長引く咳や、つらい咳の症状があると「病院で抗生物質を処方してもらえば治るのでは」と考えるかもしれません。しかし、抗菌薬(抗生物質)は全ての咳に有効なわけではありません。

この記事では、医療機関がどのような場合に咳の治療で抗菌薬を検討するのか、その基本的な考え方、薬の種類、そして注意点について詳しく解説します。

薬の役割を正しく理解し、ご自身の体の状態と向き合うための情報として役立ててください。

はじめに 抗菌薬(抗生物質)とは何か

咳の治療を考える上で、まず抗菌薬(抗生物質)がどのような薬なのかを正確に知ることが大切です。この薬は、私たちの体の中で特定の微生物と戦うために開発されました。

その働きを正しく理解することは、適切な治療を選択する第一歩となります。

抗菌薬と抗生物質の違い

「抗菌薬」と「抗生物質」、この二つの言葉は同じように使われることが多いですが、厳密には少し意味が異なります。

もともと「抗生物質」は、カビなどの微生物が作り出す、他の微生物の増殖を抑える物質を指していました。

一方、「抗菌薬」は人工的に化学合成されたものも含め、細菌の増殖を抑えたり、細菌を殺したりする薬全般を指す広い言葉です。

現在では、医療の現場で処方される細菌感染症の治療薬は、ほとんどが「抗菌薬」に含まれるため、ほぼ同じ意味合いで使われることが一般的です。

細菌を抑える薬の働き

抗菌薬の主な役割は、病気の原因となる「細菌」に作用することです。細菌は細胞壁という硬い壁を持っていたり、生きていくためにタンパク質を合成したりしています。

抗菌薬は、この細菌だけが持つ特徴的な部分を攻撃します。例えば、細菌の細胞壁が作られるのを邪魔したり、タンパク質の合成を止めたりすることで、細菌が増えるのを防いだり、直接破壊したりします。

人の細胞には細胞壁がないため、抗菌薬は人の細胞に大きな影響を与えることなく、細菌だけを選択的に攻撃することができます。

抗菌薬が有効な病原体と無効な病原体

対象抗菌薬の効果主な病原体の例
細菌効果がある肺炎球菌、インフルエンザ菌、マイコプラズマ
ウイルス効果がないインフルエンザウイルス、コロナウイルス、RSウイルス
真菌(カビ)効果がないカンジダ、アスペルギルス

ウイルスには効果がないという事実

最も重要な点の一つは、抗菌薬は「ウイルス」には全く効果がないということです。咳の原因として非常に多い「普通の風邪」のほとんどは、ウイルス感染によって引き起こされます。

インフルエンザも同様にウイルスが原因です。ウイルスは細菌とは体のつくりが根本的に異なり、自分自身で増殖することができず、人の細胞の中に入り込んで増殖します。

抗菌薬が攻撃対象とする細胞壁などをウイルスは持っていないため、抗菌薬を飲んでもウイルス感染症そのものを治すことはできません。

咳の治療で抗菌薬が常に使われるわけではない理由

「咳が出たら抗菌薬」という考え方が、必ずしも正しくないのはなぜでしょうか。それには、咳の原因の多様性や、薬がもたらす別の問題が関係しています。

医療機関では、これらの点を総合的に評価して、抗菌薬の使用を慎重に判断します。

咳の原因は細菌だけではない

咳は、体が気道に入った異物を外に出そうとする防御反応です。その原因は非常に多岐にわたります。ウイルスによる風邪やインフルエンザが最も一般的ですが、その他にも様々な原因が考えられます。

  • ウイルス感染症(普通感冒、インフルエンザなど)
  • 細菌感染症(細菌性気管支炎、肺炎など)
  • アレルギー反応(花粉症など)
  • 喘息(ぜんそく)
  • 胃食道逆流症

このように、原因が細菌ではない場合、抗菌薬を使用しても効果は期待できません。むしろ、不要な薬を体に取り込むことになってしまいます。

そのため、医師はまず咳の原因が何かを見極めることを重視します。

耐性菌(薬剤耐性菌)問題の重要性

抗菌薬を不必要に、あるいは不適切に使い続けると、「耐性菌」という大きな問題を引き起こす原因になります。耐性菌とは、抗菌薬が効かなくなってしまった細菌のことです。

抗菌薬を使用すると、その薬に弱い細菌は死にますが、ごくまれにその薬に耐える力を持った細菌が生き残ることがあります。

生き残った耐性菌が増殖し、他の人に広がると、いざその抗菌薬が必要な重い感染症にかかったときに、治療が非常に困難になります。

これは個人の問題だけでなく、社会全体に関わる深刻な問題であり、世界的に抗菌薬の適正な使用が求められています。

耐性菌が生まれる流れ

抗菌薬の不適切な使用は、薬が効かない細菌を増やす手助けをしてしまう可能性があります。これは、本当に抗菌薬による治療が必要になった時の選択肢を狭めることにつながります。

不必要な使用がもたらす体への影響

抗菌薬は細菌と戦う一方で、私たちの体にすんでいる有益な細菌(常在菌)にも影響を与えることがあります。

特に腸内にいる常在菌は、消化を助けたり、体の免疫機能を正常に保ったりする大切な役割を担っています。

抗菌薬によってこれらの良い菌まで減らしてしまうと、腸内環境のバランスが崩れ、下痢や軟便などの消化器症状を引き起こすことがあります。

効果が期待できない状況で抗菌薬を使用することは、こうした体への負担を増やすだけになってしまう可能性があります。

細菌感染とウイルス感染の症状比較

症状の特徴細菌感染が疑われる場合ウイルス感染が疑われる場合
痰の色黄色や緑色の膿のような痰透明や白色のサラサラした痰
熱の経過高熱が続くことが多い熱は数日で下がることが多い
喉の痛み片側だけが強く痛むことがある全体的に赤く痛むことが多い

医療機関における慎重な判断

これらの理由から、医療機関では抗菌薬の処方を慎重に行います。患者さんの症状、経過、診察所見を総合的に評価し、細菌感染症の可能性が高いと判断した場合にのみ、抗菌薬の使用を検討します。

単に「咳が続いているから」という理由だけですぐに処方するのではなく、その使用が患者さんにとって利益が不利益を上回るかを丁寧に見極めています。

抗菌薬の処方を検討する咳の状態

では、具体的にどのような場合に、医師は抗菌薬の使用を考えるのでしょうか。それは、咳の原因が「細菌」である可能性が高いと判断される状況です。

いくつかの症状や検査結果が、その判断の手がかりとなります。

細菌感染が疑われる症状の特徴

ウイルス性の風邪とは異なる、細菌感染を疑わせる特徴的な症状があります。もちろん、これらの症状があるからといって100%細菌感染とは限りませんが、重要な判断材料になります。

  • 38度以上の高熱が数日間続く
  • 一度下がりかけた熱が再び上がってくる
  • 黄色や緑色、さび色といった膿のような色のついた痰がからむ
  • 呼吸が苦しい、息切れがする
  • 胸の痛みがある

これらの症状が見られる場合、気管支や肺で細菌が増殖している可能性を考え、より詳しい診察や検査を進めます。

続く期間や痰の色からの判断

咳が続く期間も一つの目安です。

一般的な風邪による咳は1週間から2週間程度で軽快することが多いですが、3週間以上続く場合や、一度良くなった症状が再び悪化する場合には、細菌による二次感染などを考慮します。

また、痰の色も参考になります。ウイルス感染では透明や白色のことが多いですが、細菌感染では白血球の死骸などが混じるため、黄色や緑色がかったドロっとした痰が出ることがあります。

咳の状態から考えるべきこと

観察ポイント細菌感染を疑う所見の例対応の考え方
期間3週間以上続く、あるいは悪化する他の原因も含めて精査を検討
膿性(黄色、緑色)の痰が続く細菌感染の可能性が高まる
全身症状高熱、悪寒、倦怠感が強い中等症以上の感染症を考慮

診断を補助するための検査

症状や診察だけでは判断が難しい場合、診断の助けとするためにいくつかの検査を行うことがあります。これらの検査は、体の中で何が起きているのかを客観的に評価するために役立ちます。

  • 血液検査(白血球数やCRPという炎症反応の数値を確認)
  • 胸部X線(レントゲン)検査(肺炎の有無を確認)
  • 喀痰(かくたん)検査(痰の中の細菌を特定し、効果のある抗菌薬を調べる)

特に、血液検査で炎症反応が非常に高い場合や、X線検査で肺炎像が見られる場合には、抗菌薬による治療の必要性が高まります。

基礎疾患がある場合の考え方

心臓や肺に慢性の病気があったり、糖尿病があったり、免疫を抑える薬を使用していたりするなど、何らかの基礎疾患を持つ方の場合、感染症が重症化しやすい傾向があります。

そのため、健康な成人の場合よりも早めの段階で、また、より慎重に抗菌薬の使用を検討することがあります。これは、重い肺炎などへの進行を防ぐための予防的な意味合いも含まれます。

咳の治療で用いられる主な抗菌薬の種類

抗菌薬には多くの種類があり、それぞれ得意な細菌や特徴が異なります。

医師は、原因となっていると推測される細菌の種類や患者さんの状態に合わせて、最も適切と考えられる薬を選択します。

ペニシリン系抗菌薬

ペニシリン系は、最も古くから使われている抗菌薬の一つです。肺炎球菌など、市中肺炎の一般的な原因菌に対して効果を示します。

アレルギー反応を起こす人がいるため、使用前には必ずペニシリンアレルギーの有無を確認します。

近年、耐性菌が増加しているため、クラブラン酸という薬を配合して効果を高めた製剤が使われることも多くなっています。

セフェム系抗菌薬

セフェム系は、ペニシリン系と構造が似ており、幅広い種類の細菌に効果が期待できるため、多くの感染症で使われます。特に呼吸器感染症で原因となりやすい細菌を広くカバーできるのが特徴です。

世代によって特徴が異なり、新しい世代の薬ほど、より多くの種類の細菌に効果を示します。飲み薬(経口薬)と注射薬があります。

主な抗菌薬の系統と特徴

系統主な特徴注意点など
ペニシリン系肺炎球菌などに効果的。古くからの実績がある。アレルギーに注意が必要。
セフェム系幅広い細菌に有効。呼吸器感染症で頻用される。世代によって特徴が異なる。
マクロライド系非定型肺炎(マイコプラズマなど)に有効。他の薬との相互作用に注意。

マクロライド系抗菌薬

マクロライド系の抗菌薬は、一般的な細菌だけでなく、「非定型肺炎」と呼ばれるマイコプラズマやクラミジアといった細胞壁を持たない特殊な細菌にも効果を発揮します。

乾いた咳が長く続く場合など、非定型肺炎が疑われる状況で選択されることが多いです。また、細菌を殺す作用だけでなく、気道の炎症を抑える効果も持つことが知られています。

ニューキノロン系抗菌薬

ニューキノロン系は、非常に幅広い種類の細菌に強い効果を示す抗菌薬です。

特に呼吸器感染症に対しては高い有効性を持ちますが、その強力さゆえに、安易に使用すると耐性菌を発生させやすいという側面も持っています。

そのため、他の抗菌薬で効果が見られない場合や、重症な感染症の場合など、いわば「切り札」として慎重に使用されることが多い薬です。

結核菌にも効果があるため、結核の診断がつく前にこの薬を使うと、症状が分かりにくくなる可能性があり、その点も使用には注意が必要です。

ニューキノロン系抗菌薬の位置づけ

項目説明
効果非常に広範囲の細菌に強力な効果を示す。
使用場面重症例や他の薬が無効な場合など、使用は慎重に判断される。
懸念点耐性菌の誘導リスク。副作用にも注意が必要。

抗菌薬の副作用と服用時の注意点

抗菌薬は細菌感染症に対して有効な治療薬ですが、一方で副作用が起こる可能性もあります。

薬を安全に使うためには、どのような副作用があり、どのような点に注意すべきかを知っておくことが重要です。

主な副作用の症状

最も多く見られる副作用は、消化器系の症状です。これは、薬が腸内の良い菌にも影響を与え、腸内環境のバランスが乱れることで起こります。

  • 下痢、軟便
  • 吐き気、嘔吐
  • 腹痛、胃の不快感

その他に、皮膚に発疹(ぶつぶつ)やかゆみが出ることがあります。

これらの症状の多くは軽度で、薬の服用が終われば改善しますが、症状が強い場合や続く場合には、医師や薬剤師に相談することが大切です。

起こりうる主な副作用

系統主な症状対処のポイント
消化器系下痢、軟便、吐き気整腸剤を併用することがある。水分補給を心がける。
皮膚発疹、かゆみひどくなる場合はアレルギーの可能性を考え中止を検討。
肝臓・腎臓機能障害(自覚症状は少ない)長期使用の場合は血液検査で確認することがある。

アレルギー反応について

副作用の中でも特に注意が必要なのがアレルギー反応です。単なる発疹だけでなく、まれに重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こすことがあります。

息苦しさ、急な血圧低下、意識がもうろうとするなどの症状が現れた場合は、命に関わる危険な状態です。直ちに服用を中止し、救急要請を含む緊急の対応が必要です。

過去に薬でアレルギーを起こした経験がある場合は、必ず診察時に医師に伝えてください。

他の薬との飲み合わせ

抗菌薬の中には、他の薬と一緒に服用すると、互いの効果を強めたり弱めたり、副作用のリスクを高めたりするものがあります(薬物相互作用)。

例えば、血液をサラサラにする薬や、不整脈の薬、胃薬の一部などは、抗菌薬との飲み合わせに注意が必要です。

現在服用している薬がある場合(市販薬やサプリメントも含む)、お薬手帳を持参するなどして、必ず医師や薬剤師に全ての薬を伝えてください。

飲み合わせに注意が必要な薬の例

抗菌薬の種類(例)相互作用を起こす可能性のある薬の種類(例)起こりうる影響
マクロライド系一部の抗不整脈薬、抗凝固薬(ワルファリン)相手の薬の血中濃度が上昇し、作用が強く出ることがある。
ニューキノロン系アルミニウムやマグネシウムを含む胃薬抗菌薬の吸収が妨げられ、効果が弱まることがある。

服用中に避けるべきこと

一部の抗菌薬は、アルコールと一緒に摂取すると、悪酔いのような症状(顔が赤くなる、動悸、吐き気など)を引き起こすことがあります。抗菌薬を服用している期間中は、禁酒が原則です。

また、薬の種類によっては、服用後の日光への感受性が高まり、日光皮膚炎を起こしやすくなることもあります。服用中は、直射日光を避けるなどの対策が必要になる場合があります。

処方された薬に関する具体的な注意点は、薬剤師からの説明をよく確認してください。

抗菌薬を正しく使うためのポイント

抗菌薬の効果を最大限に引き出し、耐性菌のリスクを減らすためには、処方された薬を正しく使うことが何よりも大切です。

自己判断で使い方を変えることは、治療の妨げになるだけでなく、将来の自分や社会にとって不利益となる可能性があります。

処方された日数分を飲み切る重要性

症状が良くなったからといって、自己判断で薬をやめてはいけません。これは、抗菌薬の正しい使い方において最も重要なポイントです。

咳や熱などの症状が軽快しても、原因となった細菌が完全にいなくなったわけではありません。まだ体の中に少数の細菌が生き残っている可能性があります。

ここで薬の服用をやめてしまうと、生き残った細菌が再び増殖し、症状がぶり返すことがあります。さらに悪いことに、この生き残った細菌の中で、薬への耐性を持つものが増えてしまう危険性があります。

医師が指示した日数分を最後までしっかりと飲み切ることで、原因菌を完全に叩き、再発や耐性菌の発生を防ぐことができます。

自己判断で中断しない

服用中に下痢や軽い発疹などの副作用が出た場合でも、まずは自己判断で中断せず、処方した医師や薬剤師に相談してください。

症状によっては、整腸剤を追加したり、他の薬に変更したりするなどの対応が可能です。勝手にやめてしまうと、治療が中途半端に終わってしまいます。

ただし、前述したような激しいアレルギー反応を疑う症状が出た場合は、直ちに服用を中止し、医療機関に連絡してください。

以前の薬を使い回さない

以前に同じような症状で処方された抗菌薬が残っていても、それを自己判断で服用することは絶対に避けてください。今回の咳の原因が、前回の原因と同じ細菌であるとは限りません。

原因がウイルスであれば全く効果がありませんし、異なる種類の細菌であれば、その薬は効かない可能性があります。

不適切な抗菌薬の使用は、副作用のリスクを高め、耐性菌を増やす原因になるだけです。薬は、その都度、医師の診断に基づいて処方されるものです。

医師や薬剤師への相談

薬の服用方法や、副作用など、疑問や不安な点があれば、遠慮なく医師や薬剤師に質問してください。

特に、他に飲んでいる薬がある場合や、アレルギー歴、過去の副作用経験などは、安全な治療のために非常に重要な情報です。

お薬手帳は、こうした情報を正確に伝えるための有効なツールです。常に携帯し、医療機関を受診する際には提示する習慣をつけましょう。

咳と抗菌薬に関するよくある質問

最後に、咳の治療と抗菌薬に関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめます。

Q
薬を飲んだらすぐに咳は止まりますか?
A

抗菌薬は、咳そのものを直接抑える「鎮咳薬(ちんがいやく)」とは異なります。抗菌薬の役割は、あくまで咳の原因となっている細菌を退治することです。

細菌が減っていくにつれて、気道の炎症が治まり、結果として咳の症状も改善していきます。そのため、効果を実感するまでには通常2〜3日程度の時間が必要です。

すぐに効果が出ないからといって、心配しすぎる必要はありません。

Q
副作用が出たらどうすればよいですか?
A

まずはどのような副作用かを確認します。軽い下痢や胃の不快感、軽い発疹などの場合は、自己判断で服用を中止する前に、薬を処方された医療機関や薬局に電話で相談してください。

他の薬を追加するなどの対処法があります。

一方で、息苦しさ、じんましん、まぶたや唇の腫れなど、重いアレルギーを疑う症状が出た場合は、直ちに服用を中止して、速やかに医療機関を受診するか、場合によっては救急車を呼ぶことを検討してください。

Q
家族に同じ薬を分けても良いですか?
A

絶対にしないでください。たとえ家族であっても、症状が似ているからといって原因が同じとは限りません。

また、薬の適切な種類や量は、その人の年齢、体重、肝臓や腎臓の機能、アレルギーの有無などを考慮して医師が判断しています。

他人の薬を使うことは、効果がないばかりか、思わぬ副作用やアレルギーを引き起こす原因となり、非常に危険です。

Q
耐性菌とは何ですか?自分に関係ありますか?
A

 耐性菌とは、特定の抗菌薬が効かなくなってしまった細菌のことです。抗菌薬の不必要な使用や、処方された通りに飲み切らないことなどが、耐性菌を生み出す主な原因となります。

自分自身が耐性菌を持ってしまうと、将来、本当に抗菌薬が必要な感染症にかかったときに、治療が困難になる可能性があります。

また、その耐性菌が家族や周囲の人に広がる可能性もあります。耐性菌問題は、すべての人に関わる重要な健康問題です。

抗菌薬を指示通り正しく使用することが、自分自身と社会全体を耐性菌から守ることにつながります。

以上

参考にした論文