外来担当医の内田です。
日本では当初から提唱されていた【3密】が今夏WHOでも認められ、3Cとして英訳して世界中に呼びかけています。実際は、それよりももっと早い段階で世界のメディアが日本の“3Cs”がうまく言ったという風に伝えていました。
ところでここ最近、“空気感染”という言葉をよく耳にすると思います。空気感染というものは感染者から出されたウイルスなどの病原体が、時間がたち周りにある水分がなくなってしまっても感染力を引き続き保持しているような“手強いヤツ”らが起こします。
有名なものは結核や麻疹(はしか)です。しかし、これらにはワクチンがあったり、そもそもこの日本では感染する状況・可能性が限局的であるのでそれほど心配ではありません。
空気感染のやっかいな点は、周りの水分がなくなった病原体が軽すぎて空気中に長時間舞うわけです。いま、一般に言われている飛沫感染というものは咳やくしゃみにより排出された病原体から移るので、だいたい2mの距離を取ったり、感染者はマスクをするのでしたね。
ところが、空気に舞うようになると、風でもっと遠く(10m以上)へも広がりうるわけです。こうなると social distanceでは到底太刀打ちできません。
しかし、新型コロナのメインの感染ルートは飛沫感染と接触感染であることは間違いありません。特定の状況では空気感染に近いことが起こっているのではないか?という提言がありました。
これは、コンサート会場やカラオケなどの密閉されて換気の悪い状況でのみ起こりうるのかもしれません。
いずれにしても、私たちにできることは、social distancing と 手洗い、マスク着用、さらに換気ですね。こういう意味では3密という概念は非常によくできており、特定の状況で空気感染をするかもしれないとしても有効な概念なのです。