外来担当医の清水です。

9月に入っても、蒸し暑さを体感する日々が続きます。今年も早くは6月以降からデレビなどで熱中症のニュースを目にする機会が増えてきました。

熱中症とは、高温といった環境において体温調整の機能がうまくはたらかず、体内に熱がこもってしまうことで起きる体の異常のことです。子供や高齢の方、ご病気をお持ちの方で起こりやすいとされていますが、誰しもが起こりうる状態です。

症状には様々なものがあり、めまいや体のほてり、体のだるさといった軽度のものから、意識障害、高体温に至り、命を奪われることもあります。

熱中症は環境(暑さ、湿度など)、からだ(年齢、体調など)、行動(活動の強さ、休憩など)の条件が合わさって発症します。

直射日光を避けることはもちろん重要ですが、発症場所の4割ほどは住居であり(平成30年度消防庁の報告)、屋内での発症が実は最も多いのです。

(総務庁消防庁 熱中症情報より引用: https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post3.html

今年は特に新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が大きな問題となっており、自宅で過ごす際にも熱中症にならないように注意が必要です。屋内でも温度、湿度が上がりすぎないようにし、喉が渇いたと自覚する前に、こまめに水分を補給しましょう。特にお風呂上がりは気がつかない間に脱水になっていることも多いので、気をつけましょう。

室内で熱中症になっている人のイラスト

また新型コロナウイルス感染に関連して、マスクを着用する機会が増えていますが、マスクを着用することで熱中症のリスクはやや高まるとされています。マスクの中で熱がこもるためや、呼気からの放熱がしにくくなるためです。人が密集していない場所ではマスクをはずして休憩することも大事です。

屋外でも屋内でも、体が熱く感じ、ふらふらする、体がだるいといった症状を自覚された場合にはすぐに涼しいところで休憩し、水分をとりましょう。ただしお茶やアルコールには利尿作用があり、身体の中の水分を外に出してしまうため、水分の補給に適していません。

また、水だけ補給しても熱中症の予防にはなりません。0.1%~0.2%の食塩水やイオン飲料、経口補水液(OS-1やスポーツ飲料水など)を摂るようにしましょう。ただし、スポーツ飲料水は糖分の取り過ぎに注意して下さい。それでも症状が回復されないときには医療機関を受診するようにしましょう。

熱中症は体が暑さに慣れていない6月から7月にかけて最も多く発症しますが、残暑の9月でも依然注意が必要です。自分は大丈夫と思わずに、つかれた時にはすぐに休憩をして、熱中症を防いでいきましょう。