近年、血糖コントロールを継続的に行いたいという方が増えており、糖尿病に限らず血糖値が気になる人が注目する機器が存在します。
従来の指先採血だけに頼らず、日常生活の中で随時血糖の推移を確認できる体制を整えることは、自身の体調変化を理解し、生活習慣を見直すうえで非常に重要です。
本記事では血糖を持続的に測定するための機器をどのように選び、どんな方法で使用するのが望ましいかを解説します。
食事や運動の影響をリアルタイムで知ることで生活改善につなげたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
持続血糖測定器とは
血糖を持続的に測定する機器は糖尿病の管理や予備軍の段階から積極的に血糖値の変動をつかみたい人にとって大きな助けになります。
ここでは、このような機器の基本的な概要について見ていきましょう。
定義と特徴
血糖値を継続的に把握する装置は体に専用のセンサーを装着し、一定間隔で血糖値の推移をモニタリングする点に特徴があります。
従来の指先採血では1日に数回のチェックしか難しいですが、持続的に血糖を把握できるセンサーを導入すると、1日を通じて血糖の上下動を把握しやすくなります。
食後や起床時、運動後など特定の状況だけでなくあらゆるタイミングの血糖値を可視化できるので、食事や運動が血糖に与える影響をより正確に見極めやすくなります。
また、急な低血糖や高血糖を発見しやすくなるため、糖尿病管理を強化したい方はもちろん、糖尿病リスクを考える方にも有用です。
従来の血糖測定との違い
従来の血糖測定は以下の流れが一般的でした。
主な違いを整理したリスト
- 指先から採血し、1回分の血糖値を確認する
- 自己測定では1日に数回が限度
- 血糖値の変動を連続的に記録できない
一方で、血糖を持続的に測定する方法では間隔をあけずに血糖値をチェックできます。
そのため、血糖が上下するタイミングを見逃しにくくなり、日常の習慣を修正する際に実践的なデータを得やすいのがメリットです。
大きな血糖変動が続く人や低血糖を頻繁に起こす人にとっては、安定したコントロールを目指すための強い味方になります。
持続的に血糖を把握する意義
血糖値は食事の内容や運動習慣、睡眠時間、ストレスなど多岐にわたる要素の影響を受けます。
単発の測定だけでは、「何が原因で急に上昇したのか」「どの程度で下降したのか」といった具体的な流れが把握しにくいです。
継続的に血糖を測定する機器を使うと、これらの要素と血糖値の変動を同時に追跡できます。
すると、食後の急上昇を最小限に抑えたい場合の食事の組み合わせが見えてきたり、特定の運動を取り入れた際の血糖値の減少具合が明確になったりします。
こうした客観的データは糖尿病治療だけでなく、生活習慣病全般の予防・改善にも役立ちます。
血糖測定を継続する目的と期待できる効果
項目 | 具体例 | 得られるメリット |
---|---|---|
食事の内容を検証 | 炭水化物中心の食事 vs. 野菜やタンパク質を重視 | 血糖上昇の抑制や栄養バランスの確認 |
運動の効果を比較 | ウォーキング・筋トレ・有酸素運動 | 血糖値の下がりやすさの把握 |
ストレスとの関係を探る | 仕事での緊張時・リラックス時の血糖値 | ストレスに伴う血糖変動の対策を立てやすい |
睡眠の質を評価 | 寝つきが悪い日・よく眠れた日 | 睡眠不足による血糖変動の早期発見 |
計測技術の進歩
センサーの精度や装着の快適性は年々向上しています。かつては大きめの装置で扱いにくいイメージがありましたが、今では小型化が進み、痛みをあまり感じずに装着できるタイプも出ています。
さらに、リアルタイム型ならスマートフォンや専用レシーバーを使って即座に血糖値を確認することも容易です。
これらの変化は糖尿病管理だけでなく、健康意識の高い方々にとっても有益な選択肢となっています。血糖を持続的に測定しておくと日常の体調管理をより客観的に見直すきっかけを得やすくなるでしょう。
持続血糖測定器が糖尿病管理にもたらす利点
血糖を持続的に測定する機器が普及してきた背景には糖尿病のセルフケアを充実させたいというニーズがあります。
ここでは糖尿病管理に役立つ具体的な利点について幅広く紹介します。
日常生活への反映
血糖値を把握できる機会が増えると日常のなかで生じるさまざまな変化を見つけやすくなります。
特に食習慣は血糖管理の要と言っても過言ではなく、毎日の食事内容を微調整しながら血糖の動きをリアルタイムで把握できるのは大きなアドバンテージです。
食後1時間、2時間の血糖値や寝る前、起床時の血糖値を継続的に確認することで、自分のライフスタイルや身体の傾向を知る手掛かりになります。
そこに適切な運動や休養、ストレス対策を組み合わせることで、より良い血糖コントロールを目指す道筋が具体的になります。
食事や運動の影響の把握
日常生活を送る上で、食事のタイミングや運動の種類は血糖値に大きな影響を与えます。
食事と運動の影響を見極めるためのポイント
- 食後1時間の急上昇を確認して適切な食事量を検討する
- 運動前後の血糖の下がり方を記録し、自分に合った運動強度を見極める
- おやつを食べるタイミングに注意して血糖値を安定させる
これらを実践しながら日々の変化を継続的にデータで追うと、苦手だった運動や避けていた食材との付き合い方も工夫しやすくなります。
また、自己流のケアに不安を感じる場合は医療機関を受診して血糖値のデータをもとにアドバイスを受けると良いでしょう。
急激な血糖変動を避けるポイント
血糖値の急激な上下は疲れやすさや意欲の低下につながるだけでなく、長期的には血管へのダメージなどを引き起こすリスクもあります。
血糖を持続して測定する装置があれば、食事や運動直後の血糖値がどの程度変動しているのかを視覚的に確認できます。
特に低血糖は深刻で、放置すると意識障害につながることもあります。リアルタイムで血糖値をチェックし、数値が急に下降した際には糖質を摂取してカバーするなど、迅速な対応が可能になります。
高血糖の場合にも短期的な数値だけでなく、過去数時間の傾向を見ながら原因を追求できる点がメリットです。
血糖値が急激に変動する状況と対策
状況 | 原因の例 | 対策 |
---|---|---|
運動後の低血糖 | 食事量不足・運動負荷が強い | 適度な糖質補給、運動前の軽食、運動強度の再検討 |
急な高血糖 | 炭水化物の過剰摂取 | 食事内容の見直し、食後すぐの軽い運動、水分補給 |
ストレスによる血糖変動 | 仕事・家庭の悩み、睡眠不足 | 休息時間の確保、深呼吸や趣味で気分をリフレッシュ |
飲酒の影響 | アルコールによる代謝変化 | 飲酒量のコントロール、糖質少なめのドリンクを選択 |
タイムリーな医師との連携
血糖を持続して測定する機器で得たデータを活用すると、受診時に医師とのやり取りがより具体的になります。
通常の診察ではHbA1cや指先採血の血糖値をもとに判断しますが、持続的なデータがあれば日常生活の細かい部分まで踏み込んだアドバイスを受けられます。
また、急に血糖値が乱高下する場合は早期にクリニックへ相談し、治療薬の調整や生活習慣の再検討などを行うことができます。
定期的に得られるデータをもとにした連携は糖尿病管理だけでなく、合併症予防にも寄与するでしょう。
持続血糖測定器の種類と選び方
血糖を持続的に測定できる機器にはいくつかのタイプがあり、特徴や用途が異なります。ここでは代表的な種類と選ぶ際に考慮したいポイントを紹介します。
センサーの装着方法と特徴
センサーは腕や腹部などに貼り付ける、あるいは装着する形が多いです。
貼り付け式のセンサーは導入が簡単で、付け替えも比較的スムーズに行えます。センサーが外れにくい構造かどうか、装着時の痛みがどの程度か、肌トラブルが起きにくいかなどは購入前に確認しておきたい要素です。
装着期間も製品によって異なり、7日や14日など一定期間ごとに交換が必要になります。
日常生活でのストレスを最小限に抑えるために、装着方法は慎重に選びましょう。
装着部位の選択時にチェックしたい点
- 普段の衣服で擦れやすいかどうか
- 仕事や運動中に強い圧迫を受けないか
- 皮膚がかぶれやすい部位でないか
こうしたポイントを踏まえて自分の生活様式に適した装着部位を選ぶと、より快適に血糖をモニターし続けられます。
リアルタイム型とフラッシュ型の違い
血糖を持続的に測定する機器には大きく分けてリアルタイム型とフラッシュ型があります。
リアルタイム型とフラッシュ型の比較表
型式 | 特徴 | 適している人 |
---|---|---|
リアルタイム型 | センサーから常時データを飛ばし、受信機で数値を確認 | 低血糖になりやすい人、高頻度のチェックが必要な人 |
フラッシュ型 | 読み取り機をかざすなど、操作時に数値を取得 | 手軽に血糖の推移を記録したい人、比較的血糖が安定している人 |
リアルタイム型は、通知機能を備えている機種が多く、血糖値が一定の範囲を超えるとアラートが鳴るなどの機能が活用しやすいです。
一方、フラッシュ型は必要なときだけスキャンして数値を確認する仕組みなので、機器を常にチェックしなくても気軽に使える傾向があります。
利用できる機能の比較
機器によっては血糖データをスマートフォンアプリに自動的に送信し、日別や週別のグラフを見られる機能があります。
目標設定を行って日々の達成度合いを可視化したり、食事や運動の記録を同じアプリに入力して総合的に管理できることもあるので、自分の管理スタイルや使い勝手を考慮して選ぶと良いでしょう。
複雑な操作を避けたい場合はできるだけシンプルに数値を確認できるタイプが向いています。
細かいデータ解析や通知機能を重視したい場合は先述のリアルタイム型か、付随するアプリが充実しているものを検討すると満足度が高まります。
主な機能と活用のヒント
- スマホ連動機能:グラフ化や共有機能で血糖値を可視化しやすい
- アラート機能:急な血糖の上下を見逃しにくい
- ログブック機能:食事・運動・睡眠などを合わせて管理できる
クリニックでの選択基準
どの機種を導入するか迷った場合は主治医や看護師など医療スタッフに相談すると良いでしょう。クリニックでは患者さんの生活習慣や症状の程度に合った機器を推奨するケースが多いです。
血糖を継続的にモニターしていく目的をはっきりさせたうえで予算や操作性、保険の適用などを総合的に検討する必要があります。
センサー交換の頻度が高すぎると費用がかさんだり、装着部分に負担がかかったりする場合があるので、実際の使用感を含めて総合的に判断しましょう。
実際の使用方法と具体的な手順
機器を選んだ後は実際にどのように装着し、どんな手順で測定結果を確認するのか把握しておくことが大切です。ここでは大まかな流れを紹介します。
装着前の準備と確認事項
センサー装着をする前に肌を清潔に保ち、水分や油分をしっかり拭き取っておきます。装着部位に傷や湿疹がある場合は避けたほうが無難です。
センサーを保護するためのテープや専用の保護フィルムを併用する場合も多いので、説明書をよく読んだうえで誤った使い方をしないように注意しましょう。
装着前に気をつけたいポイント
- 入浴後やシャワー後など皮膚がふやけていないか
- 保護テープを貼るときシワや気泡が入らないようにする
- 装着部位を決める際に利き手や生活動作を考慮する
こうした下準備を丁寧に行うとセンサーが外れにくくなり、トラブル発生を防ぎやすくなります。
測定開始からデータ確認まで
センサーを正しい位置に装着したら初期化や読み取り端末とのペアリングなどを行います。
フラッシュ型の場合はセンサーをスキャンして初期の血糖値を確認し、リアルタイム型の場合は受信機やスマートフォンがセンサーからのデータを取得して表示するようにセットアップします。
測定フローをイメージしやすい表
タイミング | 作業内容 | ポイント |
---|---|---|
1. 装着後~数分 | センサーの起動・端末とのペアリング | メーカーの指示に従い、正しく初期設定を行う |
2. 日常生活 | 普段通りに食事や運動を行いながらデータ収集 | 数値の変化が気になる時は随時チェック |
3. 定期確認 | アプリや端末でグラフや一覧表示を確認 | 血糖の傾向を把握しながら生活習慣を調整 |
4. 交換時期 | センサーの交換・新しいセンサーの起動 | 製品ごとの交換周期に合わせてスムーズに行う |
デバイスの交換時期とメンテナンス
センサーの使用期限は製品によって異なりますが、7日・10日・14日など一定のサイクルで交換します。交換時には古いセンサーを取り外し、新しいものを装着して再度ペアリングを行う必要があります。
装着部位は毎回同じ場所に固定せず、皮膚に余裕を持たせるためにも部位をローテーションするとトラブルを避けやすいです。
センサーだけでなく受信端末やスマートフォンアプリの更新状況もこまめにチェックし、不具合や表示エラーが起きていないかを確かめると安心です。
トラブルシューティングのコツ
センサーが途中で外れてしまったり数値の異常を感じたりした場合は、まずは取扱説明書を再確認して原因を探りましょう。痛みや腫れがある場合は装着部位に問題があるかもしれません。
過度に心配なときは主治医に状況を説明して装着方法や機器の状態をチェックしてもらうと安心です。
アプリのエラーや通信不良などデジタル的な不具合が起きることもあります。
その際は端末の再起動やアプリの再インストールを試し、それでも改善しない場合はメーカーに問い合わせることをおすすめします。
持続血糖測定器を活用した生活習慣の改善
血糖を継続的にモニターしていると日々の生活習慣を客観的に見直すきっかけが増えます。
ここでは生活改善に役立つ具体的な方法を紹介します。
食事管理への応用
食事の内容を見直す際、継続的な血糖データは非常に役立ちます。
炭水化物の量やGI値(グリセミック・インデックス)の低い食品を選ぶなど数値を見ながら食事プランを調整すると、過度な血糖上昇を抑えやすくなります。
また、食後の血糖値を特に重視すると何を食べると血糖がどの程度上がるのかを正確に把握できるので、メリハリのある食習慣を作りやすくなります。
食事内容を調整する際の目安
食品グループ | 例 | 血糖への影響 |
---|---|---|
炭水化物 | 白米、パン、麺類 | 急激に上がりやすいが、量を調整すると比較的コントロール可能 |
タンパク質 | 魚、肉、豆製品、卵 | 血糖値は比較的ゆるやかに変動する |
野菜・食物繊維 | ブロッコリー、キャベツ、海藻類 | 血糖上昇をおだやかにしてくれる効果が期待できる |
脂質 | ナッツ、オリーブオイル、アボカド | 過度な摂取は高カロリーになるため注意 |
運動習慣の見直し
運動を行うと筋肉がブドウ糖を消費し、血糖値が下がりやすくなります。
歩行やジョギングなどの有酸素運動を取り入れると体力向上と血糖コントロールの両方に良い影響が期待できます。
血糖を持続して測定する機器を活用すると運動前後の血糖変化を細かく追跡でき、適切な強度や時間帯を導き出しやすくなります。
特に食後30分から1時間後に軽いウォーキングを行うと食後血糖の急上昇を抑える効果が高いと感じる方が多いです。
自分が継続しやすい運動を見つけ、血糖値の推移を楽しみながら改善へとつなげましょう。
ストレスマネジメントの重要性
仕事や家庭内でストレスを感じると血糖値が上昇しやすくなる場合があります。センサーを装着していると、ストレスの原因となる出来事があった日の血糖変動を詳細に確認できます。
リラックス時間を意識的に作る、趣味や軽い運動で気分を切り替えるなどの方法を試すと血糖だけでなく気持ちの安定にもつながります。
過度なストレスが続いていると感じるときはカウンセリングやクリニックでの相談も検討しましょう。
ストレス緩和に役立つ行動
- 深呼吸やストレッチなどの軽いリラクセーション
- 趣味や好きな音楽で気分を切り替える
- 誰かに話を聞いてもらい心の負担を軽くする
クリニック受診時のポイント
血糖を持続的に測定していると自宅でのデータをもとに受診できるため、診察時間を有効に使えます。
具体的な数値の変化を見ながら医師の助言を受けると、改善点がよりはっきりします。
「食後に血糖値が急に上がるのでどうしたら良いか」「夜間や早朝の数値が思わしくない」など、問題点を明確にしたうえで受診すると、医師や管理栄養士とのやり取りがスムーズに進むでしょう。
血糖コントロールの向上を目指す上での注意点
血糖を継続的にモニターする機器は非常に便利ですが、その情報をどう活用するかは本人の意識次第です。
ここでは利用時に気をつけたい点をいくつか挙げます。
過信しすぎない血糖管理
便利な機器があると常に数値を追いかけてしまいがちですが、機器が示す値はあくまで参考です。測定誤差や一時的な変動なども考慮し、あまり一喜一憂しすぎない姿勢が大切です。
短期的な数値だけにフォーカスすると無理な食事制限や過度な運動に走り、体調を崩す恐れがあります。
データを客観的に読み解き、長期的なコントロールを意識しましょう。
血糖管理で意識したい落とし穴
落とし穴 | 具体例 | 修正方法 |
---|---|---|
数値ばかり気にしてストレスになる | 多少の血糖上昇に敏感になりすぎる | 全体の傾向を見て食事や運動を調整する |
すぐに結果を求める | 急激に食事量を減らす | 小さな変化を積み重ねる意識を持つ |
自己判断だけで薬やサプリに頼る | 医師の処方を無視してしまう | 専門家の指示を確認しながら活用する |
自己判断と医療のバランス
血糖を継続的に測定するメリットの1つは日々の行動を客観的に振り返れる点ですが、専門家の意見も取り入れるバランスが重要です。
自己判断で薬の量を変えたり、極端な糖質制限を行ったりすると、逆にリスクが高まる場合があります。
定期的に医療機関を受診し、機器のデータを見ながら専門家のアドバイスを受けると、より安全かつ効果的に血糖管理を進められます。
デバイス依存を避ける工夫
血糖を継続して測定する機器は便利ですが、数値の管理だけに意識が向きすぎると本来の目的である健康的な生活習慣づくりをおろそかにする可能性があります。
運動や食事、睡眠などの基本を忘れず、あくまで補助ツールとして活用する姿勢を忘れないようにしましょう。
機器を装着していない期間や測定が一時的にできない状況でも、乱れにくいリズムを保てるように日頃から生活習慣を定着させるのが理想です。
健康的な習慣を続けるためのヒント
- 適度な運動とバランスの良い食事を常に意識する
- 早寝早起きなど一定の生活リズムを守る
- 日記やアプリで習慣の達成状況を振り返る
定期的な健康チェックの必要性
血糖をモニターしていると食事や運動の影響は把握しやすくなりますが、血圧やコレステロール、腎機能など他の健康要素も見逃せません。
糖尿病や生活習慣病は多角的に進行する可能性があるため、定期的な血液検査や健康診断で全体の状態を把握することが重要です。
合併症の早期発見に役立つ検査もあるので、自己チェックと合わせて医療機関での検査を併用すると安心です。
費用や保険適用についての概要
持続的に血糖を測定する機器は購入費やランニングコストが気になる部分でもあります。
ここでは費用面や保険適用の有無などをざっくりまとめます。
デバイス導入にかかる費用
初期費用としてセンサー本体と受信機、そして交換用センサーが必要になります。センサーは定期的に交換するので、その都度費用が発生します。
製品によって値段はまちまちですが、使い勝手やサポート体制、センサー交換の頻度なども含めて考えると、トータルのコストが大きく変わる可能性があります。
安価な製品はランニングコストが高めだったり、高価な製品は交換周期が長めで結果的にコストを抑えられる場合もあるので、長期的な視点が大切です。
代表的な費用の内訳
項目 | 内容 | 費用の目安 |
---|---|---|
初期導入費 | センサー本体、リーダー端末など | 数千円~数万円 |
センサー交換費 | 1回ごとのセンサー交換費用 | 1回あたり数千円 |
保護テープやフィルム | センサーを保護するためのオプション | 数百円~千円程度 |
アプリ利用料 | 一部のアプリは追加機能に課金が必要な場合あり | 無料~月額数百円 |
保険適用の条件と流れ
糖尿病の種類や治療状況によっては医師の診断書などを提出し、保険が適用されるケースがあります。
保険適用になるかどうかは機器の種類や患者さんの病態によって異なるので、主治医や病院のスタッフに確認しましょう。
保険適用を受けるには定期的な受診や検査が求められる場合もあるため、申請前に条件をしっかり把握しておくと手続きがスムーズになります。
助成制度や公的支援の有無
地方自治体によっては糖尿病管理に関連する助成制度が用意されている場合があります。
すべての地域で実施しているわけではありませんが、対象となれば費用負担が軽くなる可能性があるので、居住地の役所や保健所などで確認してみると良いでしょう。
公的支援をうまく利用して導入コストを抑えることで、長期間にわたって血糖管理を続けるモチベーションを保ちやすくなります。
保険や公的支援を調べるときのヒント
- 病院のソーシャルワーカーや相談窓口で情報を得る
- 地方自治体のホームページをチェックする
- 医療機関のパンフレットや案内にも注目する
長期的な経済的メリット
一時的には出費が増えても血糖を着実にコントロールして合併症リスクを下げることで、将来的な医療費を抑える可能性があります。
糖尿病の合併症治療や入院費は高額になることも多いため、早めの段階から血糖値を安定させる効果は経済的なメリットにもつながります。
健康な状態を維持できる時間が長くなるほど仕事や趣味なども充実させやすくなり、結果として豊かな生活を送ることにつながるでしょう。
患者さんに向けたメッセージと当クリニックのサポート体制
血糖を持続的に測定する機器を活用しながら生活習慣を見直すのはとても意義のある取り組みです。
最後に、患者さんに向けたメッセージと当クリニックでの具体的なサポートについてお伝えします。
相談のタイミング
血糖値が気になり始めたら、できるだけ早めに医療機関に相談すると、生活習慣を修正しやすくなります。
糖尿病と診断されていない段階でも、「家族に糖尿病の人がいる」「健康診断の結果があまり良くなかった」など少しでも不安要素があるなら、一度診察を受けるのも選択肢です。
早期のチェックと介入は大きなトラブルを回避するためにも有効です。
定期診察とフォローアップ
当クリニックでは血糖を継続して測定する機器を導入している患者さんにも定期的な診察や検査をおすすめしています。数値の動きや日常の些細な変化まで一緒に振り返り、必要な治療やアドバイスを行います。
診察時には機器のデータを持参してもらうことで、より正確な状態把握が可能になります。
自宅での管理と医療機関でのフォローアップを併用していくことが健康な将来を見据えた安心感につながります。
糖尿病専門医との連携
糖尿病専門医が常駐している医療機関と連携することで、より専門的な治療とアドバイスを得られます。
血糖に問題がある場合は内科や糖尿病外来に加え、必要に応じて管理栄養士や看護師と協力しながら多角的にサポートする体制を整えています。
チーム医療で取り組むことで食事療法や運動療法、必要な場合の薬物療法まで含めて無理のない指導を行うよう努めます。「
当クリニックのサポート内容
サービス | 内容 | メリット |
---|---|---|
定期診察・血液検査 | 血糖値やHbA1c、合併症リスクの確認 | 詳細なデータに基づき対策を立てやすい |
管理栄養士による食事指導 | 食事バランスやカロリー管理、献立の相談 | 実践しやすい具体的なプランを得られる |
運動指導・リハビリ連携 | 個々の体力に合わせた運動プログラムの提案 | 継続しやすい運動で血糖コントロールを目指せる |
メンタルサポート(希望者) | 心身の状態を総合的にチェックし、必要なら専門家を紹介 | 長期的な糖尿病ケアを支えるストレス対策に役立つ |
生活改善を目指すための一歩
血糖を持続的に測定する機器があると自分の体の反応をリアルタイムで捉えやすくなり、生活習慣を改善する意欲が高まりやすいです。
クリニックでのサポートと組み合わせれば、無理をせず自分のペースで管理を進められます。
糖尿病の方はもちろん、予備軍や健康診断で注意が必要といわれた方も、生活習慣の見直しによって症状の進行を遅らせたり改善につなげたりできる可能性があります。
第一歩を踏み出すかどうかで将来が大きく変わるかもしれませんので、ぜひ気軽にご相談ください。
以上
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