外来担当医の清水です。

最近、東京都や北海道のみならず、関西圏の新型コロナウイルス感染者の増加が著明です。

兵庫県でも1日100人を超える感染者が出ており、第3波が到来しています。大阪府では飲食店の時短要請と外出自粛・リモートワークの要請が出ていますが、個々人での感染対策がますます重要となっています。

感染対策は、本コラムでも

・手洗い

・三密の回避

が非常に重要であると何度も解説していますが、身近な感染対策として、「うがい」も皆さんの頭の中には感染対策としてパッと思いつく方法の一つではないでしょうか。

8月に大阪市長・府知事らが、新型コロナウイルス感染に関連し、市販のうがい薬を示して発熱症状のある人にうがいを呼びかけたことが話題となっていたことを覚えている方も多いと思います。

これを受けてメーカー株は高騰し、商品が店頭から消えるなど、社会現象となっている地域もあるようです。うがい薬の品切れが相次いだためか、知事は翌日に、「予防効果があるとは言っていない」と釈明されています。

それでは、実際のところ、コロナウイルス感染にうがいや、うがい薬の使用は有効なのでしょうか。

この発表は、府立病院機構大阪はびきの医療センターが軽症者を対象に行った研究を公表したもののようです。

唾液中のウイルスが減少すれば、重症化を抑制できると想定し、ホテルで宿泊療養している軽症コロナウイルス肺炎患者約40人を対象として、1日4回うがいするグループと、しないグループに分け、4日間の調査を行いました。

うがいをしないグループの唾液の陽性割合は56.3%、したグループは21.0%であったとのことです。確かにこの結果をみると、ある程度の効果は得られそうな気がしてきます。

まずうがい自体の効用についてですが、うがいは繊毛運動(のどから入った異物を排除する)のような、のど本来が持つ防御機構を高めるとともに、物理的な洗浄効果を得られます。

その結果、のどの粘膜機能が回復して活性化され、口腔を介する感染の予防に有効です。

2005年に行われた京都大学などによる研究(Prevention of upper respiratory tract infections by gargling: a randomized trial)では被験者を 「みずうがい群」、「ヨードうがい群」、「対照群」に分け、調査が行われ、水うがいだけでかぜの発症が40%減少しました。

この研究ではポピドンヨードうがい群では風邪の発症は12%の低下に留まり、水よりも効果がなかったという結果でした。

ヨード液が喉に常在する細菌叢を壊して風邪ウイルスの侵入を許したり、のどの正常細胞を障害したりする可能性が考えられています。

今回の発表の元となった研究においては、水うがいグループでの比較の結果は公表されてはいませんが、その結果は見てみたいところです。



いずれにせよ、品切れになるほどうがい薬を求めて使用するよりは、かねてより推奨されていた水うがいを行うのがよいでしょう。

そして、何より

・手洗い

・三密の回避

が非常に重要なため、ここはしっかり忘れないように行っていくようにしてください。