副腎皮質はホルモンバランスを保つうえで重要な働きを担います。ストレスへの反応や血圧の調節など、多岐にわたる生命活動に深く関わるため、その機能を正しく把握することが大切です。

副腎皮質機能検査(副腎皮質ホルモン検査)は、血中や尿中に含まれるホルモン濃度を測定し、副腎が適切に働いているかどうかを調べます。体調不良やホルモン異常が疑われるときに医師が判断し、検査を実施するケースが多いです。

検査を知ることで症状の原因追究に近づく可能性が高まるので、疑問や不安があれば早めに医療機関へ相談することが重要です。

副腎皮質機能検査の基礎知識

副腎皮質機能検査は、副腎の働きを評価するために血液や尿を分析する方法を指します。

副腎はストレスホルモンであるコルチゾールや、体内の水分・電解質バランスを調整するアルドステロンなどを産生し、生命維持に直結する役割を果たします。

この検査では、何らかの副腎機能の異常が隠れていないかを確認します。

副腎皮質の基本的な役割

副腎は左右の腎臓の上に位置する小さな器官です。外側の部分である副腎皮質は、主にステロイド系ホルモンを産生します。具体的にはコルチゾール、アルドステロン、性ホルモンの前駆体などが関係します。

心身ともに健康な状態を維持するために必要なホルモンを分泌しているため、どれか1つが分泌過多または分泌不足になると多彩な症状につながります。

主な検査方法の概要

採血や採尿を通じて、複数のホルモン値を測定します。医師が症状や疑われる病態を総合的に評価し、必要な項目を選択します。採血だけでなく、唾液中のホルモン濃度を測定する方法を使うこともあります。

状況に応じて、体内リズムに合わせた時間帯ごとの検査を行う場合もあります。

副腎皮質ホルモンの種類と特徴

副腎皮質ホルモンには多彩な種類があります。主なホルモンを簡単に紹介します。

ホルモン名主な働き
コルチゾールストレスに対処するためのホルモンで、血糖値の上昇や炎症反応の調節にかかわる
アルドステロン体内のナトリウムとカリウムのバランスを調整し、血圧維持にかかわる
DHEA-S性ホルモンの前駆体として重要で、体内のエネルギー代謝や免疫機能にも関連する
17-OHプロゲステロンコルチゾールや性ホルモン合成の経路で生成される中間物質
11-デオキシコルチゾールコルチゾール合成経路の中間物質で、コルチゾールやアルドステロンの合成に関連する

これらの値を組み合わせて見ることで、どの段階で問題が起きているかを推測します。

副腎が担うストレス対応機能

ストレスを受けたとき、脳の視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出因子が分泌され、下垂体を介して副腎を刺激します。

副腎皮質はコルチゾールを産生し、血糖値を上げたり、炎症反応を調節したりすることでストレスに耐えやすくします。

ただし、コルチゾールが過剰に分泌された状態が長く続くと、免疫力低下や体重増加などにつながる恐れがあります。

検査が必要となる症状の例

副腎皮質の異常が疑われる症状としては、慢性的な倦怠感や体重増加、低血圧または高血圧、むくみ、体毛の増加・減少などがあります。症状の幅が広いため、他の疾患と紛らわしいケースもあります。

気になる症状が長期にわたって続く場合、医師に相談し、副腎皮質機能検査を検討することが重要です。

副腎皮質機能検査の流れ

副腎皮質機能検査を受ける際には、いくつかのステップを踏みます。検査前の準備や検査中の過ごし方によって結果が変わる可能性があるため、医師からの指示に注意することが求められます。

検査前の問診と日常生活の確認

検査を行う前には、医師が体調や生活習慣を詳しく確認します。睡眠時間、食事内容、服用中の薬剤、ストレス状況などを聞き取り、副腎機能に影響を与える要素を把握します。

  • 医師が確認する主な項目
    • 生活リズム(起床・就寝時間)
    • 食事の栄養バランス
    • 運動習慣や身体活動量
    • 現在治療中の病気や服用中の薬
    • ストレスの程度

問診で得られた情報を元に、検査項目を絞り込み、適切な時間帯に採血や採尿を行う計画を立てます。

採血・採尿の具体的な手順

検査当日には、医師の指示どおりの時間に血液または尿を採取します。コルチゾールやその他のホルモンには1日のうちでも変動があるため、複数の時間帯に採血を行うことがあります。

採尿も24時間尿や朝一番の尿など、必要に応じて方法が変わります。

採血・採尿の手順例内容
朝の採血朝にコルチゾールやアルドステロンを調べるために行うケースが多い
夕方や夜の採血日中のホルモン変動を把握する目的で、時間帯をずらして実施する
24時間尿の採取一日分のホルモン排泄量を総合的にチェックできる
スポット尿の採取あるタイミングだけの尿を採取して簡易的に評価したいとき
唾液でのホルモン測定採血が難しい場合や特定時間帯のホルモンを手軽に調べたい場合に用いられることがある

採血が複数回にわたる場合、時間帯を守ることが重要です。検査結果をより正確に評価するためには、医師の案内どおり行動してください。

副腎皮質刺激試験などの負荷検査

疑われる病態によっては、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を投与して副腎の反応を調べる「副腎皮質刺激試験」を行うことがあります。

この負荷検査では、ACTHを一定量投与し、その後に採血を何度か行ってコルチゾール濃度がどのように変動するかを確認します。

  • この試験で得られる情報の例
    • 副腎そのものがホルモン分泌に対して十分に応答するかどうか
    • 下垂体や視床下部の働きが影響していないか
    • コルチゾール生成経路のどの段階に問題があるか

症状が複雑な場合や、一次性副腎不全(アジソン病)などが疑われる場合に有用です。

検査当日の注意事項

検査当日は、飲食や運動、ストレス負荷などに注意を払う必要があります。

何時以降の食事や水分摂取を控えるべきか、検査直前に運動をしないほうがよいかなど、医師から指示があるため、正確に守ることが大切です。

再検査を避ける意味でも、日頃と大きく異なる生活リズムは避けるほうが好ましいです。

注意したい点理由
指定された食事制限を守る食後すぐの血糖値上昇やホルモン変化を防ぎ、正確なコルチゾール値などを測定するため
睡眠不足を避ける睡眠不足はストレス反応を引き起こし、検査値に影響を及ぼす恐れがある
検査前の激しい運動を控える運動はホルモン分泌を変動させることがある
ストレス状況に留意する過度なストレスは検査数値を変動させる大きな要因となる

検査を受ける頻度と再検査のタイミング

検査の結果や症状の変化に応じて、再検査が必要になるケースがあります。副腎ホルモンは変動しやすいため、状態の推移を確認することが重要です。

医師がどのタイミングで再度検査を行うかを判断するため、定期的な通院や問診を受けることを検討してください。

代表的な測定項目と役割

副腎皮質機能検査で測定するホルモンには、複数の種類があります。ここからは、代表的な5つの測定項目とそれぞれの役割を詳細に紹介します。

コルチゾール

コルチゾールはストレスへの対応に関与するホルモンです。血糖値を上昇させ、体がストレスに耐えやすくなるよう調整を行います。

しかし、分泌が多すぎるとクッシング症候群、分泌が少なすぎると副腎不全などが疑われます。

コルチゾールが高い場合に疑われる症状コルチゾールが低い場合に疑われる症状
体重増加、満月様顔貌慢性疲労、低血圧
血圧上昇血糖値の低下
皮膚の菲薄化、紫斑食欲不振、脱力感
生理不順体重減少

コルチゾールの測定は、朝と夕方で値が大きく変化するため、必要に応じて1日2回以上の採血を行うことがあります。

アルドステロン

アルドステロンはナトリウムとカリウムのバランスを調節し、血圧をコントロールするうえで重要なホルモンです。

高血圧や低カリウム血症がみられる場合、アルドステロン分泌過剰を疑います。逆に低ナトリウム血症や低血圧が続く場合はアルドステロン不足を疑うことがあります。

  • アルドステロン関連の主な症状
    • 過剰時:高血圧、むくみ、低カリウム血症、筋力低下
    • 不足時:低血圧、脱水傾向、倦怠感、食欲不振

腎機能やレニン活性なども合わせて評価することが多く、複合的に原因を推察します。

DHEA-S

DHEA-Sはデヒドロエピアンドロステロン硫酸塩の略称で、副腎から分泌されるステロイドホルモンの1つです。性ホルモンの前駆体として働き、男性ホルモンや女性ホルモンの産生に関与します。

加齢によって徐々に減少する傾向がありますが、急激な増減がある場合、副腎腫瘍や下垂体機能異常などが考えられます。

DHEA-Sの値が高い場合の可能性DHEA-Sの値が低い場合の可能性
副腎腫瘍(アンドロゲン産生腫瘍など)副腎不全(アジソン病など)
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)なども視野に入る下垂体障害による副腎機能低下
男性ホルモン優位の症状(多毛やニキビなど)性欲減退、疲労感

DHEA-Sは一日の中で大きく変動しにくいため、単発の検査でもある程度の評価が可能です。

17-OHプロゲステロン

17-OHプロゲステロンは、コルチゾールや性ホルモンを合成する過程で生じる中間代謝産物です。

先天性副腎過形成症(CAH)などの遺伝性疾患のスクリーニングや、副腎の合成経路に問題がないかを確認する指標として役立ちます。

  • 17-OHプロゲステロンを測定する目的
    • 先天性副腎過形成症の検出や重症度の把握
    • コルチゾール合成のどの段階に問題があるかを推測
    • 不妊症や不育症の背景要因調査

この値が高すぎる場合は酵素欠損などによってコルチゾールがうまく合成できず、別の代謝経路が過度に進んでしまう可能性があります。

逆に低すぎるケースはあまり多くありませんが、何らかの合成障害を示唆する場合があります。

11-デオキシコルチゾール

11-デオキシコルチゾールは、コルチゾール合成経路の中で必要となる中間ホルモンです。先天性副腎過形成症のうち、11β-水酸化酵素欠損が疑われる際に特に注目します。

高血圧や低カリウム血症を伴う場合、この物質が蓄積している可能性があります。

11-デオキシコルチゾールが高値の場合考えられる原因
コルチゾール不足の症状+高血圧+低カリウム血症先天性副腎過形成症(11β-水酸化酵素欠損症)など

この値の計測結果によっては、酵素欠損の程度を推定し、治療方針や投薬の選択に役立てます。

副腎疾患との関係

副腎機能の異常は、さまざまな疾患の原因や結果として生じる可能性があります。検査結果を踏まえ、どのような副腎疾患が考えられるのかを確認することが重要です。

クッシング症候群

コルチゾールが過剰に分泌される病態を指します。副腎の腫瘍や下垂体腫瘍(ACTH産生腫瘍)などが原因で起こるケースがあります。

代表的な症状は満月様顔貌、中心性肥満、筋力低下、皮膚の菲薄化です。血圧や血糖が上昇するケースも多いため、生活習慣病との関連にも注意が必要です。

主要な特徴クッシング症候群の例
体型の変化首の後ろに脂肪のかたまり(野牛肩)が出る
皮膚症状皮膚が薄くなり、あざや紫斑が出やすくなる
血圧・血糖値の上昇高血圧、糖尿病が合併する可能性がある
生理不順ホルモンバランスが崩れて月経周期が乱れる

クッシング症候群と診断された場合、副腎または下垂体の腫瘍など根本原因を評価し、治療法を考えます。

アジソン病(原発性副腎不全)

副腎皮質そのものが損傷を受けてコルチゾールやアルドステロンの分泌量が著しく低下する病態です。倦怠感、低血圧、体重減少、皮膚の色素沈着などが特徴的です。

原因としては自己免疫疾患や感染症などが挙げられます。

  • アジソン病でみられる主な症状
    • 食欲不振と体重減少
    • 低血圧とめまい
    • 皮膚や粘膜の黒ずみ(色素沈着)
    • 慢性的な倦怠感や脱力

重症化するとアジソン危機と呼ばれる急性副腎不全を起こし、命に関わる可能性があります。

原発性アルドステロン症

アルドステロンが過剰に分泌され、高血圧と低カリウム血症を招く病態を指します。副腎に腺腫がある場合や両側性に副腎が過形成を起こしている場合などが原因になります。症状として高血圧のほかに筋力低下や頻尿、多飲などがみられます。

症状・兆候可能性がある原因
高血圧かつカリウム値の低下アルドステロンの分泌過剰が疑われる
血清ナトリウムの上昇体内のナトリウム貯留が進行している
多飲・頻尿体が水分バランスを保とうとしている
代謝性アルカローシスカリウム不足による酸塩基平衡の乱れ

血液検査やCT検査などを組み合わせて診断を行い、薬物療法や手術的治療を検討する場合があります。

先天性副腎過形成症(CAH)

先天性副腎過形成症(CAH)は、酵素欠損によって副腎皮質ホルモンの合成経路が妨げられる遺伝性疾患の総称です。

特に21-水酸化酵素欠損症が多く、コルチゾールとアルドステロンが不足しがちな一方でアンドロゲンが過剰になることがあります。

幼少期から重い症状が現れるケースもあれば、成人になってから軽症型が発覚するケースもあります。

  • CAHの特徴
    • 塩分喪失型と単純型の2つがある
    • 生後早期に脱水やショックを起こす重症例も存在する
    • 思春期以降に月経異常や多毛などで見つかることがある

17-OHプロゲステロンや11-デオキシコルチゾールの測定値が高くなる傾向があるため、副腎皮質機能検査が重視されます。

副腎腫瘍

副腎に発生する腫瘍は良性から悪性までさまざまです。

腫瘍がホルモンを過剰に産生してクッシング症候群や原発性アルドステロン症、フェオクロモサイトーマ(副腎髄質の腫瘍)などを引き起こすことがあります。腫瘍が小さい場合は症状が出にくいため、偶然見つかるケースもあります。

副腎腫瘍のタイプ関連症状や特徴
副腎皮質腺腫クッシング症候群、原発性アルドステロン症を引き起こす場合がある
副腎癌(皮質由来)ホルモン過剰症状が重篤であることがある
フェオクロモサイトーマカテコールアミン過剰で高血圧、動悸、発汗などを伴う

腫瘍の種類と大きさ、ホルモン分泌の有無を調べるために、副腎皮質機能検査だけでなくCTやMRIなども活用します。

結果の見方と注意点

副腎皮質機能検査の結果をどう理解すべきかは、医療の専門知識を要する部分です。自己判断で結論を出すのではなく、検査結果を医師にしっかり確認し、適切な指示を仰ぐことが大切です。

検査結果が示唆すること

検査結果から、高値または低値と判定される場合でも、それだけで即座に病名が確定するわけではありません。

ホルモン数値は日内変動や体調によって上下しますし、複数の検査項目を総合評価する必要があります。

結果パターン考えられる解釈例
コルチゾールのみ高値ストレス過多、クッシング症候群など
コルチゾール・アルドステロン両方高値副腎皮質の過形成または腫瘍、ホルモン産生腫瘍の可能性
コルチゾールのみ低値副腎不全、ステロイドの急な中断、長期疲労
DHEA-Sが高値副腎腫瘍、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性など
17-OHプロゲステロンが高値先天性副腎過形成症、酵素欠損など

何かしらの異常値が出た場合、追加検査や複数回の採血・採尿で正確な病態を確認することが重要です。

他の検査との総合評価

副腎機能を総合的に評価するには、血液・尿検査だけでなく、画像検査や下垂体機能検査なども組み合わせるケースが多いです。

血圧測定や電解質バランスの確認、心エコーや腎エコーなども含めて、全身状態を把握します。医師が多角的に診断するため、患者本人は検査日程や採血時間、服薬状況などを正確に伝えることが必要です。

結果の説明を受ける際のポイント

副腎皮質機能検査の結果は複数の項目が絡み合い、専門用語も多いため、医師の説明で疑問点があれば遠慮なく質問してください。

  • 結果の数値と基準値の開きはどの程度か
  • 複数のホルモン値から考えられる病態は何か
  • 追加の検査は必要か
  • 日常生活で気をつけるべきことはあるか

医師と十分にコミュニケーションをとることで、不安を和らげながら治療方針を決める助けになります。

診断確定には専門的な知識が必須

ホルモン異常が疑われる場合でも、最終的な診断確定には専門医の知見が必要です。一般内科や内分泌科などの専門医を受診し、必要に応じて検査や治療を継続する流れとなります。

検査結果が異常であったとしても、必要以上に悲観せず、医師の指示を待ちながら次のステップを踏んでください。

受診が考えられる診療科担当領域や特徴
内分泌・代謝内科ホルモン全般の専門家が診察し、より踏み込んだ検査や治療方針を提案する
一般内科まずは初期症状を把握し、必要に応じて専門科に紹介する
婦人科月経不順や不妊などが関連する場合、ホルモンバランスの観点で診療する

経過観察の重要性

副腎ホルモンは体調や服薬状況によって大きく変化することがあります。小さな変動であっても、時間をかけて推移を見ると意味のある傾向が表れる場合があります。

定期的に検査を受け、医師と相談しながら状況をチェックする姿勢が重要です。

医療機関を受診するタイミング

副腎皮質機能に疑いがある場合は、早めに検査を検討するとトラブルを未然に防げる可能性があります。症状があやふやで迷いやすいからこそ、適切な受診タイミングを見極めることが大切です。

体調不良が長引くとき

倦怠感や疲労感が長引くと、単なる過労だと思いがちです。しかし副腎ホルモン異常も含め、何らかの内分泌系のトラブルが隠れているかもしれません。

特に以下のような状態が続くなら、早めに医師へ相談してください。

  • 朝起きるのがつらいほどの疲労感
  • 低血圧による立ちくらみが頻繁に起こる
  • 体重が増減する原因がはっきりしない

こうした症状が一向に良くならないなら、副腎皮質機能検査を受ける意義があります。

ホルモンバランスを疑う明確な兆候があるとき

月経異常や急激な体重変化、多毛や脱毛など、明らかにホルモンバランスがおかしいと感じる兆候があるときは、早い段階で検査を行うことを検討してください。

異常に気づいた初期段階で相談すると、より簡便な検査で問題の所在を洗い出せる可能性が高まります。

ホルモンバランスの乱れを疑う兆候関連がある可能性のある副腎ホルモン
月経不順、多毛、ニキビコルチゾール、DHEA-S
不妊症の疑い17-OHプロゲステロン、DHEA-S
急激な体重増加コルチゾール(クッシング症候群)
体重減少、低血圧コルチゾール、アルドステロン(副腎不全)

気になる症状が副腎と関連している可能性がある場合、迷わず専門医に相談するのが大切です。

生活習慣を改善しても症状が変わらないとき

適度な運動やバランスの良い食事、十分な睡眠などを心がけても症状が続くケースでは、副腎機能を疑う余地があります。ストレス社会で暮らす現代人にとって、副腎への負担は決して小さくありません。

健康的な生活を送っているのに疲れがとれず、血圧や体重に異常があるようなら、検査を検討してみてもよいでしょう。

すでに他の内科的治療を行っているが改善しない場合

高血圧や糖尿病など、他の内科的疾患の治療を行っているにもかかわらず、数値が改善しにくい場合は、潜在的な副腎ホルモン異常を調べるときです。

例えば、クッシング症候群が隠れていると、血圧がコントロールしにくくなったり、糖代謝に影響を及ぼしたりします。医師に相談し、副腎皮質機能検査を追加するかどうかを検討してみてください。

改善しにくい症状関連疾患または副腎ホルモンの異常
持続する高血圧原発性アルドステロン症、クッシング症候群など
血糖コントロール不良クッシング症候群によるステロイド過剰
体重の増加や難減量クッシング症候群
倦怠感や脱力アジソン病などの副腎不全

検査結果によっては、現在の治療方針を見直す必要が生じることもあります。

受診の先延ばしが招くリスク

副腎ホルモンの異常を放置すると、症状が徐々に進行し、生活の質を損ねるだけでなく、重篤な合併症を引き起こす危険も高まります。

特にクッシング症候群やアジソン病は、心血管疾患リスクの増加や危機的な低血圧を誘発する可能性があります。

早期発見と早期対応によって、重い合併症を回避できることがあるため、気になる兆候があれば放置せずに医療機関へ行くことが重要です。

副腎皮質機能検査は、複雑に見える副腎の働きを定量的に評価できる検査です。症状と検査結果を照らし合わせることで、適切な治療アプローチを検討する道が開けます。

健康管理の一環として、副腎の状態に目を向けることが自己の身体を守る第一歩だと考えられます。

以上

参考にした論文