免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を使ったがん治療中に、突然糖尿病を発症する方がいます。発症率は0.2〜2%と報告されており、投与開始から数週間〜数カ月以内に急激な血糖上昇が起こるケースが大半です。

この糖尿病は生活習慣が原因の2型糖尿病とは性質が異なります。免疫の過剰な活性化が膵臓のインスリン分泌細胞(β細胞)を破壊することで生じ、約76%が糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)という緊急性の高い状態で見つかっています。

早い段階で兆候をとらえ、速やかにインスリン治療を始めることが命を守る鍵です。ICI糖尿病の症状や検査、治療の流れ、そして予防に向けた具体的な行動を解説します。

目次

免疫チェックポイント阻害薬(ICI)で糖尿病が起こる仕組みと発症頻度

ICI糖尿病は、がん免疫療法の副作用として免疫細胞が膵臓のβ細胞を攻撃し、インスリンの産生能力を失わせることで発症します。発症頻度は低いものの、一度起こると多くの場合で生涯にわたるインスリン注射が必要になる点が特徴です。

がん免疫療法が膵臓のβ細胞を傷つけるまでの流れ

免疫チェックポイント阻害薬は、本来がん細胞に向けられるべき免疫のブレーキを外す薬です。PD-1やPD-L1、CTLA-4といったたんぱく質をブロックすることで、T細胞ががん細胞を攻撃しやすくなります。

ところが、このブレーキ解除は正常な組織にも及びます。膵臓のβ細胞はPD-L1を表面に持ち、免疫の攻撃から自分を守っていますが、ICI投与によりその防御が失われ、T細胞がβ細胞を異物と認識して破壊を始めるのです。

β細胞が一定以上破壊されると、インスリンを十分に分泌できなくなり、血糖値が急上昇します。通常の1型糖尿病では年単位でβ細胞が減少しますが、ICI糖尿病では数日〜数週間で劇的に進行することがあります。

ICI糖尿病の発症率と報告数の推移

大規模な臨床試験の解析によると、ICI糖尿病の発症率はPD-1阻害薬単独で約0.2〜1%、PD-1阻害薬とCTLA-4阻害薬の併用療法で最大2%程度まで上昇します。決して高い割合ではありませんが、免疫療法の適応が拡大するにつれ、報告数は年々増加しています。

ある研究では、6年間に1444人のICI治療患者を追跡し、PD-1阻害薬を投与した1163人のなかから21例の糖尿病を確認しました。薬剤別に見ると、ペムブロリズマブで2.2%、ニボルマブで1%、イピリムマブ単独では0%でした。

通常の1型糖尿病とICI糖尿病の違いを整理する

見た目の症状はよく似ていますが、両者の背景にはいくつかの大きな違いがあります。通常の1型糖尿病は小児〜若年層に多く、数カ月から数年かけてβ細胞が破壊されるのに対し、ICI糖尿病は平均60歳前後のがん患者に起こり、発症までの期間が極めて短いのが特徴です。

膵島関連の自己抗体(GAD抗体など)が陽性になる割合も異なります。通常の1型糖尿病では大多数が抗体陽性ですが、ICI糖尿病では約半数にとどまり、抗体陰性でもβ細胞の破壊が進むケースを複数の研究が報告しています。

比較項目通常の1型糖尿病ICI糖尿病
好発年齢小児〜若年層平均60歳前後
発症速度数カ月〜数年数日〜数週間
自己抗体陽性率約90%以上約50%
DKA合併率約30%約76%
HbA1c(発症時)高値が多い比較的低値

このように、ICI糖尿病はHbA1cが意外なほど低い状態で見つかることがあります。急速にβ細胞が破壊されるため、過去1〜2カ月の血糖の平均を反映するHbA1cの上昇が追いつかないのです。

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)を伴うICI糖尿病の急激な発症に備える

「ICI糖尿病は緩やかに進行する」という印象は誤りです。系統的レビューによると、投与開始から発症までの中央値は49日で、約76%がDKAを伴った状態で診断に至っています。

薬剤の種類糖尿病リスク併用時の影響
抗PD-1抗体やや高いCTLA-4併用でさらに上昇
抗PD-L1抗体報告は少数併用データは限定的
抗CTLA-4抗体単独では低いPD-1併用で相乗的に上昇

ICI糖尿病が数日〜数週間で劇症化する理由

ICI糖尿病では、T細胞がきわめて短期間で膵臓のβ細胞を広範囲に破壊します。免疫のブレーキが外れた状態でT細胞が一斉にβ細胞へ集中するため、通常の自己免疫性糖尿病では考えにくい速さでインスリン分泌能が消失するのです。

β細胞の破壊が急速に進むと、体は代わりに脂肪を分解してエネルギーを得ようとします。その過程でケトン体が大量に生成され、血液が酸性に傾いてDKAへ移行します。DKAは意識障害やショック状態に至ることもあり、迅速な治療が求められる緊急事態です。

PD-1/PD-L1阻害薬とCTLA-4阻害薬でリスクはどう変わるか?

ICI糖尿病の大多数は、PD-1またはPD-L1を標的とする薬剤の使用中に起こっています。CTLA-4阻害薬の単独投与でICI糖尿病が起こった例はほとんどありません。

ただし、PD-1阻害薬とCTLA-4阻害薬を組み合わせた場合、発症リスクは単剤使用よりも高くなります。併用療法は抗腫瘍効果も強い一方で、免疫関連の副作用全般が増える傾向があるため、治療前にリスクとベネフィットのバランスを主治医と十分に話し合うことが大切です。

遺伝的素因とHLA型が発症を左右する

ICI糖尿病には遺伝的な要素も関与しています。とくにHLA-DR4というヒト白血球抗原(HLA)の型を持つ方は、ICI糖尿病の発症リスクが高いとする研究結果が複数存在します。

HLAは免疫細胞が「自分の細胞かどうか」を見分けるための目印のようなもので、特定の型をもつ人は自己免疫反応が起きやすい体質といえるでしょう。

もともと甲状腺の自己免疫疾患(バセドウ病や橋本病など)を持っている方や、ICI投与後に甲状腺機能障害を起こした方も、ICI糖尿病のリスクが高まるとの報告があります。複数の内分泌臓器に対する自己免疫が同時に活性化される可能性を示唆する所見です。

ICI糖尿病の初期症状を見逃さないための着眼点

口渇、多尿、急な体重減少が出たら、まずICI糖尿病を疑ってください。これらの症状は数日のうちに現れ、放置するとDKAへ進行する危険があります。

急な口渇・多尿・体重減少は膵β細胞破壊のサイン

インスリンが急速に不足すると、血液中のブドウ糖を細胞が取り込めなくなります。あまったブドウ糖は腎臓から大量の水分とともに尿として排出されるため、強い口渇と頻尿が同時に起こります。

食事を摂っていても体重が減り始めるのは、ブドウ糖をエネルギーに変換できず、体が脂肪や筋肉を分解して代用しているためです。1〜2週間のうちに2〜3kg以上の原因不明の体重減少があれば、速やかに主治医へ連絡しましょう。

症状生じる理由気づきのポイント
強い口渇高血糖による脱水水を飲んでも渇きが治まらない
頻尿・多尿腎臓が余分な糖を排出夜間のトイレ回数が増える
急な体重減少エネルギー源の喪失食欲があるのに痩せていく
倦怠感細胞のエネルギー不足いつもの活動がつらくなる

倦怠感や吐き気がDKAの前兆になるとき

高血糖が進むと、全身のだるさや集中力の低下に加え、吐き気や腹痛が現れることがあります。これらはDKAの初期兆候であり、体内でケトン体が蓄積して血液が酸性に傾いている状態を示す場合があります。

呼吸が深く速くなる「クスマウル大呼吸」や、果物のような甘い口臭も重要な警告サインです。こうした症状が見られたら、自宅で様子を見ず、ただちに救急医療機関を受診してください。

血糖モニタリングを始める推奨タイミング

ICI治療を開始する前から、空腹時血糖とHbA1cを測定しておくことが望ましいでしょう。投与開始後は、毎回の治療サイクルごとに血糖検査を行い、値の変動を追うことで早期発見につながります。

自己血糖測定器(SMBG)を用いた家庭での測定を主治医から勧められた場合は、朝食前と食後2時間を基本に記録をつけてください。急な上昇傾向が見られたら、次の受診日を待たずに連絡するのが安全です。

免疫チェックポイント阻害薬による糖尿病の診断に使う検査

血糖値が11mmol/L(約200mg/dL)以上で、かつCペプチドが著しく低い場合、ICI糖尿病と診断される可能性があります。診断は複数の検査を組み合わせて総合的に判断します。

血糖値・HbA1c・Cペプチドから何が読み取れるか?

ICI糖尿病では、血糖値の急上昇に対してHbA1cが比較的低いという独特のパターンが見られます。HbA1cは過去1〜2カ月の平均血糖を反映する指標なので、発症してすぐの時期にはまだ十分に上昇していないことがあるのです。

Cペプチドはインスリンが分泌されるときに一緒に放出される物質で、膵臓のインスリン産生能力を直接示します。ICI糖尿病の患者ではCペプチドが極端に低下しており、膵臓がインスリンをほとんど作れなくなっていることが分かります。

GAD抗体やIA-2抗体が陽性だと何を意味するか?

膵島に対する自己抗体を調べる検査は、免疫が膵臓を攻撃しているかどうかを推測するための手がかりになります。GAD抗体(グルタミン酸脱炭酸酵素抗体)やIA-2抗体(膵島関連抗原2抗体)が代表的です。

ICI糖尿病患者の約50%で、これらの自己抗体のいずれかが陽性を示します。抗体陽性の場合は、発症までの期間がより短く、DKAを合併する確率も高いという報告があります。一方、抗体が陰性でもICI糖尿病は起こりうるため、陰性だからといって安心はできません。

CT検査で膵臓の萎縮を確認する方法

近年の研究では、ICI糖尿病を発症した患者の膵臓がCT画像上で萎縮している所見が注目を集めています。膵臓の体積が治療前と比べて有意に減少しているケースもあり、β細胞の破壊に伴う組織のダメージを反映しているとの見方が広がっています。

ただし、膵臓の萎縮はICI糖尿病以外の原因でも見られるため、あくまで他の血液検査の結果と合わせて判断します。画像所見だけで確定診断を下すことはありません。

ICI糖尿病の治療はインスリン注射が基本になる

経口の血糖降下薬では対処できません。ICI糖尿病ではβ細胞の機能が失われているため、発症したらすぐにインスリン療法を開始する必要があります。

なぜ経口血糖降下薬では対応できないのか?

メトホルミンやSU薬などの経口血糖降下薬は、膵臓にまだインスリン分泌能が残っていることを前提に作用する薬です。ICI糖尿病ではβ細胞が広範囲に破壊されているため、そもそも刺激すべきβ細胞がほとんど残っておらず、経口薬では血糖を下げることができません。

発症直後はDKAを伴う重篤な状態で見つかることが多く、まず入院のうえ点滴によるインスリン投与と補液で全身状態を安定させます。その後、退院時にはペン型注射器やインスリンポンプを用いた自己注射へ移行するのが一般的な流れです。

がん治療の継続・中止はどう判断するか?

ICI糖尿病を発症したからといって、自動的にがん治療を中止するわけではありません。血糖コントロールが安定していればICIの投与を継続できるケースもあり、判断は腫瘍の種類や進行度、副作用の程度を総合して主治医が行います。

ある研究では、ICI糖尿病を発症した患者の腫瘍に対する治療反応率はむしろ良好であったとの報告もあります。がん治療と糖尿病管理のバランスをとりながら、内分泌内科と腫瘍内科が連携して方針を決めることが大切です。

判断の軸継続を検討する場合中止を検討する場合
血糖管理インスリンで安定DKAが反復
腫瘍の状態治療効果あり効果が乏しい
他のirAE軽度で管理可能複数の重篤な副作用

長期にわたる血糖管理で意識したいポイント

ICI糖尿病は、がんの治療が終了した後もインスリン注射を続ける必要があるケースがほとんどです。β細胞の回復が見られた例はごくわずかで、多くの場合は生涯にわたる治療が前提となります。

日々の血糖測定、食事の炭水化物量の把握、低血糖への備えなど、通常の1型糖尿病と同様の自己管理を続けることが大切です。定期的に内分泌内科で受診し、HbA1cの推移やインスリン量の調整について相談してください。

急な体調の変化があったときは、がんの主治医だけでなく糖尿病の専門医にも連絡をとる体制を整えておくと安心でしょう。

治療開始前から取り組むICI糖尿病の予防策とリスク評価

投与前にリスクを見積もり、投与中にこまめに検査を行うことで、ICI糖尿病の重症化を防げる可能性があります。完全に予防する方法はまだ確立されていませんが、早期発見に向けた準備は確実に意味を持ちます。

投与前に受けておきたいスクリーニング検査

ICI治療の開始前に、空腹時血糖、HbA1c、Cペプチドの基礎値を測定しておくと、投与後の変化を正確に把握できます。もともと境界型糖尿病(前糖尿病)の状態にある方は発症リスクが高まるため、とくに注意が必要です。

  • 空腹時血糖値とHbA1c:ベースラインの血糖状態を把握
  • Cペプチド:インスリン分泌能の基準値を記録
  • GAD抗体・IA-2抗体:自己免疫の素因をチェック
  • HLA型検査:遺伝的リスクの有無を確認(施設による)
  • 甲状腺機能検査:他の内分泌系irAEのリスクも併せて評価

すべての検査を実施するかは医療機関の方針にもよりますが、少なくとも血糖値とHbA1cはほぼ全例で測定します。不安な点は遠慮なく主治医に尋ねてください。

投与中に必要な定期検査と血糖測定の頻度

ICI投与中は、治療サイクルごと(通常2〜3週間に1回)に血糖値を測定するのが一般的です。加えて、3カ月ごとにHbA1cを確認し、全体の血糖トレンドを追います。

主治医から自宅での血糖測定を指示された場合は、起床時と食後のデータを記録ノートやアプリに記入し、受診時に持参しましょう。血糖値が200mg/dLを超える日が続いたら、次の受診を待たずに連絡してください。

異変を感じたときに相談すべき連絡先と対応の目安

強い口渇や体重減少が出たとき、真っ先に連絡すべき相手はICI治療を担当している腫瘍内科の主治医です。多くのがんセンターでは、免疫関連有害事象に対応する専用の相談窓口や緊急連絡先を設けています。

吐き気や意識のぼんやりといった症状が急に強まった場合は、DKAの可能性を考え、自宅で様子を見ずに救急外来を受診してください。受診時には、使用中のICIの名前と投与日、直近の血糖測定値をメモして持参すると、医療スタッフが素早く対応しやすくなります。

家族と介護者が押さえておくべきICI糖尿病の緊急時対応

患者本人だけでなく、身近にいるご家族や介護者がICI糖尿病の緊急サインを知っていることで、救命の確率が大きく上がります。高血糖と低血糖それぞれで観察すべきポイントが異なるため、事前の知識が欠かせません。

高血糖・低血糖のサインを見分けるコツ

高血糖の場合は口渇、多尿、全身のだるさ、ぼんやりとした意識の変化が現れます。一方、インスリン治療を開始した後は低血糖のリスクにも備える必要があり、冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感が代表的なサインです。

  • 高血糖のサイン:口渇、多尿、体重減少、吐き気、深い呼吸
  • 低血糖のサイン:冷や汗、手の震え、動悸、空腹感、ふらつき

高血糖は数時間〜数日かけて悪化するのに対し、低血糖は数分〜数十分で危険な状態に陥ることがあります。症状の進行速度が異なる点を覚えておくと、いざというときに落ち着いて対処できます。

DKAが疑われるときの応急処置と受診判断

DKAが疑われる状況(血糖値が300mg/dL以上、嘔吐、深く速い呼吸、意識レベルの低下など)では、ためらわず救急車を呼んでください。自宅でインスリンを追加投与しても、DKAは点滴による補液なしでは改善しにくい状態です。

救急隊員には「免疫チェックポイント阻害薬でのがん治療中であること」を伝え、可能であれば薬の名前や直近の投与日が書かれた書類を見せましょう。この情報が正確に伝わることで、到着後の診断と治療がスムーズに進みます。

退院後の生活で気をつけたい血糖コントロールの工夫

退院後は、インスリン注射の打ち方や保管方法、低血糖時のブドウ糖の携帯など、日常生活で気をつける点がいくつもあります。入院中に看護師や糖尿病療養指導士から受けた指導内容は、紙やスマートフォンにまとめておくと見返しやすいでしょう。

ご家族が注射手技や血糖測定の方法を一緒に覚えておくと、患者本人の体調が優れないときに代わって対応できます。とくにインスリンの単位数や食事量の目安は共有しておき、「何をどれだけ食べたか」「何単位打ったか」を記録する習慣を家族全体でつくると安心です。

また、外食や旅行の際にもインスリンの持ち運びや保冷の準備が要ります。長期的な血糖管理は日々の小さな積み重ねなので、がんばりすぎず、困ったときは糖尿病の専門チームに気軽に相談してください。

よくある質問

Q
免疫チェックポイント阻害薬による糖尿病は治療をやめれば治りますか?
A

残念ながら、ICI糖尿病は一度発症すると自然に回復するケースはごくまれです。β細胞が広範囲に破壊されているため、ICIの投与を中止した後もインスリン注射を続ける必要があります。

ごく少数の症例ではCペプチドが一時的に回復したとの報告もありますが、多くの場合は数カ月以内に再び低下しています。現時点では、発症後は生涯にわたるインスリン治療を前提に管理計画を立てるのが一般的です。

Q
ICI糖尿病の発症を事前に予測する方法はありますか?
A

完全に予測する手段はまだ確立されていませんが、いくつかの指標がリスクの高さを示すことが分かっています。投与前にGAD抗体やIA-2抗体が陽性の方、HLA-DR4型を保有する方は発症リスクが高い傾向にあります。

また、ICI投与後に甲状腺機能障害を先に発症した方は、続けてICI糖尿病を発症する確率が上がるとの報告もあります。定期的な血糖チェックとあわせ、これらの情報を主治医と共有しておくことで、早い段階での対応につなげられます。

Q
免疫チェックポイント阻害薬で糖尿病になっても、がん治療は続けられますか?
A

ICI糖尿病を発症しても、インスリン治療で血糖が安定していれば、がん治療を継続できる場合があります。治療の継続・中止は、がんの種類や進行度、副作用の重症度を総合的に判断して決められます。

実際に、ICI糖尿病を発症した患者さんの中には、そのままICIの投与を続けて良好な腫瘍縮小効果を得られたケースもあります。腫瘍内科と内分泌内科が連携し、安全にがん治療を進められるよう計画を立てるため、自己判断での中断は避けてください。

Q
ICI糖尿病と通常の2型糖尿病はどのように見分けますか?
A

2型糖尿病はインスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が主な原因であるのに対し、ICI糖尿病は免疫によるβ細胞破壊でインスリンそのものが出なくなる点が根本的に異なります。診断ではCペプチドの著しい低下と急激な血糖上昇が重要な判断材料です。

もともと2型糖尿病を持つ方がICI治療中に急な血糖悪化を起こした場合、従来の2型糖尿病の増悪なのかICI糖尿病の合併なのかを区別する必要があります。

Cペプチドの急速な低下やケトーシスの出現があれば、ICI糖尿病の併発を疑い、速やかにインスリン治療へ切り替えることが重要です。

Q
免疫チェックポイント阻害薬による糖尿病を発症した場合、食事制限は必要ですか?
A

厳格なカロリー制限が必要になるわけではありませんが、炭水化物の量と質を意識した食事管理がインスリンの効果を安定させるうえで役立ちます。食事ごとの炭水化物量を把握し、それに合わせてインスリン量を調整する「カーボカウント」という方法を取り入れる方も多いです。

がん治療中は体力の維持が大切ですので、過度な制限はかえって体調を崩す原因になりかねません。管理栄養士や糖尿病療養指導士と相談しながら、がん治療と血糖管理を両立させた食事計画を立てることをおすすめします。

参考にした文献