感染症の一種である白癬(はくせん)とは皮膚や爪、毛髪に発生する真菌感染症です。

この疾患は体のさまざまな部位に現れて赤い輪状の発疹やかゆみを伴う症状が特徴的です。

白癬は非常に一般的で誰でも罹患する可能性があります。

特に温かく湿った環境で増殖しやすい真菌によって引き起こされるため運動後や入浴施設の利用後などに注意が必要です。

白癬

白癬の主な症状

感染症の一種である白癬は実は多くの方が一度は経験したことがある皮膚疾患です。

その主症状を知ることで早期発見と適切な対応が可能となります。

本稿では白癬の代表的な症状について詳しく解説します。

皮膚の変化

白癬に感染すると皮膚にさまざまな変化が現れますが、最も特徴的な症状は赤みを帯びた環状の発疹です。

この発疹は徐々に拡大して中心部が治癒していくことで輪状の形態を示すことがあります。

また皮膚の表面が乾燥して細かい鱗屑(りんせつ)が生じることもあります。

さらに感染部位によっては水疱や膿疱が形成されることもあるでしょう。

症状特徴
環状の発疹赤みを帯び徐々に拡大
鱗屑皮膚表面の乾燥と剥離
水疱・膿疱部位によって形成される

痒みと不快感

白癬の症状として多くの患者さんが訴えるのが強い痒みです。

この痒みは感染部位によって程度が異なりますが、しばしば耐え難いものとなります。

特に夜間や入浴後に痒みが増強することがあり睡眠の質を低下させる要因となってしまう場合もあります。

痒みに伴う不快感は日常生活に支障をきたす可能性があるため注意が必要です。

  • 強い痒みの出現
  • 夜間や入浴後の痒みの増強
  • 睡眠への影響

部位別の症状

白癬は体のさまざまな部位に発症します。それぞれの部位によって特徴的な症状が現れることがあります。

足白癬(水虫)の場合には足の指の間や足底に発赤や亀裂、浸軟(皮膚が水分を含んで柔らかくなる状態)が見られます。

体部白癬では体幹や四肢に環状の発疹が現れて徐々に拡大していきます。

頭部白癬の場合になると頭皮に円形の脱毛斑と炎症を伴う症状が出現することがあります。

部位主な症状
指間の発赤・亀裂・浸軟
体幹・四肢環状発疹の拡大
頭部円形脱毛斑・炎症

爪の変化

爪白癬(おうはくせん)は爪に特徴的な変化をもたらします。

感染初期には爪の先端や側面が白く濁り次第に黄色や茶色に変色していきます。

爪が厚くなってもろくなることも多く、爪の変形や剥離が進行する傾向です。

重症化すると爪床から爪が持ち上がる症状(爪甲剥離)が起こる場合も見られます。

2015年のJournal of Fungi誌に掲載された研究によると爪白癬患者さんの約70%が爪の変色や肥厚を主訴として医療機関を受診したことが報告されています。

  • 爪の変色(白濁→黄色・茶色)
  • 爪の肥厚化
  • 爪の変形や剥離

また体のどの部位に感染しても状態の程度によってみられる特徴は以下のように変化していく傾向です。

症状の程度特徴
軽度軽い発赤や痒み
中等度明確な環状発疹・強い痒み
重度広範囲の感染・二次感染の危険性

上記からもわかるように白癬の症状は早期に気づくことで対応が容易になります。

日々の皮膚の観察や違和感を感じた際の迅速な対応が、症状の悪化を防ぐ鍵です。

白癬の原因とリスク要因

白癬は私たちの身近に潜む真菌による感染症でその原因やリスク要因は多岐にわたります。

個人の体質や生活環境、そして日常的な習慣が複合的に作用し感染のきっかけとなります。

これらの要因を意識して適切な予防策を講じることが健康的な生活を送る上で不可欠です。

自身の生活習慣を見直し必要に応じて環境改善を行うことで白癬のリスクを軽減できる可能性があります。

本項では白癬を引き起こす要因について詳しく解説していきます。

真菌による感染

白癬の直接的な原因は皮膚糸状菌と呼ばれる真菌の感染です。

この真菌は人間の皮膚・爪・毛髪などに寄生して増殖することで感染を引き起こします。

具体的に主な原因菌はトリコフィトン属・ミクロスポルム属・エピデルモフィトン属などです。

これらの真菌は温かく湿った環境を好むため体の様々な部位で感染が起こる可能性があります。

真菌の種類主な感染部位
トリコフィトン属足・体・爪
ミクロスポルム属頭皮・体
エピデルモフィトン属足・鼠径部

環境要因

白癬菌の増殖を促進する環境要因は感染リスクを高める重要な要素です。

高温多湿の環境は真菌の生育に適しているため特に夏季や梅雨時期には注意が必要です。

また 閉鎖的な靴や濡れた靴下を長時間履き続けることも足白癬(水虫)のリスクを増大させます。

さらに公共の入浴施設やプールなどの共用スペースも真菌の伝播を促す恰好の場所となり得ます。

  • 高温多湿な気候
  • 蒸れやすい靴や靴下の着用
  • 共用施設の利用頻度

個人の体質や生活習慣

個人の体質や日常的な生活習慣も白癬の発症に関与することがあります。

例えば汗をかきやすい体質の方や足の指が密着しやすい方は白癬のリスクが高まる傾向です。

反対に皮膚が乾燥しやすい場合状態でも真菌の侵入を容易にする要因となるのです。

さらに日々の衛生管理、靴下の交換頻度なども感染リスクに影響を与えます。

体質・習慣リスク
多汗症
乾燥肌
頻繁な靴下交換

免疫機能の低下

免疫機能の低下は白癬を含む様々な感染症のリスクを高める可能性があります。

糖尿病・HIV感染症などの基礎疾患・長期的なステロイド使用・抗がん剤治療などによって免疫力が低下した状態にあると真菌感染のリスクが上昇します。

また高齢者や妊婦の方も免疫機能の変化により白癬に罹患しやすくなることがあります。

2018年のJournal of Fungi誌に掲載された研究によると糖尿病患者さんの約35%が足白癬を有していたとの報告があり基礎疾患と白癬の関連性が示唆されています。

  • 糖尿病などの基礎疾患
  • 免疫抑制剤の使用
  • 高齢や妊娠による免疫機能の変化

感染経路

白癬の主な感染経路としては以下の3パターンがあります。

感染経路具体例
直接接触皮膚同士の接触
間接接触共用タオルの使用
環境感染公共浴場の床

直接接触感染は感染者の皮膚や爪に直接触れることで起こります。

間接接触感染は感染者が使用したタオルや靴などを介して起こるものです。

さらに家庭内や公共施設での環境感染も珍しくありません。

診察と診断

白癬の診察と診断は問診から始まり視診、各種検査を経て総合的な評価に至る複雑なプロセスです。

正確な診断は適切な治療につながり、ひいては患者さんのQOL(生活の質)向上に寄与します。

本項では医療機関での診察から確定診断に至るまでのプロセスを詳しく解説します。

問診と視診

白癬の診断においてまず行われるのが詳細な問診と丁寧な視診です。

ここでは患者さんの病歴・生活環境・既往歴などを聴取して白癬の可能性を探ります。

問診では症状の発現時期・進行状況・日常生活での気づきなどが重要な手がかりとなります。

視診では医師が肉眼で病変部位を観察してその特徴的な所見を確認します。

問診項目確認内容
症状の経過発症時期と進行状況
生活環境職業・運動習慣など
既往歴過去の皮膚疾患歴

皮膚所見の観察

視診に続いては拡大鏡やダーモスコープを用いて皮膚所見をより詳細に観察します。

これらの器具を使用することで肉眼では見えにくい微細な変化も捉えることが可能です。

白癬特有の皮膚変化、例えば環状の病変や鱗屑(りんせつ)の様子などを注意深く観察して他の皮膚疾患との鑑別を行います。

また爪白癬の場合は爪の変色・肥厚・変形などの所見を詳細に確認します。

  • 環状病変の有無と形状
  • 鱗屑の性状と分布
  • 爪の変色や変形の程度

真菌検査

白癬の確定診断には真菌検査が不可欠で最も一般的な検査方法はKOH直接鏡検法です。

この方法では病変部から採取した鱗屑や爪検体を水酸化カリウム(KOH)溶液で処理して顕微鏡で観察します。

顕微鏡下で特徴的な菌糸や胞子が確認できれば白癬と診断されます。

培養検査

KOH直接鏡検法で確定診断が困難な場合や原因菌の同定が必要な際には培養検査が行われます。

培養検査では患部から採取した検体を特殊な培地で培養して真菌の発育を観察するのです。

この方法は時間を要しますが原因菌の種類を正確に特定できるという利点があります。

原因菌の同定は治療方針の決定や再発予防に役立つ重要な情報となります。

  • 培養に要する期間(通常2〜4週間)
  • 菌種同定の意義
  • 薬剤感受性試験の実施可能性
検査方法特徴
KOH直接鏡検法迅速・簡便
真菌培養確実・時間を要す

2019年の医学雑誌「Mycoses」に掲載された研究によると培養検査は白癬の診断精度を約20%向上させるとの報告がありその有用性が示されています。

鑑別診断

白癬は他の皮膚疾患と類似した症状を呈することがあるため慎重な鑑別診断が大切です。

湿疹・乾癬・接触性皮膚炎など様々な皮膚疾患との鑑別が必要となります。

医師は患者さんの症状・病歴・検査結果を総合的に評価して正確な診断を下します。

時に複数の検査や経過観察が必要となることもあり診断には専門的な知識と経験が求められます。

鑑別疾患共通する症状
湿疹発赤・痒み
乾癬鱗屑・紅斑
接触性皮膚炎発赤・水疱

白癬の画像所見

白癬の画像所見は部位や病期によって多様な様相を呈します。

画像所見のみで確定診断を下すことは困難ですが専門医による詳細な診察と適切な検査を組み合わせることで 正確な診断に至ることが可能です。

本項では様々な部位における白癬の特徴的な画像所見について詳しく解説します。

体部白癬の画像所見

体部白癬(Tinea corporis)は体幹や四肢に現れる白癬の一種です。

その典型的な画像所見として環状の紅斑が挙げられます。

この紅斑は中心が治癒傾向を示して辺縁部が活動性を持つ「環状紅斑」として観察されることが多いです。

環状紅斑の辺縁部は鮮明な境界を持ち、わずかに隆起していることがあります。

特徴画像所見
形状環状・楕円形
色調赤褐色〜淡紅色
境界明瞭
Diagnosis and Management of Tinea Infections | AAFP

所見:「体部白癬(リングワーム)は通常、中央が清明で活動性のある境界を伴う赤い輪状の鱗屑性でかゆみを伴う斑として現れる。」

足白癬(水虫)の画像所見

足白癬(Tinea pedis.)いわゆる水虫の画像所見は発生部位によって異なる特徴を示します。

趾間型では指の間の皮膚が白色に浸軟してひび割れや亀裂が観察されます。

小水疱型では足底や足側面に小さな水疱が多発する様子が確認できます。

角質増殖型では足底全体の角質が厚くなり深いひび割れが生じている画像が特徴的です。

  • 趾間型 皮膚の白色化と亀裂
  • 小水疱型 微小な水疱の集簇
  • 角質増殖型 著明な角質肥厚とひび割れ
Diagnosis and Management of Tinea Infections | AAFP

所見:「足白癬(アスリートフット)は通常、足の指の間の皮膚に影響を与えますが、足の裏、側面、背面に広がることがあります(図)。急性型は、指の間の発赤および浸軟を伴い、時には痛みを伴う水疱を伴うことがあります。より一般的な慢性型は、指の間の鱗屑、皮むけ、および発赤を特徴としますが、足の他の部位に広がることもあります。足底および側面の発赤および角質増殖を伴う病変は、「モカシン型」足白癬と呼ばれます。」

頭部白癬の画像所見

頭部白癬(Tinea capitis.)は主に小児に見られる白癬の一種で特徴的な画像所見を呈します。

なかでも最も顕著な所見は円形の脱毛斑です。

この脱毛斑は境界明瞭で内部に短く折れた毛髪(コンマ毛)が観察されます。

重症例では複数の脱毛斑が融合して大きな不整形の脱毛部位として現れることもあります。

所見特徴
脱毛斑円形・境界明瞭
毛髪短く折れた状態
炎症軽度の発赤・鱗屑
Diagnosis and Management of Tinea Infections | AAFP

所見:「初期の病気はかゆみや鱗屑に限られることがありますが、より典型的な症状は、皮膚線で毛が切れた(黒点)鱗屑性の脱毛斑が1つ以上現れ、かさぶたを伴います。」

爪白癬の画像所見

爪白癬(そうはくせん, Tinea Unguium, Onychomycosis)は爪甲に特徴的な変化をもたらします。

初期の画像所見では爪甲遠位端や側縁部に白色〜黄色の変色が観察されます。

進行すると爪甲全体が肥厚して表面が粗造になる様子が画像で確認できるでしょう。

重症例では爪甲の変形や剥離、さらには爪床からの爪甲の浮き上がりといった所見が現れます。

2020年の「Journal of Clinical Medicine」に掲載された研究によると爪白癬患者さんの約80%で爪甲の黄色化が認められ、診断の重要な指標となることが報告されています。

  • 爪甲の変色(白色〜黄色〜茶色)
  • 爪甲の肥厚と表面の粗造化
  • 爪甲の変形や剥離
Diagnosis and Management of Tinea Infections | AAFP

所見:「爪白癬は、爪が変形した思春期および成人で一般的に考慮される疾患です。厚く、もろく、変色した爪を特徴とする一般的な遠位爪下型に加えて(図)、免疫不全を疑うべき稀な近位爪下型や、成人よりも子供に多い白色表在型で現れることもあります。」

ケルスス禿瘡の画像所見

ケルスス禿瘡(とくそう)は重症な頭部白癬の一種で特異的な画像所見を示します。

典型的な画像では頭皮に大きな隆起性の紅斑病変が観察されます。

この病変は強い炎症を伴い膿疱や膿瘍の形成が確認できることがあります。

重症例では病変部の毛髪が脱落して瘢痕性脱毛に至る過程が画像で捉えられます。

画像所見特徴
紅斑隆起性・境界不明瞭
炎症強度・膿疱・膿瘍形成
脱毛瘢痕性・永久脱毛の可能性
The kerion: an angry tinea capitis – John – 2018 – International Journal of Dermatology – Wiley Online Library

所見:「ケリオンの臨床例。病変周囲の脱毛、および複数の病変上に見られる膿疱と膿性排出物に注意。」

白癬の治療法と回復への道のり

白癬の治療は正しい診断に基づく適切な薬剤選択と患者さんの継続的なケアが大切です。

治癒までの道のりは決して短くはありませんが根気強く治療を続けることで多くの場合良好な結果が得られます。

本項では様々な治療法や使用される薬剤、そして治癒までの期間について詳しく解説します。

外用薬による治療

白癬の初期治療では一般的に外用薬が選択されます。

外用薬は患部に直接塗布することで局所的に効果を発揮して全身への影響を最小限に抑えられるというのが利点です。

代表的な外用抗真菌薬にはイミダゾール系・アリルアミン系・ベンジルアミン系などがあり、患部の状態や範囲に応じて選択されます。

これらの薬剤は1日1〜2回の塗布で効果を発揮しますが完治までには数週間から数か月の継続使用が求められます。

薬剤系統代表的な成分
イミダゾール系ケトコナゾール
アリルアミン系テルビナフィン
ベンジルアミン系ブテナフィン

内服薬を用いた治療

外用薬で効果が不十分な場合や広範囲の感染、爪白癬などでは内服薬が選択されます。

内服抗真菌薬は全身に作用して皮膚の深部や爪床にまで到達するため、より確実な治療効果が期待できます。

代表的な内服薬にはテルビナフィン イトラコナゾール フルコナゾールなどがあり医師の判断に基づいて処方されます。

内服薬の使用期間は 感染部位や重症度によって異なりますが 通常は数週間から数か月に及ぶことがあります。

  • テルビナフィン 1日1回 6〜12週間
  • イトラコナゾール パルス療法 (1週間内服3週間休薬)を2〜3クール
  • フルコナゾール 週1回 数週間〜数か月

爪白癬の特殊な治療法

爪白癬(そうはくせん)は治療に時間を要する傾向があり、特殊な治療法が用いられることがあります。

一つの方法として爪に直接抗真菌薬を浸透させる局所療法があります。

これは爪表面を専用の器具で削って薬剤の浸透性を高めてから外用薬を塗布するという方法です。

また近年ではレーザー治療も注目されており、爪甲に熱を加えて真菌を死滅させる方法が研究されています。

治療法特徴
局所療法爪表面を削り薬剤浸透性を向上
レーザー治療熱による真菌の死滅を目指す

治癒までの期間

白癬の治癒までの期間は感染部位・重症度・治療法によって大きく異なります。

体部白癬や足白癬の軽症例では適切な外用薬治療により2〜4週間程度で改善が見られることがあります。

一方爪白癬の場合は治癒までには数か月から1年以上を要することも珍しくありません。

2019年の「Journal of Fungi」に掲載された研究によると足白癬患者さんの約70%が8週間の外用薬治療で臨床的治癒に至ったとの報告があります。

  • 体部白癬・足白癬(軽症) 2〜8週間
  • 頭部白癬 4〜8週間
  • 爪白癬 6か月〜1年以上

治療効果の判定と経過観察

白癬の治療効果判定には臨床症状の改善と真菌学的検査が用いられます。

臨床症状の改善は発赤や痒みの軽減や皮膚の正常化などを指標とします。

真菌学的検査ではKOH直接鏡検や培養検査を行い真菌の消失を確認します。

治療終了後も一定期間の経過観察が重要で再発の早期発見と対応につながります。

判定方法評価項目
臨床評価発赤・痒み・皮膚状態
真菌学的検査KOH直接鏡検・培養

以上をまとめると医師の指示に従い処方された薬剤を適切に使用することが治療成功の鍵となります。

また 生活習慣の改善や再発予防策の実践も長期的な健康維持に不可欠な要素です。

白癬(はくせん)治療の副作用とリスク

白癬の治療には様々な方法がありますがどの治療法にも潜在的な副作用やリスクが存在します。

副作用の早期発見と適切な対応が治療の成功と患者さんの安全を確保する上で不可欠な要素です。

本稿では白癬治療に伴う副作用やデメリットについて詳しく解説し患者さんがより安心して治療に臨めるよう情報をお届けします。

外用薬の副作用

外用抗真菌薬は一般的に全身への影響が少ないとされていますが局所的な副作用が生じる可能性があります。

最も頻度が高い副作用は塗布部位の刺激感や発赤・かゆみなどです。

これらは薬剤自体による刺激や基剤(薬剤の有効成分以外の部分)に対するアレルギー反応によって引き起こされる症状です。

まれに接触性皮膚炎や色素沈着といった副作用が報告されているケースもあります。

副作用頻度
刺激感比較的多い
発赤時々見られる
かゆみ時々見られる
接触性皮膚炎まれ

内服薬のリスク

内服抗真菌薬は全身に作用するためより広範囲な副作用のリスクがあります。

消化器系の副作用として吐き気・腹痛・下痢などが報告されていますし、肝機能への影響も懸念事項の一つで定期的な肝機能検査が推奨されることがあります。

また頭痛・味覚障害・皮疹といった副作用も時折見られ、患者さんのQOL(生活の質)に影響を与える可能性があります。

  • 消化器系副作用(吐き気・腹痛・下痢)
  • 肝機能への影響
  • 頭痛・味覚障害・皮疹

薬物相互作用のリスク

内服抗真菌薬は他の薬剤との相互作用に注意が必要です。

特に肝臓で代謝される薬剤との併用では互いの血中濃度に影響を与えて効果の増強・減弱・副作用の増強につながる可能性があります。

例えばワルファリン(抗凝固薬)や一部の降圧剤、抗てんかん薬などとの相互作用が知られています。

患者さんは服用中の全ての薬剤について医師や薬剤師に相談することが非常に大切です。

薬剤群相互作用の可能性
抗凝固薬高い
降圧剤中程度
抗てんかん薬中程度

長期使用のデメリット

白癬 特に爪白癬(そうはくせん)の治療では長期間の薬剤使用が必要となることがあります。

長期使用に伴うデメリットとして薬剤耐性菌の出現リスクが挙げられます。

また継続的な薬剤使用による経済的負担も考慮すべき要素です。

さらに長期間の薬物療法は患者さんの心理面にも影響を与えて治療への意欲低下や生活の質の低下につながる場合も考えられます。

長期使用の影響関連するリスク
薬剤耐性治療効果の低下
経済的負担治療の中断
心理的影響QOLの低下

特殊治療法のリスク

爪白癬などに用いられる特殊な治療法にも固有のリスクが存在します。

例えば爪甲の除去を伴う治療では一時的な痛みや不快感、爪の変形リスクが生じます。

レーザー治療では熱による痛みや皮膚の発赤、まれではありますが火傷のリスクも考慮しなければなりません。

これらの特殊治療は効果と副作用のバランスを慎重に精査して選択することが大切です。

  • 爪甲除去 痛み・不快感・爪の変形
  • レーザー治療 熱による痛み・発赤・火傷のリスク

白癬治療に伴う副作用やリスクは患者さん一人一人の状態によって異なります。

2020年の「Journal of Fungi」に掲載された研究では白癬治療の副作用の多くは軽度で一過性なうえ、適切な管理下では重篤な問題に発展する例は稀であることが報告されています。

白癬治療の費用 外用薬から内服薬まで

白癬治療の費用は使用する薬剤や治療期間によって大きく異なります。

本稿では一般的な治療費の目安をご紹介します。

処方薬の薬価

外用抗真菌薬の薬価は種類や容量によって変動します。

一般的なクリームタイプの場合は10gあたり123円(エンペシドクリーム1%)~184円(ニゾラールクリーム2%)です。

内服薬の場合では1錠あたり158.3円(ジフルカンカプセル100mg)ほどと同様に、比較的安価です。

薬剤タイプ薬価(概算)
外用薬123円〜184円/10g
内服薬158.3円/錠

1週間の治療費

外用薬のみの場合1週間の治療費は172.2円から257.6円程度になります。内服薬を併用すると1,108.1円更に上昇します。

1か月の治療費

長期治療が必要な爪白癬などでは1か月の治療費が5,000円から15,000円に達することがあります。

  • 外用薬のみ 738円から1,104円
  • 内服薬併用 4,749円
  • その他、初診料や再診料、検査料など

なお、上記の価格は2024年11月時点のものであり、最新の価格については随時ご確認ください。

以上

参考にした論文