
神戸きしだクリニックでは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や神経筋疾患、睡眠時無呼吸症候群などの呼吸器疾患によって呼吸機能が低下した患者様に対し、NPPV(在宅人工呼吸療法)を提供しています。
NPPV導入に関するご相談や、すでに他院でNPPVを使用されている方の管理もお引き受けしております。専門医が丁寧に診察し、一人ひとりに合わせた治療プランをご提案いたします。
「息苦しさが改善しない」「夜間の呼吸が苦しい」「CO2が高いと言われた」などの症状でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。現在の治療で十分な効果が得られていない場合、NPPVによって生活の質が大きく改善する可能性があります。
呼吸器内科の診療時間
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日祝 |
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9:00 – 12:00 | ○ | – | ○ | – | ○ | ○ 隔週 | 休 |
13:30 – 16:30 | – | ○ | ○ | ○ | – | 休 | 休 |
09:00~12:00 | 13:30~16:30 | |
月 | 〇 | – |
火 | – | 〇 |
水 | 〇 | 〇 |
木 | – | 〇 |
金 | 〇 | – |
土 | 〇 隔週 | - |
日 | - | - |
祝 | - | - |

NPPVとは
NPPV(Non-invasive Positive Pressure Ventilation:在宅人工呼吸療法)は、気管切開を行わずに専用のマスクを使用して呼吸をサポートする治療法です。
マスクを通じて一定の圧力で空気を送り込むことで、患者様の肺に十分な空気が入るようにサポートし、二酸化炭素の排出を促進します。通常の呼吸では十分な換気ができない方の呼吸を効果的に補助します。
NPPVは侵襲性が低く、必要なときだけ使用できるため、患者様の生活の質を大きく損なうことなく呼吸サポートを提供できる治療法です。
※NPPVは「非侵襲的陽圧換気療法」(Non-invasive Positive Pressure Ventilation)の略称で、これが正式な医学用語です。一方、「在宅人工呼吸療法」は患者様に説明する際の一般的な呼び方として使われることもあります。このページでは患者様の理解しやすさを優先し、「在宅人工呼吸療法」という表現で統一しました。
NPPV治療のメリット
- 呼吸困難感の軽減
- 睡眠の質の向上
- 日中の疲労感や眠気の改善
- 夜間の低酸素状態の改善
- 二酸化炭素の排出促進
- 入院回数の減少
- 生活の質(QOL)の向上
- 気管切開を回避できる可能性
- 長期的な予後の改善
対象となる主な疾患
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)でⅡ型呼吸不全を呈する場合
- 神経筋疾患(筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症など)
- 拘束性肺疾患(重度の胸郭変形など)
- 睡眠時無呼吸症候群(特に中枢性や複合性)
- 肥満低換気症候群
- 慢性心不全
- 間質性肺疾患の進行期
- 胸郭変形(後側弯症など)
NPPVの種類
CPAP
(持続陽圧呼吸療法)
睡眠時無呼吸症候群の治療に主に使用されます。
一定の圧力で空気を送り込み、気道の閉塞を防ぎます。
BiPAP
(二相性陽圧呼吸療法)
吸気と呼気で異なる圧力を設定できるため、より自然な呼吸をサポートします。COPD、心不全、神経筋疾患などの患者様に適しています。
ASV
(適応補助換気)
中枢性無呼吸や複合性睡眠時無呼吸症候群に効果的で、呼吸の状態に応じて自動的に圧力を調整します。
AVAPS
(平均容量保証圧力サポート)
一定の換気量を確保するため、患者様の状態に応じて自動的に圧力を調整します。肥満低換気症候群や神経筋疾患に効果的です。
HOTとNPPVの
適応と使い分け
HOT(在宅酸素療法)とNPPV(在宅人工呼吸療法)は、どちらも慢性呼吸不全の患者様のためのサポート治療ですが、以下のように治療目的と効果が異なります。
HOT
(在宅酸素療法)
目的 | 低酸素血症の改善 |
作用 | 酸素濃度を高めた空気を供給 |
主な対象 | Ⅰ型呼吸不全(低酸素血症が主体) |
適応疾患 | COPD、間質性肺炎、肺線維症など |
特徴 | 換気補助は行わない |
NPPV
(在宅人工呼吸療法)
目的 | 換気の補助と二酸化炭素の排出促進 |
作用 | 陽圧によりマスクから空気を送り込む |
主な対象 | Ⅱ型呼吸不全(低酸素血症+高二酸化炭素血症) |
適応疾患 | COPD重症例、神経筋疾患、肥満低換気症候群など |
特徴 | 積極的な換気補助を行う |
当院では、患者様の状態に応じて両方の治療法を組み合わせることも行います。例えば、日中はHOTを使用し、夜間の睡眠時にはNPPVを使用するといったケースもあります。
また、病状の進行に伴い、HOTからNPPVへ移行したり、併用したりすることもあります。いずれの場合も、定期的な評価を行い、患者様の状態に適した治療法をご提案いたします。
NPPV導入の手順
詳細な問診と身体診察
呼吸状態の評価
動脈血ガス分析
肺機能検査
一晩の睡眠時モニタリング
検査結果からNPPV適応を判断
患者様への説明と同意
最適な機種とマスクの選定
マスクの装着感調整
圧力設定の調整
機器の使用方法説明
マスクの着脱指導
お手入れ方法の説明
1~2ヶ月ごとの経過観察
使用状況の確認
機器設定の微調整

当院のNPPV管理の特徴
神戸きしだクリニックでは、呼吸器専門医が詳細な呼吸機能評価を行い、患者様お一人おひとりの状態に合わせた最適なNPPV療法を提供します。
動脈血ガス分析や睡眠時モニタリングなどの客観的データに基づき、必要とされる陽圧の程度や換気モード、吸気・呼気圧の設定など、きめ細かな調整を行います。
また、NPPVの効果を最大限に発揮し、快適に使用していただくために、様々なタイプのマスクから患者様に最適なものを選定し、顔の形状に合わせて細かく調整します。
導入後も定期的な通院によるフォローアップを行い、治療効果の評価や機器設定の見直し、マスクの再調整などを行います。使用中の困りごとにも丁寧に対応します。
NPPVに関する
よくある質問
患者さまからよくある質問をまとめました。(Qを押すと回答が開きます)
- QNPPV治療は保険適用されますか?
- A
はい、医学的に必要と判断され、基準を満たす場合は健康保険が適用されます。自己負担額は通常1〜3割です。また、特定疾患に指定されている疾患(筋萎縮性側索硬化症など)では、さらに医療費助成を受けられる場合があります。
- QNPPVは毎日使わなければいけませんか?
- A
患者様の状態や疾患によって使用頻度は異なります。一般的には夜間睡眠時に使用することが多いですが、日中も呼吸困難が強い場合は日中も使用することがあります。医師の指示に従った使用をお勧めします。
- Qマスクが苦しくて続けられるか心配です。
- A
初めのうちは違和感を感じることもありますが、マスクの種類は多様で、患者様の顔の形や好みに合わせて選ぶことができます。また、徐々に慣れていくことも多いです。違和感がある場合は遠慮なくご相談ください。
- Q外出先や旅行でも使用できますか?
- A
多くのNPPV機器はコンパクトで持ち運びが可能です。旅行先のホテルなどでも使用できます。長期旅行の場合は事前に医師や機器メーカーにご相談ください。
- Q停電時はどうすればよいですか?
- A
多くのNPPV機器は内蔵バッテリーを搭載しており、一定時間は使用可能です。また、外部バッテリーも用意されています。停電に備えて、事前に準備しておくことをお勧めします。
- Q他院からの転院は可能ですか?
- A
もちろん可能です。当院では他院からのNPPV管理の引き継ぎに対応しています。以前の医療機関での設定内容や使用状況がわかる資料をお持ちいただくとスムーズです。