顔つきが変わった？骨格の変化は病気のサインかも。内分泌内科で原因を探る

「最近、顔つきが変わった気がする」「昔と比べて顔の骨がゴツゴツしてきた」。

そんなご自身の変化に、あるいはご家族や友人から指摘されて、不安に感じていませんか。

単なる加齢や体重の変化だと思って見過ごしているそのサイン、実は体内のホルモンバランスの乱れが原因かもしれません。

特に、眉間やおでこ、顎の骨が出てきたり、鼻や唇が厚くなったりする変化は、内分泌の病気が隠れている可能性があります。

この記事では、顔つきの変化を引き起こす可能性のある病気について、内分泌内科の視点から詳しく解説します。

「最近、顔つきが変わったと言われる」「顎や鼻が大きくなった気がする」顔貌や骨格の変化は単なる加齢や体重変化ではなく、先端巨大症（アクロメガリー）やクッシング症候群などの内分泌系疾患が隠れている可能性があります。

放置すると外見の変化だけでなく、心血管疾患や糖尿病などの重篤な合併症を引き起こすリスクが高まります。顔つきや骨格の変化にお気づきの方は、ぜひお早めにご相談ください。詳しくはこちら

なんだか顔つきが違う…その変化、原因は何？

鏡を見るたびに感じる違和感や、久しぶりに会った人からの「顔つきが変わったね」という一言は、気になるものです。

顔つきの変化は、さまざまな要因によって起こります。

多くの場合は心配のない生理的なものですが、中には注意が必要な病気のサインも含まれます。ご自身の変化がどれに当てはまるか、考えてみましょう。

加齢による自然な変化

年齢を重ねると、皮膚の弾力性が失われ、皮下脂肪が減少することで顔の骨格が以前より目立つようになります。

特に頬がこけたり、こめかみがくぼんだりするのは加齢による自然な変化の一つです。

また、筋肉の衰えによって全体的に顔の印象が変わることもあります。

体重の大幅な増減

体重が大きく変動すると、顔つきも変わります。急激に痩せると顔の脂肪が落ちて骨張った印象になりますし、逆に体重が増加すると顔がふっくらと丸みを帯びます。

これらは体の変化に伴う自然な現象であり、多くの場合、病的なものではありません。

顔つきが変化する主な原因

分類	主な原因	特徴
生理的要因	加齢、体重の変動	ゆっくりとした変化、全体的な印象の変化
生活的要因	ストレス、睡眠不足	一時的な変化、むくみや肌荒れを伴う
病的要因	ホルモンバランスの乱れ	特定のパーツ（顎、鼻、眉間など）の肥大

注意したい病気の可能性

加齢や体重の変化だけでは説明がつかない、特異的な顔つきの変化には注意が必要です。

例えば、眉間や顎の骨が突き出てきたり、鼻や唇が分厚くなったり、手が大きくなったりといった変化は、ホルモンの異常が原因かもしれません。

これらの症状は、内分泌系の病気のサインである可能性があります。

顔の骨格が変わる？先端巨大症（アクロメガリー）のサイン

「顔の骨がごつごつしてきた」「顎や額が出てきた気がする」という症状で、特に注意したいのが「先端巨大症（アクロメガリー）」という病気です。

成長ホルモンが過剰に分泌されることで体の先端部分や内臓が大きくなる病気で、顔つきの変化はその代表的な症状です。

先端巨大症（アクロメガリー）とは？

先端巨大症は、脳の下にある「下垂体」という部分にできた腫瘍から、成長ホルモンが過剰に分泌されることで発症します。

骨の成長が終わった大人になってから発症するため、身長は伸びませんが、手足の先端や顔の骨、軟部組織がゆっくりと大きくなります。

変化が非常に緩やかであるため、ご本人も周囲も気づきにくく、診断が遅れがちな病気の一つです。

特徴的な顔つきの変化

成長ホルモンの過剰な分泌は、顔のパーツに特徴的な変化をもたらします。

変化は数年から10年以上かけてゆっくり進むため、毎日見ている自分ではなかなか気づけないかもしれません。

先端巨大症による顔貌の変化

部位	具体的な変化	補足
額・眉間	骨が隆起してくる（眉弓部の突出）	顔つきが厳しく、いかつい印象になる
鼻・唇	鼻が大きく幅広くなり、唇が厚くなる	軟部組織の肥大による変化
顎	下顎が前方に突き出てくる（下顎前突）	噛み合わせが悪くなることもある

顔以外の症状を見逃さない

先端巨大症のサインは、顔だけではありません。体のさまざまな部分に変化が現れます。

以下のような症状が顔つきの変化と同時に見られる場合は、専門医への相談を強く推奨します。

• 手足の容積の増大（指輪や靴のサイズが大きくなる）
• 汗をかきやすい（発汗過多）
• 頭痛や視野の異常
• いびき、睡眠時無呼吸症候群

甲状腺の病気も顔つきに影響を与える

首の前側にある蝶のような形をした「甲状腺」は、体の新陳代謝をコントロールする甲状腺ホルモンを分泌しています。

このホルモンのバランスが崩れると、顔つきに特徴的な変化が現れることがあります。

代表的なのがバセドウ病と甲状腺機能低下症です。

眼球突出やまぶたの腫れ（バセドウ病）

バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気（甲状腺機能亢進症）の代表例です。新陳代謝が活発になりすぎるため、動悸や体重減少などの症状が現れますが、顔つきの変化も特徴的です。

特に、眼球が前方に突き出たり（眼球突出）、まぶたが腫れたりすることで、驚いたような、あるいは目つきが鋭い印象の顔貌になることがあります。

むくみと無気力な表情（甲状腺機能低下症）

一方、甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの分泌が不足する病気です。新陳代謝が低下するため、体全体の活動が鈍くなります。

顔には特徴的なむくみ（粘液水腫）が現れ、まぶたが腫れぼったく、表情が乏しく、眠たそうな顔つきになることがあります。

眉毛の外側が薄くなるのも特徴の一つです。

甲状腺疾患による顔つきの変化

疾患名	主な顔の変化	その他の特徴
バセドウ病	眼球突出、まぶたの腫れ、鋭い目つき	代謝が活発になる
甲状腺機能低下症	むくみ、腫れぼったい顔、無気力な表情	代謝が低下する

甲状腺ホルモンと顔貌の関係

甲状腺ホルモンは、皮膚や皮下組織の代謝にも深く関わっています。

バセドウ病では目の奥の組織に炎症やむくみが起こることで眼球が押し出され、甲状腺機能低下症ではヒアルロン酸などの物質が皮下にたまることで、特徴的なむくみが生じます。

これらの変化は、ホルモンバランスを正常化する治療によって改善が期待できます。

副腎の病気が引き起こす顔の変化

腎臓の上にある小さな「副腎」という臓器も、生命維持に重要なホルモンを分泌しています。

この副腎から分泌されるコルチゾールというホルモンが過剰になる「クッシング病（症候群）」でも、特徴的な顔つきの変化が見られます。

満月のような丸い顔（ムーンフェイス）

クッシング病（症候群）の最も特徴的な症状の一つが、「ムーンフェイス（満月様顔貌）」です。

コルチゾールの過剰な作用により、顔に脂肪が異常に沈着し、顔全体がパンパンに丸くなります。首の後ろにも脂肪がつき、肩が盛り上がって見えることもあります（バッファローハンプ）。

赤ら顔とニキビの増加

顔が丸くなるだけでなく、皮膚が薄くなることで血管が透けて見え、顔全体が赤みを帯びる（赤ら顔）ようになります。

また、ホルモンバランスの乱れから、大人になってもニキビができやすくなるのも特徴です。

これらの症状が複合的に現れるため、顔の印象が大きく変わります。

クッシング病（症候群）の主な症状

部位	症状	説明
顔	ムーンフェイス、赤ら顔、ニキビ	脂肪の異常沈着や皮膚の菲薄化が原因
体幹	中心性肥満	お腹周りに脂肪がつくが、手足は細いまま
皮膚	皮膚の菲薄化、赤色皮膚線条	お腹や太ももに赤い肉割れのような線が現れる

ステロイド薬の影響も考慮

クッシング症候群は、下垂体や副腎の腫瘍が原因で起こる「クッシング病」のほかに、他の病気の治療でステロイド薬を長期間使用している場合にも起こることがあります（医原性クッシング症候群）。

もしステロイド治療を受けている方で顔つきの変化が気になる場合は、自己判断で薬をやめず、必ず主治医に相談してください。

「疲れてる？」その一言は、自分では気づきにくい変化のサインかも

病気による顔つきの変化は非常にゆっくり進むため、毎日鏡を見ている自分自身ではなかなか気づきにくいものです。

むしろ、久しぶりに会った家族や友人、あるいは健康診断で撮影した写真を見て、初めて「あれ？」と違和感を覚えるケースが少なくありません。

「最近疲れてる？」「太った？」といった周りからの何気ない一言が、実は病気のサインを捉えている可能性もあります。

昔の写真と見比べてみよう

少しでも顔つきに違和感を覚えたら、5年前、10年前のご自身の写真と現在の顔を見比べてみてください。特に免許証やパスポートの写真は、同じような条件で撮影されているため比較しやすいでしょう。

顎のライン、鼻の大きさ、頬のふくらみなど、具体的なパーツを比べてみると、客観的な変化に気づけることがあります。

見過ごされがちな初期サイン

サイン	関連する可能性のある疾患
指輪や時計、靴がきつくなった	先端巨大症
いびきがひどくなったと指摘された	先端巨大症、甲状腺機能低下症
汗をかきやすくなった	先端巨大症、バセドウ病

周りの人からの客観的な指摘

自分では認識しづらい変化も、周りの人は敏感に感じ取っていることがあります。

「人相が変わった」「顔が大きくなった」といった率直な指摘は、ショックかもしれませんが、重要な手がかりです。

もし複数の人から同じようなことを言われるのであれば、それは単なる気のせいではないかもしれません。真摯に受け止め、専門医への相談を検討するきっかけにしてください。

指輪や靴のサイズの変化にも注意

特に先端巨大症の場合、顔だけでなく手足も大きくなります。

「昔は入っていた指輪が入らなくなった」「靴のサイズがワンサイズ大きくなった」という経験はありませんか。

これらは体重増加だけでは説明しにくい、骨や軟部組織の肥大を示唆する重要なサインです。顔の変化と合わせて、全身の変化にも目を向けることが大切です。

顔つきの変化を感じたら、何科を受診するべきか

顔つきの変化という漠然とした症状で、どの病院の何科にかかれば良いのか迷う方は多いでしょう。

皮膚科なのか、美容外科なのか、あるいは歯科なのか。もし骨格の変化やむくみ、ホルモンバランスの乱れが疑われる場合は、「内分泌内科」が専門の診療科になります。

まずはかかりつけ医？それとも専門医？

普段から通っているかかりつけのクリニックがあれば、まずはそこで相談するのも一つの方法です。しかし、先端巨大症やクッシング病などの内分泌疾患は専門性が高く、診断が難しい病気です。

そのため、顔の骨格の変化や特徴的なむくみなど、この記事で紹介したような症状に心当たりがある場合は、直接内分泌代謝科の専門医がいる医療機関を受診することをおすすめします。

内分泌内科の役割

内分泌内科は、ホルモンを分泌する臓器（下垂体、甲状腺、副腎など）の病気を専門に扱う診療科です。

ホルモンの値を血液検査で詳しく調べ、原因となっている臓器を特定し、適切な治療へと繋げる役割を担います。

顔つきの変化の裏に隠れた病気を正確に診断するためには、内分泌の専門的な知識と経験が重要です。

初診時に医師に伝えるべきこと

項目	伝える内容の例
いつから変化に気づいたか	「5年くらい前から、昔の写真と比べて顎がしっかりしてきた気がする」
具体的な顔の変化	「鼻が大きくなった」「頬が丸くなった」「眉間の骨が出てきた」
顔以外の症状	「指輪がきつくなった」「汗をよくかく」「いびきをかくようになった」

受診のタイミング

「気のせいかもしれない」と受診をためらう必要はありません。不安を感じた時が受診のタイミングです。

特に、過去の写真と比べて明らかな変化がある場合や、複数の人から顔つきの変化を指摘された場合は、一度専門医に相談しましょう。

病気の早期発見は治療効果を高め、合併症を防ぐ上で非常に大切です。

内分泌内科で行う検査と診断

内分泌内科を受診すると、顔つきの変化の原因を突き止めるためにいくつかの検査を行います。

問診から始まり、血液検査、画像検査などを組み合わせて、総合的に診断を進めます。

問診と身体診察の重要性

まずは、どのような症状がいつから現れたのか、過去の病気や服用中の薬、家族の病歴などについて詳しくお話を伺います（問診）。

その後、実際に顔つきや手足の状態、皮膚の色などを観察する身体診察を行います。古い写真があれば診察の際に非常に有力な情報となりますので、ぜひ持参してください。

• いつから、どのように顔つきが変わったか
• 過去の写真（免許証、パスポートなど）
• 服用中の薬（お薬手帳）
• 顔以外の症状の有無

血液検査でホルモン値をチェック

内分泌疾患の診断において中心となるのが血液検査です。顔つきの変化の原因として疑われる病気に合わせて、関連するホルモンの値を測定します。

これにより、ホルモンが過剰なのか、不足しているのかを客観的に評価できます。

主なホルモン検査の項目

疑われる疾患	主な検査項目	わかること
先端巨大症	成長ホルモン(GH)、IGF-I	成長ホルモンの過剰分泌の有無
バセドウ病	甲状腺ホルモン(FT3, FT4)、TSH	甲状腺機能の亢進の有無
クッシング病	コルチゾール、ACTH	副腎皮質ホルモンの過剰分泌の有無

画像検査で原因を特定

血液検査でホルモンの異常が見つかった場合、その原因となっている臓器を特定するために画像検査を行います。

先端巨大症やクッシング病が疑われる場合は、ホルモン分泌の原因となる腫瘍を見つけるために、脳のMRI検査や腹部のCT検査などを行います。

甲状腺疾患の場合は、超音波（エコー）検査で甲状腺の大きさやしこりの有無を確認します。

病気が見つかった後の治療について

もし検査の結果、顔つきの変化の原因となる病気が見つかったとしても、過度に心配する必要はありません。

それぞれの病気に応じた治療法があり、ホルモンバランスを正常にコントロールすることで症状の進行を抑え、改善を目指すことが可能です。

治療は長期にわたることが多いですが、根気強く続けることが大切です。

疾患ごとの治療アプローチ

治療法は、原因となっている疾患によって異なります。

先端巨大症では手術で原因となる腫瘍を摘出することが第一選択となります。

バセドウ病では薬物療法、アイソトープ治療、手術療法があり、クッシング病でも原因に応じて手術や薬物療法を選択します。

医師と相談しながら、ご自身の状態に合った治療方針を決めていきます。

薬物療法

多くの内分泌疾患において、薬物療法は中心的な役割を果たします。

ホルモンの分泌を抑える薬や、不足しているホルモンを補充する薬を使い、体内のホルモンバランスを正常範囲に保つことを目指します。

定期的な通院と血液検査で効果を確認しながら、薬の量を調整していきます。

手術療法

先端巨大症やクッシング病の原因が下垂体や副腎の腫瘍である場合、手術による摘出が根本的な治療となることがあります。

特に先端巨大症では、鼻から内視鏡を入れて腫瘍を取り除く経蝶形骨洞手術という方法が一般的で、患者さんの体への負担が少ない方法で行います。

治療後の生活で大切なこと

治療によってホルモン状態が改善しても、定期的な通院は続きます。また、高血圧や糖尿病などの合併症を管理することも重要です。

バランスの取れた食事や適度な運動など、日々の生活習慣を見直すことも長期的な健康維持に繋がります。

不安なことや分からないことがあれば、一人で抱え込まずに、いつでも主治医や医療スタッフに相談してください。

顔つきの変化に関するよくある質問

最後に、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

当院（神戸きしだクリニック）への受診について

神戸きしだクリニックの内分泌内科では、顔貌や骨格の変化に関わるホルモンバランスの異常について専門的な診察を行っております。

顔つきの変化、顎や鼻の肥大、額の突出、頬骨の発達などの症状は、成長ホルモンの過剰分泌による先端巨大症や、副腎皮質ホルモンの異常によるクッシング症候群が背景にある可能性があります。

顔貌や骨格の変化にお気づきの方は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。

内分泌内科

診療時間	月	火	水	木	金	土	日祝
9:00 – 12:00	–	○	–	○	–	○ 隔週	休
13:30 – 16:30	○	○	○	–	○	休	休

	09:00～12:00	13:30～16:30
月	–	〇
火	〇	〇
水	–	〇
木	〇	–
金	–	〇
土	〇 隔週	－
日	－	－
祝	－	－

検査体制

• 成長ホルモン・IGF-1測定
• 副腎皮質ホルモン検査（コルチゾールなど）
• 下垂体MRI検査
• 経口ブドウ糖負荷試験
• 血液検査（血糖値・脂質プロファイルなど）
• 心電図・心エコー検査（必要に応じて）

など、症状に応じた適切な検査を実施いたします。専門的な精査や詳細検査が必要な場合は、神戸大学医学部附属病院など高度医療機関と連携して対応いたします。

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