インスリンは私たちの体内で血糖値を調節する上で欠かせないホルモンです。

糖尿病の治療薬としても広く知られていますが、その具体的な構造や体の中での働きについては詳しく知らない方も多いかもしれません。

インスリンがどのような物質で、どのように作られ、そしてどのように血糖値を下げるのかを理解することはご自身の健康管理や糖尿病治療への理解を深める上で非常に重要です。

この記事ではインスリンの構造からその作用の仕組み、血糖値への影響について分かりやすく解説します。

目次

インスリンとは?血糖値を下げる唯一のホルモン

まずインスリンがどのようなホルモンなのか、その基本的な特徴と体における役割について見ていきましょう。

膵臓から分泌されるタンパク質ホルモン

インスリンはお腹の中にある膵臓(すいぞう)という臓器で作られ、血液中に分泌されるホルモンの一種です。化学的には多くのアミノ酸が結合してできたタンパク質(ペプチドホルモン)に分類されます。

ホルモンは体の特定の器官で作られ、血液などを通じて他の器官に情報を伝え、その働きを調節する役割を持つ化学物質です。

血糖値調節における中心的な役割

インスリンの最も重要な役割は血液中のブドウ糖(血糖)の濃度、すなわち血糖値を下げることです。

体内で血糖値を下げる働きを持つホルモンは現在のところインスリンしか知られていません。

食事によって上昇した血糖値を適切な範囲に保ち、エネルギー源であるブドウ糖を細胞が効率よく利用できるように手助けします。

インスリンの主な役割

役割概要結果
血糖値低下血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませる血糖値の正常化
エネルギー利用促進細胞がブドウ糖をエネルギーとして使うのを助ける身体活動の維持
エネルギー貯蔵余分なブドウ糖をグリコーゲンや脂肪として蓄えるエネルギーの備蓄

インスリン発見の歴史と意義

インスリンが発見されたのは1921年のことです。カナダの研究者バンティングらによって発見され、糖尿病治療に革命をもたらしました。

それまで有効な治療法がなかった1型糖尿病患者の命を救う道を開いたのです。この発見は医学史上非常に大きな出来事であり、発見者たちはノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

現在もインスリン製剤は進化を続けており、多くの糖尿病患者さんの生活を支えています。

インスリンの基本的な構造

インスリンがどのようにしてその機能を発揮するのかを理解するために、まずはその分子としての構造を見てみましょう。

アミノ酸がつながったペプチドホルモン

インスリンはアミノ酸という小さな分子がたくさん鎖状につながってできたペプチドホルモンです。

ヒトのインスリンは合計51個のアミノ酸から構成されています。アミノ酸の配列順序がインスリンの立体的な形と機能を決定づけています。

A鎖とB鎖の二つの鎖構造

インスリン分子は1本の長い鎖ではなく、「A鎖」と呼ばれる21個のアミノ酸からなる鎖と、「B鎖」と呼ばれる30個のアミノ酸からなる鎖の合計2本のペプチド鎖で構成されています。

この二つの鎖が特定の形で組み合わさることでインスリンとしての機能を発揮します。

インスリンの構成要素

構成要素アミノ酸数備考
A鎖21個短い方のペプチド鎖
B鎖30個長い方のペプチド鎖
合計51個A鎖とB鎖の合計

ジスルフィド結合による鎖の連結

A鎖とB鎖は、ただ隣り合っているだけではありません。アミノ酸の一種であるシステインに含まれる硫黄原子同士が結合する「ジスルフィド結合(S-S結合)」によって、しっかりと結び付けられています。

A鎖とB鎖の間には2か所のジスルフィド結合があり、さらにA鎖内部にも1か所のジスルフィド結合が存在します。

これらの結合がインスリンの正しい立体構造を保つ上で重要な役割を果たしています。

プロインスリンからインスリンへ

実はインスリンは最初から完成形で合成されるわけではありません。まず、「プロインスリン」という一本鎖の前駆体(元になる物質)として作られます。

プロインスリンはA鎖、B鎖、そしてそれらをつなぐ「Cペプチド」と呼ばれる部分から構成されています。

その後、特定の酵素によってCペプチド部分が切り離され、A鎖とB鎖がジスルフィド結合で結ばれた完成形のインスリンとなります。

この過程を経てインスリンは血糖値を下げる能力を獲得します。

インスリンが作られ分泌されるまで

体内でインスリンはどのように生成され、必要に応じて血液中に放出されるのでしょうか。その調節の仕組みについて解説します。

膵臓のランゲルハンス島β細胞

インスリンを専門に作り、分泌する細胞は膵臓の中に島状に点在する「ランゲルハンス島」という組織の中にあります。

ランゲルハンス島には数種類の細胞が存在しますが、インスリンを産生するのは「β細胞(ベータ細胞)」です。

β細胞は血糖値の変化を敏感に感知し、インスリンの分泌量を調節するセンサーの役割も担っています。

血糖値上昇が分泌の引き金

インスリン分泌の最も強力な刺激となるのは血糖値の上昇です。

食事によって血液中のブドウ糖濃度が高まるとβ細胞はその情報をキャッチし、蓄えていたインスリンを血液中に放出します。これにより上昇した血糖値を下げるための応答が開始されます。

食事とインスリン分泌の関係

食事、特に炭水化物を摂取すると消化吸収を経てブドウ糖となり血糖値が上昇します。これに応じてインスリンが分泌されます。

インスリン分泌量は食事の内容や量によって変動します。

一般的に糖質の多い食事ほどインスリンの分泌量は多くなります。また、タンパク質や脂質も程度は低いですがインスリン分泌を刺激することがあります。

食事成分とインスリン分泌刺激

食事成分インスリン分泌刺激の強さ備考
糖質(炭水化物)強い血糖値上昇が直接的な刺激となる
タンパク質中程度一部のアミノ酸が刺激する
脂質弱い間接的な影響が主

インスリン分泌の二相性パターン

血糖値が上昇した際のインスリン分泌は、一様ではありません。「二相性」と呼ばれる特徴的なパターンを示します。

まず、血糖値上昇後すぐに、β細胞内にあらかじめ蓄えられていたインスリンが急速に放出されます(第一相分泌)。その後やや遅れて、新たに合成されたインスリンが持続的に分泌されます(第二相分泌)。

この二相性の分泌パターンが食後の血糖値を効率的にコントロールするために重要です。

糖尿病、特に2型糖尿病の初期には、この第一相分泌が低下することが知られています。

インスリンの作用機序 体内での働き方

分泌されたインスリンは血液の流れに乗って全身に運ばれ、標的となる細胞に作用します。

どのようにして細胞に働きかけ、血糖値を下げるのでしょうか。

細胞表面のインスリン受容体への結合

インスリンがその効果を発揮するためには、まず標的細胞の表面にある「インスリン受容体」という特定のタンパク質に結合する必要があります。

インスリン受容体は筋肉細胞、脂肪細胞、肝臓細胞など、多くの細胞の表面に存在します。インスリン分子はこの受容体に鍵と鍵穴のようにぴったりと結合します。

受容体を介した細胞内へのシグナル伝達

インスリンが受容体に結合すると、それが引き金となって受容体の構造が変化し、細胞内部に「インスリンが結合した」という情報(シグナル)が伝達されます。

このシグナルは細胞内の様々なタンパク質を次々と活性化させる連鎖反応を引き起こします。この一連の反応をシグナル伝達経路と呼びます。

ブドウ糖輸送体(GLUT4)の活性化

インスリンシグナル伝達の結果として起こる重要な変化の一つが、「ブドウ糖輸送体(GLUT4)」の細胞表面への移動です。

GLUT4は血液中のブドウ糖を細胞内に取り込むためのドアのような役割を持つタンパク質です。

通常、GLUT4は細胞内部に待機していますが、インスリンの刺激を受けると細胞膜へ移動し、ブドウ糖の通り道を開きます。

インスリン作用の流れ

  1. インスリンが細胞表面の受容体に結合
  2. 細胞内にシグナルが伝達される
  3. GLUT4が細胞膜へ移動する
  4. ブドウ糖が細胞内に取り込まれる

細胞へのブドウ糖取り込み促進

細胞膜に移動したGLUT4によって血液中のブドウ糖が効率よく細胞内に取り込まれるようになります。

特に筋肉細胞や脂肪細胞はインスリン依存的にGLUT4を介して大量のブドウ糖を取り込みます。これにより血液中のブドウ糖濃度が低下し、血糖値が下がります。

取り込まれたブドウ糖は細胞のエネルギー源として利用されたり、貯蔵されたりします。

インスリンが血糖値に与える具体的な影響

インスリンは細胞へのブドウ糖取り込みを促進する以外にも様々な作用を通じて血糖値を下げる働きをします。

筋肉・脂肪細胞でのブドウ糖利用促進

インスリンは筋肉細胞や脂肪細胞が血液中からブドウ糖を取り込むのを助けるだけでなく、取り込んだブドウ糖をエネルギーとして利用したり、貯蔵したりする働きも促進します。

筋肉ではブドウ糖は主にエネルギー源として使われるほか、グリコーゲンとして貯蔵されます。脂肪細胞ではブドウ糖は中性脂肪の合成に使われます。

肝臓でのグリコーゲン合成促進

肝臓は血糖調節において非常に重要な臓器です。インスリンは肝臓に作用し、血液中から取り込んだブドウ糖を「グリコーゲン」という形で貯蔵する働き(グリコーゲン合成)を促進します。

グリコーゲンは必要な時に再びブドウ糖に分解され、血糖値を維持するために使われます。

食後にインスリンがグリコーゲン合成を促すことで余分なブドウ糖を一時的に貯蔵し、血糖値の上昇を抑えます。

インスリンの肝臓における主な作用

作用内容血糖値への影響
グリコーゲン合成促進ブドウ糖をグリコーゲンとして貯蔵低下
糖新生抑制アミノ酸などからのブドウ糖産生を抑制低下
グリコーゲン分解抑制貯蔵グリコーゲンのブドウ糖への分解を抑制低下

肝臓での糖新生抑制

肝臓にはアミノ酸や乳酸など糖質以外の物質から新たにブドウ糖を作り出す「糖新生」という働きがあります。

空腹時など血糖値が低い時には、この糖新生によって血糖値が維持されます。しかし、食後など血糖値が高い時にはこれ以上血糖値を上げる必要はありません。

インスリンは肝臓での糖新生を抑制することで、血糖値が必要以上に上昇するのを防ぎます。

血糖値を下げる総合的な働き

このように、インスリンは筋肉や脂肪細胞でのブドウ糖取り込み・利用促進、肝臓でのグリコーゲン合成促進と糖新生抑制といった複数の作用を通じて、総合的に血糖値を下げる働きをしています。

これらの作用がうまく連携することで、私たちの血糖値は適切な範囲に保たれているのです。

インスリン作用不足と糖尿病の関係

糖尿病はインスリンの作用が不足することによって高血糖状態が慢性的に続く病気です。

インスリン作用不足にはいくつかの原因があります。

インスリン分泌不全とは

インスリン分泌不全とは膵臓のβ細胞からインスリンを作り、分泌する能力が低下している状態を指します。

血糖値が上昇してもそれに見合った十分な量のインスリンを分泌できないため、血糖値が下がりにくくなります。

遺伝的な要因や、加齢、肥満、他の疾患などが原因で起こることがあります。

インスリン抵抗性とは

インスリン抵抗性とはインスリンは分泌されているものの、筋肉や脂肪細胞、肝臓などの標的細胞でのインスリンの効きが悪くなっている状態です。

インスリンが受容体に結合しても、その後のシグナル伝達がうまくいかず、ブドウ糖の取り込みや利用が十分に促進されません。

肥満、運動不足、食生活の乱れなどがインスリン抵抗性の主な原因と考えられています。

インスリン作用不足のタイプ

タイプ主な状態原因(例)
インスリン分泌不全インスリンを作る・出す力が低下遺伝、加齢、β細胞疲弊
インスリン抵抗性インスリンの効き目が悪化肥満、運動不足、高脂肪食

1型糖尿病とインスリン絶対的欠乏

1型糖尿病は主に自己免疫(自身の免疫系が誤って自分の体を攻撃すること)によって、膵臓のβ細胞が破壊されてしまう病気です。

ですから1型糖尿病になるとインスリンをほとんど、あるいは全く分泌できなくなります(インスリン絶対的欠乏)。

そのため1型糖尿病の治療には体外からインスリンを補充するインスリン療法が必須となります。

2型糖尿病とインスリン相対的作用不足

2型糖尿病は遺伝的な要因に加えて、過食、運動不足、肥満といった生活習慣が関与して発症することが多いタイプです。多くの場合、インスリン分泌不全とインスリン抵抗性の両方が関与しています。

初期にはインスリン抵抗性が主体で、それを補うためにインスリンが過剰に分泌されますが、やがてβ細胞が疲弊してインスリン分泌能が低下してきます。

インスリンの作用が相対的に不足し、血糖コントロールが悪化します。

血液検査におけるインスリン値の意味

健康診断や病院での検査で血液中のインスリン濃度(インスリン値)を測定することがあります。この検査値は何を示しているのでしょうか。

空腹時インスリン値(IRI)とは

通常、健康診断などで測定されるのは「空腹時インスリン値(Fasting Insulin または IRI: ImmunoReactive Insulin)」です。

これは食事前の空腹状態(通常は10時間以上の絶食後)で採血し、血液中に含まれるインスリンの量を測定したものです。

空腹時は血糖値が低いため、健康な人ではインスリン分泌は基礎レベルに抑えられています。

インスリン値からわかること

空腹時インスリン値はインスリンの基礎分泌能やインスリン抵抗性の状態を推測する手がかりとなります。

空腹時インスリン値の解釈(一般的な傾向)

インスリン値考えられる状態補足
基準範囲内正常な基礎分泌血糖値も正常なら問題ないことが多い
低値インスリン分泌不全の可能性1型糖尿病や進行した2型糖尿病など
高値インスリン抵抗性の可能性肥満や2型糖尿病初期など

ただし、インスリン値は血糖値とのバランスで評価することが重要です。

例えば血糖値が正常でもインスリン値が高い場合はインスリン抵抗性を疑います。

逆に血糖値が高いのにインスリン値が低い場合はインスリン分泌不全が考えられます。

HOMA-IR インスリン抵抗性の指標

インスリン抵抗性の程度を評価する簡便な指標として「HOMA-IR(ホーマ・アイアール)」があります。これは空腹時血糖値と空腹時インスリン値を用いて計算される指数です。

計算式は「空腹時血糖値 (mg/dL) × 空腹時インスリン値 (μU/mL) ÷ 405」です。

HOMA-IRの値が高いほどインスリン抵抗性が強いことを示します。一般的に1.6以下が正常、2.5以上で抵抗性ありと判定されることが多いですが、基準値は施設によって異なる場合があります。

検査値の解釈と注意点

インスリン値やHOMA-IRは、あくまでも体の状態を把握するための一つの指標です。これらの値だけで病気を診断することはできません。

検査結果の解釈は血糖値や他の検査結果、症状、病歴などを考慮して医師が総合的に判断します。気になる点があれば、自己判断せず必ず医師に相談してください。

よくある質問 (Q&A)

インスリンの構造や作用に関して、患者さんからよく寄せられる質問にお答えします。

Q1. インスリンは太る原因になりますか?

A1. インスリンにはエネルギーを脂肪として蓄える働き(脂肪合成促進、脂肪分解抑制)があります。そのためインスリン療法を開始したり、インスリン量が増えたりすると、体重が増加することがあります。

これはインスリンによって血糖コントロールが改善し、それまで尿中に排泄されていた余分な糖が体内に留まるようになることも一因です。

しかし、これはインスリンの正常な生理作用の一部であり、適切な食事療法や運動療法を併用することで体重増加を管理することは可能です。

体重管理について心配な場合は主治医や管理栄養士に相談しましょう。

Q2. インスリン注射はずっと続けなければいけませんか?

A2. 1型糖尿病の場合は自身の膵臓からインスリンがほとんど分泌されないため、生涯にわたってインスリン注射が必要です。

2型糖尿病の場合は病状や治療経過によって異なります。生活習慣の改善や他の薬剤で血糖コントロールが良好になれば、インスリン注射を中止できる場合もあります。

しかし、病状が進行してインスリン分泌能が著しく低下した場合には継続が必要になることもあります。治療方針については、主治医とよく相談することが大切です。

Q3. インスリン抵抗性を改善するにはどうすれば良いですか?

A3. インスリン抵抗性の主な原因は肥満や運動不足です。したがって改善のためには生活習慣の見直しが基本となります。

具体的にはバランスの取れた食事を心がけ、摂取カロリーを適正に保つこと、ウォーキングなどの有酸素運動や筋力トレーニングを継続的に行うことが有効です。体重を減らすだけでもインスリン抵抗性は改善することが多いです。

生活習慣の改善が難しい場合や効果が不十分な場合には、インスリン抵抗性改善薬などの薬物療法を検討することもあります。

インスリン抵抗性改善のための生活習慣

項目具体的な内容例期待される効果
食事療法適正カロリー摂取、栄養バランス改善、食物繊維摂取体重減少、血糖改善
運動療法有酸素運動(ウォーキング等)、筋力トレーニング体重減少、筋肉での糖利用促進
減量食事・運動による適正体重の維持インスリン感受性の向上

Q4. 食事を抜くとインスリンはどうなりますか?

A4. 食事を抜くと血糖値の上昇が起こらないため、通常、食後に見られるようなインスリンの追加分泌は起こりません。

しかし体は常に基礎的なエネルギーを必要としているため、血糖値が下がりすぎないようにインスリンの基礎分泌は少量続いています。

また、血糖値を上げるホルモン(グルカゴンなど)が働き、肝臓からブドウ糖が放出されます。

糖尿病の薬物療法中(特にインスリン注射やSU薬など)に食事を抜くと薬の効果で血糖値が下がりすぎ、低血糖を起こす危険があるため注意が必要です。

食事は規則正しく摂ることが基本です。

以上

参考にした論文

NAJJAR, Sonia. Insulin action: Molecular basis of diabetes. Encyclopedia of Life Sciences, 2001, Secondary Article: 1-10.

HEDESKOV, Carl Jørgen. Mechanism of glucose-induced insulin secretion. Physiological reviews, 1980, 60.2: 442-509.

CHEATHAM, Bentley; KAHN, C. Ronald. Insulin action and the insulin signaling network. Endocrine reviews, 1995, 16.2: 117-142.

JĘDRYSIK, Malwina, et al. The role of GLP-1, GIP, MCP-1 and IGFBP-7 biomarkers in the development of metabolic disorders: a review and predictive analysis in the context of diabetes and obesity. Biomedicines, 2024, 12.1: 159.

ZHANG, Chuan, et al. MafA is a key regulator of glucose-stimulated insulin secretion. Molecular and cellular biology, 2005, 25.12: 4969-4976.

BANERJEE, Ronadip R., et al. Regulation of fasted blood glucose by resistin. Science, 2004, 303.5661: 1195-1198.

GÜNAL‐KÖROĞLU, Deniz, et al. Quercetin: Potential antidiabetic effects through enzyme inhibition and starch digestibility. Food Safety and Health, 2025, 3.1: 9-22.

PETERSEN, Max C.; SHULMAN, Gerald I. Mechanisms of insulin action and insulin resistance. Physiological reviews, 2018.

AL-ISHAQ, Raghad Khalid, et al. Flavonoids and their anti-diabetic effects: Cellular mechanisms and effects to improve blood sugar levels. Biomolecules, 2019, 9.9: 430.

KHAN, A. H. P. J.; PESSIN, J. Insulin regulation of glucose uptake: a complex interplay of intracellular signalling pathways. Diabetologia, 2002, 45: 1475-1483.