが乱れて体調を崩しやすくなる恐れがあります。
感染症や合併症のリスク
咳はウイルスや細菌による感染症が原因のこともあり、体力が落ちるとさらに症状が進行しやすくなります。
特に肺炎や気管支炎などの合併症を起こすと長期的な治療が必要になるケースもみられます。
また、免疫力が低下すると別の感染症にかかりやすくなる可能性もあるので注意が必要です。
慢性的な呼吸器疾患への発展
夜中に咳が止まらない状態が長引くと気管支や肺へのダメージが蓄積し、気管支喘息や慢性気管支炎といった慢性疾患のきっかけになることがあります。
早い段階で原因を突き止めて対処することは将来の健康を守るうえでも重要です。
夜中の咳を放置した場合の身体的・精神的影響
影響 | 内容 |
---|---|
睡眠不足 | 夜間に何度も咳込み、深い眠りを得られない |
体力・免疫力の低下 | 疲労の蓄積によって免疫力が下がり、感染症にかかりやすくなる |
長期的な呼吸器ダメージ | 慢性疾患へ発展すると、さらに咳や呼吸苦を伴う生活に悩まされる可能性がある |
精神的ストレスの増大 | 咳を気にして眠れず、不安や焦りが高まる |
夜中の咳を軽視すると症状が進行して慢性化し、治療に時間がかかる場合があります。特に高齢者や小児など体力の弱い方は合併症を起こしやすいので注意が必要です。
夜中の咳を放置しないための注意事項
- 2週間以上続く咳には医療機関の受診を検討する
- 高齢者や小児は、短期間でも症状が強い場合は早めの相談が必要
- 睡眠が妨げられて日中の倦怠感が重い時は無理せず体を休める時間をつくる
- 家族や同居人がいる場合は周囲の睡眠環境も考慮して対策を取る
咳を我慢して生活を続けるのではなく、原因を見極めて正しい治療やケアを行うことが症状の悪化防止につながります。
自宅でできる咳への対処法
夜中の咳が止まらないときは、まず自宅でできるケアを試してみることが有効です。日常のちょっとした工夫で気道をケアし、咳を和らげることを目指しましょう。
ただし、症状があまりにも長引いたり悪化したりする場合は医療機関を受診してください。
喉を潤す方法
喉の乾燥は咳を誘発しやすいです。寝る前に水分を適度にとったり、就寝時に加湿器を使ったりすると喉が潤い、咳が起きにくくなることがあります。
うがいやマウスウォッシュで口内を清潔にするのも効果的です。
飲み物としては、刺激の強くないハーブティーやぬるめの白湯などがおすすめです。
体勢の工夫
横になると気道に分泌物が停滞しやすく、咳込みにつながることがあります。
少し上体を高くして寝るだけで、喉への刺激を軽減できることがあります。枕を2つ重ねる、もしくは足側を少し下げるなどして角度をつけると効果を実感しやすいです。
就寝前に体を温めると血行がよくなり、気道もリラックスしやすくなります。
薬に頼らないケア
市販の鎮咳薬を使う前に日常的にできるケアを取り入れてみることも大切です。例えば温かいはちみつレモンや生姜湯を飲むと喉が温まり、イガイガ感が軽減することがあります。
就寝前に喉飴を舐めるのも喉を保湿するうえで役立ちます。
自宅で取り入れやすい夜中の咳対策
対策 | 内容 |
---|---|
喉を潤す方法 | 水分補給、加湿器の利用、うがいなどで喉の乾燥を防ぐ |
体勢の工夫 | 上体を高くして寝ることで痰や鼻水の刺激を軽減 |
薬以外のケア | はちみつレモンや生姜湯、喉飴などで喉を保護 |
生活習慣の見直し | 就寝前の過度な飲食やアルコールの摂取を控える |
これらの方法を試しても症状が改善しない場合は医療機関の受診を検討することが賢明です。
自宅ケアを行うときに意識したいポイント
- 部屋の湿度は40~60%程度に保つと過度な乾燥を防ぎやすい
- 鎮咳薬を使う場合は用法用量を確認し、副作用にも注意を払う
- 香りの強いアロマは逆に気道を刺激する場合があるので少量から試す
- ストレッチや軽い運動で血行を促し、筋肉のこわばりをほぐす
自宅でのケアと医療機関での適切な治療を組み合わせることで咳の原因にアプローチしやすくなります。
病院へ行くべきタイミング
咳が止まらないとき、どのタイミングで病院を受診すればいいのか迷うことがあるかもしれません。
早すぎても大げさと思われるのではと気が引けますし、遅すぎると症状が悪化するリスクがあります。
ここでは受診の目安や重症化のサインなどを解説します。
受診の目安
咳が2週間以上続く場合は、ただの風邪ではない可能性を疑う必要があります。さらに高熱を伴う咳や、痰に血が混じる場合は早めの受診を考えましょう。
また、喘鳴(ぜんめい:ヒューヒュー、ゼーゼーという音)が聞こえる場合や、夜中の咳があまりにも強くて息苦しさを感じる場合も呼吸器内科や耳鼻咽喉科への受診を検討してください。
症状が長引く場合のリスク
咳が長期間続くと体力の消耗だけでなく肺や気管支に負担をかける可能性があります。
気管支喘息や慢性気管支炎などに移行すると、日常生活で息苦しさや疲労を感じる場面が増える恐れがあります。長引く咳はただの感冒と片付けず、見過ごさないことが大切です。
重症化のサイン
息切れや胸の痛み、血痰、強い倦怠感がある場合は重症のサインかもしれません。場合によっては肺炎や結核、肺がんなど重大な疾患が隠れていることがあります。
特に高齢者や基礎疾患がある方は早めに検査を受けたほうが安心です。
受診の目安を判断するための表
目安 | 内容 |
---|---|
2週間以上続く咳 | 風邪以外の要因を疑い、医療機関での検査を検討 |
痰に血が混じる | 気管支の炎症や肺の病気を念頭に早めに受診 |
息苦しさを伴う場合 | 喘息発作や心肺機能の低下の可能性を考慮 |
高齢者・基礎疾患の方 | 早期受診で重症化を防ぐことが大切 |
夜中の咳が続くときは表の項目に当てはまるかどうかを確認してみると受診タイミングを判断しやすくなります。
病院受診を迷っている方へのアドバイス
- 倦怠感や微熱がずっと続いている場合は早めに相談してみる
- 咳のタイミングや音、痰の色や量をメモし、医師に伝えると診断の助けになる
- 小児は症状悪化が早いことがあるため、少しでも長引くときは小児科に相談する
- 大人でも発作性に咳き込みが続く場合は休日診療の受診も検討する
受診を早めに行うことで慢性的な症状への移行を防ぎやすくなります。
特に呼吸器内科では専門的な検査が可能なので、必要に応じて受診先を絞ってみましょう。
呼吸器内科で行う検査と治療法
夜中の咳が止まらない状態が続く時は呼吸器内科での精密検査や治療が効果的です。
呼吸器専門の医師は肺や気管支に特化した知識を持ち、適切な検査を行って原因を明らかにしてくれます。
ここでは代表的な検査と治療法について紹介します。
画像検査(レントゲン・CTなど)
胸部レントゲンやCTスキャンなどの画像検査は、肺炎や結核腫瘍などの有無を確認するために役立ちます。
気管支炎や肺気腫といった病気も画像所見から推測しやすくなるので、夜中の咳の原因を探るうえで重要な手段です。
必要に応じて検査内容を組み合わせながら診断精度を高めます。
呼吸機能検査(スパイロメトリーなど)
気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など肺や気道の機能低下が疑われる場合に有用な検査です。
スパイロメトリーでは深呼吸や息こらえなどを行い、呼気量や吸気量を数値化して呼吸能力を測定します。
この検査結果から気道がどの程度狭くなっているのか、肺活量がどれほど落ちているのかを把握できます。
医療機関での治療法
診断の結果に応じて吸入薬や飲み薬の処方が行われます。
気管支喘息の場合は気管支拡張薬やステロイド吸入薬がよく使われますし、鼻炎が原因の後鼻漏による咳であれば抗ヒスタミン薬や点鼻薬などが選択されることがあります。
症状によってはネブライザー治療で気道を潤し、痰を排出しやすくする方法を用いることもあります。
呼吸器内科で行う主な検査・治療法
項目 | 内容 |
---|---|
画像検査 | 胸部レントゲン、CTスキャンで肺や気管支の状態を視覚的に確認 |
呼吸機能検査(スパイロ) | 呼吸器の能力を数値化し、喘息やCOPDの診断・重症度を判断 |
吸入薬 | 気管支拡張薬、ステロイド吸入薬で気道の炎症を抑え、咳や息苦しさを軽減 |
抗ヒスタミン薬 | アレルギー症状を緩和し、後鼻漏などによる咳を抑える |
呼吸器内科ではこれらの検査や治療法を組み合わせて総合的にケアします。
原因が特定しやすいため、長引く咳を抱える方にとって心強い診療科となります。
病院やクリニックでの検査や治療を受ける際のポイント
- 病院では医師の問診にスムーズに回答できるよう、症状の経過や変化を整理しておく
- 吸入薬や点鼻薬は用法用量を守り、自己判断で中断しない
- 診断後も生活習慣の改善に取り組むことで治療効果を高める
- 不安な点や疑問点は遠慮せず医療スタッフに相談する
検査や治療は医療従事者と協力しながら進めると、より効果的に症状をコントロールしやすくなります。
夜中の咳を予防する日常の習慣
夜中の咳を和らげたり予防したりするためには日々の生活習慣を整えることが欠かせません。病気の有無に関わらず、健康的なライフスタイルを維持することは呼吸器を守るうえでも大切です。
ここでは夜中の咳を予防するために心がけたい習慣を紹介します。
生活習慣の改善(食事・禁煙・運動)
バランスの良い食事は免疫力をサポートし、呼吸器の炎症を起こしにくい体質づくりに寄与します。また、喫煙習慣があると気管支に負担をかけ、咳が出やすい環境をつくり出します。
禁煙は咳の軽減だけでなく、長期的な呼吸器疾患の予防にもつながる大切な要素です。
適度な運動は血行を促進し、全身の代謝を高める効果がありますので、ウォーキングなど無理のない範囲で続けてみましょう。
室内環境の整備(ホコリ・カビ・温度調節)
部屋のホコリやダニ、カビは呼吸器に負担を与え、夜中の咳の引き金になることがあります
。寝具やカーテンを定期的に洗濯し、こまめに掃除機をかけるだけでもダニやホコリの量を抑えられます。
さらに冬場の空気の乾燥は喉を傷めやすいので、加湿器を活用しつつ適度に換気して空気を入れ替えることも重要です。
ストレスを軽減する方法
ストレスが溜まると自律神経が乱れ、夜中の咳を悪化させる要因になる場合があります。
深呼吸や簡単なヨガのポーズなどリラックスできる時間を意識的に確保するとよいでしょう。
就寝前のスマホやパソコンの使用を控え、脳を刺激しすぎない環境で寝るように心がけると睡眠の質が向上しやすくなります。
夜中の咳を予防する日常習慣
習慣・対策 | 内容 |
---|---|
食事 | ビタミンやミネラルを意識し、過度の飲酒や脂っこい食事は控える |
禁煙 | 咳だけでなく気管支全体の健康を保つために有効 |
運動 | ウォーキングやストレッチなどで血行を促進し、免疫機能を維持 |
室内環境の整備 | 掃除や洗濯、換気、適度な加湿で清潔な空気を保つ |
ストレス軽減 | ぬるめの入浴やリラックスできる音楽などで気分を落ち着かせる |
ちょっとした生活習慣の変化が夜中の咳を減らすのに大きく貢献することがあります。
毎日取り組みやすいところから始めて継続することが大切です。
日常生活を見直すヒント
- 寝室に空気清浄機を導入してホコリや花粉を減らす
- 食事は高タンパク・低脂肪のメニューを意識し、野菜をしっかり摂る
- 夜遅い時間の激しい運動や食事は避け、体を静めてから眠りにつく
- 気持ちが高ぶった日は深呼吸をしながら入浴してリラックスする
これらの習慣は咳だけでなく、全身の健康維持にも役立ちます。少しずつ取り入れて夜中の咳を予防していきましょう。
以上
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