デクスコムG7とリブレ3は、どちらも皮下のセンサーからブドウ糖の動きを連続して確認できる機器です。選択を左右するのは単純な優劣ではなく、装着できる期間、センサーの大きさ、通知の種類、値を受け取る機器、較正への対応といった日々の使い勝手です。

インスリン療法を始める時期に、通知を見落とさないか、腕に付けたまま暮らせるかと不安になるのは自然です。生活の中で困りそうな場面を先に整理すると、自分に合う条件を医師へ具体的に伝えやすくなります。

この記事では、デクスコムG7とリブレ3の仕様の違いと、選ぶ前に確認したいポイントを解説しています。

目次

デクスコムG7とリブレ3は同じCGMでも仕様が異なる

両機種は連続グルコースモニタリング、略してCGMに分類され、測定の基本原理は共通しています。一方、センサーを交換する間隔や通知の設計には違いがあり、同じように使える機器ではない点に注意が必要です。

共通するのは皮下のブドウ糖を連続測定する仕組み

上腕などに装着した細いセンサーは、血液ではなく細胞の間を満たす液体に含まれるブドウ糖を測ります。指先でその都度測る方法と違い、装着中は値が自動で更新されるため、現在の数値と変化の向きを短い間隔で確かめられます。

比較点デクスコムG7リブレ3
測定方式皮下センサーによる連続測定皮下センサーによる連続測定
値の受信対応機器へ自動送信対応機器へ自動送信
定期的な較正原則不要原則不要
主な違い通知の選択肢と10日間の装着小型設計と14日間の装着

精度を一つの順位で決められない理由

精度は、成人1型糖尿病で複数のCGMを同時に装着した条件では機種による差がみられます。ただし、2型糖尿病の日常生活に同じ差が当てはまるとは限りません。装着初日か交換前か、値が安定しているか急に動いているかによっても一致のしかたは変わります。

機種の違いを判断するときは、測定した人と場面をそろえて考える必要があります。リブレ3とデクスコムG7が同時に使われたのは、1型糖尿病の人がレクリエーション潜水をしている特殊な条件でした。G7が使われた集中治療室や妊娠中の糖尿病も日常生活とは条件が異なるため、これらの結果だけで普段使いの優劣は決められません。

機器の数字は治療判断を助ける材料

CGMに関する研究の総説では、連続した測定情報を活用すると血糖管理の改善につながり得ると整理されています。もっとも、古い世代の機器を含む報告であり、現在使う機種の性能をそのまま表す資料ではありません。

数値だけでインスリン量を変えるのではなく、食事、運動、体調、症状と合わせて診察時に確認するのが基本です。開始時には、画面の数値を治療へどう反映するか、低い値が出たときに何をするかを医師から確認しておきます。

装着部位と使用期間は毎日の負担に直結

リブレ3は小さく薄いセンサーを最長14日間使える点、デクスコムG7は最長10日間の使用後にも交換の猶予時間が設けられている点が特徴です。どちらも上腕後部が基本ですが、年齢や承認内容に沿った部位へ装着します。

上腕後部は手が届きにくい位置

上腕後部とは、腕を自然に下ろしたときに体の外側からやや後ろへ向く柔らかい部分です。筋肉の輪郭、皮膚の傷、ほくろ、衣類の縫い目を避け、寝たときに長く圧迫されにくい場所を選びます。

自分では位置を見づらく、利き手と反対側へ付ける作業にも慣れが要ります。初回に不安があれば、装着候補を医療者と一緒に確かめます。家族へ頼む場合は、補助してもらう範囲も決めておくと安心です。

大きさと厚みは衣類への触れ方に影響する

センサー本体の公表寸法では、デクスコムG7はおよそ縦27mm、横24mm、厚さ5mm弱で、リブレ3は直径約21mm、厚さ約3mmです。リブレ3のほうが小さく薄い一方、実際の装着感は貼付位置、体格、保護用テープの使用でも変わります。

仕様デクスコムG7リブレ3
基本の装着部位上腕後部など承認された部位上腕後部
本体寸法の目安約27×24mm、厚さ5mm弱直径約21mm、厚さ約3mm
使用期間最長10日間最長14日間
交換時の特徴終了後に12時間の猶予14日で新しいセンサーへ交換

交換間隔と猶予時間で予定の立て方が変わる

14日間使えるリブレ3は、順調なら1回の装着で過ごせる日数が長く、交換回数を抑えやすい設計です。デクスコムG7の12時間の猶予は、10日目の終了時刻が仕事中や夜間に重なった際、都合のよい時間へ交換をずらす助けになります。

どちらも途中ではがれたり、機器の不具合で測定が止まったりすれば、予定日より早い交換が必要です。交換日だけで選ばず、装着部位の皮膚状態と生活予定を無理なく管理できるかまで考えます。

デクスコムとリブレのアラームは選び方を左右します

低血糖への備えを優先するなら、単に通知が鳴るかではなく、予測通知の有無、音を止められる範囲、夜間に受信機を置く場所まで比べる必要があります。デクスコムG7は切迫した低値を早めに知らせる通知を備え、リブレ3は高値・低値・信号喪失の通知を設定できます。

高値と低値の通知には設計上の違いがある

両機種とも、設定した範囲を外れた際の高値通知と低値通知を利用できます。デクスコムG7には低値へ近づいている動きを事前に知らせる機能があり、切迫した低値の通知は安全上の理由から扱いが別です。

通知デクスコムG7リブレ3
高値・低値設定可能設定可能
低値の予測切迫した低値を事前通知設定値を下回った時点で通知
信号喪失通知あり通知あり
音の扱い通知ごとに条件が異なる端末の設定条件を確認

通知の回数は安全性と負担の釣り合いで決める

通知範囲を狭く設定すると、短い変動にも反応して音や振動が増え、確認に疲れてしまう人がいます。反対に、通知を広くしたり切ったりすると、気づきたい変化を逃す心配が高まります。

開始直後は治療内容と低血糖の経験を医師へ伝え、必要な通知だけを一緒に設定する方法が取り入れやすいでしょう。通知が何度も鳴ると、確認そのものを避けたくなる人もいます。無視したくなるほど頻繁なときは、自分だけで全て止めず、設定値と再通知の間隔を相談してください。

夜間と外出先では受信環境も確かめる

センサーと受信する端末の距離が離れたり、無線通信が途切れたりすると、その間は通知が届かない可能性があります。就寝時は対応端末を手の届く場所に置き、音量、消音設定、充電残量を寝る前に確認します。

映画館や会議など音を出しにくい場面でも、安全上止められない通知や、消音できる時間に機種差があります。日常的に消音が必要なら、使う端末と通知方法を導入前に医療者へ伝えておきましょう。

受信方法で値の確かめ方が変わる

デクスコムG7もリブレ3も、装着中の値は対応スマートフォンまたは専用受信機への自動送信です。普段使う端末が対応しているか、誰が画面を見るか、充電を保てるかが実用面の分かれ目です。

毎回かざさなくても値は更新される

リブレ3は装着開始時の操作を終えると、その後はセンサーへスマートフォンを毎回かざさなくても測定値を受信します。デクスコムG7も同様に自動送信されるため、画面を開いた時点で直近の値を確かめる使い方が基本です。

確認点デクスコムG7リブレ3
スマートフォン対応機種で受信対応機種で受信
専用受信機対応する受信機を選択可能対応する読取装置を選択可能
日常の読取り自動送信自動送信
事前確認基本ソフトと機種の対応基本ソフトと機種の対応

スマートフォンは対応機種と基本ソフトを確認する

見た目が新しい端末でも、機器側の動作確認が済んでいなければ使用対象に含まれない場合があります。基本ソフトを更新した直後に対応状況が変わる可能性もあるため、導入前と機種変更前には各製品の対応一覧を確認します。

1台の端末で通話、決済、CGMの受信をまとめられる便利さがある反面、充電切れや端末故障の影響も集中します。外出時間が長い人は充電手段を用意します。測定値を確認できない時間の対処も医師と決めておくと安全です。

専用受信機は操作を単純にしやすい

電話機能を使わない人や、画面上の通知を整理しづらい人には、CGMの表示に用途を絞った受信機が合う場合があります。家族のスマートフォンを借りる前提ではなく、本人が毎日持ち歩き、数値と通知を確認できる機器を選ぶ視点が大切です。

受信機を選んでも、充電と携帯は必要です。また、同時に接続できる機器の組み合わせには製品ごとの条件があるため、購入や処方の前に使いたい組み合わせを確認してください。

較正不要でも指先測定が必要な場面

両機種は工場で調整されており、日常的に指先の値を入力して合わせる較正は原則不要です。ただし、表示と体の感覚が合わないときまでCGMだけに頼るという意味ではありません。

デクスコムG7は任意較正ができ、リブレ3は行わない

デクスコムG7には、適切な条件で指先の測定値を入力し、表示を合わせる任意較正の機能があります。リブレ3は工場較正を前提としており、利用者が測定値を入力してセンサーを調整する方式ではありません。

工場較正型のCGMを14日間評価した研究でも、利用者が日々較正せずに使う設計が検討されています。ただし、研究された特定製品の結果を別機種へそのまま広げず、それぞれの取扱説明に従うのが基本です。

場面デクスコムG7リブレ3
日常の較正原則不要不要
利用者による調整条件を満たせば任意較正が可能手入力による較正は行わない
症状と表示が合わない指先測定で確認指先測定で確認
表示が出ない指先測定と機器状態の確認指先測定と機器状態の確認

値がずれるのは測っている場所と時間差が違うため

CGMは血液そのものではなく皮下の液体を測るため、食事や運動などで血糖が速く動くと、指先の測定値との間に時間差が生じます。健康な青年を対象に糖負荷や運動中の性能を調べた研究も、急な変化で差が出る様子を示しています。ただし、糖尿病の患者さんへ数値をそのまま当てはめる資料ではない点に注意が必要です。

センサーを付けた初日、装着部を圧迫した直後、血糖が急に上がり下がりする場面では差を意識します。表示だけを理由に慌てて補食や追加注射を重ねると、後から大きく反対方向へ動く危険があるため注意が要ります。

症状と表示が合わないときは指先で確かめる

低血糖らしい冷や汗や手の震えがあるのに表示が正常なとき、反対に低い表示でも症状や状況が一致しないときは、可能なら指先の血糖測定で確認してください。測定結果と事前に決めた対応へ従い、意識がぼんやりする、飲み込めない、自分で対処できないといった状態では周囲が救急対応を求めます。

デクスコムG7の任意較正は、手指を洗って正しく測り、値が急変していない条件で行うのが前提です。何度も入力して無理に数字を一致させず、差が続く場合はセンサーの状態と対処を医療者や製品窓口へ確認します。

生活場面に合わせて確認したい装着上の違い

小ささや使用日数だけでは、実際の装着負担を決めきれません。衣類との接触、皮膚のかぶれ、水に触れる時間、交換予定を含めて、自分の生活で続けられる条件を確認します。

衣類や寝具への引っ掛かりを減らす位置

センサーは薄くても、着替えで袖口が当たったり、バッグの肩ひもがこすれたりすると、粘着面へ繰り返し力が加わります。普段着る服と荷物の位置を思い浮かべ、腕を動かしても接触しにくい場所を候補にすると安心です。

寝る向きがほぼ決まっている人は、下側になる腕へ付けると圧迫による低い表示が出る可能性があり、左右を交互に使う場合も、前回の跡や赤みが残る皮膚は避けて回復した場所を選びましょう。

入浴や運動では水濡れの時間と粘着を確認

両機種とも装着したまま日常の入浴や運動を想定していますが、防水性能には水深と連続時間の条件があります。長時間の入浴、水泳、発汗の多い運動が習慣なら、該当製品の使用条件内か説明書での確認が必要です。

装着前の皮膚に水分や油分が残ると、粘着が弱くなりやすいため、洗って十分に乾かしてから付けます。補助テープを使う際はセンサーの開口部をふさがず、製品に適した貼り方を守る必要があります。

  • 衣類との接触 … 袖口や下着の縁が毎日こすれない位置
  • 就寝時の圧迫 … いつもの寝姿勢で体重がかかりにくい側
  • 水濡れと発汗 … 入浴時間や運動習慣が製品条件に収まるか
  • 皮膚の状態 … 傷、赤み、前回の装着痕を避けられる範囲

赤みや痛みが続くときは無理に使わない

粘着剤の部分に軽い跡が付いても短時間で薄くなるなら経過を見られますが、強いかゆみ、水ぶくれ、広がる赤み、熱をもった腫れは放置しないでください。センサーを外す必要があるか医療者へ相談し、呼吸の苦しさや顔の腫れを伴う場合は直ちに救急対応が必要です。

はがれかけたセンサーを押し戻したり、別の場所へ貼り直したりすると、正しい測定を期待できなくなります。測定が止まった間に使う指先測定の準備と、交換品について相談する窓口を事前に控えておくと落ち着いて対応できます。

デクスコムG7とリブレ3のどちらが自分に向く?

低値を事前に知らせる通知を重視するならデクスコムG7、小ささと14日間の使用を重視するならリブレ3が候補になります。最終的には、治療上必要な通知、対応端末、装着部位、交換の負担を並べて選びます。

デクスコムG7が候補になりやすい人

インスリン使用中で低血糖への不安が強く、設定値を下回る前の予測通知を生かしたい人にはデクスコムG7の通知設計が判断材料になり、10日目の終了後に仕事や睡眠を避けて交換時間を調整したい人にも利点です。

指先測定とのずれが続いた際、条件を守って任意較正できる点を重視する人も候補です。ただし、較正機能があるだけで常に精度が高いとは言えず、正しく測れない状況で入力すると表示へ悪影響を与えます。

リブレ3が候補になりやすい人

腕からの出っ張りを少しでも抑え、1回の装着を長く使いたい人には、直径約21mmで最長14日間のリブレ3が候補です。毎回センサーへ端末をかざす操作が不要なので、仕事中に短時間で画面を確かめたい人にも使いやすい設計です。

一方、低値へ近づく前の予測通知を特に求める場合は、通知が鳴る条件を比べる必要があります。小さい機器でも対応端末が手元になければ通知を受け取れないため、寸法だけで決めない姿勢が大切です。

診察前に優先順位を3つまで決める

全ての条件を満たす機種を探すより、自分が困る場面から優先順位を付けると相談が具体的になります。家族の希望だけで決めず、本人が毎日装着し、通知へ対応できるかを中心に考えます。

  • 通知 … 低値の予測、音量、夜間に気づける受信方法
  • 装着 … 本体の大きさ、交換間隔、皮膚への負担
  • 端末 … 手持ち機器の対応、充電、画面の見やすさ
  • 較正 … 任意調整を使いたいか、指先測定で確認できるか

CGMの報告画面に対する希望を調べた質的研究では、患者さんと医療者が求める情報の見せ方には共通点と違いがあると報告されています。画面の分かりやすさは個人差が大きいため、可能なら見本を確認し、警告音も含めて実際に扱えるかを相談すると選びやすくなります。

よくある質問

Q
リブレ3は毎回スマートフォンをかざす必要がありますか?
A

装着開始後のリブレ3は値を対応端末へ自動送信するため、確認のたびにかざす操作は不要です。

Q
デクスコムG7とリブレ3は入浴中も付けたままでよいですか?
A

両機種とも製品ごとの防水条件内であれば、装着したまま入浴できます。水深と連続して水に触れられる時間は同じとは限らないため、使用中の製品説明を確認します。

入浴後はタオルで強くこすらず、水分を押さえるように拭き取ります。粘着面が浮いたり測定が止まったりした際は、貼り直さず交換の要否を製品窓口へ相談してください。

Q
夜間のアラームが多くて眠れないときはどうしますか?
A

安全に関わる通知を一括で止めず、どの通知が何時ごろ何回鳴るかを記録します。寝返りでセンサーを圧迫して低く表示されていないか、受信機の設定が重複していないかも確認の対象です。

記録を診察へ持参し、治療内容と合わせて通知範囲や再通知の間隔を調整してください。冷や汗や震えなど低血糖を疑う症状がある場合は、指先測定と事前に決めた対処を優先します。

Q
センサーの値と体の感覚が合わないときはどちらを信じますか?
A

表示と症状が一致しないときは、可能なら指先の血糖測定で確かめます。その結果とあらかじめ受けた指示に従います。CGMの数字だけを信じて追加注射や補食を重ねるのは避けてください。

意識がはっきりしない、飲み込めない、自力で対処できない状態では、本人だけで確認を続けず周囲が救急対応を求めます。差が繰り返すものの緊急性がない場合は、センサーの状態と測定記録を医療者へ伝えます。

Q
使い始めた後に別の機種へ替えられますか?
A

治療上の条件を満たし、処方する医療機関と調整できれば、使用後に別機種へ変更する選択肢はあります。通知が負担なのか、装着感なのか、端末操作なのかを具体的に伝えると検討しやすくなります。

変更前には対応端末、センサーの交換時期、指先測定が必要な空白時間を確認してください。手元の機器を自己判断で中止せず、切り替える日と開始方法を医療者と決めます。

参考にした文献