日常的に行う検査と比べて聞き慣れない検査項目が数多く存在しますが、身体の状態をより深く理解するうえで多角的な視点が得られる機会になります。

検査の名前だけを見れば難しそうに思えても、日常生活や病気の早期発見に関わる重要なヒントが隠れている場合もあります。

まだ症状を自覚していない段階であっても、こうした検査の情報を知ることは今後の健康維持や生活習慣の振り返りに役立つかもしれません。

本記事では、それぞれの検査がどのような目的で行われ、どのように活かすことができるのか、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。

生化学的検査とは

全身のさまざまな臓器や細胞が活動するうえで関わる成分や酵素を幅広く調べる方法を指します。

症状がはっきり出ない段階から異常をとらえられる可能性があるため、一般的な健康診断に追加する形で受けることで体内の状態をより多面的に把握できます。

多様な項目を網羅するメリット

一般的な血液検査では、糖代謝や脂質、肝機能や腎機能などを中心に調べることが多いです。

しかし、より細かい成分や特定の酵素活性を確認できる検査を加えると、見落としがちなトラブルや初期の体調変化に気づきやすくなることがあります。

特に原因不明の倦怠感や軽い痛み、食欲不振など、はっきりした病名がつかない段階でこうした検査を行うと、疾患の可能性を絞りやすくなることがあります。

身体を構成する物質は多岐にわたりますが、その一部を網羅的に確認するだけでも、病気の手がかりを見つけやすくなるかもしれません。

検査結果を踏まえて医療スタッフと相談し、次の一手を考えやすくなることが期待できます。

一般的な血液検査との違い

健康診断の血液検査には、血球数(赤血球・白血球・血小板)の測定や肝機能・腎機能・脂質代謝に関する主要な項目が含まれています。

一方で生化学的検査は、より細かい成分や特定の臓器・機能にフォーカスした内容が増えます。

例えば、アイソザイムと呼ばれる酵素の種類別の活性を調べることで、どの臓器にストレスがかかっているかをより詳細に探ることが可能です。

これらの検査は一般の血液検査と併せて結果を読み解くことで、より正確な健康状態を把握しやすくなります。

身体全体のバランスを捉える考え方

特定の病気を疑って行う検査だけでなく、身体全体のバランスを見る目的でこうした検査を実施することは意味があります。

日常生活の中で、食生活や睡眠リズム、ストレス環境などが複雑に影響し合い、一時的に数値が変動することもあります。

そのため、単一の検査値ではなく複数の検査結果を組み合わせて比較し、日頃からの生活習慣との関連を検討することが大切です。

このように複合的な視点を持つと、早期の体調不良サインを正しく読み取り、必要に応じて適切なケアを考えやすくなります。

実際に検査を受ける前に、これまでの生活スタイルを振り返ってみると医療スタッフに説明しやすくなります。

検査を受けるタイミングの目安

体調に不安を感じたときや、何らかの自覚症状があるときに追加検査として考えられる場合があります。

たとえば、食事を変えたのに体重が激しく増減する、疲れがとれない、微熱が続くなどの状態があるならば、基本的な血液検査だけでなく詳しい検査を組み合わせることで異常の可能性を探れるかもしれません。

さらに、すでに特定の病気のリスクが高いと診断された場合や、遺伝的要因を抱える方が細かい検査を定期的に行うことも選択肢の一つです。

予防医学的な観点とのつながり

早期発見・早期治療をめざすうえで、生化学的検査は重要とされます。病気が進行してから症状が出るケースもあるため、重症化を防ぐために予兆を見つけることが大切です。

特に生活習慣病や慢性疾患は、数年から数十年かけてじわじわと体を蝕む場合があります。検査結果を活かして生活面を見直す取り組みも、健康状態の維持に役立つでしょう。

多彩な検査項目の役割と意義

身体には多種多様な物質や酵素が存在します。その濃度や活性度の変化は健康状態と直結するため、目的に応じて必要な検査項目を選ぶことが大切です。

多彩な検査項目を理解しておくと、どこに焦点を当てるべきかイメージしやすくなります。

基本的な生体成分の測定と背景

血液や尿、あるいは唾液などを使い、タンパク質・脂質・糖質の代謝状況や電解質バランスを測る方法があります。

例えば、総タンパクやアルブミン値をみることで栄養状態を把握し、電解質(ナトリウム・カリウムなど)の値から体内の水分やミネラルバランスを類推します。

下記は主な基本検査項目と、その意味をまとめたものです。

項目名確認できる主な情報関連する機能やリスク
総タンパク体内のタンパク質総量の把握栄養不良や肝臓・腎臓の異常の可能性
アルブミン血液中の主要なタンパク質栄養状態や肝機能の目安
ナトリウム細胞内外の水分バランス脱水やむくみ、高血圧との関連
カリウム心臓や筋肉の興奮伝導に影響不整脈、腎機能障害との関連

こうした基本項目と組み合わせる形で、より専門的な検査を行うと総合的な評価をしやすくなります。

病態の可能性を早期に把握する意義

生化学的検査の利点は、症状が目立たない段階から異常値に気づける可能性があることです。

例えば、炎症が起きているときにはCRP(C反応性タンパク)が上昇するケースがありますが、これは早期に炎症や感染症、その他のトラブルが進行しているかもしれない目安になります。

同様に、肝臓系の酵素(AST、ALT、γ-GTなど)もわずかな変動で肝細胞へのダメージを示唆することがあります。

数値の変化を追いかけることで、病気が急に進行する前に受診や生活改善へとつなげるきっかけを作りやすくなります。

症状が曖昧な段階での活用

倦怠感や微熱、体のだるさなどがあるのに原因がはっきりしない場合、複数の生化学検査項目をいっぺんに調べることで原因究明の糸口を得られる可能性があります。

例えば、感染症が疑われるがはっきりした発熱がないケースや、関節痛や筋肉痛があるものの明確な外傷がないケースなどで、炎症反応や自己抗体などを追加で調べることがあります。

こうした検査を計画的に行うと、早めに問題を把握できるかもしれません。

遺伝子やホルモンとの関連

生化学的検査の中には、体内のホルモンバランスや酵素の働きを決定する遺伝子多型を調べるものも含まれます。

例えば、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されていないかを確認するためにTSHやFT4を測定することがあります。

遺伝子検査については、専門性が高いため必ずしも誰でも積極的に受けるものではありませんが、家族性の疾患リスクや特定の薬剤適正を調べる観点で活用が広まってきています。

複数の検査を組み合わせると、より包括的に体の状態を把握できます。

検査の進歩と組み合わせの増加

近年、測定技術の進歩によって、体内の微量成分まで詳細に分析できる場面が増えました。こうした状況により、一度にたくさんの検査をセットで行う機会が出てきています。

必要に応じて医師が選び抜いた検査項目を行うことが重要ですが、あまりにも項目が多すぎると逆に混乱することもあるでしょう。

医療機関では、一人ひとりの状態や疑われる病態に応じた組み合わせを提案するため、過不足のない計画的な検査が期待できます。

身体機能に影響を与える成分の検査

ここからは、特定の症状やリスク管理などで注目される成分のうち、やや専門的なものも含めていくつか例を紹介します。

アルコールや特定のアイソザイム(同じ酵素の種類に分類されるが活性や性質が異なるもの)などは、日常の生活習慣や病気の早期発見に深く関わる可能性があります。

アルコール(エタノール)に関する検査

アルコールの摂取量や代謝能力を把握するために、血中のアルコール濃度や代謝産物などを調べる場合があります。

急性アルコール中毒の疑いがあるときや、慢性的なアルコール性肝炎などを疑うときに参考になります。

・定期的に飲酒をする方や、二日酔いが続きやすい方
・肝臓に負担がかかっている可能性がある方
・アルコールと医薬品の相互作用が気になる方

こうした方々が検査の対象になることが多いです。

血中アルコール濃度だけでなく、肝機能マーカー(γ-GTやAST、ALTなど)と組み合わせてみると、アルコールが身体に及ぼす影響をより正確に推察できるケースがあります。

下記はアルコールに関連する検査の一例をまとめたものです。

検査項目特徴活用のポイント
血中エタノール現在のアルコール濃度を直接測定急性中毒や飲酒運転の可能性がある場合など
γ-GT肝胆道系への負担を見る指標慢性的な過剰飲酒の影響を把握しやすい
CDT(炭水化物欠損トランスフェリン)過剰飲酒のマーカーとして知られる長期的な飲酒状況を推定しやすい

アルコールは摂取量と個人差が大きいため、検査結果を踏まえながら医療従事者と具体的な飲酒量について話し合うことが大切です。

乳酸脱水素酵素アイソザイム(LDHアイソザイム)

LDH(lactate dehydrogenase)は、多くの細胞に含まれる酵素であり、特に組織が損傷を受けた場合などに血中濃度が上昇します。

一口にLDHと言ってもアイソザイム(型)が複数存在し、心筋や肝臓、筋肉など部位によってアイソザイムの比率が変わります。

LDHアイソザイムの分析は、どの組織に負担やダメージが集中しているかをある程度推定する手段として活用されます。例として、心筋梗塞後の心筋損傷の程度や、急性肝炎の可能性などを考えるときにチェックする場合があります。

健康診断でLDHの総量が高めと言われた方は、アイソザイムを分別測定することで原因を詳しく探ることが可能です。

・LDHが高値の理由として考えられるもの

  • 心臓疾患
  • 肝臓疾患
  • 筋肉の損傷や炎症
  • 血液疾患(溶血など)

詳しくは担当医の判断に基づいて、他の酵素や検査結果と併せて総合的に評価します。

アミラーゼアイソザイム

アミラーゼはデンプンを分解する酵素として知られ、主に唾液腺や膵臓(すい臓)で産生されます。

アミラーゼの総量が上昇しているとき、唾液腺由来なのか膵臓由来なのかを切り分けるためにアミラーゼアイソザイムを測定することがあります。

たとえば、急性膵炎の疑いがある場合、膵臓由来のアミラーゼアイソザイム(P型)が高値を示すケースが多いです。一方、唾液腺炎などの場合はS型(唾液腺由来)の方が上昇しやすいとされています。

原因を特定するうえで非常に重要な役割を果たすため、腹痛や嘔吐、発熱など膵炎を疑うような症状があるときに測定することがあります。

下記はアミラーゼアイソザイムに関する概略です。

アイソザイム名主な由来上昇が示唆する病態
S型唾液腺唾液腺炎、唾石症、外傷など
P型膵臓急性膵炎、慢性膵炎の急性増悪、膵がんなど

アミラーゼの総量だけでは判断が難しい場合にアイソザイムの分析を行い、特定の臓器の異常を考察するのに役立ちます。

骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)

骨型アルカリフォスファターゼ(Bone-type alkaline phosphatase)は、骨の形成に関わる酵素です。

血中の総アルカリフォスファターゼ(ALP)値は、肝臓や骨を含む複数の組織由来の酵素量の合計になるため、総量だけが高いときに、その原因が骨からきているのか肝臓からきているのかを切り分けたい場合にBAPを測定することがあります。

骨粗しょう症や骨折の回復過程、骨の代謝異常が疑われる際に役立つ指標です。更年期以降の女性や高齢者の方で骨密度が低下している可能性がある場合には、カルシウムやビタミンDのレベルとあわせてチェックすることも検討されます。

・BAPが高値になる可能性がある状況

  • 骨折後の骨再生
  • 骨粗しょう症の進行
  • 骨関係の腫瘍
  • 成長期の子ども(生理的にやや高め)

BAP値の変動を追うことで、骨代謝の状態を比較的把握しやすくなるため、適切な骨のケアや生活習慣の見直しにつなげられます。

シアル酸測定

シアル酸は糖たんぱく質の末端部分を構成する成分で、炎症や腫瘍、自己免疫疾患など幅広い病態との関連があると考えられています。

血清総シアル酸の測定は、がんや慢性炎症を示唆するマーカーの1つとして研究や臨床の場で応用される場合があります。

ただし、シアル酸は多くの疾患で値が変動する可能性があり、その特異性が完全に明確というわけではありません。

そのため他の腫瘍マーカーや炎症マーカーなど複数の指標と照らし合わせながら、医療従事者が総合的に判断することになります。

下記はシアル酸値の参考範囲と上昇要因の例をまとめたものです。

項目一般的な基準範囲値が上昇する可能性がある例
血清シアル酸おおむね55〜75 mg/dL悪性腫瘍、慢性炎症、自己免疫疾患など

シアル酸が注目されるのは、比較的幅広い病態をカバーし得る指標だからです。しかし、単独での診断には限界があるため、他の検査と組み合わせて評価します。

検査結果を活かすためのポイント

検査を受けても、その結果をどのように解釈し、日常生活や治療方針に反映させるかが重要です。

数値が高い・低いという単純な見方ではなく、検査をした背景やほかのデータとの関連を踏まえて総合的に判断すると理解が深まります。

結果の見方と医師への相談

検査報告書には、通常基準範囲とともに自分の数値が記載されます。

ただし、その基準範囲を超えていても、すぐに病気が確定するわけではありません。逆に基準範囲内であっても、個人差や測定誤差、体調の一時的な変化などが影響している可能性もあるため注意が必要です。

わからないことや心配な点があれば、担当医や専門家に直接質問し、グラフや図を示しながら説明を受けると理解しやすいでしょう。

・医師への質問例

  • 「数値が高めですが、どのような原因が考えられますか?」
  • 「生活習慣を変えれば改善の見込みがありますか?」
  • 「ほかの検査や再検査は必要でしょうか?」

こうした具体的な質問を持っていくと、より有意義なアドバイスを得られます。

再検査の判断基準と注意点

一度の結果だけでは判断がつきにくいケースもあり、再検査を行う場合があります。

例えば大きく逸脱した数値が出たときに「本当に体内の異常なのか、それとも検体採取や検査手順の誤差など外部要因の影響か」を見極めるために、短期間で再度同じ項目を測ることがあります。

再検査を受ける際、前回と同じ条件(絶食時間や時間帯など)をできるだけ合わせると、結果の比較がしやすくなります。

また、再検査日までの間に生活習慣を大きく変えた場合、変化の要因が特定しにくくなることもあるため注意が必要です。

下記は再検査時に気をつけたい項目を整理したものです。

ポイント理由
検査前の絶食時間を確認する食事の影響を排除して結果を比較しやすくするため
採血時間帯を合わせる生体リズムによる日内変動を最小限にするため
服薬状況を統一する特定の薬が検査値に影響を与える場合があるため

こうしたポイントを確認して、できるだけ条件をそろえて再検査に臨むのが望ましいです。

異常値の原因を多角的に探る意義

検査値が異常を示していた場合、たとえば肝機能指標であるASTやALTが高いとき、単に肝炎や肝障害だけを疑うのではなく、服用薬やサプリメント、アルコール摂取の影響などもチェックする必要があります。

甲状腺機能検査で異常を示した場合でも、ストレスやその他のホルモン異常、免疫状態が関与している可能性があります。

検査結果はあくまで「現在の身体状況を示す一つのサイン」であるため、いくつもの視点から原因を考えることが大切です。

・多角的に考える際の視点例

  • 食事や運動、睡眠などの生活習慣
  • 過去にかかった病気や既往歴
  • 家族の病歴や遺伝的要素
  • 仕事や家庭環境によるストレス要因

こうした観点で総合的に考えれば、より適切な対策を練りやすくなります。

ライフスタイルとの照合

検査結果は現在の体の状態を数値として示したものにすぎません。そこから原因や対策を導き出すためには、本人のライフスタイル全般を振り返ることが求められます。

特に、検査値が思わしくない場合は食事や運動の習慣、喫煙や飲酒の頻度などを再確認することで、改善点を見つけやすくなるかもしれません。

生活習慣の要素検査値への影響の例
食事脂質異常、血糖値、ビタミン・ミネラル欠乏など
運動体重管理、筋肉量や骨代謝、心肺機能の指標に関係
睡眠ホルモンバランスや免疫機能に影響
飲酒・喫煙肝機能、血液循環、呼吸器の問題などに反映

どの要素がどのくらい影響しているかを医療スタッフと一緒に見直すと、より実践的な対策を取れるでしょう。

数値の変動から分かる傾向

血液中の成分や酵素活性は一定ではなく、同じ人でも時間帯や状況によって変化します。

一度の測定結果だけでなく、過去の結果や今後の経過を追いながら見ていくと、上昇や下降の傾向がより明確にわかりやすくなるはずです。

定期的な検査を継続して受け、数値の推移を医師と共有していくと、身体の変化を早めにとらえやすくなります。

日常生活での心がけ

検査結果がどのように出たとしても、その後にどのような行動をとるかによって健康管理の成果は大きく変わります。

食事や運動、休養などの基本的な生活習慣を意識しながら定期的な検査を行うと、身体の変化に素早く対処できる可能性があります。

食事バランスと栄養素との関連

体内の酵素やホルモンは栄養素の摂取状況に左右されます。ビタミンやミネラル、たんぱく質、脂質、炭水化物などが偏ると、検査値に影響を与える場合があります。

例えば肝機能が低下している方は、過度なアルコール摂取だけでなく、糖質や脂質の過剰摂取、逆に極端なダイエットなども悪影響を及ぼすかもしれません。

バランスの良い食事を心がけると、身体全体の調和を保ちやすいでしょう。下記は栄養素と身体機能との関係を一例としてまとめています。

栄養素関係の深い身体機能主な食品例
たんぱく質筋肉・臓器の維持、酵素やホルモン合成肉、魚、大豆製品、卵
ビタミンB群エネルギー代謝、神経機能の補助レバー、豚肉、卵、玄米など
ビタミンDカルシウムの吸収、骨の健康魚類、きのこ類、きくらげなど
亜鉛酵素活性のサポート、免疫機能など牡蠣、牛肉、ナッツ類

普段の食事にこうした要素をバランスよく取り入れることが大切だと考えられます。

睡眠・ストレスと体内物質バランス

十分な睡眠は、体内物質の合成や分解、ホルモン分泌の調整に関わります。

慢性的な睡眠不足や高ストレス状態にあると、免疫力が低下するだけでなく、ホルモンや酵素のバランスが乱れやすくなるかもしれません。

疲れやすさや軽度のうつ状態などが続くと、検査結果に予想外の異常が出現することもあります。睡眠時間やストレス発散の方法を見直すことは、検査結果を安定させ、健康状態を維持するために重要といえます。

・ストレスの主な要因

  • 過度な仕事量や人間関係の不安
  • 家庭内のトラブルや経済的な心配
  • 環境の変化(引っ越し、転職など)
  • さまざまな病気に対する不安

こうした要因が重なると睡眠障害などを誘発し、体内物質バランスが乱れる場合があります。

運動習慣が与えるプラス面

定期的に身体を動かすと、血流の促進や筋肉量の維持、エネルギー代謝の効率化など多方面にメリットがあります。検査値では、血糖値の改善や脂質異常の是正などが期待されるケースが少なくありません。

運動不足で血液循環が滞りやすい状態だと、酵素やホルモン分泌のバランスにも悪影響が及ぶ場合があります。

運動は必ずしも激しいものだけが良いわけではなく、ウォーキングや軽い筋トレなど継続しやすい方法を選ぶことが大切です。

下記は運動の種類と期待できる効果を整理したものです。

運動の種類期待できる効果目安の頻度・時間
有酸素運動心肺機能向上、脂質代謝の改善、持久力UP週3〜5回、1回20分以上
筋力トレーニング基礎代謝アップ、筋肉量維持、骨の強化週2〜3回、全身をまんべんなく
ストレッチ柔軟性向上、ケガ予防、リラックス効果毎日、就寝前や運動前後

自身の体力や年齢、体調を考慮しながら無理のない範囲で継続すると、検査結果にも良い影響を期待できます。

アルコール摂取の程度を意識する

アルコールが検査値に及ぼす影響は非常に大きいです。肝機能のみならず、膵臓や心血管系にも負担を与える場合があります。習慣的に飲酒している方は、日々の摂取量や頻度を振り返ってみるとよいでしょう。

特に健康診断や生化学的検査を受ける数日前からは、飲酒量を抑える、あるいは休肝日を設定することで、より正確な結果を得やすいと考えられています。

・飲酒量を減らす工夫の例

  • ノンアルコール飲料や炭酸水を代用する
  • 友人や家族と目標を共有し、声掛けを行う
  • ハーブティーなどリラックスできる他の方法を試す

これらを意識するだけで、検査結果に悪影響が出る可能性を下げられます。

定期的なチェックで早期発見

異常が出ていなくても、一定の期間をあけて定期検査を続けることは早期発見に直結します。

特に生活習慣病や慢性疾患は、少しずつ病状が進むケースがあるため、半年に1回から1年に1回程度を目安に受けてみると安心です。

年齢が上がるほどリスクが増えるため、必要に応じて検査の頻度を検討することも選択肢に入ります。

受診の流れとよくある疑問

その他の生化学的検査を受けるとなると、費用や予約方法、検査結果の受け取りまでの期間など、さまざまな疑問が浮かぶかもしれません。

最後に、一般的な流れと一緒に、よくある質問へのヒントをまとめます。

予約から検査実施までの手順

医療機関によっては、電話やオンラインで事前予約が必要な場合があります。特定の検査は空腹状態で行うことが望ましいケースがあるため、検査前の食事制限や水分摂取の可否を確認しておくとスムーズです。

当日は受付を済ませてから、問診票に必要事項を記入し、採血や採尿など検体を提供します。

複数の検査を一度に行う場合には、時間がかかる可能性があるので、余裕をもったスケジュール調整を意識すると落ち着いて臨めます。

下記は一般的な受診の流れの例です。

ステップ内容
1. 予約電話やネットで日時を決定
2. 事前注意事項の確認絶食時間や飲水制限などを確認
3. 問診票記入生活習慣や既往歴、薬の服用状況など
4. 検体採取採血、採尿、必要に応じて他の検体
5. 会計・次回予約確認結果の受け取り方法や再来院日を決定

順序は施設によって前後する場合があるため、事前に問い合わせておくと安心です。

検査結果を受け取るタイミング

検査内容によっては、結果が出るまでに数日から1週間以上かかることがあります。

採血後に院内機器で測定できる項目は比較的早く判明することが多いですが、外部の検査センターに依頼する場合や特殊な分析を要する場合は、さらに時間を要する可能性があります。

結果の受け取り方は郵送やオンライン、再来院して直接聞く方法などさまざまなので、自分の都合に合う方法を問い合わせて選ぶとよいでしょう。

費用や保険適用について

生化学的検査の一部は健康保険でカバーされる場合もありますが、病名がはっきりしない段階での検査や健康診断扱いの場合は自費になる可能性があります。

企業や組合が実施する健診の場合は、追加で検査を行うときに自己負担が発生するかもしれません。大まかな金額を知りたいときは、受診先の医療機関に問い合わせておくと不意な出費を避けやすくなります。

・費用面で確認しておきたい点

  • 健康保険が適用される条件
  • 自費負担になる項目とその目安金額
  • 企業や組合の補助制度の有無
  • 検査結果の説明料や再診料などの追加費用

負担に不安を感じる場合は、複数の医療機関を比較検討してもよいでしょう。

職場や団体検診との違い

会社や地域の健康診断では、基本的な血液検査や尿検査などがセットになっています。しかし、今回紹介したような詳細な生化学的検査項目が含まれていないことも多いです。

職種によっては特定の項目のみ義務付けられている場合があり、それ以外の検査は受けられない場合もあります。自費を負担してでも詳細な検査を受けたい場合は、個人受診を検討する選択肢が考えられます。

下記は職場検診と個人受診の違いを例示したものです。

比較項目職場・団体検診個人受診
検査内容基本的・一般的な項目が中心自由度が高く、詳細項目を選択可能
費用負担企業や組合が補助する場合が多い自己負担になる場合が多い
予約・日程調整一斉受診が基本個人都合に合わせて予約可能
結果の説明簡易的な説明や後日配布医師とじっくり相談しやすい

受けたい検査が含まれていない場合や、より細かい項目を調べたいときには、個人受診を選ぶ意義があるでしょう。

疑問や不安を解消する方法

不安や疑問を抱えたまま検査を受けると、結果を聞いても納得できないことがあります。疑問点は事前にまとめ、医師や臨床検査技師、看護師に積極的に相談するとスムーズです。

また、インターネットや書籍で一般的な情報を調べることも1つの手ですが、実際に自分に当てはまるかどうかは専門家でないと判断が難しいことがあります。最終的には医師の知見に基づいて総合的な説明を受けると安心できるでしょう。


検査は身体からのサインを数値という形で受け取り、自分自身の健康を客観的に見直す機会でもあります。たとえ異常値が出たとしても、直ちに深刻な病気を意味するわけではない場合も多いです。

気になったときは、医療スタッフと相談しながら追加の検査やライフスタイルの見直しなどを丁寧に行い、将来の大きなリスクを減らす一助としてみてはいかがでしょうか。

もし症状がある場合や結果に大きな不安を感じる場合は、躊躇せずにお近くの医療機関を受診することをおすすめします。

以上

参考にした論文