ゼップバウンドとウゴービは、国内でどちらも肥満症の効能をもつ注射薬であり、同じ条件の人を対象にして正面から見比べられる数少ない組み合わせです。
実際に751人を1対1に割り付けて72週間追った直接比較の試験が公表されており、体重の変化率はチルゼパチド側で-20.2%、セマグルチド側で-13.7%と報告されました。
一方でお腹の症状の多さはよく似ており、器具の形や増量の刻み方、投与できる期間には別々の設計が敷かれています。効果・副作用・投与方法という三つの角度から、確かめられた範囲だけを順に並べていきます。
ゼップバウンドとウゴービの比較が成り立つのは、効能がそろっているからです
二つの薬を同じ土俵で見比べられる理由は、国内で認められた効能が肥満症でそろっている点にあります。有効成分も作動する受容体も違いますが、対象として想定されている人の条件は大部分が同じ文言で書かれています。
| 比べる項目 | ゼップバウンド | ウゴービ |
|---|---|---|
| 有効成分 | チルゼパチド | セマグルチド |
| 作動する受容体 | GIP受容体とGLP-1受容体 | GLP-1受容体 |
| 肥満症以外の効能 | 中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群 | 肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎 |
| 規格の数 | 2.5mgから15mgまでの6規格 | 0.25mgから2.4mgまでの5規格 |
| 肥満症で投与できる最長期間 | 72週間 | 68週間 |
有効成分はチルゼパチドとセマグルチドで別々です
ゼップバウンドの有効成分はチルゼパチドで、GIP受容体とGLP-1受容体の両方に作動する設計になっています。ウゴービの有効成分はセマグルチドであり、こちらが結びつく相手はGLP-1受容体だけです。
どちらも週1回の皮下注射という骨組みは共通しており、飲み薬ではありません。受容体の数が違えば体内での働きかけ方も変わりますが、その差がそのまま減量幅の差になるとは限らないため、実際の試験結果まで確かめる必要があります。
肥満症の効能に置かれた条件は、一か所だけ文言が違います
ゼップバウンドの効能又は効果には、高血圧、脂質異常症又は耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)のいずれかを有する場合、と書かれています。ウゴービのほうは、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかです。
そのうえでどちらも、食事療法と運動療法で十分な効果が得られない場合に限られ、BMIが27以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害をもつ人か、BMIが35以上の人が対象になります。後半の条件はそろっています。
なおゼップバウンドの電子添文は、保険給付上の注意としてこの部分を高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病の場合に限ると書き添えています。効能の範囲と給付の範囲が別々に定められている形です。
体重を落としたいという希望だけでは対象になりません。合併している病気があり、生活習慣の改善を先に行ったうえで足りなかった場合に、はじめて薬の話が始まります。条件がここまで重なるからこそ、同じ人たちを対象にした試験を組み立てられるわけです。
二つ目の効能はそれぞれ違う病気へ伸びました
肥満症のほかに、ゼップバウンドには中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群という効能が加わっており、BMIが27以上の人に限られています。ウゴービのほうは肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎で、中等度または高度の線維化を有する場合に限られます。
二つ目の効能が別々の方向へ伸びた結果、合併している病気によっては選択肢が最初から片方に寄ります。睡眠中のいびきや無呼吸を指摘されている人と、肝臓の線維化を指摘されている人とでは、話の入り口が変わるのです。
マンジャロやオゼンピックの数字は持ち込めません
同じチルゼパチドを含むマンジャロ、同じセマグルチドを含むオゼンピックは、いずれも2型糖尿病を効能とする別の販売名の薬です。販売名が分かれた薬はそれぞれ別に審査を受けており、用量の刻み方も想定される患者像も一致しません。
そのため、マンジャロやオゼンピックで報告された減量幅を、そのままゼップバウンドとウゴービの話に持ち込めません。読んでいる数字がどの販売名の、どの用量帯のものなのかを確かめる作業が先に来ます。
指針は、チルゼパチドを含む他の製剤やGLP-1受容体作動薬との併用も認めていません。すでに別の注射薬を使っている場合は、その事実を必ず申し出る場面にあたります。
効果の強さをゼップバウンドとウゴービで比較した72週間の試験
効果の強さを正面から比べた試験は存在します。2型糖尿病のない肥満のある成人751人を1対1に割り付け、72週間にわたって追った第3b相の試験が、その役割を果たしました。
751人を1対1に割り付けた第3b相の試験
この試験では忍容できる最大の用量として、チルゼパチドは10mgか15mg、セマグルチドは1.7mgまたは2.4mgが用いられました。どちらも週1回の皮下注射で、投与期間は72週間です。
用いられた用量帯は、国内でゼップバウンドとウゴービを肥満症に使うときの範囲と重なります。だからこそ、この結果を二つの製剤の話として読み取れるわけです。
主要な評価項目は、開始時から72週時点までの体重変化率でした。一定の割合まで体重が減った人がどれだけいたか、ウエスト周囲径がどれだけ変わったかも、あわせて調べられています。
体重の変化率は-20.2%と-13.7%に分かれました
72週時点の体重変化率は、チルゼパチド側が-20.2%、セマグルチド側が-13.7%と報告されました。95%信頼区間はそれぞれ-21.4から-19.1、-14.9から-12.6で、両者の差は統計学的に有意でした。
ウエスト周囲径の変化も、-18.4cmと-13.0cmという形で開きました。ただし6.5という数字はパーセントポイントの差であって、体重が6.5%余分に減ると読み替えられるものではありません。
開始時の体重が同じでないかぎり、減った実際のキログラム数は人によって変わります。平均値は集団の傾向を示すものであり、目の前の一人に約束された数字ではないという前提は、どちらの薬でも変わりません。
どこまで減った人が何割いたのでしょうか?
試験の登録情報には、目標に届いた人の割合が群ごとに公開されています。10%以上減った人はチルゼパチド側で87.7%、セマグルチド側で66.7%でした。
| 72週時点で到達した割合 | チルゼパチド側 | セマグルチド側 |
|---|---|---|
| 10%以上の体重減少 | 87.7% | 66.7% |
| 15%以上の体重減少 | 71.7% | 45.0% |
| 20%以上の体重減少 | 55.0% | 31.1% |
| 25%以上の体重減少 | 36.5% | 18.6% |
| 30%以上の体重減少 | 23.0% | 8.2% |
基準を15%以上、20%以上と上げていくほど、二つの割合の開きは大きくなりました。もっとも、どちらの群にもその基準へ届かなかった人が一定の割合で残っており、効き方に幅がある点は共通しています。
この試験は、割り付けられた薬が参加者にも医師にも分かる形で行われました。減量幅そのものは体重計が測る客観的な数字ですが、自覚症状の報告には期待や先入観が入り込む余地が残ります。
日本の肥満症の基準を当てはめた383人の解析
この試験の参加者に日本の肥満症の基準を当てはめ直した事後の解析も公表されています。750人のうち383人が該当し、チルゼパチド側190人、セマグルチド側193人に分かれました。
72週時点の体重変化率は-20.1%と-12.9%で、群間差は-7.2ポイント(95%信頼区間-9.3から-5.1)と報告されています。全体の結果から大きくはずれてはいませんでした。
ただし、これは後から条件を絞り直した解析であり、製薬企業の関係者が著者に加わっています。読むときには、そこを差し引いておく姿勢が要ります。
国内の試験を並べると、ゼップバウンドとウゴービの比較の景色は変わります
国内で行われた試験まで含めると、見え方は少し変わります。日本人を対象にした試験は二つの薬で別々に組まれており、数字をそのまま並べても比較にはならないからです。
日本人225人を72週追った国内の試験
チルゼパチドの国内第III相試験では、糖尿病の既往がない日本人の肥満症患者が対象になりました。解析対象となった225人の内訳は、プラセボ群75人、10mg群73人、15mg群77人です。
72週時点の体重変化率は、プラセボ群が-1.8%、10mg群が-18.4%、15mg群が-22.6%でした。プラセボ群との差は-16.1ポイントと-21.1ポイントで、いずれも信頼区間はゼロをまたいでいません。
5%以上体重が減った人の割合は、10mg群で94.9%、15mg群で96.9%に達しました。プラセボ群の21.2%と並べると、開きははっきりしています。
日本と韓国の401人を68週追った試験
セマグルチドの側では、日本人と韓国人を対象にした試験が68週間の枠で行われています。無作為に割り付けられた401人のうち、日本人は360人でした。
68週時点の体重変化率は、プラセボ群が-1.9%、1.7mg群が-9.9%、2.4mg群が-13.4%と報告されました。2.4mg群とプラセボ群の差は-11.06ポイント(95%信頼区間-12.88から-9.24)です。
5%以上体重が減った人の割合は、2.4mg群で82.9%、プラセボ群で21.0%でした。国内でウゴービを使うときの目安になるのは、この68週間の試験の数字です。
別々の試験の数字を並べても比較になりません
-22.6%と-13.4%という二つの数字を並べたくなりますが、それは比較ではありません。追跡した期間が72週間と68週間で違い、組み入れの条件もそろっていないからです。
チルゼパチドの試験は糖尿病の既往がある人を除外していましたが、セマグルチドの試験には2型糖尿病をもつ人が含まれていました。いちばん高い用量の群どうしで見ても、開始時の平均体重は91.9kgと86.9kgで一致していません。
同じ試験の中で同時に割り付けたときにだけ、こうした条件の違いが打ち消されます。直接比較の試験が重い意味をもつのは、そのためです。
系統的レビューの数字も同じ落とし穴を抱えています
二つの薬をそれぞれ集めた系統的レビューも、2025年に公表されました。チルゼパチドをプラセボと比べた解析では体重変化率の差が-16.03ポイント、セマグルチドでは-10.73ポイントと報告されています。
けれども、これは別々の試験群を別々にまとめた結果であり、二つを直接比べた数字ではありません。どちらのレビューでも、含まれた試験のほとんどに製薬企業が深く関与していた点が指摘されています。
数字の大きさより、その数字がどの比較から出てきたのかを確かめる読み方のほうが役に立ちます。下の表に並べた国内の数字も、左右を突き合わせる目的では使えません。
| 国内の試験の条件 | チルゼパチドの試験 | セマグルチドの試験 |
|---|---|---|
| 追跡した期間 | 72週間 | 68週間 |
| 解析対象の人数 | 225人 | 401人 |
| 2型糖尿病をもつ人 | 糖尿病の既往がある人を除外 | 組み入れの対象に含む |
| プラセボ群の体重変化率 | -1.8% | -1.9% |
副作用の出方でゼップバウンドとウゴービを比較すると、似た項目と分かれた項目があります
副作用の顔ぶれは、直接比較の試験でもよく似ていました。ただし嘔吐や胃食道逆流、注射した場所の反応では数字が分かれています。
| 72週間で報告された事象 | チルゼパチド側(374人) | セマグルチド側(376人) |
|---|---|---|
| 悪心 | 163人 | 167人 |
| 便秘 | 101人 | 107人 |
| 下痢 | 88人 | 88人 |
| 嘔吐 | 56人 | 80人 |
| 胃食道逆流性疾患 | 23人 | 40人 |
| 注射部位反応 | 32人 | 1人 |
いちばん多いのはお腹の症状で、そこは大きく変わりません
安全性の解析対象となったのは、チルゼパチド側374人、セマグルチド側376人でした。悪心は163人と167人、便秘は101人と107人、下痢は88人と88人という並びで、大きな開きは出ていません。
報告された事象の多くは軽度から中等度で、増量している時期に集中したと記載されました。用量を上げる局面がいちばん揺れやすい点も、二つの薬に共通しています。
症状が出たときに我慢して続けるかどうかは、自分で決める場面ではありません。つらさの程度や食事の摂れ具合を処方元へ伝えると、増量の速度を落とすといった調整が検討されます。
嘔吐と胃食道逆流では数字が分かれました
嘔吐は、チルゼパチド側が374人中56人、セマグルチド側が376人中80人でした。胃食道逆流性疾患は23人と40人で、こちらもセマグルチド側のほうが多く報告されています。
ただし、これらは主要な評価項目ではなく、あらかじめ検定の計画が立てられていた項目でもありません。数字の向きだけを取り出して、片方がつらくない薬だと結論づけられるものではないのです。
重い有害事象と判断された人は18人と13人で、こちらは逆の向きに並びました。つらさの出方に決定的な差があるとまではいえません。
注射した場所の反応だけ様子が違うのはなぜ?
注射した場所の反応は、チルゼパチド側で374人中32人、セマグルチド側で376人中1人と、はっきり分かれました。器具や溶液の違いが背景にあると考えられますが、この試験の記録だけでは理由まで追えません。
赤みやかゆみが長引く場合や、腫れが広がっていく場合には、次の予約を待たずに連絡する場面にあたります。打つ場所を毎回変える運用についても、処方元から具体的な指示を受けられます。
電子添文に並ぶ重大な副作用の顔ぶれ
重大な副作用として、両剤の電子添文には低血糖、急性膵炎、胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸、イレウスが挙げられています。並ぶ項目はよく似ており、どちらかだけが心配のいらない薬という関係にはありません。
嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛があらわれた場合は、使用を中止して速やかに医師の診断を受けるよう求められています。下痢や嘔吐から脱水が続くと腎臓に負担がかかるため、水分が摂れない状態も相談の対象です。
甲状腺に関わる症候の確認も指針に書き込まれており、異常があれば専門医の受診につながります。自分で様子を見る方向へ流れないよう、迷った時点で連絡するほうが安全でしょう。
投与方法を比較すると、ゼップバウンドとウゴービは刻み方も器具も違います
週1回の皮下注射という骨組みは同じでも、増やしていく段の幅、1本に入っている回数、保管の条件はそれぞれ違います。手技そのものより先に、この三つの違いを押さえておくと迷いが減ります。
増やしていく段の幅と回数
ゼップバウンドは週1回2.5mgから始め、4週間の間隔で2.5mgずつ増やして、週1回10mgを維持する用量とします。状態に応じて5mgまで減らすことも、4週間以上の間隔で2.5mgずつ15mgまで増やすこともできます。
ウゴービは0.25mgから始め、4週間の間隔で0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mgの順に上げていき、以降は2.4mgを続けます。維持する用量へ届くまでに4回の増量を通る設計です。
刻みの数が違えば、体を慣らしながら進む道のりの長さも変わります。どちらも増量の時期にお腹の症状が集まりやすいため、進み方は診察のたびに確かめられます。
1本で1回か、1本で4回か
ウゴービには、1回分を充填したSDと、4回分を充填したMDの二つの形があります。SDは単回使用の製剤と電子添文に明記されており、MDのほうは1本でおよそ1か月分をまかなう設計です。
ゼップバウンドはアテオスという注入器で、2.5mgから15mgまで6つの規格が用意されています。用量が上がれば受け取る規格も入れ替わるため、手元にある箱の表示を毎回確かめる場面が生まれます。
ゼップバウンドの電子添文は、皮下注射を行う場所を腹部、大腿部または上腕部と定めています。同じ部位の中で打つ場合も毎回注射する場所を変えるよう書かれており、打つ場所の指定は薬ごとに確かめる部分にあたります。
冷蔵庫から出したあとの扱い
ゼップバウンドは凍結を避けて2〜8℃で遮光して保存し、室温に置く場合は30℃を超えない場所で外箱から出さずに21日以内に使うと定められています。ウゴービのSDは、遮光したうえで冷蔵庫に保管する形です。
- ゼップバウンドは冷蔵が原則で、室温なら30℃以下・外箱のまま21日以内
- ウゴービのSDは遮光したうえで2〜8℃の冷蔵庫に保管
- ウゴービのMDは使用開始後、遮光して室温か冷蔵庫で6週間以内
- どちらも凍結させない
旅行や帰省で持ち歩く場面では、この条件の差がそのまま準備の差になります。出かける前に処方元へ確かめておくと、現地で迷わずに済みます。
打ち方そのものは診察室で教わります
自己注射については、十分な教育訓練を受けたあと、確実に投与できると確認されたうえで医師の管理指導のもとに行うと指針に書かれています。文章で読んだ手順を頼りに自己流で進める場面ではありません。
打ち忘れたときの扱いも、薬ごとに決められています。次の予定日までの日数によって対応が変わるため、その場で判断せずに処方元へ連絡するほうが確実です。
用量を自分で増やしたり、余った分をまとめて使ったりする運用は想定されていません。増量の判断は、体重や血糖、症状の出方を見ながら処方する医師が持っています。
ゼップバウンドとウゴービのどちらを使うかは、比較の先にある診察室で決まります
使う薬を決めるのは処方する医師です。効能に当てはまるか、禁忌に触れないか、続けられるかという順に絞り込まれていきます。
投与できる最長期間が72週間と68週間で違います
国が示した使用の指針は、ゼップバウンドの肥満症への投与を最大72週間、ウゴービを最大68週間と区切っています。どちらも、日本人を対象にした試験で確かめられた期間を根拠にした線引きです。
その期間までに薬を中止できるよう指導することも、治療計画を立てる段階で求められています。薬をずっと続ける前提の治療ではないという枠組みは、二つの薬に共通しています。
十分に減量できた場合は、期限を待たずに中止して食事療法と運動療法だけの管理へ移ることも検討されます。中止したあとに悪化が見られれば、改めて計画を立て直したうえで再開が検討されます。
3〜4か月で立ち止まる点は共通しています
投与を始めたあとは毎月、体重・血糖・血圧・脂質などを確認します。3〜4か月投与しても改善の傾向が見られない場合には、中止すると定められています。
減量の効果が出た場合も、その後は2〜3か月に1回以上の確認が続きます。途中で効果が不十分になれば、そこでも中止が検討されます。
禁忌と併存する病気で先に絞られます
両剤とも、成分に対する過敏症の既往がある人、糖尿病性ケトアシドーシスや昏睡の状態にある人、1型糖尿病の人には投与できません。2型糖尿病をもつ人で重症感染症や手術などの緊急時にあたる場合も同じです。
膵炎の既往がある人、重度の胃腸障害がある人、低血糖を起こすおそれのある状態にある人では、投与の必要性が慎重に判断されます。妊婦や妊娠している可能性のある女性に投与しない点も、どちらの指針にも書かれています。
これらは診察と検査で確かめる範囲であり、自分で見分けられる部分ではありません。お薬手帳と既往の記録を持参すると、絞り込みが早く進みます。
続けられるかどうかで結果はどう変わる?
米国の診療記録を追った研究では、GLP-1受容体作動薬を始めた人のうち、2型糖尿病のない人の64.8%が1年以内に中止していました。2型糖尿病のある人では46.5%です。
同じ研究では、中等度以上の消化器症状が出た人ほど中止しやすく、体重が減っている人ほど続いていたと報告されています。ただし対象は米国で処方された製剤であり、国内のゼップバウンドとウゴービそのものを追った数字ではありません。
中止したあとの動きも調べられており、肥満のある人では平均5.63kgの体重増加が報告されました。薬をやめた時点から先を支えるのは、食事と運動の側の積み重ねになります。
- 合併している病気と、これまでに受けた治療の経過
- いま飲んでいる薬と、過去に使ったGLP-1受容体作動薬
- 体重の記録と、食事や運動で続けられている内容
- 吐き気や便通の変化など、体調の揺れ
- 冷蔵庫の空きや外出の予定など、保管に関わる事情
これらを持って診察に臨むと、二つの薬のどちらが自分の生活に収まるのかを一緒に考えられます。数字の大小だけで決まる話ではありません。
よくある質問
- Qゼップバウンドとウゴービでは、どちらが効果の強い薬なのですか?
- A
両剤にあたる成分と用量を同じ試験で割り付けた比較では、72週時点の体重変化率がチルゼパチド側で大きいという結果が報告されました。ただし、これは集団の平均を示した一つの試験の結果です。
合併している病気や禁忌、続けられるかどうかまで含めて、どちらを使うかを決めるのは処方する医師です。減量幅の数字だけで選べる仕組みにはなっていません。
- Qゼップバウンドとウゴービを見比べるとき、マンジャロやオゼンピックの減量幅は参考になりますか?
- A
マンジャロとオゼンピックは2型糖尿病を効能とする別の販売名の薬で、用量の刻み方も対象として想定されている人も違います。同じ成分を含んでいても、報告された数字をそのまま持ち込めません。
目にした数字が、どの販売名の、どの用量帯で、何週間追った結果なのかを確かめてから読むと混同を避けられます。販売名が分かれた薬は、それぞれ別に審査を受けています。
- Qゼップバウンドとウゴービの副作用は、どちらがつらいのでしょうか?
- A
直接比較の試験では、悪心・便秘・下痢といったお腹の症状の多さに大きな開きは出ていません。嘔吐や胃食道逆流はセマグルチド側で、注射した場所の反応はチルゼパチド側で多く報告されました。
いずれも副次的な観察であり、片方がつらくない薬だと示したものではありません。同じ薬でも人によって出方が変わるため、実際の様子は使い始めてから処方元と確かめていく形になります。
- Qゼップバウンドとウゴービは、途中で切り替えられますか?
- A
薬を替えるかどうかは、体重や血糖の動き、症状の出方、合併している病気を見たうえで処方する医師が判断します。指針は、GLP-1受容体に作動する薬どうしを重ねて使わないよう求めています。
効果が足りないと感じたときは、まず増量の余地や食事療法・運動療法の続き方が見直されます。手元に残った薬を自分の判断で使い分ける運用は想定されていません。
- Qゼップバウンドとウゴービは、いつまで使い続ける薬なのですか?
- A
国が示した使用の指針は、肥満症への投与をゼップバウンドで最大72週間、ウゴービで最大68週間と区切っています。その期間までに中止できるよう指導することも、治療計画に織り込まれています。
3〜4か月投与しても改善の傾向が見られない場合は中止すると定められており、途中で判断が入ります。やめたあとの体重を支えるのは食事と運動の側なので、その準備は薬を使っている間から始まります。


