アリロクマブ(プラルエント)とは、特定の酵素を阻害することで血中のコレステロール値を低下させる薬剤です。
この薬は心血管疾患のリスクを軽減するために使用されることが多く、特に高コレステロール血症の患者さんにとって重要な選択肢となります。
アリロクマブは注射によって投与され、定期的に使用することで効果を発揮します。
そのため、患者さんの健康管理において医師との連携が不可欠です。
この薬剤の理解を深めることで、より良い健康状態を目指す手助けとなるでしょう。
アリロクマブの有効成分と作用機序、効果
アリロクマブ(プラルエント)は、心血管疾患のリスクを低下させるために使用される薬剤です。
この項ではアリロクマブの有効成分や作用機序、効果について詳しく述べます。
有効成分
アリロクマブの有効成分はヒト型モノクローナル抗体であるアリロクマブです。
この成分はプロテインコンバーチェスサブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)という酵素に特異的に結合します。
PCSK9は肝臓の細胞表面に存在する低密度リポタンパク質受容体(LDLR)に結合してLDLRの分解を促進します。
LDLRは血中のLDLコレステロールを除去するための主要な受容体であり、PCSK9の作用によりLDLRの数が減少すると血中のLDLコレステロール濃度が上昇します。
アリロクマブはPCSK9のLDLRへの結合を阻害することでLDLRの数を増加させ、血中のLDLコレステロールを効果的に低下させます。
これにより、心血管疾患のリスクを軽減することが期待されます。
アリロクマブの投与により、LDLコレステロールのレベルが大幅に低下することが臨床試験で確認されています。
有効成分 | 説明 |
---|---|
アリロクマブ | ヒト型モノクローナル抗体でPCSK9を阻害する |
PCSK9 | LDL受容体の分解を促進しLDLコレステロールを増加させる |
作用機序
アリロクマブの作用機序はPCSK9とLDLRの結合を阻害することにあります。
PCSK9がLDLRに結合するとLDLRは肝臓内で分解され、血中のLDLコレステロールを除去する能力が低下します。
アリロクマブがPCSK9に結合することでLDLRの分解が抑制され、肝臓の細胞表面に多くのLDLRが残ります。
これによりLDLコレステロールが肝臓に取り込まれやすくなり、血中のLDLコレステロール濃度が低下します。
また、アリロクマブはPCSK9を阻害することでLDLRの数が増加してLDLコレステロールの除去が促進されます。
作用機序 | 説明 |
---|---|
PCSK9阻害 | LDL受容体の分解を防ぎ、LDLコレステロールを減少させる。 |
LDL受容体増加 | LDLコレステロールの取り込みを促進する。 |
効果
アリロクマブの主な効果は血中のLDLコレステロールを低下させることです。
この効果によって心血管疾患のリスクを減少させることが期待されます。
臨床試験ではアリロクマブを使用した患者さんが心血管イベントの発生率を有意に低下させたことが示されています。
特にスタチン44薬剤で効果が不十分な患者さんに対してアリロクマブは有効な治療選択肢となります。
効果の種類 | 説明 |
---|---|
LDLコレステロールの低下 | 血中のLDLコレステロールを効果的に減少させる |
心血管疾患リスクの低下 | LDLコレステロールの低下により心血管疾患のリスクを軽減する |
プラルエントの使用方法と注意点
アリロクマブ(プラルエント)は心血管疾患のリスクを低下させるために使用される薬剤です。
この記事ではアリロクマブの使用方法や注意点について詳しく述べます。
プラルエントの使用方法
プラルエントは心血管疾患のリスクを低下させるために使用される薬剤で、皮下注射として投与されます。
通常は医師の指示に従い、2週間ごとまたは4週間ごとに注射を行います。
注射は上腕、腹部、または大腿部の皮膚の下に行いますが、注射部位は毎回変える必要があります。
注射を行う前に薬剤を冷蔵庫から取り出して室温に戻すことが重要です。具体的には注射の30〜40分前に取り出し、温度を調整します。
また、注射する際には薬剤が透明で淡い黄色であることを確認し、異常があれば使用を避けるべきです。
使用方法 | 説明 |
---|---|
注射部位 | 上腕、腹部、大腿部の皮膚の下に注射 |
投与間隔 | 2週間ごとまたは4週間ごとに注射 |
アリロクマブは食事療法や他のコレステロール低下薬と併用することが推奨されます。
この薬剤は心血管疾患のリスクを軽減するために必要な治療の一部なのです。
アリロクマブの注意点
アリロクマブを使用する際にはいくつかの注意点があります。
まず、アリロクマブに対するアレルギー歴がある場合は使用を避けるべきです。
また、他の薬剤との相互作用があるため使用中のすべての薬剤を医師に報告することが重要です。
妊娠中や授乳中の方はアリロクマブの使用について医師と相談する必要があります。
注意点 | 説明 |
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アレルギー歴 | アリロクマブのアレルギーがある場合は使用禁止 |
他の薬剤 | 使用中のすべての薬剤を医師に報告 |
アリロクマブの使用にあたっては定期的な血液検査が必要です。
これにより治療の効果を確認し、必要に応じて投与量を調整することができます。
投与量の調整
アリロクマブの投与量は患者さんの反応に応じて調整されます。
一般的には初回投与は75mgから始め、効果が不十分な場合は150mgに増量されることがあります。
治療開始から4〜8週間後に医師が効果を評価して必要に応じて投与量を変更します。
このようにアリロクマブの投与量は患者さんの状態に応じて柔軟に調整されるため、医師との密なコミュニケーションが重要です。
投与量 | 説明 |
---|---|
初回投与 | 75mgで開始 |
増量 | 効果が不十分な場合は150mgに増量 |
注射部位の管理
アリロクマブを注射する際には注射部位の管理が重要です。
注射部位は毎回異なる場所にすることで皮膚の炎症や痛みを防ぐことができます。
注射する際には皮膚が赤くなっていたり、腫れていたりする場所を避けなければなりません。
また、注射後は注射部位を清潔に保ち、感染を防ぐために注意を払うことが求められます。
注射部位管理 | 説明 |
---|---|
針を射す場所 | 毎回異なる場所に注射する |
清潔保持 | 注射部位を清潔に保つ |
アリロクマブの使用にあたっては注射部位の管理が重要です。これにより治療の効果を最大限に引き出すことができます。
適応対象となる患者様
アリロクマブ(プラルエント)は特定の患者群に対して使用される薬剤です。
この薬剤は主に高コレステロール血症や心血管疾患のリスクを軽減するために処方されます。
以下ではアリロクマブの適応対象となる患者さんについて詳しく述べます。
高コレステロール血症の患者様
アリロクマブは特に高コレステロール血症の患者さんに対して効果的です。
具体的には食事療法やスタチン(コレステロールを下げる薬)による治療が不十分な場合に使用されます。
遺伝性の高コレステロール血症であるヘテロ接合型家族性高コレステロール血症(HeFH)の患者さんも含まれます。
HeFHは遺伝的要因によりコレステロールが異常に高くなる疾患であり、通常の治療法では十分にコレステロールを下げることができません。
適応対象 | 説明 |
---|---|
高コレステロール血症 | 食事療法やスタチン治療が不十分な患者 |
HeFH | 遺伝的要因による高コレステロール血症 |
アリロクマブは上記の患者さんにおいてLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を効果的に低下させることができます。
心血管疾患の患者様
また、アリロクマブは心血管疾患のリスクが高い患者さんにも適応されます。具体的には心筋梗塞や脳卒中の既往歴がある患者さんが対象です。
これらの患者さんは心血管イベントの再発リスクが高いため、コレステロール管理が特に重要です。
アリロクマブは心血管疾患の予防に寄与することが期待されており、心血管疾患のある患者さんにおいても使用されます。
適応対象 | 説明 |
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心血管疾患患者 | 心筋梗塞や脳卒中の既往歴がある患者 |
リスク管理 | 再発リスクを低下させるためのコレステロール管理 |
心血管疾患のリスクが高い患者さんにおいて、アリロクマブはLDLコレステロールを効果的に低下させて心血管イベントのリスクを軽減します。
さらに、アリロクマブはスタチン不耐症の患者さんにも適応されます。
スタチンとは、コレステロールを下げるための第一選択薬ですが、一部の患者さんは副作用により使用できない場合があります。
このような患者さんに対してアリロクマブは代替治療として有効です。
スタチン不耐症の患者さんは他の治療法では十分な効果が得られないことが多いため、アリロクマブの使用が推奨されます。
スタチン不耐症の患者さんにおいてもアリロクマブはLDLコレステロールを効果的に低下させることができます。
小児患者様
また、アリロクマブは8歳以上の小児患者さんにも適応されます。
特にヘテロ接合型家族性高コレステロール血症を持つ小児患者さんにおいて、コレステロール管理が必要です。
この場合アリロクマブは食事療法や他のコレステロール低下薬と併用されます。
小児患者さんにおいてもアリロクマブはLDLコレステロールを効果的に低下させることができ、安全に使用できることが確認されています。
適応対象 | 説明 |
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小児患者 | 8歳以上のヘテロ接合型家族性高コレステロール血症の患者 |
コレステロール管理 | 食事療法や他の薬剤と併用 |
このように、アリロクマブはコレステロール管理が必要な患者さんにおいて効果的な治療が提供されます。
治療期間
アリロクマブ(プラルエント)は主に高コレステロール血症の治療に使用される薬剤です。
この薬剤は患者さんのコレステロール値を効果的に低下させることが期待されており、治療期間は患者さんの状態や反応に応じて異なります。
アリロクマブの平均的な治療期間
治療を開始する際に医師は患者さんのコレステロールレベルや既往歴を考慮して最適な治療計画を立てます。
アリロクマブは通常、初回投与後に効果を評価するため、数週間から数ヶ月の間隔で血液検査を行います。
治療の継続期間は患者さんのLDLコレステロールの反応に基づいて決定されます。
一般的にアリロクマブは長期的な治療が必要な場合が多く、患者さんは数ヶ月から数年にわたってこの薬剤を使用します。
治療開始時期 | 説明 |
---|---|
初回投与 | 患者の状態に応じて決定 |
効果評価 | 数週間から数ヶ月後に血液検査を実施 |
治療を受ける患者さんは医師の指示に従い定期的にコレステロール値を測定し、必要に応じて投与量を調整します。
アリロクマブの効果が不十分な場合には投与量を増やすことを検討します。
治療の初期段階
アリロクマブの治療として初回投与の際は通常75 mgまたは150 mgの用量を選択し、2週間ごとに投与します。
この初期段階では、患者さんのLDLコレステロール値を定期的に測定して治療の効果を確認します。
治療開始から4週間後にはLDLコレステロールの変化を評価することが一般的です。
治療の初期段階では患者さんの反応を観察して必要に応じて投与量を調整します。
アリロクマブはLDLコレステロールを効果的に低下させることが期待されており、初期段階での効果が確認できたら治療を継続することが決定されます。
投与スケジュール | 説明 |
---|---|
初回投与 | 75 mgまたは150 mgを選択 |
効果評価 | 4週間後にLDLコレステロールを測定 |
治療の中期段階
治療の中期段階では患者さんのLDLコレステロール値が目標範囲に達しているかどうかを確認します。
目標値に達していない場合、医師は投与量を150 mgに増やすことを検討します。
この段階では患者さんは引き続き2週間ごとにアリロクマブを投与し、LDLコレステロールの変化を観察します。
治療の中期段階では患者さんの生活習慣や食事療法も重要な要素となります。
アリロクマブは他のコレステロール低下薬と併用されることが多く、患者さんは医師の指導のもとで治療を進めます。
この時期では患者さんの健康状態や副作用の有無も確認されます。
治療段階 | 説明 |
---|---|
中期段階 | LDLコレステロールの変化を観察 |
投与量調整 | 必要に応じて150 mgに増量 |
この段階での治療効果が確認されれば患者さんは引き続きアリロクマブを使用し、長期的な治療に移行します。
治療の長期段階
治療の長期段階では、患者さんはアリロクマブを数ヶ月から数年にわたって使用することが一般的です。
長期的な治療では定期的な血液検査を通じてLDLコレステロールの管理が行われます。
アリロクマブは心血管疾患のリスクを低下させるために重要な役割を果たします。
この段階で患者さんは医師と密に連携して健康状態を維持するための生活習慣の改善にも取り組む必要があります。
また、アリロクマブの治療を受ける患者さんは定期的に医療機関を訪れ、治療の効果や副作用について確認することが求められます。
治療期間 | 説明 |
---|---|
長期段階 | 数ヶ月から数年にわたる治療 |
定期検査 | LDLコレステロールの管理を実施 |
論文からの引用
アリロクマブの治療に関する研究では、ODYSSEY OUTCOMES試験が重要な役割を果たしました。
この試験では、アリロクマブが心血管イベントのリスクを15%低下させることが示されています。
このように、アリロクマブは長期的な治療が必要な患者さんにおいて効果的なコレステロール管理を提供します。
アリロクマブの副作用やデメリット
アリロクマブ(プラルエント)は、主に高コレステロール血症の治療に用いられる薬剤です。
この薬剤は悪玉コレステロールを効果的に低下させることが期待されていますが、副作用やデメリットも存在します。
アリロクマブの副作用には軽度から重度までさまざまなものがあり、患者さんの健康状態や使用状況によって異なるため注意が必要です。
軽度の副作用
アリロクマブを使用する際に最も一般的に見られる副作用は軽度のものです。
注射部位の反応は赤みや腫れ、痛みを伴うことがあります。
これらの症状は通常、数日以内に改善しますが、患者さんによっては不快感を感じることがあります。
インフルエンザ様症状も報告されており、これには発熱、倦怠感が含まれます。
これらの症状はアリロクマブの投与後に一時的に現れることがありますが、通常は軽度で特別な治療を必要としない場合が多いです。
筋肉痛や筋肉の痙攣もアリロクマブの使用中に見られる副作用の一つです。
これらの症状は他のコレステロール低下薬と同様にアリロクマブの使用に伴って発生することがあります。
軽度の副作用 | 発生率 |
---|---|
注射部位の反応 | 10% |
インフルエンザ様症状 | 5% |
軽度の副作用は通常では治療を続ける上で大きな障害とはならないことがほとんどですが、症状が持続する場合や悪化する場合には医師に相談することが必要です。
重度の副作用
アリロクマブの使用に伴う重度の副作用は稀ではありますが、発生することがあります。
特に注意が必要なのはアレルギー反応です。アレルギー反応は皮膚の発疹や腫れ、呼吸困難などの症状を引き起こすことがあります。
これらの症状が現れた場合には直ちに医療機関を受診する必要があります。
肝酵素の上昇もアリロクマブの使用に関連する重度の副作用の一つです。
肝酵素の上昇は肝臓に対する影響を示す可能性があり、定期的な血液検査を通じて監視されるべきです。
肝酵素の上昇が確認された場合には医師は治療の継続を再評価することがあります。
重度の副作用 | 発生率 |
---|---|
アレルギー反応 | 0.6% |
肝酵素の上昇 | 1.7% |
重度の副作用は患者さんの健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、注意深く観察することが求められます。
使用上の注意点
アリロクマブを使用する際にはいくつかの注意点があります。
まず、アリロクマブは注射薬であるため注射部位の衛生管理が大切です。
注射部位が清潔でない場合には感染症のリスクが高まります。
また、アリロクマブの使用中は定期的な血液検査が必要です。
検査結果から肝機能やコレステロール値の変化を監視して必要に応じて治療方針を見直すことができます。
使用上の注意点 | 説明 |
---|---|
衛生管理 | 注射部位の清潔を保つ |
薬剤の相互作用 | 他の薬剤との併用に注意 |
これらの注意点を守ることでアリロクマブの効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを軽減することができます。
効果がなかった場合の代替治療薬
プラルエントはLDLコレステロールを低下させるために使用されるPCSK9阻害薬です。
この薬剤が効果を示さない場合には他の治療薬を検討することが重要です。
代替治療薬にはスタチン、エゼチミブ、フィブラート、他のPCSK9阻害薬、さらには新しい治療法が含まれます。
これらの薬剤は異なる作用機序を持ち、患者さんの状態に応じて選択されます。
治療の選択肢を理解することは患者さんにとっても非常に大切です。
スタチン
スタチンはLDLコレステロールを低下させるための第一選択薬です。
肝臓でのコレステロール合成を抑制してLDL受容体の数を増加させることで、血中のLDLコレステロールを効果的に減少させます。
スタチンは心血管疾患の予防においても広く使用されています。
スタチンの代表的な薬剤にはアトルバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチンなどがあります。
これらの薬剤はLDLコレステロールを30%から50%減少させることができ、心血管イベントのリスクを低下させることが示されています。
スタチンの使用に際しては筋肉痛や肝機能障害などの副作用が報告されていますが、これらは通常軽度であり、適切な管理により対処可能です。
スタチンの種類 | LDLコレステロールの減少率 |
---|---|
アトルバスタチン | 30% – 50% |
シンバスタチン | 20% – 40% |
ロスバスタチン | 30% – 50% |
エゼチミブ
エゼチミブは腸でのコレステロール吸収を抑制する薬剤で血中のLDLコレステロールを効果的に低下させることができます。
エゼチミブはスタチンと併用することで、さらなるLDLコレステロールの低下を実現します。
エゼチミブは通常10mgの用量で投与され、LDLコレステロールを18%から25%減少させることができます。
特にスタチンに対する耐性がある患者さんやスタチン単独では目標値に達しない患者さんにとって有用な選択肢です。
エゼチミブは副作用が少なく、耐容性が高いことが特徴です。
エゼチミブの効果 | LDLコレステロールの減少率 |
---|---|
単独使用 | 18% – 25% |
スタチン併用 | さらに7%の低下 |
フィブラート
フィブラートは主に高トリグリセリド血症の治療に用いられる薬剤です。
PPAR-α(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アルファ)を活性化して脂質代謝を改善します。
フィブラートはトリグリセリドを30%から50%減少させ、HDLコレステロールを増加させる効果があります。
フィブラートの代表的な薬剤には、フェノフィブラートやジオフibratがあります。
これらは心血管疾患のリスクを低下させる可能性がありますが、スタチンとの併用には注意が必要です。
フィブラートは筋肉痛や肝機能障害などの副作用があるため、定期的なモニタリングが求められます。
フィブラートの種類 | トリグリセリドの減少率 |
---|---|
フェノフィブラート | 30% – 50% |
ジオフibrat | 30% – 50% |
PCSK9阻害薬の他の選択肢
アリロクマブと同様に、他のPCSK9阻害薬も代替薬として使用可能です。
例えばエボロクマブはアリロクマブと同じくPCSK9を標的とするモノクローナル抗体です。
エボロクマブはLDLコレステロールを60%から70%減少させることができ、心血管イベントのリスクを低下させることが示されています。
PCSK9阻害薬は特に心血管疾患のリスクが高い患者さんにおいて強力な効果を発揮します。
PCSK9阻害薬の種類 | LDLコレステロールの減少率 |
---|---|
エボロクマブ | 60% – 70% |
PCSK9阻害薬はアリロクマブの効果が不十分な場合の重要な選択肢です。
新しい治療法
最近ではRNA干渉療法や新しい薬剤が開発されています。
インクリシランはPCSK9の合成を抑制する新しい治療法であり、LDLコレステロールを50%から60%減少させることができます。
この薬剤はアリロクマブやエボロクマブと併用することでさらなる効果が期待されます。
また、エビナクマブはANGPTL3を阻害する新しい薬剤であり、LDLコレステロールを約50%減少させることが示されています。
新しい治療法の種類 | LDLコレステロールの減少率 |
---|---|
インクリシラン | 50% – 60% |
エビナクマブ | 約50% |
これらの新しい治療法はアリロクマブの効果が不十分な場合の代替治療として注目されています。
アリロクマブの併用禁忌
アリロクマブはLDLコレステロールを低下させるために使用されるPCSK9阻害薬です。
この薬剤は特定の患者さんにおいて心血管疾患のリスクを低下させるために処方されます。
併用禁忌について理解することは治療の安全性を確保するために重要です。
アリロクマブを使用する際には他の薬剤との併用に関する注意が必要で、特に相互作用が懸念される薬剤との併用は避けるべきです。
これにより治療効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを軽減することができます。
アリロクマブとスタチンの併用
アリロクマブはスタチンと併用されることが一般的です。
スタチンはLDLコレステロールを低下させるための第一選択薬ですが、スタチンの使用によりPCSK9の産生が増加します。
このため、スタチンの高用量を使用する場合にアリロクマブの効果が減少することがあります。
スタチンとの併用においては以下の点に注意が必要です。
- スタチンの用量を調整する必要がある場合がある
- アリロクマブの効果が減少することがある
- 副作用のリスクが増加することがある
これらの理由からスタチンとの併用は慎重に行う必要があります。
薬剤名 | 併用時の注意点 |
---|---|
アトルバスタチン | 高用量使用時はアリロクマブの効果が減少することがある |
ロスバスタチン | PCSK9の産生が増加するため注意が必要 |
アリロクマブとエゼチミブの併用
エゼチミブは腸でのコレステロール吸収を抑制する薬剤です。
アリロクマブとエゼチミブの併用はLDLコレステロールをさらに低下させる効果が期待できますが、注意も必要です。
エゼチミブとの併用時には以下の点を考慮することが重要です。
- LDLコレステロールの低下効果が増強される
- 副作用のリスクが増加する可能性がある
- 患者の状態に応じて用量調整が必要な場合がある
このようにエゼチミブとの併用は効果的ですが、患者さんの状態に応じた管理が求められます。
薬剤名 | 併用時の効果 |
---|---|
エゼチミブ | LDLコレステロールの低下効果が増強される |
アリロクマブとフィブラートの併用
フィブラートは主にトリグリセリドを低下させるために使用される薬剤です。
アリロクマブとフィブラートの併用は特定の患者さんにおいて有効ですが、注意が必要になります。
フィブラートとの併用時には以下のような点に留意してください。
- 筋肉痛や筋肉の副作用が増加することがある
- 患者の状態に応じた用量調整が必要な場合がある
- 定期的なモニタリングが求められる
フィブラートとの併用は効果的な治療戦略となることがありますが、副作用のリスクを考慮する必要があります。
薬剤名 | 併用時の副作用 |
---|---|
フィブラート | 筋肉痛や筋肉の副作用が増加することがある |
アリロクマブと他のPCSK9阻害薬の併用
アリロクマブは他のPCSK9阻害薬と併用することは推奨されていません。
PCSK9阻害薬は同じ作用機序を持つため、併用することで効果が重複して過剰な効果や副作用が生じることがあります。
他のPCSK9阻害薬との併用においては以下の点に注意が必要です。
- 効果の重複により副作用が増加することがある
- 治療効果が期待できない場合がある
- 医師の指示に従うことが重要である
このため、アリロクマブと他のPCSK9阻害薬の併用は避けるべきです。
薬剤名 | 併用時の注意点 |
---|---|
エボロクマブ | 効果の重複により副作用が増加することがある |
アリロクマブと特定の疾患の併用
重度の肝疾患や腎疾患を持つ患者でさんは、アリロクマブの使用に際して慎重な判断が求められます。
疾患を持つ患者さんのアリロクマブ併用においては次の点に留意することが重要です。
- 肝機能や腎機能のモニタリングが必要である
- 副作用のリスクが増加することがある
- 医師の指示に従うことが重要である
疾患名 | 併用時の注意点 |
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重度の肝疾患 | 肝機能のモニタリングが必要 |
重度の腎疾患 | 腎機能のモニタリングが必要 |
アリロクマブの併用禁忌について理解することは治療の安全性を確保するために必要です。
患者さんの状態に応じた適切な管理が求められます。
プラルエントの薬価
アリロクマブの薬価は他の治療薬と比較しても高額です。
高コレステロール血症の治療においては他の薬剤と併用することが多く、総合的な治療費用がかさむことがあります。
患者さんは治療の選択肢を検討する際に薬価を十分に理解することが重要です。
具体的な薬価
プラルエントの薬価は75mgペンが22,948円、150mgペンが44,481円となっています。
これらの価格は医療機関での処方時に適用されるものであり、患者さんが実際に負担する金額は保険の適用状況によって異なります。
薬価は医療機関での処方時に重要な要素です。患者さんは処方された薬剤の価格を理解することで治療にかかる費用を把握できます。
アリロクマブは、特に高コレステロール血症の治療において他の治療法と併用されることが多く、そのためのコストも考慮する必要があります。
薬剤名 | 薬価(円) |
---|---|
アリロクマブ75mgペン | 22,948円 |
アリロクマブ150mgペン | 44,481円 |
処方期間による総額
アリロクマブの処方期間によって患者さんが負担する総額は異なります。
1週間処方した場合で75mgペンを使用する場合の金額は約5,000円程度です。
これを1ヶ月処方した場合では75mgペンを4本使用することになり、薬価は約91,792円となります。
150mgペンの場合、1週間処方した場合の金額は約10,000円程度です。
1ヶ月処方すると150mgペンを4本使用することになり、この場合の薬価は約177,924円となります。
処方期間 | 75mgペンの総額 | 150mgペンの総額 |
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1週間 | 約5,000円 | 約10,000円 |
1ヶ月 | 約91,792円 | 約177,924円 |
このように、処方期間によって総額が大きく変わるため、患者は治療計画を立てる際に、これらの費用を考慮することが必要です。
ジェネリック医薬品との比較
アリロクマブには現在のところジェネリック医薬品は存在しません。
従って患者さんはアリロクマブのオリジナル製品であるプラルエントを使用する必要があります。
ジェネリック医薬品が登場することで価格が下がることが期待されますが、現時点ではその選択肢はありません。
以上