糖尿病と高血圧を併発している場合、単なる生活習慣の乱れや加齢だけが原因とは限りません。実は「原発性アルドステロン症」というホルモン異常が隠れているケースが非常に多く見受けられます。

この病態は見逃されやすく、放置すると腎臓へのダメージを急速に進行させます。

本記事では、この隠れたリスクを発見するために重要な「レニン・アルドステロン比」検査について詳しく解説し、なぜ早期発見が腎臓を守ることにつながるのか、その理由を明らかにします。

正しい知識を持ち、適切な検査を受けることが、将来の透析リスクを回避する大きな一歩となります。

糖尿病と高血圧が併発する理由と隠れたリスク

糖尿病と高血圧の併発は、単なる偶然ではなく、高血糖による血管障害や塩分感受性の亢進といった生理学的なメカニズムが深く関与しています。

糖尿病治療において、血糖値の管理と同じくらい、あるいはそれ以上に重要視するべきなのが血圧のコントロールです。

両者が揃うことで動脈硬化や腎臓病のリスクは倍増するため、その背景にある原因を正しく理解する必要があります。

血糖値と血管への圧力の相互作用

高血糖状態が続くと、血管の内壁は常に糖による酸化ストレスにさらされます。その結果、血管の柔軟性が失われ、硬くなることで血圧が上昇しやすくなります。

さらに、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)は、交感神経を刺激し、腎臓でのナトリウム再吸収を促進します。

そのため、体内に水分が溜まりやすくなり、循環血液量が増加して血圧を押し上げます。

逆に、高血圧が存在すると、微細な血管への物理的なダメージが加速し、インスリンを届けるべき筋肉や臓器への血流が悪化します。

すると、さらに血糖値が下がりにくくなるという悪循環が生じます。

この負の連鎖を断ち切るには、血糖と血圧の双方を厳格に管理する必要がありますが、通常の降圧薬だけでは十分に下がらないケースが糖尿病患者には多く見られます。

見逃されやすい二次性高血圧の存在

高血圧患者の9割は原因が特定できない「本態性高血圧」とされてきましたが、近年、特定の原因がある「二次性高血圧」の割合が想定以上に多いことがわかってきました。

特に糖尿病患者においては、ホルモン異常による高血圧が潜んでいる確率が高まります。その代表格が、後述する原発性アルドステロン症です。

一般的な高血圧とホルモン性高血圧の違い

比較項目本態性高血圧(一般的)ホルモン性高血圧(二次性)
主な原因遺伝、加齢、塩分過多、肥満など複合的特定のホルモン過剰分泌(アルドステロン等)
薬の効きやすさ一般的な降圧薬で下がりやすい通常の薬が効きにくく、多剤併用になりがち
合併症リスク徐々に進行する脳卒中や心臓病、腎臓病のリスクがより高い

通常の降圧薬を複数飲んでも血圧が下がらない「治療抵抗性高血圧」の場合、この二次性高血圧を疑う必要があります。

原因がはっきりしているため、その原因を取り除く、あるいは特異的に作用する薬を使うことで、劇的に血圧が改善する可能性があります。

塩分感受性と体液量の増加

糖尿病患者の高血圧の特徴として、「塩分感受性」が高いことが挙げられます。これは、摂取した塩分に対して血圧が上がりやすい体質を指します。

健常な人であれば、余分な塩分は尿として排出しますが、糖尿病や肥満がある場合、この排出機能が低下していることがよくあります。

体内にナトリウム(塩分)が留まると、浸透圧を維持するために水分も一緒に溜め込みます。これが血管内をパンパンにし、血圧を上昇させる要因となります。

食事療法で減塩を指導するのはこのためですが、どれだけ減塩しても血圧が下がらない場合、単なる食生活の問題ではなく、体内のホルモンバランスが「塩を溜め込め」という指令を出し続けている可能性があります。

原発性アルドステロン症(PA)という病態の正体

原発性アルドステロン症は、副腎からのホルモン過剰分泌により、制御不能な高血圧とカリウム喪失を引き起こす病態であり、糖尿病患者において高い頻度で合併します。

高血圧患者の10人に1人、重症高血圧においては2割以上がこの病気であるという報告もあり、決して稀な病気ではありません。

副腎から分泌されるホルモンの暴走

腎臓の上にちょこんと乗っている小さな臓器、副腎。ここから分泌される「アルドステロン」というホルモンが過剰に作られてしまうのがこの病気です。

本来、アルドステロンは血圧が下がった時に分泌され、腎臓でナトリウムを再吸収して血圧を維持する大切な役割を担っています。

しかし、副腎にできた良性の腫瘍や過形成によって、身体の必要量に関係なくアルドステロンが勝手に分泌され続けると問題が起きます。

血管内に水分と塩分が過剰に溜め込まれ、常に血圧が高い状態が維持されてしまうのです。

この状態は、いくら食事で減塩しても、身体の内側から塩分を溜め込む力が働いているため、通常の努力では太刀打ちできません。

ナトリウムの貯留とカリウムの喪失

アルドステロンの作用は、ナトリウムを体内に残すと同時に、カリウムを尿中へ捨ててしまうことです。

そのため、原発性アルドステロン症の患者さんでは、血液中のカリウム値が低くなる傾向があります(低カリウム血症)。

原発性アルドステロン症で見られる主なサイン

身体的特徴・症状検査数値の傾向治療への反応
多尿、夜間頻尿、筋力低下、動悸低カリウム血症(正常な場合もあり)通常の降圧薬(Ca拮抗薬等)で下がらない
若年での発症、または急激な悪化レニン活性が低く、アルドステロン濃度が高いミネラルコルチコイド受容体拮抗薬が著効する
脳卒中や心肥大の既往尿中アルブミン排泄量の増加減塩しても血圧が下がりにくい

カリウムは筋肉の動きや神経の伝達に必要なミネラルです。これが不足すると、手足の力が入りにくい、疲れやすい、足がつる、不整脈が出るといった症状が現れることがあります。

しかし、最近の研究では、カリウム値が正常範囲内であっても原発性アルドステロン症であるケースが多いことがわかっており、「カリウムが正常だから大丈夫」とは言えなくなっています。

糖尿病患者における高い有病率

糖尿病患者において、この原発性アルドステロン症の合併率は、非糖尿病の高血圧患者よりも高い傾向にあります。

これにはいくつかの要因が考えられますが、高血糖が副腎を刺激する可能性や、肥満に伴う脂肪細胞からのシグナルが関係している説などがあります。

重要なのは、糖尿病と診断された時点で、高血圧の原因の一つとして必ずこの病気を疑う必要があるということです。

「たかが高血圧」と放置せず、背景にあるホルモン異常を探る姿勢が、将来の合併症を防ぐ鍵となります。

「レニン・アルドステロン比(ARR)」検査でわかること

ARR検査は、血液中のホルモンバランスの乱れを数値化することで、本態性高血圧と二次性高血圧を鑑別する最も有効なスクリーニング手法です。

原発性アルドステロン症かどうかを見極めるための最初の入り口となり、特別な手術や入院が必要なものではなく、通常の採血検査で調べることができます。

レニンとアルドステロンの関係性

通常、私たちの体は「レニン」と「アルドステロン」という二つの物質がシーソーのようにバランスを取り合って血圧を調整しています。

腎臓への血流が減ったり血圧が下がったりすると、まず「レニン」が分泌されます。このレニンが刺激となり、最終的に副腎から「アルドステロン」が出て血圧を上げます。

血圧が十分に上がれば、レニンの分泌は止まり、アルドステロンも下がります。

つまり、正常であれば、アルドステロンが高い時はレニンも高い、あるいはアルドステロンが低い時はレニンも低いという相関関係にあります。

レニンとアルドステロンの正常・異常パターン

状態レニン(刺激役)アルドステロン(実行役)
正常な血圧調整時上昇すれば上昇するレニンに合わせて上下する
脱水や出血時高く上昇する高く上昇する(正常な反応)
原発性アルドステロン症著しく低い(抑制される)勝手に高い(または正常範囲)

原発性アルドステロン症では、勝手にアルドステロンが出るため、体は「もう血圧を上げる必要はない」と判断し、レニンの分泌を極端に抑え込みます。

この「アルドステロンが高いのにレニンが低い」という異常なバランスを見つけ出すのがこの検査です。

スクリーニング検査としてのARRの意義

ARR(Aldosterone-Renin Ratio)は、血漿アルドステロン濃度(PAC)をレニン活性(PRA)またはレニン濃度(ARC)で割って算出します。

この比率が高ければ高いほど、アルドステロンが自律的に過剰分泌されている疑いが強まります。

この検査の優れた点は、高血圧の原因を「本態性(原因不明)」として片付ける前に、明確な治療ターゲットがあるかどうかを振り分けられる点にあります。

特に糖尿病患者の場合、無駄な薬を増やさずに、的確な治療へ最短距離で進むために、このスクリーニング検査は重要です。

検査を受ける前の準備と注意点

ARR検査は採血だけで済みますが、正確な数値を出すためにはいくつかの注意点があります。

服用中の降圧薬の種類によっては、レニンやアルドステロンの値に影響を与え、偽の結果(偽陽性や偽陰性)を招くことがあるからです。

たとえば、一部の降圧薬はレニンを上昇させてしまい、本来なら異常値であるはずの比率を正常範囲に見せてしまうことがあります。

そのため、主治医と相談の上、検査の数週間前から薬の種類を変更したり、一時的に中止したりする調整が必要になる場合があります。

検査結果の解釈と診断の流れ

検査結果の陽性判定はARR200以上を目安としますが、薬剤の影響や臨床症状を含めた総合的な判断を経て、確定診断のための負荷試験や画像診断へと進みます。

数値が高いからといって即座に確定診断となるわけではなく、段階を追って診断が進んでいきます。

ARR200以上が示す意味

一般的に、日本内分泌学会のガイドラインでは、レニン活性(PRA)を用いた場合、ARRが「200」を超え、かつアルドステロン濃度がある一定以上(例えば120pg/mLなど)ある場合に、原発性アルドステロン症の疑いが強い「陽性」と判断します。

ただし、レニン濃度(ARC)を用いて測定する場合もあり、その際は基準値が異なります。

200という数字はあくまで一つの目安であり、ギリギリの値であっても、臨床症状(低カリウムや若年発症など)と合わせて総合的に判断します。

このスクリーニングで陽性となった場合、次はホルモン分泌が本当に自律的なものかを確認する「負荷試験」へと進みます。

結果に影響を与える薬剤や状況

検査結果は服用している薬や体の状態によって大きく変動するため、判定には専門的な知識が必要です。以下のような要因が結果を左右します。

  • β遮断薬はレニンを強力に下げる作用があるため、ARRが見かけ上高くなり、偽陽性の原因となります。
  • ARBやACE阻害薬はレニンを上昇させるため、ARRを低くし、偽陰性の原因となることがあります。
  • 利尿薬は体内の水分を減らすことでレニンを上げるため、これも偽陰性の要因となります。
  • 重度の低カリウム血症がある場合、アルドステロンの分泌自体が低下してしまうため、事前にカリウム製剤で補正が必要です。
  • アルドステロンは早朝に高く、午後になると下がる日内変動があるため、原則として午前中の採血が必要です。

確定診断に向けた負荷試験と画像診断

負荷試験では、あえて血圧を上げたり抑制をかけたりする薬剤や生理食塩水を投与し、それでもアルドステロンが下がらないかを確認します。

これにより、ホルモンが体の制御を無視して出ていることを証明します。機能的な確認が取れたら、次はCTスキャンなどで副腎の形態を確認します。

腫瘍があるのか、全体が腫れているのかを見ます。さらに手術を検討する場合は、「副腎静脈サンプリング」というカテーテル検査を行い、左右どちらの副腎から過剰分泌があるのかを特定します。

片側性であれば手術で完治が見込めますし、両側性であれば薬物療法が選択されます。

アルドステロン過剰がもたらす腎臓への直接的ダメージ

アルドステロンの過剰分泌は、糸球体への物理的な圧力だけでなく、直接的な組織の線維化や炎症を引き起こし、糖尿病性腎症の進行を加速させる独立した危険因子です。

単に血圧が高いから腎臓が悪くなる、という物理的な話だけではありません。

アルドステロンという物質そのものが持つ「毒性」について理解することは、治療へのモチベーションを高めるために非常に重要です。

糸球体への圧力と過剰濾過

アルドステロンが増えると、体液量が増加し、全身の血圧が上がります。これは腎臓内の微細なろ過装置である「糸球体」にも高い圧力をかけます。これを「糸球体高血圧」と呼びます。

初期段階では、腎臓は無理をして濾過量を増やそうとします(過剰濾過)。

一見、腎機能が良いように見えることもありますが、これはエンジンの回転数をレッドゾーンに入れたまま走り続けているようなものです。

この状態が続くと、糸球体は疲弊し、やがて機能不全に陥ります。糖尿病の高血糖も同様に過剰濾過を引き起こすため、ダブルパンチで腎臓の寿命を縮めてしまうのです。

腎臓へのダメージ要因の比較

要因主な作用メカニズム腎臓への具体的影響
高血糖(糖尿病)酸化ストレス、糖化産物の蓄積メサンギウム領域の拡大、血管障害
高血圧(物理的)糸球体内圧の上昇濾過機能の疲弊、硬化
アルドステロン過剰ミネラルコルチコイド受容体の活性化炎症、線維化(組織の硬化)、蛋白尿の増悪

組織の線維化と炎症反応

近年注目されているのが、アルドステロンが持つ直接的な臓器障害作用です。このホルモンは、腎臓の組織に炎症を引き起こし、組織を硬くする「線維化」を促進させます。

線維化とは、柔らかい機能的な組織が、傷あとのような硬い組織に置き換わってしまうことです。一度線維化してしまうと、元に戻すことは困難です。

つまり、血圧をコントロールできていたとしても、アルドステロン値が高いままであれば、水面下で腎臓の組織破壊が進んでいる可能性があるのです。

これを防ぐには、アルドステロンの作用そのものをブロックする必要があります。

蛋白尿の増加と透析リスクの加速

アルドステロン過剰は、尿中にタンパク質が漏れ出る「蛋白尿(アルブミン尿)」を顕著に悪化させます。

蛋白尿は、腎臓が悲鳴を上げているサインであり、同時にそれ自体が尿細管を傷つける毒としても働きます。

研究によれば、原発性アルドステロン症を合併した糖尿病患者は、そうでない患者に比べて、腎機能の低下速度が速く、心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中)のリスクも高いことが示されています。

しかし、適切な治療介入を行えば、この蛋白尿を劇的に減少させ、透析導入のリスクを遠ざけることが可能です。

MRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)を中心とした治療戦略

治療の中心となるのは、過剰なホルモンの働きを直接ブロックするMRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)の投与であり、手術適応とならない場合でも高い臓器保護効果を発揮します。

原発性アルドステロン症と診断された場合、あるいはその疑いが強い場合、治療の選択肢は「手術」か「薬物療法」の二択になりますが、多くの糖尿病患者においては薬物療法が中心となることが多いでしょう。

特異的な薬剤による臓器保護効果

MRAは、アルドステロンが受容体に結合するのを防ぐことで、その害を食い止めます。現在、以下のような薬剤が主に使用されています。

  • 古くからあるスピロノラクトンは効果が強力ですが、性ホルモンにも作用するため、副作用が出ることがあります。
  • エプレレノンは副作用を軽減した薬で、アルドステロン受容体への選択性が高く使いやすい薬剤です。
  • 比較的新しいエサキセレノンは非ステロイド型という構造を持ち、強力かつ選択的に作用し、蛋白尿の減少効果も期待されています。

手術療法と薬物療法の選択基準

副腎の片側だけに明らかな腫瘍があり、そこから過剰分泌が起きている場合は、腹腔鏡下での副腎摘出術が第一選択となります。

手術が成功すれば、高血圧が完治し、薬が不要になることもあります。

一方、両側の副腎から分泌されている場合や、手術を希望しない場合、あるいは年齢や合併症で手術が難しい場合は、前述のMRAを用いた薬物療法を行います。

糖尿病患者の場合、血糖管理や他の合併症との兼ね合いも含め、内科的に全身を管理していく薬物療法が選択されることも少なくありません。

生活習慣における注意点

薬や手術に加え、生活習慣の修正も治療効果を高めるために大切です。特に減塩は重要です。

アルドステロンが多い状態では塩分に敏感になっていますが、治療によってその感受性が正常に戻ってきます。

そのタイミングで適切な減塩を続けることで、降圧効果はより確実なものになります。また、肥満の解消も大切です。内臓脂肪はアルドステロンの分泌を刺激する因子を持っていると言われています。

適正体重を維持することは、糖尿病のコントロールだけでなく、アルドステロン症の管理においても相乗効果を生み出します。

糖尿病患者こそ「レニン・アルドステロン比」を測るべき理由

難治性高血圧の原因を特定し適切な治療を行うことは、将来的な透析リスクや心血管イベントを回避し、健康寿命を延伸するための最善の投資となります。

糖尿病と原発性アルドステロン症の合併は危険な組み合わせですが、これを見つけて治療することで、将来の健康リスクを大幅に減らせるという希望でもあります。

難治性高血圧からの脱却

「薬を飲んでも血圧が下がらない」と悩んでいる患者さんにとって、原因が特定できることは大きな救いです。

MRAという特効薬を使うことで、今までびくともしなかった血圧が嘘のように安定することがあります。

血圧が安定すれば、頭痛や肩こり、動悸といった自覚症状が改善するだけでなく、血管への負担が減り、動脈硬化の進行を遅らせることができます。

早期発見と放置した場合の比較

シナリオ血圧・体液管理将来的な見通し
検査せず放置多剤併用でも不安定、体液過剰持続腎機能が急速に悪化、心不全や脳卒中のリスク高
早期発見・治療介入少数の薬で安定、適正な体液バランス腎機能の保持、蛋白尿の減少、健康寿命の延伸
手術による根治薬不要または大幅減、正常血圧へホルモン性の臓器障害リスクが完全に消失

腎機能を守り透析を回避する

糖尿病治療の究極の目標の一つは、透析にならないことです。アルドステロンの制御は、血糖コントロールと同じくらい、腎臓を守るために強力な手段です。

特に蛋白尿が出ている段階で治療を開始できれば、その減少効果により、腎臓の寿命を何年も、あるいは何十年も延ばせる可能性があります。

「まだ大丈夫」と思っている段階での検査が最も価値があります。腎臓の組織が線維化して硬くなってしまってからでは、治療効果は限定的になります。

早期発見・早期治療こそが、自分の腎臓を守る最大の防御策なのです。

Q&A

Q
検査を受けるのに適したタイミングはありますか?
A

高血圧と診断された初期段階や、薬を飲んでも血圧が下がりにくいと感じた時が適したタイミングです。また、糖尿病の定期検査の際に併せて行うことも可能です。

ただし、前述の通り薬剤の影響を受けるため、主治医と相談して計画的に行う必要があります。

Q
カリウム値が正常でも病気の可能性はありますか?
A

はい、十分にあります。以前は「低カリウム血症」がこの病気の特徴とされていましたが、現在では患者の多くが正常範囲のカリウム値を示していることがわかっています。

カリウム値だけで判断せず、必ずレニン・アルドステロン比(ARR)を確認することが重要です。

Q
一度薬を飲み始めたら一生飲み続けるのですか?
A

手術適応でなく薬物療法を選択した場合、基本的には長期的な内服が必要です。これは高血圧の薬と同様に、体質に合わせてコントロールしていくものだからです。

しかし、適切な治療で臓器障害が防げれば、結果として全体の薬の量を減らせたり、健康な状態を長く保てたりするメリットの方がはるかに大きいです。

Q
遺伝することはありますか?
A

一部に家族性(遺伝性)の原発性アルドステロン症が存在しますが、全体の割合としてはごくわずかです。大半は遺伝とは関係なく発生する散発性のものです。

ただし、家族に若くして高血圧や脳卒中になった方がいる場合は、体質的なリスク要因として注意深く観察することは有益です。

参考にした論文