夜中に突然、お子さんが「ケンケン」「コンコン」と犬が吠えるような、あるいはオットセイの鳴き声のような鋭い咳をし始めて、驚かれた経験はありませんか。
この特徴的な咳を「犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)」と呼びます。
主にウイルス感染によって喉頭(のど仏のあたり)が腫れることで起こり、特に小さなお子さんに見られます。
この記事では、犬吠様咳嗽の原因となる病気、ご家庭でできる対処法、そして医療機関を受診するべきタイミングについて、詳しく解説します。
犬吠様咳嗽(犬が吠えるような咳)とは
犬吠様咳嗽は、その名の通り特有の音を発する咳です。普通の風邪の「ゴホゴホ」という咳とは明らかに異なり、一度聞くと忘れられないような鋭く乾いた音がします。
この咳が聞こえたとき、何が起きているのか、なぜそのような音が出るのかを理解することが、落ち着いて対処するための第一歩です。
犬吠様咳嗽の音と特徴
犬吠様咳嗽の最も大きな特徴は、その音にあります。多くの場合、「ケン、ケン!」という甲高い音や、オットセイが鳴くような「クォン、クォン」というかすれたような音がします。
痰の絡まない乾いた咳(乾性咳嗽)であることがほとんどで、一度出始めると連続して起こりやすい傾向があります。
特に、夜間や明け方に症状が悪化しやすく、お子さんが咳き込んで眠れなくなってしまうことも少なくありません。
普通の咳との違い
項目 | 犬吠様咳嗽 | 一般的な風邪の咳 |
---|---|---|
音の表現 | ケンケン、コンコン、オットセイの鳴き声 | ゴホゴホ、ゲホゲホ |
咳の性質 | 乾いていて、甲高い、かすれている | 湿っていることが多い(痰が絡む) |
好発時間 | 夜間、明け方に悪化しやすい | 日中も含め時間帯は様々 |
なぜ犬が吠えるような音になるのか
この特有の咳の音は、声帯周辺の「喉頭(こうとう)」という場所の腫れが原因で生じます。喉頭は空気の通り道であり、特に声帯のすぐ下は、お子さんの場合もともと狭くなっています。
ウイルス感染などによってこの部分に炎症が起きると、粘膜が腫れてさらに空気の通り道が狭くなります。その狭くなった気道を空気が無理やり通るときに、特有の鋭い音が発生するのです。
笛を吹くときに、息を吹き込む部分を狭めると高い音が出るのと同じ原理です。
主に子供に見られる理由
犬吠様咳嗽が主に乳幼児(生後6か月から3歳くらい)に見られるのは、子供の気道の構造に理由があります。大人の気道は比較的太く、多少炎症で腫れても呼吸に大きな影響が出ることは少ないです。
しかし、子供の気道はもともと細く、粘膜も柔らかいため、少しの腫れでも空気の通り道が著しく狭くなってしまいます。
そのため、同じウイルスに感染しても、大人はただの喉の痛みで済むことが、子供では犬吠様咳嗽や呼吸困難を引き起こすことがあるのです。
大人が発症するケース
犬吠様咳嗽は子供特有の症状と思われがちですが、まれに大人が発症することもあります。
大人の場合、激しい炎症が起きる急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん)や、アレルギー反応による喉頭の浮腫(むくみ)などが原因となりえます。
大人の場合は気道が窒息する危険性が子供よりも高まることがあるため、犬吠様咳嗽に加えて息苦しさや飲み込みにくさを感じた場合は、ただちに医療機関を受診する必要があります。
犬吠様咳嗽を引き起こす主な病気
犬吠様咳嗽は、それ自体が病名ではなく、ある特定の状態を示す「症状」です。この症状の裏には、原因となるいくつかの病気が隠れています。
最も一般的なのはクループ症候群ですが、その他にも注意が必要な病気が存在します。
急性喉頭炎(クループ症候群)
犬吠様咳嗽の原因として最も頻度が高いのが「急性喉頭炎」、一般的に「クループ症候群」と呼ばれるものです。
これは、喉頭から気管にかけての炎症を指し、そのほとんどがウイルス感染によって引き起こされます。
犬吠様咳嗽、声のかすれ(嗄声)、吸気性喘鳴(きゅうきせいぜんめい:息を吸うときにヒューヒュー、ゼーゼーと音がする状態)がクループ症候群の3大症状です。
原因となる主なウイルス
- パラインフルエンザウイルス
- RSウイルス
- インフルエンザウイルス
- アデノウイルス
ジフテリア
かつてはクループ症候群の原因として恐れられていた病気です。ジフテリア菌という細菌感染によって起こり、喉頭に偽膜(ぎまく)と呼ばれる厚い膜が形成され、気道を塞いでしまう危険な病気でした。
しかし、現在ではDPT-IPV(四種混合)ワクチンなどの予防接種が普及したおかげで、日本国内での発症はほとんど見られなくなりました。
ワクチンの重要性を示す代表的な例です。
考えられる病気の概要
病名 | 主な原因 | 好発年齢 |
---|---|---|
クループ症候群 | ウイルス感染 | 生後6か月~3歳 |
急性喉頭蓋炎 | 細菌感染(インフルエンザ菌b型など) | 2~6歳に多い |
ジフテリア | 細菌感染(ジフテリア菌) | ワクチン未接種者 |
喉頭浮腫
喉頭浮腫は、アレルギー反応(アナフィラキシー)や薬剤の副作用、あるいは喉への物理的な刺激などによって喉頭がむくんでしまう状態です。
ウイルスや細菌の感染とは異なる原因で気道が狭くなるため、犬吠様咳嗽に加えて、じんましんや顔の腫れなど、アレルギーに関連する他の症状を伴うことがあります。
食物アレルギーなどが原因の場合は、緊急の対応が必要です。
その他の原因
非常にまれですが、気道に異物を飲み込んでしまった場合(気道異物)や、生まれつき気道が狭い先天性の病気、あるいは喉頭周辺にできた腫瘍などが犬吠様咳嗽のような咳を引き起こすこともあります。
咳が長引く、あるいは他の症状を伴う場合は、これらの可能性も考慮して診察を進めます。
クループ症候群について
犬吠様咳嗽の最も一般的な原因であるクループ症候群について、もう少し詳しく見ていきましょう。多くの保護者の方が経験する可能性のある病気であり、その特徴を知っておくことは非常に重要です。
ウイルス感染が主な原因
前述の通り、クループ症候群の大部分はウイルス感染によるものです。
パラインフルエンザウイルスが最も多い原因とされていますが、インフルエンザウイルスやRSウイルス、アデノウイルスなど、一般的な風邪の原因となるウイルスでも発症します。
これらのウイルスが喉頭に感染し、炎症を引き起こすことで症状が現れます。
症状の段階的な変化
クループ症候群は、典型的な経過をたどることが多いです。最初は鼻水や微熱など、普通の風邪のような症状から始まります。その後、1~2日のうちに特徴的な犬吠様咳嗽や声がれが出現します。
症状は夜間に悪化する傾向があり、日中は比較的元気そうに見えることもあります。咳は通常3~4日程度でピークを迎え、その後は徐々に痰の絡んだ湿った咳に変化しながら改善していきます。
クループ症候群の重症度
重症度 | 安静時の状態 | 興奮時の状態 |
---|---|---|
軽症 | 喘鳴(ぜんめい)なし | 興奮すると軽い喘鳴あり |
中等症 | 安静時でも喘鳴が聞こえる | 陥没呼吸が見られることがある |
重症 | 安静時でも明らかな喘鳴と陥没呼吸 | チアノーゼ(唇などが紫色になる) |
好発年齢と季節
クループ症候群は、気道が狭い生後6か月から3歳くらいまでの子供に最も多く見られます。5歳以上になると発症頻度は減少し、小学生以上でクループ症候群になることは比較的まれです。
季節としては、空気が乾燥する秋から冬にかけて流行する傾向がありますが、年間を通して発症の可能性はあります。
他の風邪との見分け方
普通の風邪とクループ症候群を見分ける最大のポイントは、やはり「咳の音」と「声の変化」です。普通の風邪でも咳や声がれは起こりますが、犬が吠えるような特有の咳はクループ症候群に典型的です。
また、息を吸うときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という音(吸気性喘鳴)が聞こえる場合も、クループ症候群を強く疑うサインです。
自宅でできる応急処置とケア
お子さんが犬吠様咳嗽を始めたとき、特に夜間であれば、すぐに病院へ行くべきか迷うことでしょう。呼吸が苦しそうでなければ、まずはご家庭で症状を和らげるためのケアを試みることができます。
落ち着いて対処することが大切です。
冷たい外気や加湿器の活用
クループ症候群による喉頭の腫れは、湿度が高く少し冷たい空気を吸うことで和らぐことがあります。冬であれば、窓を開けて冷たい外の空気を吸わせるのも一つの方法です。
また、加湿器を使って部屋の湿度を50~60%程度に保つことも効果的です。お風呂場に熱いシャワーを出し、その湯気で満たされた空間にしばらくいることも、喉の腫れを和らげるのに役立ちます。
家庭でのケアのポイント
項目 | 具体的な方法 | 目的・注意点 |
---|---|---|
加湿 | 加湿器の使用、濡れタオルを干す | 喉の乾燥を防ぎ、炎症を和らげる |
水分補給 | 湯冷まし、麦茶、経口補水液などを少量ずつ | 脱水を防ぐ。熱いものや酸っぱいものは避ける |
姿勢の工夫 | 縦抱きにする、クッションで上半身を高くする | 気道を確保し、呼吸を楽にする |
水分補給の重要性
咳や発熱によって、体から水分が失われやすくなります。脱水を防ぐためにも、水分補給は非常に重要です。
ただし、一度にたくさん飲ませると咳き込んで吐いてしまうことがあるため、湯冷ましや麦茶、子供用のイオン飲料などを少量ずつ、こまめに与えるようにしましょう。
喉への刺激が少ない、常温のものが飲みやすいです。
楽な姿勢を保つ
横になると咳が悪化することがあります。これは、気道が圧迫されやすくなるためです。
お子さんが苦しそうにしている場合は、抱っこしてあげたり、クッションや枕で上半身を少し高くして寝かせてあげたりすると、呼吸が楽になることがあります。
お子さんが最も楽だと感じる姿勢を探してあげてください。
避けるべきこと
症状を悪化させる可能性があるため、避けるべきこともあります。まず、タバコの煙はお子さんの喉を強く刺激し、咳を悪化させる大きな原因です。
ご家族に喫煙者がいる場合は、お子さんの周りでは絶対に吸わないように徹底してください。また、お子さんを興奮させたり、泣かせたりすると、呼吸が速くなり症状が悪化することがあります。
できるだけ安心させて、穏やかに過ごせる環境を整えることが大切です。
症状を悪化させる可能性のあるもの
- タバコの煙
- 乾燥した空気
- お子さんを泣かせること
- 激しい運動
医療機関を受診するタイミング
家庭でのケアを行っても症状が改善しない場合や、特定のサインが見られる場合は、医療機関を受診する必要があります。特に呼吸困難の兆候は、緊急性を判断する上で最も重要なポイントです。
夜間や休日に受診を判断する基準
夜間に症状が出やすいクループ症候群では、夜間救急を受診すべきかどうかの判断に迷うことが多いです。咳の音に驚くとは思いますが、お子さんの全身の状態を冷静に観察してください。
咳はしていても、あやせば笑ったり、水分が取れて眠れているようであれば、翌日の日中にかかりつけ医を受診するのでも間に合う場合が多いです。
しかし、下記に示すような呼吸困難のサインがある場合は、夜間や休日であってもためらわずに受診を検討してください。
呼吸困難のサインを見逃さない
呼吸困難は、クループ症候群において最も注意すべき症状です。気道の狭窄が高度になると、体内に十分な酸素を取り込めなくなります。
以下のサインは、体が必死に酸素を取り込もうとしている証拠であり、緊急の対応が必要です。
緊急受診が必要な呼吸のサイン
サインの名称 | 具体的な症状 | 観察する場所 |
---|---|---|
吸気性喘鳴 | 息を吸うときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」と音がする | 喉、胸 |
陥没呼吸 | 息を吸うときに鎖骨の上、肋骨の間、みぞおちがへこむ | 首の付け根、胸、お腹 |
チアノーゼ | 唇や爪、顔色が悪く、青紫色になる | 唇、爪、顔全体 |
このほか、肩を上下させて必死に呼吸している(肩呼吸)、よだれが多く、それを飲み込めない、ぐったりして意識がはっきりしないといった場合も、非常に危険な状態です。
すぐに救急車を要請してください。
何科を受診すればよいか
お子さんの犬吠様咳嗽の場合、まずはかかりつけの小児科を受診するのが一般的です。必要に応じて、より専門的な治療が可能な総合病院などを紹介してもらえます。
大人の場合は、耳鼻咽喉科が専門となります。夜間や休日でどこに相談すればよいか分からない場合は、自治体の救急相談窓口(例えば、子供の場合は「#8000」など)に電話して指示を仰ぐのも良い方法です。
医師に伝えるべき情報
診察をスムーズに進め、正確な診断につなげるために、医師に伝えるべき情報を事前にまとめておくと役立ちます。
スマートフォンのメモ機能などを活用して、落ち着いて説明できるように準備しておきましょう。
受診時に伝えると役立つ情報
項目 | 伝える内容の例 |
---|---|
いつから | 「昨日の夜11時頃からです」 |
咳の音 | 「犬が吠えるようなケンケンという咳です」(可能なら動画を撮っておくと最も伝わりやすい) |
他の症状 | 「38度の熱があります」「鼻水が出ています」「声がかすれています」 |
呼吸の状態 | 「息を吸うときにヒューヒュー音がします」「胸がペコペコへこんでいます」 |
水分・食事 | 「お茶は少し飲めますが、食事はほとんど食べません」 |
病院で行われる検査と治療
医療機関では、症状の重症度を正確に評価し、それに合わせた治療を行います。治療の目的は、喉頭の腫れを引かせて気道を確保し、呼吸を楽にすることです。
診断のための診察と検査
診断は、主に特徴的な咳の音や呼吸の状態を観察する身体診察によって行います。聴診器で胸や喉の音を聞き、喘鳴の有無や程度を確認します。
また、血中の酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターという機械を指にはめて、体内に十分な酸素が取り込めているかを確認することもあります。
重症の場合や他の病気が疑われる場合には、レントゲン検査や血液検査を行うこともあります。
吸入療法(アドレナリン)
中等症から重症で、呼吸困難の症状が強い場合に行われる代表的な治療が、アドレナリン(ボスミン)の吸入です。
ネブライザーという機械を使って薬剤を霧状にし、それを吸い込むことで、腫れた喉頭の血管を収縮させ、気道の腫れを迅速に和らげる効果があります。
効果は比較的速やかに現れますが、持続時間は数時間程度であるため、症状がぶり返さないか経過観察が必要です。
ステロイド薬の役割
ステロイド薬は、喉頭の炎症を強力に抑える作用があり、クループ症候群の治療において中心的な役割を果たします。内服薬(飲み薬)や注射、吸入などの形で投与します。
アドレナリン吸入が即効性のある対症療法であるのに対し、ステロイドは炎症自体を抑えることで、より持続的に症状を改善させる効果が期待できます。
軽症の場合でも、夜間の悪化を防ぐ目的で処方されることがあります。
主な治療法の比較
治療法 | 目的 | 主な対象 |
---|---|---|
アドレナリン吸入 | 喉頭の腫れを迅速に軽減する | 中等症~重症 |
ステロイド薬投与 | 喉頭の炎症を強力に抑える | 軽症~重症 |
酸素投与 | 血中の酸素不足を補う | 重症(チアノーゼなど) |
入院が必要になる場合
ほとんどのクループ症候群は外来での治療が可能ですが、以下のような場合は入院して慎重に経過を見る必要があります。
入院の目的は、呼吸状態の悪化に迅速に対応し、安定した状態で回復を促すことです。
入院を検討する主なケース
- 重症の呼吸困難(安静時の喘鳴、陥没呼吸、チアノーゼ)がある
- アドレナリン吸入などの治療後も症状の改善が乏しい
- 水分や食事が全く取れず、脱水の危険がある
- 生後6か月未満の乳児
犬吠様咳嗽の予防と再発防止
犬吠様咳嗽の原因の多くはウイルス感染です。したがって、普段から感染症にかからないように対策をすることが、結果的に犬吠様咳嗽の予防につながります。
また、一度クループ症候群になったお子さんは、風邪をひいたときに再発しやすい傾向があるため、日頃のケアが重要です。
日常生活で心がける感染対策
クループ症候群を引き起こすウイルスは、咳やくしゃみなどの飛沫や、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることで感染します。基本的な感染対策を家族全員で習慣づけることが大切です。
基本的な感染予防策
対策 | 具体的な行動 | ポイント |
---|---|---|
手洗い・うがい | 外出後、食事前には石鹸で丁寧に手を洗う | 指先や指の間、手首までしっかりと洗う |
人混みを避ける | 流行期には不要不急の外出を控える | 特に体調が優れないときは無理をしない |
十分な休養と栄養 | 規則正しい生活を送り、バランスの取れた食事を心がける | 体の抵抗力を高めておくことが重要 |
ワクチンの重要性
原因となる病気の中には、ワクチンで予防できるものがあります。
ジフテリアは四種混合ワクチン(DPT-IPV)で、また重症化しやすい急性喉頭蓋炎の原因となるインフルエンザ菌b型(ヒブ)はヒブワクチンで予防が可能です。
インフルエンザウイルスによるクループも重症化しやすいため、インフルエンザワクチンの接種も予防策として有効です。
定期接種や任意接種のワクチンを計画的に受けておくことは、お子さんの健康を守る上で非常に重要です。
再発しやすい子供の特徴
もともとアレルギー体質であったり、気道が過敏であったりするお子さんは、風邪をひくたびにクループ症候群を繰り返し発症することがあります。
成長とともに気道が太くなると、徐々に起こしにくくなっていきますが、それまでは特に注意が必要です。
風邪のひきはじめに声がかすれてきたり、軽い咳が出始めたりした段階で、早めに部屋の加湿を始めるなどの対策を取ると、悪化を防げる場合があります。
よくある質問
最後に、犬吠様咳嗽に関して保護者の方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
一度かかると癖になりますか
「癖になる」というよりは、「再発しやすい」と考えるのが適切です。
特に、もともと気道が狭い、あるいは過敏なお子さんは、小学校低学年くらいまでは風邪をきっかけにクループの症状が出やすいことがあります。
しかし、体の成長に伴って気道が広くなると、同じウイルスに感染しても喉頭の腫れが問題になることは減っていき、次第に発症しなくなります。
他の子供にうつりますか
はい、うつる可能性があります。クループ症候群の原因であるウイルスそのものは、咳やくしゃみを通じて他の人に感染します。
ただし、感染した人全員がクループ症候群を発症するわけではありません。
感染した相手が同じくらいの年齢の子供であれば同様の症状が出る可能性がありますし、大人であればただの鼻風邪や喉の痛みで済むことがほとんどです。
症状がある間は、保育園や幼稚園などは医師の許可が出るまでお休みし、他の子供との接触は避けるようにしてください。
食事で気をつけることはありますか
喉に炎症があるため、熱いもの、硬いもの、酸味や香辛料の強い刺激物は避けたほうが良いでしょう。
プリン、ゼリー、アイスクリーム、冷たいスープ、おかゆなど、喉越しが良く、飲み込みやすいものがおすすめです。
食欲がない場合は無理に食べさせる必要はありませんが、脱水を防ぐための水分補給は最も重要です。
回復までどのくらいかかりますか
症状の重症度によりますが、一般的に犬吠様咳嗽のピークは2~3日程度です。その後、徐々に咳の性質が湿ったものに変わり、1週間程度で全体的な症状は回復に向かいます。
ただし、咳や鼻水などの症状は、もう少し長く続くことがあります。治療を受けた後も、医師の指示に従って安静に過ごすことが早い回復につながります。
以上